【文献】
稲葉敬之,“多周波ステップICWレーダによる多目標分離法”,電子情報通信学会技術研究報告,2005年 4月21日,Vol.105,No.35,p.1−6
【文献】
福島冬樹、外3名,“相対速度による影響が大きい場合の多周波ステップICW方式におけるドップラー補正法の一検討”,電子情報通信学会技術研究報告,2009年 7月24日,Vol.109,No.162,p.7−12
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、各種無線通信システムの普及により周波数資源の枯渇が問題となっている。そこで、異なる通信システム間での混信又は干渉により通信障害が生じないように、各通信システムに割り当てられている周波数帯域外に発射される不要波(スプリアス)をできる限り低減させることが求められている。また、国際的にも、厳しい減衰量レベルを達成することが各種無線通信システムに要求されている(ITU−R勧告SM.1541など)。
無線通信システムと同様に、レーダ装置に対しても、不要波により生じる混信又は干渉を防ぐために、より厳しい減衰量レベルを達成することが要求されている。
【0003】
近接するレーダ装置同士における干渉を防ぐ技術については、既に検討が行われていた(例えば、特許文献1)。しかし、上述のような、厳しい減衰量レベルを達成する技術ではなかった。このような要求を満たすために、高出力の発振信号を得やすいが、スプリアスの抑制が困難なマグネトロンから、スプリアスの抑制が容易なソリッドステート(固体素子)を利用したレーダ装置の開発、普及が進んでいる。
【0004】
しかし、例えば船舶レーダにおいてマグネトロンを利用する場合、数十キロ[W]の送信電力が得られるのに対して、ソリッドステートを利用する場合、数百[W]程度しか得ることができない。一般に、レーダ装置は、送信電力の尖頭値が低くなると探索距離が短くなってしまう。したがって、ソリッドステートを利用したレーダ装置は、探索距離が短くなってしまう。
【0005】
そこで、マグネトロンをソリッドステートに変えた際に生じる送信電力の低下による探索性能の低下を、信号の送信時間を伸ばすことと、パルス圧縮処理とを組み合わせることにより補っている。これにより、スプリアスに対する厳しい減衰量レベルを達成するとともに、探索性能の維持をしている。
【0006】
ところが、スプリアスに対する減衰量レベルを満たしているにもかかわらず、レーダ装置の利用に割り当てられている周波数帯域(以下、レーダ用帯域という)に隣接した周波数帯域を利用する他の通信システムにおいて、レーダ装置から送信される信号が混信又は干渉して通信障害を生じさせてしまうことがある。
【0007】
一般に、通信システムにおいて利用される受信装置は、当該通信システムに割り当てられている周波数帯域の受信信号を、中間周波数又はベースバンド周波数にダウンコンバートして復調及び復号を行う。このとき、レーダ用帯域と、通信システムの周波数帯域と、当該通信システムの受信装置がダウンコンバートに用いる局部発振周波数との関係が以下のような場合、上述の通信障害が発生する場合がある。
【0008】
図10は、通信障害が発生する場合における周波数帯域の割り当てと、受信装置における局部発振周波数との一例を示す図である。
図10(a)に示すように、周波数F1から周波数F2までの周波数帯域がレーダ用帯域に割り当てられ、周波数F3から周波数F4までの周波数帯域が他の通信システムに割り当てられ、通信システムの受信装置における局部発振周波数FLoが周波数F2から周波数F3の間に設定されている場合について説明する。
【0009】
図10(b)は、
図10(a)のような周波数割り当てがなされている場合における、受信装置がダウンコンバートにより得る信号の周波数帯域を示した図である。通信システムに割り当てられている周波数F3から周波数F4までの周波数帯域における所望の信号は、ダウンコンバートされ周波数(F3−FLo)から周波数(F4−FLo)までの周波数帯域の信号に変換される。また、局部発振周波数FLoより低く、イメージ周波数を含む周波数F1から周波数F2までのレーダ用帯域の信号も、周波数(FLo−F1)から周波数(FLo−F2)までの周波数帯域の信号に変換される。
【0010】
このように、レーダ装置から送信されるパルス信号は、周波数(FLo−F1)から周波数(FLo−F2)までのいずれかにイメージ信号として現れ、周波数(F3−FLo)から周波数(F4−FLo)までの周波数帯域と重なってしまう。このとき、レーダ装置から送信されるパルス信号が、通信システムにおける通信に混信又は干渉して通信障害を生じさせてしまうことがある。
【0011】
すなわち、他の通信システムの受信装置において使用する局部発振周波数の設定次第で、レーダ用帯域の信号が通信システムにおける信号に重なるイメージ信号となるので、通信システムにおける通信に混信又は干渉して通信障害を生じさせてしまう。これに対して、通信システムで利用する受信装置では、通常、イメージ周波数の信号を抑圧する機能を備え、イメージ周波数の信号による干渉を抑圧するようにしている。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態によるレーダ装置を、4つの実施形態に基づいて説明する。
