【文献】
Ioannis Pavlidis,外2名,"A Vehicle Occupant Counting System Based on Near-Infrared Phenomenology and Fuzzy Neural Classification",IEEE Transactions on Intelligent Transportation Systems,IEEE,2000年 6月,Volume 1,Issue 2,pp. 72-85
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両が撮影されて取得された第1画像と、第1特定波長帯の光を受光した状態で前記車両が撮影されて取得された第2画像とにもとづいて、複数の分離画像を取得する画像分離手段と、
前記複数の分離画像から、前記第1画像に比して車両への映り込みが低減された分離画像を特定する特定手段と、
特定された前記映り込みが低減された分離画像にもとづいて、前記車両の乗車人数を決定する乗車人数決定手段とを備えた
ことを特徴とする乗車人数計測装置。
画像分離手段は、前記第1画像と、前記第2画像と、前記第1特定波長帯と異なる第2特定波長帯の光を受光した状態で前記車両が撮影されて取得された第3画像とにもとづいて、複数の分離画像を取得し、
特定手段は、前記複数の分離画像から、前記第1画像に比して車両への映り込みが低減された分離画像を特定し、
乗車人数決定手段は、特定された前記映り込みが低減された分離画像にもとづいて、前記車両の乗車人数を決定する
請求項1から請求項5のうちのいずれか1項に記載の乗車人数計測装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施形態1.
本実施形態の乗車人数計測システムの構成を、
図1および
図2を参照して説明する。
図1は、本実施形態の乗車人数計測システムの構成を示すブロック図である。乗車人数計測システムは、第1撮影部10と、第2撮影部11と、乗車人数計数装置100とを備える。また、乗車人数計測装置100は、画像分離部12と、乗車人数決定部13とを備える。
【0014】
第1撮影部10は、車両を撮影して第1画像を取得する。第1撮影部10は、一般的なカメラであり、被写体である車両を撮影しデジタル画像を生成する。
【0015】
第2撮影部11は、第1特定波長帯のみを受光した状態で車両を撮影して第2画像を取得する。第2撮影部11は、第1撮影部10と同様に一般的なカメラであり、被写体である車両を撮影しデジタル画像を生成する。第2撮影部11は、少なくとも第1特定波長帯の光の感度を有している。
【0016】
画像分離部12は、第1撮影部10が取得した第1画像と、第2撮影部11が取得した第2画像とにもとづいて画像分離を行い、ガラス窓への映り込みが低減された分離画像を含む複数の分離画像を取得する。具体的には、画像分離部12は、独立成分分析を用いて、第1撮影部10および第2撮影部11からの距離が異なる2つの画像に分離する。
【0017】
乗車人数決定部13は、画像分離部12によって出力された複数の分離画像にもとづいて、車両の乗車人数として決定する。具体的には、乗車人数決定部13は、画像分離部12によって出力された複数の分離画像を取得して映り込みが低減された分離画像に顔検出を行い、人物の顔であると判定した部分の数を、車両の乗車人数として決定する。
【0018】
図2は、本実施形態の乗車人数計測システムのハードウェア構成を示す説明図である。第1撮影部10、第2撮影部11は、路側など、車両を撮影できる位置に設置されている。第1撮影部10の前方(第1撮影部10と車両の間)に、ハーフミラー20が設置されている。第2撮影部11の前方(ハーフミラー20からの反射光を受ける位置)に、反射ミラー21が設置されている。また、第2撮影部11と反射ミラー21の間に、バンドパスフィルタ22が設置されている。バンドパスフィルタ22は、第1特定波長帯λ
1の光のみを通すことができるフィルタである。
【0019】
