特許第6607703号(P6607703)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6607703
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】外装構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 3/363 20060101AFI20191111BHJP
【FI】
   E04D3/363 A
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-106898(P2015-106898)
(22)【出願日】2015年5月27日
(65)【公開番号】特開2016-37850(P2016-37850A)
(43)【公開日】2016年3月22日
【審査請求日】2018年1月31日
(31)【優先権主張番号】特願2014-161423(P2014-161423)
(32)【優先日】2014年8月7日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000165505
【氏名又は名称】元旦ビューティ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(72)【発明者】
【氏名】西田 和倫
(72)【発明者】
【氏名】桑原 健
【審査官】 西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−086694(JP,A)
【文献】 特開平08−120845(JP,A)
【文献】 特開昭54−062618(JP,A)
【文献】 特開平01−151640(JP,A)
【文献】 実開平05−040440(JP,U)
【文献】 米国特許第06088983(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 3/363
E04D 3/36
E04D 3/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地上に、平板部の左右側縁同方向へ折り曲げられ、更にその先端が内側に折り返された側縁成形部を設けて山側外装板、谷側外装板とし、交互に配置されることにより山部と谷部とが連続して形成される外装構造であって、
谷側外装板の上向き側縁成形部の下向き折返し片の下端が更に内側に折り返されて上方へ延在させた谷側当接面と、山側外装板の下向き側縁成形部の上向き折返し片の上端が更に内側に折り返されて下方へ延在させた山側当接面とが、全面的に外側から内側に向かって上り傾斜状に面接触しつつ係合されていることを特徴とする外装構造。
【請求項2】
係合部分の下方に上方が開放する空間が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の外装構造。
【請求項3】
谷側当接面と山側当接面とが外側から内側に向かって上り傾斜する略水平状に面接触していることを特徴とする請求項1又は2に記載の外装構造。
【請求項4】
その下端に下地への固定部を有する起立部と、該起立部の上端を外側へ折返した折返し部と、を有する保持部材を下地上に固定し、谷側外装板の上向き側縁成形部の下向き折返し部分が前記保持部材の折返し部の内側に係合していることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の外装構造。
【請求項5】
山側外装板の裏面に断熱材を配設していることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の外装構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビス穴からの雨水の浸入や毛細管現象による雨水の浸入を生ずることなく、施工性にも優れていることは勿論、負圧作用時の強度や水密性にも十分に配慮した外装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の「大和葺き」と称される屋根は、山と谷が交互に連続する葺き方であり、その固定方法としては、第1の方法として、後述する図4(a)及び図5(a)に示す側方から固定ビスを打ち込む方法と、第2の方法として、図4(b)及び図5(b)に示すハゼ締めにて固定する方法の2種類が一般的に採用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記第1の方法の問題点としては、固定ビスのビス穴からの雨水の浸入の問題や、強風及び経年劣化によるビスの抜けがある。
また、前記第2の方法の問題点としては、ハゼ締めによる毛細管現象にて雨水が浸入する問題や、ハゼ締めすることにより施工に手間がかかる等が挙げられる。
【0004】
