(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
長方形状であり、ループ状の係合素子が表面の全面に設けられており、当該表面の全面がループ状面ファスナーとして機能し、本電磁波シールド材の表層を構成する絶縁性生地と、
前記絶縁性生地のサイズと同等のサイズを有し、前記絶縁性生地の裏面の全面に貼り付けられており、本電磁波シールド材の裏層を構成する導電性生地と、
前記導電性生地の短手方向の一方の端部の近傍に設けられ、前記ループ状面ファスナーのループ状の係合素子に着脱可能なフック状の係合素子を有し、前記導電性生地の長手方向に沿って連続して延びているフック状面ファスナーと、
前記導電性生地の短手方向の他方の端部を前記絶縁性生地の短手方向の他方の端部に向かって折り曲げることで形成され、当該導電性生地の短手方向の他方の端部の裏面から表面までを連続的に導電性にしている折り曲げ部と、
前記折り曲げ部の表面に電気的に接続された状態で設けられ、前記導電性生地の長手方向に沿って連続して延びている導電性線状材と、
を備える電磁波シールド材。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電線を被覆する電磁波シールド材の結束タイプとして、線ファスナーを用いた線ファスナータイプと、面ファスナーを用いた面ファスナータイプと、スナップボタンを用いたボタンタイプなどの様々なタイプが存在する。
【0008】
ここで、どのような結束タイプでも、雄型装着部と雌型装着部とを導電性のシールド材の両端にそれぞれ設け、電線を囲んだ状態で雄型装着部と雌型装着部とを装着してシールド材を円形にして結束する。雄型装着部と雌型装着部との装着によりシールド材が構成する円形の内径を結束内径と言い、結束内径は、電線の外径に一致すると、シールド材が電線の外周面に密着するため、好ましい。
【0009】
一方、電線の外径は、多種多様であるため、電磁波シールド材の結束内径を、10mm、15mm、20mm、25mm、30mm、40mm、50mm、70mm、100mm等と多段階的に細かく設定している。そして、現場では、作業者が、電線の外径よりも少し大きい結束内径の電磁波シールド材を選択して、電線に巻き付けているのが現状である。そのため、通常、電磁波シールド材の結束内径は、電線の外径に一致しておらず、電線の外径よりも大きくなる。
【0010】
又、現場に設置されている電線は、通常、直線状の他に、湾曲状・屈曲状の形状である。湾曲状・屈曲状の電線に電磁波シールド材を巻き付けようとすると、電線の曲げ部の外径と電線の曲げ部以外の部分の外径とが異なるため、電線の外径よりも大きい結束内径の電磁波シールド材を用いる必要がある。
【0011】
電線の外径よりも大きい結束内径の電磁波シールド材で電線を被覆すると、電磁波シールド材と電線との間に隙間が生じてしまう。この隙間の存在により、電線の電磁波が電磁波シールド材から漏れてしまい、安定したシールド効果を得ることが出来ないという課題がある。
【0012】
他の電磁波シールド材として、電磁波シールド材に熱を加えることで電磁波シールド材を収縮させて、電線の外周面に密着させる熱収縮型の電磁波シールド材が存在する。又、導電性テープを電線の外周面に巻き付けて密着させるテープ型の電磁波シールド材も存在する。しかしながら、これらの電磁波シールド材では、一度、電線に密着させた電磁波シールド材を取り外す場合、電磁波シールド材を破るしか方法が無いため、電線に対して簡単に着脱させることが出来ないという課題がある。
【0013】
上述した特許文献1に記載の技術では、シールド材本体の絶縁性布帛の表面に面ファスナーのフック側を取り付けることにより、電磁波シールド材の巻回状態を保持するが、導電性布帛が全体として適切に通電しているか否かが不明であり、電線の曲げ部に対して安定したシールド効果を得ることが出来るか否かが不明である。
【0014】
上述した特許文献2に記載の技術では、弾性変形可能な絶縁カバーにより固定するが、隙間なく被覆する形態を維持することが出来るか否かが不明であり、電線の曲げ部に対して安定したシールド効果を得ることが出来るか否かが不明である。
【0015】
上述した特許文献3に記載の技術では、フック側とループ側の面ファスナーを巻回維持手段としているため、上述の課題と同様に、電磁波シールド素材の結束内径を多段階的に細かく設定する必要がある。
