(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記補正手段は、前記視点画像複素振幅分布に集光レンズまたは拡散レンズの位相情報を付加する補正関数を用いることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のホログラムデータ生成装置。
前記補正手段は、前記視点画像複素振幅分布に非回折ビームを形成するレンズの位相情報を付加する補正関数を用いることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のホログラムデータ生成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のHS法は、高速にホログラムデータを生成することができる利点がある一方で、以下に示す問題がある。
HS法は、再生対象となる物体からの光を高密度な光線情報として取得し、その光線群を再生するためのホログラムを生成する手法である。すなわち、HS法は、広がり角がない理想的な光線を光線群として再生するホログラムを生成している。
【0009】
しかし、ホログラムにより再生される光線は、現実には、回折に起因する広がりを伴う。例えば、
図9に示すように、光線情報がホログラムデータとして記録されるホログラムHの小領域である要素ホログラムEHにおいて再生される物体光Oは、ホログラム面から離れるほど、光線幅が大きくなる。すなわち、従来のHS法により生成されたホログラムデータを記録したホログラムによって再生される像は、ホログラム面からの距離に比例して光線幅が大きくなり、観察者Mが視認する再生像にボケが発生するという問題がある。
【0010】
また、従来のHS法は、ホログラム面から再生される光を光線群として空間方向および角度方向に離散化しているため、これによっても再生像にボケが発生してしまう。特に、光線の角度方向の離散化と回折による広がりとは密接に関係しており、光線群を高密度に(離散角を小さく)しても回折による広がり角がそれよりも大きければ最終的な再生像のボケは改善しない。よって、回折による光線の広がり角を離散角以下に抑えたり、離散角に近づけたりといった技術が求められている。
【0011】
本発明は、このようなHS法によりホログラムデータを生成する際に、ホログラム面からの光線の広がり角を制御することで、再生像のボケを抑えることが可能なホログラムデータを生成するホログラムデータ生成装置およびそのプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するため、本発明に係るホログラムデータ生成装置は、複数の視点画像からホログラムデータを生成するホログラムデータ生成装置であって、視点画像複素振幅分布生成手段と、補正手段と、連結手段と、干渉縞情報生成手段と、を備える構成とした。
【0013】
かかる構成において、ホログラムデータ生成装置は、視点画像複素振幅分布生成手段によって、複数の視点画像ごとに位相情報を付加して逆フーリエ変換する。これによって、ホログラムデータ生成装置は、生成対象のホログラムのホログラム面における要素ホログラム単位の複素振幅分布である視点画像複素振幅分布を計算により生成することができる。
【0014】
そして、ホログラムデータ生成装置は、補正手段によって、集光レンズ(凸レンズ)、非回折ビーム(ベッセルビーム)等の
要素ホログラムで再生される光線の広がり角を制御する特性を与える関数を補正関数とし、その補正関数と視点画像複素振幅分布との複素積を計算する。これによって、ホログラムデータ生成装置は、集光レンズの特性のように光線の広がりを抑えたり、想定する観察者の観察距離に集光させたり、光線をホログラムから限られた距離において非回折光として広がり角のない光線とするような、補正した複素振幅分布(視点画像補正複素振幅分布)を生成することができる。
【0015】
そして、ホログラムデータ生成装置は、連結手段によって、要素ホログラム単位の視点画像補正複素振幅分布を連結する。これによって、ホログラムデータ生成装置は、ホログラム全体の複素振幅分布であるホログラム面複素振幅分布を生成することができる。
【0016】
そして、ホログラムデータ生成装置は、干渉縞情報生成手段によって、ホログラム面複素振幅分布と参照光の複素振幅分布との複素和の2乗を計算する。これによって、ホログラムデータ生成装置は、ホログラム面に記録するための干渉縞情報であるホログラムデータを生成することができる。
【0017】