車両の方向から入射する光の一部は、ハーフミラー20を通り第1撮影部10に入射する。また、車両の方向から入射する光の残りの一部は、ハーフミラー20で反射し、反射ミラー21に入射する。反射ミラー21に入射した光は、反射して、バンドパスフィルタ22を通り、第1の特定波長体λ
1の光のみが第2撮影部11に入射する。
【0020】
図2に示す構成において、第1撮影部10から車両までの光路長と、第2撮影部11から前記車両までの光路長とが同一となるように各装置が設置される。また、第1撮影部10の撮影範囲と第2撮影部11の撮影範囲とが同一となるように第1撮影部10および第2撮影部11は撮影を行う。
【0021】
また、通過する車両を照射できる位置に、第1特定波長帯λ
1の光を照射する照明23が設置され、車両全体を照射する。バンドパスフィルタ22を光が通過することにより、通過前と比べて光量は減少している。しかし、照明23が第1の特定波長帯λ
1の光を車両に照射していることにより、第2撮影部11は、十分な光量を得ることができるので明瞭な車両画像を取得することができる。
【0022】
以上の構成により、第1撮影部10は、入射する光の波長が限定されていない状態で、通常の車両画像を撮影することができる。第2撮影部11は、第1特定波長体λ
1の光のみ入射する状態で、車両画像を撮影することができる。
【0023】
次に、本実施形態の乗車人数計測システムの動作を説明する。
図2は、本実施形態の乗車人数計測システムの動作を示すフローチャートである。
【0024】
第1撮影部10は、車両を撮影し、画像を取得する(ステップS10)。第1撮影部10は、例えば、路側に設置されており、横方向(車両の進行方向に対して垂直方向)から車両を撮影する。
【0025】
第2撮影部11は、第1特定波長帯の光のみを受光した状態で車両を撮影し、画像を取得する(ステップS11)。第2撮影部11は、第1撮影部10と同様に、例えば路側に設置されており、横方向(車両の進行方向に対して垂直方向)から車両を撮影する。第2撮影部11の前方にバンドパスフィルタ22が設置されているので、第2撮影部11は、第1特定波長体λ
1の光のみを入射した状態で車両を撮影する。
【0026】
ただし、第1撮影部10および第2撮影部11の設置位置は上記の位置に限定されず、車両の前方や斜め前方から撮影可能な位置に設定されていてもよい。第1撮影部10および第2撮影部11は、例えば、HOVシステムを利用した料金所に設置される。
【0027】
第1撮影部10および第2撮影部11は、同一のタイミングで車両を撮影する。撮影タイミングを同期させるために、例えば、乗車人数計測装置100が、第1撮影部10および第2撮影部11に、指示信号を送信する。車両を通過するタイミングを検知するために、例えば、赤外線センサ等の検知手段が設置されており、乗車人数計測装置100が、検知手段から車両が通過したことを示す信号を受信したタイミングで第1撮影部10および第2撮影部11に、指示信号を送信してもよい。または、第1撮影部10および第2撮影部11は、検知手段から車両が通過したことを示す信号を直接受信し、その信号を受信したタイミングで撮影をしてもよい。
【0028】
画像分離部12は、第1撮影部10が車両を撮影して得られた第1画像と、第2撮影部11が車両を撮影して得られた第2画像とにもとづいて画像分離を行い、ガラス窓への映り込みが低減された分離画像を含む複数の分離画像を取得する(ステップS12)。具体的には、画像分離部12は、第1画像および第2画像を示す画像データに独立成分分析を行い、車両内部を示す画像と、ガラス窓への映り込み(ガラス窓に映る人や物など)を示す画像とを分離する。
【0029】
独立成分分析による画像分離について、具体的に説明する。第1画像を示す画像データをx
1と表し、第2画像を示す画像データをx
2と表す。また、車両内部を示す実際の像をs
1と表し、ガラス窓への映り込みを示す実際の像をs
2と表す。そして、取得した画像をベクトルX=(x
1,x
2)
Tと表し、実際の像をベクトルS=(s
1,s
2)
Tと表す。画像データx
