特許第6607270号(P6607270)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6607270車両用記録装置、車両用記録方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6607270
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】車両用記録装置、車両用記録方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G07C 5/00 20060101AFI20191111BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20191111BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20191111BHJP
【FI】
   G07C5/00 Z
   G08G1/00 D
   H04R3/00 320
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-31811(P2018-31811)
(22)【出願日】2018年2月26日
(65)【公開番号】特開2019-148867(P2019-148867A)
(43)【公開日】2019年9月5日
【審査請求日】2019年6月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】田端 清史
【審査官】 望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−134646(JP,A)
【文献】 特開2005−075253(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 5/00
G08G 1/00
H04R 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声データを含み自車両の周辺を撮像した映像データを取得する映像データ取得部と、
前記自車両で再生しているオーディオ音声の音量を検出する音量検出部と、
前記自車両に対する予め定められたイベントの発生を検出するイベント検出部と、
前記イベント検出部がイベントを検出した場合、少なくともイベント発生時を含む所定期間において、前記音量検出部が検出したオーディオ音声の音量が所定音量より大きい場合、オーディオ音声の音量が判別可能な、前記自車両の車室内の音声データまたは前記オーディオ音声の音量レベル情報、及びオーディオ音声の影響が少ない音声データとして、前記自車両の車室外における音声データまたは前記車両の車室内におけるオーディオ音声をキャンセルした音声データを含む映像データをイベント記録データとして記録する記録制御部と、
を備える、車両用記録装置。
【請求項2】
音声データを含み自車両の周辺を撮像した映像データを取得する取得ステップと、
前記自車両で再生しているオーディオ音声の音量を検出する検出ステップと、
前記自車両に対する予め定められたイベントの発生を検出するイベント検出ステップと、
前記イベント検出ステップでイベントを検出した場合、少なくともイベント発生時を含む所定期間において、前記検出ステップで検出したオーディオ音声の音量が所定音量より大きい場合、オーディオ音声の音量が判別可能な、前記自車両の車室内の音声データまたは前記オーディオ音声の音量レベル情報、及び、オーディオ音声の影響が少ない音声データとして、前記自車両の車室外における音声データまたは前記車両の車室内におけるオーディオ音声をキャンセルした音声データを含む映像データを記録する記録制御ステップと、
を備える、車両用記録装置が実行する車両用記録方法。
【請求項3】
音声データを含み自車両の周辺を撮像した映像データを取得する取得ステップと、
前記自車両で再生しているオーディオ音声の音量を検出する検出ステップと、
前記自車両に対する予め定められたイベントの発生を検出するイベント検出ステップと、
前記イベント検出ステップでイベントを検出した場合、少なくともイベント発生時を含む所定期間において、前記検出ステップで検出したオーディオ音声の音量が所定音量より大きい場合、オーディオ音声の音量が判別可能な、前記自車両の車室内の音声データまたは前記オーディオ音声の音量レベル情報、及び、オーディオ音声の影響が少ない音声データとして、前記自車両の車室外における音声データまたは前記車両の車室内におけるオーディオ音声をキャンセルした音声データを含む映像データを記録する記録制御ステップと、
を車両用記録装置として動作するコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用記録装置、車両用記録方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両用記録装置としてのドライブレコーダが普及しつつある。ドライブレコーダは、イベント発生(事故などによる加速度検出)の前後所定期間の映像データを、イベント記録データとして記録する。特許文献1には、オーディオ装置から取得した音楽データに基づき映像データに含まれる音データから音楽を除去して記録するドライブレコーダが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−134646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