また、前記課題を解決するため、本発明に係るホログラムデータ生成装置は、複数の視点画像からホログラムデータを生成するホログラムデータ生成装置であって、視点画像複素振幅分布生成手段と、補正手段と、干渉縞情報生成手段と、を備える構成としてもよい。
【0018】
かかる構成において、ホログラムデータ生成装置は、視点画像複素振幅分布生成手段によって、複数の視点画像ごとに位相情報を付加して逆フーリエ変換する。これによって、ホログラムデータ生成装置は、生成対象のホログラムのホログラム面における要素ホログラム単位の複素振幅分布である視点画像複素振幅分布を計算により生成することができる。
【0019】
そして、ホログラムデータ生成装置は、補正手段によって、集光レンズ(凸レンズ)、非回折ビーム(ベッセルビーム)等の
要素ホログラムで再生される光線の広がり角を制御する特性を与える関数を補正関数とし、その補正関数と視点画像複素振幅分布との複素積を計算する。これによって、ホログラムデータ生成装置は、集光レンズの特性のように光線の広がりを抑えたり、想定する観察者の観察距離に集光させたり、光線をホログラムから限られた距離において非回折光として広がり角のない光線とするような、補正した複素振幅分布(視点画像補正複素振幅分布)を生成することができる。
【0020】
そして、ホログラムデータ生成装置は、干渉縞情報生成手段によって、視点画像補正複素振幅分布と参照光の複素振幅分布との複素和の2乗を計算する。これによって、ホログラムデータ生成装置は、要素ホログラム単位で、ホログラム面に記録するための干渉縞情報であるホログラムデータを生成することができる。
【0021】
なお、ホログラムデータ生成装置は、コンピュータを、前記した各手段として機能させるためのホログラムデータ生成プログラムで動作させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、以下に示す優れた効果を奏するものである。
本発明によれば、補正手段によるホログラム面における複素振幅分布の補正により、ホログラムにより再生される光線の広がり角を制御したホログラムデータを生成することができる。
これによって、本発明は、従来のHS法の計算量の少ない特徴を保持しつつ、光線の回折による再生像のボケを抑えることが可能なホログラムデータを生成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明に係るホログラムデータ生成装置およびそのプログラムを実施するための形態について詳細に説明する。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。
【0025】
[ホログラムデータ生成システムの構成]
図1を参照して、本発明の実施形態に係るホログラムデータ生成装置を含んだホログラムデータ生成システムの構成について説明する。
【0026】
ホログラムデータ生成システムSは、複数のカメラCa(Ca
1,Ca
2,…,Ca
n)と、ホログラムデータ生成装置1とを備える。ただし、nは2以上の整数である。
【0027】
カメラCaは、物体Tを含んだ被写体空間を撮影したモノクロ画像またはカラー画像を撮影するカメラである。カメラCa
1,Ca
2,…,Ca
nは、それぞれの視点位置に配置され、多視点画像A(視点画像A
1,A
2,…,A
n)を撮影する。
このカメラCaが撮影する多視点画像Aの画像数は、ホログラムを区分する要素ホログラムの数に対応する。例えば、ホログラムを縦128個×横256個の要素ホログラムで構成する場合、カメラCaは、同一平面上に縦128個×横256個だけ配置する。
【0028】
ホログラムデータ生成装置1は、複数の視点位置に対応した多視点画像A(視点画像A
1,A
2,…,A
n)と、参照光の波面を表した参照光複素振幅分布(参照光データ)とから、HS法により、ホログラムデータを生成するものである。さらに、ホログラムデータ生成装置1は、光線幅補正情報によって、ホログラムにより再生される光線幅の広がりを抑制したホログラムデータを生成する。この光線補正情報は、光線幅の広がりを抑制するための補正関数のパラメータである。
【0029】
なお、ここでは、カメラCaによって、実写画像を撮影することとしているが、多視点画像Aは、CGによって仮想カメラで撮影された画像として生成されたものであっても構わない。
以下、本発明の実施形態に係るホログラムデータ生成装置の処理概要、構成および動作について順次説明する。
【0030】
〔ホログラムデータ生成の概要〕
まず、
図2を参照(適宜
図1参照)して、本発明の実施形態に係るホログラムデータ生成装置1によるホログラムデータの生成手法の概要について説明する。
【0031】
図2に示すように、ホログラムデータ生成装置1は、視点画像A