【0016】
上述した特許文献4に記載の技術では、電磁波シールドフィルムを変形し、その状態を維持するように構成しているが、電子部品の外表面の凹凸と電線の曲げ部は全く異なる形状であるため、電線の曲げ部に対して安定したシールド効果を得ることが出来るか否かが不明である。
【0017】
従って、上述のような課題に対して、特許文献1−4に記載の技術では解決することが出来ない。
【0018】
そこで、本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、隙間なく電線に覆ってシールド効果を確実に得ることが出来るとともに、電線の外径や電線の曲げ部に対して簡単に着脱させることが可能な電磁波シールド材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、本発明に係る新規な電磁波シールド材を完成させた。つまり、本発明に係る電磁波シールド材は、絶縁性生地と、導電性生地と、フック状面ファスナーと、折り曲げ部と、導電性線状材と、を備える。絶縁性生地は、長方形状であり、ループ状の係合素子が表面の全面に設けられており、当該表面の全面がループ状面ファスナーとして機能し、本電磁波シールド材の表層を構成する。導電性生地は、前記絶縁性生地のサイズと同等のサイズを有し、前記絶縁性生地の裏面の全面に貼り付けられており、本電磁波シールド材の裏層を構成する。フック状面ファスナーは、前記導電性生地の短手方向の一方の端部の近傍に設けられ、前記ループ状面ファスナーのループ状の係合素子に着脱可能なフック状の係合素子を有し、前記導電性生地の長手方向に沿って連続して延びている。折り曲げ部は、前記導電性生地の短手方向の他方の端部を前記絶縁性生地の短手方向の他方の端部に向かって、本電磁波シールド材の表面側に折り曲げることで形成され、本電磁波シールド材の表面側に表れる前記導電性生地の短手方向の他方の端部から裏面側の前記導電性生地までを連続的に導電性にしている。導電性線状材は、前記折り曲げ部の表面に電気的に接続された状態で設けられ、前記導電性生地の長手方向に沿って連続して延びている。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、隙間なく電線に覆ってシールド効果を確実に得ることが出来るとともに、電線の外径や電線の曲げ部に対して簡単に着脱させることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0023】
本発明に係る電磁波シールド材1は、
図1〜
図8に示すように、絶縁性生地10と、導電性生地11と、フック状面ファスナー12と、折り曲げ部13と、導電性線状材14と、を備える。
【0024】
絶縁性生地10は、長方形状であり、ループ状の係合素子が表面の全面に設けられており、当該表面の全面がループ状面ファスナーとして機能し、本電磁波シールド材1の表層を構成する。
【0025】
導電性生地11は、絶縁性生地10のサイズと同等のサイズを有し、絶縁性生地10の裏面の全面に貼り付けられており、本電磁波シールド材1の裏層を構成する。従って、電磁波シールド材1は、絶縁性生地10を表層とし、導電性生地11を裏層とする生地(ベース生地)で構成されている。
【0026】
フック状面ファスナー12は、導電性生地11の短手方向の一方の端部11aの近傍に設けられ、ループ状面ファスナーのループ状の係合素子に着脱可能なフック状の係合素子を有し、導電性生地11の長手方向に沿って連続して延びている。ここで、導電性生地11の短手方向の一方の端部11aの近傍とは、例えば、一方の端部11aを含み、一方の端部11aから導電性生地11の中心方向に向かって所定距離だけ内側のことを意味する。
【0027】
折り曲げ部13は、導電性生地11の短手方向の他方の端部11bを絶縁性生地10の短手方向の他方の端部10bに向かって、本電磁波シールド材1の表面側に折り曲げることで形成され、本電磁波シールド材1の表面側に表れる導電性生地11の短手方向の他方の端部11bから裏面側の導電性生地11までを連続的に導電性にしている。
【0028】
導電性線状材14は、折り曲げ部13の表面に電気的に接続された状態で設けられ、導電性生地11の長手方向に沿って連続して延びている。
【0029】
