(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0013】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0014】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことはいうまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0015】
以下、代表的な実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0016】
さらに、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見やすくするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見やすくするためにハッチングを付す場合もある。
【0017】
また、断面図および平面図において、各部位の大きさは実デバイスと対応するものではなく、図面を分かりやすくするため、特定の部位を相対的に大きく表示する場合がある。また、平面図と断面図が対応する場合においても、各部位の大きさを変えて表示する場合がある。
【0018】
なお、以下の実施の形態においてA〜Bとして範囲を示す場合には、特に明示した場合を除き、A以上B以下を示すものとする。
【0019】
(実施の形態1)
以下、図面を参照しながら本実施の形態1の半導体装置の構造および製造工程について詳細に説明する。本実施の形態1では、半導体装置が、CMOSイメージセンサを備えている例について説明する。
【0020】
<半導体装置の構成>
図1は、実施の形態1の半導体装置の構成例を示す回路ブロック図である。
図2は、画素の構成例を示す回路図である。なお、
図1では、アレイ状に配置された4行4列の16個の画素を示すが、実際にカメラなどの電子機器に使用される画素数は数百万のものがある。
【0021】
図1に示す画素領域1Aには、複数の画素PUがアレイ状に配置され、その周囲には、垂直走査回路102や水平走査回路105などの駆動回路が配置されている。すなわち、本実施の形態1の半導体装置は、画素PUがアレイ状に複数配置された画素アレイを有する。
【0022】
各画素PUは、選択線SLおよび出力線OLの交点に配置されている。選択線SLは垂直走査回路102と接続され、出力線OLはそれぞれ列回路103と接続されている。列回路103はスイッチSwを介して出力アンプ104と接続されている。各スイッチSwは水平走査回路105と接続され、水平走査回路105により制御される。
【0023】
例えば、垂直走査回路102および水平走査回路105により選択された画素PUから読み出された電気信号は、出力線OLおよび出力アンプ104を介して出力される。
【0024】
画素PUは、例えば、
図2に示すように、フォトダイオードPDと、4つのMOSFETとを備えている。これらのMOSFETは、nチャネル型であり、RSTはリセットトランジスタ、TXは転送トランジスタ、SELは選択トランジスタ、AMIは増幅トランジスタである。転送トランジスタTXは、フォトダイオードPDにより生成された電荷を転送する。なお、これらのトランジスタの他に、他のトランジスタや容量素子などの素子が組み込まれることもある。また、これらのトランジスタの接続形態として、種々の変形例を用いることが可能である。そして、MOSFETは、Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistorの略であり、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)と示されることもある。さらに、FET(Field Effect Transistor)は、電界効果トランジスタの略である。
【0025】
なお、
図1に示す例では、2行2列の4個の画素PUをそれぞれ含む複数の画素群がアレイ状に配置されており、複数の画素群の各々は、1個の赤(R)の画素PU、2個の緑(G)の画素PU、および、1個の青(B)の画素PUを含む。このように1個の赤(R)の画素PU、2個の緑(G)の画素PU、および、1個の青(B)の画素PUを含む4個の画素PUが2行2列に配列されたものを、ベイヤ(Bayer)配列と称する。
【0026】