さらに、前記第1の方法や前記第2の方法については、後述する図4及び図5の説明において詳述するが、やはり負圧作用時の強度や水密性については、全く配慮されていないものであった。
【0005】
そこで、本発明は、「大和葺き」の屋根構造において、ビス穴からの雨水の浸入や毛細管現象による雨水の浸入を生ずることなく、施工性にも優れていることは勿論、負圧作用時の強度や水密性にも十分に配慮した外装構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記に鑑み提案されたものであって、下地上に、平板部の左右側縁同方向へ折り曲げられ、更にその先端が内側に折り返された側縁成形部を設けて山側外装板、谷側外装板とし、交互に配置されることにより山部と谷部とが連続して形成される外装構造であって、谷側外装板の上向き側縁成形部の下向き折返し片の下端が更に内側に折り返されて上方へ延在させた谷側当接面と、山側外装板の下向き側縁成形部の上向き折返し片の上端が更に内側に折り返されて下方へ延在させた山側当接面とが、全面的に外側から内側に向かって上り傾斜状に面接触しつつ係合されていることを特徴とする外装構造に関するものである。
前記「全面的」とは、後述する図示実施例に示すようにそれぞれ平坦状に形成された山側当接面と谷側当接面とが、側面視が直線状の面接触部分を形成して当接(面接触)していることを指している。
なお、以下の説明において、山側外装板の下向き側縁成形部の上向き折返し部分を「上ハゼ」、谷側外装板の上向き側縁成形部の下向き折返し部分を「下ハゼ」という。なお、後述する図示実施例では、下向き側縁成形部自体を「上ハゼ」、上向き成形部自体を「下ハゼ」と説明している。
【0007】
また、本発明は、前記外装構造において、係合部分の下方に上方が開放する空間が形成されていることを特徴とする外装構造をも提案する。
【0009】
また、本発明は、前記外装構造において、谷側当接面と山側当接面とが外側から内側に向かって上り傾斜する略水平状に面接触していることを特徴とする外装構造をも提案する。
【0010】
また、本発明は、前記外装構造において、その下端に下地への固定部を有する起立部と、該起立部の上端を外側へ折返した折返し部と、を有する保持部材を下地上に固定し、谷側外装板の上向き側縁成形部の下向き折返し部分が前記保持部材の折返し部の内側に係合していることを特徴とする外装構造をも提案する。
【0011】
さらに、本発明は、前記外装構造において、山側外装板の裏面に断熱材を配設していることを特徴とする外装構造をも提案する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の外装構造は、上ハゼ、下ハゼの係合を採用しているため、ビス穴からの雨水の浸入やハゼ締めによる毛細管現象による雨水の浸入を生ずることなく、施工性にも優れており、さらに負圧作用時の強度や水密性にも十分に配慮したものである。特に、ハゼ同士を面接触させて係合しているので、外装板同士が強固に且つ安定に取り付けられるものとなる。
また、負圧がかかった際にも、山側外装板の上ハゼの先端が面接触を維持したまま(毛細管現象を防止した状態で)深く上方へ移動して谷側外装板の下ハゼと接近して接触するため、吹き込みが生ずる隙間がなくなり、吹き込みを防止でき、高い水密性を確保することができる。
また、下向き折返し片の下端が更に内側に折り返されて上方へ延在させた谷側当接面、上向き折返し片の上端が更に内側に折り返されて下方へ延在させた山側当接面とが、全面的に外側から内側に向かって上り傾斜状に面接触しつつ係合されそれぞれ平坦状に形成された山側当接面と谷側当接面とが、側面視が直線状の面接触部分を形成して当接(面接触)しているので、前記係合部分の下方に毛細管現象を防止するために十分な空間を形成し易く、また負圧作用時における上ハゼの上方への移動が確実に且つ容易になり、むしろ深く係合して外れ難くなる。
【0013】
また、係合部分の下方に上方が開放する空間が形成されている場合には、この空間が毛細管現象を防止する上、該空間が排水路として機能し、万が一浸入した雨水もこの排水路にて流下させることができる。
【0015】
また、谷側当接面と山側当接面とが上り傾斜する略水平状に面接触している場合には、山側外装板を押し下げた際に下向き側縁成形部は外方へ拡開する方向へ変形するため、上下方向のストローク(押し下げ高さ)が不要となり、横方向(幅方向)のみとできる。そして、施工後には、山側外装板の下向き側縁成形部の下端が平板部に近接するため、雨や風の吹き込みを抑制することができる。また、ストロークを横方向(幅方向)のみとしたことにより、ハゼの高さ、隙間等を自由に設定でき、外装材の意匠性の選択肢を増やすことができる。
【0016】
また、その下端に下地への固定部を有する起立部と、該起立部の上端を外側へ折返した折返し部と、を有する保持部材を下地上に固定し、谷側外装板の上向き側縁成形部の下向き折返し部分が前記保持部材の折返し部の内側に係合している場合には、前記下向き折返し部分が安定に位置規制され、この下向き折返し部分に対し、上側外装板の上向き折返し部分を安定に面接触させて強固に係合させることができる。
