(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2電源系の幹線は、それぞれが商用電源を受電して所定電圧の直流電力に変換する交流−直流変換器により変換した直流電力を供給する少なくとも1系列以上の幹線を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の建物内配電システム。
【背景技術】
【0002】
従来、一般家庭またはオフィス等で使用される市販の電気機器は、電力会社が供給する商用交流電源を利用して動作するものが一般的である。したがって、一般家庭、オフィス等における電力系統は商用電力による交流配電が主体となっている。
【0003】
一方、最近の電気機器は、省エネルギー化の観点から、高効率制御を可能にするコンピュータ制御化が進められている。また、照明器具も蛍光ランプに代わってLED(発光ダイオード)照明が広まりつつある。
コンピュータやLED照明等を構成する電子部品である半導体デバイスは、基本的に低電圧(3V〜24V程度)の直流(DC)電源を必要とするため、これらを使用した電気機器は、交流(AC)電源を直流(DC)に変換するAC/DC変換器を必要とする。しかし、AC/DC変換に伴い、変換損失が発生するため、エネルギーの有効利用の観点では看過できない問題である。
【0004】
また、近年、燃料電池や太陽光発電装置等により得られた直流電力や、蓄電池の直流電力を駆動源として動作する電気機器が、省エネ性の向上を図る手段として検討されてきており、今後は、ホテルやオフィスビル等においても、このような直流対応型の照明器具、エアコン、及び冷蔵庫等の電気機器を導入し、これに対して直流電力を供給するための直流配電システムが普及するものと考えられる。
【0005】
例えば、特許文献1には、直流発電装置と、双方向電力変換装置と、直流電力変換装置とを含む直流配電システムとして、直流負荷用の直流コンセント群と交流負荷用の交流コンセント群とを備え、平時には直流コンセント群には直流発電装置で発電された直流電力を、交流コンセント群には商用電力系から交流電力を給電し、いずれか一方の電源系統が停止時には、他方の電源系統から双方向直流−交流変換器によって変換した電力を供給する構成が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、直流電源と交流電源とを併用した電源供給システムとして、電力会社から供給されるAC電源をAC電力として供給する線路と、直流DC電源からの少なくとも2系列以上の直流のDC電力を供給する線路とが、それぞれに対応するコンセントに接続されて、各電気機器に引き込まれることが記載されている。
【0007】
ところで、上述した直流電源と交流電源を併用する配電システムにおいては、直流電源と交流電源のそれぞれの電源系統に対応する配線を建物内に敷設することになるため、配線部材の増加に加えて現場での配線接続作業量が増大し、工事期間の長期化、施工コストの上昇が問題になる。特に多数の個室を備えるホテルやオフィスビルでは、上述した問題の影響が大きく、建物内配線に関する作業の効率化が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、ホテルやオフィスビル等の各個室に配備される電気機器向けに電力を供給するための配線を、安全かつ低コストに敷設し得る建物内配電システム及びその敷設方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による建物内配電システムは、同じ間取りの複数の個室を有する建物内の各個室に配備される電気設備に電力を供給する配電システムであって、商用電源から交流電力を供給する第1電源系の幹線と、商用電源を受電して所定電圧の直流電力に変換する交流−直流変換器により変換した直流電力を供給する第2電源系の幹線と、前記第1電源系の幹線から分岐して前記各個室内の第1分電盤に交流電力を配電する前記第1電源系の支線と、前記第2電源系の幹線から分岐して前記各個室内の第1分電盤に直流電力を配電する前記第2電源系の支線と、前記各個室内の第1分電盤から該個室内に設置された複数の交流電力供給用のコンセントに前記第1電源系の交流電力を配電する第1室内配線と、前記各個室内の第1分電盤から該個室内に設置された複数の直流電力機器に前記第2電源系の直流電力を配電する第2室内配線と、を備え、少なくとも、前記第2室内配線は、前記建物内の各個室に敷設する前に予めユニット化された所定の複数配線を有する同一構成の第1ユニット配線であることを特徴とする。