図2に示す回路例においては、画素PUにおいて、接地電位GNDとノードn1との間にフォトダイオードPDと転送トランジスタTXとが直列に接続されている。ノードn1と電源電位VDDとの間にはリセットトランジスタRSTが接続されている。電源電位VDDは、電源電位線の電位である。電源電位VDDと出力線OLとの間には、選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMIが直列に接続されている。この増幅トランジスタAMIのゲート電極はノードn1に接続されている。また、リセットトランジスタRSTのゲート電極はリセット線LRSTに接続されている。そして、選択トランジスタSELのゲート電極は選択線SLと接続され、転送トランジスタTXのゲート電極は転送線LTXと接続されている。
【0027】
フォトダイオードPDは、光電変換により電荷を生成する。転送トランジスタTXは、フォトダイオードPDにより生成された電荷を転送する。増幅トランジスタAMIは、転送トランジスタTXにより転送された電荷に応じて信号を増幅する。選択トランジスタSELは、フォトダイオードPDおよび転送トランジスタTXが含まれた画素PUを選択する。言い換えれば、選択トランジスタSELは、増幅トランジスタAMIを選択する。リセットトランジスタRSTは、フォトダイオードPDの電荷を消去する。
【0028】
例えば、転送線LTXおよびリセット線LRSTを立ち上げてHレベルとし、転送トランジスタTXおよびリセットトランジスタRSTをオン状態とする。この結果、フォトダイオードPDの電荷が抜かれて空乏化される。その後、転送トランジスタTXをオフ状態とする。
【0029】
この後、例えば、カメラなどの電子機器の例えばメカニカルシャッターなどのシャッターを開くと、シャッターが開いている間、フォトダイオードPDにおいて、入射光によって電荷が発生し、蓄積される。つまり、フォトダイオードPDは、入射光を受光して電荷を生成する。言い換えれば、フォトダイオードPDは、入射光を受光して電荷に変換する。
【0030】
次いで、シャッターを閉じた後、リセット線LRSTを立ち下げてLレベルとし、リセットトランジスタRSTをオフ状態とする。さらに、選択線SLおよび転送線LTXを立ち上げてHレベルとし、選択トランジスタSELおよび転送トランジスタTXをオン状態とする。これにより、フォトダイオードPDにより生成された電荷が転送トランジスタTXのノードn1側の端部(後述する
図3に示すフローティングディフュージョンFD)に転送される。このとき、フローティングディフュージョンFDの信号、すなわち電位は、フォトダイオードPDから転送された電荷に応じた値に変化し、この信号の値が、増幅トランジスタAMIにより増幅され出力線OLに表れる。この出力線OLの信号、すなわち電位が、電気信号(受光信号)となり、列回路103およびスイッチSwを介して出力アンプ104から出力信号として読み出される。
【0031】
図3は、実施の形態1の半導体装置の構成を示す平面図である。
【0032】
図3に示すように、本実施の形態1の半導体装置の画素PUは、フォトダイオードPDと転送トランジスタTXとが配置されている活性領域AcTPと、リセットトランジスタRSTが配置されている活性領域AcRとを有する。さらに、画素PUは、選択トランジスタSELと増幅トランジスタAMIとが配置されている活性領域AcASと、接地電位GND(
図2参照)と接続されているプラグPgが配置されている活性領域AcGとを有する。
【0033】
活性領域AcRには、ゲート電極Grが配置され、その両側のソース・ドレイン領域上にはプラグPr1およびPr2が配置されている。このゲート電極Grとソース・ドレイン領域とによりリセットトランジスタRSTが構成される。
【0034】
活性領域AcTPには、ゲート電極Gtが配置され、平面視において、ゲート電極Gtの両側のうちの一方には、フォトダイオードPDが配置されている。また、平面視において、ゲート電極Gtの両側のうちの他方には、電荷蓄積部または浮遊拡散層としての機能を有する、フローティングディフュージョンFDが配置されている。フォトダイオードPDは、pn接合ダイオードであり、例えば、複数のn型またはp型の不純物領域、すなわち半導体領域より構成される。また、フローティングディフュージョンFDは、例えば、n型の不純物領域、すなわち半導体領域で構成される。このフローティングディフュージョンFD上には、プラグPfdが配置されている。
