(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2ベースには、前記光軸直交方向の位置を検出する第2位置検出センサ及び第3位置検出センサが設置されていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載のレンズ駆動装置。
前記第2位置検出センサ及び前記第3位置検出センサは、互いの検出軸が略90度の角度をなし、かつ、前記第1位置検出センサの検出軸に対して直交する平面に配置されることを特徴とする請求項5に記載のレンズ駆動装置。
前記第2位置検出センサ及び前記第3位置検出センサは、互いの検出軸が略90度の角度をなし、かつ、互いの検出軸の延長線が前記レンズホルダの光軸延長位置近傍で交わるように配置されていることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のレンズ駆動装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
レンズを光軸方向へ駆動するVCMと、レンズを光軸直交方向へ駆動するVCMを内蔵する従来のレンズ駆動装置では、VCMの数が増加することによる重量増加が問題となっている。また、レンズの光軸直交方向への移動をサスペンションワイヤで支持し、レンズの光軸方向への移動をバネ部材で支持する構造では、相互共振を避けるために駆動周波数が制約を受け、応答速度に関する課題を有している。
【0006】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、軽量化に対して有利であって、相互共振の問題を防止できるレンズ駆動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るレンズ駆動装置は、
レンズへの光を通過させる通過孔が形成されたプレート本体部を有するフロント基板と、
前記プレート本体部と略平行に配置されており、サスペンションワイヤ群を介して前記フロント基板を、前記レンズの光軸直交方向に相対移動可能に支持するベースと、
一方の端部が、前記プレート本体部における前記ベース側を向く面であるプレート下面に固定されており、前記レンズの光軸方向に伸縮する圧電素子部と、
前記圧電素子部の他方の端部に固定される駆動シャフトと、
前記駆動シャフトに摩擦係合されており、前記レンズを保持するレンズホルダと、を有する。
【0008】
本発明に係るレンズ駆動装置は、レンズを光軸方向へ駆動させる駆動手段が圧電素子部であるため、VCMによりレンズを光軸方向へ駆動させるレンズ駆動手段に比べて、軽量化及び省電力化の観点で有利である。また、圧電素子部の一方の端部がプレート下面に固定されることにより、フロント基板が、レンズホルダを光軸方向へ移動させるための錘の役割を兼ねることができ、別途錘を準備する構造に比べて軽量化及び小型化に対して有利であり、部品点数が減少するためコスト抑制効果も期待できる。さらに、光軸垂直方向の駆動にVCMを用いる場合でも、光軸方向の駆動手段との磁気回路干渉の心配がなく、この点でも小型化に対して有利である。
また、本発明に係るレンズ駆動装置は、レンズホルダが駆動シャフトに摩擦係合する構造であるため、バネ部材等でレンズホルダを支持する従来の構造に比べて、サスペンションワイヤ群による支持構造と光軸移動方向に関する支持構造との相互共振を防止することができる。また、レンズホルダが駆動シャフトに摩擦係合する構造であるレンズ駆動装置は、バネ部材でレンズホルダを支持する従来の構造に比べて、耐衝撃性の観点でも有利である。
【0009】
また、例えば、前記フロント基板は、前記プレート本体部から前記光軸方向と略平行になるように前記ベース側へ曲げられたセンサ取付面を有しており、
前記センサ取付面に設置されており、前記レンズの前記光軸方向の位置を検出する第1位置検出センサと、
前記第1位置検出センサに対して所定の間隔を空けて対向するように、前記レンズホルダに設置される第1マグネットと、をさらに有しても良い。
【0010】
第1位置検出センサを用いてレンズの光軸方向の位置を検出することにより、クローズドループのレンズ位置制御を実現することが可能であり、圧電素子部を用いた高精度なオートフォーカス制御を実現できる。また、プレート本体部からベース側へ折り曲げられたセンサ取付面に第1位置検出センサを取り付け、レンズホルダに設置される第1マグネットと対向させることにより、容易かつ正確にレンズホルダの位置を検出できる。