【0011】
前記第2電源系の電源電圧は直流24V又は直流12Vであり得る。
前記第1ユニット配線は、前記各個室内の前記第1分電盤から前記各個室内に設置された複数の直流電力機器のそれぞれに対応する複数の分岐配線と、前記複数の分岐配線のそれぞれに接続され、且つ前記第1分電盤の出力端子に接続される第1分岐接続部と、該分岐接続部と前記第1分電盤の出力端子とを接続する共通配線と、を有し得る。
前記第1ユニット配線は、前記複数の直流電力機器のそれぞれに接続される複数の端部および前記第1分電盤の出力端子に接続される前記共通配線の一端にコネクタを備え、前記各個室内に設置された複数の直流電力機器の電源ケーブルの端部及び前記第1分電盤の出力端子は、前記第1ユニット配線の対応する各配線に接続される受け側コネクタを備え得る。
前記各個室内に設置された複数の直流電力機器は、前記各個室内専用の直流電力機器であり得る。
【0012】
前記第2電源系の幹線は、それぞれが商用電源を受電して所定電圧の直流電力に変換する交流−直流変換器により変換した直流電力を供給する少なくとも1系列以上の幹線を備え得る。
前記第2電源系の幹線は、建物の各階に対して前記1系列の幹線を備え得る。
前記第1電源系の支線は、前記第1電源系の幹線から第2分電盤を介して接続されて前記各個室内の第1分電盤に前記第1電源系の交流電力を配電し、前記第2電源系の支線は、前記第2電源系の幹線に前記第2分岐接続部を介して接続されて前記各個室内の第1分電盤に前記第2電源系の直流電力を配電し、前記第2分岐接続部及び該第2分岐接続部を介して前記各個室内の第1分電盤及び前記第2電源系の幹線に接続される第2電源系の支線は、前記建物内に敷設する前に予めユニット化された同一構成の第2ユニット配線であり得る。
【0013】
前記第2電源系の幹線のうちの少なくとも1系列は二次電池又は燃料電池に接続され得る。
前記二次電池又は燃料電池に接続された前記第2電源系の幹線は、電力監視制御手段を更に備え、前記電力監視制御手段は、商用電源を受電して所定電圧の直流電力に変換する交流−直流変換器により変換した直流電力と前記二次電池又は燃料電池からの直流電力とからの供給比率を所定の設定条件に基づき制御し得る。
【0014】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による建物内配電システムの敷設方法は、同じ間取りの複数の個室を有する建物内の各個室に交流電力及び直流電力を供給する配電システムの敷設方法であって、商用電源から交流電力を供給する第1電源系の幹線と、商用電源を受電して所定電圧の直流電力に変換する交流−直流交換器により変換した直流電力を供給する第2電源系の幹線と、を敷設する段階と、前記第1電源系の幹線から分岐して前記各個室内の第1分電盤に前記第1電源系の交流電力を配電する前記第1電源系の支線と、前記第2電源系の前記幹線から分岐して前記各個室内の第1分電盤に前記第2電源系の直流電力を配電する前記第2電源系統の支線と、を敷設する段階と、前記各個室内の第1分電盤から個室内に設置された複数の交流電力供給用のコンセントに前記第1電源系の交流電力を配電する第1室内配線を接続する段階と、前記各個室内の第1分電盤から個室内に設置された複数の直流電力機器に前記第2電源系の直流電力を配電する第2室内配線を接続する段階と、を有し、少なくとも前記第2電源系の室内配線を接続する段階は、予めユニット化されたユニット配線に備えられたコネクタを前記各個室内の第1分電盤の出力端子及び室内に設置された直流電力機器に予め備えられた受け側コネクタに差し込むことで接続する段階を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、各個室内の分電盤から当該個室内に設置された複数の直流電力機器に直流電力を配電する室内配線の敷設作業を効率化できる。