(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
自装置の外面を形成する外装部材、及び原稿が載置される原稿載置面を有する筐体と、前記筐体内において予め定められた特定方向に沿って移動可能であって、前記原稿載置面に載置される原稿の画像の読み取りに用いられる光源及びミラーのいずれか一方又は両方が取り付けられるキャリッジと、前記キャリッジの移動範囲内における予め定められたロック位置に配置される前記キャリッジと前記外装部材との間に設けられ、前記筐体によって支持される被支持部と、を備える画像形成装置に設けられる係止部材であって、
前記外装部材における前記外装部材を挟んで前記被支持部と対向する特定位置に配置される磁石の磁力に応じて前記被支持部と前記ロック位置に配置される前記キャリッジとを係合する第1位置及び前記第1位置よりも前記外装部材側であって前記被支持部と前記キャリッジとの係合を解除する第2位置のいずれか一方から他方へ移動する係止部材。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0013】
[第1実施形態]
まず、
図1及び
図2を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置10の構成について説明する。ここで、
図1は画像形成装置10の構成を示す断面模式図である。
【0014】
なお、説明の便宜上、画像形成装置10が使用可能な設置状態(
図1に示される状態)で鉛直方向を上下方向D1と定義する。また、
図1に示される画像形成装置10の紙面手前側の面を正面(前面)として前後方向D2を定義する。また、前記設置状態の画像形成装置10の正面を基準として左右方向D3を定義する。
【0015】
画像形成装置10は、原稿から画像データを読み取るスキャン機能、及び画像データに基づいて画像を形成するプリント機能と共に、ファクシミリ機能、及びコピー機能などの複数の機能を有する複合機である。また、本発明は、スキャナー装置、ファクシミリ装置、及びコピー機などの画像読取装置、又は画像形成装置に適用可能である。
【0016】
図1及び
図2に示されるように、画像形成装置10は、ADF1、画像読取部2、画像形成部3、給紙部4、制御部5、及び操作表示部6を備える。ここに、画像読取部2、及び制御部5を備える装置が、本発明における画像読取装置の一例である。
【0017】
ADF1は、原稿セット部、複数の搬送ローラー、原稿押さえ、及び排紙部を備え、画像読取部2によって読み取られる原稿を搬送する自動原稿搬送装置である。
【0018】
画像形成部3は、画像読取部2で読み取られた画像データに基づいて、電子写真方式で画像を形成することが可能である。また、画像形成部3は、外部のパーソナルコンピューター等の情報処理装置から入力された画像データに基づいて、画像を形成することも可能である。具体的に、画像形成部3は、感光体ドラム、帯電装置、光走査装置(LSU)、現像装置、転写ローラー、クリーニング装置、定着ローラー、加圧ローラー、及び排紙トレイを備える。
【0019】
給紙部4は、画像形成部3にシートを供給する。画像形成部3では、給紙部4から供給されるシートに画像が形成されて、画像形成後のシートが前記排紙トレイに排出される。なお、給紙部4から供給されるシートは、紙、コート紙、ハガキ、封筒、及びOHPシートなどのシート材料である。
【0020】
制御部5は、不図示のCPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を備える。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される揮発性の記憶部である。制御部5では、前記CPUにより前記ROMに予め記憶された各種の制御プログラムが実行される。これにより、画像形成装置10が制御部5により統括的に制御される。なお、制御部5は、集積回路(ASIC)などの電子回路で構成されたものであってもよく、画像形成装置10を統括的に制御するメイン制御部とは別に設けられた制御部であってもよい。
【0021】
操作表示部6は、制御部5からの制御指示に応じて各種の情報を表示する液晶ディスプレーなどの表示部、及びユーザーの操作に応じて制御部5に各種の情報を入力する操作キー又はタッチパネルなどの操作部を有する。
【0022】
画像読取部2は、ADF1によって搬送される原稿、又は第1コンタクトガラス211(
図1参照)に載置される原稿から画像データを読み取ることが可能である。
図1に示されるように、画像読取部2は、筐体21、第1キャリッジ22、第2キャリッジ23、光学レンズ24、CCD25、駆動部26、及びセンサー27を備える。
【0023】
