(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0013】
図1は、本発明に係る実施形態の排尿検知装置10を示す図である。
図1(a)は、排尿検知装置10の平面図であり、
図1(b)は、排尿検知装置10の距離調整部26の側面図である。
【0014】
図1(c)は、排尿検知装置10の切取線部18が切り取られる前の平面図であり、
図1(d)は、排尿検知装置10の切取線部18が切り取られて、折畳部22が広げられている様子を示す図である。
【0015】
図2は、排尿検知装置10と当該排尿検知装置10を介護用おむつ2に装着した様子を示す図である。
図2(a)は、排尿検知装置10において、帯部12が露出した状態を示す図であり、
図2(b)は、排尿検知装置10において、帯部12を筒部32で覆った様子が描かれている。また、
図2(c)は、排尿検知装置10を装着した様子を示す図である。
【0016】
排尿検知装置10は、被介護者が履く介護用おむつ2内に装着して被介護者から排出される尿を検知する装置である。排尿検知装置10は、帯部12と、導通チェック部13とを備えている。
【0017】
介護用おむつ2は、不織布などを含んで構成されており、パンツ型やテープ型などの種類が存在し、介護用おむつ2は、アウター部3(外側のおむつ)とインナー部4(内側の尿取りパッド)があり、体の状態や生活リズムを考えながら、それらを組み合わせて選んでいく。被介護者が介護用おむつ2内に排尿や排便をした後、適切なタイミングで新しい介護用おむつ2に交換することが好ましい。
【0018】
帯部12は、2つの導電性テープ28と、絶縁シール部材29と、貼着部24と、チェック領域部27と、第1領域14と、第2領域16と、距離調整部26とを備えている。帯部12には、貼着部24からチェック領域部27の際まで不織布でゆとりを持たせたサイズで筒状にくるんだ筒部32が設けられている。また、被介護者の肌触りに不快感を生じないように配慮されている。
【0019】
2つの導電性テープ28は、所定の間隔をあけて並走している。2つの導電性テープ28は、薄膜、かつ、導電性の高い材質、例えば、アルミ箔のテープで構成することが出来るが、もちろん、その他の材質で構成してもよい。
【0020】
絶縁シール部材29は、並走する2つの導電性テープ28が電気的に接続されないようにラミネート加工される部材である。絶縁シール部材29は、2つの導電性テープ28を密封するのに適した材質、例えば、ポリプロピレンで構成することが出来るが、もちろん、その他の材質で構成してもよい。
【0021】
貼着部24は、2つの導電性テープ28の一方端側に設けられて、介護用おむつ2内に貼着可能な水分に強い粘着構造を有している。貼着部24は、2つの導電性テープ28を覆う絶縁シール部材29よりも幅が広く構成されており、中央部で切欠きが形成された略矩形形状を有している。貼着部24は、チェック領域部27を引っ張って切取線部18を切断できるように、接着部から離れないような粘着性を有することが好ましい。また、排尿があった際に、おむつ又は尿取りパッドに尿が浸潤した状態を検知できるよう、検知面がおむつから浮かないようにする機能を備えている。
【0022】
貼着部24は、粘着面が施された粘着部と、当該粘着部を覆い剥離可能な剥離紙とを備えて構成されている。ここでは、貼着部24は、接着力を高めるために介護おむつ内と接触する領域を広くするために絶縁シール部材29よりも幅が広いものとして説明したが、ほぼ同一の幅に形成してもよい。
【0023】
チェック領域部27は、2つの導電性テープ28の他方端側に設けられて、導通チェック部13を接触可能な領域を有する。チェック領域部27は、導通チェック部13の外形に沿った領域を有し、導通チェック部13を接触させる目印としての役割を果たす。ここでは、ANDゲートのような外形を有しているが、もちろん、様々な形状にすることが出来る。
【0024】
第1領域14は、介護用おむつ2内に広がる尿によって2つの導電性テープ28が電気的に接続されることが可能なように絶縁シール部材29が剥離された領域30を有している。
【0025】
第2領域16は、第1領域14よりも他方端側に設けられ尿によって2つの導電性テープが電気的に接続されることが可能なように絶縁シール部材29が剥離された領域30を有している。
【0026】
ここで、第1領域14及び第2領域16は、
図1に示されるように、矩形状の剥離領域が2つの導電性テープ28に交互に形成される。すなわち、第1領域14及び第2領域16は、2つの導電性テープ28の露出部分が千鳥状となるように剥離された領域30を有している。
【0027】
なお、千鳥状に剥離された領域30を有する第1領域14及び第2領域16は帯状の絶縁シール部材29の一方側の面にのみに形成されており、これらと同一の面上に貼着部24の粘着面が形成されている。この剥離部分は介護用おむつ2側を向くように配置され、貼着部24の粘着面を介護用おむつ2の内側面に貼り付ける。これにより、被介護者の皮膚部分には絶縁された面が向けられるため、より安全に使用することができる。
【0028】
これにより、被介護者が介護用おむつ2内で排出した尿が隣接する剥離領域に跨って広がり、チェック領域部27に導通チェック部13を重ねて2つの導電性テープ28に2つの端子15を接触させた際に2つの導電性テープ28が通電状態となる。なぜなら、電流が尿を介して導通可能な状態となるからである。
【0029】
なお、帯部12において、第1領域14と第2領域16の間において2つの導電性テープ28及び絶縁シール部材29を切断可能なように切り取り加工された切取線部18が形成されている。
【0030】
切取線部18は、一般的に直線状に形成されるミシン目とは異なり、
図1に示されるように、斜め方向に、複数の切り取り線が少しずつずらされた状態で形成される。
図1の例では、3つの斜めの切り取り線が、帯部12の幅方向に一部重なり合いながら、導電性テープ28を完全に切断しないように切り込まれていて、帯部12の延伸方向に少しずつずらされた状態で形成される。