また、本発明によれば、予めユニット化された所定の複数配線を有する同一構成のユニット配線を使用することで、配線資材の現場調整に伴う廃棄コストを削減することができる。更に、本発明によれば、各個室内に配備される電気機器を低電圧直流電力機器に限定し、これらの機器に低電圧直流電力を供給するための電源系を、商用電力を供給する電源系と分離した構成にすることで、敷設作業の安全性を高め、一般作業者による接続作業を行うことができる。更に、商用電源は世界各国で電圧や周波数が異なるが、直流電源は周波数に無関係であるため、特定電圧に基づく世界標準化が容易であるという利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態による建物内配電システムの概略図である。
図2は、本実施形態による建物内配電システムに備えられる建物変電設備のブロック図である。
【0019】
図1及び
図2を参照すると、電力会社から供給される交流の商用電力1が、ホテルやオフィスの建物変電設備10に供給される。建物変電設備10は、交流分電盤11及び複数の交流−直流変換器(AC/DC変換器)を備える。交流分電盤11は、図示しない主幹ブレーカおよび複数の分岐ブレーカ等を盤内に内蔵し、主幹ブレーカに接続された複数の分岐ブレーカのそれぞれの負荷側に、建物の各階に商用電力を供給するための第1の幹線(2、3、4)及び建物の各階に供給する直流電力を生成する複数の交流−直流変換器(12、13、14)が接続されて、それぞれの系統に対して電力を供給する。本実施形態では、n階建ての建物を例に説明しているが、これに限定されない。なお、建物変電設備10に含まれ、6,600V等の高電圧を100V又は200V等の一般家庭用の低電圧に変圧するキュービクルの構成及びその説明は省略する。
【0020】
複数の交流−直流変換器(12、13、14)のそれぞれは、交流分電盤11から受電した商用電力を所定の直流電力に変換して、それぞれに対応する第2の幹線(22、23、24)を通じて建物の各階に直流電力を供給する。なお、建物の各階に商用電力を供給するための第1の幹線及び建物の各階に直流電力を供給するための第2の幹線は、それぞれの階に対して独立した1系統が割り当てられる。
【0021】
図1に示すように、建物の各階には廊下共用分電盤20及び複数の個室分電盤30が配置され、当該階に割り当てられた第1の幹線(2、3、4)から分岐した複数の第1の支線(112、113、114)及び当該階に割り当てられた第2の幹線(22、23、24)から分岐した複数の第2の支線(222、223、224)を通じて、それぞれの分電盤(20、30)に商用電力及び直流電力がそれぞれ供給される。
【0022】
図3は、各階の複数の個室のそれぞれの室内配線の構成を示す図である。
図3を参照すると、建物変電設備10から、例えば、建物の1階(1F)フロアに商用電力を供給する第1の幹線2及び直流電力を供給する第2の幹線22からそれぞれ分岐した第1の支線112及び第2の支線222が、個室A内に設置された個室分電盤30に接続される。個室分電盤30は、商用電力に対応する分岐ブレーカAC及び直流電力に対応する分岐ブレーカDCを備える。なお、個室Aに隣接する個室Bも同様の構成を備える。
【0023】
個室Aの室内には、室内設備として各個室備え付けの直流電力機器に直流電力を供給するための複数の専用コンセント51及び直流電力で点灯する照明機器52が配置され、個室分電盤30の分岐ブレーカDCの負荷側に第1ユニット配線40を介して接続される。また、商用電力で動作する顧客所有の電気機器に商用電力を供給するための一般用コンセント61及び非常灯62が配置され、個室分電盤30の分岐ブレーカACの負荷側に室内配線70を介して接続される。なお、室内設備として備え付けられる直流電力機器は、冷蔵庫、テレビ、浴室換気扇、温水洗浄便座、エアコンなどである。
