特許第6607449号(P6607449)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6607449
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20191111BHJP
【FI】
   A63F7/02 304D
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-149098(P2016-149098)
(22)【出願日】2016年7月29日
(65)【公開番号】特開2018-15349(P2018-15349A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2016年10月28日
【審判番号】不服2018-17215(P2018-17215/J1)
【審判請求日】2018年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 勝巳
【合議体】
【審判長】 石井 哲
【審判官】 藤田 年彦
【審判官】 牧 隆志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−208509(JP,A)
【文献】 特開2005−73906(JP,A)
【文献】 特開2012−24302(JP,A)
【文献】 特開2007−313103(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
当否判定結果を報知する演出が表示されるものであり、所定の大きさの表示領域を有する表示装置と、
前記表示領域の一部を覆うように重なる遊技部材と、
前記遊技部材によって常時覆われ、遊技者が視認困難または視認不可能な前記表示領域の被覆部分に当否判定結果を報知する演出には関連しない情報を表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの遊技機において、表示装置の周辺に役物等が設けられている(例えば下記特許文献1参照)。配置スペース等の制限により、役物等に常時覆われる表示領域が生じてしまうこともある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−172814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、表示装置の表示領域を有効的に活用することが可能な遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、当否判定結果を報知する演出が表示されるものであり、所定の大きさの表示領域を有する表示装置と、前記表示領域の一部を覆うように重なる遊技部材と、前記遊技部材によって常時覆われ、遊技者が視認困難または視認不可能な前記表示領域の被覆部分に当否判定結果を報知する演出には関連しない情報を表示させる表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
本発明にかかる遊技機では、表示領域における遊技部材が重なる箇所に所定の情報が表示される。つまり、表示領域における遊技部材に重なってしまう領域を有効的に活用することが可能である。
【0007】
前記所定の情報としては、ソフトウェアに関する情報が例示できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、表示装置の表示領域を有効的に活用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態にかかる遊技機の正面図である。
図2】(a)は表示領域と遊技部材(遊技盤、装飾部材)の関係を、(b)は表示領域の第一の部分と第二の部分を示した図である。
図3】表示領域と遊技部材(遊技盤、装飾部材)の断面(前後方向に沿う平面で切断した断面)を模式的に示した図である。
図4】表示領域における第一の部分に当否判定結果を報知するための図柄が表示され、第二の部分に所定の情報が表示された状態を示した図である。
図5】表示領域と可動部材の関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明にかかる遊技機1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
【0011】
遊技機1は遊技盤91を備える。遊技盤91は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0012】
遊技領域902には、始動入賞口904、大入賞口906、アウト口907などが設けられている。また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0013】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動入賞口904や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0014】
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0015】
大当たりの抽選(当否判定)は、図示されない制御基板に設けられた当否判定手段が始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として実行する(このような始動入賞口が複数設けられていてもよい)。具体的には、始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。大当たりに当選した場合には、大入賞口906が頻繁に開放状態となる公知の大当たり遊技が実行される。また、乱数源から取得された数値に基づき、当否判定結果を報知するための演出の具体的な内容が決定される。
【0016】
本実施形態にかかる遊技機1は、公知の遊技機と同様に、当否判定結果を報知するための図柄が表示されたり、演出としての映像が表示されたりする表示装置10およびそれを制御する表示制御手段(図示せず)を備える。当該表示装置10としては液晶表示装置が例示できる。図1および図2等に示すように、表示装置10は所定の大きさの表示領域11を備える。ここでいう表示領域11とは、遊技機1に対して正対した遊技者が視認可能な領域という意ではなく、表示装置10として画像を表示可能な領域のことをいう。本実施形態における表示装置10の表示領域11は方形状である。
【0017】
図2および図3に示すように、表示領域11は、遊技部材90に覆われない部分(以下、第一の部分111と称することもある)と、遊技部材90に覆われる部分(以下、第二の部分112と称することもある)を含む。つまり、第一の部分111は、前側に位置する遊技部材90に対して前後方向(表示領域11に沿う平面に対して直交する方向をいう)で重ならない部分であり、第二の部分112は、当該遊技部材90に対して前後方向に重なる部分である(以下、単に、重なる、重ならないというときは、当該前後方向における重なりの有無をいうものとする)。ここで、遊技部材90とは、遊技盤91やそれに固定された装飾部材92等、遊技機1を構成する部材のあらゆるものを含む。
【0018】