【0017】
さらに、山側外装板の裏面に断熱材を配設している場合には、断熱機能が付与されることは説明するまでもないが、特に山側外装板を断熱材の表面上に載置した状態で安定に保持部材への配設を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】(a)本発明の外装構造の一実施例(第1実施例)を示す断面図、(b)それに用いた外装板の側縁成形部、保持部材を示す拡大断面図、(c)山側外装板及び谷側外装板を示す断面図である。
図2】(a)第1実施例の外装構造の側断面図、(b)第1実施例の外装構造が下地に隣接して取り付けられている状態を示す断面図である。
図3】(a)第1実施例の外装構造の雨水の浸入を防止する毛細管現象を防止する空間が形成される状態を示す拡大断面図、(b)水の吹き込みを防止する効果を示す拡大断面図、(c)負圧作用時の防水性能を示す拡大断面図である。
図4】(a)従来のビス止め仕様の外装構造の水密性を示す断面図、(b)従来のハゼ締め仕様の外装構造の水密性を示す断面図、(c)その係合部分を拡大した断面図である。
図5】(a)従来のビス止め仕様の外装構造の負圧作用時の取付強度を示す断面図、(b)従来のビス止め仕様の外装構造の負圧作用時の取付強度を示す断面図である。
図6】(a)本発明の外装構造の他の一実施例(第2実施例)が下地に隣接して取り付けられている状態を示す断面図、(b)山側外装板を押し下げた際に下向き側縁成形部が外側へ拡開する方向へ変形している状態を示す断面図、(c)下向き側縁成形部の下端が平板部に近接している状態を示す断面図、(d)上ハゼ、下ハゼ、及び保持部材の拡大断面図である。
図7】(a)第2実施例では、下向き側縁成形部の下端が平板部に近接して雨や風の吹き込みを抑制できることを示す断面図、(b)第2実施例では雨水の浸入を防止する毛細管現象を防止する空間が形成される状態を示す断面図、(c)負圧作用時にも雨や風の吹き込みを防止することを示す断面図、(d)上段に示す第2実施例では、負圧が生じた際に下段に示すハゼ同士が深く食い込む状態となることを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の外装構造は、下地上に、平板部の左右側縁を同方向へ折り曲げ、更にその先端を内側に折り返して側縁成形部を設けて山側外装板、谷側外装板とし、交互に配置させることにより山部と谷部とが連続して形成される外装構造において、即ち前記山側外装板の下向きの側縁成形部は、平板部の左右側縁を下向きに折り下げ、更にその下端を内側に折り返した上向き折返し部分を有し、前記谷側外装板の上向きの側縁成形部は、平板部の左右側縁を上向きに折り上げ、更にその上端を内側に折り返した下向き折返し部分を有する構成であり、山側外装板の下向き側縁成形部の上向き折返し部分(上向き折返し片を更に内側に折り返した山側当接面)に谷側外装板の上向き側縁成形部の下向き折返し部分(下向き折返し片を更に内側に折り返した谷側当接面)とが全面的に外側から内側に向かって上り傾斜状に面接触させて係合させた構成である。
【0020】
ここで面接触させる構成とは、配設状態において、前記下ハゼ(の下向き折返し部分)と前記上ハゼ(の上向き折返し部分)とがほぼ等しい傾斜角度に配されるばかりでなく、弾性の作用により、相互に圧接状に取り付けられている状態を指す。そのため、予め下ハゼ(の下向き折返し部分)は斜め下方へ向かって弾性反発が作用するように成形し、また予め上ハゼ(の上向き折返し部分)は斜め上方へ向かって弾性反発が作用するように成形することにより、両者を面接触状に圧接させることができる。また、弾性は、面接触となる構成であれば、上ハゼと下ハゼとの少なくとも一方にあればよい。
【0021】
本発明に用いる外装板は、従来の「大和葺き」と称される屋根葺きに用いられるものであって、前述のように平板部の左右側縁を同方向へ折り曲げ、更にその先端を内側に折り返して側縁成形部を設けた構成であって、原則的には表裏逆に且つ交互に配置することにより同一形状の外装板を、山側外装板及び谷側外装板として用いてもよく、山側と谷側とを連続して形成するが、必ずしも両者を完全に一致させる必要はない。即ち山側外装板と谷側外装板とは、前記平板部や前記側縁成形部の細部の構成や形状まで同一のものを用いても、細部の構成や形状が相違する構成のものを用いてもよい。また、その裏面には、各種裏貼り材を一体的に貼り付けたものでもよいし、特に山側外装板としては、その裏面に、弾性や気密性等の各種の機能を有する裏貼り材を貼り付けたものでもよい。
これらの外装板としては、弾性的に係合させることができる金属面材を原材料として好ましいが、硬質樹脂板でもよい。また化粧性(意匠性)を有する(化粧材を兼ねる)金属面材を用いてもよく、例えば平板部が平坦状、或いは凹凸状などの成型を施したものでもよい。
【0022】
