(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記中間層は、前記中間層用のプリプレグテープの螺旋巻開始点を、前記内側層の先端から尻端に向けて一定間隔だけ離間した位置に設定してある請求項1又は2記載の長尺ロッド。
前記内側層の強化繊維は、ガラス製の強化繊維であり、前記中間層及び外側層の強化繊維は、炭素製の強化繊維である請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の長尺ロッド。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、本願発明においては、複数本を繋いで形成する釣り竿の中の穂先竿だけを構成するという従来構成とは異なり、釣り竿全体を単一の竿体で構成しようとするものである。その為に、単一の竿体として中実棒状体を採用し、その中実棒状体に、
図1で示すように、電動リールを取り付け、大物釣りの船竿を構成しようとするものである。
【0005】
そうすると、中実棒状体の単独構成においては、捩じれに対抗する剛性が不足し、魚が掛かった場合に、魚の横走り等の暴れを制御し難く、釣り操作性において、改善する余地があった。
【0006】
本発明の目的は、単一の中実棒状体を基礎とした竿体でありながら、曲げ強度、及び、捩じり強度の高い長尺ロッドを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔構成〕
請求項1に係る発明の特徴構成は、内側層と前記内側層の外側に位置する中間層と前記中間層の外側に外側層とを備える長尺ロッドであって、
前記内側層は、引き揃えた強化繊維を前記内側層の軸線に沿った方向に配置しそれら強化繊維群に樹脂を溶融させて形成した中実棒状体であり、
前記中間層は、長手方向に沿って強化繊維を引き揃えた細幅の中間層用のプリプレグテープが、細幅方向の端部同士が密着する状態で軸線方向に沿って螺旋状に巻回されて形成されている密着螺旋体であり、
前記外側層は、長手方向に沿って強化繊維を引き揃え、かつ、軸芯方向で一定の螺旋間隔を開けてその軸線方向に沿って螺旋状に巻回された細幅の外側層用の内側プリプレグテープと、長手方向に沿って強化繊維を引き揃え、かつ、軸芯方向で一定の螺旋間隔を開けてその軸線方向に沿って螺旋状に巻回された細幅の外側層用の外側プリプレグテープとが、それら外側層用の内外プリプレグテープの強化繊維が、径方向視において互いに交差するように巻回されているX巻螺旋体である点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0008】
〔作用〕
つまり、内側層の外側に中間層、その中間層の外側に、外側層用の内側プリプレグテープと外側層用の外側プリプレグテープとを螺旋状に巻回しながら交差させることによって、X字状を呈するように外側層を構成した。これによって、外側層のプリプレグテープの長手方向に配置されている強化繊維がロッド軸線に対して傾斜する姿勢で配置され、それらが、X字状に交差するように配置してあるので、左右いずれの捩じれが作用しても、これらの強化繊維が対抗力を発揮し、捩じれに対して対抗力の高い長尺ロッドを提供することができた。
【0009】
上記構成のものを検証する目的で、内側層の外側に、前記したように、直接、外側層としてX巻螺旋体を施した構造のものでテストを行ってみた。テストの方法は、固定治具に手元部を取付固定した状態で、先端部側を片持ち状に延出し、先端に錘を吊り下げて、長尺ロッドの挙動を監視した。テスト例については、後掲するテスト結果表を参照して、説明する。
【0010】
まず、X巻螺旋体の厚み変化によるテストを行ってみた。後掲する表1を参照すると、内外プリプレグテープの厚みを変更するだけでは、内外プリプレグテープの内側層の表面からの部分的剥離、及び、音鳴りを抑制することは出来なかった。
【0011】
そこで、内側層としてのガラス強化繊維製ソリッド体(ガラス繊維製中実棒状体)の外周面と外側層としてのX巻螺旋体の内周面との間に、次に記すような、種々の中間層を形成することによって、改善を図ってみた。後掲する表2を参照すると、内外プリプレグテープの内側層の表面からの部分的剥離に改善するものは見られたが、音鳴りを抑制することは出来なかった。
【0012】
次に、X巻螺旋体の上に他の層を巻回する方法や、また、X巻螺旋体と内側層との間に介在させる中間層として、シート材でなく密巻プリプレグシート等を介在させるというテストを行ってみた。後掲する表3を参照すると、このテストによって、内外プリプレグテープの内側層の表面からの部分的剥離と音鳴りについて改善することができ、請求項に記載する構成を導き出すことができた。