本実施形態では、遊技盤91に開口911(光透過性を有する部材で覆われていてもよい)が形成されており、当該開口911の少なくとも一部に表示領域11が重なるようにして表示装置10が配置されている。遊技盤91には、開口911の一部に重なるようにして装飾部材92が固定されており、当該装飾部材92の少なくとも一部が表示領域11に重なる。したがって、第一の部分111は、遊技盤91に形成された開口911に重なり(開口911を通じて露出しており)、かつ装飾部材92に重ならない部分である。また、第二の部分112は、遊技盤91に重なる部分、または装飾部材92に重なる部分である。第二の部分112は、表示領域11における第一の部分111以外の部分であるということもいえる。なお、本実施形態では、表示領域11に対する遊技部材90(遊技盤91や装飾部材92)の相対的な位置が変化しない、すなわち表示装置10および遊技部材90の両方ともが遊技機1の本体側に対して固定化されたものであるため、第一の部分111および第二の部分112の大きさは変化しない。
【0019】
表示領域11における第一の部分111は、遊技機1に正対した遊技者が視認可能な部分である。ゆえに、当該第一の部分111において、当否判定結果を報知するための図柄や、演出としての各種映像が表示される(図4参照)。つまり、遊技中には、遊技の進行に関連する情報を示す画像(静止画、動画の両方を含む概念である。以下同じ)が表示される。当該第一の部分111の表示態様は公知の遊技機と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0020】
表示領域11における第二の部分112は、遊技機1に正対した遊技者が視認困難または視認不可能な部分である。なお、ここでいう視認不可能とは、遊技部材90を取り外す等していない状態において視認することが不可能なことをいう。つまり、表示領域11を覆う遊技部材90を取り外す、その位置をずらす等すれば、それに覆われていた第二の部分112が露出するため、当該部分を視認することが可能となる。一方、視認困難とは、表示領域11(第二の部分112)と遊技部材90の間にある程度の隙間が存在することで、前後方向に対して傾斜した視線とすることで第二の部分112に表示される画像が視認可能となるような状態をいう。
【0021】
本実施形態では、当該第二の部分112に所定の情報20を表示する(図4参照)。本実施形態における所定の情報20は、遊技の進行に関連しない情報を示す画像である。当該第二の部分112に表示される画像は、第一の部分111に表示される画像(遊技の進行に関連する情報を示す画像)とは関連しないものであるともいえる。
【0022】
本実施形態では、所定の情報20として、遊技機1内部の制御、動作に関する情報が表示される。具体的には、遊技機1が有するソフトウェアに関する情報が表示される。当該ソフトウェアに関する情報としては、ソフトウェアの版数に関する情報(バージョン情報)、各種フラグ(大当たりフラグ等)に関する情報、各種カウンタ(当否判定抽選を実行するための乱数カウンタ等)に関する情報が例示できる。
【0023】
このように、本実施形態にかかる遊技機1では、表示装置10の表示領域11における遊技部材90に覆われる第二の部分112に、所定の情報20を表示する。つまり、遊技機1に正対した遊技者が視認困難または視認不可能な部分であって、各種演出を実行するのに必要ない本来であれば無駄となっていた部分に情報を表示しておくものであるため、表示領域11の有効的な活用を図ることが可能である。
【0024】
そして、本実施形態では、第二の部分112に遊技機1内部の制御、動作に関する情報が表示されるため、これらの情報を把握した上での修理が必要な不具合対応が容易となる。従来の遊技機として、特別な操作(特別なコマンドの送信)によって表示装置に内部の情報を表示させることができるものが知られており、この種の遊技機では特別な操作によって当該情報を得た上で不具合対応を行っていた。また、特別な操作によって表示装置に内部の情報を表示させることができないものについては、基板等の解析により当該情報を得た上で不具合対応を行っていた。本実施形態にかかる遊技機1では、第二の部分112に常にかかる情報が表示されているため、事前の特別な操作、基板等の解析が必要ない。
【0025】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0026】
上記実施形態にかかる遊技機1はいわゆるぱちんこ遊技機であるが、回動式遊技機等、表示装置を備えた他の遊技機に対しても同様の技術思想が適用可能である。
【0027】
上記実施形態では、表示領域11を覆う遊技部材90が遊技盤91や装飾部材92等の固定化された部材であることを説明したが、可動するものが遊技部材90として設定された構成としてもよい。例えば、所定範囲を動作可能な可動部材93を備えたものとする(図5(a)参照)。そして、当該可動部材93は、どのような位置に位置するときであっても、表示領域11の一部に重なる部分を有するとする。つまり、可動部材93がどのような位置に位置しても(動作しても)、必ず当該可動部材93によって覆われる部分が表示領域11に存在するとする。この場合には、当該部分を第二の部分112の少なくとも一部として設定するとよい(図5(b)参照)。また、可動部材93を動作させるための駆動機構(図示せず)が表示領域11の一部に重なるのであれば、当該部分を第二の部分112の少なくとも一部として設定してもよい。
【0028】
上記実施形態では、表示領域11の第二の部分112に遊技の進行に関連しない情報が表示されることを説明したが、第一の部分111に表示されている遊技の進行に関連する情報とは別の遊技の進行に関連する情報が第二の部分112に表示される構成としてもよい。つまり、第一の部分111においては、当否判定結果を報知する図柄や当否判定結果が大当たりとなる蓋然性等を示す演出等、どのような遊技者であっても当然に視認することができる主演出が実行される一方、第二の部分112では主演出とは異なる副演出(隠れ演出)が実行されるようにする。副演出は、主演出とは関連しないように(主演出とは異なるアプローチで)、遊技の進行に関連する情報を示すものであることが好ましい。例えば、第一の部分111において当否判定結果が報知される前から、第二の部分112において当否判定結果の内容を具体的に示す副演出が実行されるような構成が考えられる。
【0029】
なお、このような構成とする場合には、表示領域11(第二の部分112)と遊技部材90との間にある程度の大きさの隙間を設定し、遊技者が視線を前後方向に対して傾斜させたときに、第二の部分112が視認可能となるように設定する必要がある。つまり、遊技部材90を取り外す、位置をずらす等しなくても、遊技者が遊技中に第二の部分112に表示されている画像を視認することができるようにする必要がある。
【0030】
上記実施形態では、第二の部分112に所定の情報20が表示されることを説明したが、所定の情報20が常に表示されてない構成としてもよい。例えば、遊技中には所定の情報20が表示されず、一定時間遊技が実行されないことで移行する待機状態中には所定の情報20が表示されるような構成としてもよい。ただし、所定の情報20が常に表示される構成とした方が、所定の情報20の表示・非表示を切り替える制御が不要であるという利点がある。
【符号の説明】
【0031】
1 遊技機
10 表示装置
11 表示領域
111 第一の部分
112 第二の部分
20 所定の情報
90 遊技部材
91 遊技盤
911 開口
92 装飾部材
93 可動部材
図1
図2
図3
図4
図5