これにより、隙間なく電線に覆ってシールド効果を確実に得ることが出来るとともに、電線の外径や電線の曲げ部に対して簡単に着脱させることが可能となる。
【0030】
先ず、作業者は、本発明に係る電磁波シールド材1を被覆対応の電線2に持って行き、
図9に示すように、本電磁波シールド材1の裏面側の導電性生地11の長手方向を電線2の長手方向に対応させて、導電性生地11を電線2の外周面2Sに密着させる。
【0031】
次に、作業者は、
図10に示すように、折り曲げ部13の導電性線状材14が設けられた導電性生地11の短手方向の他方の端部11bを巻いて、導電性生地11を電線2の外周面2Sに巻き付けて、折り曲げ部13の導電性線状材14を、本電磁波シールド材1の表面側に露出させる。
【0032】
更に、作業者は、
図11に示すように、フック状面ファスナー12が設けられた導電性生地11の短手方向の一方の端部11aを巻いて、導電性生地11を電線2の外周面2Sに巻き付けて、導電性生地11の一部を折り曲げ部13の導電性線状材14に接触させる。
【0033】
ここで、導電性生地11の一部が導電性線状体14と接触すると、導電性線状体14と折り曲げ部13とを経由して、導電性生地11と電気的に接続される。これにより、電線2の外周面2Sは、円形に電気的に接続した導電性生地11に囲まれることになる。
【0034】
そして、作業者は、
図12に示すように、フック状面ファスナー12を、本電磁波シールド材1の表面側の絶縁性生地10に引き寄せて、導電性生地11を電線2の外周面2Sに強く密着させ、フック状面ファスナー12を絶縁性生地10のループ状面ファスナーに付着させることで、導電性生地11を電線2の外周面2Sに密着させて巻き付けた状態にする。
【0035】
これにより、電線2の外表面2Sに導電性生地11を密着させて巻き付けた状態になるため、本発明に係る電磁波シールド材1を隙間なく電線に覆ってシールド効果を確実に得ることが可能となる。
【0036】
又、フック状面ファスナー12は、ループ状面ファスナーから容易に離脱させることが可能である。そのため、フック状面ファスナー12の着脱により、フック状面ファスナー12の付着位置の変更や修正も簡単に行うことが可能であり、電線2に対する導電性生地11の締め直し等の手直しを簡単に行うことが可能となる。
【0037】
特に、
図13に示すように、折り曲げ部13と導電性線状材14とは、電磁波シールド材1の表面側で盛り上がった状態となるため、フック状面ファスナー12の導電性生地11の短手方向の一方の端部11aを巻いて、導電性生地11を電線2の外周面2Sに巻き付ける際に、巻き付けた導電性生地11の一部が、盛り上がった折り曲げ部13の導電性線状材14に確実に接触される。
【0038】
ここで、導電性線状材14が設置された折り曲げ部13は、本電磁波シールド材1の表面側に表れる導電性生地11の短手方向の他方の端部11bから、本電磁波シールド材1の裏面側の導電性生地11までを連続的に導電性にしていることから、導電性線状材14に接触した導電性生地11が、電線2の外周面2Sに対して確実に取り囲んだ状態となる。そして、導電性生地11は電線2の外周面2Sに密着していることから、電線2からの電磁波の漏れを確実に防止することが可能となる。
【0039】
更に、絶縁性生地10の表面の全面は、ループ状面ファスナーを構成していることから、導電性生地11の短手方向の一方の端部11aを電線2の外周面2Sに巻いた状態のフック状面ファスナー12を、本電磁波シールド材1の表面側に露出される絶縁性生地10の表面の任意の位置に付着させることが可能となる。これにより、導電性生地11を電線2の外周面2Sに密着させた状態で固定することが可能となり、安定的なシールド効果を確実に得ることが可能となる。
【0040】
そして、フック状面ファスナー12を絶縁性生地10の表面の任意の位置に付着させることが出来るため、被覆対応の電線の外径がどのようなサイズであっても(例えば、10mm〜30mm、40mm〜70mm、70mm〜120mm等)、フック状面ファスナー12の付着位置を変更し、電磁波シールド材1の結束内径を適宜調整することで、一つの電磁波シールド材1で、多種多様の電線の外径に対応することが可能となる。つまり、本発明に係る電磁波シールド材1では、絶縁性生地10と導電性生地11との短手方向のサイズを調整して、電磁波シールド材1の結束内径を多段階的に細かく設定する必要は無いのである。