この外装板は、平板部の左右に側縁成形部を設けた構成であり、側縁成形部は、平板部の左右側縁を折り上げるか、折り下げ、更にその先端を内側に折り返した構成である。
即ち山側外装板では、左右側縁を折り下げ(=下向き側縁成形部)、更にその下端を内側に折り返して上ハゼ(=上向き折返し部分)とした構成となる。
また、谷側外装板では、左右側縁を折り上げ(=上向き側縁成形部)、更にその上端を内側に折り返して下ハゼ(=下向き折返し部分)とした構成となる。
【0023】
これらの山側外装板と谷側外装板とは、面接触させて係合しているが、その係合部分の下方に、上方が開放する空間が形成されていることが望ましい。即ちこの空間とは、山側外装板の上ハゼに形成される隅部空間であり、その形状や大きさについては特に限定するものではなく、毛細管現象を防止するものであれば、どのようなものでもよい。
【0024】
さらに、前記山側外装板の上ハゼには、上向き折返し部分として更に内側に折り返した山側当接面を設け、前記谷側外装板の下ハゼには、下向き折返し部分として更に内側に折り返した谷側当接面を設けている
即ち、上ハゼは、後述する図示実施例のように、上向き折返し片と山側当接面とからなる構成であり、下ハゼは、後述する図示実施例のように、下向き折返し片との先端を更に折り返した谷側当接面とからなる構成である
【0025】
この場合(=上ハゼ又は下ハゼの何れか又は両方に当接面を設ける場合)、面接触させる構成を適宜に適用することができる。
即ち例えば上ハゼが上向き折返し片のみで形成される場合には、上向き折返し片が面接触させる部分となるため、折り下げ片にも影響が生じてしまう。しかし、上ハゼが上向き折返し片と山側当接面とで形成される場合、山側当接面が面接触させる部分であるため、折り下げ片には殆ど影響なく、上向き折返し片に対して山側当接面が拡開する方向へ弾性反発するように成形すればよいため、成形が容易である。
【0026】
また、この場合、前記係合部分の下方に、前述の上方が開放する空間を形成し易い。
即ち谷側当接面と山側当接面とが弾性的に面接触することになるため、係合部分自体の大きさが大きくなるため、毛細管現象が防止される大きさの空間を形成し易い。しかも、この場合の面接触は、相互にクッション性を有する面接触となるため、負圧作用時における上ハゼの上方への移動が確実に且つ容易になる。
【0027】
なお、面接触させる角度については特に限定するものではないが、後述する図示実施例に示すように、上り傾斜状又は上り傾斜する略水平状に面接触している
しかも、後述する図示実施例のうち第2実施例に示すように、谷側当接面と山側当接面とが上り傾斜する略水平状に面接触している場合には、山側外装板を押し下げた際に下向き側縁成形部は外方へ拡開する方向へ変形するため、上下方向のストローク(押し下げ高さ)が不要となり、横方向(幅方向)のみとできる。加えて施工後には、山側外装板の下向き側縁成形部の下端が平板部に近接する構造とできるため、雨や風の吹き込みを抑制することができる。また、ストロークを横方向(幅方向)のみとしたことで、ハゼの高さ、隙間等を自由に設定でき、外装材の意匠性の選択肢が増える。
【0028】
前述のように外装板の裏面には、各種裏貼り材を一体的に貼り付けてもよいが、特に山側外装板としては、その裏面に、弾性や気密性等の各種の機能を有する裏貼り材を貼り付けることにより、以下の効果を奏することができる。
裏貼り材として、気密性を有する材料を用いることにより、仮に予期せぬ原因で係合部分からの雨水等の侵入が起こったとしても、前述のように上方が開放する空間を排水路として雨水を排水することができるが、この排水路の上では、山側外装板の裏貼り材が谷側外装板に接していて隙間がなく、内部に風が吹き抜ける経路を塞ぐことになる。このように、風の吹き抜ける経路を塞ぐことにより、風が谷側外装板のハゼを越えることがなく、吹き込みが防止される。
【0029】
また、その下端に下地への固定部を有する起立部と、該起立部の上端を外側へ折返した折返し部と、を有する保持部材を下地上に固定した場合には、前記谷側外装板の上向き側縁成形部の下向き折返し部分が前記保持部材の折返し部の内側に係合するように配設することにより、下向き折返し部分は安定に位置規制されるものとなり、この下向き折返し部分に対し、上側外装板の上向き折返し部分を安定に面接触させて係合できる。
このように保持部材を用いる場合には、保持部材に対する上ハゼ、下ハゼの係合を採用して取り付けているため、ビス穴からの雨水の浸入や毛細管現象による雨水の浸入を生ずることなく、施工性にも優れており、さらに負圧作用時の強度や水密性にも十分に配慮した外装構造である。
【0030】
前記保持部材については、山側外装板の裏面側に配設されるものであって、その下端に下地への固定部を有する起立部と、該起立部の上端を外側へ折返した折返し部と、を有する構成である。この保持部材は、通し吊子と称される長尺材でもよいし、後述する図示実施例のようにピース材でもよい。