1,A
2,…,A
nのそれぞれに位相分布を付加(複素積)した位相付視点画像I
1,I
2,…,I
nを生成し、高速逆フーリエ変換(Inverse Fast Fourier Transform:IFFT)することで、視点画像複素振幅分布U
1,U
2,…,U
nを生成する。この視点画像複素振幅分布U
1,U
2,…,U
nは、ホログラム面における視点画像A
1,A
2,…,A
nに対応する要素ホログラムごとの複素振幅分布である。
そして、ホログラムデータ生成装置1は、視点画像複素振幅分布U
1,U
2,…,U
nと、要素ホログラムの光線幅の広がりを抑制する補正関数Cとの複素積を計算し、視点画像補正複素振幅分布W
1,W
2,…,W
nを生成する。
【0032】
この補正関数Cは、要素ホログラムで再生される光線の回折に伴う広がりを抑える関数である。例えば、補正関数Cは、視点距離(焦点距離)に集光する凸レンズの特性を有する関数であって、光線を集光させ、光線の広がりを抑えるように作用する。
【0033】
そして、ホログラムデータ生成装置1は、視点画像A
1,A
2,…,A
nごとに生成した要素ホログラムごとの視点画像補正複素振幅分布W
1,W
2,…,W
nを連結し、ホログラム面におけるホログラム全体の複素振幅分布(ホログラム面複素振幅分布O)を生成する。
そして、ホログラムデータ生成装置1は、ホログラム面複素振幅分布Oと参照光複素振幅分布Rとの複素和の2乗を計算することで、ホログラムデータIを生成する。
【0034】
このように生成されたホログラムデータを記録したホログラムを再生すると、
図3に示すように、ホログラムHの要素ホログラムEHにおいて再生される物体光Oは、補正関数Cで特定される仮想的に配置したレンズLの作用により、光線幅の広がりが抑えられた物体光Oが再生されることになる。これによって、観察者Mが視認する再生像のボケを抑えることができる。
【0035】
〔ホログラムデータ生成装置の構成〕
次に、
図4を参照(適宜
図2参照)して、本発明の実施形態に係るホログラムデータ生成装置の構成について説明する。
ここでは、ホログラムデータ生成装置1は、視点画像複素振幅分布生成手段10と、補正手段20と、連結手段30と、干渉縞情報生成手段40と、を備える。
【0036】
視点画像複素振幅分布生成手段10は、多視点画像の個々の視点画像から、ホログラム面における要素ホログラムごとの複素振幅分布を生成するものである。ここでは、視点画像複素振幅分布生成手段10は、位相付加手段11と、逆フーリエ変換手段12と、を備える。
【0037】
位相付加手段11は、視点位置に配置されたカメラCa(または仮想カメラ)で撮影された多視点画像A(視点画像A
1,A
2,…,A
n)の画素値に位相(位相情報)を付加するものである。ここでは、視点画像A
nをM×M画素とする。なお、視点画像の画素数は、必ずしも縦横の画素数が同一である必要はない。
この位相付加手段11は、視点画像A
nの画素値(スカラ振幅)をA
n(f
x,f
y)としたとき、以下の式(1)によって、位相φ
In(f
x,f
y)を付加した複素振幅である位相付視点画像I
n(f
x,f
y)を生成する。なお、座標(f
x,f
y)は、要素ホログラムの画素と1対1に対応するものである。例えば、要素ホログラムがM×M画素であった場合、f
x,f
yは、−M/2≦f
x≦M/2、−M/2≦f
y≦M/2の範囲の値である。
【0039】
ここで付加する位相φ
Inは、任意の分布の位相でよく、例えば、ランダム位相とする。なお、jは虚数単位を示す(以下の数式においても同様)。
この位相付加手段11は、生成した位相付視点画像I
n(f
x,f
y)を逆フーリエ変換手段12に出力する。
【0040】
逆フーリエ変換手段12は、位相付加手段11で生成された位相付視点画像をIFFTするものである。
この逆フーリエ変換手段12は、位相付視点画像I
n(f
x,f
y)に対して、以下の式(2)の逆フーリエ変換を行うことで、視点画像複素振幅分布U
n(x,y)を生成する。なお、座標(x,y)は、(f
x,f
y)と同様、要素ホログラムの画素と1対1に対応するものである。例えば、要素ホログラムがM×M画素であった場合、x,yは、−M/2≦x≦M/2、−M/2≦y≦M/2の範囲の値である。
【0042】
これによって、逆フーリエ変換手段12は、視点位置に対応する要素ホログラム単位でホログラム面における複素振幅分布(視点画像複素振幅分布U
n(x,y))を生成することができる。
この逆フーリエ変換手段12は、生成したホログラム面の要素ホログラム上の視点画像複素振幅分布U
