特許第6607374号(P6607374)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ノーリツの特許一覧

<>
  • 特許6607374-補助熱源機付きヒートポンプ給湯装置 図000002
  • 特許6607374-補助熱源機付きヒートポンプ給湯装置 図000003
  • 特許6607374-補助熱源機付きヒートポンプ給湯装置 図000004
  • 特許6607374-補助熱源機付きヒートポンプ給湯装置 図000005
  • 特許6607374-補助熱源機付きヒートポンプ給湯装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6607374
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】補助熱源機付きヒートポンプ給湯装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 4/02 20060101AFI20191111BHJP
   F24H 1/00 20060101ALI20191111BHJP
【FI】
   F24H4/02 S
   F24H1/00 602C
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-126270(P2015-126270)
(22)【出願日】2015年6月24日
(65)【公開番号】特開2017-9213(P2017-9213A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2018年5月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】岩本 淳
【審査官】 大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−089011(JP,A)
【文献】 特開2014−047942(JP,A)
【文献】 特開2015−031436(JP,A)
【文献】 特開2009−275958(JP,A)
【文献】 特許第5037985(JP,B2)
【文献】 特開2014−190653(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H1/00,1/18−1/20,4/00−4/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯使用の予測に応じてヒートポンプ運転により貯湯運転を行う補助熱源機付きヒートポンプ給湯装置であって、
前記補助熱源機は給湯する湯水を再加熱可能に構成され、
前記貯湯運転は少なくとも第1設定温度と、前記第1設定温度より高温の第2設定温度の2つの設定温度で貯湯可能であり、
浴槽への湯張りと給湯のための貯湯運転において、前記給湯使用の予測から目標貯湯熱量と湯張り時刻を設定し、
前記目標貯湯熱量が、貯湯タンクが前記第1設定温度の湯水で満たされた場合の貯湯熱量より小さい場合には、第1設定温度で貯湯運転を行って前記湯張り時刻に湯張り運転を行い、
前記目標貯湯熱量が、貯湯タンクが前記第1設定温度の湯水で満たされた場合の貯湯熱量より大きい場合には、ヒートポンプ運転のCOPを算出し、
前記COPが所定値以上の場合は、貯湯タンクの湯水及び浴槽の湯水に蓄えられた熱量の和が前記目標貯湯熱量に達するように前記湯張り時刻より前に前記第1設定温度で貯湯運転と湯張り運転を複数回行い、
前記COPが所定値未満の場合は、貯湯タンクの湯水に蓄えられた熱量が前記第2設定温度で前記目標貯湯熱量に達するように貯湯運転し前記湯張り時刻に湯張り運転することを特徴とする補助熱源機付きヒートポンプ給湯装置。
【請求項2】
前記COPは外気温度および入水温度に応じて算出されることを特徴とする請求項1に記載の補助熱源機付きヒートポンプ給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は補助熱源機付きヒートポンプ給湯装置に関し、特に過去の給湯使用熱量等を蓄積したデータから予測給湯熱量を算出し貯湯運転を制御するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の補助熱源機付きヒートポンプ給湯装置は、給湯使用直前にヒートポンプにより必要量を貯湯タンクに貯める1次エネルギー効率が最も良い給湯器である。このヒートポンプ給湯システムは、機器の小型化と1次エネルギー高効率化を両立するために、容量が50L〜100L程度の小型の貯湯タンクを備えている。そのため、ふろの湯張りを行った直後にシャワーを使用する等、短時間に多量の給湯を行うときは貯湯タンクに貯めた湯水では必要量を確保できないことがある。