イベントとして検出される事故は、オーディオ音声の音量が大きく車両周囲の音の認識が困難であることも原因となりうる。例えば、オーディオ音声の音量が高く、車両の死角に存在する二輪車の音が聞こえない場合、周囲の車両のクラクション音が聞こえない場合、緊急車両のサイレン音が聞こえない場合や、音量の大きいオーディオ音声に意識が向いて運転における注意が散漫になる場合などである。
【0005】
事故の記録において、音量の大きいオーディオ音声がそのまま記録されている場合には、車両周辺の音声や車室内の音声などが不明瞭であったりオーディオ音声に掻き消されていたりする。このような場合、特許文献1のように音量の大きいオーディオ音声をキャンセルしたイベント記録データによっても、事故時にどの程度の音量でオーディオ再生していたかが分からず、事故原因が適切に究明できない場合が生じる。
【0006】
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、イベント記録データにおいて、自車両で再生しているオーディオ音声の音量によらず、事故原因の究明に寄与し得る明瞭な音声データを記録することができる車両用記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、車両用記録装置であって、音声データを含み自車両の周辺を撮像した映像データを取得する映像データ取得部と、前記自車両で再生しているオーディオ音声の音量を検出する音量検出部と、前記音量検出部が検出したオーディオ音声の音量が所定音量より大きい場合、オーディオ音声の音量が判別可能なデータと、オーディオ音声の影響が少ない音声データとを含む映像データを記録する記録制御部と、を備えるものである。
【0008】
本発明は、車両用記録方法であって、音声データを含み自車両の周辺を撮像した映像データを取得する第1のステップと、前記自車両で再生しているオーディオ音声の音量を検出する第2のステップと、検出したオーディオ音声の音量が所定音量より大きい場合、オーディオ音声の音量が判別可能なデータと、オーディオ音声の影響が少ない音声データとを含む映像データを記録する第3のステップと、を備えるものである。
【0009】
本発明は、車両用記録のため処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、音声データを含み自車両の周辺を撮像した映像データを取得する第1の処理手順と、前記自車両で再生しているオーディオ音声の音量を検出する第2の処理手順と、検出したオーディオ音声の音量が所定音量より大きい場合、オーディオ音声の音量が判別可能なデータと、オーディオ音声の影響が少ない音声データとを含む映像データを記録する第3の処理手順と、を含むものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、イベント記録データにおいて、自車両で再生しているオーディオ音声の音量によらず、事故原因の究明に寄与し得る明瞭な音声データを記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1に係る車両用記録装置としてのドライブレコーダの構成を示すブロック図である。
図2】実施の形態1にかかるドライブレコーダの記録動作に関する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図3】実施の形態2に係る車両用記録装置としてのドライブレコーダの構成を示すブロック図である。
図4】実施の形態2に係るドライブレコーダの記録動作に関する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図5】実施の形態3に係るドライブレコーダの記録動作に関する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲に係る発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施の形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。なお、説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0013】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に係る車両用記録装置としてのドライブレコーダ1の構成を示すブロック図である。ドライブレコーダ1は、少なくとも車両周辺の映像及び車室内外の音声を結合した動画データを記録する装置である。図1に示すように、ドライブレコーダ1は、カメラ10と、車室外マイクロフォン22と、車室内マイクロフォン23と、センサ24と、記録部25と、表示部26と、スピーカ27と、制御部30と、を備えている。
【0014】
カメラ10は、自車両の周囲を撮影するためのもので、主にレンズ、撮像素子、AFE(アナログフロントエンド)などを備えている。カメラ10で撮影された画像データは制御部30に入力される。車室外マイクロフォン22は、車室外(例えば、サイドミラー)に設置され、車室外の音を収集する装置である。車室内マイクロフォン23は、車室内(例えば、ルームミラー)に設置されて、車室内の音を収集する装置である。車室外マイクロフォン22及び車室内マイクロフォン23で収集された音声データは制御部30に入力される。
【0015】