【0011】
また、例えば、前記レンズホルダは、前記プレート本体部に接続されており前記プレート下面から前記ベース側へ向かって前記光軸方向と略平行に延在する補助軸部を、前記光軸直交方向の両側から挟む一対の回転止め突起を有してもよく、前記第1マグネットは、前記回転止め突起に設置されていても良い。
【0012】
補助軸部を挟むように設けられる回転止め突起は、レンズホルダがフロント基板に対して回転することを防止し、レンズホルダの安定した移動及び位置制御を実現する。また、第1マグネットを回転止め突起に設けることにより、レンズホルダのローテーション等に起因する第1マグネットと第1位置検出センサとの予期しない位置変化を防止することができ、精度の高い位置検出が可能となる。
【0013】
また、例えば、前記サスペンションワイヤ群は、4本のサスペンションワイヤにより構成されており、4本の前記サスペンションワイヤのうち2本は前記圧電素子部に電気的に接続されており、残りの2本は前記第1位置検出センサに電気的に接続されていても良い。
【0014】
サスペンションワイヤを4本とすることにより、ベース部は、光軸直交方向に移動可能な状態で、フロント基板をバランス良く支持することが可能である。また、4本のサスペンションワイヤのうち2本を圧電素子部駆動用、残りの2本を位置検出用の配線の一部として用いることにより、圧電素子部の制御処理及び第1位置検出センサからの検出信号処理を、双方ともベース部側で行うことが可能である。これにより、フロント基板にプロセッサ等を設けなくても、レンズ駆動部の動作をベース部から集中的に制御できる。
【0015】
また、例えば、前記ベースには、前記レンズの前記光軸直交方向の位置を検出する第2位置検出センサ及び第3位置検出センサが設置されていても良く、
前記第2位置検出センサ及び前記第3位置検出センサは、互いの検出軸が略90度の角度をなし、かつ、互いの前記検出軸の延長線が前記レンズの光軸延長位置近傍で交わるように配置されていても良い。
【0016】
第2位置検出センサ及び第3位置検出センサにより、レンズ及びフロント基板の光軸直交方向の位置を検出することが可能であり、高精度な手ぶれ補正制御を行うことが可能である。また、第2及び第3位置検出センサを、互いの検出軸の延長線がレンズの光軸延長位置近傍で交わるように配置することにより、レンズ等のローリングによる検出位置ずれを防止し、高精度な位置検出が可能となる。
【0017】
また、例えば、前記ベースは前記光軸方向からみて略矩形の外周形状を有していても良く、
前記第2位置検出センサ及び前記第3位置検出センサは、前記ベースの角部に配置されていても良く、
前記角部の間に位置する前記ベースの辺部には、前記レンズを前記光軸直交方向に駆動するための駆動用コイルが、前記プレート下面に接続される駆動用マグネットに対して所定の間隔を空けて対向するように、配置されていても良い。
【0018】
ベースの角部に位置検出センサを配置し、ベースの辺部にコイルを配置することにより、各辺を大きく使用して駆動用コイルを配置することが可能であるため、駆動用コイルと駆動用マグネットで構成されるVCMの推力を高めることができる。
【0019】
前記フロント基板は、前記レンズの光軸を基準として、前記圧電素子部の固定位置に対して略対称な位置に配置される重心調整部を有しても良い。
【0020】
このような重心調整部を有するレンズ駆動装置は、フロント基板とサスペンションワイヤ群の接続位置において、サスペンションワイヤ群が支える質量体の重心が光軸から大きく離れてしまうことを防止することにより、光軸直交方向の位置制御を容易にし、高精度な位置制御を実現する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係るレンズ駆動装置10の斜視図である。レンズ駆動装置10は、略直方体形状の外形状を有しており、例えばカメラ用レンズを駆動する装置として携帯電話等に搭載される。レンズ駆動装置10の大きさは特に限定されないが、携帯電話に搭載される場合、上方(Z軸正方向)から見たときの外径寸法は、8.5mm×8.5mm程度に設定される。
【0023】
概略分解図である