n(x,y)を補正手段20に出力する。
【0043】
補正手段20は、視点画像複素振幅分布生成手段10で生成された視点画像複素振幅分布を、光線幅の広がりを抑制する補正関数を用いて補正するものである。
この補正手段20は、外部から設定される光線幅補正情報を補正関数のパラメータとして、要素ホログラムにおいて再生される光線幅を制御するように、視点画像複素振幅分布U
n(x,y)の位相および振幅のいずれか一方、または両方を変調する。
なお、光線幅補正情報は予め設定された固定値を用いてもよいが、ここでは、外部から設定されるものとする。
【0044】
ここで、補正関数C(x,y)は、以下の式(3)に示す関数で、光線幅補正情報は、補正関数Cにおける振幅A
c(x,y)と位相φ
c(x,y)である。
【0046】
例えば、補正関数Cは、光を集光する集光レンズの位相情報を付加する関数とすることができる。この場合、要素ホログラムにおいて、集光レンズ(凸レンズ)の特性を有するように、視点画像複素振幅分布を補正するには、以下の式(4)に示すように、位相および振幅を設定すればよい。
【0048】
ここで、kは、使用する光(照明光、参照光)の波長をλとしたときの波数(k=2π/λ)である。また、Fは、仮想の集光レンズの焦点距離であって、光線を最も細くしたいホログラム面からの距離(視点位置までの距離)、または、最終的な光線の広がり角に応じた値である。
また、ここで、補正関数Cの座標(x,y)は、要素ホログラムの中心を座標原点(0,0)とする座標である。
【0049】
これによって、補正手段20は、
図5に示すように、平行光を焦点距離Fの位置に集光する集光レンズ(凸レンズ)Lを要素ホログラムEHに仮想的に配置して、光線の広がり角を制御した複素振幅分布を生成することができる。
【0050】
また、例えば、補正関数Cは、非回折ビームを形成するレンズの位相情報を付加する関数とすることができる。この場合、要素ホログラムにおいて、非回折ビーム(ベッセルビーム)の特性を有するように、視点画像複素振幅分布を補正するには、以下の式(5)に示すように、位相および振幅を設定すればよい。ここでは、補正関数Cの振幅A
cおよび位相φ
cには、極座標系を用いる。
【0052】
ここで、kは、使用する光(照明光、参照光)の波長をλとしたときの波数(k=2π/λ)である。また、r,θは、それぞれ極座標系の距離と角度であって、要素ホログラムの中心からのホログラム面内の距離と、当該中心を始点とするホログラム面内の基準線からの角度である。Sは要素ホログラムの大きさ(ここでは、水平または垂直の画素数と画素間隔との積)、Z
maxはベッセルビームの伝搬距離を示す。
なお、式(5)は、使用する極座標(r,θ)を直交座標(x,y)に変換して、式(3)で用いることはいうまでもない。
【0053】
これによって、補正手段20は、
図6に示すように、距離Z=0からZ=Z
maxの範囲で平行光から非回折ビームであるベッセルビームBBを形成するレンズ(平凸アキシコンレンズ)Lを要素ホログラムEHに仮想的に配置して、光線を集光することが可能な複素振幅分布を生成することができる。この場合、視点位置が距離Z=0からZ=Z
maxまでの間であれば、光線幅の広がりが抑えられる。
【0054】
なお、ここでは、補正関数Cとして、振幅A
cを固定(A
C=1)して、位相φ
cのみの変化によって補正を行ったが、位相φ
cを固定(φ
c=2π)して、振幅A
cのみの変化によって補正を行ったり、振幅A
cおよび位相φ
cの両方を変化させて補正を行ったりしてもよい。
【0055】
この補正手段20は、視点画像複素振幅分布生成手段10で生成される視点画像複素振幅分布U
n(x,y)と補正関数C(x,y)とで、以下の式(4)に示す複素積演算を行うことで、補正された複素振幅分布(視点画像補正複素振幅分布W
n(x,y))を生成する。
【0057】
この補正手段20は、生成した視点画像補正複素振幅分布W
n(x,y)を、連結手段30に出力する。
【0058】
連結手段30は、補正手段20で補正された要素ホログラムごとの視点画像補正複素振幅分布を連結して、ホログラム全体のホログラム面における複素振幅分布(ホログラム面複素振幅分布)を生成するものである。ここで、連結手段30は、要素ホログラム単位の個々の座標系で生成された視点画像補正複素振幅分布W
n(x,y)を、ホログラム全体で1つの座標系に配置し直す。
【0059】
これによって、連結手段30は、ホログラム面における複素振幅分布、すなわち、ホログラム面における物体光の複素振幅分布(ホログラム面複素振幅分布O(x,y))を生成することができる。