また、この保持部材への外装板の取付については、谷側外装板の下ハゼを、保持部材の折返し部の内側へ収容されるように係合すると共に、山側外装板の上ハゼの上端が、谷側外装板の下ハゼの下端に当接するように弾性的に係合すればよい。
【0031】
また、前記山側外装板の裏面には、断熱材を配設してもよく、別体を接着剤等にて一体的に固着してもよいし、バックアップ材として一体的に取り付けられるものでもよい。この場合、断熱機能が付与されることは説明するまでもないが、特に山側外装板を断熱材の表面上に載置した状態で安定に保持部材への配設を行うことができる。
このような断熱材は、パネルとしての強度を向上する効果をも奏する。
また、この断熱材としては、例えば合成樹脂製ボートに限らず木製ボードでもよく、また単層でも複層でもよく、異なる材質の複層構成でもよい。そのため、難燃性、不燃性等の機能性ボード材を用いてもよく、また厚み等についても何等制限がなく、どのような断熱材を用いてもよい。
【0032】
本発明の効果について詳しく説明すると、上ハゼ、下ハゼの係合を採用しているため、従来のビス止め方式のようにビス自体を用いておらず、ビス穴自体が存在しないため、このビス穴からの雨水の浸入が生じない。また、従来のハゼ締め式のように毛細管現象による雨水の浸入を生ずることなく、施工に手間がかかる等の問題も生じない。
即ち上ハゼ及び下ハゼの折返し部分を面接触させて係合したので、外装板同士が強固に且つ安定に取り付けられるものとなる。
【0033】
さらに、この係合部分の下方に上方が開放する空間を形成した場合には、従来のハゼ締め方式のように毛細管現象にて雨水が浸入しない。即ち係合部分の下方に設けた上方が開放する空間が、毛細管現象を防止する上、該空間が排水路として機能し、万が一浸入した雨水もこの排水路にて流下させることができる。
また、負圧がかかった際にも、山側外装板の上ハゼの先端が下ハゼとの面接触を維持したまま(毛細管現象を防止した状態で)、深く上方へ移動して谷側外装板の下ハゼと接近して接触するため、吹き込みが生ずる隙間がなくなり、吹き込みを防止でき、高い水密性を確保することができる。
【0034】
また、特に保持部材を山側外装板と谷側外装板との間に固定している構造では、下ハゼの下向き折返し部分が安定に位置規制することができ、この下向き折返し部分に対し、上側外装板の上ハゼを安定に面接触させて強固に係合させることができる。
【0035】
しかも、前述のように谷側当接面と山側当接面とが略水平状に面接触している場合には、山側外装板を押し下げた際に下向き側縁成形部を外方へ拡開する方向へ変形させることができ、上下方向のストローク(押し下げ高さ)が不要となり、横方向(幅方向)のみとできる。そして、施工後には、山側外装板の下向き側縁成形部の下端が平板部に近接するため、雨や風の吹き込みを抑制することができる。また、ストロークを横方向(幅方向)のみとしたことにより、ハゼの高さ、隙間等を自由に設定でき、外装材の意匠性の選択肢を増やすことができる。
【実施例】
【0036】
図1に示す第1実施例の外装構造は、下地4上に、平板部11,21の左右側縁を同方向へ折り曲げ、更にその先端を内側に折り返して側縁成形部12,12、22,22を設けて山側外装板1、谷側外装板2とし、これらを交互に配置させることにより山部と谷部とが連続して形成される外装構造である。即ち前記山側外装板1の下向きの側縁成形部12は、平板部11の左右側縁を下向きに折り下げ、更にその下端を内側に折り返した上向き折返し部分124を有し、前記谷側外装板2の上向きの側縁成形部22は、平板部21の左右側縁を上向きに折り上げ、更にその上端を内側に折り返した下向き折返し部分224を有する構成である。そして、谷側外装板2の下ハゼ部(上向き側縁成形部)22,22の下向き折返し部分224を、山側外装板1の上ハゼ部(下向き側縁成形部)12,12の上向き折返し部分124に面接触させて係合させている構成である。
【0037】
この第1実施例における山側外装板1は、略平坦状の平板部11の左右側縁を折り下げ、更にその下端を内側に折り返して上ハゼ12とした構成である。より詳しくは、図1(b)に示すように上ハゼ12は、下向きの折り下げ片121と上向き折返し片122とその先端の内側に折り返した下向き片である山側当接面123とからなる。即ちこの第1実施例における上向き折返し部分124は、上向き折返し片122と山側当接面123とからなる。また、前記平板部11の裏面側には、略同一厚みの裏貼り材1bが添設されている。
【0038】
また、この第1実施例における谷側外装板2は、略平坦状の平板部21の左右側縁を折り上げ、更にその上端を内側に折り返して下ハゼ22とした構成である。より詳しくは、図1(b)に示すように下ハゼ22は、上向きの折り上げ片221と下向き折返し片222とその先端を内側に折り返した上向き片である谷側当接面223とからなる。即ちこの第1実施例における下向き折返し部分224は、下向き折返し片222と谷側当接面223とからなる。また、前記平板部21の裏面側には、略同一厚みの裏貼り材2bが添設されている。
