特許第6607767号(P6607767)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ダイヘンの特許一覧

特許6607767溶接ワイヤ送給装置およびトーチコネクション
<>
  • 特許6607767-溶接ワイヤ送給装置およびトーチコネクション 図000002
  • 特許6607767-溶接ワイヤ送給装置およびトーチコネクション 図000003
  • 特許6607767-溶接ワイヤ送給装置およびトーチコネクション 図000004
  • 特許6607767-溶接ワイヤ送給装置およびトーチコネクション 図000005
  • 特許6607767-溶接ワイヤ送給装置およびトーチコネクション 図000006
  • 特許6607767-溶接ワイヤ送給装置およびトーチコネクション 図000007
  • 特許6607767-溶接ワイヤ送給装置およびトーチコネクション 図000008
  • 特許6607767-溶接ワイヤ送給装置およびトーチコネクション 図000009
  • 特許6607767-溶接ワイヤ送給装置およびトーチコネクション 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6607767
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】溶接ワイヤ送給装置およびトーチコネクション
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/133 20060101AFI20191111BHJP
【FI】
   B23K9/133 502Z
   B23K9/133 501A
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-227221(P2015-227221)
(22)【出願日】2015年11月20日
(65)【公開番号】特開2017-94348(P2017-94348A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2018年5月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(72)【発明者】
【氏名】脇田 淳一
【審査官】 柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開特許第10−2012−0019826(KR,A)
【文献】 特開2012−071344(JP,A)
【文献】 特開昭60−033877(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
電力供給用のパワーケーブルが接続される給電ブロックを有し、上記フレームに取り付けられる固定側接続部材と、
溶接ワイヤが挿通され、上記給電ブロックに着脱可能に取り付けられる給電金具を一端側に有し、かつ他端側にコンジットケーブルが接続される、トーチ側接続部材と、
送給ロールと上記コンジットケーブルとの間に配置され、上記溶接ワイヤを上記コンジットケーブルに向けて通過させるための筒状のアウトレットガイドと、を備え、
上記固定側接続部材は、上記フレームに取り付けられるベースプレートと、上記溶接ワイヤが挿通されるガイドアダプタと、を有し、
上記アウトレットガイドは、上記送給ロール側の部位が上記ガイドアダプタに挿入され、かつ上記コンジットケーブル側の部位が上記給電金具に挿入されており、
上記固定側接続部材には、上記アウトレットガイドの軸線方向への移動を阻止するストッパが設けられており、
上記アウトレットガイドは、上記ガイドアダプタおよび上記給電金具の間における外周面に設けられた溝部を有し
上記ストッパは、上記溝部に嵌まることで上記アウトレットガイドの軸線方向への移動を阻止する係止部を有し、
上記ストッパは、上記係止部が上記溝部に嵌まる係止位置と、上記係止部が上記溝部に嵌まらずに上記アウトレットガイドの軸線方向への移動を許容する非係止位置と、の間で移動可能である、溶接ワイヤ送給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の固定側接続部材およびトーチ側接続部材を含む、トーチコネクション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接ワイヤ送給装置、トーチコネクションおよびトーチ側接続部材に関する。
【背景技術】
【0002】
消耗電極式アーク溶接において、溶接ワイヤを溶接トーチに送給するために溶接ワイヤ送給装置が使用されている(たとえば特許文献1を参照)。一般に、溶接ワイヤ送給装置のハウジングにはコンジットケーブルを接続するためのトーチコネクションが設けられており、コンジットケーブルの先端には溶接トーチが取り付けられる。特許文献1に示された溶接ワイヤ送給装置においては、ハウジング内部に設けられた送給ロールと、コンジットケーブルとの間に、アウトレットガイドが配置される。アウトレットガイドは、トーチコネクションに挿入されており、このトーチコネクションとアウトレットガイドとの間に介在する係止部材により、アウトレットガイドの軸線方向への移動が規制されている。トーチコネクションは、溶接ワイヤ送給装置のハウジングの正面パネルに取り付けられるとともにコンジットケーブルが接続される。