【0003】
必要な給湯量を確保するには、貯湯タンクを大きくするか、貯湯温度を上げることが考えられるが、前者は機器の小型化を阻害し、後者はヒートポンプの効率が下がり好ましくない。そのため、湯水の不足分をガス熱源等の補助熱源機で給湯することになるが、この場合、ヒートポンプと比べて給湯コストが高いため、ランニングコストが高くなるという課題がある。
【0004】
これを解決する方法として、補助熱源機と温水供給手段を備えたふろ装置において、浴槽を蓄熱槽として使用する方法が開示されている(特許文献1)。これによれば、湯水の使用量が増える時刻(入浴時刻)より前に温水供給手段の蓄熱槽に蓄えられた熱を浴槽にためた湯水に移動させ、電力使用量の増加に伴う排熱の増加を利用して入浴時刻までに蓄熱槽に必要な熱量を蓄えることで、補助熱源機を使用せずにふろの湯張りとシャワー使用等入浴に必要な貯湯熱量を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許5037985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の方法では、電力使用量が増加し始める帰宅時刻と入浴時刻の間の時間が十分でない場合、入浴に必要な貯湯熱量が熱電併給装置から供給できない。また、温水供給手段がヒートポンプ給湯装置である場合、冬季等外気温度や入水温度が低い場合には、ヒートポンプで高温の湯水を貯湯することが効率的でない場合があり、ランニングコストが嵩むことがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、給湯使用の予測に応じてヒートポンプ運転により貯湯運転を行う補助熱源機付きヒートポンプ給湯装置であって、前記補助熱源機は給湯する湯水を再加熱可能に構成され、前記貯湯運転は少なくとも第1設定温度と、前記第1設定温度より高温の第2設定温度の2つの設定温度で貯湯可能であり、浴槽への湯張りと給湯のための貯湯運転において、前記給湯使用の予測から目標貯湯熱量と湯張り時刻を設定し、前記目標貯湯熱量が、貯湯タンクが前記第1設定温度の湯水で満たされた場合の貯湯熱量より小さい場合には、第1設定温度で貯湯運転を行って前記湯張り時刻に湯張り運転を行い、前記目標貯湯熱量が、貯湯タンクが前記第1設定温度の湯水で満たされた場合の貯湯熱量より大きい場合には、ヒートポンプ運転のCOPを算出し、前記COPが所定値以上の場合は、貯湯タンクの湯水及び浴槽の湯水に蓄えられた熱量の和が前記目標貯湯熱量に達するように前記湯張り時刻より前に前記第1設定温度で貯湯運転と湯張り運転を複数回行い、前記COPが所定値未満の場合は、貯湯タンクの湯水に蓄えられた熱量が前記第2設定温度で前記目標貯湯熱量に達するように貯湯運転し前記湯張り時刻に湯張り運転することを特徴としている。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、前記COPは外気温度および入水温度に応じて算出されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
第1の発明によれば、給湯使用の予測に応じて目標貯湯熱量と湯張り時刻を設定して貯湯運転や湯張り運転を自動で実行可能であり、目標貯湯熱量が、貯湯タンクが前記第1設定温度の湯水で満たされた場合の貯湯熱量を超える場合に外気温度と入水温度から算出されたCOPが所定値以上であれば、湯張り時刻より前に第1設定温度での貯湯運転と前倒し湯張り運転を複数回繰り返すことにより、目標貯湯熱量の全量をヒートポンプにより貯湯して給湯することができ、COPが所定値未満であれば目標貯湯熱量の全量を第2設定温度でヒートポンプにより貯湯して給湯することができる。したがって、補助熱源機を使用せず、第1設定温度と第2設定温度とでヒートポンプ運転が効率的で低コストになる設定温度をCOPの値から判断して貯湯および給湯できるので、ランニングコストを低減することができる。