【0022】
以下に述べる4つの実施形態によるレーダ装置は全て、予め定められた周期で異なる搬送波周波数f1、f2、f3の順でパルス信号を送信する送信部と、送信部から送信されたパルス信号が検出対象となる目標物により反射された反射信号を受信する受信部とを備えている。各実施形態では、受信部により受信された反射信号の分割や合成のされ方が異なる。
【0023】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態におけるレーダ装置1の構成を示す概略ブロック図である。同図に示すように、レーダ装置1は、送信部11、アンテナ12、受信部13、A/D(Analog/Digital;アナログ/デジタル)変換部14、周波数分割部15、信号記憶部16、信号合成部17、及び出力処理部18を具備している。
【0024】
送信部11は、アンテナ12を介して、予め定められた異なる搬送波周波数f1、f2、f3の順でパルス信号を送信する。すなわち、送信部11は、搬送波周波数を変更する周波数ホッピングをしてパルス信号を送信する。ここで、搬送波周波数f1、f2、f3は、検出する対象物(目標物標)からの反射による周波数の移相量が、周波数間隔に比例することを利用して設定する。具体的には、f2=f1+Δf、f3=f1+2×Δfとなるように設定する。また、送信部11から送信されるパルス信号は、周波数を線型に挿引したチャープパルスとしてもよい。
【0025】
図2及び
図3を用いて、送信部11により送信されるパルス信号について説明する。
図2は、送信部11により送信されるパルス信号の系列の一例を示す図である。同図において、横軸は時間を示し、縦軸は送信電力を示している。本実施形態における送信部11は、
図2に示すように、パルス信号の各送信周期(Pulse Repetition Interval;PRI)において、3つの異なる搬送波周波数f1、f2、f3によりパルス信号を予め定められた送信時間Trxの間連続して送信する。搬送波周波数f1、f2、f3それぞれの送信時間は、例えば、時間(Trx/3)ずつにする。ここで、送信時間Trxは、対象物を検出するために要求される探索性能を満たすために必要とされるパルス信号の送信時間である。
【0026】
図3は、送信部11により送信されるパルス信号の周波数特性及び振幅特性のイメージを示す図である。
図3(a)は、パルス信号の周波数特性を示す図である。横軸は時間を示し、縦軸は周波数を示している。
図3(a)に示すように、各PRIにおいて、搬送波周波数f1、f2、f3の順に搬送波周波数を切り替えてパルス信号を送信する。また、
図3(b)は、パルス信号の振幅特性を示す図である。横軸は時間を示し、縦軸は振幅の最大値(尖頭値、波高値)を示している。
図3(b)に示すように、各搬送波周波数において送信されるパルス信号の振幅の最大値が同じになるように送信される。
【0027】
図1に戻って、受信部13は、アンテナ12より送信されたパルス信号が、検出対象となる目標物により反射された反射信号をアンテナ12を介して受信する。A/D変換部14は、受信部13により受信された反射信号に対してアナログ−デジタル変換をしてデジタル化した反射信号を周波数分割部15に出力する。周波数分割部15は、搬送波周波数f1、f2、f3を中心周波数とするバンドパスフィルタによりデジタル化した反射信号を3つの周波数帯域の信号に分割する。
【0028】
信号記憶部16は、周波数分割部15により3つに分割された信号を、対応する搬送波周波数ごとに分けて記憶する。具体的には、信号記憶部16は、第1信号記憶部161a、第2信号記憶部161b、及び第3信号記憶部161cを備えている。第1信号記憶部161aは、搬送波周波数f1に対応する周波数帯域の信号を記憶する。第2信号記憶部161b及び第3信号記憶部161cは、第1信号記憶部161aと同様に、搬送波周波数f2、搬送波周波数f3に対応する周波数帯域の信号を記憶する。なお、第1信号記憶部161a、第2信号記憶部161b、及び第3信号記憶部161cは、同PRIにおける反射信号が信号合成部17にて並列して処理されるように、時系列の順に信号を記憶する。
【0029】
信号合成部17は、予め定められた数のPRI間に亘って、信号記憶部16に記憶されている信号からなる時系列の信号を合成して出力処理部18に出力する。信号合成部17は、搬送波周波数f1、f2、f3ごとに位相合成をする位相合成部171と、位相合成部171により搬送波周波数f1、f2、f3ごとに位相合成された信号を更に合成して1つの信号として出力する異周波数間信号合成部175とを備えている。
【0030】
位相合成部171は、搬送波周波数f1、f2、f3それぞれに対応するPRI間信号合成部171a、171b、171cを有している。PRI間信号合成部171aは、4PRI間に亘って、搬送波周波数f1に対応する信号をコヒーレント合成(位相加算)して出力する。PRI間信号合成部171b、171cは、PRI間信号合成部171aと同様に、4PRI間に亘って、搬送波周波数f2、f3に対応する信号を位相加算して出力する。換言すると、位相合成部171は、搬送波周波数f1、f2、f3ごとに、各搬送波周波数に対応する信号に対してドップラーフィルタバンク処理を行う。
