【文献】
あかしの下水道、微生物について、2011.11.1,URL,http:// www2.city.akashi.lg.jp/gesuidou/gesui/gesuidoutoha/biseibutu.htm
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記気液接触部は、前記充填部と、空気の流れ方向に対して前記充填部の上流側および下流側の少なくとも一方に隣接して設けられ、厚み方向で繊維密度が異なるマット状の別の繊維集合体との積層構造を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の空気浄化装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態による空気浄化装置の構成を示す概略図である。
【0015】
空気浄化装置1は、筐体2の下部側面に設けられた吸気口3と、筐体2の上部側面に設けられた排気口4と、吸気口3と排気口4との間に設けられた気液接触部5と、気液接触部5に洗浄水を散水する散水ノズル(散水手段)6と、洗浄水を貯留する循環タンク(洗浄水貯留手段)7と、循環タンク7内の洗浄水を散水ノズル6に供給することで、洗浄水を循環させる循環ポンプ(洗浄水循環手段)8とを有している。このような構成により、空気浄化装置1は、気液接触部5において、吸気口3から筐体2内部に導入された空気と散水ノズル6から散水された洗浄水とを接触させることで、空気を洗浄するようになっている。
【0016】
気液接触部5は、特定の構成を有する繊維集合体から構成されている。これにより、本実施形態の空気浄化装置1は、圧力損失の上昇を抑えながら、空気に含まれる微粒子やガス状物質、特に粒子径の小さい(例えば、1μm以下の)微粒子を高効率で除去することが可能となる。気液接触部5、特に繊維集合体の詳細な構成については後述する。
【0017】
散水ノズル6は、気液接触部5の上方に設けられている。散水ノズル6は、霧状で粒径が細かい水を散布することができ、そのため、気液接触部5を効率良く濡らすことができるスプレータイプ、特に、扇形スプレーノズルや円環スプレーノズルが好適である。扇形スプレーノズルは、噴霧水量が少なく、噴霧水を分散化でき、広範囲への散水を行うことができる。円環スプレーノズルは、目詰まりしにくく、噴霧水を被処理空気の上昇気流中で乱流化および分散化させることで、広範囲への散水を行うことができる。また、円環スプレーノズルからの噴霧水は、隣接するノズルからの噴霧水や交差する噴霧水と互いに衝突することで、水滴が粗大化したり、微細化したり、あるいはその両方が発生したりすることになる。粗大化した水滴は、落下して気液接触部5を濡らすとともに、取り込んだ微粒子やガス状物質を洗い流すことができ、微細化した水滴は、浮遊して、微細化・粗大化を繰り返すことになる。扇形スプレーノズルおよび円環スプレーノズルは、噴霧水が交差または平行になるように複数配置されていることが好ましい。
【0018】
循環タンク7は、気液接触部5の下方で筐体2の下部に設けられている。循環タンク7には、配管9を介して外部水源10が接続されており、配管9に設けられた給水弁11の制御により、外部水源10からの洗浄水の補充および交換が可能となる。また、循環タンク7の底面には、水抜き用の排水弁12が設けられている。
【0019】
循環ポンプ8は、一次側(吸込側)が配管13を介して循環タンク7に接続され、二次側(吐出側)が配管14を介して散水ノズル6に接続されており、これにより、洗浄水を循環させることができる。本実施形態では、循環ポンプは、筐体2の外部に設けられているが、洗浄水を循環させるようになっていればよく、筐体2の内部に設けられていてもよい。また、循環ポンプ8は、循環タンク7内に設けられた水中ポンプであってもよい。
【0020】
なお、空気を浄化するために使用する洗浄水は、清浄な水であれば特に限定されず、水道水、井水、蒸留水、純水、電解水等を用いることができる。また、循環タンク7および循環ポンプ8は必ずしも設けられている必要はなく、したがって、気液接触部5で空気と接触した洗浄水をそのまま排水するようになっていてもよく、洗浄水を循環させなくてもよい。
【0021】