【0013】
〔効果〕
以上の検証結果、特に、テスト13と15に着目することにより、中間層として、薄い厚みのプリプレグテープを一層だけ密巻したものを導入することによって、捩じり強度の高い、X巻プリプレグテープの剥離、音鳴りを抑制した長尺ロッドを提供できた。
【0014】
〔構成〕
請求項2に係る発明の特徴構成は、前記外側層は、前記長尺ロッドの軸芯長の全長に亘って形成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0015】
〔作用効果〕
つまり、外側層を構成するX巻プリプレグテープが全長に亘って施してあることによって、小径側から大径側に掛けて漏れなく捩じり強度を高めることができ、魚の動きによって先端側の振れが少なくなり、魚の動きを抑制する竿捌きがやりやすくなる。
【0016】
〔構成〕
請求項3に係る発明の特徴構成は、前記プリプレグテープの螺旋巻開始点を、前記内側層の先端から尻端に向けて一定間隔だけ離間した位置に設定してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0017】
〔作用効果〕
つまり、中間層として、竿先側一杯に巻回すると、その部分での音鳴りが大となり、これを避ける意味より、螺旋巻開始点を、前記内側層の先端から尻端に向けて一定間隔だけ離間した位置に設定した。
【0018】
〔構成〕
請求項4に係る発明の特徴構成は、前記内側層の強化繊維は、ガラス製の強化繊維であり、前記中間層及び外側層の強化繊維は、炭素製の強化繊維である点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0019】
〔作用効果〕
つまり、内側層の強化繊維がガラス繊維であり、前記外側層の強化繊維が炭素繊維であるところから、外側層のX巻プリプレグテープを直接巻回した場合には、両繊維の弾性率の違いにより荷重を受けた場合の伸びが違っており、前記したソリッド体の曲りは軸線に沿ったものであるが、そのソリッド体に斜めに架け渡されているプリプレグテープでは伸びの方向が軸線に対して傾斜する方向で異なっており、ソリッド体の外周面の伸びにプリプレグテープでは追従できないという点を更に強調する結果となり、剥離や音鳴りが発生しやすいが、中間層に炭素製繊維ではあるが、一層だけ密巻きプリプレグテープを取り入れることによって、剥離や音鳴りを抑えることが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
長尺ロッドとして、40kgを越えるようなキハダマグロ等の大型魚の釣りに使用されることを想定されている釣り竿Aについて説明する。
図1に示すように、釣り竿Aは、単一の竿体1に複数の釣り糸ガイド2を取り付けるとともに、手元側に、手元グリップ部3とその更に手元側に金属製のリールシート4を装着し、そのリールシート4に電源コード5aで電源(図示せず)と繋がった電動リール5を取り付けて船縁等に取付られて使用されるものである。
【0022】
図6に示すように、竿体1は、中心位置に内側層としての中実棒状体6と、前記中実棒状体6の外側に位置する中間層7と前記中間層7の外側に外側層8とを配置して構成されている。
図2に示すように、中実棒状体6は、2m強の全長Lに亘って単一の長尺棒状体であり、ガラス製の強化繊維gを軸線方向に沿って多数引き揃え、熱硬化性樹脂で固めた、その後、所定の緩いテーパ外周面を呈するものである。
【0023】
具体的には、次のように製作される。ガラス繊維製のフィラーを500本から1000単位に引き揃えて纏め、このフィラー群を順次マトリックス樹脂としてのエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂液内に浸漬させて、フィラー群に樹脂を含浸させる。その樹脂を含浸させたフィラー群を、ダイスを通過させて棒状に絞り込み、その棒状体を焼成してフィラーと樹脂との一体化した固体を形成する。
樹脂としては、エポキシ樹脂の他に、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂やPV(E)等の熱可塑性樹脂が使用できる。ガラス製の強化繊維gの弾性率は2トン/mm
2〜8トン/mm
2位のものが使用される。
