(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明における好ましい実施の形態を説明する。
【0012】
(1)本発明の磁性体コアの固定構造は、請求項1に記載のものにおいて、前記余長部は前記介在物に設けられた前記係止受け部に係止されるとともに、前記介在物は前記固定部材である前記導電体に固定される構成とすることが好ましい。
このような構成によれば、介在物は、磁性体コアを貫通する導電体を利用して全体の固定が行われるため、磁性体コアの周辺に適当な固定部材が存在しなくても、磁性体コアの固定を行うことができる。
【0013】
(2)また、請求項1に記載のものにおいて、前記余長部は、前記固定部材である車両のボディ側に設けられた前記係止受け部に係止される構成としてもよい。
このような構成によれば、余長部が不動のボディ側に係止されるため、磁性体コアの固定状況を安定化させることができる。
【0014】
(3)請求項1に記載のものにおいて、前記余長部は、前記介在物に設けられた前記係止受け部に係止されるとともに、前記介在物は前記固定部材である、前記導電体の近傍に配索されたワイヤハーネスに固定される構成としてもよい。
このような構成によれば、介在物が導電体の近傍に配策されたワイヤハーネスに固定されるため、つまり導電体とワイヤハーネスとが磁性体コア及び
介在物を介して保持し合う関係になるため、ワイヤハーネス及び導電体の配索経路の安定化にも寄与する。
【0015】
(4)請求項3に記載のものにおいて、前記余長部は、前記介在物に設けられた前記係止受け部に係止されるとともに、端部は前記介在物を貫通して前記ボディ側に設けられた係止受け部に向けて導出されるようにしてもよい。
余長部は、介在物に設けられた係止受け部に係止した後に、介在物を貫通してボディ側に設けられた係止受け部に向けて導出され、ボディ側において係止される。かくして、(2)と同様、磁性体コアの固定状況を安定化させることができる。
【0016】
(5)請求項2に記載のものにおいて、前記介在物は前記係止受け部を有し前記磁性体コアの全体を露出させるコア取り付け部と、前記コア取り付け部の両端部から前記導電体の延び方向に沿って延出されて前記導電体に固定される導電体固定部とを備えるようにしてもよい。
このような構成によれば、介在物において、導電体固定部はコア取付け部を挟んで導電体の延び方向に沿って延出する構成であるため、つまり導電体に対する固定部分の間隔を長くとることができるため、磁性体コアの取り付けを安定化させることができる。
【0017】
(6)請求項4に記載のものにおいて、前記介在物は前記係止受け部を有し前記磁性体コアの全体を露出させるコア取り付け部と、前記取り付け部の両端部から前記ワイヤハーネスの延び方向に沿って延出されて前記ワイヤハーネスに固定されるハーネス固定部とを備えるようにしてもよい。
このような構成によれば、介在物において、ハーネス固定部はコア取付け部を挟んで導電体の延び方向に沿って延出する構成であるため、つまりワイヤハーネスに対する固定部分の間隔を長くとることができるため、磁性体コアの取り付けを安定化させることができる。
【0018】
(7)請求項2に記載のものにおいて、前記介在物は前記係止受け部を有し前記磁性体コアの外周形状に略適合しつつ略半周分を収容し残りの略半周分を露出させるケース状に形成され、かつ軸方向両端には前記磁性体コアの軸方向両端面と対向して前記磁性体コアの軸方向に関する位置決めを行う一対の押さえ壁が形成されたコア収容部と、前記コア収容部の両端部から前記導電体の軸方向に沿って延出されて前記導電体に固定される導電体固定部とを備えるようにしてもよい。
このような構成によれば、(5)の作用効果に加え、介在物において、コア収容部は磁性体コアの外周形状に適合するように形成されているため、磁性体コアの収容姿勢を安定化させることができる。また、コア収容部は、一対の押さえ壁を有して磁性体コアの軸方向への位置決めを行うようにしているため、磁性体コアを軸方向へのがた付きをも規制した状態で収容することができる。
【0019】
(8)請求項4に記載のものにおいて、前記介在物は前記係止受け部を有し前記磁性体コアの外周形状に略適合しつつ略半周分を収容し残りの略半周分を露出させるケース状に形成され、かつ軸方向両端には
前記磁性体コアの軸方向両端面と対向して前記磁性体コアの軸方向に関する位置決めを行う一対の押さえ壁が形成されたコア収容部と、前記コア収容部の両端部から前記ワイヤハーネスの軸方向に沿って延出されて前記ワイヤハーネスに固定されるハーネス固定部とを備えた構成としてもよい。
このような構成によれば、(6)(7)の作用効果を発揮することができる。
【0020】
(9)請求項5に記載のものにおいて、前記介在物は前記係止受け部を有し前記磁性体コアの外周形状に略適合しつつ略半周分を収容し残りの略半周分を露出させるケース状に形成され、かつ軸方向両端には
前記磁性体コアの軸方向両端面と対向して前記磁性体コアの軸方向に関する位置決めを行う一対の押さえ壁が形成されたコア収容部を備え、また前記余長部を前記ボディ側に設けられた前記係止受け部に向けて導出させるための導出孔が備えられている構成としてもよい。
このような構成によれば、(4)(7)の作用効果を発揮することができる。
