特許第6607352号(P6607352)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6607352
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】車両用フード構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/10 20060101AFI20191111BHJP
   B62D 25/12 20060101ALI20191111BHJP
【FI】
   B62D25/10 D
   B62D25/12 N
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-252506(P2015-252506)
(22)【出願日】2015年12月24日
(65)【公開番号】特開2017-114335(P2017-114335A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2018年11月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101236
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100166914
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】小山 健太
(72)【発明者】
【氏名】池田 宏紀
【審査官】 マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−81414(JP,A)
【文献】 特開昭64−57368(JP,A)
【文献】 特開2001−3610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/10
B62D 25/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フードアウタパネルとフードインナパネルとで構成され、車両のパワーユニット室を開閉自在に覆うフードと、
前記フードの前記フードインナパネルに設けられ、車体側のラッチと係合されて前記フードを閉じ状態にロックするストライカとを備える車両用フード構造であって、
前記フードインナパネルのストライカ取付け部を構成し、前記ストライカの基端が接合される補強パネルと、
車幅方向に延びて配され、車両前後方向の一端縁側が前記ストライカの上下方向に延びる立設部に連結されると共に、他端縁側が前記ストライカの前記立設部の基端から車両前後方向に離れた位置の前記補強パネルに前記フードインナパネルを挟んで固定されるサポートブラケットとを備えた
ことを特徴とする車両用フード構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用フード構造において、
前記補強パネルは、
車両前後方向に延びて前記ストライカの基端部が接合されるベース部と、
当該ベース部から車両前後方向斜め上方に傾斜する傾斜部とを有し、
前記サポートブラケットの他端縁側は、前記ベース部と前記傾斜部との稜線部の近傍の位置に固定される
ことを特徴とする車両用フード構造。
【請求項3】
請求項1もしくは請求項2に記載の車両用フード構造において、
前記サポートブラケットの一端縁側には、
前記ストライカの前記立設部を前記サポートブラケットの一端縁側との間で挟持する拘束ブラケットが設けられている
ことを特徴とする車両用フード構造。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用フード構造において、
前記サポートブラケットの他端縁側には、
前記補強パネルを挟んで補強部材が固定されている
ことを特徴とする車両用フード構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストライカを備えた車両用フード構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のパワーユニット室としてのエンジンルームの開口を塞ぐフードの内側パネルには、例えば、丸棒部材がU字状に形成されたストライカの基端部位(根元部)が接合固定されている。フードを閉じた際には、ストライカにラッチ機構が係合してフードがロックされている。フードを閉じる場合にはストライカに大きな荷重が加わり、車両の走行に伴ってストライカには、上下方向、左右方向、斜め方向、回転方向に連続的に振動が加わり、ストライカの基端部位(根元部)の接合固定部には様々な応力が働いている。
【0003】