上記したように、棒状体に形成した外周面は、所定のテーパ外周面にセンタレス研磨機等によって加工されるが、先側径dは6mm〜10mmで好ましくは8mm、手元径Dは、13mm〜17mmで好ましくは15mmに設定される。
【0024】
次に、中間層7について説明する。
図3に示すように、長手方向に沿って引き揃えた炭素繊維等の強化繊維cに、マトリックス樹脂としてのエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させて細幅の中間層用のプリプレグテープ10を形成する。そのプリプレグテープ10を、中実棒状体6に対して軸線方向に沿って螺旋状に巻回する。螺旋状に巻回する状態は、中実棒状体6に巻回されたそのプリプレグテープ10の細幅方向の隣接する部分同士の側端が接触する密着状態である。このように、プリプレグテープ10を螺旋状に巻回することによって中間層7としての密巻螺旋体を形成する。
プリプレグテープ10の螺旋巻開始点bを、中実棒状体6の先端から尻端に向けて一定間隔L1だけ離間した位置に設定してあり、その一定間隔L1は400mm〜600mmで望ましくは500mmである。また、プリプレグテープ10の巻き付けリード角Θ
1はロッド軸線Xに対して10°〜80°の範囲である。
【0025】
中間層用のプリプレグテープ10を構成する強化繊維cとしては、具体的には、炭素繊維以外にガラス繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維等が使用でき、樹脂としては、エポキシ樹脂の他に、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂やPV(E)等の熱可塑性樹脂が使用できる。
強化繊維cの弾性率は20〜40トン/mm
2で、中・高弾性率の強化繊維が採用されている。プリプレグテープの幅は5mm又は3mmが採用され、厚みt
1は0.1mm以下で出来れば、0.01mm〜0.07mmの間の値を採ることが望ましい。
【0026】
次に、外側層8について説明する。
図5に示すように、長手方向に沿って引き揃えた炭素繊維等の強化繊維に、マトリックス樹脂としてのエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させて細幅の外側層用のプリプレグテープ11を形成する。そのプリプレグテープ11を、中間層7に対して軸線方向に沿って螺旋状に巻回する。螺旋状に巻回する状態は、隣接する螺旋の間隔L2がプリプレグテープ11の幅の4倍に設定した状態で離間して巻回する。
図5に示すように、手元端まで巻回すると、端部で円周方向に周回し、今度は、往路で巻回した外側層用の内側プリプレグテープとしての往路プリプレグテープ11Aの上にさらに交差するように外側層用の外側プリプレグテープとしての復路プリプレグテープ11Bを巻回してX巻螺旋体を形成する。したがって、ロッド軸線Xに対して直交する方向からみると、往路プリプレグテープ11Aと往路プリプレグテープ11BがX字状に交差しているのが分かる。また、プリプレグテープ11の巻き付けリード角Θ
2はロッド軸線Xに対して10°〜80°の範囲である。この場合は、外側層用の内外プリプレグテープは同一のプリプレグテープである。
【0027】
外側層用のプリプレグテープ11を構成する強化繊維cとしては、具体的には、炭素繊維以外にガラス繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維等が使用でき、樹脂としては、エポキシ樹脂の他に、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂やPV(E)等の熱可塑性樹脂が使用できる。
強化繊維cの弾性率は20〜40トン/mm
2で、中・高弾性率の強化繊維が採用されている。プリプレグテープの幅は5mm又は3mmが採用され、厚みt
2は0.1mm以下で出来れば、0.01mm〜0.07mmの間の値を採ることが望ましい。
【0028】
外側層8を巻回した後には、ポリプロピレン等の樹脂テープで全長を被覆し、焼成炉で焼成する。焼成後は、樹脂テープを剥がし、銀鏡塗装等の所定の装飾処理を施して、釣り竿に仕上げる。
なお、上記実施形態では、外側層8を形成するのに、一つのプリプレグテープ11を往復させて行ったが、例えば、外側層用の内側プリプレグテープ11Aを手元端まで巻き終えた後に、そして先端側から手元側に向けて、外側層用の内側プリプレグテープ11Aの上から外側層用の外側プリプレグテープ11BをX字状に手元端まで巻回する方法を採っても良い。
【0029】