1,x
2は、s
1,s
2が混合して得られるものであるため、混合行列をAとすると、以下の式(1)が成り立つ。
【0031】
Aは未知の行列であるから、XからSを推定する必要がある。画像分離部12は、以下の式(2)において、ベクトルY=(y
1,y
2)のy
1、y
2が独立となるような行列Wを算出することにより、y
1、y
2を推定する。
【0033】
上記のように処理により得られたy
1、y
2は、一方が車両内部を示すs
1の近似値となっており、他方がガラス窓への映り込みを示すs
2の近似値となっている。画像分離部12は、画像データを示すy
1、y
2のうち、車両内部を示すs
1の近似値となっている画像データを映り込みが低減された分離画像として出力する。画像分離部12は、例えば、y
1、y
2の画像を分析し、人物の顔や車内設備の有無により、車両内の画像であるか否か判定する。または、画像分離部12は、y
1、y
2が示す画像を外部の表示装置に出力し、ユーザーにどちらの画像が車両内の画像であるか選択させ、選択された画像を映り込みが低減された分離画像として出力してもよい。また、画像分離部12は、特定の手法により、どちらの画像が映り込みが低減された画像かを判定し、判定された画像を映り込みが低減された分離画像として出力してもよい。具体的には、画像分離部12は、y
1、y
2が示す画像に対して、顔を検出するアルゴリズムを適用し、顔の数を取得する。その後、画像分離部12は、顔の数が多い方の画像を映り込みが低減された分離画像として選択して、出力してもよい。ここで、特に顔の数に限定される必要は無く、検出可能な人物の部位出ればどこでも良く、鼻、目、腕、首などを検出対象とすることもできる。なお、乗車人数計測装置100は、画像分離部12とは別に、複数の分離画像の中から、映り込みが低減された画像を選択する選択手段と、複数の分離画像に対して、人物の特定部位の数を取得する取得手段を備えていてもよい。
【0034】
図4は、第1撮影部10が取得する第1画像を示す説明図である。
図5は、本実施形態における分離画像を示す説明図である。
図4に示す画像では、車両のガラス窓に車外の木が映り込んでおり、車両内の人物の顔と重複して表示されている。
図5に示す分離画像では、ガラス窓への映り込みが低減されており、車両内の人物の顔が明確に表示されている。なお、図示しないが、分離された他の画像には、ガラス窓への映り込みが表示されている。すなわち、第1画像と第2画像とにもとづいて、第1撮影部10および第2撮影部11からの距離が異なる2つの画像に分離されている。
【0035】
乗車人数決定部13は、画像分離部12によって出力された複数の分離画像にもとづいて、車両の乗車人数を決定する(ステップS13)。具体的には、乗車人数決定部13は、画像分離部12によって出力された複数の分離画像を取得して映り込みが低減された分離画像に顔検出を行い、人物の顔であると判定した部分の数を、車両の乗車人数として決定する。
【0036】
横顔に近い角度で乗車人物の顔が映る場合、乗車人数決定部13は、横顔の検出器を用いて人物を検出する。または、正面顔に近い角度で乗車人物の顔が映る場合、乗車人数決定部13は、正面顔の検出器を用いて人物を検出する。これらの検出器は、横や正面から撮影した数多くの顔画像を用いて機械学習を行うことによって予め構築され、記憶部(例えば、後述する補助記憶装置1003)に記憶されている。検出に用いる検出器は、例えば、SVM(Support Vector Machine)、LDA(Latent Dirichlet Allocation、線形判別分析)、またはGLVQ(Generalised Learning Vector Quantization、一般化学習ベクトル量子化)により得られた検出器である。
【0037】
以上のように、本実施形態の乗車人数計測システムは、独立成分分析を用いて画像分離を行うことにより車両のガラス窓への映り込みを低減することができるので、車両の乗車人数を精度良く計測することができる。
【0038】
実施形態2.
