(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電子文書ファイルの要求先からの取得を要求元に代わって自律的に代理する電子文書ファイル取得代理装置を制御するための電子文書ファイル取得代理プログラムであって、
前記要求元から受け付けられた入力に応じて、前記電子文書ファイルの少なくとも1つの要求先と、前記電子文書ファイルの内容を規定する要求事項と、前記電子文書ファイルの格納場所を表す格納場所情報とを含む要求仕様を設定する要求ジョブ生成部、
前記少なくとも1つの要求先に対して、前記要求事項に基づいて作成された電子文書ファイルの提出を要求する旨の内容を含む要求通信ファイルを生成する通信ファイル生成部、及び
前記生成された要求通信ファイルを前記要求先に送信し、前記要求先の前記送信に対する応答を監視し、前記要求先から提出された電子文書ファイルを前記格納場所情報に基づいて前記格納場所に格納させる自律対応処理部として前記電子文書ファイル取得代理装置を機能させ、
前記要求仕様には、前記電子文書ファイルの提出期限が含まれ、
前記自律対応処理部は、さらに、前記少なくとも1つの要求先のいずれかが前記電子文書ファイルを前記提出期限内に提出しなかった場合には、前記提出期限への到達に応じて前記電子文書ファイルの提出を要求する旨の内容を含む督促通信ファイルを送信し、前記電子文書ファイルを前記提出期限内に提出しなかった者を示す情報を含む報告通信ファイルを前記電子文書ファイルとともに前記要求元に提出する電子文書ファイル取得代理プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
A.実施形態:
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)を、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成システム10の機能構成を示すブロックダイアグラムである。画像形成システム10は、画像形成装置100と、4台のパーソナルコンピュータ200(201〜204)と、アーカイブ用記憶領域300とを備えている。4台のパーソナルコンピュータ200は、ネットワーク(この例では、LAN)で画像形成装置100に接続されている。4台のパーソナルコンピュータ201〜204は、それぞれユーザーA〜Dによって使用されている。
【0013】
画像形成装置100は、電子文書ファイル取得代理装置として機能し、制御部110と、画像形成部120と、操作表示部130と、記憶部140と、通信インターフェース部150と、自動原稿送り装置(ADF)160とを備えている。パーソナルコンピュータ200は、制御部210と、操作表示部230と、記憶部240と、通信インターフェース部250とを備えている。制御部110は、要求ジョブ生成部111と、通信ファイル生成部112と、自律対応処理部113と、ユーザー情報管理部114とを備えている。これらの機能については後述する。
【0014】
通信インターフェース部150及び通信インターフェース部250は、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)プロトコル群を使用して通信を行う。通信インターフェース部150は、本実施形態では、SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)サーバーとしても機能する。
【0015】
画像形成部120は、原稿から画像を読み取ってスキャンデータを生成する画像読取部121と、印刷設定に従ってスキャンデータを処理する画像処理部122と、処理されたスキャンデータに基づいて印刷媒体上に印刷を行う画像出力部123とを備えている。
【0016】
画像形成装置100の操作表示部130は、ディスプレイ131と、操作処理部138とを備えている。ディスプレイ131は、タッチパネルとして機能し、様々なメニューを入力画面として表示する。操作処理部138は、タッチパネルとして機能するディスプレイ131や各種ボタンやスイッチ(図示せず)からユーザーの操作入力を受け付ける。
【0017】