【0031】
異周波数間信号合成部175は、PRI間信号合成部171a〜171cにより搬送波周波数f1、f2、f3ごとに4PRI間に亘って位相加算により算出された信号を合成する。出力処理部18は、異周波数間信号合成部175により合成された信号に対して更なる処理をして出力する。例えば、外部に接続された表示装置に表示させるために映像信号に変換するなどの処理をする。
【0032】
PRI間信号合成部171a〜171cの具体的な構成の一例について説明する。
図4は、本実施形態におけるPRI間信号合成部171aの構成を示す概略ブロック図である。PRI間信号合成部171b、171cは、PRI間信号合成部171aと同じ構成を有しているので、その説明を省略する。
【0033】
PRI間信号合成部171aは、直交検波器172と、累算器173a、173bとを有している。直交検波器172は、第1信号記憶部161aに記憶されている連続する4PRI分の搬送波周波数f1に対応する信号を順に読み出し、読み出した信号に対して順に直交検波を行いI信号及びQ信号に分離する。I信号とQ信号の振幅は同一で、位相は互いに90度異なる。以後の処理においてI信号は複素数の実部として、Q信号は複素数の虚部として取り扱う。直交検波は、たとえば互いに位相が90度異なる同一周波数の信号を検波の対象となる信号と混合する方法、ヒルベルトフィルタを利用する方法などによって実現できる。
【0034】
累算器173aは、直交検波器172から出力されるI信号を4PRI分加算して出力する。累算器173bは、直交検波器172から出力されるQ信号を4PRI分加算して出力する。PRI間信号合成部171aは、上述のように4PRI間に亘って、第1信号記憶部161aに記憶されている信号を、PRI1〜PRI4、PRI2〜PRI5、…と順に4PRI分の信号を読み出し、読み出した信号に基づくI信号とQ信号とを独立に加算する位相加算して順次出力する。
【0035】
次に、異周波数間信号合成部175の具体的な構成の一例について説明する。
図5は、本実施形態における異周波数間信号合成部175の構成を示す概略ブロック図である。同図に示すように、異周波数間信号合成部175は、移相器176、177と、加算器178a、178bと、最大値判定器179とを有している。
【0036】
移相器176、177は、予め定められる複数の移相量の組み合わせにより、PRI間信号合成部171b、171cから出力される信号に対して移相して出力する。加算器178aは、PRI間信号合成部171aから出力されるI信号と、移相器176から出力されるI信号と、移相器177から出力されるI信号とを加算する。加算器178bは、PRI間信号合成部171aから出力されるQ信号と、移相器176から出力されるQ信号と、移相器177から出力されるQ信号とを加算する。
【0037】
すなわち、加算器178a、178bは、PRI間信号合成部171aから出力される搬送波周波数f1と、移相器176、177により移相された搬送波周波数f2、f3とを位相加算する。最大値判定器179は、移相量の組み合わせごとに、位相加算された信号の二乗和平方根を算出し、複数の移相量の組み合わせにおいて最も二乗和平方根の大きい信号を選択して出力する。
【0038】
ここでは、予め定められる複数の移相量の組み合わせが、搬送波周波数f1に対応する信号を基準として、以下のように設定されている場合について説明する。(0,0,0)、(0,π/2,2π/2)、(0,2π/2,4π/2)、(0,3π/2,6π/2)の4通りの組み合わせに設定されているものとする。ここで、(a,b,c)は、移相量の組み合わせを示し、aが搬送波周波数f1に対応する信号に対する移相量であり、bが搬送波周波数f2に対応する信号に対する移相量であり、cが搬送波周波数f3に対応する信号に対する移相量である。
【0039】
移相器176は、PRI間信号合成部171bにより位相合成された搬送波周波数f2に対応するI信号及びQ信号に対して、0、π/2、2π/2、3π/2の移相量により移相した信号を順に出力する。移相器177は、PRI間信号合成部171cにより位相合成された搬送波周波数f3に対応するI信号及びQ信号に対して、0、2π/2、4π/2、6π/2の移相量により移相した信号を順に出力する。
【0040】
加算器178aは、上記の移相量の組み合わせごとに、PRI間信号合成部171aから出力されるI信号と、移相器176から出力されるI信号と、移相器177から出力されるI信号とを加算する。加算器178aは、上記の移相量の組み合わせごとに、PRI間信号合成部171aから出力されるQ信号と、移相器176から出力されるQ信号と、移相器177から出力されるQ信号とを加算する。すなわち、加算器178a、178bは、上記の移相量の組み合わせごとに、移相されたI信号とQ信号とを独立に加算する位相加算をする。
