(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6607637
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】工作機械
(51)【国際特許分類】
B23Q 17/00 20060101AFI20191111BHJP
G01D 5/12 20060101ALI20191111BHJP
G01D 5/245 20060101ALI20191111BHJP
B23B 19/02 20060101ALI20191111BHJP
F16C 41/00 20060101ALI20191111BHJP
F16C 19/06 20060101ALI20191111BHJP
【FI】
B23Q17/00 A
G01D5/12 Q
G01D5/245 110W
B23B19/02 A
F16C41/00
F16C19/06
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-217894(P2015-217894)
(22)【出願日】2015年11月5日
(65)【公開番号】特開2017-87321(P2017-87321A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2018年6月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134430
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 卓士
(72)【発明者】
【氏名】中南 成光
(72)【発明者】
【氏名】石黒 春樹
【審査官】
亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−067906(JP,A)
【文献】
特開2012−045667(JP,A)
【文献】
特開2010−217167(JP,A)
【文献】
特開平01−252358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 17/00
B23B 19/02
B24B 5/00 − 5/50
B24B 41/00 − 41/04
G01D 5/00 − 5/62
F16C 19/06
F16C 41/00 − 41/04
H02K 11/20 − 11/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動部と、
前記回転駆動部によって回転する主軸と、
前記主軸の回転角度を検出するため、前記主軸を構成する部品に対向して設けられる回転角度検出器と、
前記主軸を支持し、前記回転駆動部よりも加工エリア側に配置された少なくとも2つの軸受けと、
を備え、加工エリア内の工作物を加工する工作機械であって、
前記回転角度検出器は、
前記回転駆動部よりも加工エリア側に配置されている全ての軸受けの中で最も加工エリア側の軸受よりもさらに加工エリア側の位置、
または、
前記回転駆動部よりも加工エリア側に配置されている全ての軸受けの中で最も前記回転駆動部に近い軸受けよりもさらに前記回転駆動部側の位置、に配置された工作機械。
【請求項2】
前記主軸を構成する部品の外周面にギアを形成し、前記回転角度検出器は、前記ギアの凹凸をカウントすることにより前記主軸の回転角度を検出する請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
前記回転角度検出器を、前記主軸のハウジングに取り付けた請求項1または2に記載の工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野において、特許文献1には、主軸の回転角度を検出する為のエンコーダを主軸の後端部付近に配置する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−90756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記文献に記載の技術では、エンコーダが主軸の後端部付近にあるため、主軸の回転によって生じる後端部付近の振れがエンコーダの検出精度に悪影響を及ぼしていた。
【0005】
本発明の目的は、上述の課題を解決する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る工作機械は、
回転駆動部と、
前記回転駆動部によって回転する主軸と、
前記主軸の回転角度を検出するため、前記主軸を構成する部品に対向して設けられる回転角度検出器と、
前記主軸を支持し、前記回転駆動部よりも加工エリア側に配置された少なくとも2つの軸受けと、
を備え、加工エリア内の工作物を加工する工作機械であって、
前記回転角度検出器は、
前記回転駆動部よりも加工エリア側
に配置されている全ての軸受けの中で最も加工エリア側の軸受よりもさらに加工エリア側の位置、
または、
前記回転駆動部よりも加工エリア側に配置されている全ての軸受けの中で最も前記回転駆動部に近い軸受けよりもさらに前記回転駆動部側の位置、に配置された。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、主軸後端部の振れによる回転検出精度への悪影響を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る工作機械の構成を示す図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る工作機械の構成を示す部分拡大図である。
【
図3】本発明の第2実施形態に係る工作機械の構成を示す部分拡大図である。
【
図4】本発明の第3実施形態に係る工作機械の構成を示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0010】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態としての工作機械100について、