【0039】
そして、これらの山側外装板1及び谷側外装板2は、図1(c)に示すように裏貼り材1b,2bを配する方向が逆方向である以外は全く同一形状に金属素材を成形したものである。また、裏貼り材1b,2bとしては、弾性及び気密性を有する硬質ウレタンフォームを用いることができる。
【0040】
この第1実施例には、ピース材である保持部材3を前記山側外装板1の裏面側に配設している。
この保持部材3は、図1(c)に示すように下端に下地4への固定部31を有する起立部32と、該起立部32の上端を外側へ折返した折返し部33と、を有する構成である。
前記固定部31は、略水平状に延在し、凹部311に上方から固定具(二点鎖線にて示す)を打ち込んで下地4に固定する。
また、前記折返し部33は、外側を向くように配設され、殆ど全ての図面では左側に向くように形成され、図2(b)にて右方に配されている保持部材3では、折返し部33は右側に向くように配設されている。
【0041】
そして、これらの部材から構成される本発明の外装構造では、前記保持部材3への前記外装板1,2の取付については、図1(b)に示すように谷側外装板2の下ハゼ22を、保持部材3の折返し部33の内側へ収容されるように係合させると共に、山側外装板1の上ハゼ12を、下ハゼ22に面接触させて係合する。
なお、この第1実施例では、前述のように上ハゼ12は、折り下げ片121と上向きの折返し片122とその先端の内側に折り返した山側当接面123とからなり、下ハゼ22は、折り上げ片221と下向きの折返し片222とその先端を内側に折り返した山側当接面223とからなる構成であるため、上ハゼ12と下ハゼ22との面接触は、具体的には山状当接面123と谷状当接面223との面接触である。
【0042】
前記下地4は、図1(a)では破線にて示したが、図2(b)に示すように躯体(C形鋼)4d上に固定した略一定厚みの野地材4cの表面に、防水シート材4bを敷設した構成である。
また、前記山側外装板1の裏面、即ち左右に隣接する前記谷側外装板2,2間には、断面略矩形状の断熱材5を配した構成とした。
【0043】
このような各部材から構成される本発明の外装構造の施工手順を、以下に簡単に説明する。
まず、下地4上に、所定間隔にて前記構成の保持部材3を固定する。
この工程の際には、予め谷側外装板2の寸法に応じて保持部材3を取り付けるが、配設する谷側外装板2に折返し部33が向くように保持部材3を配設し、その固定部31には固定具3bを上方から打ち込んで下地4(躯体4d)に固定する。
【0044】
次に、前述のように下地4上に固定した保持部材3の折返し部33に、前記構成の谷側外装板2の下ハゼ22(の下向き折返し片222)を係合させて取り付ける。なお、この工程で、保持部材3,3の配設間隔に断熱材5を取り付けておくようにしてもよい。
この工程にて、谷側外装板2の配設は、隣接する保持部材3,3間に谷側外装板2を落とし込むように配設すればよい。
【0045】
続いて山側外装板1を取り付けた谷側外装板2の上方に臨ませ、下方へ向かって押し下げるように係合させて取り付ける。この山側外装板1の配設に際し、断熱材5を抱き込むように同時に配設してもよいし、前述のように予め断熱材5のみを取り付けておくようにしてもよい。
この工程では、山側外装板1を下降させるに伴って、上ハゼ12,12(の上向き折返し片122,122)が、下ハゼ21,21(の下向き折返し片222,222)に当接しながら弾性に抗して拡開し、上向き折返し片122の上端が下向き折返し片222の下端を過ぎると、最終的に山状当接面123が谷状当接面223に面接触して係合する。
【0046】
このように施工される本発明の外装構造では、上ハゼ12,12及び下ハゼ22,22の係合を採用し、しかも毛細管現象を防止する空間として利用される上方が開放された空間13を有するため、雨水の浸入や毛細管現象による雨水の浸入を生ずることなく、しかも前述のように山側外装板1を上方から下方へ押圧するだけの簡易な操作にて、弾性的に係合(嵌合)させて取り付けることができるため、施工性にも極めて優れている。
【0047】
続いて図3に基づいて、本発明の外装構造の施工性以外の効果を説明するが、前述の従来のビス止め方式の外装構造を示す図4(a),図5(a)、並びに従来のハゼ締め式の外装構造を示す図4(b),図5(b)と比較しながら説明する。
【0048】
まず、図3(a)には、本発明の外装構造の大きな特徴である「面接触」の部分にハッチングを施すと共に、図3(a),(c)には上方が開放する空間23にはクロスハッチングを施した。また、図3(b)には、その防水効果を示すため、想定される雨水の浸入経路を示した。
この図3(b)に示すように、係合部分(123,223)の下方に上方が開放する空間13を形成したので、該空間13が毛細管現象を防止する上、該空間13が排水路として機能し、万が一、浸入した雨水もこの排水路(13)にて流下させることができる。