【0041】
最大値判定器179は、上記4つの移相量の組み合わせごとに、加算器178a、178bにより位相加算されたI信号及びQ信号の二乗和平方根(振幅)を算出し、4つの移相量の組み合わせにおいて二乗和平方根が最も大きいI信号及びQ信号を選択して出力する。
【0042】
図6は、本実施形態における異周波数間信号合成部175の処理を示す模式図である。
同図に示すように、搬送波周波数f1、f2、f3に対応した信号であって、PRI間信号合成部171a〜171cから出力される信号に対して、4通りの移相をして位相加算をし、4つの位相加算の結果のうち最も二乗和平方根(振幅)の大きい結果を選択して出力する。これにより、SNR(Signal−Noise Ratio;信号雑音比)を2.6倍に改善することができる。本実施形態では、移相量の組み合わせを4通りとしたが、移相量の組み合わせ(phaseパターン)を無限に増やすとSNRを3倍にまで改善することができる。このように、異周波数間信号合成部175は、合成する搬送波周波数f1、f2、f3に対応する信号に対して、移相量の組み合わせにより、搬送波周波数の差に比例するように位相を回転させて位相加算(コヒーレント合成)し、振幅が最大となるように合成する。
【0043】
図7は、本実施形態のレーダ装置1における処理の概要を示す模式図である。レーダ装置1は、同図に示すように、送信部11が各PRIにおいて周期的に、搬送波周波数f1、f2、f3の順にパルス信号を連続して送信し、対象物により反射した反射信号を受信する。受信された反射信号は、周波数分割部15により搬送波周波数f1、f2、f3に対応する信号ごとに分割され、信号記憶部16に備えられている第1信号記憶部161a、第2信号記憶部161b、第3信号記憶部161cにそれぞれ記憶される。
【0044】
第1信号記憶部161a、第2信号記憶部161b、第3信号記憶部161cに記憶されている搬送波周波数f1〜f3それぞれに対応する信号は、PRI間信号合成部171a〜171cにより4PRIに亘って位相加算され、更に、異周波数間信号合成部175により1つの信号に合成されて出力される。このように、搬送波周波数f1、f2、f3により送信したパルス信号は、合成されてSNRを改善することができ、3つの搬送波周波数における送信時間それぞれが、探索性能を満たすために必要とされるパルス信号の送信時間Trxより短くても、探索性能を維持することができる。
【0045】
(第2実施形態)
第2実施形態におけるレーダ装置は、第1実施形態におけるレーダ装置1と、レーダ装置1に備えられているPRI間信号合成部171a〜171cが異なるので、異なる構成を説明し、他の構成の説明を省略する。
【0046】
図8は、本実施形態におけるレーダ装置に備えられるPRI間信号合成部271aの構成を示す概略ブロック図である。PRI間信号合成部271aは、第1実施形態におけるPRI間信号合成部171aに替えて備えられる。また、PRI間信号合成部271b、271cは、PRI間信号合成部271aと同様に、第1実施形態におけるPRI間信号合成部171b、171cに替えて備えられる。また、PRI間信号合成部271b、271cは、PRI間信号合成部271aと同じ構成を有しているので、その説明を省略する。
【0047】
図8に示すように、PRI間信号合成部271aは、FFT演算器272と、最大値選択器273とを有している。FFT演算器272は、第1信号記憶部161aに記憶されている連続する4PRI分の搬送波周波数f1に対応する信号を読み出し、読み出した4PRI分の信号に対する高速フーリエ変換により周波数領域の信号に変換する。最大値選択器273は、FFT演算器272により変換された周波数領域の信号のうち、最も電力の大きい周波数の信号を選択し、選択した信号のI信号(実数部)及びQ信号(虚数部)を異周波数間信号合成部175に出力する。
【0048】
上述のように、本実施形態のPRI間信号合成部271a〜271cは、FFT演算器272により周波数領域の信号に変換して合成するようにしたので、アンテナ12と対象物の間の距離が変化している場合、その速度に応じて変移した周波数ごとに合成が行われるので、位相加算よりもSNRを向上させることができる。また、搬送波周波数f1、f2、f3それぞれの周波数の変移に基づいて、対象物の移動速度を検出するようにしてもよい。
【0049】
なお、FFT演算器272が4PRI分の信号に対して高速フーリエ変換する構成について説明したが、4PRI分の信号に振幅がゼロの信号を加えて、FFTポイント数を4より大きくして高速フーリエ変換をするようにしてもよい。これにより、PRI信号間合成の精度を高めることができる。
【0050】
また、上述の各実施形態におけるレーダ装置は、搬送波周波数ごとに信号記憶部16に記憶されている時系列の反射信号に対して、予め定められた周期(PRI)に亘ってコヒーレント合成し、更に、搬送波周波数間でコヒーレント合成して、反射信号のSNRを向上させる。これにより、複数の搬送波周波数における送信時間それぞれが、探索性能を満たすために必要とされるパルス信号の送信時間Trxより短くても、探索性能を維持することができる。