制御部110,210は、RAMやROM等の主記憶手段、及びMPU(Micro Processing Unit)やCPU(Central Processing Unit)等の制御手段を備えている。また、制御部110,210は、各種I/O、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)、バス、その他ハードウェア等のインターフェースに関連するコントローラ機能を備え、それぞれ画像形成装置100及びパーソナルコンピュータ200の全体を制御する。
【0018】
記憶部140,240は、非一時的な記録媒体であるハードディスクドライブやフラッシュメモリー等からなる記憶装置で、それぞれ制御部110,210が実行する処理の制御プログラムやデータを記憶する。
【0019】
記憶部140は、さらに、アドレス帳141と、格納部としてのボックス用記憶領域142と、ユーザー情報記憶領域143とを備えている。本実施形態では、ユーザー情報記憶領域143には、4台のパーソナルコンピュータ201〜204のユーザーA〜Dのユーザー情報とパスワードとがそれぞれ記録されている。ボックス用記憶領域142には、複数のパーソナルコンピュータ200のユーザーA〜Dのそれぞれが利用可能な記憶領域が割り当てられている。ユーザー情報記憶領域143には、各ユーザーの認証用パスワードその他の個人情報が格納され、アドレス帳141に記録されているユーザーと紐付けられている。
【0020】
図2は、一実施形態に係る文書取得支援処理の内容を示すフローチャートである。この例の文書取得支援処理では、ユーザーAが3人のユーザーB,C及びDからの文書の提出を望んでいるものとする。本実施形態では、ユーザーAは、3人のユーザーB,C及びDからの文書取得の代理を画像形成装置100に依頼することができる。
【0021】
ステップS110では、ユーザーAは、画像形成装置100にログインする。ログインは、画像形成装置100にユーザーAのユーザー名とパスワードとを入力することによって行われる。ユーザーAのユーザー名と認証用パスワードは、画像形成装置100が有するユーザー情報記憶領域143に記録されている。ユーザー情報管理部114は、ユーザー情報記憶領域143から読み出されたユーザー名と認証用パスワードを使用し、入力されたパスワードに基づいて認証処理を実行する。ユーザー情報記憶領域143には、ユーザーAに対して文書ボックス機能が許容されている旨も記録されている。なお、ログインは、ユーザーAが使用するパーソナルコンピュータ201からのリモートログインでもよい。
【0022】
ステップS120では、ユーザーAは、文書ボックス機能を選択する。文書ボックス機能には、画像形成装置100の記憶部40が有するボックス用記憶領域142を使用する複数の機能が含まれている。文書ボックス機能には、文書提出要求機能も含まれている。
【0023】
ステップS130では、ユーザーAは、文書提出要求機能を選択する。文書提出要求機能は、画像形成装置100がアクセス可能なユーザーに対して文書提出の要求作業を画像形成装置100に代理させるための機能である。
【0024】
図3は、一実施形態に係る文書提出要求ジョブ生成処理で使用されるユーザーインターフェース画面を示す説明図である。
図3(a)は、文書ボックス機能を選択するための機能選択画面131aを示している。機能選択画面131aは、文書要求ボタン132aと、文書保存ボタン133aと、登録/編集ボタン134aと、文書ボックスの検索に使用される検索ウィンドウ135a及び検索ボタン136aとを備えている。
【0025】
ユーザーAは、機能選択画面131aにおいて登録/編集ボタン134aをタッチし、新規作成ボックスボタン(図示略)を表示させ、新規作成ボックスボタンをタッチする。これにより、ボックス用記憶領域142には、新たな文書ボックスが生成される。機能選択画面131aには、既に番号01と番号02が付された2つの文書ボックス01,02が表示されている。
【0026】
番号01が付された文書ボックス01は、種別が「格納」に設定されているので、たとえば画像読取部121によって生成されたスキャンデータを格納することができる。具体的には、ユーザーは、画像読取部121に原稿をセットし、番号01が付された文書ボックスを選択し、文書保存ボタン133aをタッチし、必要に応じて原稿の種類や読み込み濃度などを設定後に、操作表示部130のスタートボタン(図示略)を押下する。これにより、画像形成装置100は、原稿のスキャンデータを文書ボックス01に自動的に格納することができる。文書ボックス01には、任意の名称(たとえば試験データ)をつけることができ、所有者(ユーザーA)のみが使用することができる。