この連結手段30は、生成したホログラム面複素振幅分布O(x,y)を干渉縞情報生成手段40に出力する。
【0060】
干渉縞情報生成手段40は、連結手段30で生成されたホログラム面の複素振幅分布(ホログラム面複素振幅分布)から、ホログラムとして記録可能なホログラムデータ(干渉縞情報)を生成するものである。
【0061】
この干渉縞情報生成手段40は、外部から入力される参照光データ(参照光複素振幅分布)と、ホログラム面複素振幅分布O(x,y)との複素和の2乗を計算することで、ホログラムデータI(x,y)を生成する。なお、生成するホログラムデータは、インライン型のホログラムに対応するものであっても、オフアクシス型のホログラムに対応するものであっても構ない。
【0062】
例えば、オフアクシス型のホログラムに対応するホログラムデータを生成する場合、斜め上方から角度θで入射する平行光を参照光とするため、参照光データ(参照光複素振幅分布)Rは、以下の式(7)で表すことができる。
【0064】
ここで、R
0は、参照光の振幅、λは参照光の波長を示す。
すなわち、干渉縞情報生成手段40は、ホログラム面複素振幅分布O(x,y)と参照光複素振幅分布R(y)とから、以下の式(8)により、ホログラムデータI(x,y)を生成する。
【0066】
この生成されたホログラムデータIは、例えば、図示を省略した電子線描画装置によって、ホログラム記録面に記録されることで、ホログラムが生成される。また、図示を省略した振幅変調型光変調素子にホログラムデータIを表示して参照光を照射することで、ホログラムを再生することができる。
【0067】
以上説明したように、ホログラムデータ生成装置1を構成することで、ホログラムデータ生成装置1は、所望の視点位置において、ホログラムが再生する物体光の光線の広がり角を制御したホログラムデータを生成することができる。
これによって、ホログラムデータ生成装置1は、従来のHS法に、複素振幅分布の補正を行う少ない計算処理を付加するのみで、HS法の計算量が少ない利点を保持したまま、HS法の欠点であった光線の回折に起因するホログラム面から離れた物体のボケを抑制することができる。
【0068】
〔ホログラムデータ生成装置の動作〕
次に、
図7を参照(適宜
図1,
図4参照)して、本発明の実施形態に係るホログラムデータ生成装置の動作について説明する。
まず、ホログラムデータ生成装置1は、視点画像複素振幅分布生成手段10によって、多視点画像のうちの1つの視点画像を入力する(ステップS1)。
【0069】
そして、ホログラムデータ生成装置1は、視点画像複素振幅分布生成手段10の位相付加手段11によって、ステップS1で入力された視点画像に位相(例えば、ランダム位相)を付加する(ステップS2)。すなわち、位相付加手段11は、視点画像と位相分布(ランダム位相)との複素積演算を行うことで、位相付視点画像を生成する。
【0070】
さらに、ホログラムデータ生成装置1は、視点画像複素振幅分布生成手段10の逆フーリエ変換手段12によって、ステップS2で生成された位相付視点画像をIFFTする(ステップS3)。このステップS3の動作によって、ホログラム面における視点画像に対応する要素ホログラム単位の複素振幅分布(視点画像複素振幅分布)が生成される。
【0071】
そして、ホログラムデータ生成装置1は、補正手段20によって、ステップS3で生成された視点画像振幅複素分布を、光線幅補正情報をパラメータとする補正関数C(前記式(3)参照)により補正する(ステップS4)。
すなわち、補正手段20は、例えば、光線方向を凸レンズの特性を有して変化させる光線幅補正情報(前記式(4))で特定される補正関数と、ステップS3で生成された視点画像振幅複素分布との複素積演算を行うことで、要素ホログラムごとのホログラム面における視点画像補正複素振幅分布を生成する。
【0072】
ここで、ホログラムデータ生成装置1は、補正手段20において、すべての視点画像に対して視点画像補正複素振幅分布の生成が完了したか否かを判定する(ステップS5)。
そして、すべての視点画像に対して視点画像補正複素振幅分布の生成が完了していない場合(ステップS5でNo)、ホログラムデータ生成装置1は、ステップS1に戻って、他の視点画像を入力し、視点画像補正複素振幅分布を生成する。
【0073】
一方、すべての視点画像に対して視点画像補正複素振幅分布の生成が完了している場合(ステップS5でYes)、ホログラムデータ生成装置1は、連結手段30によって、ステップS4で生成された要素ホログラムごとの視点画像補正複素振幅分布を連結する(ステップS6)。このステップS6の動作によって、ホログラム面全体の複素振幅分布(ホログラム面複素振幅分布)が生成される。