【0051】
また、上述の各実施形態において、異周波数間信号合成部175において、移相量の組み合わせごとに加算器178a、178bにより位相加算をする構成を説明したが、位相加算をせずに移相された各信号の振幅(二乗和平方根)の総和を算出(振幅合成)するようにしてもよい。この場合、最大値判定器179は、移相量の組み合わせのうち、最も大きい振幅の総和を選択して出力するようにしてもよい。
【0052】
また、上述の各実施形態の異周波数間信号合成部175において、予め定められる複数の移相量の組み合わせを4通りとしたが、例えば、以下のようにしてもよい。移相量の組み合わせをN通り(Nは、4以上の整数)とした場合、移相量を、(0,j×(2π/N),2×j×(2π/N))、(jは、0≦j<Nを満たす整数)に設定してもよい。
【0053】
例えば、移相量の組み合わせを8(N=8)通りとしたとき、移相量の組み合わせは、{(0,0,0)、(0,π/4,2π/4)、(0,2π/4,4π/4)、(0,3π/4,6π/4)、(0,4π/4,8π/4)、(0,5π/4,10π/4)、(0,6π/4,12π/4)、(0,7π/4,14π/4)}となる。このとき、最大値判定器179は、8通りの位相加算の結果のうち二乗和平方根が最も大きい結果を選択して出力する。これにより、合成により得られる信号のSNRを更に改善させることができる。
【0054】
また、上述の各実施形態の信号合成部17において、信号合成部17に入力された信号は位相合成部171を経て異周波数間信号合成部に入力される場合を説明したが、この構成に限定されない。これは、A/D変換部14から出力された後に受信信号がどのように分割されるかによって信号合成部17の構成が決まるためである。
【0055】
たとえば、周波数分割部15を設けずに受信信号をPRIごとに時分割した場合、信号記憶部16は、予め定められた数のPRI間に亘ってPRIごとに分けて信号を記憶する。
各PRIは異なる搬送波周波数を含むため、信号合成部17に入力されたらPRIごとに異周波数間信号合成部を経て、PRIごとに信号合成された後にPRI間信号合成部に入力されることが好ましい。
【0056】
このように、受信された受信信号について信号の分割方法は周波数分割に限定されない。したがって、信号合成部17の具体的な構成については、受信信号の分割方法に応じて決められるべきであるため多用な実施形態の構成が可能である。以下、周波数分割部15を設けずに受信信号をPRIごとに時分割した場合の具体的な実現方法を述べる。
【0057】
(実施形態3)
第3実施形態におけるレーダ装置3は、
図11の概略ブロック図のように構成される。
レーダ装置3は、送信部31、アンテナ32、受信部33、A/D変換部34、時分割部35、信号記憶部36、信号合成部37、及び出力処理部38を具備している。
【0058】
送信部31とアンテナ32と受信部33とA/D変換部34の動作は、第1実施形態及び第2実施形態におけるレーダ装置1の送信部11とアンテナ12と受信部13とA/D変換部14の各々の動作と同様であるためここでは説明を省略する。A/D変換部34はデジタル化された反射信号を時分割部35に出力する。
【0059】
時分割部35は、予め定められた数のPRI間に亘って受信信号を分割する。本実施形態では、4つのPRI間(PRI1、PRI2、PRI3、PRI4)に亘って受信信号を分割する場合について説明する。受信信号が入力された時分割部35は、1PRIごとに受信信号を時分割して信号記憶部36へ出力する。1PRIごとに分割された受信信号には異なる搬送波周波数f1、f2、f3が含まれる。
【0060】
信号記憶部36は、1PRIごとに分けて記憶する。信号記憶部36は、第1信号記憶部361a、第2信号記憶部361b、第3信号記憶部361c、及び第4信号記憶部361dを備えている。第1信号記憶部361aは、PRI1に対応する信号が記憶される。
第2信号記憶部361b、第3信号記憶部361c、及び第4信号記憶部361dは、第1信号記憶部361aと同様に、PRI2、PRI3、PRI4に対応する信号を、第1信号記憶部361aと同じ構成によって記憶する。
【0061】
信号合成部37は、予め定められた数のPRI間に亘って、信号記憶部36に記憶されている信号を合成して出力処理部38に出力する。信号合成部37は、送信周期PRI1、PRI2、PRI3、PRI4ごとに複数の搬送波周波数の信号を合成する異周波数間信号合成部371a、371b、371c、371dと、送信周期PRI1、PRI2、PRI3、PRI4ごとに合成された信号を更に振幅加算して1つの信号に合成して出力するPRI間信号合成部376とを備えている。
【0062】
異周波数間信号合成部371a、371b、371c、371dは、送信周期PRI1、PRI2、PRI3、PRI4それぞれに対応する信号を合成する。異周波数間信号合成部371aは、3周波数間に亘って、PRI1に対応する信号を予め定められる複数の移相量の組み合わせにより、3つの搬送波周波数間に亘って信号を位相加算(コヒーレント合成)して最大値を選択し出力する。異周波数間信号合成部371b、371c、371dは、異周波数間信号合成部371aと同様に、予め定められる複数の移相量の組み合わせにより、3つの搬送波周波数間に亘って、PRI2、PRI3、PRI4に対応する信号について位相加算して最大値を選択し出力する