筐体21は、画像読取部2の構成要素を収容する。第1キャリッジ22、第2キャリッジ23、光学レンズ24、CCD25、駆動部26、及びセンサー27は、筐体21の内部に収容される。
【0024】
図1に示されるように、筐体21は、第1コンタクトガラス211、及び第2コンタクトガラス212を有する。第1コンタクトガラス211、及び第2コンタクトガラス212は、筐体21の上部に設けられ、筐体21の上面21A(
図1参照)の一部を形成する。第1コンタクトガラス211には、画像読取部2によって画像が読み取られる原稿が載置される。第1コンタクトガラス211の上面が、画像形成装置10における原稿載置面である。第2コンタクトガラス212は、ADF1によって搬送される原稿の画像の読み取りに用いられる。
【0025】
筐体21の上面21Aには、ADF1が設けられる。ADF1は、上面21Aの後端部において上面21Aに対して開閉可能に支持されており、第1コンタクトガラス211に載置される原稿に対する原稿カバーを兼ねている。第2コンタクトガラス212は、ADF1が上面21Aに対して閉じられた状態において、ADF1によって搬送される原稿の搬送路の一部を形成する。画像読取部2では、ADF1が上面21Aに対して閉じられている場合に、ADF1によって搬送される原稿から画像データを読取可能である。
【0026】
第1キャリッジ22は、
図1に示されるように、第1コンタクトガラス211及び第2コンタクトガラス212よりも下側に設けられる。第1キャリッジ22は、前後方向D2に長尺であって、駆動部26から供給される駆動力を受けて左右方向D3へ移動可能に構成されている。第1キャリッジ22には、
図1に示されるように、光源221、及びミラー222が取り付けられている。光源221、及びミラー222は、第1コンタクトガラス211に載置される原稿の画像の読み取りに用いられる。ここに、第1キャリッジ22が、本発明におけるキャリッジの一例である。また、左右方向D3が、本発明における特定方向の一例である。
【0027】
光源221は、第1キャリッジ22の移動方向である左右方向D3に直交する前後方向D2に沿って配列された多数の白色LEDを備える。光源221は、第1コンタクトガラス211又は第2コンタクトガラス212へ向けて前後方向D2に沿った1ラインの光を射出する。ミラー222は、光源221から射出されて、第1コンタクトガラス211に載置される原稿、又はADF1によって搬送される原稿で反射した光を第2キャリッジ23のミラー231に向けて反射させる。
【0028】
第2キャリッジ23は、
図1に示されるように、第1コンタクトガラス211及び第2コンタクトガラス212よりも下側に設けられる。第2キャリッジ23は、前後方向D2に長尺であって、第1キャリッジ22の移動に連動して、第1キャリッジ22と同じ左右方向D3へ移動する。また、第2キャリッジ23は、第1キャリッジ22の移動速度の半分の速度で移動する。第2キャリッジ23には、
図1に示されるように、ミラー231、及びミラー232が取り付けられる。
【0029】
ミラー231は、第1キャリッジ22のミラー222から入射される光をミラー232に向けて反射させる。ミラー232は、ミラー231から入射される光を光学レンズ24に向けて反射させる。
【0030】
光学レンズ24は、第2キャリッジ23のミラー232から入射される光を集光してCCD25に入射させる。
【0031】
CCD25は、光学レンズ24から入射される光を受光して、受光量に応じた電気信号を出力する光電変換素子を有するイメージセンサーである。CCD25から出力される電気信号は、不図示のアナログフロントエンド回路によって画像データを表すデジタル信号に変換された後に、制御部5に入力される。
【0032】
駆動部26は、電流の供給に応じて、第1キャリッジ22、及び第2キャリッジ23を移動させる駆動力を第1キャリッジ22、及び第2キャリッジ23に供給する。例えば、駆動部26はステッピングモーターである。第1キャリッジ22は、駆動部26から供給される駆動力によって筐体21内における始点位置P1(
図5参照)から終点位置P2(
図5参照)までの範囲内で移動する。なお、本明細書では、第1キャリッジ22の右端部の位置を、筐体21内における第1キャリッジ22の位置とみなしている(
図5参照)。
【0033】
センサー27は、筐体21内における始点位置P1(
図5参照)で第1キャリッジ22を検出可能である。例えば、センサー27は、反射型又は透過型の光センサーである。センサー27は、始点位置P1における第1キャリッジ22の検出の有無に応じた電気信号を制御部5に出力する。
【0034】
画像読取部2では、第1コンタクトガラス211に載置された原稿から画像データが読み取られる場合、第1キャリッジ22が始点位置P1(
図5参照)から終点位置P2(