【0035】
なお、本願明細書では、平面視において、とは、半導体基板1Sの主面1a(後述する
図5参照)に垂直な方向から視た場合を意味する。
【0036】
活性領域AcASには、ゲート電極Gaおよびゲート電極Gsが配置され、活性領域AcASのゲート電極Ga側の端部にはプラグPaが配置され、活性領域AcASのゲート電極Gs側の端部にはプラグPsが配置されている。ゲート電極Gaおよびゲート電極Gsの両側は、ソース・ドレイン領域であり、このゲート電極Gaおよびゲート電極Gsとソース・ドレイン領域とにより、直列に接続された選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMIが構成されている。
【0037】
活性領域AcGの上部にはプラグPgが配置されている。このプラグPgは、接地電位GND(
図2参照)と接続される。よって、活性領域AcGは、半導体基板のウェル領域に、接地電位GNDを印加するための給電領域である。
【0038】
上記プラグPr1、プラグPr2、プラグPg、プラグPfd、プラグPaおよびプラグPsを、複数の配線層(例えば、後述する
図5に示す配線M1〜M3)により接続する。また、ゲート電極Gr、ゲート電極Gt、ゲート電極Gaおよびゲート電極Gsのそれぞれの上のプラグPrg、プラグPtg、プラグPagおよびプラグPsgを、複数の配線層(例えば、後述する
図5に示す配線M1〜M3)により接続する。これにより、
図1に示す回路を構成することができる。
【0039】
なお、画素領域1A(
図1参照)の周辺には、周辺回路領域(図示は省略)が設けられていてもよく、周辺回路領域には、ロジックトランジスタが配置されていてもよい。ロジックトランジスタは、電子をキャリアとするN型MOSFET(NMOSFET)および正孔をキャリアとするP型MOSFETで構成されている。周辺回路領域では、活性領域に、ゲート電極が配置され、ゲート電極の両側であって、当該活性領域の内部には、ソース・ドレイン領域が形成されている。また、ソース・ドレイン領域上には、プラグが配置されている。
【0040】
<画素領域の素子構造>
次いで、画素領域の素子構造を説明する。
図4は、実施の形態1の半導体装置の構成を示す平面図である。
図5および
図6は、実施の形態1の半導体装置の構成を示す断面図である。
図5および
図6は、
図4のA−A断面に対応している。なお、
図4および
図5は、画素領域1A(
図1参照)の素子構造を、図示している(以下の半導体装置の構成を示す断面図においても同様)。また、
図6では、
図5のうち、フォトダイオードPDおよび転送トランジスタTXよりも上方の部分、および、p型ウェルPW1よりも下方の部分の図示を省略している。
【0041】
図5および
図6に示すように、本実施の形態1の半導体装置は、半導体基板1Sと、半導体基板1Sの主面1a側の一部の領域である画素領域1Aに形成された半導体領域である活性領域AcTPと、を有する。活性領域AcTPには、画素PUが形成されている。すなわち、本実施の形態1の半導体装置は、画素PUを有する。画素PUは、光電変換素子としてのフォトダイオードPDを有する。
【0042】
また、画素PUは、p型ウェルPW1と、n
−型半導体領域NW1と、ゲート電極Gtと、n型半導体領域NW2と、p
−型半導体領域PW2と、n型の高濃度半導体領域NRと、を有する。
【0043】
図5および
図6に示すように、半導体基板1Sの主面1a側の一部の領域である画素領域1Aの活性領域AcTPには、p型ウェルPW1、n
−型半導体領域NW1、p
−型半導体領域PW2およびn型半導体領域NW2を含むフォトダイオードPDと、転送トランジスタTXとが形成されている。なお、
図5および
図6では図示を省略するが、画素領域1Aの活性領域には、
図2を用いて説明した、増幅トランジスタAMI、選択トランジスタSELおよびリセットトランジスタRSTが形成されていてもよい。また、
図5および
図6では図示は省略するが、半導体基板1Sの主面1a側の他の領域である周辺回路領域の活性領域には、ロジックトランジスタとしてのトランジスタが形成されていてもよい。
【0044】
半導体基板1Sは、例えばリン(P)やヒ素(As)などのn型の不純物(ドナー)を含有する単結晶シリコンである。活性領域AcTPの外周には素子分離領域IRが配置されている。このように、素子分離領域IRで囲まれた半導体基板1Sの露出領域が、活性領域AcTP等の活性領域となる。