【0063】
PRI間信号合成部376は、異周波数間信号合成部371a〜371dによりPRI1、PRI2、PRI3、PRI4ごとに搬送波周波数f1、f2、f3間に亘って予め定められる複数の移相量の組み合わせにより、3つの搬送波周波数間に亘って加算された信号を出力処理部38へ出力する。
【0064】
出力処理部38は、実施形態1と実施形態2におけるレーダ装置1の出力処理部18と同様に、PRI間信号合成部376により合成された信号に対して更なる処理をして出力する。例えば、外部に接続された表示装置に表示させるために映像信号に変換するなどの処理をする。
【0065】
異周波数間信号合成部371a〜371dの具体的な構成の一例について説明する。
図13は、本実施形態における異周波数間信号合成部371aの処理を示す模式図である。
また
図12は本実施形態における異周波数間信号合成部371aの構成を示す概略ブロック図である。異周波数間信号合成部371b、371c、371dは、異周波数間信号合成部371aと同じ構成を有しているので、その説明を省略する。
【0066】
異周波数間信号合成部371aは、直交検波器372と、移相器373aと移相器373bと、加算器374aと加算器374bと、最大値判定器375を有している。直交検波器372は、第1信号周波数記憶部361aに記憶されている1PRI分の搬送波周波数f1、f2、f3に対応する信号を順に読み出し、読み出した信号に対して順に直交検波を行いI信号及びQ信号に分離する。I信号とQ信号の振幅は同一で、位相は互いに90度異なる。以後の処理においてI信号は複素数の実部として、Q信号は複素数の虚部として取り扱う。直交検波は、たとえば互いに位相が90度異なる同一周波数の信号を検波の対象となる信号と混合する方法、ヒルベルトフィルタを利用する方法などによって実現できる。
【0067】
移相器373a、373bは、予め定められる複数の移相量の組み合わせにより、第1信号記憶部361aから出力される信号を移相して出力する。加算器374aは、第1信号記憶部361aから出力されるf1のI信号と、移相器373aから出力されるf2のI信号と、移相器373bから出力されるf3のI信号とを加算する。加算器374bは、第1信号記憶部361aから出力されるf1のQ信号と、移相器373aから出力されるf2のQ信号と、移相器373bから出力されるf3のQ信号とを加算する。異周波数間信号合成部371aは、上述のように3周波数間に亘って、第1信号記憶部361aに記憶されている信号を読み出し、読み出した信号に基づくI信号とQ信号とを独立に、予め定められる複数の移相量の組み合わせにより、位相加算して出力する。
【0068】
すなわち、加算器374a、374bは、第1信号記憶部361aから出力されるf1と、移相器373a、373bにより移相されたf2、f3とを位相加算する。最大値判定器375は、移相量の組み合わせごとに、位相加算された信号の二乗和平方根を算出し、複数の移相量の組み合わせにおいて最も二乗和平方根の大きい信号を選択して出力する。
【0069】
ここでは、予め定められる複数の移相量の組み合わせが、PRI1に対応する信号を基準として、以下のように設定されている場合について説明する。(0,0,0)、(0,π/2,2π/2)、(0,2π/2,4π/2)、(0,3π/2,6π/2)の4通りの組み合わせに設定されているものとする。ここで、(a,b,c)は、移相量の組み合わせを示し、aがf1に対応する信号に対する移相量であり、bがf2に対応する信号に対する移相量であり、cがf3に対応する信号に対する移相量である。
【0070】
移相器373aは、直交検波器372より出力されたf2に対応するI信号及びQ信号に対して、0、π/2、2π/2、3π/2の移相量により移相した信号を順に出力する。移相器373bは、直交検波器372より出力されたf3に対応するI信号及びQ信号に対して、0、2π/2、4π/2、6π/2の移相量により移相した信号を順に出力する。
【0071】
加算器374aは、上記の移相量の組み合わせごとに、直交検波器372から出力されるf1のI信号と、移相器373aから出力されるf2のI信号と、移相器373bから出力されるf3のI信号とを加算する。加算器374bは、上記の移相量の組み合わせごとに、直交検波器372から出力されるf1のQ信号と、移相器373aから出力されるf2のQ信号と、移相器373bから出力されるf3のQ信号とを加算する。すなわち、加算器374a、374bは、上記の移相量の組み合わせごとに、移相されたI信号とQ信号とを独立に加算する位相加算をする。
【0072】
最大値判定器375は、上記4つの移相量の組み合わせごとに、加算器374a、374bにより位相加算されたI信号及びQ信号の二乗和平方根(振幅)を算出し、4つの移相量の組み合わせにおいて二乗和平方根が最も大きいI信号及びQ信号を選択してPRI間信号合成部376へ出力する。