図5参照)へ移動される。これにより、光源221から射出される前後方向D2に沿った1ラインの光が左右方向D3に沿って移動して、原稿の表面が走査される。即ち、前後方向D2は、画像読取部2による第1コンタクトガラス211に載置された原稿の画像データの読み取りにおける主走査方向である。また、左右方向D3は、画像読取部2による第1コンタクトガラス211に載置された原稿の画像データの読み取りにおける副走査方向である。
【0035】
また、第2キャリッジ23は、第1キャリッジ22の始点位置P1から終点位置P2への移動に連動して、始点位置P1から終点位置P2へ向かう方向へ、第1キャリッジ22の移動速度の半分の速度で移動する。これにより、第1キャリッジ22が始点位置P1から終点位置P2へ移動している間、光源221からCCD25までの光路長が所定の値に維持される。
【0036】
第1キャリッジ22は、第1コンタクトガラス211に載置された原稿からの画像データの読み取りが終了すると、始点位置P1へ戻される。始点位置P1は、第1キャリッジ22の所謂ホームポジションである。具体的に、制御部5は、センサー27から第1キャリッジ22の検出を示す電気信号が出力されるまでの間、駆動部26を駆動させて、第1キャリッジ22を終点位置P2から始点位置P1へ向かう方向へ移動させる。なお、第2キャリッジ23は、第1キャリッジ22の移動に連動して、第1キャリッジ22と同方向へ、第1キャリッジ22の移動速度の半分の速度で移動する。
【0037】
また、画像読取部2では、ADF1によって搬送される原稿から画像データが読み取られる場合、第1キャリッジ22が始点位置P1(
図5参照)に固定で配置される。始点位置P1に配置された第1キャリッジ22の光源221からは、ADF1によって搬送される原稿の搬送路へ向けて前後方向D2に沿った1ラインの光が射出される。これにより、ADF1によって搬送される原稿が、前記搬送路における光源221からの光の照射位置を通過して、原稿の表面が走査される。
【0038】
ところで、画像形成装置10では、自装置の運搬中に与えられる揺れや振動などによって第1キャリッジ22、及び第2キャリッジ23が筐体21内を移動することがある。この場合に、例えば第1キャリッジ22が筐体21内の始点位置P1(
図5参照)、又は終点位置P2(
図5参照)へ向けて勢いよく移動すると、始点位置P1、又は終点位置P2への到達時に発生する衝撃により、第1キャリッジ22、及び第2キャリッジ23における光源221などの取り付け位置がずれるおそれがある。これに対し、筐体21における第1キャリッジ22の移動をロックすることが可能なロック部を備える画像読取装置が関連技術として知られている。
【0039】
しかしながら、上述の関連技術では、ロック部によるロック状態及びロック解除状態の切替操作に用いられる操作部が画像読取装置の外面を形成する外装部材に設けられる。そのため、外装部材の構成が複雑化する。これに対し、本発明の実施形態に係る画像形成装置10では、以下に説明するように、外装部材の構成を簡素化させることが可能である。
【0040】
以下、
図3〜
図9を参照しつつ、画像読取部2について詳細に説明する。ここで、
図3は筐体21の外装部材213〜215、及びフレーム28の構成を示す斜視図である。また、
図4はフレーム28、及び係止部29の構成を示す斜視図である。また、
図5は筐体21の内部の構成を示す断面模式図である。また、
図6は第1キャリッジ22の構成を示す斜視図である。また、
図7は係止部29の構成を示す斜視図である。また、
図8は
図3におけるVIII−VIII矢視断面図であって、係止部29が第1位置P5に配置された状態が示されている。また、
図9は
図8に示された断面図において係止部29が第2位置P6に配置された状態が示された図である。
【0041】
筐体21は、
図3に示されるように、外装部材213〜215、及び支持部材212Aを備える。
【0042】
外装部材213〜215は、筐体21の上面21Aの一部を形成する。例えば、外装部材213〜215各々は、樹脂によって形成される。
【0043】
図3に示されるように、外装部材213は、左右方向D3に長尺であって、第1コンタクトガラス211、及び第2コンタクトガラス212の後側で上面21Aを形成する。また、
図3に示されるように、外装部材214は、前後方向D2に長尺であって、第1コンタクトガラス211の右側で上面21Aを形成する。また、
図3に示されるように、外装部材215は、前後方向D2に長尺であって、第2コンタクトガラス212の左側で上面21Aを形成する。なお、筐体21は、第1コンタクトガラス211、及び第2コンタクトガラス212の前側で上面21Aを形成する不図示の外装部材、外装部材215の左側で上面21Aを形成する不図示の外装部材、及び筐体21の底面及び側面を形成する不図示の外装部材を備える。