【0003】
従来のトーチコネクションの一例を図9に模式的に表す。同図に示すように、たとえばトーチコネクション950は、給電ブロック953、給電金具954、およびトーチ接続部955を備える。トーチ接続部955は、溶接ワイヤ送給装置における正面パネル912に取り付けられている。トーチ接続部955の基端部に給電金具954の先端部が挿通しており、その状態で給電金具954がトーチ接続部955に固定される。給電ブロック953は給電金具954の外周面に取り付けられており、給電ブロック953の給電金具締め付けねじを締め付けることによって、給電金具954の軸心方向の位置決めが行われる。給電ブロック953には、電力を供給するためのパワーケーブル(図示略)が接続される。給電金具954には、溶接ワイヤをガイドするためのアウトレットガイド940が挿入される。アウトレットガイド940は、給電金具954とアウトレットガイド940との間に介在する係止部材(図示略)によって軸線方向への移動が規制される。給電金具954の基端部は、溶接ワイヤ送給装置のフレーム913に取り付けられる。
【0004】
詳細な図示説明は省略するが、トーチ接続部955には、コンジットケーブル920の基端部に設けられた一対のトーチスイッチピンが挿入される一対のトーチスイッチピン接続口が設けられている。また、トーチ接続部955には、コンジットケーブル920の基端部に設けられたガス接続金具が挿入されるガス供給口が設けられている。また、給電金具954の先端部に、コンジットケーブル920の基端部に設けられた給電部が挿入される。トーチ接続部955に設けられるトーチスイッチピン、ガス供給口、および給電金具954の形状や位置は、溶接トーチの種類によって異なっている。
【0005】
上記したトーチコネクション950は、接続される溶接トーチの仕様に応じて、異なる種類のものが採用される。したがって、使用する溶接トーチを変更する場合、トーチコネクション950を交換する必要がある。上述した従来の溶接ワイヤ送給装置のトーチコネクション950を、仕様が異なる他のトーチコネクションと交換する場合、給電金具954を溶接ワイヤ送給装置のフレーム913から取り外したのちに、給電ブロック953の給電金具締め付けねじを緩めて、給電金具954を取り外し、トーチ接続部955と給電金具954とを交換していた。この場合、給電ブロック953は、接続されているパワーケーブルによってのみ位置決めされていて不安定な状態である。このように、上記従来のトーチコネクションにおいては、その交換作業が繁雑であり、作業性が悪かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5618360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、コンジットケーブルが接続されるトーチコネクションを備えた溶接ワイヤ送給装置に関し、トーチコネクションの交換作業性を改善するのに適した構造を提供することを主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を採用した。
【0009】
本発明の第1の側面によって提供される溶接ワイヤ送給装置は、フレームと、電力供給用のパワーケーブルが接続される給電ブロックを有し、上記フレームに取り付けられる固定側接続部材と、溶接ワイヤが挿通され、上記給電ブロックに着脱可能に取り付けられる給電金具を一端側に有し、かつ他端側にコンジットケーブルが接続される、トーチ側接続部材と、を備える。
【0010】
好ましい実施の形態においては、上記固定側接続部材は、上記フレームに取り付けられるベースプレートと、上記溶接ワイヤが挿通されるガイドアダプタと、を有する。
【0011】
好ましい実施の形態においては、送給ロールとコンジットケーブルとの間に配置され、上記溶接ワイヤを上記コンジットケーブルに向けて通過させるための筒状のアウトレットガイドを備え、上記アウトレットガイドは、上記送給ロール側の部位が上記ガイドアダプタに挿入され、かつ上記コンジットケーブル側の部位が上記給電金具に挿入されており、上記固定側接続部材には、上記アウトレットガイドの軸線方向への移動を阻止するストッパが設けられている。
【0012】
好ましい実施の形態においては、上記アウトレットガイドは、上記ガイドアダプタおよび上記給電金具の間における外周面に設けられた溝部を有し、上記ストッパは、上記溝部に嵌まることで上記アウトレットガイドの軸線方向への移動を阻止する係止部を有し、上記ストッパは、上記係止部が上記溝部に嵌まる係止位置と、上記係止部が上記溝部に嵌まらずに上記アウトレットガイドの軸線方向への移動を許容する非係止位置と、の間で移動可能である。
【0013】
本発明の第2の側面によって提供されるトーチコネクションは、本発明の第1の側面に係る溶接ワイヤ送給装置を構成する固定側接続部材およびトーチ側接続部材を含む。
【0014】