このため、従来から、ストライカの基端部位(根元部)の接合箇所は、様々な補強が行われている(例えば、特許文献1)。特許文献1に開示された技術は、ストライカの根元部の接合箇所を補強する部位と、フードアウタとの間に架け渡される部位を有するプレートを備えた構成となっている。このため、荷重をフードアウタ側に分散することができ、フードが閉じられた際の様々な荷重に対する剛性を確保することができる。
【0004】
車両の走行中は、ストライカには様々な方向から荷重が加わるため、あらゆる方向からの荷重に対して接合固定部の剛性を確保する必要がある。しかし、従来から提案されている技術では、全方向からの荷重に対して接合固定部の剛性を確保することは困難であり、ストライカの基端部位(根元部)の接合が外れた場合にはストライカによるフードのロックができなくなる虞があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−68795号公報
【発明の概要】
【0006】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、フードに設けられるストライカのフードとの接合箇所への応力集中を抑制しつつ、ストライカの取付け剛性を向上させることができる車両用フード構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための請求項1に係る本発明の車両用フード構造は、フードアウタパネルとフードインナパネルとで構成され、車両のパワーユニット室を開閉自在に覆うフードと、前記フードの前記フードインナパネルに設けられ、車体側のラッチと係合されて前記フードを閉じ状態にロックするストライカとを備える車両用フード構造であって、前記フードインナパネルのストライカ取付け部を構成し、前記ストライカの基端が接合される補強パネルと、車幅方向に延びて配され、車両前後方向の一端縁側が前記ストライカの上下方向に延びる立設部に連結されると共に、他端縁側が前記ストライカの前記立設部の基端から車両前後方向に離れた位置の前記補強パネルに前記フードインナパネルを挟んで固定されるサポートブラケットとを備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項1に係る本発明では、ストライカの車幅方向への入力に対しては、サポートブラケットが車幅方向に延在されることで支持され、ストライカの前後方向への入力に対しては、サポートブラケットがストライカ立設部と補強パネルおよびフードアウタパネルとの間の筋交いの役割を果たすことで支持される。しかも、サポートブラケットの前後方向の他端縁側がストライカの基端部の接合箇所から離れた部位に連結されることで、ストライカに入力される荷重がサポートブラケットを介してストライカの基端部の接合箇所から離れた箇所で補強パネル及びフードインナパネルに分散されるので、ストライカの基端部の補強パネルとの接合箇所に応力が集中することが抑制される。また、ストライカの立設部がサポートブラケットによってフードインナパネル側に支持されているので、万が一、ストライカの基端部のフードとの接合が外れたとしても、ストライカはサポートブラケットを介してフードインナパネル側に保持されて脱落が防止されるので、フードのロック状態は維持される。
【0009】
従って、ストライカのフードとの接合箇所への応力集中を抑制しつつ、フードに対するストライカの取付け剛性を高めることが可能になる。
【0010】
そして、請求項2に係る本発明の車両用フード構造は、請求項1に記載の車両用フード構造において、前記補強パネルは、車両前後方向に延びて前記ストライカの基端部が接合されるベース部と、当該ベース部から車両前後方向斜め上方に傾斜する傾斜部とを有し、前記サポートブラケットの他端縁側は、前記ベース部と前記傾斜部との稜線部の近傍の位置に固定されることを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る本発明では、サポートブラケットの他端縁側が、補強パネルのベース部と傾斜部との稜線部の近傍に固定されるので、補強パネルの比較的剛性が高い部位にストライカに作用する荷重を分散させることができる。
【0012】
また、請求項3に係る本発明の車両用フード構造は、請求項1もしくは請求項2に記載の車両用フード構造において、前記サポートブラケットの一端縁側には、前記ストライカの前記立設部を前記サポートブラケットの一端縁側との間で挟持する拘束ブラケットが設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項3に係る本発明では、フードインナパネル側に支持されるサポートブラケットと拘束ブラケットによってストライカが挟持され、ストライカの拘束が確実となり、ストライカの基端部のフードとの接合が外れた場合に、より確実にストライカの脱落を防止することができる。