本実施形態の乗車人数計測システムを、図面を参照して説明する。なお、以下の説明は、主に第1の実施形態(実施形態1)と異なる構成および機能に関する内容であり、特に説明しない構成および機能は、第1の実施形態と同様であるとする。
図6は、本実施形態の乗車人数計測システムの構成を示すブロック図である。乗車人数計測システムは、第1撮影部10、第2撮影部11、第3撮影部14、乗車人数計数装置100を備える。また、乗車人数計測装置100は、画像分離部12、乗車人数決定部13とを備える。本実施形態の乗車人数計測システムは、第1の実施形態における乗車人数計測システムに第3撮影部14を加えた構成となっている。
【0039】
第3撮影部14は、第1特定波長帯と異なる第2特定波長帯のみを受光した状態で車両を撮影して第3画像を取得する。第3撮影部14は、第1撮影部10、第2撮影部11と同様に一般的なカメラであり、被写体である車両を撮影しデジタル画像を生成する。第3撮影部14は、少なくとも第2特定波長帯の光の感度を有している。
【0040】
図7は、本実施形態の乗車人数計測システムのハードウェア構成を示す説明図である。第3撮影部14は、車両を撮影することができる位置に設置されている。第3撮影部14の前方に、バンドパスフィルタ26が設置されている。バンドパスフィルタ26は、第2特定波長帯λ
2の光のみを通すことができるフィルタである。第1撮影部10の前方にハーフミラー25が設置されている。車両の方向からハーフミラー25に入射する光の一部は、反射して、反射ミラー27に入射する。反射ミラー27に入射した光は、反射してバンドパスフィルタ26を通り第3撮影部14に入射する。また、車両を照射できる位置に、第2特定波長帯λ
2の光を照射する照明24が設置され、車両全体を照射する。他の構成は、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0041】
図7に示す構成において、第1撮影部10から車両までの光路長と、第2撮影部11から前記車両までの光路長と、第3撮影部14から車両までの光路長とが同一となるように各装置が設置される。また、第1撮影部10の撮影範囲と第2撮影部11の撮影範囲と第3撮影部14の撮影範囲とが同一となるように第1撮影部10、第2撮影部11、および第3撮影部14は撮影を行う。
【0042】
以上の構成により、第3撮影部14は、第2特定波長体λ
2の光のみ入射する状態において、車両画像を撮影することができる。バンドパスフィルタ26を光が通過することにより、光量は減少する。しかし、照明24が第2特定波長帯λ
2の光を車両に照射していることにより、第3撮影部14は、十分な光量を得ることができるので明瞭な車両画像を取得することができる。
【0043】
次に、本実施形態の乗車人数計測システムの動作を説明する。
図2は、本実施形態の乗車人数計測システムの動作を示すフローチャートである。なお、
図2に示すステップS10、ステップS11、ステップS13の処理は、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0044】
第3撮影部14は、第2特定波長帯の光のみを受光した状態で車両を撮影し、画像を取得する(ステップS11’)。第3撮影部14の設置位置は、第1の実施形態で説明した第1撮影部10、第2撮影部11の設置位置と同様に車両が撮影できる位置であればよい。例えば、第3撮影部14は、路側に設置されており、横方向(車両の進行方向と垂直方向)から車両を撮影する。第3撮影部14の前方にバンドパスフィルタ26が設置されているので、第3撮影部14は、第2特定波長体λ
2の光のみを入射した状態で車両を撮影する。また、第3撮影部14は、第1撮影部10および第2撮影部11と同一のタイミングで車両を撮影する。
【0045】
画像分離部12は、第1撮影部10が車両を撮影して取得された第1画像と、第2撮影部11が車両を撮影して取得された第2画像と、第3撮影部14が車両を撮影して取得された第3画像とにもとづいて画像分離を行い、ガラス窓への映り込みおよび前記車両の車体部分の濃度が低減された分離画像を取得する(ステップS12’)。具体的には、画像分離部12は、第1画像、第2画像および第3画像を示す画像データに独立成分分析を行い、車両内部を示す画像と、ガラス窓への映り込み(ガラス窓に映る人や物など)を示す画像と、車両のガラス窓を除いた部分(以下、車体部分と記載する)とを分離する。
【0046】
独立成分分析による画像分離について、具体的に説明する。第1画像を示す画像データをx
1と表し、第2画像を示す画像データをx
2と表し、第3画像を示す画像データをx
3と表す。また、車両内部を示す実際の像をs
1と表し、ガラス窓への映り込みを示す実際の像をs