【0010】
第2の発明によれば、ヒートポンプ給湯装置に通常備えられている外気温度センサと入水温度センサから各温度を取得して、外気温度と入水温度に応じてCOPを算出するため、追加部材なく低コストで実現可能であり、外気温度と入水温度に応じて最適な設定温度の貯湯運転が選択されるので、ランニングコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の補助熱源機付きヒートポンプ給湯装置を示す図である。
図2】1日の使用熱量の時系列データおよびヒートポンプによる貯湯運転を例示する図である。
図3】本発明の補助熱源機付きヒートポンプ給湯装置のふろ自動運転を示すフローチャートである。
図4】本発明の補助熱源機付きヒートポンプ給湯装置の貯湯運転を示す図である。
図5】本発明の補助熱源機付きヒートポンプ給湯装置の湯張り運転を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0013】
図1に示すように、補助熱源機付きヒートポンプ給湯装置1は、貯湯タンク5を備えた貯湯給湯ユニット2、貯湯タンク5内の湯水の加熱を行うヒートポンプ式熱源機3を備え、貯湯、給湯、ふろの追い焚き等の機能を有している。
【0014】
貯湯給湯ユニット2は、貯湯タンク5、貯湯タンク5とヒートポンプ式熱源機3との間を循環させて湯水を加熱する加熱循環回路4、貯湯タンク5からの湯水の温度が設定温度以下である場合に再加熱を行う補助熱源機6、給水通路7、給湯通路21、ふろの追い焚きをする追焚回路9、この追焚回路9を流れる浴槽の湯水を加熱する外部加熱回路11、貯湯給湯ユニット2とヒートポンプ式熱源機3及び補助熱源機6等を制御する為の制御ユニット12等を備えている。
【0015】
貯湯タンク5は、ヒートポンプ式熱源機3で加熱された湯水(例えば45〜70℃)を貯湯可能に構成されている。貯湯タンク5の外周には、下側から上側に向かって等間隔に複数の温度センサ14a〜14dが順に設けられ、これら複数の温度センサ14a〜14dにより貯湯タンク5内の複数の貯留層の湯水温度が検出される。貯湯タンク5の周囲は図示しない断熱材で覆われ、貯湯タンク5内の湯水の降温を防いでいる。
【0016】
補助熱源機6は、バーナーや熱交換器等を内蔵した公知のガス給湯器で構成され、給湯運転時に貯湯タンク5内の湯水温度が低下した場合やふろ追焚運転を含む外部加熱運転等の特別な場合に限り、制御ユニット12からの指令により燃焼作動され、湯水を加熱するものである。再加熱用タンク出湯通路23と補助熱源機入湯通路24との間には切換弁31が設置されている。補助熱源機入湯通路24の下流端は、補助熱源機6の導入口に接続されている。補助熱源機入湯通路24には、補助熱源機6に供給される湯水を加圧する加圧ポンプ32と、補助熱源機入湯通路24の通水量を検出可能な流量センサ33が設置されている。補助熱源機6の出口側の給湯通路25には、補助熱源機6から導出された湯水温度を検出可能な湯水温度検出センサ14eが設けられている。
【0017】
給水通路7は、上水源から低温の水を貯湯タンク5等に供給するものであり、上流給水通路部7a、下流給水通路部7bを有し、上流端が上水源に接続され、下流端が貯湯タンク5の下部に接続されている。上流給水通路部7aと下流給水通路部7bとの間から出湯通路25に接続するバイパス通路17が分岐されている。上流給水通路部7aに、温度センサ14fが設けられ、下流給水通路部7bに、逆止弁16が設けられている。バイパス通路17には、逆止弁18が設けられている。
【0018】
給湯通路21は、貯湯タンク5に貯湯された湯水を浴槽40やシャワー等の給湯先に供給するものであり、その上流側は混合弁26に接続されている。給湯通路21の下流側は分岐して、その一端が湯張り弁43を介して追焚回路9に接続され、他端はシャワー等の給湯先に給湯可能に接続されている。混合弁26は、給湯温度が給湯設定温度になるように上水源からバイパス通路17を通る低温の水と貯湯タンク5から出湯通路25を通る高温の湯水の混合比を調整するものである。混合弁26により給湯設定温度に調整された湯水は給湯通路21を通ってシャワー等に供給可能であり、湯張り弁43を開くことで浴槽40に湯張りされる。給湯通路21には、温度センサ14gが設けられ、混合弁26と温度センサ14gの間にバイパス通路17から分岐し開閉弁28を有する分岐通路27が接続され、開閉弁28を開くことで高温出湯を回避可能に構成されている。