【0044】
支持部材212Aは、第2コンタクトガラス212を支持する。支持部材212Aは、筐体21の上面21Aの一部を形成する。例えば、支持部材212Aは、樹脂によって形成される。
【0045】
また、画像読取部2は、
図3及び
図4に示されるように、フレーム28、及び係止部29を備える。
【0046】
フレーム28は、筐体21の内部において、筐体21に固定される。例えば、フレーム28は、板金によって形成される。
【0047】
フレーム28は、第1キャリッジ22、及び第2キャリッジ23を左右方向D3へ移動可能に支持する。フレーム28によって移動可能に支持された第1キャリッジ22は、
図5に示される始点位置P1から終点位置P2の範囲内で移動する。例えば、始点位置P1は、第1キャリッジ22の移動可能範囲における左方側の端部である。また、終点位置P2は、第1キャリッジ22の移動可能範囲における右方側の端部である。
【0048】
図3〜
図5に示されるように、フレーム28は、底板部28A、側壁部28B〜28Eを有する。底板部28Aは矩形状に形成される。側壁部28Bは、底板部28Aの前方側の縁部に沿って立設される。側壁部28Bの上部には、底板部28Aの内側へ向けて屈曲する屈曲部28B1(
図3参照)が形成される。側壁部28Cは、底板部28Aの左方側の縁部に沿って立設される。側壁部28Cの上部には、底板部28Aの内側へ向けて屈曲する屈曲部28C1(
図4参照)が形成される。側壁部28Dは、底板部28Aの後方側の縁部に沿って立設される。側壁部28Dの上部には、底板部28Aの内側へ向けて屈曲する不図示の屈曲部が形成される。側壁部28Eは、底板部28Aの右方側の縁部に沿って立設される。側壁部28Eの上部には、底板部28Aの内側へ向けて屈曲する屈曲部28E1(
図5参照)が形成される。
【0049】
ここで、屈曲部28C1は、
図5に示されるように、始点位置P1に配置される第1キャリッジ22と外装部材215との間に設けられる。始点位置P1に配置された第1キャリッジ22は、左方側の端部が屈曲部28C1によって覆われる。屈曲部28C1と外装部材215との間には、予め定められた離間距離が設定される。ここに、屈曲部28C1が、本発明における被支持部の一例である。
【0050】
係止部29は、屈曲部28C1と始点位置P1に配置される第1キャリッジ22とを係合する第1位置P5(
図8参照)、及び第1位置P5よりも外装部材215側であって屈曲部28C1と第1キャリッジ22との係合を解除する第2位置P6(
図9参照)の間を移動可能である。ここで、第2位置P6は、
図8及び
図9に示されるように、第1位置P5から上方向へ離間した位置である。
【0051】
具体的に、係止部29は、外装部材215における、外装部材215を挟んで屈曲部28C1と対向する特定位置P4(
図5参照)に配置される磁石7(
図9参照)の磁力に応じて、第1位置P5から第2位置P6へ移動する。例えば、特定位置P4は、外装部材215の上面における、第1キャリッジ22の前後方向D2の中央部を含み且つ前後方向D2に垂直な平面が交わる位置である。また、第1位置P5、及び第2位置P6は、特定位置P4の下方の位置である。ここに、係止部29が、本発明における係止部材の一例である。
【0052】
より具体的に、係止部29は、磁石7に磁気的に引き寄せられて、第1位置P5から第2位置P6へ移動する。例えば、係止部29は、鉄などの強磁性体によって形成される。なお、係止部29は磁石を含んでいてもよい。
【0053】
図7に示されるように、係止部29は、基体部291、及び突出部292を有する。基体部291は、第1キャリッジ22の長手方向と同じ方向である前後方向D2に長尺な平板状に形成される。例えば、基体部291は、屈曲部28C1と外装部材215との間に形成される間隙において、長手方向における中央部が特定位置P4の下方に位置するように配置される。突出部292は、基体部291における長手方向の端部各々において、下方向に突出して設けられる。
【0054】
一方、屈曲部28C1は、
図4、
図8、及び
図9に示されるように、貫通孔28Fを有する。貫通孔28Fは、係止部29の突出部292各々に対応して設けられる。
図4、
図8、及び
図9に示されるように、貫通孔28Fには、係止部29の突出部292が挿通される。
【0055】
また、第1キャリッジ22は、
図6、
図8、及び
図9に示されるように、開口部223を有する。開口部223は、第1キャリッジ22が始点位置P1に配置された場合に屈曲部28C1に覆われる、第1キャリッジ22の左方側端部に設けられる。開口部223は、係止部29の突出部292各々に対応して設けられる。
図6、及び
図8に示されるように、開口部223には、係止部29の突出部292が挿通される。