本発明の第3の側面によって提供されるトーチ側接続部材は、本発明の第1の側面に係る溶接ワイヤ送給装置を構成する部材であって、上記給電ブロックに着脱可能に取り付けられる給電金具と、当該給電金具に連結され、かつコンジットケーブルが接続されるトーチ接続部と、を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、溶接ワイヤ送給装置に接続される溶接トーチの仕様が変更されるとき、コンジットケーブルが直接接続されるトーチ側接続部材を固定側接続部材から取り外すことにより、トーチ側接続部材の交換を容易に行うことができる。
【0016】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る溶接ワイヤ送給装置とこれに接続されるコンジットケーブルとの接続構造の一例を示す概略側面図である。
図2】トーチコネクションの側面図である。
図3図2に示したトーチコネクションの正面図である。
図4図2に示したトーチコネクションの斜視図である。
図5】ストッパを示す斜視図である。
図6図4のVI−VIに沿う断面図である。
図7図4のVII−VIIに沿う断面図である。
図8】トーチ側接続部材を固定側接続部材から取り外した状態を示す図2と同様の図である。
図9】従来のトーチコネクションの概略構成を模式的に表した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施形態につき、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0019】
図1は、本発明に係る溶接ワイヤ送給装置とこれに接続されるコンジットケーブルとの接続構造の一例を示す概略側面図である。本実施形態の溶接ワイヤ送給装置100は、消耗電極式アーク溶接において、溶接ワイヤWを、コンジットケーブル200を介して溶接トーチ(図示略)に向けて送給するためのものである。溶接ワイヤ送給装置100は、送給ロール310と、これに対向する加圧ロール320とを備える。送給ロール310は、モータ(図示略)によって回転駆動される。送給ロール310と加圧ロール320との間に溶接ワイヤWが所定の加圧状態で挟まれており、当該溶接ワイヤWは、上記モータの駆動によってコンジットケーブル200側(図中右側)に送給される。加圧ロール320は、保持部材(図示略)によって、送給ロール310側へ加圧するワイヤ送給位置と、送給ロール310から離れた退避位置との間で揺動して変位可能とされている。加圧ロール320に退避位置を取らせることで、溶接ワイヤWの交換作業等を容易に行うことが可能となっている。また、加圧ロール320の保持部材には、加圧力調整機構(図示略)が設けられている。消耗電極式アーク溶接においては、溶接条件に応じて、使用する溶接ワイヤWのワイヤ径を種々変更し得る。溶接ワイヤWのワイヤ径を変更する場合には、上記加圧力調整機によって当該ワイヤ径に応じた所定の加圧状態となるように加圧力調整がなされる。
【0020】
図2図4に示すように、本実施形態の溶接ワイヤ送給装置100は、筒状のアウトレットガイド400と、コンジットケーブル200が接続されるトーチコネクション500と、を備える。アウトレットガイド400は、トーチコネクション500に挿入されており、送給ロール310とコンジットケーブル200との間に配置される。
【0021】
本実施形態において、トーチコネクション500は、ベースプレート510、ガイドアダプタ520、給電ブロック530、給電金具540、トーチ接続部550、およびストッパ560を備えて構成されている。
【0022】
ベースプレート510は、溶接ワイヤ送給装置100の内部のフレーム130にたとえばネジ止め等によって固定されており、トーチコネクション500の他の要素を支持する役割を担う。ベースプレート510は、たとえば金属板を適宜折り曲げて形成される。
【0023】
ガイドアダプタ520は、たとえばネジ止めによりベースプレート510に固定されている。図1図2に示すように、ガイドアダプタ520には、アウトレットガイド400における送給ロール310側の部位が挿入されている。
【0024】
給電ブロック530は、溶接電源から溶接トーチに供給する電力を受けるものであり、たとえばネジ止めによりベースプレート510に固定されている。図1図4に示すように、給電ブロック530には、給電用の金属プレート570が接続されており、当該金属プレート570に電力供給用のパワーケーブル(図示略)が接続されている。溶接時の電力は、上記パワーケーブルから金属プレート570を介して給電ブロック530へ供給される。給電ブロック530には、後述の給電金具540を取り付けるための取付孔531が形成されている。給電ブロック530にはまた、取付孔531に通じるスリット532が上下方向に沿って形成されており、締付ネジ533によって取付孔531の径寸法を拡大ないし縮小できるように構成されている。
【0025】
図1に示すように、トーチ接続部550は、コンジットケーブル200が接続される部分であり、溶接ワイヤ送給装置100におけるハウジング110の正面パネル120に取り付けられている。トーチ接続部550には、溶接トーチのスイッチコードやシールドガス供給用のガスホース(ともに図示略)が接続されている。
【0026】