【0021】
(10)請求項2に記載のものにおいて、前記介在物は、前記係止受け部を有し、
前記磁性体コアの外周形状に略適合し径方向に分割された開閉可能な一対の半割体によって前記磁性体コア全体を隠蔽状態で収容するケース状に形成され、かつ前記半割体に形成されて
前記磁性体コアの軸方向両端面と対向して前記磁性体コアの軸方向に関する位置決めを行う一対の押さえ壁を有するコア収容部と、前記コア収容部の両端部から前記導電体の軸方向に沿って延出されて前記導電体に固定される導電体固定部とを備えた構成としてもよい。
このような構成であれば、介在物が磁性体コアの全体を隠蔽した状態で収容するため、磁性体コアが異物と干渉して、割れ・欠けといった事態から保護することができる。
【0022】
(11)請求項4に記載のものにおいて、前記介在物は前記係止受け部を有し、前記磁性体コアの外周形状に略適合し径方向に分割された開閉可能な一対の半割体によって前記磁性体コア全体を隠蔽状態で収容するケース状に形成され、かつ前記半割体に形成されて
前記磁性体コアの軸方向両端面と対向して前記磁性体コアの軸方向に関する位置決めを行う一対の押さえ壁を有するコア収容部と、前記コア収容部の両端部から前記ワイヤハーネスの軸方向に沿って延出されて前記ワイヤハーネスに固定されるハーネス固定部とを備えた構成としてもよい。
このような構成によれば、(6)(10)の作用効果を発揮することができる。
【0023】
(12)請求項5に記載のものにおいて、前記介在物は前記係止受け部を有し、前記磁性体コアの外周形状に略適合し径方向に分割された開閉可能な一対の半割体によって前記磁性体コア全体を隠蔽状態で収容するケース状に形成され、かつ前記半割体に形成されて
前記磁性体コアの軸方向両端面と対向して前記磁性体コアの軸方向に関する位置決めを行う一対の押さえ壁を有するコア収容部を備え、また前記余長部を前記ボディ側に設けられた前記係止受け部に向けて導出させるための導出孔が備えられる構成としてもよい。
このような構成によれば、(9)(10)の作用効果を発揮することができる。
【0024】
(13)請求項1ないし請求項13のいずれかに記載のものにおいて、前記磁性体コアの外周面には、前記結束部材を磁性体コアの軸方向に関する位置決めを行うための位置決め部が形成される構成としてもよい。
このような構成によれば、結束部材を分割コアに巻き付けるときに、結束部材は位置決め部によって軸方向へ位置決めされた状態で位置決めされるため、各分割コアが確実に整合した磁性体コアを得ることができる。
【0025】
(14)請求項1ないし請求項14のいずれか1項に記載のものにおいて、前記結束部材が、前記磁性体コアよりも熱伝導率の高い材料からなり、前記介在物が放熱部材に接続されるか、前記余長部は伝熱部材を介して前記放熱部材に接続される構成としてもよい。
この構成によれば、磁性体コアで生じた熱や磁性体コアを貫通する導電体で生じ磁性体コアに伝達した熱を介在物を介して放熱部材から放熱するか、あるいは結束部材、伝熱部材を介して放熱部材から放熱することができる。これによって、磁性体コアの温度上昇が抑制され、フィルタ機能の低下を防止することができる。
【0026】
次に、本発明の磁性体コアの固定構造を具体化した各実施例について、図面を参照しつつ説明する。
【0027】
<実施例1>
図1ないし
図3は本発明の実施例1を示している。本実施例1の磁性体コア1の固定構造は磁性体コア1、磁性体コア1の中心軸を貫通する電線3(導電体)、磁性体コア1を構成する両分割コア1Aを緊締するための結束バンド2(結束部材)、及び磁性体コア1を収容し、電線3への固定を可能にするホルダー4(介在物)とを備えて構成されている。
【0028】
磁性体コア1(フェライトコア)は、
図1に示すように、周方向に等しく2分割され、両分割コア1Aの分割面同士を整合状態で突き合わせると全体は円筒状をなす。両分割コア1Aの分割面には軸方向に沿って凹溝5Aが形成され、凹溝5A同士が整合するようにして磁性体コア1が形成されたときには、軸心に沿って電線挿通孔5(挿通孔)が形成され電線3を遊挿(挿通)することができる。
【0029】
また、磁性体コア1の外周面であって軸方向の中間部には、周方向に沿って位置決め溝6(位置決め部)が全周に亘って凹設されている。この位置決め溝6は、次述する結束バンド2が軸方向に関してずれないように位置決めするためのものである。位置決め溝6は結束バンド2をほぼ密着して嵌め入れ可能な溝幅であり、結束バンド2の軸方向へのずれを効果的に抑制できる程度の深さに形成されている(本例では、結束バンド2の厚みよりもやや浅めに形成されている。)。
【0030】
電線3は、例えば一端が入力側機器(図示しない)に接続され、他端側は出力側の機器(図示しない)に接続されている。電線3はその途中において、磁性体コア1の電線挿通孔5を軸方向に沿って貫通している。
【0031】
結束バンド2は合成樹脂材によって一体に形成されている。結束バンド2は長尺の帯状に形成され、全体として良好な可撓性を有しており、磁性体コア1の外周面(位置決め溝)に対し全周に亘って密着状態で巻き付けることができる。結束バンド2は磁性体コア1の全周長より十分に長めに形成され、したがって結束バンド2を全周に亘って巻き付けた状態で一端側に余長部2Aが生じる長さに形成されている。