図1を用いて説明する。工作機械100は、工具を取り付けた主軸を回転させて加工エリア内の工作物を加工するマシニングセンタである。
【0011】
図1に示すように、工作機械100は、回転駆動部101と、回転駆動部101によって回転する主軸102と、主軸102の回転角度を検出する回転角度検出器103と、主軸102を支持する軸受け104、105とを含む。
【0012】
回転角度検出器103は、主軸102を構成する部品に対向して設けられる。
【0013】
軸受け104、105は、回転駆動部101よりも加工エリア側に配置されている。
【0014】
回転角度検出器103は、回転駆動部101よりも加工エリア側であって、軸受け104と軸受け105の間の位置に配置されている。
【0015】
具体的には、回転角度検出器103は、主軸102に設けられたベアリング間座121に対向して設けられ、間座121の回転角度を検出する。ベアリング間座121の表面には、角度検出用ギアが形成されている。
【0016】
図2は、
図1におけるベアリング周辺領域Aの拡大図である。
図2に示す通り、ベアリング間座121は、センサギアと一体化した構成となっており、それに対向して、回転角度検出器103の円筒型エンコーダ201が設けられる。軸受の外輪間座は、前軸受ハウジングと一体となっている。円筒型エンコーダ201には、固定用ボルト202と調整用ねじ203が設けられ、調整用ねじ203を用いて、間座121とエンコーダ201間の隙間を外周方向から調整した上で、固定用ボルト202を用いて前軸受ハウジング204へ固定できる。
【0017】
このような構成により、主軸後端部の振れによる回転検出精度への悪影響を抑制することができ、振れ精度のよい前軸受ハウジングへ固定することで割り出し精度の高精度化を図っている。また、回転駆動部から大きな力を受けない部材に角度検出用ギアを形成したので、回転角度検出が主軸の回転精度そのものに影響を及ぼすことも無い。また、回転角度検出器103を主軸ハウジングに取り付ける構造としているので、主軸102を組み付けた後に、付加的に回転角度検出器103を取り付けることも可能となり、組み付け作業が容易になる。さらに、エンコーダヘッドの交換が容易でメンテナンス性が向上する。主軸後部(駆動モータ側)構造の部品点数が削減でき、コンパクト化が可能になる。センサーギアと間座が一体化でき、部品削減となる。またギア加工しやすい形状のため、加工精度が向上し、割り出し精度が高精度化する。
【0018】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態に係る工作機械300について、
図3を用いて説明する。
図3は、
図1のベアリング周辺領域Aの拡大図の他の例を示している。本実施形態に係る工作機械300は、上記第1実施形態と比べると、回転角度検出器301としてのエンコーダが、前軸受104、105の後ろ側(駆動モータ側)に設けられている点で異なる。その他の構成および動作は、第1実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0019】
軸受104を加工エリア側に向けて押圧固定するロックナット302の外周面には、検出ギア321が一体的に設けられている。検出ギア321の歯の動きをエンコーダ301が検出することにより主軸102の回転角を検出できる。
【0020】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、主軸後端部の振れによる回転検出精度への悪影響を抑制することができ、振れ精度のよい前軸受ハウジングへ固定することで割り出し精度の高精度化を図ることができる。また、回転駆動部から大きな力を受けない部材に角度検出用ギアを形成したので、回転角度検出が主軸の回転精度そのものに影響を及ぼすことも無い。また主軸後部(駆動モータ側)構造の部品点数が削減でき、コンパクト化が可能になる。センサーギアとロックナットが一体化でき、部品削減となる。またギア加工しやすい形状のため、加工精度が向上し、割り出し精度が高精度化する。
【0021】
[第3実施形態]
次に本発明の第3実施形態に係る工作機械400について、
図4を用いて説明する。
図4は、
図1のベアリング周辺領域Aの拡大図のさらに他の例を示している。本実施形態に係る工作機械400は、上記第1実施形態と比べると、回転角度検出器403としてのエンコーダが、前軸受104、105の前側(加工エリア側)に設けられている点で異なる。その他の構成および動作は、第1実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0022】
主軸402の前軸受104、105の前側の外周面には、検出ギア421が一体的に設けられている。検出ギア421の歯の動きをエンコーダ403が検出することにより主軸402の回転角を検出できる。
【0023】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、主軸後端部の振れによる回転検出精度への悪影響を抑制することができ、振れ精度のよい前軸受ハウジングへ固定することで割り出し精度の高精度化を図ることができる。また、回転駆動部から大きな力を受けない部材に角度検出用ギアを形成したので、回転角度検出が主軸の回転精度そのものに影響を及ぼすことも無い。また主軸後部(駆動モータ側)構造の部品点数が削減でき、コンパクト化が可能になる。センサーギアと主軸が一体化でき、部品削減となる。またギアと主軸が一体のため、加工精度が向上し、割り出し精度が高精度化する。
【0024】
[他の実施形態]
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の技術思想内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の範疇に含まれる。