【0031】
距離調整部26は、他方端側を引っ張ることで第2領域16と第1領域14との間の距離を広げる機能を有する。なお、筒部32において、距離調整部26に対応する位置には貼着部24と同様の役割を担う四角形状の貼着部34が設けられている。これにより、貼着部24と貼着部34の2箇所でしっかりと固定することが出来る。
【0032】
距離調整部26は、
図1(b)に示されるように、切取線部18で切断される前の接続された状態において、帯状部材が折り畳まれて収納される折畳部22を有している。折畳部22は、固定部21において、絶縁シール部材29に接続されており、絶縁性を有する材質、例えば、絶縁シール部材29と同様にポリプロピレンで構成することが出来る。なお、帯部12がすっぽりと入る不織布のガーゼでくるまれている事により切取線部18及び折畳部22が破損しないように保護されている。
【0033】
ここで、介護者などのユーザーが他方端側であるチェック領域部27などを引っ張ることにより切取線部18で切断された後に、
図1(d)に示されるように、折畳部22が広げられて折畳部22が伸びきった後に第1領域14と第2領域16の距離がそれ以上広がらないように規制されることになる。この時、帯部12に被さっている筒状のガーゼを引っ張ってはいけない。
【0034】
導通チェック部13は、帯部12の他方端側において2つの導電性テープ28に接触可能な2つの端子15と、2つの端子15に電気的に接続される発光素子17と、発光素子17に電力を供給可能な電池19とを有する。導通チェック部13の外形は、ここではANDゲートのような形状を有するものとして説明するが、もちろん、その他の形状であってもよい。
【0035】
なお、導通チェック部13は、2つの端子15は導通状態でないため、発光素子17は消灯している状態である。ここで、被介護者の排尿により、第1領域14及び第2領域16が尿によって2つの導電性テープ28が導通状態となったときに導通チェック部13をチェック領域部27と接触させて、2つの端子15と2つの導電性テープ28が接触状態となると発光素子17が点灯する。
【0036】
続いて、上記構成の排尿検知装置10の作用について説明する。被介護者が介護用おむつ2を履いて日常生活を送ることがあるが、被介護者が排尿をしたときに必要に応じて介護者が新しい介護用おむつ2に取り換えることがある。
【0037】
この取り換え作業は、乳幼児の紙おむつを取り換える場合とは異なり、介護者の労力が必要となるだけでなく、被介護者の身体的な負担もあるため、例えば、ごく少量の排尿などの場合には、すぐに取り換えずに、しばらくの間様子を見ておく方が、被介護者負担及び介護者の負担が少ないこともある。
【0038】
排尿検知装置10は距離調整部26を介護用おむつ2の股間部、かつ、おむつ(アウター部3)または尿取りパッド(インナー部4)の吸収面の左右の幅の中心部より左側か右側のどちらかにずらして任意の位置に定めて帯部12をまっすぐ伸ばし前方の貼着部24と距離調整部26(帯部12が筒状の不織布でくるまれている図の四角形の貼着部32) の2箇所で貼り付ける。そして、帯部12が折れたりねじれたりしないようにウェスト後方側の開口部からチェック領域部27が排出されるように引き回した状態で装備する。この状態で被介護者が生活する。この理由は、おむつの中心部に排尿検知装置10を設置することで被介護者の股間部や臀裂部に帯部がくい込むことはないが、被介護者の違和感や特別な不快感または羞恥心に対して配慮したためである。
【0039】
被介護者が排尿すると、最初に股間に近い第1領域14に尿が広まり、2つの導電性テープ28が導通状態となる。ここで、介護者が導通チェック部13をチェック領域部27に接触させた状態で発光素子17が光るとおむつ内の排尿が起きたことが分かる。
【0040】
切取線部18が切り離される前は、第1領域14と第2領域16は接続されている状態であるため、第1領域14のみに尿が広がっている場合であっても、導通チェック部13で導通チェックを行った際に発光素子17が光る。しかしながら、上述の通り、少量の排尿のみで逐一取り換えている場合には被介護者及び介護者の双方にとって負担となる。
【0041】
そこで、被介護者がチェック領域部27などの帯部12の他方端側を引っ張り、切取線部18で切り取ることで、折畳部22が展開された状態となり、
図1(d)に示されるように、広がりが規制されるようになる。
【0042】
切取線部18で切り取って第1領域14と第2領域16とが分離された状態にしてから、導通チェック部13をチェック領域部27に接触させたときに発光素子17が消灯している場合には、少量の尿しか排出されていないため、まだ様子を見る状態にすることができる。
【0043】
また、第1領域14と第2領域16とが分離された状態で発光素子17が点灯した場合には、尿の排出量が増えてきているため、介護用おむつの交換時期が近づいていることが分かる。このように、排尿検知装置10によれば、第1領域14と第2領域16とを切り離して導通チェックを行うことで尿の排出量を検知することができ、排出量が適切な状態となってから介護用おむつを交換することができるため、介護者及び被介護者の双方にとって負担を軽減することができるという効果を奏する。
【解決手段】被介護者が履く介護用おむつ2内に装着して被介護者から排出される尿を検知可能な排尿検知装置10であって、所定の間隔をあけて並走し電気的に接続されないように絶縁シール部材で密封された2つの導電性テープと、一方端側に設けられ介護用おむつ2内に貼着可能な貼着部を有する帯部12と、帯部12の他方端側において2つの導電性テープ28に接触可能な2つの端子15と、2つの端子15に電気的に接続される発光素子17とを有する導通チェック部13と、を備え、帯部12は、他方端側を引っ張ることで第2領域16と第1領域14との間の距離を広げることが可能な距離調整部26と、を有する。