【0032】
結束バンド2の一端部には結束状態を保持するためのロック部7が設けられている。ロック部7はボックス形状をなし、内部には
図3に示すように、結束バンド2の他端部を挿通させるための挿通路8が形成されている。また、ロック部7内において挿通路8にはロック爪9が形成されている。ロック爪9は結束バンド2の他端部の挿通方向に向けて撓み可能に延出する片持ち状に形成されている。一方、結束バンド2の他端部の一面側(挿通路8に挿通されたときにロック爪9と対面する側)には断面が鋸刃状をなす複数の係止歯10が設けられている。係止歯10は、
図3に示すように、結束バンド2の他端からやや離間した位置から所定長さ範囲に亘って均一ピッチで形成されている。係止歯10とロック爪9とは結束バンド2のロック部7に対する挿通方向に関しては、係止歯10を順に乗り越えて係止位置を変更可能であるが、反対方向へは戻り止めされた状態で係止される。すなわち、結束バンド2の他端部をロック部7内に挿通させて余長部2A(結束バンド2のうちロック部7を通過した部分)を絞り上げることで、ロック爪は所定の係止歯10と戻り止めされた状態で係止して、両分割コア1Aを整合状態で緊締することができる。
【0033】
本例におけるホルダー4は合成樹脂材によって一体に形成されている。ホルダー4は、
図1に示すように、磁性体コア1の略半周分を収容するコア収容部11と、ホルダー4を電線3に固定するための電線固定部12(導電体固定部)とを備えている。
【0034】
コア収容部11は、円筒形状の部材に対しその中心軸を含む平面で切断した形態であり、一面側に開口して磁性体コア1を収容可能としている。コア収容部11の内周面(
図1における底面)は磁性体コア1の外周面形状に適合するような半円弧形状をなしている。
【0035】
コア収容部の軸方向両端面には一対の押さえ壁13が形成されている。
図2に示すように、コア収容部11内に磁性体コア1が収容されたときに、両押さえ壁13は磁性体コア1の軸方向両端面とほぼ隙間なく対向し、磁性体コア1がホルダー4内において軸方向へずれ動かないようにしている。また、両押さえ壁13の図示上端縁の中央部には、磁性体コア1がホルダー4内に収容されたときに電線3との干渉を回避するための逃がし凹部14が切り欠き形成されている。
【0036】
ホルダー4の底面には
図3に示すように、膨出部15が突設されている。膨出部15はホルダー4の本体部分の内部空間と連通する中空状に形成され、結束バンド2が磁性体コア1を緊締した状態で、ロック部7および結束バンド2の余長部2Aの一部を収容可能である。膨出部15の一側面にはホルダー側係止受け部16が形成されている。
【0037】
ホルダー側係止受け部16には、結束バンド2の余長部2Aが挿通可能な挿通孔17が貫通している。この挿通孔17内には結束バンド2のロック部7と同様のホルダー側ロック爪18が形成されており、係止歯10と選択的に係止可能となっている。余長部2Aの先端側は挿通孔17を貫通してホルダー4の外部に導出されている。したがって、余長部2Aのうちホルダー4の外部に導出された部分を強く引っ張り、そのときに対応するホルダー側ロック爪18と係止歯10とが係止することで、磁性体コア1をホルダー4(コア収容部11)の底面に押し付けて磁性体コア1をホルダー4内でがた付かないようにすることができる。
【0038】
電線固定部12はホルダー4の軸方向両端部から軸方向に沿って一対延設されている。具体的には、両押さえ壁13における逃がし凹部14とは反対側の端部中央から軸方向外方へ向けて片持ち状に一対が延出形成されている。また、本例における電線固定部12は可撓性を有しており、自然状態では真っ直ぐに延出しているが、
図2に示すように、テープ巻きによって電線3へ固定する際には、各自由端側が電線3側に向けて途中から撓み変形させてある。なお、各自由端側は電線3の外周形状に合わせて予め湾曲した断面形状となるように設定されている。
【0039】
次に、上記のように構成された本実施例1の作用効果を説明する。まず、本例の磁性体コア1の固定構造の組み立て手順の一例を説明すると、まず、
図1に示すように、一方の分割コア1Aの凹溝5Aに沿うように電線3の途中部分を嵌め入れる。続いて、双方の分割面同士が整合するように他方の分割コア1Aの分割面を一方の分割コア1Aの分割面に突き当てる。これによって電線3は両凹溝5A間に包囲され、結果として磁性体コア1の電線挿通孔5に挿通される。
【0040】
上記の状態で、磁性体コア1を結束バンド2で締め上げる作業がなされる。この作業においては、結束バンド2を全周に亘って位置決め溝6に沿わせることで、結束バンド2が磁性体コア1に対して斜めに取り付いたり、磁性体コア1の端部側へずれた状態で取り付くことが回避される。結束バンド2は、係止歯10側の端部がロック部7の挿通路8内に挿通され、余長部2Aがそれ以上には引っ張ることができない状態、つまり、両分割コア1Aの分割面同士が整合して圧着される状態まで引っ張られた時点で、所定の係止歯10とロック爪9とが戻り止め状態で係止する。かくして、両分割コア1Aが結束バンド2によって直接緊締され、全周に亘って均一な締め付け力を付与することができるため、磁性体コア1は両分割コア1A同士が軸方向にずれたり、径方向に浮いたりといったがた付きのない整合状態で保持される。