また、「面接触」とは、前述のように上ハゼ12に形成した山側当接面123と下ハゼ22に形成した谷側当接面223とが面接触して係合するものであり、従来のハゼ締め式のような密接状の係合が決して行われない構成である。
さらに、山側外装板1の裏面に取り付けた気密性を有する裏貼り材1bにより、風雨が吹き込む経路を塞いでいる。そのため、図中に点線で示す矢印のように、水が内部に浸入するためには、裏貼り材1bや下ハゼ22を越えて吹き上げられなければならないため、防水性が高いものである。
【0049】
これに対し、従来のビス止め方式や従来のハゼ締め式では、そのような毛細管現象を防止する空間13が形成されず、同様の効果も奏しないことは図4(a),(b)から明らかである。
即ち図4(a)には、従来のビス止め仕様を示したが、太線にて示すように山側外装板6の表面を伝う雨水Wが、この山側外装板6の側縁成形部62と谷側外装板6'の側縁成形部62'との重合部分に側方から打ち込んだ固定ビス7のビス穴から浸入してしまう。
また、図4(b)には、従来のハゼ締め仕様を示したが、やはり太線にて示すように山側外装板8の表面を伝う雨水Wが、谷側外装板8'と吊子9とのハゼ締め部分から毛細管現象により内部に浸入してしまう。即ちこの仕様における係合は、図4(c)に拡大して示すように上ハゼ82に設けた上向き折返し片821と下ハゼ83に設けた下向き折返し片831とが密接状に係合して吊子9の係合部92に係合させているため、毛細管現象が生じ,内部への雨水の浸入を生じてしまう。
なお、これらの従来の仕様において、仮に止水性に優れたシール材を使用してビス穴やハゼ締め部の水密性を向上したとしても、シール材の経年劣化にて雨水の浸入が生じてしまう。
【0050】
次に、図3(c)に基づいて、本発明の外装構造の負圧作用時の防水性能について説明する。
図3(c)に示すように吹き上げ風等に起因する負圧が作用すると、図中に白抜き矢印にて示すように通常は水平状の平板部11,21を上方へ引っ張り上げるような力(負圧)が作用し、上方に凸状に変形させる現象が生じる。その際、谷側外装板2の下ハゼ22は負圧作用以前から保持部材3に当接しているため、山側外装板1の上ハゼ12に上方へ引っ張られる力(負圧)が作用し、ハッチング矢印にて示すようにその山側当接面123が下ハゼ22の谷側当接面223に当接しつつ上方へ滑るように引っ張り上げられ、山側当接面123と上向き折返し片122の上端が、谷側外装板2の折り上げ片221に当接する。また、上ハゼ12の下方からの押圧により引き上げられる下ハゼ22は、その上方に位置する裏貼り材1bを圧縮状に押圧する。
そして、山側当接面123と上向き折返し片122との上端が、谷側外装板2の折り上げ片221に当接する。
このように負圧作用時には、負圧が作用していない状態よりも上ハゼ12と下ハゼ22とがむしろ深く係合して外れ難くなる。
【0051】
なお、山側外装板1と谷側外装板2とは同一形状に成形したので、前記上ハゼ12の上方へ引っ張り上げられる挙動に伴い、山側外装板1の上ハゼ12の折り下げ片121が、下ハゼ22の谷側当接面223と下向き折返し片222との下端に当接する。
このようにハゼ12,22が縦壁(折り上げ片221,折り下げ片121)に接することで2つの独立した空間13,23が発生し、毛細管現象による水の侵入が防止される。
また、係合部分123,223の下方の空間13は上方が塞がれ、一方、係合部分123,223の上方に位置する空間23は負圧作用以前には下方が開放しているが、負圧が作用すると前述のように下方が塞がれ、隙間がなくなり、風雨の吹き込みが防止される。しかも、前述のように裏貼り材1bは、下ハゼ22の下向き折返し片222から圧縮状に押圧されているので、水が内部に浸入する隙間がないため、極めて防水性が高い。
【0052】
これに対し、図5(a)には、従来のビス止め仕様における負圧作用時を示しているが、ビス7自体の抜けは生じなくても、ビス7の直近の側縁成形部62,62'に変形が生じており、この状態では、所定の特性は得られない。
また、同図(b)には、従来のハゼ締め仕様における負圧作用時を示しているが、ハゼ締めの一部が負圧による引っ張り作用で解除されており、しかも前述のように上ハゼ82に設けた上向き折返し片821と下ハゼ83に設けた下向き折返し片831とが密接状に係合して吊子9の係合部92に係合しているため、毛細管現象が生じてしまうし、この状態では、到底所定の特性は得られない。
【0053】
なお、前記図1(b),(c)には、前記第1実施例に用いた外装板1,2や保持部材3を示しているが、成形時の状態(=組み付け前)ではなく、組み付け状態における各部材を示すものである。