【0041】
又、本発明に係る電磁波シールド材1は、フック状面ファスナー12を絶縁性生地10の表面の任意の位置に付着させることが出来るため、被覆対象の電線が複数本並んでいる場合であっても、導電性生地11を複数の電線の外周面に密着させた状態で固定することが可能である。
【0042】
例えば、
図14に示すように、電線2が二本並んで接続されている電線群3の場合、作業者は、本電磁波シールド材1の裏面側の導電性生地11の長手方向を電線群3の長手方向に対応させて、導電性生地11を電線群3の外周面3Sに密着させる。
【0043】
そして、作業者は、
図15に示すように、導電性生地11の短手方向の他方の端部11bを巻いて、導電性生地11を電線群3の外周面3Sに巻き付けて、折り曲げ部13の導電性線状材14を、本電磁波シールド材1の表面側に露出させる。
【0044】
更に、作業者は、
図16に示すように、導電性生地11の短手方向の一方の端部11aを巻いて、導電性生地11を電線群3の外周面3Sに巻き付けて、導電性生地11の一部を折り曲げ部13の導電性線状材14に接触させ、フック状面ファスナー12を、本電磁波シールド材1の表面側の絶縁性生地10のループ状面ファスナーに付着させる。
【0045】
ここで、
図17に示すように、被覆対象が電線群3のように複数の電線2が並んだ状態であっても、フック状面ファスナー12の付着位置を調整することで、本発明に係る電磁波シールド材1を隙間なく電線群3に巻き付けることが可能となる。
【0046】
又、本発明に係る電磁波シールド材1は、フック状面ファスナー12を絶縁性生地10の表面の任意の位置に付着させることが出来るため、被覆対応の電線が湾曲・屈曲した場合であっても、本発明に係る電磁波シールド材1を隙間なく電線に巻き付けることが可能となる。
【0047】
例えば、
図18に示すように、電線4の形状がL字状であり、電線4が曲げ部を有する場合、作業者は、本電磁波シールド材1の裏面側の導電性生地11を曲げて、電線4の曲げ部に対応させて、導電性生地11を電線4の外周面4Sに密着させる。
【0048】
そして、作業者は、折り曲げ部13の導電性線状材14を電線4の外周面4Sに沿わせて、導電性生地11を電線4の外周面4Sに巻き付けて、折り曲げ部13の導電性線状材14を表面に露出させる。
【0049】
ここで、電線4が曲げ部を有する場合、電線4の曲げ部近傍では、フック状面ファスナー12と折り曲げ部13の導電性線状材14とは、本電磁波シールド材1の表面側に立ち上がった状態となる。一方、電線4の曲げ部から離れた部分では、フック状面ファスナー12と折り曲げ部13の導電性線状材14とは、広がった状態となる。
【0050】
そこで、作業者は、電線4の曲げ部近傍では、フック状面ファスナー12を折り曲げて、導電性生地11の一部を折り曲げ部13の導電性線状材14に接触させた状態にして、折り曲げたフック状面ファスナー12を絶縁性生地10のループ状面ファスナーに付着させる。又、作業者は、電線4の曲げ部以外の部分の近傍では、フック状面ファスナー12を引っ張って、導電性生地11の一部を折り曲げ部13の導電性線状材14に接触させた状態にして、導電性生地11を電線4に巻き付けてから、引っ張ったフック状面ファスナー12を絶縁性生地10のループ状面ファスナーに付着させる。
【0051】
ここで、
図18に示すように、電線4に曲げ部が存在する場合、電線4の曲げ部近傍のフック状面ファスナー12の付着位置は、折り曲げ部13の導電性線状材14の近傍となり、電線4の曲げ部以外の部分の近傍のフック状面ファスナー12の付着位置は、折り曲げ部13の導電性線状材14の遠傍となる。本発明では、フック状面ファスナー12を絶縁性生地10の表面の任意の位置に付着させることが出来るため、曲げ部を有する電線4の位置に応じてフック状面ファスナー12の付着位置を変更しなければならない場合であっても、それぞれの位置に応じてフック状面ファスナー12の付着位置を調整することで、本発明に係る電磁波シールド材1を隙間なく、曲げ部を有する電線4に巻き付けることが可能となる。
【0052】