【0073】
図13は、本実施形態における異周波数間信号合成部371の処理を示す模式図である。同図に示すように、f1、f2、f3に対応した信号であって、直交検波器372から出力される信号に対して、4通りの移相をして位相加算をし、4つの位相加算の結果のうち最も二乗和平方根(振幅)の大きい結果を選択して出力する。これにより、SNRを2.9dB以上に改善することができる。本実施形態では、移相量の組み合わせを4通りとしたが、移相量の組み合わせ(phaseパターン)を無限に増やすとSNRを4.8dBにまで改善することができる。
【0074】
次に、PRI間信号合成部376の具体的な構成の一例について説明する。
図14は、本実施形態におけるPRI間信号合成部376の構成を示す概略ブロック図である。同図に示すように、PRI間信号合成部376は、加算器378を有している。
【0075】
加算器378は、異周波数間信号合成部371aと異周波数間信号合成部371bと異周波数間信号合成部371cと異周波数間信号合成部371dとから出力される信号の振幅を加算する。
【0076】
図15は、本実施形態のレーダ装置3における処理の概要を示す模式図である。レーダ装置3は、同図に示すように、送信部11が各PRIにおいて周期的に、搬送波周波数f1、f2、f3の順にパルス信号を連続して送信し、対象物により反射した反射信号を受信する。受信された反射信号は、時分割部35によりPRI1、PRI2、PRI3、PRI4の送信周期ごとに分割され、さらにPRIごとに信号記憶部16に備えられている第1信号記憶部361a、第2信号記憶部361b、第3信号記憶部361c、第4信号記憶部361dにそれぞれ記憶される。
【0077】
第1信号記憶部361a、第2信号記憶部361b、第3信号記憶部361c、第4信号記憶部361dに記憶されているPRI1からPRI4それぞれに受信された信号は、異周波数間信号合成部371a〜371dにより3つの搬送波周波数に亘って位相加算され、更に、PRI間信号合成部376により1つの信号に加算合成されて出力される。このように、搬送波周波数f1、f2、f3により送信したパルス信号は、合成されてSNRを改善することができ、3つの搬送波周波数における送信時間それぞれが、探索性能を満たすために必要とされるパルス信号の送信時間Trxより短くても、探索性能を維持することができる。
【0078】
なお、異周波数間信号合成部371a〜dにおいて、移相量の組み合わせごとに位相加算をする構成を説明したが、位相加算をせずに移相された各信号の振幅(二乗和平方根)の総和を算出(振幅合成)するようにしてもよい。この場合、移相量の組み合わせのうち、最も大きい振幅の総和を最大値判定器で選択して出力するようにしてもよい。
【0079】
(第4実施形態)
第4実施形態におけるレーダ装置は、第3実施形態におけるレーダ装置3と、レーダ装置3に備えられている異周波数間信号合成部371a〜371dが異なるので、異なる構成を説明し、他の構成の説明を省略する。
【0080】
図16は、本実施形態におけるレーダ装置に備えられる異周波数間信号合成部471aの構成を示す概略ブロック図である。異周波数間信号合成部471aは、第3実施形態における異周波数間信号合成部371aに替えて備えられる。また、異周波数間信号合成部471b、471c、471dは、異周波数間信号合成部471aと同様に、第3実施形態における異周波数間信号合成部371b、371c、371dに替えて備えられる。また、異周波数間信号合成部471b、471c、471dは、異周波数間信号合成部471aと同じ構成を有しているので、その説明を省略する。
【0081】
図16に示すように、異周波数間信号合成部471aは、直交検波器472と、FFT演算器473とを有している。FFT演算器473は、第1信号記憶部361aに記憶されている1番目のPRI内の3つの搬送波周波数f1、f2、f3に対応する信号を読み出し、読み出した1PRI内の3つの搬送波周波数分の信号に対する高速フーリエ変換により周波数領域の信号に変換する。最大値選択器474は、FFT演算器473により変換された周波数領域の信号のうち、最も電力の大きい周波数の信号を選択し、選択した信号をPRI間信号合成部376に出力する。
【0082】
なお、FFT演算器472が3つの搬送波周波数分の信号に対して高速フーリエ変換する構成について説明したが、3つの搬送波周波数分の信号に振幅がゼロの信号を加えて、FFTポイント数を4より大きくして高速フーリエ変換をするようにしてもよい。
【0083】
上述したように、第3及び第4実施形態におけるレーダ装置3は、PRIごとに信号記憶部36に記憶されている搬送波周波数ごとの反射信号に対して、複数の搬送波周波数間に亘ってコヒーレント合成し、更に、予め定められたPRIに亘って合成して、反射信号のSNRを向上させる。これにより、複数の搬送波周波数における送信時間それぞれが、探索性能を満たすために必要とされるパルス信号の送信時間Trxより短くても、探索性能を維持することができる。
【0084】
なお、第3及び第4実施形態においては、信号記憶部36は