【0027】
番号02が付された文書ボックス02は、種別が「ジョブ」に設定されているので、所有者(ユーザーA)の代理としてジョブを実行することができる。本実施形態では、文書ボックス02は、所有者(ユーザーA)に代わって第三者から電子文書ファイルの提出を要求する文書提出要求ジョブを実行する。
【0028】
ステップS140では、画像形成装置100は、文書提出要求ジョブ生成処理を実行する。文書提出要求ジョブ生成処理は、ユーザーAからの要求に応じて、画像形成装置100が文書提出要求ジョブを生成する処理である。文書提出要求ジョブ生成処理は、新規に文書ボックスを生成し、この文書ボックスを選択した状態でユーザーAが文書要求ボタン132aをタッチすることによって起動される。文書ボックス02は、以下の方法で設定されたものとする。
【0029】
図4は、一実施形態に係る文書提出要求ジョブ生成処理の内容を示すフローチャートである。文書提出要求ジョブは、画像形成装置100がユーザーAの代理として秘書業務を行うジョブである。この秘書業務は、エージェントとして機能する画像形成装置100によって自律的に遂行される。秘書業務は、ユーザーB,C及びDに対してユーザーAの代わりに電子文書ファイルの提出を要求することを内容とする。
【0030】
画像形成装置100の制御部110が有する要求ジョブ生成部111は、秘書業務の要求仕様の項目として以下を設定する。この設定は、ユーザーAが使用するパーソナルコンピュータ201から画像形成装置100にリモートログインしてパーソナルコンピュータ201上で行うようにしてもよい。
(1)通信方法(電子メール、SMB又はFTP等)
(2)提出された電子文書ファイルの格納場所(文書ボックス内のパス:格納場所情報)
(3)要求先であるユーザーB,C及びDの通信先
(4)要求元であるユーザーAの通信先
(5)電子文書ファイルの内容を規定する要求事項
【0031】
ステップS141では、要求ジョブ生成部111は、セクレタリ登録処理を実行する。セクレタリ登録処理とは、文書提出要求ジョブの主体として擬人化された仮想上の代理人であるセクレタリAをユーザーとしてユーザー情報記憶領域143に登録する処理である。セクレタリ登録処理では、文書提出要求ジョブ生成処理の起動、すなわち、新規に文書ボックスを生成し、この文書ボックスを選択した状態でユーザーAが文書要求ボタン132aをタッチする。これにより、要求ジョブ生成部111は、さらに、自動的にセクレタリAのメールアドレス(発信元アドレス)をアドレス帳141に登録する。セクレタリAの名前は、自動的に生成され、編集可能である。
【0032】
ステップS142では、要求ジョブ生成部111は、通信方法設定処理を実行する。通信方法設定処理とは、画像形成装置100とユーザーA〜Dとの間の通信方法を設定する処理である。通信方法設定処理では、アドレス帳141におけるユーザーによる電子メール、FTP及びSMB等の中から通信方法を選択することによって設定が行なわれる。
【0033】
図3(b)は、通信方法設定処理に使用される電子メール設定画面131bを示している。電子メール設定画面131bは、登録/編集ボタン134b等を備えている。ユーザーAは、登録/編集ボタン134bをタッチし、アドレス帳141からセクレタリAを選択する。これにより、要求ジョブ生成部111は、電子メールアドレス(y_secretary102815@box.com)を自動的に生成する。この電子メールアドレスは、たとえば設定者のイニシャルの「y」と、設定開始時である10月28日15時という日時を表す数字とを使用して自動的に決定することができる。
【0034】
ユーザーAは、登録/編集ボタン134bをタッチし、アドレス帳141から要求先(ユーザーB,C及びD)を選択する。これにより、画像形成装置100のセクレタリAと要求先(ユーザーB,C及びD)の間では、通信方法として電子メールが選択されたことになる。これにより、画像形成装置100は、電子文書ファイルの提出依頼の通信を要求先(ユーザーB,C及びD)に対して電子メールを使用して行い、要求先(ユーザーB,C及びD)は、画像形成装置100に対して電子文書ファイルを電子メールへの添付ファイルとして送信することができる。画像形成装置100が受信した電子メールは、添付ファイルとともにそれぞれ本文と別個又は一体として文書ボックス02に格納される。通信方法は、ジョブ毎に設定してもよいし、ジョブ内においてユーザー毎に設定してもよい。なお、要求先は、必ずしもアドレス帳141に登録されている必要はなく、手入力で電子メールを設定してもよい。