【0024】
図4は、個室内の直流電力配線の構成を示す概略図である。
図4を参照すると、個室分電盤30の分岐ブレーカDCの負荷側には直流電力を供給する出力コネクタ31が備えられる。各個室備え付けの直流電力機器に直流電力を供給するための複数の専用コンセント51及び直流電力で点灯する照明機器52は、第1ユニット配線40に接続するためのコネクタ53を備える。
【0025】
第1ユニット配線40は、個室分電盤30から個室内に設置された直流電力機器用の複数の専用コンセント51及び直流電力で点灯する照明機器52のそれぞれに対応する複数の分岐配線(44a、44b、44c)と、これらの複数の分岐配線のそれぞれに接続されて個室分電盤の出力端子との接続のための共通配線45とを連結する第1分岐接続部41と、から成る。
また、ユニット配線40は、複数の分岐配線(44a、44b、44c)のそれぞれがコンセント52に接続される側の端部にそれぞれコネクタ43を備え、また共通配線45の個室分電盤の出力端子に接続される側の端部にコネクタ42を備える。
【0026】
個室分電盤30の直流電力供給側の出力コネクタ31、第1ユニット配線40のそれぞれのコネクタ(42、43)、及び専用コンセント51及び直流電力で点灯する照明機器52のコネクタ53は、差込み式若しくはねじ込み式のコネクタとするか、又は差込み形若しくはねじ止め形の接続端子とすることができる。
なお、本実施形態では、ユニット配線と、直流電力機器用の専用コンセント及び照明機器並びに個室分電盤の分岐ブレーカDCの負荷側とをコネクタを介して接続しているが、これに限定されない。例えば、コネクタを有しないユニット配線の各分岐配線の心線をそれぞれに対応する接続器具の端子にねじ止めして接続することも可能である。
【0027】
本実施形態の配電システムにおいて、各個室に供給される直流電力の電源電圧は、直流24V又は直流12Vである。また、各個室備え付けの直流電力機器に直流電力を供給するための複数の専用コンセント51は、備え付けの直流電気機器に対して直流24V又は直流12Vの直流電源を供給するための専用コンセントであって、商用電力を供給する一般用コンセント61とは異なるプラグ形状を有する。
【0028】
本実施形態において、廊下共用分電盤20は、図示しないが商用電力に対応する分岐ブレーカAC及び直流電力に対応する分岐ブレーカDCを備え、それぞれの分岐ブレーカの負荷側には、フロア共用の電気設備にそれぞれの電力を供給する配線が接続される。例えば、フロア共用の直流電力設備は廊下照明機器であり、フロア共用の商用電力設備は誘導灯及び廊下コンセントなどである。
【0029】
また、個室内に商用電力を供給するための室内配線70には、個別配線またはユニット配線を使用し得る。
【0030】
以下、本発明の他の実施形態による建物内配電システムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0031】
図5は、本発明の他の実施形態による建物内配電システムの概略図である。
図5及び
図2を参照すると、電力会社から供給される商用電力1が、ホテルやオフィスの建物変電設備10に供給される。建物変電設備10は、交流分電盤11及び複数の交流−直流変換器(12、13、14)を備える。交流分電盤11は、図示しない主幹ブレーカおよび複数の分岐ブレーカ等を盤内に内蔵し、主幹ブレーカに接続された複数の分岐ブレーカのそれぞれの負荷側に、建物の各階に商用電力を供給するための第1の幹線(2、3、4)及び建物の各階に供給する直流電力を生成する複数の交流−直流変換器(12、13、14)が接続されて、それぞれの系統に対して商用電力を供給する。
【0032】