【0074】
そして、ホログラムデータ生成装置1は、干渉縞情報生成手段40によって、ステップS6で生成されたホログラム面複素振幅分布と、外部から入力される参照光データ(複素振幅分布)との複素和の2乗を計算することで、ホログラムデータ(干渉縞情報)を生成する(ステップS7)。
そして、ホログラムデータ生成装置1は、ステップS7で生成されたホログラムデータを外部に出力する(ステップS8)。
【0075】
以上の動作によって、ホログラムデータ生成装置1は、ホログラムが再生する物体光の光線の広がり角を制御したホログラムデータを生成することができる。
以上、本発明の実施形態に係るホログラムデータ生成装置1の構成および動作について説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【0076】
〔変形例〕
例えば、ここでは、ホログラムデータ生成装置1は、補正手段20において、光線の広がり角を小さくするように複素振幅分布の補正を行った。
しかし、本発明は、必ずしも光線の広がり角を小さくする方向の補正に限定されない。例えば、補正手段20は、光線の広がり角を大きくするように補正することとしてもよい。
具体的には、補正手段20は、仮想のレンズとして焦点距離を負の値とし、拡散レンズ(凹レンズ)の特性を有するように位相情報を付加して複素振幅分布を補正すればよい。
これによって、ホログラムデータ生成装置1は、例えば、光線群の離散角が回折による光線の広がり角よりも大きく、光線と光線との間が空いてしまう場合でも、その間を光で埋めることができる。
【0077】
また、ここでは、ホログラムデータ生成装置1は、要素ホログラムごとの視点画像補正複素振幅分布を連結手段30で連結してホログラム面全体の複素振幅分布を生成した後、干渉縞情報生成手段40によって干渉縞情報(ホログラムデータ)を生成することとした。
しかし、要素ホログラムごとの視点画像補正複素振幅分布から、個別に干渉縞情報を生成した後、それらを連結することで、ホログラム全体のホログラムデータを生成することとしてもよい。
その場合、
図8に示すホログラムデータ生成装置1Bとして構成すればよい。
【0078】
図8に示したホログラムデータ生成装置1Bは、
図4に示したホログラムデータ生成装置1の連結手段30と干渉縞情報生成手段40の構成を逆にした構成である。
干渉縞情報生成手段40Bは、補正手段20で補正された要素ホログラムごとの視点画像補正複素振幅分布から、要素ホログラムごとのホログラムデータ(干渉縞情報)を生成するものである。なお、この干渉縞情報の生成は、外部から入力される参照光データ(複素振幅分布)と、視点画像補正複素振幅分布との複素和の2乗を計算することで求めることができる。
【0079】
連結手段30Bは、干渉縞情報生成手段40Bで生成された要素ホログラムごとのホログラムデータ(干渉縞情報)を連結して、ホログラム全体のホログラムデータを生成するものである。すなわち、連結手段30(
図4参照)が、複素振幅分布のデータを連結するのに対し、連結手段30Bは、ホログラムデータを連結する点が異なっているだけである。
【0080】
このように構成したホログラムデータ生成装置1Bは、ホログラムデータ生成装置1と同様に、所望の視点位置において、ホログラムが再生する物体光の光線の広がりを抑えたホログラムデータを生成することができ、ホログラム面から離れた物体のボケを抑制することができる。
【0081】
なお、ここでは、ホログラムデータ生成装置1(
図4参照)やホログラムデータ生成装置1B(
図8参照)は、ホログラム全体のホログラムデータを出力することとしたが、個々の要素ホログラム単位でホログラムデータを出力することとしてもよい。
その場合、ホログラムデータ生成装置1(
図4参照)においては、干渉縞情報生成手段40の後段に分割手段(不図示)を備え、分割手段が干渉縞情報生成手段40で生成されたホログラムデータを要素ホログラム単位に分割することとすればよい。
また、ホログラムデータ生成装置1B(
図8参照)においては、連結手段30Bを構成から省略し、干渉縞情報生成手段40Bが生成した要素ホログラムごとのホログラムデータを出力することとすればよい。
【0082】
また、ホログラムデータ生成装置1(
図4参照)やホログラムデータ生成装置1B(
図8参照)は、図示を省略したコンピュータを、視点画像複素振幅分布生成手段10(位相付加手段11、逆フーリエ変換手段12)、補正手段20、連結手段30(または30B)、干渉縞情報生成手段40(または40B)として機能させるホログラムデータ生成プログラムで動作させることができる。