【0014】
また、請求項4に係る本発明の車両用フード構造は、請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用フード構造において、前記サポートブラケットの他端縁側には、前記補強パネルを挟んで補強部材が固定されていることを特徴とする。
【0015】
請求項4に係る本発明では、補強部材により、サポートブラケットの他端縁側の固定部位の剛性をより一層高めることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の車両用フード構造は、ストライカのフードとの接合箇所への応力集中を抑制しつつ、フードに対するストライカの取付け剛性を高めることが可能になる。また、万一、ストライカの基端部におけるフードとの接合が外れても、ストライカがフード側に支持されてフードのロック状態を維持することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施例に係る車両用フード構造を備えた車両の外観図である。
図2】フードを内側から見た状態の平面図である。
図3図2中のIII−III線矢視図である。
図4図2中のIV−IV線矢視図である。
図5図3中の矢印V方向からの外観図である。
図6図5中の分解斜視図である。
図7図3中の矢印VII方向からの外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施例に係る車両用フード構造を備えた車両において、エンジンルームのフードを開けた状態の外観を示してある。
【0019】
図に示すように、車両1の前方部にはパワーユニット室であるエンジンルーム2が備えられ、エンジンルーム2の上部はフード3により開閉自在に覆われている。フード3の後部の両端がヒンジにより回動自在に支持され、前開きのフード3とされている。フード3は、フードアウタパネル11(図3参照)とフードインナパネル12とから構成され、フード3の前部裏側、即ち、フードインナパネル12前部の車幅方向中央部には、U字状の嵌合部を有するストライカ5が接合固定されている。そして、ストライカ5に対応する車体フレームには、ストライカ5に係合するラッチ6が設けられている。フード3が閉じられると、ストライカ5にラッチ6が係合し、フード3が閉状態にロックされる。
【0020】
本発明の車両用フード構造は、フード3に対するストライカ5の接合箇所への応力集中を抑制してストライカの取付け剛性を高めるようにした構成で、しかも、ストライカ5のフード3との接合が万一外れても、ストライカ5がフードインナパネル12側に支持されてフード3のロック状態が維持できる構成とされている。
【0021】
図2から図8に基づいてストライカ5の取付き状況を具体的に説明し、車両用フード構造の構成を説明する。
【0022】
図2にはフード3を内側から見た状態で前方が上側になっている状態の平面視、図3には図2中のIII−III線矢視でストライカ5の中心部位でフード3を断面にした状況、図4には図2中のIV−IV線矢視でストライカ5の中心から車両の走行方向の左側にずれた部位でフード3を断面にした状況を示してある。
【0023】
また、図5には図3中の矢印V方向からの外観であり、フード3を構成するパネル部材を省略して、ストライカ5、拘束ブラケット22、サポートブラケット21、ブラケットリンフォースパネル23を表した状態、図6は固定された部材を分解して表した状態である。更に、図7には図3中の矢印VII方向からの外観であり、ストライカ5、拘束ブラケット22、サポートブラケット21を車両の前方側から見た正面視の状態である。
【0024】
主に、図2から図4に示すように、フード3は、フードアウタパネル11及びフードインナパネル12から構成され、フードインナパネル12前部の車幅方向中央部には、ストライカ5を取り付けるためのストライカ取付け部7を構成する開口部12aが形成されている。このストライカ取付け部7(開口部12a)の位置に対応して、フードアウタパネル11とフードインナパネル12の間には、フードリンフォース4が設けられている。
【0025】
フードリンフォース4は、リンフォースアッパ13、リンフォースロア14を含んで構成されている。リンフォースロア14は、開口部12aに重なるように開口部12aの周囲でフードインナパネル12の内面(上面)に接合されるとともに、車両後方側へ延びている。一方、リンフォースアッパ13は、その前端がリンフォースロア14の前端に接合されてフードアウタパネル11の内面(下面)に沿って車両後方側へ延び、後端がリンフォースロア14の後端に接合されている(図示は省略してある)。
【0026】
尚、フードアウタパネル11の内面とリンフォースアッパ13とは、接着剤等で接合され、フードアウタパネル11の前端部の張りを確保している。