制御部30は、ドライブレコーダ1の記録動作に関する処理を行う。ドライブレコーダ1の記録動作に関する処理の流れについては後述する。制御部30は、カメラ10、車室外マイクロフォン22及び車室内マイクロフォン23と、有線または無線によって接続されている。制御部30は、映像データ取得部31と、音量検出部32と、バッファメモリ33と、記録制御部34と、イベント検出部35と、再生制御部36と、を含む。
【0016】
映像データ取得部31は、音声データを含み自車両の周辺を撮像した映像データを取得する。映像データ取得部31は、カメラ10の撮影した自車両の周辺の画像を取得する。また、映像データ取得部31は、例えば、車室外マイクロフォン22、車室内マイクロフォン23から音声データを取得する。映像データ取得部31の取得した映像データはバッファメモリ33に一時的に記録される。
【0017】
音量検出部32は、自車両で再生しているオーディオ音声の音量を検出する。音量検出部32は、例えば、映像データ取得部31を介して取得した、車室内マイクロフォン23の収集した車室内の音声より自車両で再生しているオーディオ音声の音量を検出する。音量検出部32は、図示しないオーディオ装置から音量情報やボリューム位置情報を取得することでオーディオ音声の音量を検出してもよい。音量検出部32の検出したオーディオ音声の音量はバッファメモリ33に一時的に記録される。
【0018】
記録制御部34は、記録部25に映像データを記録する処理を制御する。当該処理の詳細については、後述のドライブレコーダ1の記録動作に関する処理の流れにおいて説明する。
【0019】
記録部25は、映像データを記録するためのメモリである。記録部25は、例えばフラッシュメモリなどの不揮発性メモリである。なお、記録部25が着脱可能なメモリカードである場合、ドライブレコーダ1にはメモリカードを接続する接続インタフェースを設ける必要がある。記録部25は、通信回線等を介して映像データを記録する、他の装置であってもよい。
【0020】
イベント検出部35は、自車両に対する予め定められたイベントの発生を検出する。すなわち、イベント検出部35は、加速度センサなどのセンサ24により自車両が受ける衝撃等を検出することでイベントを検出する。すなわち、イベント検出部35は、センサ24から加速度信号を取得し、当該加速度信号が予め設定された閾値以上の大きさである場合や所定の加速度推移が生じた場合などにおいて、衝突等の自車両が関係するイベントが発生したと判断する。なお、センサ24は、ドライブレコーダ1に内蔵されていても、ドライブレコーダ1とは別体であっても良い。
【0021】
再生制御部36は、記録部25に記録された指定の映像データ再生指令を受けた場合に、当該映像データの画像を、映像等を表示する表示装置である表示部26に表示させると共に、当該映像データの音声をスピーカ27から出力する。
【0022】
次に、ドライブレコーダ1の記録動作に関する処理の流れについて説明する。なお、以下の説明において、ドライブレコーダ1の構成の構成については図1を適宜参照する。
【0023】
図2は、ドライブレコーダ1の記録動作に関する処理の流れの一例を示すフローチャートである。図2に示すように、まず、記録制御部34において、音量検出部32が検出したオーディオ音声の音量が所定音量より大きいか否か判断する(ステップS101)。所定音量の例としては、車室内音声データがオーディオ音声によってイベントの状況判断に支障のある音量などが設定され、例えば車室内マイクロフォン23の位置で60dB以上や70dB以上の音量である場合に、所定音量より大きいとする。
【0024】
ステップS101において、オーディオ音声の音量が所定音量より大きい場合(YESの場合)、記録制御部34は、車室内音声データと車室外音声データを含めた映像音声データを記録部25にループ記録する(ステップS102)。ステップS101において、オーディオ音声の音量が所定音量以下である場合(NOの場合)、記録制御部34は、車室内音声データを含めた映像音声データをループ記録する(ステップS103)。ここで、ループ記録とは、一定時間経過後に上書きされる記録である。すなわち、ループ記録では、記録部25における所定の記録領域の記録容量が一杯になると、古いものから上書き更新を行う。ループ記録の場合、記録制御部34は、例えば60秒ごとにバッファメモリ33にアクセスしてデータファイルを生成して記録部25に記録する。
【0025】
ステップS102またはステップS103に続いて、記録制御部34は、イベント検出部35がイベントを検出したか否かを判断する(ステップS104)。ステップS104でイベント検出と判断された場合(YESの場合)、記録制御部34が、オーディオ音声の音量が判別可能なデータ及びオーディオ音声の影響が少ない音声データを含む映像データをイベント記録データとして記録部25に記録する(ステップS105)。ステップS104でイベント検出と判断されなかった場合(NOの場合)、後述するステップS106に処理を進める。
【0026】
ここで、オーディオ音声の音量が判別可能なデータとは、例えば、車室内マイクロフォン23が収集した、自車両の車室内の音声データ(車室内音声データ)である。オーディオ音声の影響が少ない音声データとは、例えば、車室外マイクロフォン22が収集した、自車両の車室外における音声データ(車室外音声データ)である。
【0027】