【0035】
なお、この例では、さらに、要求先(ユーザーB,C及びD)は、電子文書ファイルの提出にファイル転送プロトコル(FTP)を利用できるように設定されているものとする。なお、電子文書ファイルのアップロードには、Server Message Block(SMB)も利用できるように設定可能である。SMBとは、LAN上のパーソナルコンピュータ201でファイル共有や画像形成装置100の共有などを行うためのプロトコルおよび通信サービスである。
【0036】
一方、画像形成装置100と要求元(ユーザーA)との間では、電子メール及びSMBが選択されたものとする。電子メールは、要求元(ユーザーA)から画像形成装置100への電子文書ファイルの提出依頼や画像形成装置100から要求元(ユーザーA)への電子文書ファイルの提出状況の報告(報告通信ファイルの送信)といった通信に使用される。SMBは、ユーザーB,C及びDから提出された電子文書ファイルのユーザーAのパーソナルコンピュータ201への送信に使用される。
【0037】
図5は、一実施形態に係る文書提出要求ジョブ生成処理で使用されるユーザーインターフェース画面を示す説明図である。
図5(a)は、通信方法設定処理に使用されるSMB設定画面131cを示している。SMB設定画面131cは、登録/編集ボタン134c等を備えている。ユーザーAは、登録/編集ボタン134cをタッチし、セクレタリAからの電子文書ファイル提出の方法にSMBを使用するか否かを選択する。
【0038】
この例では、「SMB使用」が選択されると、原則としてセクレタリAからの通信には、電子メールが使用される一方、電子文書ファイル提出の際にのみSMBが使用され、ユーザーAが使用するパーソナルコンピュータ201のパスで指定されている所定のフォルダーに電子文書ファイルが提出されることになる。一方、「SMB不使用」が選択されると、全ての通信に電子メールが使用されることになる。
【0039】
ステップS143では、要求ジョブ生成部111は、期限設定処理を実行する。期限設定処理は、ユーザーAからの入力に応じて電子文書ファイルの提出期限とリマインダー日時を設定する処理である。
【0040】
図5(b)は、期限設定処理に使用される期限設定画面131dを示している。期限設定画面131dは、登録/編集ボタン134d等を備えている。ユーザーAは、登録/編集ボタン134dをタッチし、提出期限とリマインダー日時とを設定することができる。この例では、提出期限として2015年11月2日午後3時が設定され、リマインダー日時として2015年11月2日午前9時が設定されている。
【0041】
リマインダー日時とは、要求対象の電子文書ファイルがリマインダー日時までに提出されていない場合に、未提出者に期限を知らせる電子メールを送信する日時である。期限やリマインダー日時に対しては、時差を考慮するための時間帯の設定も可能である。具体的には、時間帯が西海岸に設定されている場合には、期限が西海岸の時間帯における時間となる一方、リマインダー日時が時差に応じて早い時間に設定される。
【0042】
たとえば西海岸の午後3時(期限)は、日本時間の翌日の午前8時に相当し、西海岸の午前9時(リマインダー日時)は、日本時間の翌日の午前2時に相当する。この場合、リマインダーは、時差に応じて早い側に調整されて日本時間の午前9時に送信され、翌日の午前8時が日本時間の期限である旨を知らせることになる。これにより、文書提出の要求元と要求先との間に時差があっても円滑な提出が可能となる。
【0043】
ステップS144では、要求ジョブ生成部111は、内容設定処理を実行する。内容設定処理は、ユーザーAからの入力に応じて電子文書ファイルの内容に関する仕様を設定する処理である。内容設定処理は、たとえば提出対象の電子文書ファイルのフォーマットを添付ファイルとする電子メールをユーザーAからセクレタリAに送信することによって実行することができる。通信ファイル生成部112は、この電子メールを使用して以下のメールを自動的に生成する。
【0044】