上記した請求項に記載の構成を導き出す為に、テストを行ってみた。但し、これらは、条件が限定されてものであるので、参考として参照されるべきものである。
1.X巻螺旋体の厚み変化によるテスト
【表1】
(1)No1テスト材
(構造):内側層としてのガラス強化繊維製ソリッド体(以後ソリッド体と略称する)の外周面に、外側層として5mm幅、0.1mm厚の内外プリプレグテープをピッチ15mmでX巻にしたものを用いてテストした(X巻について
図5を参照)。
(結果):プリプレグテープの一部にソリッド体より剥離する部分が見られ、竿体より音鳴りがあった。
(考察):このような剥離現象、及び、音鳴りの発生原因としては、釣り竿が荷重を受けて曲りを生じる場合に、ソリッド体の曲りは軸線に沿ったものであるが、そのソリッド体に斜めに架け渡されているプリプレグテープでは伸びの方向が軸線に対して傾斜する方向である為にソリッド体の伸び方向とは異なっており、ソリッド体の外周面の伸びにプリプレグテープでは追従できないという点にあると考えられる。
また、ソリッド体は、ガラス製の強化繊維であるが、プリプレグテープは炭素製の強化繊維で構成しているところから、強化繊維の面でも弾性率等に違いがあり、そのことがより剥離現象、及び、音鳴りを助長していると考えられる。また、先端部で一旦曲りを生じた場合に元の姿勢に戻り難い「塑性の発生」も見られた。
【0030】
(2)No2テスト材
(構造):内側層としてのガラス強化繊維製ソリッド体の外周面に、外側層としての5mm幅、0.07mm厚の内外プリプレグテープをピッチ15mmでX巻にしたものを用いてテストした(X巻について
図5を参照)。
(結果):プリプレグテープの厚みが少し薄くなっただけで、No1テスト竿の場合と同様である。
(3)No3テスト竿
(構造):内側層としてのガラス強化繊維製ソリッド体の外周面に、外側層としての5mm幅、0.05mm厚の内外プリプレグテープをピッチ15mmでX巻にしたものを用いてテストした(X巻について
図5を参照)。
(結果):プリプレグテープの厚みが少し薄くなっただけで、No1テスト竿及びNo2テスト竿の場合と同様である。
以上の結果、X巻テープを中実棒状体の上に直接巻回しただけのものでは、厚みを変更しても、プリプレグテープの剥離現象と音鳴りについては、解消できなかった。
【0031】
2.X巻螺旋体とソリッド体との間に中間層(シート材)を介在させるテスト
そこで、内側層としてのガラス強化繊維製ソリッド体(ガラス繊維製中実棒状体)の外周面と外側層としてのX巻螺旋体の内外プリプレグテープの内周面との間に、次に記すような、種々の中間層を形成することによって、改善を図ってみた。その内容は次のようになっている。
【表2】
(4)No4テスト材
(構造):内側層としてのガラス強化繊維製ソリッド体の外周面に、中間層としての炭素繊維を軸芯方向に引き揃え、樹脂を溶融させてシート状にした単一のプリプレグシートをロッド軸線長の全長に亘って巻回し、その外周面に外側層として5mm幅、0.05mm厚の内外プリプレグテープをピッチ15mmでX巻にしたものを用いてテストした(X巻について
図5を参照)。
(結果):プリプレグテープの一部に剥離する部分が見られたが剥離状態はさほどではない一方、音鳴りは大きなものがあった。塑性の発生も見られた。
(考察):このような剥離現象が抑えられた背景には、プリプレグシートの炭素繊維の配向方向が円周方向であるからと考えられる。
また、ソリッド体は、ガラス製の強化繊維であるが、プリプレグシート及びプリプレグテープは炭素繊維であるところから、弾性率に違いがあり、そのことがより剥離現象、及び、音鳴りを助長していると考えられる。
(5)No5テスト材
(構造):No4テスト竿とはプリプレグシートの炭素繊維の配向方向が軸線方向である点が異なっているだけである。
(結果):プリプレグテープの一部に剥離する部分が見られ、音鳴りは大きなものがあった。塑性の発生は見られなかった。
(考察):このような剥離現象、及び、音鳴りの発生原因としては、中間層として、プリプレグシートを管全長に巻いている為と考えられる。
また、ソリッド体は、ガラス製の強化繊維であるが、プリプレグシート及びプリプレグテープは炭素繊維であるところから、弾性率に違いがあり、そのことがより剥離現象、及び、音鳴りを助長していると考えられる。
【0032】
(6)No6テスト材