【0056】
なお、係止部29に設けられる突出部292の数は、一つであってもよく、三つ以上であってもよい。突出部292が一つ、又は三つ以上である場合、屈曲部28C1の貫通孔28F、及び第1キャリッジ22の開口部223は、突出部292各々に対応して設けられる。
【0057】
画像形成装置10では、外装部材215における特定位置P4に磁石7が配置されていない場合に、係止部29が第1位置P5に配置されて、屈曲部28C1の貫通孔28F、及び第1キャリッジ22の開口部223が、係止部29の突出部292に挿通される(
図8参照)。これにより、屈曲部28C1と始点位置P1に配置される第1キャリッジ22とが係合されて、第1キャリッジ22の移動が係止される。
【0058】
また、画像形成装置10では、外装部材215における特定位置P4に磁石7が配置される場合に、係止部29が磁石7に磁気的に引き寄せられて、第1位置P5から第2位置P6へ移動する(
図9参照)。これにより、第1キャリッジ22の開口部223から係止部29の突出部292が引き抜かれた状態となり、屈曲部28C1と始点位置P1に配置される第1キャリッジ22との係合が解除される。ここに、フレーム28の屈曲部28C1及び係止部29が、本発明におけるロック機構の一例である。また、始点位置P1が、本発明におけるロック位置の一例である。
【0059】
なお、屈曲部28C1は、筐体21によって支持される部材であれば、フレーム28とは別に設けられた部材であってもよい。
【0060】
例えば、画像形成装置10では、出荷時に係止部29が第1位置P5に配置されている。これにより、画像形成装置10がユーザーの使用環境下へ運搬されるまでの間、第1キャリッジ22の移動が規制される。なお、第1キャリッジ22の移動が規制されることで、第1キャリッジ22の移動に連動する第2キャリッジ23の移動も規制される。
【0061】
また、画像形成装置10では、画像形成装置10がユーザーの使用環境下に設置された後に、磁石7が外装部材215の特定位置P4に配置される。これにより、係止部29が磁石7の磁力によって第1位置P5から第2位置P6へ移動して、第1キャリッジ22の移動規制が解除される。
【0062】
なお、外装部材215は、特定位置P4を含む一部又は全部が鉄などの強磁性体によって形成されていてもよい。これにより、外装部材215と磁石7とが磁気的に引き合うため、ユーザーによる画像形成装置10の使用時に磁石7が特定位置P4から外れにくくなる。また、外装部材215における特定位置P4に、磁石7の形状に沿って形成された凹部が形成されており、前記凹部に磁石7の上下方向D1における一部又は全部が収容されてもよい。
【0063】
また、画像形成装置10では、ユーザーの事業所移転などによって画像形成装置10が再度運搬される場合に、磁石7が外装部材215の特定位置P4から取り外される。これにより、係止部29が自重で第2位置P6から第1位置P5へ移動して、第1キャリッジ22の移動が規制される。
【0064】
ここで、画像形成装置10では、磁石7が外装部材215の特定位置P4に存在しない場合に、第1キャリッジ22の移動が係止部29によって係止されて、原稿の画像の読取動作に支障が生じる。そこで、画像形成装置10では、
図2に示されるように、制御部5に状態検出部51、及び報知処理部52が設けられている。
【0065】
具体的に、制御部5は、前記CPUを用いて前記ROMに記憶されている前記制御プログラムを実行する。これにより、制御部5は、状態検出部51、及び報知処理部52として機能する。なお、状態検出部51、及び報知処理部52は電子回路によって構成されてもよい。
【0066】
状態検出部51は、駆動部26に供給される電流が予め定められた設定値を超える異常状態を検出する。
【0067】
例えば、画像形成装置10では、フィードバック制御により、不図示の電源から駆動部26への駆動電流の供給量が制御される。また、画像形成装置10には、前記電源から駆動部26へ流れる駆動電流の電流量を検出可能な不図示の電流検出回路を有する。状態検出部51は、前記電流検出回路によって検出される駆動電流の電流量が前記設定値を超える場合に、前記異常状態を検出する。例えば、前記設定値は、係止部29により第1キャリッジ22の移動が係止されていない状態で駆動部26が駆動される場合に駆動部26に流れる駆動電流の電流量と、第1キャリッジ22の移動が係止されている状態で駆動部26が駆動される場合に駆動部26に流れる駆動電流の電流量との間の値に設定される。
【0068】
報知処理部52は、状態検出部51によって前記異常状態が検出された場合に、係止部29が第1位置P5に配置されている旨を報知する。
【0069】