【0045】
画素領域1Aの活性領域AcTPには、例えばホウ素(B)などのp型の不純物が導入された半導体領域としてのp型ウェルPW1が形成されている。p型ウェルPW1は、半導体基板1Sの主面1a側に形成、すなわち配置されている。p型ウェルPW1の導電型はp型であり、半導体基板1Sの導電型であるn型とは反対の導電型である。
【0046】
なお、導電型がp型であるとは、その半導体における多数キャリアが正孔であることを意味し、導電型がn型であるとは、その半導体における多数キャリアが電子であることを意味する。
【0047】
p型ウェルPW1の内部の部分PTWには、例えばリン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物が導入されたn
−型半導体領域NW1が、主面1aから離れて形成されている。すなわち、n
−型半導体領域NW1は、p型ウェルPW1に内包されている。n
−型半導体領域NW1の導電型はn型である。
【0048】
p型ウェルPW1のうち平面視においてn
−型半導体領域NW1よりも第1の側(
図5中右側)に位置する部分PT1(
図6参照)上には、ゲート絶縁膜GOXを介してゲート電極Gtが形成、すなわち配置されている。また、部分PT1は、p型ウェルPW1のうち平面視においてn
−型半導体領域NW1よりもゲート電極Gtのゲート長方向における第1の側(
図5中右側)に位置する。ゲート絶縁膜GOXは、例えば酸化シリコン膜からなり、ゲート電極Gtは、例えば多結晶シリコン膜(ポリシリコン膜)からなる。
【0049】
p型ウェルPW1のうちn
−型半導体領域NW1よりも主面1a側に位置する部分PT2には、例えばリン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物が導入されたn型半導体領域NW2が形成されている。すなわち、n型半導体領域NW2は、p型ウェルPW1に内包され、かつ、n
−型半導体領域NW1よりも主面1a側に配置されている。n型半導体領域NW2の導電型はn型である。
【0050】
n
−型半導体領域NW1における、n型の不純物濃度からp型の不純物濃度を差し引いた正味の不純物濃度は、n型半導体領域NW2における、n型の不純物濃度からp型の不純物濃度を差し引いた正味の不純物濃度よりも低い。これにより、n
−型半導体領域NW1を容易に空乏化させることができる。
【0051】
具体的には、n
−型半導体領域NW1における、n型の不純物濃度からp型の不純物濃度を差し引いた正味の不純物濃度を、例えば1×10
15〜1×10
16cm
−3程度とすることができる。また、n型半導体領域NW2における、n型の不純物濃度からp型の不純物濃度を差し引いた正味の不純物濃度を、例えば1×10
16〜1×10
17cm
−3程度とすることができる。
【0052】
p型ウェルPW1のうちn
−型半導体領域NW1とn型半導体領域NW2との間に位置する部分PT3には、p
−型半導体領域PW2が形成されている。すなわち、p
−型半導体領域PW2は、n
−型半導体領域NW1とn型半導体領域NW2との間に配置されている。p
−型半導体領域PW2の導電型はp型である。p
−型半導体領域PW2の主面1a側と反対側は、n
−型半導体領域NW1と接触し、p
−型半導体領域PW2の主面1a側は、n型半導体領域NW2と接触している。
【0053】
p
−型半導体領域PW2における、p型の不純物濃度からn型の不純物濃度を差し引いた正味の不純物濃度は、p型ウェルPW1における、p型の不純物濃度からn型の不純物濃度を差し引いた正味の不純物濃度よりも低い。これにより、p型ウェルPW1を空乏化しにくくし、p
−型半導体領域PW2を空乏化しやすくすることができる。また、前述したように、n
−型半導体領域NW1における正味の不純物濃度がn型半導体領域NW2における正味の不純物濃度よりも低いため、深さ方向において、p
−型半導体領域PW2からn
−型半導体領域NW1にかけて連続的に空乏化させることができる。
【0054】
具体的には、p型ウェルPW1における、p型の不純物濃度からn型の不純物濃度を差し引いた正味の不純物濃度を、例えば1×10
16〜1×10
17cm
−3程度とすることができる。また、p
−型半導体領域PW2における、p型の不純物濃度からn型の不純物濃度を差し引いた正味の不純物濃度を、例えば1×10