図3に表れているように、トーチ接続部550には、一対のトーチスイッチピン接続口551,552、ガス供給口553および給電口554が設けられている。ワイヤ供給経路であるアウトレットガイド400、トーチスイッチピン接続口551,552、ガス供給口553、および給電口554の配置については、接続されるコンジットケーブル200に対応しており、当該コンジットケーブル200の仕様が異なるとこれらの配置も異なる。
【0027】
給電金具540は、筒状とされており、トーチ接続部550に挿入された状態で当該トーチ接続部550と連結されている。また、給電金具540は、給電ブロック530の取付孔531に挿入され、この挿入された状態で当該給電ブロック530の締付ネジ533を締め付けることで、給電ブロック530に取り付けられる。一方、締付ネジ533を緩めると、給電金具540は、給電ブロック530から取り外すことができる。
【0028】
図2に示すように、給電金具540は、上記のガイドアダプタ520に対し、アウトレットガイド400の軸線方向において離れた位置に配置される。給電金具540の中心軸線は、ガイドアダプタ520の中心軸線と一致する。図1図2に示すように、給電金具540には、アウトレットガイド400におけるコンジットケーブル200側の部位が挿入されている。
【0029】
アウトレットガイド400は、溶接ワイヤWをコンジットケーブル200に向けて通過させるためのものである。アウトレットガイド400の外径は、このアウトレットガイド400が挿入されるガイドアダプタ520および給電金具540の内径に応じた寸法とされている。アウトレットガイド400の内径は、使用する溶接ワイヤWのワイヤ径に応じた寸法とされる。したがって、アウトレットガイド400については、内径寸法が異なる複数種類のものが用いられる。
【0030】
上記したように、アウトレットガイド400は、送給ロール310側の部位がガイドアダプタ520に挿入され、コンジットケーブル200側の部位が給電金具540に挿入される。その一方、アウトレットガイド400において、ガイドアダプタ520に挿入される部位と給電金具540に挿入される部位との間の中間部は、露出している。そして、アウトレットガイド400における当該中間部の外周面には、溝部410が設けられている。溝部410は、他の部位よりも外径寸法が小とされている。
【0031】
ストッパ560は、アウトレットガイド400の軸線方向への移動を阻止するためのものである。本実施形態において、ストッパ560は、給電ブロック530に隣接して当該給電ブロック530に取り付けられている。より具体的には、図5に示すように、ストッパ560は、主板部561、係止部562、屈曲部563、および摘み部564を有する。主板部561は平板状である。図4に示すように、当該主板部561の適所が、給電金具540においてガイドアダプタ520側を向く面にビス565によって回動可能に取り付けられる。これにより、ストッパ560は、アウトレットガイド400の軸線方向と平行な回動軸O1周りに回動可能とされている。
【0032】
係止部562は、アウトレットガイド400の溝部410に嵌まることで当該アウトレットガイド400の軸線方向への移動を阻止するためのものである。本実施形態において、係止部562は、U字状の切り欠きによって構成されている。ストッパ560は、当該ストッパ560を回動軸O1周りに回動させることで、係止部562が溝部410に嵌まる係止位置と、係止部562が溝部410に嵌まらない非係止位置と、の間で移動可能である。図1図3図6図7は、係止部562が係止位置をとるときを示している。図4においては、ストッパ560を仮想線で表しており、係止部562が係止位置にあるときおよび非係止位置にあるときの両方を表している。
【0033】
図4に示すように、屈曲部563は、平板状の一部分がコンジットケーブル200側に突出するように折り曲げ形成されたものである。ストッパ560が非係止位置から係止位置まで回動する過程において、屈曲部563が給電ブロック530の側面に当接し、主板部561が弾性撓み変形する。そして、図7に表れているように、ストッパ560が係止位置をとるとき、屈曲部563が給電ブロック530のスリット532に進入する。このとき、ストッパ560の回動軸O1周りの回動が規制される。
【0034】
摘み部564は、主板部561から折れ曲がって起立する部分である。摘み部564は、ストッパ560を係止位置と非係止位置との間で移動させる際に、作業者が手で摘むためのものである。上記構成のストッパ560は、たとえば金属板に折り曲げ加工や打ち抜き加工を施すことにより形成される。
【0035】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0036】
消耗電極式アーク溶接において、使用する溶接トーチの種類が異なると、溶接ワイヤ送給装置100に接続されるコンジットケーブル200の仕様が異なる場合がある。この場合、使用する溶接トーチを変更する際には、溶接ワイヤ送給装置100においてコンジットケーブル200が直接接続されるトーチ接続部550(トーチコネクション500)についても、当該コンジットケーブル200の仕様に対応するものに交換する必要がある。
【0037】