【0019】
ヒートポンプ式熱源機3は、補助制御ユニット33を介して制御ユニット12に制御され、圧縮機45、水熱交換器46、膨張弁47、空気熱交換器48を冷媒配管を介して接続することでヒートポンプ回路49を構成し、冷媒配管に封入された冷媒を利用して貯湯運転が行われる。詳しくは、圧縮機45と空気熱交換器用の送風ファン50とが夫々駆動され、圧縮機45により圧縮され昇温した冷媒の熱が、水熱交換器46において加熱循環回路4を流れる湯水との間で熱交換が行われて湯水が加熱される。熱交換により降温した冷媒は、膨張弁47により膨張してさらに降温し、空気熱交換器48で外気の熱を吸熱した後、再び圧縮機45に向かう。このように冷媒がヒートポンプ回路49内を循環することにより加熱循環回路4を流れる湯水を加熱して貯湯運転が行われる。
【0020】
制御ユニット12は、貯湯温度センサ14a〜14d、入水温度センサ14f、給湯温度センサ14g、外気温度センサ51等から各部温度を取得し、加熱循環回路4や給湯通路21等に備えられたバルブ、ポンプ等を作動させ、ヒートポンプ式熱源機3や補助熱源機6を運転して使用者が設定した給湯設定温度での給湯が可能なように制御している。
【0021】
さらに、制御ユニット12は図2(a)に示すような1日の給湯使用熱量等と使用時刻等を記録した時系列データを更新しながら1週間分の時系列データ蓄積し、この蓄積された時系列データを基に給湯使用熱量等の予測を行い、目標貯湯熱量や貯湯温度、貯湯時刻、湯張り時刻等を設定し、これに合わせて自動で貯湯運転や湯張り運転を行うように制御している。
【0022】
浴室等の給湯先には、使用者が給湯温度やふろの湯張り温度等を制御ユニット12に送信して設定可能な操作リモコン41が備えられている。この操作リモコン41には、第1設定温度での貯湯運転を所定条件下で優先するように設定するスイッチ(エコふろ自動スイッチ)42が設けられている。
【0023】
以下、図3に基づいて本発明の補助熱源機付きヒートポンプ給湯装置におけるふろ自動運転について説明する。
【0024】
操作リモコン41のスイッチ42がONの場合(S1:Yes)、制御ユニット12が過去の使用熱量等の時系列データから予測される給湯使用熱量(目標貯湯熱量)や貯湯時刻、湯張り時刻等を演算する(S2)。次に、制御ユニット12は、目標貯湯熱量が第1設定温度でのヒートポンプ運転による最大貯湯熱量を超えるか否か判定する(S3)。最大貯湯熱量とは、貯湯タンクに所定の設定温度の湯水が満たされ、これ以上貯湯タンク内の湯水に熱量を蓄えられない状態(満蓄状態)のときに、湯水に蓄えられた熱量のことである。目標貯湯熱量が第1設定温度での最大貯湯熱量を超える場合(S3:Yes)は、制御ユニット12が外気温度と入水温度に応じてヒートポンプ運転におけるCOP(成績係数)を算出する(S4)。
【0025】
ここで、COPとは、ヒートポンプの性能を示す指標の1つである。ヒートポンプは外気の熱を冷媒を介して加熱対象に移動させるものであるから、COPは外気温度と入水温度により変動する。そのため制御ユニット12は、貯湯運転の設定温度を選択するときに、算出したCOPが所定値以上か否かに応じて効率的な貯湯が可能な設定温度を選択する(S5)。設定温度は少なくとも第1設定温度と、第1設定温度より高温の第2設定温度の2つの設定温度を選択可能である。第1設定温度は45℃〜55℃、第2設定温度は60℃〜70℃に設定することが好ましい。
【0026】
算出されたCOPが所定値以上の場合(S5:Yes)には、図2(b)に示すように入浴時刻直前の湯張り時刻より前に、図4に示す第1設定温度での貯湯運転(S6〜S9)と図5に示す浴槽40への前倒し湯張り運転(S10)を複数回実行して積算した貯湯熱量が目標貯湯熱量に達するように貯湯する。目標貯湯熱量に達したら(S7:Yes)貯湯運転を停止して(S11)ふろ自動運転を終了する。
【0027】
算出されたCOPが所定値未満の場合(S5:No)には、第2設定温度で図4に示すようにヒートポンプ運転により目標貯湯熱量を貯湯し(S14)、目標貯湯熱量に達したら(S15:Yes)貯湯運転を停止して(S18)湯張り時刻に図5に示す湯張り運転を行い(S19)、ふろ自動運転を終了する。