複数の交流−直流変換器(12、13、14)のそれぞれは、交流分電盤11から受電した商用電力を所定の直流電力に変換して、それぞれに対応する第2の幹線(22、23、24)を通じて建物の各階に直流電力を供給する。なお、建物の各階に商用電力を供給するための第1の幹線及び建物の各階に直流電力を供給するための第2の幹線は、それぞれの階に対して独立した1系統が割り当てられる。
【0033】
図5に示すように、建物の各階には廊下共用分電盤20及び複数の個室分電盤30が配置される。廊下共用分電盤20は、商用電力及び直流電力のそれぞれに対応する図示しない主幹ブレーカを盤内に内蔵し、それぞれの主幹ブレーカの受電側に該当階の第1の幹線(2、3、4)及び第2の幹線から延長された第2の共通フロア配線(202、203、204)がそれぞれ接続される。
【0034】
本実施形態では、各階の複数の個室分電盤に廊下共用分電盤20を介して商用電力が供給される。例えば、
図5に示す建物の1階(1F)フロアに商用電力を供給する第1の幹線2は、廊下共用分電盤20の主幹ブレーカ(図示せず)を介して、当該階の各個室分電盤30のそれぞれに接続される複数の第1の支線112が連結された第1の共通フロア配線102に接続され、これらの配線(102、112)を通じて各個室分電盤30に商用電力が供給される。
【0035】
一方、各階の廊下共用分電盤20及び複数の個室分電盤30のそれぞれには、当該階に割り当てられた第2の幹線(22、23、24)に接続された複数の第2の支線(222、223、224)を通じて、直流電力が供給される。本実施形態では、例えば、
図5に示す建物の1階(1F)フロアに対して、第2の幹線22から中継コネクタ部230を介して延長された第2の共通フロア配線202に接続された複数の第2の支線(222a、222b、222c)を通じて、個室分電盤30に直流電力が供給され、また第2の支線222を通じて、廊下共用分電盤20に直流電力が供給される
【0036】
本実施形態において、建物の各階に割り当てられた第2の幹線に接続される複数の第2の支線は、後述する第2ユニット配線で構成される。第2ユニット配線は、建物内の各階に敷設する前に予めユニット化された同一構成の配線である。
【0037】
図6は、各階の廊下共用分電盤及び各個室分電盤のそれぞれに直流電力を供給するための第2ユニット配線の構成を示す概略図である。
図6を参照すると、例えば、建物の1階(1F)フロアに直流電力を供給する第2の幹線22は、中継コネクタ部230を介して第2ユニット配線200に接続される。中継コネクタ部230は、建物変電設備10内の交流−直流変換器12に接続された第2の幹線22が該当階まで延長された側の一端に備えられた出力コネクタ231に、該当階に配置される第2のユニット配線200の受電側の一端に備えられたコネクタ242が、接続される部位である。
【0038】
ユニット配線200は、例えば、1階の廊下共用分電盤20及び1階の複数の個室分電盤30のそれぞれに対応する複数の第2の支線(222、222a、222b、222c)と、これら複数の支線のそれぞれが接続されて第2の幹線2の出力コネクタ231との接続のための第2の共通フロア配線202とを連結する複数の第2分岐接続部241と、から成る。
また、第2ユニット配線200は、複数の支線(222、222a、222b、222c)のそれぞれが、対応する廊下共用分電盤20及び個室分電盤30のそれぞれに接続される側の端部にコネクタ243を備え、また共通フロア配線202が第2の幹線22の出力コネクタ231に接続される受電側の端部にコネクタ242を備える。
【0039】
第2の幹線22の出力コネクタ231、第2ユニット配線200のそれぞれのコネクタ(242、243)、複数の個室分電盤30及び廊下共用分電盤20のコネクタ253は、差込み式若しくはねじ込み式のコネクタとするか、又は差込み形若しくはねじ止め形の接続端子とすることができる。
なお、本実施形態では、第2ユニット配線と、複数の個室分電盤30及び廊下共用分電盤20並びに中継コネクタ部230の受電側とをコネクタを介して接続しているが、これに限定されない。例えば、コネクタを有しない第2ユニット配線の各支線及び共通フロア配線の心線をそれぞれに対応して配置された接続用の端子にねじ止めして接続することも可能である。