【0041】
この後、結束バンド2のロック部7が下向きとなるようにして磁性体コア1をホルダー4内に収容する。このとき、電線3の一部は両逃がし凹部14内に一部が入り込むことでホルダー4との干渉が回避されている。また、結束バンド2の余長部2A側端部をホルダー側係止受け部16の挿通孔17を介してホルダー4の外部に導出させるとともに、ロック部7を膨出部15内に収容させる。そして、余長部2Aのうちホルダー4から外部に導出された部分を強く引っ張り、磁性体コア1の外周面がホルダー4(コア収容部11)の内周面と圧着して、これ以上の引張りができなくなった時点で、ホルダー側係止受け部16のホルダー側ロック爪18と所定の係止歯10とが戻り止めされた状態で係止される。
【0042】
最後に、両電線固定部12の自由端部を電線3側に向けて湾曲させ、電線3に対して沿わせた上でテープT巻きによって固定すれば、ホルダー付き磁性体コア1の全体が軸方向に関して固定される。
【0043】
かくして、磁性体コア1に関し、それ自体は結束バンド2によって全周から締め付け力を均一に得て緊締されるため、両分割コア1Aが軸方向にずれたり、あるいは径方向に離間したりといったがたつきがなく、磁性体コア1単体でのがた付きが確実に回避される。
【0044】
また、ホルダー4に対しても、余長部2Aを利用してホルダー側係止受け部16に戻り止めされた状態で係止させれば、磁性体コア1をホルダー4内でのがた付きが抑制された状態で収容することが可能である。
【0045】
特に、本例ではノイズ除去の対象物である電線3を利用して磁性体コア1およびホルダー4の固定を行うものであるため、周辺に磁性体コア1を固定するための適当な部材が存在しない場合に有効である。
【0046】
さらに、実施例1では電線固定部12を、コア収容部11を挟んで軸方向へ一対を延出するようにしたため、電線3に対する固定部位の間隔を長くとることができるため、電線3に対するホルダー4の取り付け状況を安定化させることができる、という効果も発揮することができる。
【0047】
<実施例2>
図4は本発明の実施例2を示している。実施例1では、磁性体コア1及びホルダー4の取り付け相手として電線3を選択したが、実施例2では電線3と略平行に配策されたワイヤハーネス21が選択されている。固定構造を構成する各部材のうち、磁性体コア1、結束バンド2、電線3の構成は実施例1と同様である。
【0048】
ホルダー20についても、ワイヤハーネス21へ固定される関係でハーネス固定部22と名称のみ実施例1と異なるが、構成としては実施例1の電線固定部と略同一構成である。本例の膨出部15は、コア収容部11と軸方向に関して同幅に形成され、ワイヤハーネス21に固定される場合に、軸方向に沿って下面全体がワイヤハーネスに当接される。また、実施例1では電線3への固定に際して、ホルダー4の両電線固定部12を電線3に近づけるべく湾曲変形させたが、本実施例2のハーネス固定部22はほぼ成形時の状態のまま、すなわち軸方向に沿った形態のまま使用される。
【0049】
なお、機能的に実施例1と同じものは図面上に同一符合を付して説明は省略する。
【0050】
上記のように構成された実施例2によれば、実施例1の作用効果に加えて、磁性体コア1自体の固定と併せてワイヤハーネス21の途中に固定部位が形成されることから、ハーネスおよび電線3の配索経路の安定化にも寄与する、という作用効果も発揮することができる。
【0051】
<実施例3>
図5は本発明の実施例3を示している。本実施例3では、ホルダー30に対する固定部材として、自動車のボディ31が選択されている。磁性体コア1、結束バンド2、電線3については、実施例1及び実施例2と同一構成である。ホルダー30についても電線固定部12あるいはハーネス固定部22およびホルダー側係止受け部16を備えず、またホルダー側係止受け部16に代えて余長部2Aを単に通過させるだけの導出孔32が貫通している点が相違するだけで、他の構成は実施例1,2と同様である。
【0052】
本実施例3において、ボディ31には装着孔33が貫通しており、ここにはクリップ34が装着される。クリップ34は合成樹脂製であり、装着孔33に対する差し込み部34Aと、その上部に一体に備えられボディ側係止受け部35を有した装着部34Bとから構成されている。
【0053】
差し込み部34Aは、装着孔33への差し込み時には径方向へすぼみ変形し、装着孔33を通過後には拡開方向に復帰してクリップ34が装着孔33から抜け出ないよう孔縁に対して弾性的に係止する抜け止め片34A−1と、クリップ34の中心軸上において抜け止め片34A−1と連続し装着孔33内に差し込まれる連結軸部34A−2と、連結軸部34A−2の上部に連続するシール片34A−3を有している。シール片34A−3は装着孔33より大径の傘状に形成され、クリップ34がボディ31に取り付けられた状態ではその外周縁がボディ31における装着孔33周りにシール状態で密着して装着孔33に対する防水、防塵を行う。
【0054】
装着部34Bはシール片34A−3の上部に連続している。ボディ側係止受け部35はクリップ34の上端部に形成されている。ボディ側係止受け部35は実施例1、2におけるホルダー側係止受け部16と基本的に同一構成であり、クリップ側ロック爪36により結束バンド2の余長部2Aを戻り止めした状態で係止可能である。