さらに、空気浄化装置1は、散水ノズル6の上方に設けられたエリミネータ(防滴板)15と、エリミネータ15の上方であって排気口4の手前に設けられた送風機16とを有している。エリミネータ(防滴板)15は、散水ノズル6からの噴霧水の飛散を防止する機能を有している。送風機16は、外部の空気を吸気口3から導入し、気液接触部5を通過した空気を排気口4から排出させるために設けられている。なお、送風機16は、吸気口3から導入された空気が排気口4から排出されるようになっていればよく、吸込口3側に設けられて外部の空気を筺体内に押し込むようになっていてもよい。また、送風機16は、筐体2の外部に設けられていてもよい。また、エリミネータ15の上方に、気液接触方式により浄化された空気に含まれる大量の湿分を除去するために、デシカントロータなどの湿度調節手段が設けられていてもよい。
【0022】
次に、本実施形態の空気浄化装置1を用いた空気浄化動作について、簡単に説明する。
【0023】
循環タンク7内に貯留された洗浄水は、循環ポンプ8によって、散水ノズル6に供給される。散水ノズル6に供給された洗浄水は、散水ノズル6によって気液接触部5に散水されて、気液接触部5の繊維集合体で保水される。一方、送風機16が作動すると、筐体2内部が減圧状態となり、浄化すべき空気が吸気口3から筐体2内へと導入される。導入された空気は、送風機16によって筐体2の内部を下から上へと流れ、気液接触部5に到達する。気液接触部5に到達した空気は、気液接触部5の繊維集合体で気液接触を行い、洗浄水によって、空気中の粒子性物質やガス状化学物質が除去される。浄化された空気は、送風機16によって排気口4から排出される。
【0024】
次に、本実施形態の気液接触部の構成について説明する。
図2は、気液接触部の構成を示す概略断面図である。
【0025】
本実施形態の気液接触部5は、異なる種類の繊維集合体からなる3層構造の繊維集合体層を有している。具体的には、気液接触部5は、長繊維集合体からなる中間層21と、中間層21を挟むように上下に配置され、共に短繊維集合体からなる上層22および下層23とを有している。中間層21は、上層22と下層23との間に長繊維集合体が充填された充填部を構成している。本実施形態では、上層22と下層23とに挟まれ上下が開口した型枠(図示せず)内に長繊維集合体が充填されているが、型枠などの容器を用いずに、単に上層22と下層23とによって形成される空間に長繊維集合体が充填されていてもよい。なお、図示してはいないが、気液接触部5は、繊維集合体層の下方または上方に、ブロック状繊維集合体、金網、またはパンチングプレートなど、繊維集合体層を保持するための保持部材が設置されていてもよい。
【0026】
中間層21を構成する長繊維集合体は、捲縮加工された長繊維が不規則に絡み合うことで、内部に微細な空隙が無数に形成され、全体として弾力性を有する三次元的な形状に構成されている。すなわち、中間層21を構成する長繊維集合体は、捲縮加工された長繊維が綿状に集合して形成されたものである。
図3(a)は、本実施形態の長繊維集合体の一例を示す写真であり、
図3(b)は、
図3(a)に示す長繊維集合体を100倍に拡大して示す電子顕微鏡写真である。このように、本実施形態の長繊維集合体は、例えば脱脂綿などの短繊維集合体と比べて、それを構成する繊維が長いため、発塵して浄化空気と共に排出されたり、送風機16内部で絡まったりすることがない。
【0027】
このような構成により、中間層21を構成する長繊維集合体は、例えば900〜5000m
2/m
3といった非常に大きな比表面積(単位体積当たりの繊維の表面積)を確保することができる。その結果、被処理空気と洗浄水との接触機会を飛躍的に増大させ、微粒子やガス状物質等、特に粒子径の小さい(例えば、1μm以下の)微粒子に対して高い除去性能を発揮することが可能になる。また、本実施形態の長繊維集合体は、一般的な空気浄化用フィルターと比べても、目詰まりを起こすことがなく、過度な保水状態(水封状態)になることがない。そのため、例えば、中性能フィルターの最終圧力損失は約300Paにまで上昇し、高性能フィルターの最終圧力損失は約500Paにまで上昇するが、長繊維集合体では、150〜250Pa程度で安定しており、それほど圧力損失が上昇することもない。
【0028】
本実施形態の長繊維集合体は、かさ密度(一定容積の容器・空間に繊維を充填し、その容積に対する繊維集合体の重さ)が10kg/m
3以上であることが好ましい。かさ密度が10kg/m