15〜1×10
16cm
−3程度とすることができる。
【0055】
p型ウェルPW1のうち平面視においてゲート電極Gtを挟んでn
−型半導体領域NW1と反対側に位置する部分PT4(
図6参照)には、例えば、リン(P)やヒ素(As)などのn型の不純物が導入されたn型の高濃度半導体領域NRが形成、すなわち配置されている。好適には、n型の高濃度半導体領域NRは、部分PT4の上層部に形成、すなわち配置されている。n型の高濃度半導体領域NRにおけるn型の不純物濃度は、n型半導体領域NW2におけるn型の不純物濃度よりも高い。
【0056】
p型ウェルPW1と、n
−型半導体領域NW1と、n型半導体領域NW2と、p
−型半導体領域PW2とにより、フォトダイオードPDが形成されている。フォトダイオードPDは、p型ウェルPW1のうち、ゲート電極Gtよりも第1の側と反対側(
図5中左側)に位置する部分PTP(
図6参照)に、形成されている。
【0057】
また、ゲート電極Gtと、n型の高濃度半導体領域NRとにより、フォトダイオードPDで生成された電荷を転送する転送トランジスタTXが形成されている。すなわち、ゲート電極Gtは、転送トランジスタTXのゲート電極である。また、n型の高濃度半導体領域NRは、転送トランジスタTXのドレイン領域であり、電荷蓄積部または浮遊拡散層としての機能を有するフローティングディフュージョンFDとしての半導体領域でもある。
【0058】
すなわち、本実施の形態1の半導体装置では、画素PUは、p型ウェルPW1と、ゲート電極Gtと、n
−型半導体領域NW1と、n型半導体領域NW2と、p
−型半導体領域PW2と、n型の高濃度半導体領域NRと、を有する。
【0059】
n型半導体領域NW2の主面1a側には、p
+型半導体領域PRが形成されていてもよい。p
+型半導体領域PRにおけるp型の不純物濃度は、p型ウェルPW1のうちp
+型半導体領域PRが形成された部分以外の部分におけるp型の不純物濃度よりも高い。このp
+型半導体領域PRは、半導体基板1Sの表面に多数形成されている界面準位に基づく電子の発生を抑制する目的で形成される。すなわち、半導体基板1Sの表面領域では、界面準位の影響により、光が照射されていない状態でも電子が発生し、暗電流の増加を引き起こす場合がある。このため、電子を多数キャリアとするn型半導体領域NW2の表面に、正孔を多数キャリアとするp
+型半導体領域PRを形成することにより、光が照射されていない状態での電子の発生を抑制でき、暗電流の増加を抑制することができる。
【0060】
このとき、p型ウェルPW1と、n
−型半導体領域NW1と、n型半導体領域NW2と、p
−型半導体領域PW2と、p
+型半導体領域PRとにより、フォトダイオードPDが形成されている。また、p型ウェルPW1のうち、n
−型半導体領域NW1と、n型半導体領域NW2と、p
−型半導体領域PW2と、p
+型半導体領域PRと、が形成された部分が、部分PTPである。
【0061】
なお、図示は省略するが、画素領域1Aには、画素PUを囲むように、p
+型半導体領域が形成されていてもよい。p
+型半導体領域は、p型ウェルPW1のうち、例えば素子分離領域IR下に位置する部分に形成することができる。p
+型半導体領域におけるp型の不純物濃度は、p型ウェルPW1のうちp
+型半導体領域が形成された部分以外の部分におけるp型の不純物濃度よりも高い。これにより、ある画素PUに入射光が入射されて光電変換により発生した電荷が、その画素PUと隣り合う別の画素PUの転送トランジスタTXにより転送されること、すなわち隣り合う画素PU同士のクロストークを抑制することができる。
【0062】
フォトダイオードPDの表面、すなわちn型半導体領域NW2およびp
+型半導体領域PRの各々の表面には、例えば、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜からなるオフセットスペーサOSが形成されている。このオフセットスペーサOSは、半導体基板1Sの表面特性、すなわち界面特性を良好に保つために形成される。このオフセットスペーサOS上には、酸化シリコン膜からなる反射防止膜ARFが形成されている。すなわち、反射防止膜ARFは、n型半導体領域NW2およびp
+型半導体領域PRの各々の上に、オフセットスペーサOSを介して形成されている。反射防止膜ARFおよびオフセットスペーサOSの一部(端部)は、ゲート電極Gt上に乗り上げている。