図6は、一実施形態に係る内容設定処理で使用される電子メールの一例を示す説明図である。電子メール401は、ユーザーAからセクレタリAに送信されるメールである。電子メール401は、電子文書ファイルの提出の際の推奨フォーマット(後述)を添付している。電子メール401には、文書提出にFTPを利用するためのハイパーテキスト401htが含まれている。
【0045】
要求ジョブ生成部111は、内容設定処理の完了に応じて処理をステップS150(
図2参照)に戻す。内容設定処理では、通信ファイル生成部112は、QRコード(登録商標)QCを生成し、電子メール401と推奨フォーマットに対してこのQRコード(登録商標)QCを貼り付ける。QRコード(登録商標)QCには、文書提出要求ジョブに使用される様々な情報が含まれている。
【0046】
図7は、一実施形態に係る文書提出要求ジョブ生成処理で使用される電子メールの添付ファイルの一例を示す説明図である。推奨フォーマットには、QRコード(登録商標)QCが貼り付けられ、フォーマット402が生成される。内容設定処理は、QRコード(登録商標)QCが含まれている電子メール403(後述)とフォーマット402の生成で完了する。なお、ユーザーAは、上述のように画像形成装置100にリモートログインしている場合には、パーソナルコンピュータ201上で本メールの生成を実行してよい。この際、画像形成装置100は、自動生成したQRコード(登録商標)QCやハイパーテキストを貼り付けるためのユーザーインターフェース画面(図示せず)を表示するようにしてもよい。
【0047】
ステップS150では、ユーザーAは、操作表示部130のスタートボタン(図示略)を押下して文書提出要求ジョブの起動を指令する。ステップS160では、自律対応処理部113は、文書提出をステップS142で要求先として設定されたユーザーB,C及びDに依頼する。文書提出の依頼は、自律対応処理部113が通信インターフェース部150を介してQRコード(登録商標)QCが貼り付けられた電子メール403を送信することによって行われる。
【0048】
図8は、一実施形態に係る文書提出依頼で使用される電子メールの一例を示す説明図である。電子メール403は、ユーザーAが依頼した電子メール401の発信元をセクレタリAの電子メールアドレス(y_secretary102815@box.com)にして送信される。電子メール403の本文は、QRコード(登録商標)QCが貼り付けられている点と、テキスト404(窓口:セクレタリA)が追加されている点とを除いて電子メール401と同一である。電子メール403(要求通信ファイルとも呼ばれる。)は、前述のように通信ファイル生成部112によって生成される。電子メール403及びフォーマット402には、QRコード(登録商標)QCが表示されている。なお、QRコード(登録商標)QCの代わりに1次元のコード又は2次元の他のコードも利用可能である。フォーマット402は、この例では、週報テンプレートとも呼ばれる。
【0049】
ステップS170では、要求先(ユーザーB,C及びD)は、文書提出処理を実行する。文書提出処理は、以下の4つの方法のいずれかで実行することができる。
(1)週報テンプレート402を使用して週報を作成し、セクレタリAへの返信メールに添付
(2)週報テンプレート402を使うことなく週報を手書きで作成し、セクレタリAからのメールを表紙としてADF160にセットして文書スキャン
(3)週報テンプレート402を使って週報を手書きで作成し、ADF160にセットして文書スキャン
(4)週報テンプレート402を使用して週報を作成し、セクレタリAからのメールに含まれているハイパーテキスト401ht(指定の文書ボックス)をクリックしてFTPを利用してアップロード
【0050】
図9は、一実施形態に係る文書提出処理(文書スキャンの例)の内容を示すフローチャートである。ステップS171では、要求先(ユーザーB,C及びD)は、週報をスキャンする。週報テンプレート402を使って生成された週報(又は表紙として使用される電子メール)には、QRコード(登録商標)QCが含まれることになる。ここで、QRコード(登録商標)QCには、セクレタリAの電子メールアドレス(y_secretary102815@box.com)と、この電子メールアドレスを宛先とする電子メールを生成させるための指令と、スキャンデータをこの電子メールの添付ファイルとさせるための指令とが情報として含まれている。
【0051】