図2に示すように、レンズ駆動装置10は、ケース12、第1ユニット14、第2ユニット16及びサスペンションワイヤ群70等を含む。ケース12は、上方から第1ユニット14を覆うようにして第2ユニット16に固定され、第2ユニット16と伴にレンズ駆動装置10の外装筐体を構成する。後述する第1ユニット14のレンズホルダ50(
図3参照)には、図示しないレンズが取り付けられる。レンズ駆動装置10は、レンズホルダ50に取り付けられたレンズを、当該レンズの光軸方向及び光軸直交方向へ移動させることにより、光学式手ぶれ補正(OIS)やオートフォーカス(AF)を実現する。なお、レンズ駆動装置10の説明では、
図1に示すように、光軸に平行な方向をZ軸方向、Z軸に直交する方向をX軸方向及びY軸方向として説明を行う。また、光軸方向には、Z軸及び光軸に平行な方向が含まれるものとし、光軸直交方向には、X軸及びY軸に平行な方向が含まれるものとする。
【0024】
第1ユニット14は、ケース12と第2ユニット16とで構成される外装筐体の内部に収容される。第1ユニット14全体は、後述する駆動用VCMによって駆動され、第2ユニット16に対して光軸直交方向に相対移動する。
図3は、
図2に示す第1ユニット14の分解斜視図である。
図3に示すように、第1ユニット14は、フロント基板20と、圧電素子部40及び駆動シャフト42を含む圧電アクチュエータユニットと、レンズホルダ50と、第1ベース60等を有する。
【0025】
フロント基板20は、第1プレート20aと第1FPC20bの2層構造となっている。第1プレート20aの材料は、金属、セラミック、樹脂、複合材料など特に限定されないが、絶縁性の材料が好ましく、より具体的には絶縁性の金属若しくはセラミック材料が好ましい。第1FPC20bは、いわゆるフレキシブルプリント配線板(Flexible Printed Circuits)で構成される。なお、フロント基板20は、第1プレート20aのような板材とフレキシブルプリント配線板とを組み合わせて構成されるものに限定されず、例えばガラエポキシ基板のようなリジッド基板で構成されていても良い。
【0026】
第1FPC20bは、上方から第1プレート20aを覆うように取り付けており、第1FPC20bがフロント基板20の上層を構成し、第1プレート20aがフロント基板20の下層を構成する。フロント基板20は、レンズへの光を通過させる通過孔22cが形成されたプレート本体部22と、プレート本体部22から光軸と略平行になるようにベース側へ折り曲げられたセンサ取付面24とを有する。
【0027】
プレート本体部22における第2ベース90側(Z軸負方向側)を向く面であるプレート下面22bには、圧電素子部40の一方の端部40aが固定されている。
図5は、フロント基板20、圧電アクチュエータユニット及びレンズホルダ50等の取り付け状態を、プレート下面22b側から観察した斜視図であり、
図6は、
図5における圧電アクチュエータユニット周辺を拡大した図である。
【0028】
圧電アクチュエータユニットを固定する前の状態を表す
図6(B)に示すように、プレート下面22bには、圧電素子部40を固定するための圧電素子取付部22baがある。圧電素子取付部22baの両側には、第1プレート20aに形成された貫通孔である孔部20aaが形成されており、第1FPC20bの一部である圧電素子接続部20baが、孔部20aaを通ってプレート下面22b側へ露出している。
【0029】
図6(A)に示すように、圧電素子部40は、上下方向を向く一対の端面と光軸直交方向を向く4つの側面を有する略直方体の外形状を有しており、側面に電圧信号を入力するための外部電極が形成されている。圧電素子部40は、圧電材料からなる圧電体層と、外部電極に接続する内部電極層とが交互に積層された積層構造を有しており、外部電極を介して入力された駆動信号(電圧信号)に応じて、光軸方向に伸縮する。
【0030】
圧電素子部40は、一方の端部40aを圧電素子取付部22baに対して接着等により固定することで、プレート下面22bに取り付けられる。また、圧電素子部40の外部電極には、圧電素子接続部20baが電気的に接続され、圧電素子部40には第1FPC20bを介して駆動信号が入力される。
【0031】
圧電素子部40の他方の端部40bには、駆動シャフト42が固定されている。駆動シャフト42は、略円柱状の外形状を有しており、上方の円形端面が、他方の端部40bに対して、接着等により固定される。駆動シャフト42は、圧電素子部40の伸縮に対応して、光軸方向(上下方向)に移動する。
【0032】