【0063】
また、ゲート電極Gtのn型の高濃度半導体領域NR側、すなわちゲート電極GtのフォトダイオードPD側と反対側の側壁上には、オフセットスペーサOSを介してサイドウォールスペーサSWSが形成されている。
【0064】
図5に示すように、画素領域1Aでは、ゲート電極Gtおよび反射防止膜ARF上を含めて半導体基板1Sを覆うように、層間絶縁膜IL1が形成されており、この層間絶縁膜IL1を貫通して、フローティングディフュージョンFDとしてのn型の高濃度半導体領域NRに達するプラグPfdが形成されている。すなわち、画素領域1Aでは、半導体基板1Sの主面1a上に、反射防止膜ARFおよびオフセットスペーサOSを介してフォトダイオードPDを覆うように、層間絶縁膜IL1が形成されている。
【0065】
層間絶縁膜IL1は、例えば、TEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate)を原料とした酸化シリコン膜からなる。そして、層間絶縁膜IL1には、コンタクトホールCHtが形成されている。コンタクトホールCHtには、例えば、チタン膜およびチタン膜上に形成された窒化チタン膜からなるバリア導体膜と、バリア導体膜上に形成されたタングステン膜からなる主導体膜とが、埋め込まれている。これにより、プラグPfdが形成されている。
【0066】
なお、
図5および
図6に表れないプラグも層間絶縁膜IL1中に形成されている。また、
図5および
図6には表れないが、リセットトランジスタRST、選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMIも、p型ウェルPW1上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、ゲート電極の両側のp型ウェルPW1中に形成されたソース・ドレイン領域を有する(
図2参照)。選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMIは直列に接続されているため、一方のソース・ドレイン領域を共有している(
図2参照)。
【0067】
そして、画素領域1Aで、層間絶縁膜IL1上には、例えば、層間絶縁膜IL2が形成されており、この層間絶縁膜IL2に配線M1が形成されている。層間絶縁膜IL2は、例えば酸化シリコン膜から形成されるが、これに限定されるものではなく、酸化シリコン膜よりも誘電率の低い低誘電率膜から形成することもできる。低誘電率膜としては、例えば炭素含有酸化ケイ素(SiOC)膜を挙げることができる。また、配線M1は、例えば銅(Cu)配線から形成されており、ダマシン法を使用することにより形成することができる。なお、配線M1は、銅配線に限定されるものではなく、アルミニウム(Al)配線から形成することもできる。
【0068】
配線M1が形成された層間絶縁膜IL2上には、例えば、酸化シリコン膜や低誘電率膜からなる層間絶縁膜IL3が形成されており、この層間絶縁膜IL3内に配線M2が形成されている。また、配線M2が形成された層間絶縁膜IL3上には、層間絶縁膜IL4が形成されており、この層間絶縁膜IL4内に配線M3が形成されている。配線M1〜M3により、配線層が形成されている。
【0069】
画素領域1Aでは、配線M1〜M3は、フォトダイオードPDと平面的に重ならないように形成されている。これは、フォトダイオードPDに入射される光が配線M1〜M3によって遮られないようにするためである。
【0070】
画素領域1Aで、層間絶縁膜IL4上には、カラーフィルタ層CFが形成されている。カラーフィルタ層CFは、例えば赤(R)、緑(G)または青(B)などの特定の色の光を透過させ、その他の色の光を透過させない膜である。なお、カラーフィルタ層CFと層間絶縁膜IL4との間に、例えば酸化シリコン膜からなる透過膜TF1が形成されていてもよい。
【0071】
さらに、画素領域1Aで、カラーフィルタ層CF上には、フォトダイオードPDと平面視において重なるように、オンチップレンズとしてのマイクロレンズMLが取り付けられている。
【0072】
図5において、光が画素PUに照射されると、まず、入射光は、マイクロレンズMLを通過する。その後、可視光に対して透明な層間絶縁膜IL4〜IL1を通過した後、反射防止膜ARFに入射する。反射防止膜ARFでは、入射光の反射が抑制されて充分な光量の入射光がフォトダイオードPDに入射する。
【0073】