ステップS172では、画像読取部121は、スキャンデータを生成する。スキャンデータは、自律対応処理部113によって解析される。ステップS173では、自律対応処理部113は、QRコード(登録商標)QCを検知して文書提出依頼に対する文書の提出であると決定する。ステップS174では、自律対応処理部113は、スキャンデータを文書ボックス02に転送する。このように、自律対応処理部113は、提出された文書を文書提出依頼に対する文書の提出であると決定して文書ボックス02に転送することができる。
【0052】
画像形成装置100は、QRコード(登録商標)QCの検知に応じてスキャンデータを添付した電子メールを自動的に送信するようにプログラムを起動させるように構成してもよい。こうすれば、文書ボックス02が設定されている画像形成装置100とは、別の画像形成装置100でスキャンしても電子メールでの提出と同様に受理することができる。この場合、電子メールの発信元は、ログインした要求先の電子メールアドレスとなるようにしてもよい。
【0053】
自律対応処理部113は、週報テンプレート402を使用して生成された週報ファイルが電子メールの添付ファイルとして受信された場合やFTPを利用してアップロードされた場合には、週報ファイルを解析して提出された文書を文書提出依頼に対する文書の提出であると決定して文書ボックス02に格納することができる。
【0054】
なお、電子文書ファイル(週報)は、ユーザー名(ユーザーB,C及びD)や日時を付加した文書名として、セクレタリAによる管理を容易化する名前にリネームして文書ボックス02に保存される。また、電子文書ファイル(週報)は、要求先(ユーザーB,C及びD)から再提出された場合には、日時が相違する名前で文書ボックス02に保存されることになる。
【0055】
この場合、自律対応処理部113は、再提出した要求先に対して、先に提出された電子文書ファイル(週報)を削除して良いか否かを問い合わせる内容の通信文を通信ファイル生成部112に生成させる。通信文は、たとえば「上書き」又は「結合」の件名への記載を要求するものとする。自律対応処理部113は、この通信文を使用して再提出した要求先に問い合わせ、要求先からの電子メールの件名の記載に「上書き」が含まれている場合には、先に提出された電子文書ファイル(週報)を削除し、「結合」が含まれている場合には、2つの電子文書ファイル(週報)を結合する。なお、件名に、いずれも記載されておらず、あるいは双方記載されている場合には、自律対応処理部113は、「上書き」と「結合」のいずれであるかを再び問い合わせる。
【0056】
ステップS180では、自律対応処理部113は、フォローアップ処理を実行する。フォローアップ処理は、文書提出依頼の要求先(ユーザーB,C及びD)からの文書の提出を円滑に促す処理である。
【0057】
図10は、一実施形態に係るフォローアップ処理の内容を示すフローチャートである。ステップS181では、自律対応処理部113は、提出状況確認処理を実行する。提出状況確認処理は、一定時間毎(たとえば10分毎)に要求先(ユーザーB,C及びD)からの応答としての受信メールを監視する処理である。自律対応処理部113は、要求先(ユーザーB,C及びD)からのQRコード(登録商標)QCが含まれている電子文書ファイルの受信に基づいて電子文書ファイルの提出を確認することができる。
【0058】
ステップS182では、自律対応処理部113は、要求先(ユーザーB,C及びD)の全員から電子文書ファイル(週報)が提出されているか否かを確認する。全員から電子文書ファイル(週報)が提出されている場合には、処理がステップS190(
図2参照)に進められる。一方、少なくとも1人が未提出の場合には、処理がステップS183に進められる。
【0059】
なお、自律対応処理部113は、たとえば毎日決まった時間に提出状況を報告する報告通信ファイルを通信ファイル生成部112に生成させ、この報告通信ファイルを要求元に送信するように設定可能に構成してもよい。
【0060】
ステップS183では、自律対応処理部113は、リマインダー日時に到達したか否かを決定する。リマインダー日時に到達した場合には、処理がステップS184に進められ、リマインダー日時に到達していない場合には、処理がステップS181に戻される。
【0061】
ステップS184では、自律対応処理部113は、リマインダー日時までに未提出の要求先に対してリマインダー(リマインダー通信ファイル)を電子メールで送信する。リマインダーには、電子文書ファイル(週報)の期限が記載されているので、未提出の要求先は、提出期限(この例では、2015年11月2日午後3時)が迫っていることを知ることができる。自律対応処理部113は、設定期限が到達すると(ステップS185)、処理をステップS190(