【0027】
ストライカ5はU字状の嵌合部15を有し、ストライカ5の基端部である嵌合部15の根元部が、ストライカ取付け部7を構成する補強パネルとしてのリンフォースロア14に接合されている。具体的には、リンフォースロア14は、ストライカ5の基端部が接合されるベース部14aと、ベース部14aの後端から後方斜め上方へ傾斜される傾斜部14bを有しており、ベース部14aが開口部12aに重なるようにフードインナパネル12の内面に接合され、傾斜部14bの後端がリンフォースアッパ13に接合されている。
【0028】
主に、図2図3図6図7に示すように、ストライカ5の嵌合部15は、上下方向に延びる立設部15a、15bと、立設部15a、15bの下端部間を連結するとともに、ラッチ6と係合される係合部15cとでU字状に構成されている。ストライカ5は、フードインナパネル12に対して嵌合部15の立設部15a、15bが車両前後方向(車両1の進行方向)に並ぶように配置される。
【0029】
ストライカ5の基端部となる嵌合部15の根元部、即ち、立設部15a、15bの上端部には、立設部15a、15bに対して直交するよう車幅方向に延びる脚部16a、16bが設けられている。ここでは、車両1(図1参照)の進行方向前方側の脚部16aが車両1(図1参照)の進行方向の右側(図2中左側)に延びるよう配され、車両1(図1参照)の進行方向後方側の脚部16bが車両1(図1参照)の進行方向の左側(図2中右側)に延びるよう配されている。
【0030】
そして、脚部16a、16bがリンフォースロア14のベース部14aに接合されることで、ストライカ5がフード3のフードインナパネル12のストライカ取付け部7に接合固定されている。
【0031】
本発明のフード構造では、主に、図3図5図7に示すように、ストライカ5を補強するサポートブラケット21が設けられている。サポートブラケット21は、車幅方向に延びて配される矩形状に形成された板状の部材であり、ストライカ5の嵌合部15の立設部15bとフードインナパネル12(リンフォースロア14)とを連結するよう構成されている。
【0032】
サポートブラケット21は、前後方向の他端縁側21aが、フードインナパネル12及びリンフォースロア14(補強パネル)に連結されている。サポートブラケット21の他端縁側21aが連結される部位は、ストライカ5の嵌合部15の立設部15bの基端部(脚部16bが配された部位)がリンフォースロア14(ベース部14a)に接合される接合箇所から離れた位置(距離H:図3参照)とされている。
【0033】
具体的には、サポートブラケット21の他端縁側21aは、リンフォースロア14のベース部14aの傾斜部14bとの境界部分である稜線部14cの近傍の位置、即ち、リンフォースロア14の比較的剛性の高い位置にフードインナパネル12を挟んで、ボルトにより固定されている。
【0034】
そして、サポートブラケット21は、リンフォースロア14(ベース部14a)との間に空間が形成された状態でストライカ5に向かって斜め下方に配され、ストライカ5寄りのサポートブラケット21の一端縁側21bがストライカ5の嵌合部15の立設部15bの車両上下方向での中間位置に固定されている。
【0035】
図に示すように、サポートブラケット21の一端縁側21bには、ストライカ5の立設部15bを保持するための拘束ブラケット22が設けられている。拘束ブラケット22は、立設部15bをサポートブラケット21の一端縁側21bとの間に挟持するU字部22aが形成され、U字部22aの車幅方向の両側に固定部22bが備えられている。
【0036】
ストライカ5の立設部15bにU字部22aを嵌合し、固定部22bをサポートブラケット21の一端縁側21bにボルトにより固定することで、ストライカ5の立設部15bがサポートブラケット21と拘束ブラケット22により挟持された状態でサポートブラケット21の一端縁側21bとストライカ5とが連結される。
【0037】
このように、サポートブラケット21は、一端縁側21bがストライカ5の立設部15bの車両上下方向の中間の位置にストライカ5を拘束する形で連結され、他端縁側21aが、ストライカ5の基端部(脚部16bが配された部位)がリンフォースロア14(補強パネル)のベース部14aと接合される接合箇所から離れた位置(距離H)で、フードインナパネル12およびリンフォースロア14にボルトにより固定されている。
【0038】
つまり、サポートブラケット21が、ストライカ5の立設部15bとフードインナパネル12およびリンフォースロア14(ベース部14a)との間でストライカ5を車両前後方向で支持する筋交いの役割を果たすように構成されている。
【0039】