(構造):内側層としてのガラス強化繊維製ソリッド体の外周面に、中間層としてのガラス繊維を軸芯方向に引き揃え、樹脂を溶融させてシート状にした単一のプリプレグシートをロッド軸線長の全長に亘って巻回し、その外周面に外側層としての5mm幅、0.05mm厚の内外プリプレグテープをピッチ15mmでX巻にしたものを用いてテストした(X巻について
図5を参照)。
(結果):ガラス強化繊維の弾性率は、ソリッド体とプリプレグシート共に略同じ程度のものであるが、プリプレグテープに剥離する部分が見られ、音鳴りの発生もあった。塑性の発生は見られなかった。
(考察):ガラス強化繊維と言う点で塑性の発生は抑えられたが、ソリッド体とプリプレグシートとの形状の違いにより、曲げが作用した場合の伸びが違い、そのことが、プリプレグテープの剥離及びテスト材の音の発生につながっているのではないかと推測される。
(7)No7テスト材
(構造):内側層としてのガラス強化繊維製ソリッド体の外周面に、中間層としてのガラス繊維を円周方向に引き揃え、樹脂を溶融させてシート状にした単一のプリプレグシートをロッド軸線長の全長に亘って巻回し、その外周面に外側層として5mm幅、0.05mm厚の内外プリプレグテープをピッチ15mmでX巻にしたものを用いてテストした(X巻について
図5を参照)。
(結果):プリプレグテープの一部に剥離する部分が見られるがさほどではなく、プリプレグの剥離する音鳴りは大きなものがあった。塑性の発生は見られなかった。ただし、ここでは、外側層を形成するX巻のプリプレグテープに皺が発生している。
(考察):No6テスト材とはプリプレグシートのガラス繊維の配向方向が円周方向である点が異なっているだけであるが、剥離現象がおさえられているのは、強化繊維の配向方向が円周方向であるという点にあると考えられる。但し、シートとテープとはガラス製の強化繊維と炭素製の強化繊維である点が、皺の発生の原因のひとつとして考えられる。
【0033】
(8)No8テスト材
(構造):内側層としてのガラス強化繊維製ソリッド体の外周面に、中間層としてのガラス繊維の織物(薄い厚み)を被覆し、その外周面に外側層としての5mm幅、0.05mm厚の内外プリプレグテープをピッチ15mmでX巻にしたものを用いてテストした(X巻について
図5を参照)。ただし、ガラス織物はソリッド体の竿先端より竿元側に向かって一定間隔部分には施されていない。
(結果):プリプレグテープの剥離する部分が見られるがさほどではなく、音鳴りの発生もあった。塑性の発生は見られなかった。ただし、外側層を形成するX巻のプリプレグテープに皺が発生している。
(考察):プリプレグテープの剥離は抑えられているが、音鳴りは抑制されてはいない。ただし、ここでは、外側層を形成するX巻のプリプレグテープに皺が発生している。
(9)No9テスト材
(構造):No8テスト材と、ガラス繊維の織物の厚みが厚くなっている点と、そのガラス織物を全長に亘って設けている点で異なっている。
(結果):No8テスト材と同様である。
(考察):ガラス繊維の織物の場合には、織物の厚さ及び全長に施すか否かということには、影響されないようであると考えられる。ただし、織物であるので、プリプレグとの挙動の違いがあり、それが、音鳴りや皺の発生に結びついていると考えられる。
【0034】
(10)No10テスト材
(構造):内側層としてのガラス強化繊維製ソリッド体の外周面に、中間層としての不織布を施し、更にその外周面に外側層としての5mm幅、0.05mm厚の内外プリプレグテープをピッチ15mmでX巻にしたものを用いてテストした(X巻について
図5を参照)。不織布自体はNo1テスト竿からNo9テスト竿までのプリプレグ等とは異なって厚みが厚くなっている。
(結果):プリプレグテープの剥離や音鳴りは発生している。ただ、外側層を形成するX巻のプリプレグテープには皺は発生していない。
(考察):方向性の無い繊維の束である不織布自体の特性によっても、剥離や音鳴りについては、効果は少なかったようである。
【0035】
内側層としてのガラス強化繊維製ソリッド体(ガラス繊維製中実棒状体)の外周面と外側層用の内外プリプレグテープの内周面との間に、前記するような、種々の中間層を形成することによって、剥離に関しては可なり改善するものが見られたが、音鳴りについては、まだ、改善を重ねることにした。
【0036】
3.X巻螺旋体とソリッド体との間に介在させる中間層として、シート材でなく密巻プリプレグシート等を介在させるテスト
【表3】
【0037】
(11)No11テスト材
(構造):ここでは、No1テスト竿からNo10テスト竿まで外側層として一番外側に配置していたX巻プリプレグテープの上に、他のものを更に巻くものとする。つまり、内側層としてのガラス強化繊維製ソリッド体の外周面に、5mm幅、0.1mm厚の内外プリプレグテープをピッチ15mmでX巻にし、そのX巻テープの上からガラス繊維の織物を巻いている点で異なっている。