例えば、報知処理部52は、係止部29が第1位置P5に配置されている旨を示すメッセージを操作表示部6に表示させる。また、報知処理部52は、操作表示部6に設けられる予め定められた発光部を発光させて、係止部29が第1位置P5に配置されている旨を報知してもよい。これにより、ユーザーは、画像読取部2における動作不良が、外装部材215の特定位置P4における磁石7の不存在に起因するものであることを認識可能である。
【0070】
このように、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置10では、係止部29が、外装部材215の特定位置P4に配置される磁石7の磁力に応じて、屈曲部28C1と第1キャリッジ22とを係合する第1位置P5から、屈曲部28C1と第1キャリッジ22との係合を解除する第2位置P6へ移動する。これにより、外装部材215の構成を簡素化させることが可能である。
【0071】
[第2実施形態]
次に、
図10及び
図11を参照しつつ、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置10について説明する。ここで、
図10は筐体21の上面21Aを示す平面図である。また、
図11は
図10におけるXI−XI矢視断面図である。
【0072】
第2実施形態に係る画像形成装置10では、外装部材215と屈曲部28C1との間に、係止部29の上下方向D1における長さを超える離間距離が設けられている点で、第1実施形態と異なる。即ち、第2実施形態に係る画像形成装置10では、係止部29が第2位置P6に配置された場合に、突出部292の突出端が屈曲部28C1の貫通孔28Fよりも上側に位置する。これにより、第2実施形態に係る画像形成装置10において、係止部29は、磁石7の特定位置P4からの水平方向に沿った移動に応じて、水平方向に移動可能である。
【0073】
また、第2実施形態に係る画像形成装置10は、外装部材215に
図11に示される支持部216が設けられている点で、第1実施形態と異なる。なお、その他の点については、第1実施形態と第2実施形態とで共通である。
【0074】
支持部216は、第2位置P6から水平方向に離間した第3位置P7(
図10参照)で、係止部29を支持する。具体的に、第3位置P7は、第2位置P6から前方へ離間した位置である。支持部216は、外装部材215における係止部29との対向面215A(
図11参照)に設けられる。
【0075】
図11に示されるように、支持部216は、支持片216A、及び支持片216Bを有する。支持片216Aは、外装部材215から下方向へ突出し、突出先端から右方向へ突出して形成されており、係止部29の基体部291における左端部を支持する。支持片216Bは、外装部材215から下方向へ突出し、突出先端から左方向へ突出して形成されており、係止部29の基体部291における右端部を支持する。支持片216A、及び支持片216Bは、前後方向D2に延出して設けられる。
【0076】
係止部29は、磁石7の特定位置P4からの水平方向に沿った移動に応じて、第2位置P6から第3位置P7へ移動する。例えば、対向面215Aには、係止部29の第2位置P6から第3位置P7への移動を案内する不図示のガイド部材が設けられている。係止部29は、前記ガイド部材に案内されて、第2位置P6から第3位置P7へ移動する。そして、係止部29は、第3位置P7において支持部216によって支持される。
【0077】
このように、第2実施形態に係る画像形成装置10では、係止部29が、第2位置P6から水平方向に離間した第3位置P7へ移動可能に構成されている。また、係止部29は、第3位置P7で支持部216によって支持される。これにより、磁石7が外装部材215から取り外された場合に、係止部29によって第1キャリッジ22の移動がロックされることを回避可能である。従って、外装部材215から磁石7を取り外した状態で、画像形成装置10を使用することが可能である。
【0078】
[第3実施形態]
以下、
図12及び
図14を参照しつつ、本発明の第3実施形態に係る画像形成装置10について説明する。ここで、
図13は第1キャリッジ22における退避位置P3を示す図である。また、
図14は第1キャリッジ22及び係止部29の構成を示す断面模式図である。
【0079】
第3実施形態に係る画像形成装置10では、第1キャリッジ22、係止部29、及び制御部5の構成が、第1実施形態と異なる。また、第3実施形態に係る画像形成装置10では、センサー27の配置位置が、第1実施形態と異なる。なお、その他の点については、第1実施形態と第3実施形態とで共通である。
【0080】
具体的に、センサー27は、第1キャリッジ22の移動範囲における始点位置P1から終点位置P2側へ退避した退避位置P3(
図13参照)に設けられる。ここで、退避位置P3は、第1キャリッジ22と係止部29の突出部292とが離間する位置である。