2と表し、車両の車体部分を示す実際の像をs
3と表す。そして、取得した画像をベクトルX=(x
1,x
2,x
3)
Tと表し、実際の像をベクトルS=(s
1,s
2,s
3)
Tと表す。画像データx
1,x
2,x
3は、s
1,s
2,s
3が混合して得られるものであるため、混合行列をAとすると、第1の実施形態と同様に式(1)が成り立つ。
【0047】
画像分離部12は、第1の実施形態と同様に、式(2)においてベクトルYを算出する。本実施形態では、ベクトルY=(y
1,y
2、y
3)と表される。画像分離部12は、y
1、y
2、y
3が独立となるような行列Wを算出することにより、y
1、y
2、y
3を推定する。
【0048】
上記のようにして得られたy
1,y
2,y
3は、一つが車両内部を示すs
1の近似値となっており、他の一つがガラス窓への映り込みを示すs
2の近似値となっており、他の一つが車両の車体部分を示すs
3の近似値となる。画像分離部12は、画像データを示すy
1,y
2,y
3のうち、車両内部を示すs
1の近似値となっている画像データを映り込みおよび車両の車体部分の濃度が低減された分離画像として出力する。画像分離部12は、例えば、y
1,y
2,y
3の画像を分析し、人物の顔や車内設備の有無により、車両内の画像であるか否か判定する。または、画像分離部12は、y
1,y
2,y
3が示す画像を外部の表示装置に出力し、ユーザーにどの画像が車両内の画像であるか選択させ、選択された画像データを映り込みおよび車両の車体部分の濃度が低減された分離画像として出力してもよい。
【0049】
図9は、本実施形態における分離画像を示す説明図である。
図9に示す分離画像では、ガラス窓への映り込みが低減されており、車両内の人物の顔が明確に表示されている。さらに、車両の本体部分の濃度が低減されている。なお、図示しないが、分離された他の画像には、ガラス窓への映り込みと車両の本体部分がそれぞれ表示されている。
【0050】
車両の画像が車体部分を含む場合、顔検出を行う前に、ユーザーが画像処理を行い、車両の車体部分を予め排除することが好ましい。しかし、
図9に示すように、本実施形態の分離画像はすでに車両の車体部分が除かれている。そのため、乗車人数決定部13は、顔検出を行い、車両の乗車人数を決定する処理において、精度良く乗車人数を決定することができる。
【0051】
以上のように、本実施形態の乗車人数計測システムは、独立成分分析を用いて画像分離を行うことにより、車両のガラス窓への映り込みだけでなく車両の車体部分の濃度を低減することができる。そのため、本実施形態の乗車人数計測システムによれば、ユーザーが車両の車体部分を除去する画像処理を行わなくても、車両の乗車人数を精度良く計測することができる。
【0052】
実施形態3.
本実施形態の乗車人数計測システムを、図面を参照して説明する。本実施形態では、乗車人数決定部13の機能のみ第1の実施形態と異なり、他の構成は同じであるため、構成の説明を省略する。特に説明しない構成および機能は、第1の実施形態と同様であるとする。
【0053】
図10は、第3の実施形態の乗車人数計測システムの動作を示すフローチャートである。
図10において、ステップS10〜ステップS12は第1の実施形態の処理(
図3参照)と同じであるため、説明を省略する。
【0054】
乗車人数決定部13は、画像分離部12によって出力された複数の分離画像を取得するが、どの分離画像が映り込みが低減された分離画像か判断することが困難な場合がある。そのため、乗車人数決定部13は、取得した全ての分離画像に顔検出処理を行い、各分離画像における乗車人数を取得する(ステップS13a)。
【0055】
そして、乗車人数決定部13は、各分離画像の乗車人数のうちの最大値を実際の乗車人数として決定する(ステップS13b)。
【0056】
第1の実施形態では、画像分離部12が、映り込みが低減された分離画像がどれであるかを判定したり、ユーザに選択させる処理を行っていたが、本実施形態ではそれらの処理を省略してもよい。
【0057】
本実施形態では、第1の実施形態における乗車人数計測システムの乗車人数決定部13を変更した例を示したが、第2の実施形態における乗車人数計測システムの構成において本実施形態の乗車人数決定部13を適用してもよい。
【0058】
本実施形態の乗車人数計測システムによれば、どの分離画像が映り込みが低減された分離画像か判断することが困難な場合であっても、精度良く乗車人数を決定することができる。
【0059】
図11は、第1〜3の実施形態に係るコンピュータの構成例を示す概略ブロック図である。コンピュータ1000は、CPU1001と、主記憶装置1002と、補助記憶装置1003と、インタフェース1004と、ディスプレイ装置1005と、入力デバイス1006とを備える。