【0055】
上記のように構成された実施例3では、予めボディ31の装着孔33に対してクリップ34の装着が行われる。一方で、結束バンド2によって緊締された状態の磁性体コア1がホルダー30に収容され、余長部2Aがホルダー30の導出孔32を通して外部に導出される。そして、余長部2Aのうちホルダー30から導出された部分は、クリップ34のボディ側係止受け部35を貫通した状態で外方に引っ張られる。これによって、磁性体コア1は実施例1、2と同様に、ホルダー30内にがた付きなく固定され、かつ全体としてもボディ31に固定されるところとなる。
【0056】
以上のように、実施例3によれば、磁性体コア1及びホルダー30を、不動のボディ31に固定するようにしたため、実施例1、2に比較して磁性体コア1、ホルダー30の固定状況をより安定的なものとすることができる。
【0057】
<実施例4>
図6、
図7は本発明の実施例4を示している。実施例1ないし実施例3では、ホルダー4,20,30は磁性体コア1の下半分を収容し、上半分はホルダー4,20,30から露出(突出)する構成であった。しかし、実施例4のホルダー40は磁性体コア1全体を収容して全体が隠蔽されるようにしたものである。
【0058】
実施例4のホルダー40は、
図7に示すように、上ホルダー40Aと下ホルダー40B(共に、本発明の半割体を構成する)とを備え、ヒンジ41を介して開閉可能に連結されている。下ホルダー40Bの基本的構成は、実施例1,2と同様である。但し、下ホルダー40Bにおけるヒンジ41とは反対側の開口縁には、一対の受け部42が形成されている。両受け部42は図示上下方向に開口する角筒状に形成されている。
【0059】
上ホルダー40Aは磁性体コア1の上半周分を収容可能であり、内面は下ホルダー40Bと同様、磁性体コア1の外周面適合するように形成されている。両ホルダー40A,40Bが閉じられた状態では、上ホルダー40Aの開口縁は下ホルダー40Bの開口縁と整合するとともに、両ホルダー40A,40Bに形成された逃がし凹部43同士も整合するように形成されている。
【0060】
また、上ホルダー40Aの開口縁において、ヒンジ41と反対側には一対の係止爪44が設けられ、先端部は開口縁から上方へ突出するよう形成されている。上下ホルダー40A,40Bが閉じられると、両係止爪44は対応する受け部42内に差し込まれて係止することで、両ホルダー40A,40Bが閉止状態でロックされる。また、本実施例4においては、実施例1と同様、磁性体コア1及び両ホルダー40A,40Bは電線3に対して電線固定部45をテープT巻きすることによって固定される。
【0061】
本実施例では、実施例1の作用効果に加え、磁性体コア1の全体を隠蔽状態で収容するようにしたため、磁性体コア1が異物と干渉して、割れ・欠けといった事態から保護することができる、という作用効果を発揮することができる。
【0062】
<実施例5>
図8は本発明の実施例5を示している。本実施例のものは、実施例4のものにおける固定部材を電線3に並設されたワイヤハーネス21に変更したものである。また、実施例2のホルダー20を実施例4の
ホルダー40に置換したものとも言い得る。したがって、本例のホルダー50も上ホルダー50Aと下ホルダー50Bとから開閉可能に構成されている。
【0063】
他の構成は実施例4と同様であり、もって同様の作用効果を発揮することができる。また、実施例2と同様に、ホルダー50をワイヤハーネス21の途中の部位にテープT巻きするようにしているため、ワイヤハーネス21及び電線3の配索経路の安定化に寄与する。
【0064】
<実施例6>
図9は本発明の実施例6を示している。本実施例のものは、実施例5のものにおける固定部材をボディ(クリップ)に変更したものであり、また実施例3のホルダー30を実施例4あるいは実施例5のホルダー40,50に置換したものとも言い得る。
【0065】
他の構成は実施例4,5と同様であり、もって同様の作用効果を発揮することができる。加えて、磁性体コア1及びホルダー60を、クリップを介して不動のボディに固定するようにしたため、実施例1、2に比較して磁性体コア1、ホルダー60の固定状況をより安定的なものとすることができる。
【0066】
<実施例7>
図10、
図11は本発明の実施例7を示している。実施例7は実施例1および実施例4のホルダー4,40を変更したものである。本例のホルダー70は実施例1,4のコア収容部11が存在せず、したがって押さえ壁13も持たない点で、実施例1,4のホルダー4,40と相違する。逆に、ホルダー70の基部となる部分はコア取付け部70Aを構成し、その下面にホルダー側係止受け部16を有する膨出部15が形成されている点、一対の電線固定部71を有している点は上記両実施例のホルダー4,40と共通である。
【0067】
このように構成された実施例7においても、磁性体コア1は結束バンド2によってがた付きなく整合状態に保持される点で、他の何れの実施例とも共通の作用効果を発揮することができる。
【0068】
なお、磁性体コア1は、ホルダー70に取り付けられた状態でも略全体が露出されるが、固定構造全体が異物との干渉がない環境で設置されるのであれば、実用上支障を来すことはない。
【0069】