【0040】
本実施形態の配電システムにおいて、各階に供給される直流電力の電源電圧は、24V又は12Vである。この電圧は、低電圧直流として汎用性が高く、鉛蓄電池等の二次電池との組み合わせも容易である。また、本実施形態による建物内配電システムの各個室の室内配線の構成は、
図3及び
図4に示す実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0041】
図7は、本発明の一実施形態による建物内配電システムに備えられる建物変電設備の他の例を示すブロック図である。
【0042】
図7に示す建物変電設備10’は、交流分電盤11、複数の交流−直流変換器(12、13、14)、及び直流分電盤15を備え、更に直流電力供給源の配電制御を行う制御装置5、燃料電池6、及び二次電池7を具備して、受電した商用電力1を交流−直流変換器で直流電力に変換して供給するモードと、燃料電池6または二次電池7の直流電源から供給するモードと、を切り換え可能に制御する構成を有する。なお、交流電力を供給するシステム構成は、
図2を参照して説明した構成と同様であるので、これに対する具体的な説明は省略する。
【0043】
制御装置5は、交流分電盤11から複数の交流−直流変換装置(12、13、14)に供給される交流電力及び直流分電盤15から建物の各階に直流電力を供給するための第2の幹線(22、23、24)に供給される直流電力を監視し、所定の設定条件に応じて、交流分電盤11及び直流分電盤15のそれぞれに具備される開閉器(図示せず)を制御して、第2の幹線(22、23、24)に供給する直流電力供給源の切り替えを行う。
【0044】
受電した商用電力1を交流−直流変換器で直流電力に変換して供給するモードの場合、制御装置5は、直流分電盤15の開閉器を制御して、交流−直流変換器(12、13、14)からの出力を第2の幹線(22、23、24)に接続して直流電力を供給する。一方、燃料電池6または二次電池7の直流電源から供給するモードの場合、制御装置5は、直流分電盤15の開閉器を制御して、燃料電池6または二次電池7からの出力と第2の幹線(22、23、24)とを接続して直流電力を供給する。
【0045】
なお、制御装置5は、受電した商用電力1を交流−直流変換器で直流電力に変換して供給するモードの期間中、燃料電池6の動作を停止し、一方、燃料電池6または二次電池7の直流電源から供給するモードの期間中、交流分電盤11の開閉器を制御して、交流−直流変換器への商用電力の供給を停止し得る。これにより、無用なエネルギー消費が節減される。
【0046】
また、制御装置5は、建物の各階に直流電力を供給する第2の幹線(22、23、24)のそれぞれの供給電力を監視し、監視結果に基づいて、直流電力供給モードを各階個別に制御することも可能である。更に、受電した商用電力1を交流−直流変換装置で直流電力に変換して供給するモードと燃料電池または二次電池の直流電源から供給するモードとを併用して、両モードからの供給比率を所定の設定条件に応じて制御することも可能である。これらの分散電源を備える構成により、電力ピークの分散や停電時のバックアップなど柔軟で安全性の高い建物内配電システムを提供することができる。
【0047】
以下、本発明の一実施形態による建物内配電システムの敷設方法について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0048】
図8は、本発明の一実施形態による建物内配電システムの敷設方法を示すフローチャートである。
【0049】
図8及び
図2を参照すると、ホテルやオフィスの建物変電設備10に引き込まれた商用電力1が、電力会社によって建物変電設備10の交流分電盤11の受電側に接続される。その後、建物内配電システムの敷設が行われる。まず、交流分電盤11の負荷側を、建物の各階に商用電力を供給するための第1の幹線(2、3、4)及び建物の各階に供給する直流電力を生成する複数の交流−直流変換器(12、13、14)の受電側にそれぞれ接続する(ステップ100)。これらの商用電力に対応する配線は、所定の資格を有する作業者によって設置される。