ところで、電線の外径が、電磁波シールド材1の導電性生地11の短手方向のサイズよりも大きい場合は、電磁波シールド材1の導電性生地11を電線の外周面に物理的に巻き付けることが出来ない。このような場合には、電磁波シールド材1を二枚用意し、第一の電磁波シールド材1aの絶縁性生地10の全面と第二の電磁波シールド材1bの絶縁性生地10の全面とを表面(上方)に向けて、第一の電磁波シールド材1aの長手方向と第二の電磁波シールド材1bの長手方向とを揃えて、
図19Aに示すように、第一の電磁波シールド材1aのフック状面ファスナー12の近傍の導電性生地11の一部を、第二の電磁波シールド材1bの導電性線状材14に接触した状態で、第一の電磁波シールド材1aのフック状面ファスナー12を、第二の電磁波シールド材1bの導電性線状材14の近傍の絶縁性生地10のループ状面ファスナーに付着させる。これにより、第一の電磁波シールド材1aと第二の電磁波シールド材1bとが電気的に接続される。このように、複数の電磁波シールド材1をフック状面ファスナー12で電磁波シールド材1の短手方向に繋ぐことで、電磁波シールド材1の導電性生地11の短手方向のサイズを電線の外径よりも大きくして対応することが出来る。
【0053】
次に、第一の電磁波シールド材1aと第二の電磁波シールド材1bとを繋げた状態で、
図19Bに示すように、第一の電磁波シールド材1aと第二の電磁波シールド材1bとの裏面側の導電性生地11を電線5の外周面5Sに巻き付けて、第一の電磁波シールド材1aの折り曲げ部13の導電性線状材14を表面に露出させる。
【0054】
そして、第二の電磁波シールド材1bのフック状面ファスナー12を巻いて、第二の電磁波シールド材1bの導電性生地11の一部を、第一の電磁波シールド材1aの折り曲げ部13の導電性線状材14に接触させる。更に、第二の電磁波シールド材1bのフック状面ファスナー12を巻いて、第一の電磁波シールド材1aの絶縁性生地10のループ状面ファスナーに付着させる。これにより、第一の電磁波シールド材1aと第二の電磁波シールド材1bとの導電性生地11を電線5の外周面5Sに密着させて巻き付けた状態にすることが出来る。
【0055】
このように、一枚の電磁波シールド材1の導電性生地11の短手方向のサイズが電線5の外径よりも小さい場合であっても、二枚以上の電磁波シールド材1を繋げることで、外径が大きい電線5にも対応することが可能となるのである。
【0056】
ところで、本発明に係る電磁波シールド材1では、導電性生地11を電線の外周面を巻き付けると、絶縁性生地10のループ状面ファスナーが外部に露出した状態となるため、外部に他のフック状面ファスナーが存在すれば、そこに巻き付け後の電磁波シールド材1の絶縁性生地10のループ状面ファスナーを付着させることが可能である。
【0057】
例えば、
図20に示すように、キャビネットやフレーム等の設置物6の表面で、且つ、電線2を配置させる箇所に、フック状面ファスナーの小片7を両面テープ等の接着手段により接着する。そして、電線2に巻き付けた状態の電磁波シールド材1の絶縁性生地10のループ状面ファスナーをフック状面ファスナーの小片7に付着していくことで、電線2に巻き付けた後の電磁波シールド材1を設置物6の所望の位置に簡単に固定することが可能となり、電磁波シールド材1が邪魔にならずに、当該電磁波シールド材1を設置物6に適切に整理することが可能となる。
【0058】
さて、絶縁性生地10の種類に特に限定は無いが、例えば、ループ状の係合素子が表面の全面に設けられるパイル生地であると好ましい。パイル生地は、ワッカ状の糸を織り込んだ生地であり、表面の全面にループ状の係合素子が生じる。
【0059】
又、絶縁性生地10の厚みに特に限定は無いが、例えば、1.0mm〜2.0mmの範囲内の薄手の生地であると好ましい。これにより、絶縁性生地10を電線の外表面に巻き付けやすくすることが可能となる。特に、絶縁性生地10は、厚みが1.0mm〜2.0mmの範囲内の極薄のパイル生地であると、電線への巻き付けがし易くなり、作業性を向上させるため、好ましい。一方、絶縁性生地10の厚みが5.0mmを超えると、絶縁性生地10が嵩張って電線に巻き付け難くなり、好ましくない。
【0060】
又、絶縁性生地10の短手方向のサイズに特に限定は無いが、例えば、50mm〜400mmの範囲内に設定することが出来る。これにより、複数種類の外径の電線に対応することが可能となる。例えば、外径が100mmの電線であれば、絶縁性生地10の短手方向のサイズは364mm程度で適切に覆うことが出来る。
【0061】