図11に基づいて第1信号記憶部361a、第2信号記憶部361b、第3信号記憶部361c、第4信号記憶部361dの4つの記憶部によって記憶されて、さらに4つの異周波数間信号合成部によって並列して合成される並列処理ついて説明したが、たとえばリングバッファを使った直列処理でも可能である。たとえば、時分割部35が、順次入力される信号を分割して信号記憶部36に出力する。信号記憶部36で一旦記憶された後に、信号合成部37へ向けて出力された信号が記憶されていた記憶部に、新しく時分割部35から出力された信号が重ねて記憶されることで、比較的簡素な構成によって同じ信号処理結果が得られる。
【0085】
以上、上述の各実施形態におけるレーダ装置は、対象物を検出するために要求される探索性能を満たすために必要とされるパルス信号の送信時間Trxにおいて、時分割に複数の搬送波周波数によりパルス信号を周期的に送信する。レーダ装置1から送信されたパルス信号は、他の通信システムにおいて利用される受信装置におけるイメージ周波数に該当する場合、イメージ周波数において分散された信号として現れるようになる。これにより、イメージ周波数においてパルス信号が与える干渉を複数の周波数に分散させることができるので、他の通信システムに与える影響を低減することができる。
【0086】
また、上述の各実施形態において、
図9に示すように、レーダ装置に割り当てられた周波数帯域が、他の通信システムの受信装置におけるベースバンド周波数段又は中間周波数段でのイメージ周波数帯域となる場合、搬送波周波数f1、f2、f3を以下のように設定してもよい。
【0087】
図9は、上述の各実施形態における搬送波周波数f1、f2、f3の設定の一例を示す図である。他の通信システムにおいて、当該通信システムに割り当てられている周波数帯域をn個のサブ周波数帯域(チャネル)に分割して通信を行っているとき、搬送波周波数f1、f2、f3それぞれが、ダウンコンバートされた異なるサブ周波数帯域(ch.1,ch.2,ch.3)にイメージ信号として現れるように設定する。
【0088】
すなわち、搬送波周波数f1、f2、f3同士の周波数間隔を、他の通信システムにおけるチャネル割り当ての周波数間隔に応じて設定するようにしてもよい。これにより、レーダ装置から搬送波周波数f1、f2、f3により送信されたパルス信号は、他の通信システムにおける異なるチャネルにイメージ信号として分散して現れるので、与える干渉を更に低減することができる。
【0089】
また、他の通信システムにおいて、誤り訂正符号化された信号が通信に用いられている場合、搬送波周波数f1、f2、f3により送信されるパルス信号の長さを、当該誤り訂正符号化において誤り訂正できるバースト誤りの継続時間より短く設定してもよい。すなわち、搬送波周波数f1、f2、f3におけるパルス信号の送信時間を、他の通信システムにおいて許容されるバースト誤りの継続時間に応じて設定してもよい。
【0090】
このように送信時間を設定すると、レーダ装置から送信されたパルス信号が、他の通信システムの受信装置におけるイメージ信号として干渉しても、干渉により生じた誤りを当該通信システムの誤り訂正復号により訂正することができる。これにより、レーダ装置から送信されたパルス信号により誤りが生じることを防ぐことができ、レーダ装置から送信されたパルス信号が与える干渉を低減することができる。
【0091】
なお、上述のレーダ装置は内部に、コンピュータシステムを有していてもよい。その場合、上述したA/D変換部14と34、周波数分割部15または時分割部35、信号記憶部16と36、及び信号合成部17と37の処理は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われることになる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0092】
なお、上述の各実施形態において、3つの搬送波周波数によりパルス信号を送信する場合を説明したが、これに限られることなく、2つ以上の搬送波周波数によりパルス信号を送信するようにしてもよい。
【0093】
また、上述の各実施形態において、4PRIの信号に対して合成する構成を説明したが、合成するPRI数は4以外であってもよい。なお、アンテナを回転させてレーダ装置を運用する場合、アンテナの回転角速度と、アンテナ指向性利得の半値幅と、PRIとに基づいて、合成をするPRI数を設定するようにしてもよい。これにより、合成による感度の改善とともに、方位分解能の低下を防ぐことができる。
【0094】
また、上述の各実施形態において、1つのレーダ装置がパルス信号の送信と、反射信号の受信とを行う構成を説明したが、パルス信号を送信する装置と、反射信号を受信する装置とに分けた2つ以上の装置を含むバイスタティックあるいはマルチスタティックレーダシステムとしてもよい。
【0095】
以上、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の範囲内において多用な実施形態の構成が可能であり、構成要素の全てまたは一部に如何なる改良が施されてもよい。