また、イベント記録データとは、事故の状況確認、証拠保全等に用いることができる映像データであり、他の映像データと区別して記録する。例えば、イベント記録データは、記録部25において、上書きが禁止される記録データとして記録されるようにしてもよい。なお、記録制御部34は、イベント記録データを、記録部25に記録せずに、通信回線を用いて所定の記録装置(例えば、イベント情報を配信する機関のサーバ)に送信するようにしてもよい。
【0028】
ステップS105に続いて、記録動作を終了する旨の指令があるか否か判断する(ステップS106)。ステップS106において、記録動作を終了する旨の指令がある場合(YESの場合)、記録動作を終了する。ステップS106において、記録動作を終了する旨の指令がない場合(YESの場合)、処理をステップS101に戻す。記録動作の終了とは、車両の利用が終了した場合、具体的にはエンジンやモータなどの動力をオフにした場合などである。
【0029】
以上より、本実施の形態にかかる車両用記録装置は、オーディオ音声の音量が所定音量より大きい場合、オーディオ音声の音量が判別可能なデータ及びオーディオ音声の影響が少ない音声データを含む映像データをイベント記録データとして記録する。ここで、オーディオ音声の音量が判別可能なデータは、自車両の車室内の音声データであり、オーディオ音声の影響が少ない音声データは、自車両の車室外における音声データである。すなわち、本実施の形態にかかる車両用記録装置は、オーディオ音声の音量が所定音量より大きい場合には、自車両の車室内の音声データと、自車両の車室外における音声データと、をそれぞれ取得し、それらの音声データによりイベント記録データにおける音声データを構成する。このようにすることで、イベント記録データにおいて、自車両で再生しているオーディオ音声の音量によらず、事故原因の究明に寄与し得る明瞭な音声データを記録することができる。
【0030】
[実施の形態2]
図3は、実施の形態2に係る車両用記録装置としてのドライブレコーダ101の構成を示すブロック図である。図3に示すように、ドライブレコーダ101は、カメラ10と、車室内マイクロフォン23と、センサ24と、記録部25と、表示部26と、スピーカ27と、制御部130と、を備えている。
【0031】
制御部130は、ドライブレコーダ101の記録動作に関する処理を行う。ドライブレコーダ101の記録動作に関する処理の流れについては後述する。制御部130は、カメラ10及び車室内マイクロフォン23と、有線または無線によって接続されている。また、制御部130は、オーディオ装置28と、有線または無線によって接続されている。制御部130は、映像データ取得部31と、音量検出部32と、バッファメモリ33と、記録制御部34と、イベント検出部35と、再生制御部36と、キャンセル処理部37と、を含む。
【0032】
音量検出部132は、自車両で再生しているオーディオ音声の音量を検出する。音量検出部132は、例えば、オーディオ音声を出力するオーディオ装置28から取得したオーディオ信号より、自車両で再生しているオーディオ音声の音量を検出する。音量検出部132は、実施の形態1と同様に車室内マイクロフォン23の収集した車室内の音声により自車両で再生しているオーディオ音声の音量を検出してもよい。音量検出部132の検出したオーディオ音声の音量はバッファメモリ33に一時的に記録される。
【0033】
キャンセル処理部137は、オーディオ音声を出力するオーディオ装置28から取得したオーディオ信号に基づいて自車両の車室内で取得した音声データからオーディオ音声をキャンセルする。すなわち、キャンセル処理部137は、オーディオ装置28から取得したオーディオ信号に基づき、車室内マイクロフォン23の音声データにオーディオ信号の逆相データを加算して音声データからオーディオ音声を除去するキャンセル処理を行う。
【0034】
なお、オーディオ装置28がスマートフォンのような音楽再生が可能な携帯端末である場合、制御部130は、無線通信経由でオーディオ信号を取得する。
【0035】
記録制御部134は、記録部25に映像データを記録する処理を制御する。当該処理の詳細については、後述のドライブレコーダ101の記録動作に関する処理の流れにおいて説明する。
【0036】
次に、ドライブレコーダ101の記録動作に関する処理の流れについて説明する。なお、以下の説明において、ドライブレコーダ101の構成の構成については図3を適宜参照する。
【0037】
図4は、ドライブレコーダ101の記録動作に関する処理の流れの一例を示すフローチャートである。図4に示すように、まず、記録制御部134において、音量検出部132が検出したオーディオ音声の音量が所定音量より大きいか否か判断する(ステップS201)。
【0038】
ステップS201において、オーディオ音声の音量が所定音量より大きい場合(YESの場合)、記録制御部134が、車室内音声データと車室内音声キャンセルデータを含めた映像音声データを記録部25にループ記録する(ステップS202)。ステップS201において、オーディオ音声の音量が所定音量以下である場合(NOの場合)、記録制御部134が、車室内音声データを含めた映像音声データをループ記録する(ステップS203)。
【0039】
ステップS202またはステップS203に続いて、記録制御部134は、イベント検出部35がイベントを検出したか否かを判断する(ステップS204)。ステップS204でイベント検出と判断された場合(YESの場合)、記録制御部134が、オーディオ音声の音量が判別可能なデータ及びオーディオ音声の影響が少ない音声データを含む映像データをイベント記録データとして記録部25に記録する(ステップS205)。ステップS204でイベント検出と判断されなかった場合(NOの場合)、後述するステップS206に処理を進める。