<実施例8>
図12は本発明の実施例8を示している。実施例8は実施例7の固定部材を、電線3から電線3に並列するワイヤハーネス21へと変更したものであり、ホルダー80に設けられたハーネス固定部81をテープT巻きすることで、ワイヤハーネス21への固定がなされる。ホルダー80については、基部となる部分の上面にホルダー側係止受け部16を有した膨出部15が形成されている点においても実施例7と相違している。他の構成は、実施例7と同様であり、もって同様の作用効果を発揮することができるとともに、加えてワイヤハーネスと電線3の配索経路の安定化に寄与する。
【0070】
<実施例9>
図13は本発明の実施例9を示している。実施例9は実施例3及び実施例6のものから、ホルダー30,60を省略して磁性体コア1をクリップ34を介してそのままボディ31側に係止するようにしたものである。他の構成は、実施例3および実施例6と同様である。
【0071】
このように構成された実施例9においても、磁性体コア1は結束バンド2によってがた付きなく整合状態に保持される点で、他の何れの実施例とも共通の作用効果を発揮することができ、加えてホルダーを用いない分固定構造全体の構成を簡素化することができる効果もある。
【0072】
<実施例10>
図14〜16は本発明の実施例10を示している。実施例10は、磁性体コア101で発生した熱や磁性体コア101を貫通する電線3で生じ磁性体コア101に伝達した熱の放熱を図ったものである。そのために、磁性体コアの構成を異ならせるとともに、結束バンド102(結束部材)とホルダー104(介在物)の材料を変更している。
【0073】
磁性体コア101は、ノイズフィルタ機能を有するフェライトコア等のフィルタ本体と、非磁性層(図示省略)とを備えて構成されている。磁性体コア101は、実施例1と同じく一対の分割コア101Aを合体して構成されている。非磁性層は、フィルタ本体の外面のうち分割コア101A同士が直接接触する周方向の端面101Eほぼ除いた全領域に亘っている。この非磁性層は、フィルタ本体と結束バンド102とを磁気的に絶縁するともに、フィルタ本体とホルダー104とを磁気的に絶縁する。
【0074】
実施例1の結束バンド2は合成樹脂製であったが、本実施例10の結束バンド102は、磁性体コア101より熱伝導率の高い材料からなる。結束バンド102の具体的な材料としては、可撓性を有する金属等がある。また、実施例1のホルダー4が合成樹脂製であったのに対し、本実施例10のホルダー104は電線固定部12を含め、磁性体コア101よりも熱伝導熱が高く、かつ結束バンド102よりも熱伝導率が高い材料からなっている。ホルダー104の具体的な材料としては、可撓性の低い金属等がある。
【0075】
ところで、本実施例10においては、磁性体コア101において電線3のジュール熱が伝達されること、及び電線で発生した磁束を磁性体コア101が吸収しこれが熱変換されることに起因して発熱を生じる。このような熱が効果的に放熱されず、磁性体コア101の温度が高められたままになっていると、ノイズ低減機能が低下してしまう、といったことが懸念される。
【0076】
本実施例10はそのような事態に効果的に対応できるものである。すなわち、磁性体コア101の熱は、結束バンド102によってホルダー104に伝わる。磁性体コア101はホルダー104内にがたつきをもった状態で収容されているため、磁性体コア101の外面とホルダー104の内面との間には空気層が介在されている。したがって、磁性体コア101(結束バンド102で結束されている部分を除く)から空気層を介してホルダー104に伝わる伝熱経路と、磁性体コア101、結束バンド102を介してホルダー104に伝わる伝熱経路を比較した場合、磁性体コア101の外周面に直接結束され、かつ熱伝導率の高い結束バンド102を通る伝熱経路の方が経路全体としての熱抵抗が低くなっている。かくして、電線3、磁性体コア101の熱は、優先的に結束バンド、ホルダー104、両電線固定部12を介して電線3に伝えられ、電線3の外面における広い範囲から大気中に放熱される。これにより、電線3を放熱部材として機能させることで、結束バンド102の温度上昇を抑制し、磁性体コア101の温度上昇を効果的に抑制することができる。このことは、電線3の放熱にも寄与するため、電線3自体の局所的な温度上昇も有効に抑制される。したがって、電線3に許容される電流値の低下を抑制することができる。
【0077】
<実施例11>
図17は本発明の実施例11を示している。実施例11では、実施例2において、磁性体コア1と結束バンド2を実施例10と同じ構成の磁性体コア101と結束バンド102に変更したものである。また、実施例11のホルダー120の形状は実施例4のホルダー20と同じ形状であるが、実施例11のホルダー120の材料は実施例10のホルダー104と同じ材料に変更している。
【0078】
本実施例11では、ホルダー120はその下面部、および両電線固定部22をワイヤハーネス21の外周面に接触させており、ワイヤハーネス21が放熱部材として機能するようにしている。すなわち、磁性体コア101の熱は、結束バンド102、ホルダー104(電線固定部22)を介してワイヤハーネス21に伝達され、ワイヤハーネスにおいて長さ方向に広範囲に延びる外面から大気中へ放熱される。