また、前記図3(c)にて説明したように、負圧が作用した際には、山側当接面123と上向き折返し片122の上端が、谷側外装板2の折り上げ片221に当接し、山側外装板1の折り下げ片121が、下ハゼ22の谷側当接面223と下向き折返し片222との下端に当接するが、通常の敷設状態では、折り上げ片221と上向き折返し部分124、折下片121と下向き折返し部分224は、接触していない。即ち少なくとも折り下げ片221と上向き折返し片124が接触していないことで、通常時の雨水の吸い込みを防止することができる(開放した下向き空間となるため、吹きつけたられた雨水が溜まることなく自然に流下する)。
【0054】
図6(a)〜(d)及び図7(a)〜(d)に示す第2実施例の外装構造は、谷側当接面223と山側当接面123とが上り傾斜するように面接触している前記第1実施例とは異なり、谷側当接面223"と山側当接面123"とが略水平状に面接触している構成である。
【0055】
この第2実施例における山側外装板1"の上ハゼ部(下向き側縁成形部)12"は、図6(d)に示すように下端を内側に折り返した上向き折返し部分124"を備えている。この上ハゼ12"は、下向きの折り下げ片121"と上向き折返し片122"とその先端の内側に折り返した下向き片である山側当接面123"とからなり、前記上向き折返し部分124"は、上向き折返し片122"と山側当接面123"とから構成されている。
また、谷側外装板2"の下ハゼ22"は、下向き折返し部分224"を備え、上向きの折り上げ片221"と下向き折返し片222"とその先端を内側に折り返した上向き片である谷側当接面223"とからなり、前記下向き折返し部分224"は、下向き折返し片222"と谷側当接面223"とから構成されている。
【0056】
また、この第2実施例における保持部材3"は、図6(d)に示すように下端に下地4"への固定部31"を有する起立部32"と、該起立部32"の上端を外側へ折返した折返し部33"と、を有する構成である。前記固定部31は、略水平状に延在し、上方から固定具3b"を打ち込んで下地4"に固定する。
さらに、前記下地4"は、略一定厚みの野地材の表面に、防水シート材4b"を敷設した構成である。
また、前記山側外装板1"の裏面、即ち左右に隣接する前記谷側外装板2",2"間には、断面略矩形状の断熱材5"を配した構成とした。
【0057】
この第2実施例の外装構造では、谷側当接面223"と山側当接面123"とが略水平状に面接触する構成であるため、図6(b)に示すように山側外装板1"を押し下げた際に下向き側縁成形部(上ハゼ)12"が外側へ拡開する方向へ変形する。
それに対し、前記第1実施例では、上下方向のストローク(押し下げ高さ)を必要とする。但し、隙間が大きいので施工しやすい(不陸等の影響を受けにくい)という利点を有している。
一方、この第2実施例では、図6(c)に一点鎖線で囲うように上ハゼ12"の下端が谷側外装板2"の平板部21"に近接する外装構造が得られ、言い換えれば上下方向の押し下げ高さを必要とせず、ストロークを横方向(幅方向)のみとできる。
【0058】
図7(a)〜(d)は、この第2実施例の効果を示すものである。
この第2実施例では、上ハゼ12"の下端が谷側外装板2"の平板部21"に近接する意匠性を備える外装構造が得られるため、図7(a)に破線矢印で示すように雨や風の浸入を抑制することができる。
図7(b)は、より詳細に防水性能を示すものであり、排水路(上方が開放する空間)13"により、万が一、浸入した雨水も流下できることは前記第1実施例と同様であるが、この水が図中に破線矢印で示すように更に内部に入ろうとするには、ハゼ(22"等)を越えて吹き上げられなければならない(決してあり得ない)ので、この第2実施例は極めて防水性が高いものである。
図7(c),(d)は、何れも破線矢印で示す負圧時における作用を示しており、山側外装板1"の上ハゼ12"が持ち上げられると、上ハゼ12"の上向き折返し片122"の上端が下ハゼ22"の折り上げ片221"に当接するため、隙間がなくなり吹き込みが防止される。また、ストロークを横方向(幅方向)のみとしたことにより、ハゼの高さ、隙間等を自由に設定でき、外装材の意匠性の選択肢が増えるという利点もある。
【符号の説明】
【0059】
1,1" 山側外装板
11,11" 平板部
12,12" 下向き側縁成形部(上ハゼ)
121,121" 折り下げ片
122,122" 上向き折返し片
123,123" 山側当接面
124,124" 上向き折返し部分
13,13" 上方が開放する空間
2,2" 谷側外装板
21,21" 平板部
22,22" 上向き側縁成形部(下ハゼ)
221,221" 折り上げ片
222,222" 下向き折返し片
223,223" 谷側当接面
224,224" 下向き折返し部分
23,23" 下方が開放する空間
3,3" 保持部材
31,31" 固定部
32,32" 起立部
33,33" 折返し部
4 下地
5 断熱材
6,6' (ビス止め仕様の)外装板
7 固定ビス
8,8' (ハゼ締め仕様の)外装板
82 上ハゼ
821 上向き折返し片
83 下ハゼ
831 下向き折返し片
9 吊子
92 係合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7