【0081】
また、第1キャリッジ22は、
図14に示されるように、傾斜面22Aを有する。傾斜面22Aは、第1キャリッジ22における始点位置P1側(左側)の端部に設けられる。
図14に示されるように、傾斜面22Aは、開口部223側から左側端部へ向けて下方へ傾斜して形成される。傾斜面22Aは、第1キャリッジ22の始点位置P1への移動の際に、屈曲部28C1の貫通孔28Fに挿通された係止部29の突出部292における突出端部と接触して、係止部29を上方へ押し上げる。第1キャリッジ22において、開口部223は、傾斜面22Aより終点位置P2側(右側)に設けられる。
【0082】
また、係止部29の突出部292は、
図14に示されるように、傾斜面292Aを有する。傾斜面292Aは、突出部292の突出端部において第1キャリッジ22と対向する右端部に設けられる。傾斜面292Aは、突出端部における左側端部から右側端部へ向けて上方へ傾斜して形成される。突出部292に傾斜面292Aが設けられることで、突出部292と第1キャリッジ22の傾斜面22Aとが接触した際の係止部29の上方向への移動がスムーズになる。
【0083】
なお、係止部29の突出部292に、傾斜面292Aが設けられていなくてもよい。また、第1キャリッジ22に傾斜面22Aが設けられていなくてもよい。この場合、突出部292の傾斜面292Aは、始点位置P1へ向けて移動する第1キャリッジ22と接触した際に係止部29が上方へ移動可能となるように形成される。また、係止部29の突出部292に、傾斜面292Aが設けられておらず、且つ第1キャリッジ22に傾斜面22Aが設けられていなくてもよい。
【0084】
また、制御部5は、
図12に示されるように、第1駆動制御部53、第2駆動制御部54、及び第3駆動制御部55を含む。具体的に、制御部5は、前記CPUを用いて前記ROMに記憶されている前記制御プログラムを実行する。これにより、制御部5は、第1駆動制御部53、第2駆動制御部54、及び第3駆動制御部55として機能する。なお、第1駆動制御部53、第2駆動制御部54、及び第3駆動制御部55は、電子回路によって構成されてもよい。
【0085】
第1駆動制御部53は、第1キャリッジ22を始点位置P1から退避位置P3(
図13参照)へ移動させる。
【0086】
例えば、画像形成装置10では、始点位置P1における第1キャリッジの存否を示すフラグ情報が、制御部5に設けられる不揮発性の記憶装置(不図示)に格納されている。第1駆動制御部53は、前記フラグ情報が始点位置P1における第1キャリッジの存在を示す第1情報である場合に、第1キャリッジ22を始点位置P1から退避位置P3へ移動させる。また、第1駆動制御部53は、第1キャリッジ22を退避位置P3へ移動させた後に、前記フラグ情報を、前記第1情報から始点位置P1における第1キャリッジの不存在を示す第2情報に書き替える。
【0087】
例えば、第1駆動制御部53は、予め定められた判断タイミングが到来するごとに、前記フラグ情報に基づいて第1キャリッジ22の駆動制御の実行の要否を判断する。例えば、前記判断タイミングは、画像形成装置10の電源が投入された場合、画像形成装置10が一部の機能が停止されるスリープ状態から通常状態に復帰した場合、第1コンタクトガラス211に載置される原稿から画像データを読み取る読取処理が実行される場合等である。
【0088】
なお、第1駆動制御部53は、前記フラグ情報が前記第1情報である場合に、操作表示部6に磁石7の特定位置P4への配置を促すメッセージを表示させてもよい。この場合、第1駆動制御部53は、前記メッセージの表示後に受け付けられるユーザー操作に応じて、第1キャリッジ22を移動させてもよい。
【0089】
第3駆動制御部55は、ユーザー操作に応じて第1キャリッジ22を始点位置P1へ移動させる。
【0090】
例えば、第3駆動制御部55は、前記フラグ情報が前記第2情報であり、且つ第1キャリッジ22を始点位置P1へ移動させる旨のユーザー操作を受け付けた場合に、第1キャリッジ22を退避位置P3から始点位置P1へ移動させる。また、第3駆動制御部55は、第1キャリッジ22を始点位置P1へ移動させた後に、前記フラグ情報を、前記第2情報から前記第1情報に書き替える。これにより、ユーザーは、画像形成装置10が使用環境下に設置された後に、画像形成装置10を再度運搬する必要が生じた場合に、筐体21における第1キャリッジ22の移動をロックすることが可能である。
【0091】
ここで、第3実施形態に係る画像形成装置10では、第1キャリッジ22の退避位置P3から始点位置P1への移動に応じて、係止部29が、第1キャリッジ22の傾斜面22Aによって上方へ押し上げられて、開口部223に挿通される。そのため、第3実施形態に係る画像形成装置10において、ユーザーは、第1キャリッジ22の移動をロックする際に、磁石7を用いて係止部29を第1位置P5から第2位置P6へ持ち上げる必要がない。