【0079】
磁性体コア101が効果的に放熱されることに伴って電線3の局所的な温度上昇も効果的に抑制される点を含み、他の作用と効果は、実施例10と同様である。
【0080】
<実施例12>
図18は本発明の実施例12を示している。実施例12では、実施例3において、磁性体コア1と結束バンド2を実施例10、11と同じ構成の磁性体コア101と結束バンド102に変更したものである。また、実施例12のホルダー130の形状は実施例5のホルダー30と同じ形状であるが、実施例12のホルダー130の材料は実施例10及び実施例11のホルダー104と同じ材料に変更している。さらに、実施例12のボディ131とクリップ134の形状は実施例3のボディ31及びクリップ34と同じ形状であるが、実施例12のボディ131とクリップ134の材料は、磁性体コア101及び結束バンド102よりも熱伝導率の高い材料に変更されている。
【0081】
本実施例12においては、ホルダー130が余長部2Aを介してクリップ134に接続され、このクリップ134(伝熱部材)によって金属製ボディ131に接続されている。したがって、磁性体コア101の熱は、結束バンド102、ホルダー130、クリップ134を介して放熱部材であるボディ131へと優先的に伝達され、ボディ131の広範な面積を通じて大気中に放熱される。かくして、磁性体コア101の温度上昇が抑制され、またこれに伴って電線3の局所的な温度上昇も併せて抑制される等、温度上昇抑制に関する作用と効果は、実施例10と同様である。
【0082】
<実施例13>
図19,
図20は本発明の実施例13を示している。実施例13では、実施例4において、磁性体コア1と結束バンド2を実施例10〜12と同じ構成の磁性体コア101と結束バンド102に変更したものである。また、実施例13のホルダー140の形状は実施例4のホルダー40と同じ形状であるが、実施例13のホルダー140の材料は実施例10〜12のホルダー104と同じ材料に変更している。本実施例13における放熱部材は電線3である。
本実施例13の熱伝達と磁性体コア101及び電線3の温度上昇抑制に関する作用と効果は、実施例10と同様である。
【0083】
<実施例14>
図21は本発明の実施例14を示している。実施例14では、実施例5において、磁性体コア1と結束バンド2を、実施例10〜13と同じ構成の磁性体コア101と結束バンド102に変更したものである。実施例14のホルダー150の形状は実施例5のホルダー50と同じ形状であるが、実施例14のホルダー150の材料は実施例10〜13のホルダー104と同じ材料に変更している。本実施例14における放熱部材はワイヤハーネス22である。
本実施例14の熱伝達と磁性体コア101及び電線3の温度上昇抑制に関する作用と効果は、実施例10と同様である。
【0084】
<実施例15>
図22は本発明の実施例15を示している。実施例15では、実施例6において、磁性体コア1と結束バンド2を、実施例10〜14と同じ構成の磁性体コア101と結束バンド102に変更したものである。実施例15のホルダー160の形状は実施例6のホルダー60と同じ形状であるが、実施例15のホルダー160の材料は実施例10〜14のホルダー104と同じ材料に変更している。さらに、実施例15のボディ131とクリップ134の形状は実施例6のボディ31及びクリップ34と同じ形状であるが、実施例15のボディ131とクリップ134(伝熱部材)の材料は、磁性体コア101及び結束バンド102よりも熱伝導率の高い材料に変更されている。本実施例15における放熱部材は金属製のボディ131である。
本実施例15の熱伝達と磁性体コア101及び電線3の温度上昇抑制に関する作用と効果は、実施例10と同様である。
【0085】
<実施例16>
図23,
図24は本発明の実施例16を示している。実施例16では、実施例7において、磁性体コア1と結束バンド2を、実施例10〜15と同じ構成の磁性体コア101と結束バンド102に変更したものである。実施例16のホルダー170の形状は実施例7のホルダー70と同じであるが、実施例16のホルダー170の材料は、磁性体コア101及び結束バンド102よりも熱伝導率の高い材料に変更されている。本実施例16における放熱部材は電線3である。
本実施例16の熱伝達と磁性体コア101及び電線3の温度上昇抑制に関する作用と効果は、実施例10と同様である。
【0086】
<実施例17>
図25は本発明の実施例17を示している。実施例17は、実施例8において、磁性体コア1と結束バンド2を、実施例10〜16と同じ構成の磁性体コア101と結束バンド102に変更したものである。実施例17のホルダー180の形状は実施例8のホルダー80と同じであるが、実施例17のホルダー180の材料は、磁性体コア101及び結束バンド102よりも熱伝導率の高い材料に変更されている。本実施例17における放熱部材はワイヤハーネス21である。
本実施例17の熱伝達と磁性体コア101及び電線3の温度上昇抑制に関する作用と効果は、実施例10と同様である。
【0087】
<実施例18>