本実施形態においては、ベースプレート510、ガイドアダプタ520、および給電ブロック530が一体的に固定されており、ベースプレート510がフレーム130に取り付けられている。給電金具540はトーチ接続部550に固定されており、また、給電金具540は、給電ブロック530に着脱可能に取り付けられている。
【0038】
このような構成によれば、溶接ワイヤ送給装置100につながるコンジットケーブル200の仕様が変更されるとき、給電金具540およびトーチ接続部550を交換する。ここで、図8に示すように、トーチ接続部550とともに給電金具540を給電ブロック530から取り外すことにより、トーチ接続部550の交換を容易に行うことができる。また、給電ブロック530はベースプレート510に固定されているので安定しており、給電金具540およびトーチ接続部550の交換作業が繁雑になることはない。
【0039】
なお、ベースプレート510、ガイドアダプタ520、および給電ブロック530は、本発明でいう固定側接続部材に相当し、給電金具540およびトーチ接続部550は、本発明でいうトーチ側接続部材に相当する。
【0040】
本実施形態において、固定側接続部材を構成するベースプレート510およびガイドアダプタ520について、ベースプレート510はフレーム130に取り付けられており、このベースプレート510に固定されたガイドアダプタ520に溶接ワイヤWが挿通される。このような構成の固定側接続部材によれば、フレーム130への取り付けと溶接ワイヤWのガイド機能とを適切に担うことができる。
【0041】
アウトレットガイド400は、送給ロール310側の部位がガイドアダプタ520に挿入され、コンジットケーブル200側の部位が給電金具540に挿入される。そして、給電ブロック530(固定側接続部材)には、アウトレットガイド400の軸線方向への移動を阻止するストッパ560が設けられている。ストッパ560が給電ブロック530(固定側接続部材)に設けられた構成によれば、給電金具によってアウトレットガイドが係止される場合と異なり、給電金具540およびトーチ接続部550(トーチ側接続部材)の交換に際してアウトレットガイド400は固定側接続部材に付属したままであるので、給電金具540およびトーチ接続部550(トーチ側接続部材)の交換作業性に優れる。
【0042】
アウトレットガイド400は、ガイドアダプタ520および給電金具540の間における外周面に設けられた溝部410を有する。ストッパ560は、溝部410に嵌まることでアウトレットガイド400の軸線方向への移動を阻止する係止部562を有する。そして、ストッパ560は、係止部562が溝部410に嵌まる係止位置と、係止部562が溝部410に嵌まらずにアウトレットガイド400の軸線方向への移動を許容する非係止位置と、の間で移動可能である。このような構成によれば、ストッパ560を係止位置から非係止位置に切り替えることで、アウトレットガイド400を容易に取り外すことができる。したがって、アウトレットガイド400を交換する場合においても、その交換作業性に優れる。
【0043】
ストッパ560は、アウトレットガイド400の軸線と平行な回動軸O1周りに回動可能である。このような構成によれば、ストッパ560の係止位置と非係止位置との切り替えは、当該ストッパ560を回動させるといった簡単な操作によって行うことができる。
【0044】
ストッパ560は、係止位置をとるときに回動軸O1周りの回動が規制されるロック機構(屈曲部563)を有する。このような構成によれば、ストッパ560によってアウトレットガイド400の移動を阻止する状態が不当に解除されることは防止される。この結果、アウトレットガイド400が溶接ワイヤWの送給方向側(図1における右側)に移動して送給ロール310とアウトレットガイド400の基端部との間が広がり、溶接ワイヤWが座屈する、といった不都合を防止することができる。
【0045】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲は上記した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した事項の範囲内でのあらゆる変更は、すべて本発明の範囲に包摂される。
【符号の説明】
【0046】
100 溶接ワイヤ送給装置
110 ハウジング
120 正面パネル
130 フレーム
200 コンジットケーブル
310 送給ロール
320 加圧ロール
400 アウトレットガイド
410 溝部
500 トーチコネクション
510 ベースプレート(固定側接続部材)
520 ガイドアダプタ(固定側接続部材)
530 給電ブロック(固定側接続部材)
531 取付孔
532 スリット
533 締付ネジ
540 給電金具(トーチ側接続部材)
550 トーチ接続部(トーチ側接続部材)
551,552 トーチスイッチピン接続口
553 ガス供給口
554 給電口
560 ストッパ
561 主板部
562 係止部
563 屈曲部(ロック機構)
564 摘み部
565 ビス
570 金属プレート
O1 回動軸
W 溶接ワイヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9