又、導電性生地11の種類に特に限定は無い。導電性生地11は、例えば、織布若しくは不織布に金属メッキを施した導電性織布、導電性糸を織り込んだ導電性織物、金属箔、金属箔をガラスクロスに接着した金属箔ガラスクロス、金属箔をフィルムに接着した金属箔フィルム等を挙げることが出来る。金属箔ガラスクロスは、例えば、アルミ箔をガラスクロスに接着したアルミガラスクロスを挙げることが出来る。金属箔フィルムは、例えば、アルミ箔をポリエステルフィルムに接着したPETフィルム付きアルミ箔を挙げることが出来る。ここで、導電性生地11は、折り曲げ部13の作り易さや湾曲電線への巻き付け易さの観点から、導電性織布であると好ましい。これにより、折り曲げても割れが生じ難く、湾曲電線へ追従して折り曲げ可能である。
【0062】
又、導電性生地11の厚みに特に限定は無いが、例えば、0.01mm〜1.00mmの範囲内の薄手の生地であると好ましい。これにより、導電性生地11を電線の外表面に巻き付けやすくすることが可能となる。例えば、導電性織布の厚みは、0.10mm程度であり、導電性不織布の厚みは、0.01mm程度であり、PETフィルム付きアルミ箔の厚みは、0.04mm程度である。一方、導電性生地11の厚みが1.00mmを超えると、絶縁性生地10と導電性生地11とを貼り合わせたベース生地が嵩張って電線に巻き付け難くなり、好ましくない。
【0063】
又、絶縁性生地10に導電性生地11を貼り付ける方法に特に限定は無いが、例えば、接着剤を絶縁性生地10の裏面に塗布して、導電性生地11の表面を貼り付けて固化させる方法を挙げることが出来る。接着剤は、柔軟性を有する接着剤であると好ましく、例えば、ウレタン系接着剤、シリコン系接着剤、エポキシ系接着剤、ナイロン系接着剤等を挙げることが出来る。
【0064】
貼り付け方法として、例えば、絶縁性生地10の一面(裏面)に接着剤をスプレー塗布し、絶縁性生地10の塗布面に導電性生地11の一面(表面)を設置してローラー圧着して貼り付ける方法を挙げることが出来る。
【0065】
又、貼り付け方法として、導電性生地11の表面にホットメルト接着層が設けられている場合は、導電性生地11のホットメルト接着層に絶縁性生地10の一面を設置して熱ラミネート加工を施して、導電性生地11のホットメルト接着層に絶縁性生地10を貼り付ける方法を挙げることが出来る。
【0066】
又、フック状面ファスナー12は、絶縁性生地10のループ状面ファスナーに着脱可能であれば、その種類に特に限定は無いが、絶縁性生地10のループ状面ファスナーとの柔軟性に対応するソフトタイプのフック状面ファスナーであると好ましい。ソフトタイプのフック状面ファスナーとは、フック状面ファスナーの裏面に柔軟な補強材を用いることで、フック状面ファスナーの全体に柔軟性を付与したフック状面ファスナーを意味する。これにより、フック状面ファスナー12を絶縁性生地10のループ状面ファスナーに付着した後の電線への巻き付け調整や手直しが容易となる。
【0067】
又、導電性生地11にフック状面ファスナー12を設ける方法に特に限定は無いが、例えば、フック状面ファスナー12を導電性生地11に糸で縫い付ける方法を挙げることが出来る。糸で縫い付ける際には、フック状面ファスナー12の両端部のそれぞれを導電性生地11の長手方向に沿って縫い付けることで、フック状面ファスナー12を導電性生地11に強固に固定することが出来る。更に、接着剤等を組み合わせても構わない。
【0068】
又、フック状面ファスナー12の短手方向のサイズに特に限定は無いが、例えば、10mm〜20mmの範囲内であると好ましい。これにより、巻き付け後の絶縁性生地10ループ状面ファスナーへのフック状面ファスナー12の付着強度を適当に高め、電線2から電磁波シールド材1を剥がれ難くすることが可能である。
【0069】
又、折り曲げ部13の折り曲げのサイズに特に限定は無いが、例えば、3mm〜10mmの範囲内であると好ましい。これにより、導電性線状材14を設置する表面を確保することが可能となるとともに、導電性線状材14を設置した折り曲げ部13が、所定の高さを有する盛り上がりとなり、導電性生地11を巻き付ける際に、盛り上がった折り曲げ部13の導電性線状材14に導電性生地11の一部に確実に接触させることが可能となる。
【0070】