図26は本発明の実施例18を示している。実施例18は、実施例9において、磁性体コア1と結束バンド2を、実施例10〜16と同じ構成の磁性体コア101と結束バンド102に変更したものである。さらに、実施例18のボディ131とクリップ134の形状は実施例9のボディ31及びクリップ34と同じ形状であるが、実施例18のボディ131とクリップ134(伝熱部材)の材料は、磁性体コア101及び結束バンド102よりも熱伝導率の高い材料に変更されている。本実施例18における放熱部材は金属製のボディである。
本実施例18の熱伝達と磁性体コア101及び電線3の温度上昇抑制に関する作用と効果は、実施例10と同様である。
【0088】
<係止受け部の変形例>
図27は係止受け部Sの変形例を示している。何れの実施例においても、ホルダー側係止受け部16およびボディ側係止受け部35にはロック爪18,36が一つのみ設けられていたが、
図27に示す変形例においては一対のロック爪L1,L2を互いに向き合う状態で設けるようにしている。
【0089】
このように構成すれば、係止受け部Sに対する余長部2Aの差し込み姿勢を表裏選択することが可能となり、その分、余長部2Aの差し込み姿勢の選択の自由度が高まる。
【0090】
なお、このような変形例は結束バンド2のロック部7にも適用可能であることは言うまでもない。
【0091】
<係止受け部のさらなる変形例>
図28は係止受け部S2のさらなる変形例を示している。
図27では一対設けられたロック爪L1,L2は同方向に延出していたが、
図28に示す変形例ではこれらロック爪L3,L4が反対方向に延出するようにしている。
【0092】
このような構成であれば、余長部2Aの差し込み姿勢を表裏反転しつつ、係止受け部S2に対する差し込み方向を反対向きに変更することができるから、差し込み姿勢の選択に加え差し込み方向をも選択できる。
【0093】
<磁性体コアの変形例>
図29は磁性体コアCの変形例を示している。何れの実施例においても、各分割コア1Aの分割面が直接整合される形態であったが、
図29に示すように、両分割コアC1,C2の分割面の間に介在物Mを介在させるような形態であってもよい。このような分割面同士の間に介在物が介されるために、直接突き合されない変形例のものも本発明の「整合」に含まれる。このような構成によって、磁気飽和を解消することも可能である。
【0094】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例では、導電体として電線3を例示したが、バスバーや、矩形状のフラット電線であってもよい。
(2)上記実施例では磁性体コア1を二分割したが、それ以上の個数で分割してもよい。
(3)上記実施例では結束手段として結束バンド2を使用したが、ワイヤ、紐等の他の結束部材であってもよく、要は、各分割コア1Aを整合状態で緊締して保持することができるものであれば良い。
(4)上記実施例では、結束バンド2の軸方向への位置決めとして位置決め溝6を凹み形成したが、これに代えて一対の突条を軸方向に離間して突出形成して、両突条間において結束バンド2を配するようにしてもよい。
(5)上記実施例3,6,9では,クリップ34にボディ側係止受け部35を形成して磁性体コア1をボディ31に対してクリップ34を介して間接的に係止するようにしたが、ボディ31自体に係止受け部を形成して直接的に係止するようにしてもよい。
(6)上記実施例では電線固定部及びハーネス固定部を、電線3あるいはワイヤハーネス21に対してテープT巻きするようにしたが、これに代えて結束バンド2にて固定するようにしてもよい。
(7)上記実施例4ないし6では、上下のホルダー40A,40Bを、ヒンジ41を介して一体化したものを示したが、ヒンジ41を設けずに別体の2部材の構成としてもよい。
(8)上記実施例では、磁性体コアを円筒状としたが、磁性体コアは非円形の筒状であってもよい。
(9)上記実施例では、電線挿通孔の断面形状を円形としたが、電線挿通孔の断面形状は、非円形であってもよい。
(10)上記実施例では、1つの磁性体コアに形成する電線挿通孔の数を1つとしたが、1つの磁性体コアに複数の電線挿通孔を形成してもよい。
(11)上記実施例では、フェライトコア(磁性体コア)の外周に位置決め溝を形成したが、フェライトコア(磁性体コア)はその外周に位置決め溝が形成されていない形態であってもよい。
(12)上記実施例では、分割コアを1本の結束バンドによって緊締(合体状態に固定)したが、分割コアを緊締する結束バンドの本数は、磁性体コアの重量や大きさに応じて複数本としてもよい。
(13)上記実施例3,6に、ホルダー側係止受け部を設けてもよい。
(14)上記実施例10〜18において、磁性体コアと結束バンドとホルダーの熱伝導率の高低関係は、任意に変更することができる。例えば、磁性体コアの熱伝導率を結束バンドと同じ熱伝導率にしてもよく、結束バンドの熱伝導率をホルダーと同じ熱伝導率にしてもよい。
(15)上記実施例10〜18において、磁性体コアと結束バンドとボディとクリップの熱伝導率の高低関係は、任意に変更することができる。例えば、ボディやクリップの熱伝導率を磁性体コアや結束バンドと同じ熱伝導率にしてもよく、クリップの熱伝導率をボディとは異なる熱伝導率にしても良い。
【0095】
(16)実施例15と実施例18において、放熱部材をボディとする構成を示したが、これに限らず、例えばECUケース(アルミ等の金属ケース)といった比較的大きな放熱面積を有する金属製ケースを用いることもできる。