図3に示すレンズホルダ50は、無底円筒形状の筒部51と、筒部51の側面に接続される支持部52及び回転止め突起54とを有している。筒部51の内周面にはレンズが固定される。プレート本体部22の通過孔22cを通過した光は、Z軸正方向側からレンズに入射し、レンズのZ軸負方向側から出射される。
【0033】
支持部52の側面には、押圧スプリング34による弾性力を用いて駆動シャフト42の外周面と摩擦係合するシャフト受け面52aが形成されている。
図5に示すように、シャフト受け面52aは駆動シャフト42と係合できるように外径側に開口する溝状となっており、押圧スプリング34の先端とシャフト受け面52aとの間で駆動シャフト42を挟み込むことで、レンズホルダ50が駆動シャフト42に摩擦係合される。なお、押圧スプリング34の基部は、支持部52に固定されている。
【0034】
図5に示すように、レンズホルダ50では、一対の回転止め突起54が、筒部51から光軸直交方向に突出している。一対の回転止め突起54は、互いに略平行に延びており、補助軸部32を光軸直交方向の両側から挟むように配置されている。補助軸部32の上端はプレート本体部22に接続されており、補助軸部32は、プレート下面22bからベース側へ向かって光軸方向と略平行になるように延在している。回転止め突起54は、シャフト受け面52aに対して、光軸を中心とする回転方向に沿って離れた位置に設けられることが、レンズホルダ50の回転を防止する観点から好ましい。例えば、回転止め突起54は、シャフト受け面52aに対して、光軸を中心として90度〜270度回転した位置に設けられることが好ましい。
【0035】
一方の回転止め突起54の側面には、第1マグネット44が設置されている。拡大図である
図7に示すように、第1マグネット44は、第1位置検出センサ30に対して所定の間隔を空けて対向するように、回転止め突起54に設置されている。第1位置検出センサ30は、光軸方向に略平行であるセンサ取付面24に設置されており、光軸方向の検出軸を有する。第1位置検出センサ30は、例えばMRセンサ(磁気抵抗素子(MR素子)を用いたセンサ)等の磁気センサによって構成され、磁気媒体である第1マグネット44によるセンサ周辺の磁気の変化から、レンズ及びレンズホルダ50の光軸方向の位置を検出する。
【0036】
図3に示す第1ベース60は、
図9等に示すように、中央に貫通孔が形成された略矩形の外周形状を有する底面部60bと、底面部60bの両端から上方に突出する接続部とを有している。接続部の上端面60aはプレート本体部22のプレート下面22bに固定されており、第1ベース60は、上方に位置するフロント基板20によって支えられている(
図2参照)。
【0037】
図9に示すように、底面部60bの下面には、駆動用着磁部62と検出用着磁部64が形成されている。駆動用着磁部62は、底面部60bにおける4つの辺部に配置されており、検出用着磁部64は2つの角部に配置されている。駆動用着磁部62と検出用着磁部64は永久磁石となっており、駆動用着磁部62を構成する永久磁石の分極方向はX軸方向又はY軸方向であり、検出用着磁部64を構成する永久磁石の分極方向はレンズの径方向である。
【0038】
駆動用着磁部62は、第2ユニット16のFPコイル80に含まれる駆動用コイル80aとともに、第1ユニット14全体を光軸直交方向へ移動させるVCMを構成する。また、検出用着磁部64は、第2ユニットの第2位置検出センサ84及び第3位置検出センサ86に対する磁気媒体として機能する。第1ベース60は、全体がプラスチックマグネットで一体的に形成されており、駆動用着磁部62と検出用着磁部64の部分のみが着磁されている。ただし、第1ベース60の構成としてはこれに限定されず、駆動用着磁部62と検出用着磁部64に相当する部分を除く他の部分を形成したのち、これに永久磁石を取り付けて駆動用着磁部及び検出用着磁部とすることにより、第1ベースを形成しても良い。
【0039】
図2に示す第2ユニット16は、サスペンションワイヤ群70を介して第1ユニット14と接続している。
図4は、第2ユニット16の分解斜視図である。第2ユニット16は、FPコイル80、テープ82、第2位置検出センサ84及び第3位置検出センサ86、ベース部としての第2ベース90等により構成される。
【0040】