又、導電性線状材14の種類に特に限定は無いが、金属線で編みこまれた金属製編組線であると好ましい。金属製編組線は、所定の可とう性を有し、アース線等として使用することが可能である。そのため、多少湾曲した電線2に電磁波シールド材1を巻き付けたとしても、電線2に沿って金属製編組線が導電性生地11に電気的に接触しながら湾曲して追従するため、電線2の電磁波を漏れなく防止することが可能となる。又、金属製編組線は、所定の厚みを有するため、折り曲げ部13の高さと相俟って、折り曲げ部13の導電性編組線14の盛り上がりによる導電性生地11の一部の接触を確実にする。尚、金属製編組線は、金属製平編線を含む。又、金属線は、例えば、錫メッキ軟銅線を挙げることが出来るが、これに限定されない。
【0071】
又、折り曲げ部13の表面に導電性線状材14を設ける方法に特に限定は無いが、例えば、導電性線状材14を折り曲げ部13の表面から裏面まで糸で縫い付ける方法を挙げることが出来る。これにより、導電性線状材14を折り曲げ部13の表面に固定するとともに、折り曲げ部13を構成する導電性生地11の短手方向の他方の端部11bの折り曲げを確実に固定することが可能となる。糸で縫い付ける際には、導電性線状材14の中央部を折り曲げ部13の長手方向に沿って縫い付けることで、導電性線状材14を折り曲げ部13の表面に強固に固定することが出来る。更に、接着剤等を組み合わせても構わない。
【0072】
<実施例、比較例等>
以下、実施例、比較例等によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0073】
先ず、
図1−
図8に基づいて本発明に係る電磁波シールド材1を製造した。具体的には、短手方向のサイズが1350mmであり、長手方向のサイズが25m(2500mm)であり、厚みが1.6mmのナイロン製のパイル生地(セーレン株式会社製)を絶縁性生地10とし、絶縁性生地10と同じサイズであり、厚みが0.1mmであり、ポリエステル織布に銅及びニッケルメッキを施した導電性織布(セーレン株式会社製)を導電性生地11とし、絶縁性生地10を表層とし、導電性生地11を裏層として貼り付けた。貼り付け方法は、絶縁性生地10の一面にウレタン系接着剤をスプレー塗布し、絶縁性生地10の塗布面に導電性生地11の一面を設置してローラー圧着して貼り付ける方法である。絶縁性生地10と導電性生地11とを貼り付けたベース生地の短手方向のサイズを125mmにスリットして、電磁波シールド材のベース生地とした。
【0074】
次に、短手方向のサイズが15mmのポリエステル製のソフトタイプのフック状面ファスナー(クラレファスニング株式会社製)を用意し、ベース生地の導電性生地11の短手方向の一方の端部の近傍に糸で縫い付けた。例えば、フック状面ファスナーの一方の端部を導電性生地11の中心方向にし、導電性生地11の短手方向の一方の端部から導電性生地11の中心方向に向かって5mmだけ内側の位置にフック状面ファスナーの他方の端部を合わせた。そして、ベース生地の導電性生地11の短手方向の他方の端部を絶縁性生地10の短手方向の他方の端部に向かって、折り曲げのサイズが5mmとなる程度に折り曲げることで折り曲げ部13を構成した。更に、錫メッキ軟銅線で編みこまれた金属製編組線(日本ジッパーチュービング株式会社製)を導電性線状材14として用意し、折り曲げ部13の表面に導電性線状材14を設置して、導電性線状材14を折り曲げ部13の表面から裏面まで糸で縫い付けて、電磁波シールド材1を製造した。
【0075】
電磁波のシールド効果は、CISPR25の電磁波ノイズ測定に関する国際規格「車載受信機の保護のための妨害特性の限度値及び測定方法」に基づいて確認した。具体的には、
図21Aに示すように、電波暗室20において、銅板で構成されたグランドプレート21の上に発泡スチロール22を配置し、その上に発振器23を設置し、発振器23からの電線(ハーネス、電源線、信号線)24を負荷25(電気抵抗値が50Ω)に電気的に接続した。電線24は1.5mの長さであり、10mmの外径である。一方、電波暗室20の電線24の上方に、スペクトラムアナライザ26に接続されたアンテナ27を設置し、電線24から放出される電磁波(ノイズ)を測定出来るようにした。
【0076】
そして、発振器23により、30MHzより5MHzのステップの信号を、電線24を介して負荷25に流し、アンテナ27を介して電線24から発生した電磁波の周波数をスペクトラムアナライザ26で測定した。アンテナ27は、測定対象の電磁波の周波数に応じて適宜取り換えた。