3以上であれば、後述する実施例で示すように、微粒子やガス状物質等に対して十分な除去性能を発揮させることができる。一方で、長繊維集合体のかさ密度が大きくなると、後述する実施例で示すように、差圧(圧力損失)の上昇が顕著になる。そのため、長繊維集合体のかさ密度は、45kg/m
3以下であることが好ましく、30kg/m
3以下であることがより好ましい。
【0029】
ここでいう「長繊維」とは、短繊維のように数cm程度に切断されることなく、連続した長さを有する繊維のことであり、1本の長繊維からなるモノフィラメントと、撚り合わされた数十本の長繊維からなるマルチフィラメントとを含むものである。ただし、本実施形態で用いる長繊維は、綿状の繊維集合体を構成するために捲縮加工されていればよく、必ずしも連続した長さを有している必要はない。したがって、本実施形態の長繊維集合体は、捲縮加工した長繊維(モノフィラメントまたはマルチフィラメント)を適当な長さに切断した後で型枠などの容器に充填することで構成されていてもよい。本実施形態で用いる長繊維は、綿状の繊維集合体を構成するために、捲縮数が7個以上/25mmであることが好ましい。また、繊度(繊維径)は0.5〜1000デニールであることが好ましく、0.5〜100デニールであることがより好ましい。また、糸径は5〜500μmであることが好ましく、5〜100μmであることがより好ましい。
【0030】
長繊維集合体を構成する繊維としては、化学繊維が挙げられ、例えば、レーヨン、ポリノジック、キュプラなどの再生繊維;アセテート、トリアセテート、プロミックスなどの半合成繊維;アクリル、ポリエステル、ナイロン、ビニロン、ポリウレタンなどの合成繊維を用いることができる。長繊維集合体は、気液接触部5として使用されるため、吸水性がほとんどなく、耐薬品性がある繊維から構成されていることが望ましい。このような点から、上記の列挙した繊維のうち、合成繊維を使用することが望ましく、特に、気液接触部5で使用する際に型崩れしにくいポリエステルを使用することが望ましい。
【0031】
長繊維集合体は、木材や石油から製造した、上記の列挙した化学繊維の原料を紡糸し、それらを多数集束して長繊維束(トウ)とした後、熱処理を施しながら延伸して、押し込み式捲縮加工機により捲縮を付与することで繊維全体を縮れさせ、それをほぐして綿状とする。紡糸の方法としては、溶融紡糸、乾式紡糸、湿式紡糸、ゲル紡糸、液晶紡糸などに一般的に使用される方法を用いることができる。
【0032】
なお、本実施形態では、湿気に強く、高い強度を有するという観点から、長繊維集合体として化学繊維の例を挙げているが、綿状に加工できれば天然繊維であってもよい。天然繊維としては、例えば、絹などを用いることができる。
【0033】
上層22および下層23を構成する短繊維集合体は、短繊維がカール状に加工され、それら繊維の一部が互いに接着された三次元の不織布状に形成されたものである。短繊維集合体のカール状に加工された繊維は、不均一に配置され、その先端部分(切断部分)の大部分が一方の面に位置している。これにより、一方の面が低密度で起伏のある(ラフでザラザラした)形状を有し、他方の面が高密度で平坦な(フラットな)形状を有しており、一方の面から他方の面に向かう厚み方向で繊維密度が異なっている。本実施形態では、上層22および下層23のいずれもラフでザラザラした面から空気が流入するようになっている。すなわち、上層22および下層23はいずれも、ラフでザラザラした面が「下面」を構成し、フラットな面が「上面」を構成するように、空気浄化装置1内に設置され、それぞれが中間層21に隣接している。
【0034】
短繊維集合体を構成する繊維は、繊維に加工されているものであれば特に限定されず、例えば、レーヨン、ポリノジック、キュプラなどの再生繊維;アセテート、トリアセテート、プロミックスなどの半合成繊維;アクリル、ポリエステル、ナイロン、ビニロン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニリデンなどの合成繊維を用いることができる。
【0035】
短繊維は、例えば、上述の方法で紡糸した繊維を捲縮した後、細かく切断することで製造することができる。短繊維集合体の結合方法(集合体の作成方法)としては、熱で繊維を溶融させて結合するサーマルボンド法や、接着剤を用いて繊維を結合させるケミカルボンド法、かえしのある針を突き刺して機械的に繊維を結合させるニードルパンチ法等が挙げられ、いずれの方法を用いてもよい。