【0060】
第1〜3の実施形態の乗車人数計測装置100は、コンピュータ1000に実装される。乗車人数計数装置100は、プログラムの形式で補助記憶装置1003に記憶されている。CPU1001は、プログラムを補助記憶装置1003から読み出して主記憶装置1002に展開し、そのプログラムに従って上記の処理を実行する。
【0061】
補助記憶装置1003は、一時的でない有形の媒体であって、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等である。コンピュータ1000は、インタフェース1004を介して補助記憶装置1003に接続されていてもよい。このプログラムが通信回線によってコンピュータ1000に配信される場合、配信を受けたコンピュータ1000がそのプログラムを主記憶装置1002に展開し、上記の処理を実行してもよい。
【0062】
また、プログラムは、前述の処理の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、プログラムは、補助記憶装置1003に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで前述の処理を実現する差分プログラムであってもよい。また、コンピュータ1000が備えるプロセッサーはCPU1001に限らず、プログラムを実行可能なプロセッサーを備えていればよい。また、コンピュータ1000は、回路を含んでいる。
【0063】
図12は、本発明による乗車人数計測システムの主要部を示すブロック図である。本発明による乗車人数計測システムは、車両を撮影して第1画像を取得する第1撮影手段30と、第1特定波長帯の光のみを受光した状態で車両を撮影して第2画像を取得する第2撮影手段31と、乗車人数計測装置200とを備える。乗車人数計測装置200は、第1画像と第2画像とにもとづいて、複数の分離画像を取得する画像分離手段42と、複数の分離画像にもとづいて、車両の乗車人数を決定する乗車人数決定手段43とを備える。
【0064】
また、上記の実施形態では、以下の(1)〜(7)に示す乗車人数計測システムも開示されている。
【0065】
(1)乗車人数計測システムは、乗車人数決定手段(例えば、乗車人数決定部13)は、複数の分離画像のそれぞれに対して、乗車人数を取得し、取得した前記乗車人数の最大値を車両の乗車人数として決定するように構成されていてもよい。
【0066】
(2)乗車人数計測システムは、画像分離手段(例えば、画像分離部12)は、独立成分分析を用いて画像分離を行うように構成されていてもよい。そのような乗車人数計測システムによれば、第1画像と第2画像のみから画像分離を実行することができる。
【0067】
(3)乗車人数計測システムは、画像分離手段(例えば、画像分離部12)は、第1画像と第2画像とにもとづいて、第1撮影手段(例えば、第1撮影部10)および第2撮影手段(例えば、第2撮影部11)からの距離が異なる2つの画像に分離するように構成されていてもよい。
【0068】
(4)乗車人数計測システムは、第1特定波長帯の光を車両に照射する照射手段(例えば、照明23)を備えたように構成されていてもよい。そのような乗車人数計測システムによれば、第1特定波長帯の光のみを受光した状態でも光量の低下を補うことができる。
【0069】
(5)乗車人数計測システムは、第1撮影手段から車両までの光路長と、第2撮影手段から前記車両までの光路長とが同一であるように構成されていてもよい。
【0070】
(6)乗車人数計測システムは、第1撮影手段の撮影範囲と第2撮影手段の撮影範囲とが同一であるように構成されていてもよい。
【0071】
(7)車両を撮影して第1画像を取得する第1撮影手段(例えば、第1撮影部10)と、第1特定波長帯の光のみを受光した状態で車両を撮影して第2画像を取得する第2撮影手段(例えば、第2撮影部11)と、第1特定波長帯と異なる第2特定波長帯の光のみを受光した状態で車両を撮影して第3画像を取得する第3撮影手段(例えば、第3撮影部14)と、第1画像、第2画像および第3画像とにもとづいて、複数の分離画像を取得する画像分離手段(例えば画像分離部12)と、複数の分離画像にもとづいて、車両の乗車人数を決定する乗車人数決定手段(例えば、乗車人数決定部13)とを備えた乗車人数計測システム。そのような乗車人数計測システムによれば、ガラス窓への映り込みだけでなく、車両の車体部分の濃度を低減することができるので、ユーザーがそれらを除去する手間を省くことができる。
【0072】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、本願発明は、各実施形態の構成を適宜組み合わせたものであってもよい。