【0077】
ここで、
図21Bに示すように、先ず、電線24のみの状態で、発振器23から信号を負荷25に流した際に検出される電磁波の測定値を参考例の測定結果とした。次に、電磁波シールド材1を電線24に巻き付けた際に、電線24の外径10mmに対して電磁波シールド材1の結束内径を17mmとし、電磁波シールド材1と電線24との間に隙間が生じる条件とした。電線24の外径の面積を電磁波シールド材1の結束内径で除算した除算値に100を乗算した値を電線挿入率として定義した場合、この条件の挿入率は約60%であった。尚、電線挿入率の一般式は、電線を束ねた時の最外円周を電磁波シールド材の結束内径で除算した除算値に100を乗算した値である。挿入率が約60%の条件は、電線を電磁波シールド材で覆う場合の一般的な条件に対応する。この条件で検出される電磁波の測定値を比較例の測定結果とした。
【0078】
最後に、電磁波シールド材1を電線24に巻き付けた際に、電線24の外径10mmに対して電磁波シールド材1の結束内径を約10mmとし、電磁波シールド材1の導電性生地11を電線24の外周面に密着させた状態とし、電磁波シールド材1と電線24との間に隙間が殆ど生じない条件とした。この条件の挿入率は約100%であった。挿入率が約100%の条件は、電線を本発明の電磁波シールド材1で覆う場合の特別な条件に対応する。この条件で検出される電磁波の測定値を実施例の測定結果とした。
【0079】
測定の結果、参考例の測定結果では、
図22に示すように、放射エミッション水平偏波でも、放射エミッション垂直偏波でも、全ての周波数において電磁波のピークが強く生じており、電磁波が発生していることが理解される。
【0080】
又、比較例の測定結果では、
図23に示すように、電線24に導電性生地11を巻き付けていることで、放射エミッション水平偏波でも、放射エミッション垂直偏波でも、参考例の測定結果での電磁波のピークは抑えられていた。しかしながら、放射エミッション水平偏波では、低周波数帯で、放射エミッション垂直偏波では、高周波数帯で、電磁波のピークは生じていた。これは、電磁波シールド材1と電線24との間の隙間から電磁波が漏れ出ているものと考えられる。又、比較例の挿入率の条件は、一般的な条件であることから、一般的な条件で電磁波シールド材1を電線24に巻き付けても、電磁波が漏れてしまうことが理解される。
【0081】
一方、実施例の測定結果では、
図24に示すように、挿入率を約100%とし、電線24に導電性生地11を密着して巻き付けていることで、放射エミッション水平偏波でも、放射エミッション垂直偏波でも、驚くべきことに、比較例の測定結果での電磁波のピークは殆ど低減して消失していることが理解される。
【0082】
このように、実施例では、電線24の外表面に導電性生地11を密着させて巻き付けた状態とするため、隙間なく電線に覆ってシールド効果を確実に得ることが可能となるのである。これは、本発明の電磁波シールド材1がフック状面ファスナー12の付着位置を調整することで、隙間なく電線24に巻き付けることが出来る構成であるからこそ、初めて得ることが出来る顕著な効果と考える。
【0083】
尚、電線の外径が大きくなっても、電線群であっても、電線に曲げ部が存在したとしても、上述のように、本発明に係る電磁波シールド材では、電線の外表面に導電性生地を密着させて巻き付けた状態とすることが出来るため、実施例の測定結果と同様の効果を得ることが出来る。
【解決手段】絶縁性生地10は、ループ状の係合素子が表面の全面に設けられており、当該表面の全面がループ状面ファスナーとして機能する。導電性生地11は、絶縁性生地10のサイズと同等のサイズを有し、絶縁性生地10の裏面の全面に貼り付けられている。フック状面ファスナー12は、導電性生地11の短手方向の一方の端部11aの近傍に設けられ、ループ状面ファスナーのループ状の係合素子に着脱可能なフック状の係合素子を有し、導電性生地11の長手方向に沿って連続して延びている。折り曲げ部13は、導電性生地11の短手方向の他方の端部11bを折り曲げることで形成され、当該導電性生地11の短手方向の他方の端部11bの裏面から表面までを連続的に導電性にしている。導電性線状材14は、折り曲げ部13の表面に電気的に接続された状態で設けられ、導電性生地11の長手方向に沿って連続して延びている。