(結果):この場合には、剥離の発生とともに、音鳴りの発生もあり、剥離したX巻プリプレグテープの一部が織物上に表出した。
(考察):X巻テープの上にガラス繊維の織物を施しても、No1テスト竿の場合と同様の結果であり、織物を施す効果は少なかった。
【0038】
(12)No12テスト材:ここでは、No11テスト竿の外側に施したガラス織物から不織布に変更した。
(結果):この場合には、剥離の発生とともに、音鳴りの発生もある。
(考察):X巻テープの上にガラス繊維の織物を施しても、No1テスト竿の場合と同様の結果であり、織物を施す効果は少なかった。
【0039】
(13)No13テスト材
(構造):内側層としてのガラス強化繊維製ソリッド体の外周面に、中間層としての炭素繊維を長手方向に引き揃え、樹脂を溶融させてテープ状にした単一の中間層用のプリプレグテープ(5mm幅、0.1m厚)をロッド軸線長の全長に亘って螺旋状に一層だけ巻回し、その外周面に外側層としての5mm幅、0.05mm厚の外側層用の内外プリプレグテープをピッチ15mmでX巻にしたものを用いてテストした(X巻について
図5を参照)。
(結果):プリプレグテープの一部に剥離する部分が見られたが、竿先側での音鳴りは大きなものがあった。
(考察):このような剥離現象が抑えられた背景には、外側層のX巻プリプレグテープと内側層のソリッド体との間に中間層用プリプレグテープを挿入したことが大きい。
【0040】
(14)No14テスト材
(構造):内側層としてのガラス強化繊維製ソリッド体の外周面に、外側層としての5mm幅、0.01mm厚の内外プリプレグテープをピッチ20mmでX巻にしたものを用いてテストした(X巻について
図5を参照)。
(結果):プリプレグテープの一部にソリッド体より剥離する部分が見られたがさほどではなく、音鳴りは竿先側で大きなものがあった。
(考察):No3テスト材のものと比べると、X巻のピッチが5mm程大きくなっていることによって、剥離、音鳴りともに抑制されたものと考えられる。
【0041】
(15)No15テスト材
(構造):内側層としてのガラス強化繊維製ソリッド体の外周面に、中間層としての炭素繊維を長手方向に引き揃え、樹脂を溶融させてテープ状にした単一の中間層用プリプレグテープ(5mm幅、0.02m厚:穂先に達しない長さ)を、内側層の先端より尻端側に長さL1だけよった位置から尻端まで、ロッド軸線に沿って螺旋状に一層だけ巻回し、その外周面に外側層としての5mm幅、0.05mm厚の内外プリプレグテープをピッチ15mmでX巻にしたものを用いてテストした(X巻について
図5を参照)。
(結果):剥離が抑えられ、音鳴りも止まった。
(考察):中間層として挿入したプリプレグテープが十分利いているものと考えられる。
【0042】
以上のようなテスト結果を十分に考慮することによって、上記したような構成を導き出した。
【0043】
〔別実施形態〕
(1)
図7に示すように、中間層7としての密巻螺旋体としては、次のような形態を採っても良い。下側プリプレグテープ10Aを内側層としての中実棒状体6に対して軸線方向に沿って螺旋状に巻回する。螺旋状に巻回する状態は、中実棒状体6に巻回されたそのプリプレグテープ10Aの細幅方向の隣接する部分同士の側端が接触する密着状態として、一層分の密巻螺旋体を形成する。その後に、更に、上側プリプレグテープ10Bを、下側プリプレグテープ10Aを巻回した中実棒状体6に対して軸線方向に沿って螺旋状に巻回する。螺旋状に巻回する状態は、巻回されたその上側プリプレグテープ10Bの細幅方向の隣接する部分同士の側端が接触する密着状態として、二層分の密巻螺旋体を形成する。その一層目の密巻螺旋体と二層目の密巻螺旋体を巻回した状態で、ロッド軸線に直交する方向で見た場合に、一層分と二層分とは図示するように、ロッド軸線Xに対して巻き付けリード角Θ
3、Θ
4で交差するように巻回されている。
このように、中間層として二層分の密巻螺旋体を形成することによって、曲げ強度、及び、捩じり強度の高い釣り竿、牽いては、長尺ロッドを形成できる。特に、上側プリプレグテープ10Bと下側プリプレグテープ10Aとの巻回方向が逆回りの螺旋を描く場合には、左右からの捩じり力に対して、更に、対抗力の高い長尺ロッドを提供できる。
(2)本発明については、釣り竿について説明したが、自転車のフレームや、ゴルフシャフト等にも利用可能である。