【0092】
第2駆動制御部54は、第1駆動制御部53による第1キャリッジ22の退避位置P3への移動後において予め定められた駆動タイミングが到来するごとに、第1キャリッジ22を退避位置P3から終点位置P2までの範囲内で移動させる。
【0093】
具体的に、第2駆動制御部54は、第1駆動制御部53によって第1キャリッジ22が退避位置P3へ移動されてから、第3駆動制御部55によって第1キャリッジ22が始点位置P1へ移動されるまでの間、前記駆動タイミングが到来するごとに第1キャリッジ22を退避位置P3から終点位置P2までの範囲内で移動させる。例えば、第2駆動制御部54は、前記駆動タイミングが到来した場合であって、前記フラグ情報が前記第2情報である場合に、第1キャリッジ22を退避位置P3から終点位置P2までの範囲内で移動させる。
【0094】
例えば、前記駆動タイミングは、前記読取処理が実行される場合である。また、前記駆動タイミングは、第1コンタクトガラス211に載置された原稿のプレスキャンが実行される場合であってもよい。
【0095】
なお、前記駆動タイミングが到来した場合であって、前記フラグ情報が前記第1情報である場合は、第1駆動制御部53によって第1キャリッジ22が退避位置P3へ移動されて、前記フラグ情報が前記第2情報に書き替えられる。第2駆動制御部54は、第1駆動制御部53による前記フラグ情報の書き換え後に、第1キャリッジ22を退避位置P3から終点位置P2までの範囲内で移動させる。
【0096】
このように、第3実施形態に係る画像形成装置10では、前記駆動タイミングが到来した場合に、第1キャリッジ22が退避位置P3から終点位置P2までの範囲内で移動される。そのため、外装部材215から磁石7が取り外されて、係止部29が第1位置P5に配置されている場合であっても、係止部29によって第1キャリッジ22の移動が妨げられることがない。
【0097】
なお、第3実施形態に係る画像形成装置10において、制御部5に第3駆動制御部55が設けられていなくてもよい。
【0098】
[第4実施形態]
以下、
図15及び
図16を参照しつつ、本発明の第4実施形態に係る画像形成装置10について説明する。ここで、
図15は係止部29の構成を示す図である。また、
図16は筐体21の上面21Aを示す平面図である。
【0099】
第4実施形態に係る画像形成装置10では、係止部29、及び外装部材215の構成が、第1実施形態と異なる。なお、その他の点については、第1実施形態と第3実施形態とで共通である。
【0100】
具体的に、係止部29は、
図15に示されるように、付勢部293を有する。付勢部293は、係止部29を第1位置P5から第2位置P6へ向かう方向へ付勢する。例えば、付勢部293は、一端が屈曲部28C1の上面に固定され、他端が係止部29の基体部291に固定された圧縮コイルばねである。
【0101】
また、係止部29の基体部291は、磁極294を有する。具体的に、係止部29の基体部291は、磁石によって形成されている。磁極294の極性は、N極であってもよく、S極であってもよい。
【0102】
係止部29は、磁石7との間に働く磁気的な反発力によって、第2位置P6から第1位置P5へ移動する。具体的に、係止部29は、磁石7が、磁極294と同じ極性が外装部材215へ向けられた状態で特定位置P4に配置された場合に、磁石7との間に働く磁気的な反発力によって、第2位置P6から第1位置P5へ移動する。また、係止部29は、磁石7が特定位置P4から取り外された場合に、付勢部293の付勢力により、第1位置P5から第2位置P6へ移動する。
【0103】
また、外装部材215は、
図16に示されるように、移動規制部217を有する。移動規制部217は、係止部29と磁石7との間に働く磁気的な反発力による磁石7の移動を規制する。例えば、移動規制部217は、特定位置P4に配置された磁石7の上面及び両側面と接触可能なアーチ状に形成される。なお、外装部材215に磁石7を収容可能な凹部が設けられており、移動規制部217は、前記凹部に収容された磁石7の上面と接触するものであってもよい。
【0104】
このように、第4実施形態に係る画像形成装置10では、外装部材215における特定位置P4に磁石7が配置された場合に、第1キャリッジ22の移動がロックされる。そのため、外装部材215から磁石7が取り外された状態において、係止部29が第1キャリッジ22の移動を妨げることがない。
【0105】
なお、第4実施形態に係る画像形成装置10において、特定位置P4は、筐体21の外面における上面21Aとは異なる面上の位置であってもよい。また、係止部29は、フレーム28と、第2キャリッジ23とを係合するものであってもよい。