【0028】
スイッチ42がONの場合(S1:Yes)かつ目標貯湯熱量が第1設定温度での最大貯湯熱量を超えない場合(S3:No)には、図4に示すように第1設定温度で貯湯運転し(S16)、目標貯湯熱量に達したら(S17:Yes)貯湯運転を停止して(S18)湯張り時刻に図5に示す湯張り運転を行い(S19)、ふろ自動運転を終了する。
【0029】
スイッチ42がOFFの場合(S1:No)かつ目標貯湯熱量が第1設定温度での最大貯湯熱量を超える場合(S13:Yes)には、図4に示すように第2設定温度で貯湯運転し(S14)、目標貯湯熱量に達したら(S15:Yes)貯湯運転を停止して(S18)湯張り時刻に図5に示す湯張り運転を行い(S19)、ふろ自動運転を終了する。
【0030】
スイッチ42がOFFの場合(S1:No)かつ目標貯湯熱量が第1設定温度での最大貯湯熱量を超えない場合(S13:No)には、図4に示すように第1設定温度で貯湯運転し(S16)、目標貯湯熱量に達したら(S17:Yes)貯湯運転を停止して(S18)湯張り時刻に図5に示す湯張り運転を行い(S19)、ふろ自動運転を終了する。
【0031】
以上説明した補助熱源機付きヒートポンプ給湯装置の作用、効果について説明する。
本発明の補助熱源機付きヒートポンプ給湯装置によれば、過去の給湯使用熱量等を更新しながら蓄積した時系列データから目標貯湯熱量や貯湯温度、貯湯時刻、湯張り時刻等を設定して貯湯運転や湯張り運転を自動で行い、スイッチ42がONであれば、ヒートポンプ運転のCOPを算出し、COPが所定値以上の場合には第1設定温度での貯湯運転と前倒し湯張り運転を選択して目標貯湯熱量の全量を貯湯し、COPが所定値未満の場合には第2設定温度で貯湯、給湯することが可能である。これにより、目標貯湯熱量が第1設定温度での最大貯湯熱量を超える場合でも、補助熱源機6を使用せず、第1設定温度と第2設定温度とでヒートポンプ運転が効率的で低コストになる設定温度をCOPから判断して貯湯、給湯を行うことができ、ランニングコストを低減することができる。
【0032】
また、ヒートポンプ運転のCOPは外気温度と入水温度から算出していることから、特に機器を追加することなくCOPを算出でき、外気温度と入水温度に応じて最適な貯湯運転が選択されるので、ランニングコストを低減することができる。
【0033】
なお、貯湯運転と前倒し湯張り運転を複数回実行する場合、設定された湯張り時刻より早い時刻に前倒しして浴槽40への湯張りを開始するため、給湯使用のピークを前倒しして低くすることができる。しかし、前倒しで湯張りした湯水が入浴時刻までに降温することは避けられない。これに対してランニングコストを低く保つ観点から、追焚運転等による再加熱を回避することが好ましいため、湯水の温度低下が5時間で2℃以下であるような公知の保温浴槽および蓋を使用して、前倒しで湯張りした湯水の降温を防ぐことが好ましい。
【0034】
次に、前記実施例を部分的に変更した形態について説明する。
[1]第1設定温度で貯湯運転と湯張り運転を複数回実行する間に、前倒しで湯張りした浴槽40の湯水を追焚運転により再加熱する構成も可能である。貯湯タンク5の湯水により浴槽40の湯水を追焚用熱交換器10を介して再加熱するように制御ユニット12がポンプ、バルブを駆動して貯湯タンク5内の湯水および浴槽40の湯水を循環させる。この時ヒートポンプ式熱源機3を駆動していてもよい。
【0035】
[2]過去の使用熱量等の時系列データは、データ蓄積期間を例えば1か月間と長くしたり、曜日毎に使用熱量等を集計した時系列データ、平日と休日とで使用熱量等を集計した時系列データとしたりしてもよく、使用者の生活パターンに合うように適宜変更可能である。
【0036】
[3]前記実施例において、貯湯タンク容量や給湯設定温度、貯湯設定温度等の温度は、一例を示したに過ぎず、ヒートポンプ式熱源機の性能等に応じて、適宜変更可能である
【0037】
[4]その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0038】
1 補助熱源機付きヒートポンプ給湯装置
2 貯湯給湯ユニット
3 ヒートポンプ式熱源機
5 貯湯タンク
12 制御ユニット
14a〜14g 温度センサ
40 浴槽
42 スイッチ
51 外気温度センサ
図1
図2
図3
図4
図5