【0050】
次に、複数の交流−直流変換器(12、13、14)のそれぞれの負荷側を、建物の各階に直流電力を供給するための第2の幹線(22、23、24)のそれぞれに接続する。なお、第1及び第2の幹線の建物内配線は、一般的な方法で予め敷設される。
【0051】
各階の第1の幹線(2、3、4)から分岐した第1の支線(112、113、114)及び第2の幹線(22、23、24)から分岐した第2の支線(222、223、224)を、該当階の各個室内の個室分電盤30の商用電力及び直流電力のそれぞれに対応する受電側に接続する(ステップ110)。
【0052】
次に、各個室内の個室分電盤30の商用電力及び直流電力のそれぞれに対応する分岐ブレーカの負荷側と、個室内に設置される複数の交流電力供給用のコンセント及び複数の直流電力機器のコンセントとを接続する室内配線を設置する(ステップ120)。なお、各個室内の個室分電盤30、各個室内に設置される複数の交流電力供給用のコンセント、及び複数の直流電力供給用のコネクタは、室内配線を接続する作業とは別に予め設置される。
【0053】
室内配線作業に際して、直流電力系の配線作業か、又は商用電力系の配線作業かを判断する(ステップ130)。個室分電盤30の直流分岐ブレーカの負荷側と個室内に設置される複数の直流電力機器用のコネクタとを接続する作業の場合、
図4に示すユニット配線40を使用して接続作業を行う(ステップ140)。すなわち、個室分電盤30の直流電力を供給する分岐ブレーカDCの負荷側に備えられた出力コネクタ31と、ユニット配線40の共通配線45のコネクタ42とを接続し、室内備え付けの直流電気機器に直流電力を供給するための複数の専用コンセント51及び直流電力で点灯する照明機器52のコネクタ53と、ユニット配線のそれぞれに対応する複数の分岐配線(44a、44b、44c)のコネクタ43と、をそれぞれ接続する。
【0054】
個室分電盤30の出力コネクタ31、ユニット配線40のそれぞれのコネクタ(42、43)、及び専用コンセント51及び直流電力で点灯する照明機器52のコネクタ53は、差込み式若しくはねじ込み式のコネクタとするか、又は差込み形若しくはねじ止め形の接続端子とすることで、接続作業には特別の技術及び技量を要さず、簡単に接続できる。
【0055】
また、個室分電盤30に供給される直流電力は、24V又は12Vであり、危険の少ない電圧であることから、ユニット配線40のコネクタ42を個室分電盤30の分岐ブレーカDCの負荷側の出力コネクタ31に差し込んで接続する作業、並びにユニット配線40のコネクタ43を直流電力を供給するためのコンセント51及び直流電力で点灯する照明機器52の接続コネクタ53に差し込んで接続する作業は、一般作業者によって実施され得る。
【0056】
商用電力の室内配線についても、直流電力と同様にユニット配線を使用して敷設することは可能である。但し、配線作業は所定の資格を有する作業者が行う(ステップ150)。複数の同じ間取りの各個室の屋内配線は、同様の作業を全個室完了(ステップ160)まで繰り返すことで施工される。全ての接続作業が完了した後に、通電を開始して作業を終了する。
【0057】
上述したように、本発明によれば、各個室内の分電盤から個室内に設置された複数の直流電力機器用の専用コンセントに直流電力を配電する室内配線に接続用コネクタを備えるユニット配線を使用することで、敷設作業を大幅に効率化できる。また、本発明によれば、予めユニット化された所定の複数配線を有する同一構成のユニット配線を使用することで、資材関連コストを削減することができる。更に、本発明によれば、低電圧直流電力機器向けに直流電力を供給するための配線にユニット配線を使用することで、敷設作業の安全性を高めることができる。
【0058】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。