【0040】
ここで、オーディオ音声の音量が判別可能なデータとは、例えば、車室内マイクロフォン23が取得した車室内音声データである。オーディオ音声の影響が少ない音声データとは、例えば、車室内音声データから、自車両の車室内におけるオーディオ音声をキャンセルした車室内音声キャンセルデータである。
【0041】
ステップS205に続いて、記録動作を終了する旨の指令があるか否か判断する(ステップS206)。ステップS206において、記録動作を終了する旨の指令がある場合(YESの場合)、記録動作を終了する。ステップS206において、記録動作を終了する旨の指令がない場合(YESの場合)、処理をステップS201に戻す。
【0042】
以上より、本実施の形態にかかる車両用記録装置は、オーディオ音声の音量が所定音量より大きい場合に、車室内音声データと車室内のオーディオ音声をキャンセルした車室内音声キャンセルデータとによりイベント記録データにおける音声データを構成する。このようにすることで、イベント記録データにおいて、自車両で再生しているオーディオ音声の音量によらず、事故原因の究明に寄与し得る明瞭な音声データを記録することができる。
【0043】
[実施の形態3]
実施の形態3に係る車両用記録装置としてのドライブレコーダ201の構成は、図3を参照して説明した、実施の形態2に係る車両用記録装置としてのドライブレコーダ101の構成と同じである。
【0044】
次に、ドライブレコーダ201の記録動作に関する処理の流れについて説明する。なお、以下の説明において、ドライブレコーダ201の構成の構成については図3を適宜参照する。なお、図3において、ドライブレコーダ101をドライブレコーダ201と読み替えるものとする。
【0045】
図5は、実施の形態3に係るドライブレコーダ201の記録動作に関する処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、実施の形態3に係るドライブレコーダ201の記録動作に関する処理の流れは、図4に示した実施の形態2に係るドライブレコーダ101の記録動作に関する処理の流れに対して、ステップS302の処理のみ異なる。すなわち、図5における、ステップS301、ステップS303〜ステップS306の処理は、それぞれ、図4における、ステップS201、ステップS203〜ステップS206の処理と同じである。よって、ステップS302の処理のみ説明する。
【0046】
図5に示すように、ステップS301において、オーディオ音声の音量が所定音量より大きい場合(YESの場合)、記録制御部134が、車室内音声キャンセルデータ及び音量レベル情報を含めた映像データを記録部25にループ記録する(ステップS302)。
【0047】
すなわち、制御部130の記録制御部134は、オーディオ音声の音量が判別可能なデータとして音量検出部132から音量レベル情報を取得する。そして、記録制御部134は、オーディオ音声の音量が判別可能なデータとしての音量レベル情報と、オーディオ音声の影響が少ない音声データとしての車室内音声キャンセルデータと、を含む映像データを記録部25に記録する。
【0048】
ここで、音量レベル情報とは、音量レベルを示す数値などである。また、車室内音声キャンセルデータとは、上述したように、車室内音声データから、自車両の車室内におけるオーディオ音声をキャンセルした音声データである。イベント記録データの再生時には、表示部26等の再生装置の画面において、キャンセル処理を行った音声データを含む映像データとともに、オーディオ音声の音量レベルが数値やグラフ等で表示される。このようにすることで、事故の解析をより行いやすくなる。
【0049】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、オーディオ音声の音量が判別可能なデータは、上述したデータを複数組み合わせて記録してもよく、オーディオ音声の影響が少ない音声データも、上述した音声データを複数組み合わせて記録してもよい。
【0050】
本発明にかかる車両用記録装置の各部における処理は、コンピュータなどにプログラムを実行させることによって実現できる。より具体的には、車両用記録装置において、プログラムメモリに格納されたプログラムを主記憶装置にロードし、CPUの制御によって当該プログラムを実行して実現する。ここで、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non−transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。また、車両用記録装置の各部における処理は、プログラムによるソフトウェアで実現することに限ることなく、ハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアのうちのいずれかの組み合わせ等により実現しても良い。
【符号の説明】
【0051】
1、101、201 ドライブレコーダ
10 カメラ
22 車室外マイクロフォン
23 車室内マイクロフォン
24 センサ
25 記録部
26 表示部
27 スピーカ
28 オーディオ装置
30、130 制御部
31 映像データ取得部
32、132 音量検出部
33 バッファメモリ
34、134 記録制御部
35 イベント検出部
36 再生制御部
137 キャンセル処理部
図1
図2
図3
図4
図5