【0036】
なお、短繊維集合体は、気液接触部5の一部として使用されるため、吸水性がほとんどなく、耐薬品性がある繊維から構成されていることが望ましい。このような点から、上記の列挙した繊維のうち、ポリ塩化ビニリデン等を使用することが望ましい。また、短繊維集合体は、使用する繊維や作成方法などによって、全体として平均繊維密度を異ならせることができるが、被処理空気の浄化の観点からは、平均繊維密度が相対的に高いものを用いることが好ましい。ここで「平均繊維密度」とは、繊維集合体全体として繊維がどのくらい密に配置されているのかの程度を示すものであり、例えば、単位体積当たりの繊維の表面積(比表面積)で表される。
【0037】
例えば、上述した短繊維集合体としては、旭化成ホームプロダクツ株式会社のサランロック(登録商標)が挙げられる。サランロックは、素材自体が非常に高い難燃繊維であるサラン(登録商標)繊維を、スプリング状にカール加工して不織布状に加工し、サランラテックスで被覆結合した三次元不織布である。サランロックは、大きな空間と表面積を合わせ持ち、通気抵抗が小さく、濾過効率に優れ、しかも集塵容量が大きな構造を備えている点で好適に用いられる。
【0038】
本発明の空気浄化装置は、気液接触部として、モノフィラメントまたはマルチフィラメントが綿状に加工された長繊維集合体を用いることが特徴である。したがって、上述した実施形態では長繊維集合体(中間層21)の上側および下側にそれぞれ隣接して設けられていた短繊維集合体(上層22および下層23)は、必ずしも設けられている必要はない。しかしながら、長繊維集合体の上側に隣接して短繊維集合体が設置されていると、上方から散水される洗浄水を、短繊維集合体を通じて長繊維集合体に均一に供給することができる。すなわち、短繊維集合体のフラットな上面は、上方から散水される洗浄水の分散化を促進することで満遍なく保水され、その保水された洗浄水は、重力と毛細管現象とにより短繊維集合体の下面側へと流れ落ち、下方の長繊維集合体に均一に供給される。また、長繊維集合体の下側に隣接して短繊維集合体が設置されていると、長繊維集合体に保水された洗浄水は、毛細管現象により短繊維集合体に吸い取られ、短繊維集合体のラフでザラザラした下面により水切れが促進されるようになる。したがって、短繊維集合体が、長繊維集合体の上側および下側の少なくとも一方に隣接して設けられていることが好ましく、上述した実施形態のように、その両方に隣接して設けられていることがより好ましい。
【0039】
なお、上述した実施形態では、筺体内に導入された空気が筺体内を下から上へ垂直方向に流れるように構成された、いわゆる縦型の空気浄化装置に適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、空気が筐体内を水平方向に流れるように構成された、いわゆる横型の空気浄化装置に適用することもできる。横型の空気浄化装置では、短繊維集合体は、空気の流れ方向に対して、長繊維集合体の上流側および下流側(すなわち長繊維集合体の左右)にそれぞれ隣接するとともに、フラットな面が下流側を向き、ラフでザラザラした面が上流側を向くように設置されている。
【0040】
次に、具体的な実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。
【0041】
(実施例1)
本実施例では、
図1に示す空気浄化装置を用いて、空気中の微粒子およびSO
2の除去率を測定した。気液接触部として単層の長繊維集合体を用い、長繊維集合体としては、厚みが100mm、単位体積当たりの繊維の表面積(比表面積)が2015m
2/m
3、かさ密度が29kg/m
3(容積が21×20.5×10cm
3の型枠内に充填された、質量が125g)の長繊維集合体を使用した。長繊維集合体を構成する繊維としては、繊維の繊度が17デニール、糸径が42μm、捲縮数が7.6個/1インチ(7.48個/25mm)のモノフィラメントのポリエステルを使用した。
【0042】
気液接触部に流入させる被処理空気の処理風量は80m
3/hとし、散水ノズルからの洗浄水の散水流量は3L/minとした。この場合の処理風量に対する散水流量の比は、2.0である。
【0043】