第2ベース90は、ボトム94と第2FPC92によって構成されており、第2FPC92は、ボトム94の上面に取り付けられている。第2FPC92は、第1FPC20bと同様にフレキシブルプリント配線板で構成される。第2FPC92には、レンズ駆動装置10の外部から制御信号を受け取ったり、電力の供給を受けたりするための端子部が設けられている。ボトム94の材質は特に限定されないが、樹脂等によってボトム94を形成することができる。
【0041】
図8に示すように、第2ベース90は、フロント基板20のプレート本体部22と略平行に配置されている。第2ベース90は、サスペンションワイヤ群70を介してフロント基板20を、レンズの光軸直交方向に相対移動可能に支持する。
【0042】
サスペンションワイヤ群70は、4本のサスペンションワイヤ70a〜70dにより構成されている。各サスペンションワイヤ70a〜70dの上端部は、フロント基板20のワイヤ取付部25に固定されるとともに、第1FPC20bに電気的に接続されている。
図8(B)に示すように、ワイヤ取付部25は、プレート本体部22の4隅から径方向に突出するアーム状の突起で構成されており、レンズ駆動装置10に予期せぬ衝撃が加えられた場合に衝撃緩衝部として機能し、サスペンションワイヤ70a〜70dの座屈を防止する。なお、サスペンションワイヤ群70に含まれるサスペンションワイヤの本数は、3本以上であれば特に限定されないが、容易に組み立て可能であって、レンズをバランス良く支持できる構造とする観点から、4本であることが好ましい。
【0043】
また、各サスペンションワイヤ70a〜70dの下端部は、第2ベース90の四隅に固定されるとともに、第2FPC92に電気的に接続されている(
図8(A)及び(B)参照)。したがって、各サスペンションワイヤ70a〜70dは、第1FPC20bと第2FPC92とを電気的に接続する配線部として機能する。4本のサスペンションワイヤ70a〜70dのうち2本は、第1FPC20bを介して圧電素子部40に電気的に接続されており、残りの2本は、第1FPC20bを介して第1位置検出センサ30に電気的に接続されている。これにより、レンズ駆動装置10では、フロント基板20にプロセッサ等を設けなくても、光軸方向に関するクローズドループのレンズ位置制御を含むレンズ駆動装置10の駆動動作を、第2ベース90側から制御できる。
【0044】
図8(A)及び(B)に示すように、サスペンションワイヤ70a〜70dは、第1ベース60の4角に形成された溝部65を挿通している。溝部65の上部には、サスペンションワイヤ70a〜70dの上端部を通しやすくする円錐状部分65aが形成されている。溝部65には、ダンパーゲルが注入されていても良い。
【0045】
図4に示すように、第2ベース90の上部を構成する第2FPC92の上面には、第2位置検出センサ84と第3位置検出センサ86が設置される。さらに、第2FPC92の上面には、絶縁のためのテープ82を介してFPコイル80が設置される。第2位置検出センサ84及び第3位置検出センサ86は、ホールセンサやMRセンサ等の磁気センサによって構成される。FPコイル80は、いわゆるフレキシブルプリント配線板(Flexible Printed Circuits)を用いたコイルによって構成され、後述するように、FPコイル80には4つの駆動用コイル80aが含まれる。
【0046】
図10に示すように、第2ベース90は、光軸方向からみて略矩形の外周形状を有している。第2位置検出センサ84及び第3位置検出センサ86は、第2ベース90における2箇所の角部90aに配置されており、第1ベース60の下面に形成された検出用着磁部64に対向する(
図9参照)。第2位置検出センサ84及び第3位置検出センサ86は、フロント基板20と伴に移動する検出用着磁部64の磁気を検出することにより、レンズの光軸直交方向の位置を検出する。
【0047】
第2位置検出センサ84及び第3位置検出センサ86は、互いの検出軸84a、86aが略90度の角度をなし、かつ、互いの検出軸84a、86aの延長線がレンズの光軸延長位置L近傍で交わるように配置される。このような配置とすることにより、レンズの光軸直交方向の位置を容易に算出することが可能であり、また、レンズの外周方向が検出軸と略直交するため、レンズのローテーションに伴う偽信号の発生を抑制することができ、精度の高い位置検出を実現できる。
【0048】
図10に示すように、FPコイル80に含まれる駆動用コイル80aは、角部
90aの間に位置する4箇所の辺部90bに配置される。駆動用コイル80aは、第1ベース60の下面に形成された駆動用着磁部62に対向(