図2参照)に進める。
【0062】
ステップS190では、自律対応処理部113は、要求元に対して最終報告を行う。最終報告では、自律対応処理部113は、提出された電子文書ファイル(週報)をSMBでパーソナルコンピュータ201の所定のフォルダーに転送し、提出状況を電子メールで知らせる。提出状況は、たとえば「全員提出」や「ユーザーBのみ未提出」といった情報を含む報告通信ファイルとして電子メールで送信される。一方、自律対応処理部113は、未提出者に対して督促メール(督促通信ファイル)を電子メールで送信する。自律対応処理部113は、最後に文書提出要求ジョブで行われた全ての通信とデータとを外部のアーカイブ用記憶領域300に格納する。
【0063】
電子メールには、たとえばWebインターフェースへのリンクが貼られたハイパーリンクを挿入することもできる。これにより、ハイパーリンクへのクリックに応じて電子文書ファイル(週報)をダウンロードすることもできる。
【0064】
なお、ステップS182では、全員から電子文書ファイル(週報)が提出されている場合には、処理が直ちにステップS190に進められる。これにより、要求先(ユーザーB,C及びD)の全員から電子文書ファイル(週報)が提出された場合には、提出期限を待つことなく迅速に電子文書ファイル(週報)を要求元に提出することができる。
【0065】
このように、一実施形態に係る画像形成システム10によれば、オフィスにおけるスタッフ間の文書のやりとりを自律的に支援することができるので、文書のやりとりに関するスタッフの労力を軽減することができる。さらに、セクレタリAは、要求元に対し、毎週自動的に日時を再設定して文書提出要求ジョブを行うか否かを問合せ、確認に応じて毎週実行するように設定することもできる。
【0066】
B.変形例:
本発明は、上記各実施形態だけでなく、以下のような変形例でも実施することができる。
【0067】
変形例1:上記実施形態では、画像形成システム10は、複数のパーソナルコンピュータを備えているが、パーソナルコンピュータが1台でも構成可能である。本発明は、自分自身の文書の作成や提出に関する業務の管理にも利用することができる。
【0068】
変形例2:上記実施形態では、同一の電子メールを複数の要求先に送信しているが、たとえば要求先の情報を含むQRコード(登録商標)を含む相互に相違する電子メールを送信するようにしてもよい。こうすれば、たとえば文書スキャンでの提出において、自動的に発信元をQRコード(登録商標)から読み出された電子メールアドレスとするような運用を可能とすることができる。さらに、セクレタリによる要求先毎の識別・管理を確実なものとすることもできる。
【0069】
変形例3:上記実施形態では、文書ボックスは、要求元だけが直接アクセス事が可能であるが、たとえばユーザーIDに関連付けてユーザー毎にネットワーク内の文書ボックスの情報が記憶され、ログインしているユーザーのユーザーIDに関連するボックスの一覧を表示するようにしてもよい。この際、ユーザーIDに関連付けられた文書ボックスの情報は、ネットワーク内の全ての画像形成装置の記憶部に記憶されていてもよいし、特定の画像形成装置のみに記憶されている場合には、他の画像形成装置から、ユーザーIDと共に情報の要求を送信して取得するようにしてもよい。あるいは、ネットワーク内の画像形成装置を管理するサーバーを有する場合には、このサーバーがこの情報を管理し、画像形成装置から情報の要求をサーバーに対して行うようにしてもよい。
【0070】
変形例4:上記実施形態では、LANで接続されているパーソナルコンピュータと画像形成装置とで画像読取システムが構成されているが、必ずしもパーソナルコンピュータと画像形成装置とで画像読取システムを構成する必要はない。具体的には、たとえば画像形成装置の代わりに画像読取装置を使用してもよい。さらに、スマートフォンやタブレットと、画像形成装置とをBLUETOOTH(登録商標)のような無線通信で接続して画像読取システムを構成してもよい。この場合には、文書提出要求ジョブ生成処理のためのユーザーインターフェースは、スマートフォンやタブレットと、画像形成装置とのいずれで提供してもよく、Webインターフェースでもよい。