微粒子除去率は、吸気口の上流側および排気口の下流側にそれぞれ設けられたパーティクルカウンタにより、被処理空気の微粒子濃度と浄化された空気の微粒子濃度とから算出した。このときの入口負荷は、JIS Z 8901の試験用粉体1第11種で0.5mg/m
3である。なお、微粒子除去率は、対象となる微粒子の粒子径ごとに測定した。同様に、SO
2除去率は、吸気口の上流側および排気口の下流側にそれぞれ設けられたSO
2濃度計により、被処理空気のSO
2濃度と浄化された空気のSO
2濃度とから算出した。このときの入口負荷は、0.1mg/m
3である。また、差圧は、差圧計により、吸気口の上流側と、気液接触部の下流側(エリミネータと送風機との間)との圧力差として測定した。
【0044】
(実施例2)
気液接触部として、
図2に示す積層構造、すなわち、短繊維集合体からなる上層と、長繊維集合体からなる中間層と、短繊維集合体からなる下層とから構成された積層構造を用いた以外、実施例1と同様の条件で測定を行った。上層および下層の短繊維集合体としては、繊維の繊度が600〜1000デニール、厚みが50mm、比表面積が360m
2/m
3のサランロック(品番:OM−150)を使用し、フラットな面を上面とした。また、中間層の長繊維集合体としては、実施例1の長繊維集合体を使用した。したがって、実施例2の気液接触部の厚みは200mmである。
【0045】
(実施例3)
気液接触部として、上層および下層の短繊維集合体において、繊維の繊度が75デニール、厚みが20mm、比表面積が890m
2/m
3のサランロック(品番:CS−120)を使用した以外、実施例2と同様の条件で測定を行った。すなわち、実施例3の気液接触部は、上層および下層として、実施例2よりも平均繊維密度が高い短繊維集合体を用いている点で、実施例2の気液接触部と異なっている。なお、中間層である長繊維集合体のかさ密度は、実施例1と同様、29kg/m
3(すなわち、中間層の長繊維集合体は、容積が21×20.5×10cm
3の型枠内に充填された、質量が125gの長繊維集合体)である。また、実施例3の気液接触部の厚みは140mmである。
【0046】
(実施例4)
気液接触部として、中間層において、比表面積が967m
2/m
3、かさ密度が14kg/m
3(容積が21×20.5×10cm
3の型枠内に充填された、質量が60g)の長繊維集合体を用いた以外、実施例3と同様の条件で測定を行った。
【0047】
(実施例5)
気液接触部として、中間層において、比表面積が2902m
2/m
3、かさ密度が42kg/m
3(容積が21×20.5×10cm
3の型枠内に充填された、質量が180g)の長繊維集合体を用いた以外、実施例3と同様の条件で測定を行った。
【0048】
(比較例)
気液接触部として、中間層の長繊維集合体の代わりに、繊維の繊度が75デニール、厚みが20mm、比表面積が890m
2/m
3のサランロック(品番:CS−120)を使用した以外、実施例2と同様の条件で測定を行った。なお、比較例の気液接触部の厚みは120mmである。
【0049】
表1に、実施例1〜3および比較例における、微粒子除去率、および差圧を示す。
【0051】
実施例1〜3では、SO
2の除去率に関しては比較例と同等であるが、粒子径1.0μm未満の微粒子除去率に関しては、比較例と比べて良好な結果が得られていることが確認された。特に単層の長繊維集合体を用いた実施例1でも良好な結果が得られていることから、これは、本実施形態の長繊維集合体による効果であると考えられる。また、実施例1〜3では、比較例の繊維集合体(短繊維集合体)よりも平均繊維密度が非常に高い繊維集合体(長繊維集合体)を使用しているにもかかわらず、それほどの差圧の上昇は見られていない。
【0052】
次に、表2に、実施例3〜5における、微粒子除去率、および差圧を示す。
【0054】
実施例4では、微粒子除去率に関しては、実施例3ほどではないが、比較例(表1参照)と比べると良好な結果が得られており、その一方で、差圧に関しては、実施例3と同程度の良好な結果が得られているが確認された。また、実施例5では、微粒子除去率に関しては、実施例3と同程度の良好な結果が得られているが、差圧には大幅な上昇が見られている。これは、実施例5では、長繊維集合体のかさ密度が大きくなり、保水状態が進行したためであると考えられる。したがって、実施例5と実施例3とを比較すると、この差圧の点で、実施例3がより良好である。