図9参照)する。なお、第2位置検出センサ84及び第2位置検出センサ86を辺部90b中央に配置し、辺部90bの駆動用コイルを、センサを両側から挟む2つのコイルによって構成することも可能であるが、VCMから高い推力を得る観点からは、第2位置検出センサ84及び第3位置検出センサ86を角部90aに配置するほうが有利である。
【0049】
駆動用コイル80aは、第2FPC92に電気的に接続されており、第2FPC92を介して給電される。また、
図5に示す圧電素子部40も、第1FPC20b及びサスペンションワイヤ群70を介して、第2FPC92に電気的に接続されており、第2FPC92を介して駆動信号を入力される。さらに、センサ取付面24に設置される第1位置検出センサ30の出力も、第1FPC20b及びサスペンションワイヤ群70を介して第2FPC92に伝えられ、第2FPC92上に設置される第2位置検出センサ84及び第3位置検出センサ86の出力も第2FPC92に伝えられる。
【0050】
上述したように、本実施形態に係るレンズ駆動装置10は、レンズを光軸方向へ駆動させる駆動手段が圧電素子部40であるため、軽量化及び省電力化の観点で有利である。また、圧電素子部40の一方の端部40aがプレート下面22bに固定されることにより、フロント基板20が、レンズホルダ50を光軸方向へ移動させるための錘の役割を兼ねることができ、この点でも軽量化及び小型化に対して有利であり、部品点数が減少するためコスト抑制効果も期待できる。さらに、圧電素子部40による駆動手段は、駆動用着磁部62のような他の永久磁石との磁気回路干渉の心配がなく、この点でも軽量化及び小型化に対して有利である。
【0051】
また、レンズ駆動装置10は、レンズホルダ50が駆動シャフト42に摩擦係合する構造であるため、サスペンションワイヤ群70による支持構造と光軸移動方向に関する支持構造との相互共振を防止することができ、各駆動手段の駆動周波数を高めて応答性の良い駆動制御を実現できる。また、レンズホルダ50が駆動シャフト42に摩擦係合する構造であるレンズ駆動装置10は、バネ部材でレンズホルダを支持する従来の構造に比べて、耐衝撃性の観点でも有利である。さらに、レンズ駆動装置10は、圧電素子部40の一方の端部40aを配線板でもあるフロント基板20に固定する構造であるため、ワイヤによる接続等を用いなくても、FPCを直接接続するなどのシンプルな方法で、圧電素子部40への電気的な接続を容易に行うことができる。
【0052】
また、レンズ駆動装置10は、フロント基板20に設置された第1位置検出センサ30とレンズホルダ50に設置された第1マグネット44により、クローズドループのレンズ位置制御を実現することが可能であり、性能の高いオートフォーカス制御を実現できる。なお、第1位置検出センサ30としてホールセンサではなくMRセンサを用いることにより、第1位置検出センサ30への配線として使用するサスペンションワイヤの数を2本に減少させることができるため、第2ベース90側から集中制御を実現する観点からは、第1位置検出センサ30としてMRセンサを用いることが好ましい。
【0053】
上述した実施形態は、本発明の一例を説明したものであり、本発明は上述したレンズ駆動装置10に何ら限定されない。レンズ駆動装置10に含まれる各要素は、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更することが可能である。
【0054】
図11は、変形例に係るレンズ駆動装置100の内部構造を示す概略斜視図である。レンズ駆動装置100は、フロント基板120の形状が異なることを除きレンズ駆動装置10と同様であるため、共通部分については説明を省略する。なお、
図11では、レンズ駆動装置100のケース12及び第1ベースを表示していない。
【0055】
フロント基板120は、レンズの光軸を基準として、圧電素子部40の固定位置に対して略対称な位置に配置される重心調整部126を有している。重心調整部126は、第1プレート20aの一部が、プレート本体部122から下方へ延びることにより形成されている。重心調整部126は、フロント基板120がサスペンションワイヤ群70に接続されるZ方向の位置において、サスペンションワイヤ群70が支える質量体の重心が光軸から大きく離れてしまうことを防止することにより、光軸直交方向の位置制御を容易にする効果を奏する。