そして、図3から図7に示すように、サポートブラケット21の他端縁側21aには、リンフォースロア14(補強パネル)のベース部14aの稜線部14cの近傍を挟んで、補強部材であるブラケットリンフォースパネル23が固定されている。これにより、サポートブラケット21の他端縁側21aの固定部位を補強して剛性を高めている。
【0040】
上記構成の本実施形態のフード構造であれば、サポートブラケット21が車幅方向に延びる板状とされているので、車幅方向への荷重の入力に対してストライカ5を確実に支持してストライカ5の車幅方向での変位(倒れ)を抑制することができる。また、サポートブラケット21がストライカ5に対して車両前後方向の筋交いとして働くので、車両前後方向への荷重の入力に対してもストライカ5を確実に支持してストライカ5の車両前後方向での変位を抑制することができる。
【0041】
つまり、サポートブラケット21によって、ストライカ5の嵌合部15の立設部15bの車両の幅方向および前後方向での変位が抑制されるよう拘束されているので、フード3(フードインナパネル12)に対する取付け剛性を向上することができる。
【0042】
しかも、ストライカ5の立設部15bがフードインナパネル12側に支持されるサポートブラケット21と拘束ブラケット22によって挟持されているので、万一、ストライカ5の基端部である脚部16a、16bとリンフォースロア14との接合固定が外れたとしても、ストライカ5は脱落することなく、サポートブラケット21を介してフードインナパネル12に確実に保持されることとなり、フード3の車体側へのロック状態を維持することができる。
【0043】
また、サポートブラケット21は、他端縁側21aがストライカ5の立設部15bの基端部に(脚部16bが配された部位に)、即ち、ストライカ5のフード3に対する接合箇所から離れた位置(距離H)のリンフォースロア14(補強パネル)に、フードインナパネル12を挟んで固定されているので、サポートブラケット21を介して、ストライカ5に作用する荷重をストライカ5の接合箇所から離れた部位のフードインナパネル12及びリンフォースロア14へ分散させることができる。従って、ストライカ5のフード3に対する接合箇所(脚部16a、16b)への応力集中を抑制することができる。
【0044】
そして、サポートブラケット21の他端縁側21aが、リンフォースロア14(補強パネル)のベース部14aと傾斜部14bとの稜線部14cの近傍の比較的剛性の高い部位に固定されているので、ストライカ5に働く荷重を、リンフォースロア14の剛性が高い部位に分散させることができる。
【0045】
従って、サポートブラケット21からリンフォースロア14に分散される荷重をより確実に支持することができるので、ストライカ5のフード3(リンフォースロア14)との接合箇所への応力集中をより確実に抑制するとともに、ストライカ5のフード3に対する取付け剛性をより高めることが可能になる。
【0046】
また、図3から図7に示すように、サポートブラケット21の他端縁側21aには、リンフォースロア14(補強パネル)のベース部14aの稜線部14cの近傍を挟んでブラケットリンフォースパネル23(補強部材)が固定されている。これにより、サポートブラケット21の他端縁側21aの固定部位の剛性をより高めることができる。
【0047】
以上、説明したように、上記した本発明の車両用フード構造によれば、ストライカ5の基端部(脚部16a、16b)とフード3(リンフォースロア14)との接合箇所への応力集中を抑制しつつ、フード3に対するストライカ5の取付け剛性を高めることが可能になる。また、万一、ストライカ5の基端部(脚部16a、16b)におけるフード3(リンフォースロア14)との接合が外れてもストライカ5がフード3(フードインナパネル12)側に支持されてフード3の車体側とのロック状態を維持することが可能になる。
【0048】
尚、上記実施例では、サポートブラケット21の一端縁側21bと拘束ブラケット22の固定、サポートブラケット21の他端縁側21aとリンフォースロア14(フードインナパネル12、ブラケットリンフォースパネル23)の固定をボルトにより行う例を挙げて説明したが、溶接で固定することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、車両用フード構造の産業分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 車両
2 エンジンルーム
3 フード
5 ストライカ
6 ラッチ
7 ストライカ取付け部
11 フードアウタパネル
12 フードインナパネル
13 リンフォースアッパ
14 リンフォースロア
15 嵌合部
16 脚部
21 サポートブラケット
22 拘束ブラケット
23 ブラケットリンフォースパネル

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7