フォトダイオードPDでは、入射光のエネルギーがシリコンのバンドギャップよりも大きいため、光電変換により入射光が吸収されて正孔電子対が生成される。このとき生成された電子は、n型半導体領域NW2に蓄積される。なお、生成された電子は、n
−型半導体領域NW1にも蓄積されるが、その詳細は、後述する
図12を用いて説明する。
【0074】
そして、適切なタイミングで、転送トランジスタTXをオンする。具体的には、転送トランジスタTXのゲート電極Gtに、しきい値電圧以上の電圧を印加する。すると、p型ウェルPW1のうち、ゲート電極Gt下の部分に、チャネル領域が形成され、転送トランジスタTXのソース領域であるn型半導体領域NW2と、転送トランジスタTXのドレイン領域であるn型の高濃度半導体領域NRとが、電気的に導通することになる。この結果、n型半導体領域NW2に蓄積された電子は、チャネル領域を通ってドレイン領域に達し、ドレイン領域から配線層を伝わって外部回路に取り出される。
【0075】
<深さ方向のポテンシャルエネルギーの分布について>
次いで、フォトダイオード中の深さ方向のポテンシャルエネルギーの分布について、比較例の半導体装置を参照しながら説明する。
図7は、比較例の半導体装置の構成を示す断面図である。
図7では、
図6と同様に、フォトダイオードPDおよび転送トランジスタTXよりも上方の部分、および、p型ウェルPW1よりも下方の部分の図示を省略している。
【0076】
なお、本願明細書において、深さ方向とは、半導体基板1Sの主面1aに垂直な方向を意味する。
【0077】
図8は、比較例の半導体装置のフォトダイオード中の深さ方向の正味の不純物濃度の分布を説明するための図である。
図9は、比較例の半導体装置のフォトダイオード中の深さ方向のポテンシャルエネルギーの分布を説明するための図である。
図8は、
図7に示した断面図に加え、比較例の半導体装置のフォトダイオード中の深さ方向の正味の不純物濃度の分布を模式的に表すグラフを示している。
図9は、
図7に示した断面図に加え、比較例の半導体装置のフォトダイオード中の深さ方向のポテンシャルエネルギーの分布を模式的に表すグラフを示している。なお、
図9の模式的なグラフに示すポテンシャルエネルギーの分布は、伝導帯のエネルギー分布を意味する。また、
図9では、フォトダイオードPDのうちn型半導体領域NW2およびn
−型半導体領域NW1の一部におけるポテンシャルエネルギーの分布を示している。
【0078】
図7に示すように、比較例の半導体装置は、n
−型半導体領域NW1と、n型半導体領域NW2との間に、p
−型半導体領域PW2(
図6参照)が形成されていない点で、実施の形態1の半導体装置と異なる。すなわち、比較例の半導体装置では、画素PUは、p型ウェルPW1と、ゲート電極Gtと、n
−型半導体領域NW1と、n型半導体領域NW2と、n型の高濃度半導体領域NRと、を有するが、p
−型半導体領域PW2(
図6参照)を有しない。したがって、n
−型半導体領域NW1は、n型半導体領域NW2と接触している。また、p型ウェルPW1と、n
−型半導体領域NW1と、n型半導体領域NW2とにより、フォトダイオードPDが形成されている。それ以外の点については、比較例の半導体装置は、実施の形態1の半導体装置と同様である。
【0079】
図7に示すように、比較例の半導体装置では、n
−型半導体領域NW1は、n型半導体領域NW2下、すなわちn型半導体領域NW2を挟んで主面1aと反対側に形成されている。すなわち、比較例の半導体装置では、実施の形態1の半導体装置と同様ではあるが、n
−型半導体領域NW1が形成されていない場合に比べ、フォトダイオードPDが、p型ウェルPW1のうち半導体基板1Sの主面1aから深い位置まで形成されている。
【0080】
赤(R)、緑(G)および青(B)の各々の入射光のうち、赤(R)の入射光が半導体基板1Sの主面1aから深さ方向に到達する距離は、赤(R)の入射光の波長よりも短い波長を有する緑(G)の入射光が半導体基板1Sの主面1aから深さ方向に到達する距離よりも長い。また、緑(G)の入射光が半導体基板1Sの主面1aから深さ方向に到達する距離は、緑(G)の入射光の波長よりも短い波長を有する青(B)の入射光が半導体基板1Sの主面1aから深さ方向に到達する距離よりも長い。そのため、特に、赤(R)の画素PUにおいては、p型ウェルPW1のうち主面1aから遠く離れた部分に入射光が入射されるため、n型半導体領域NW2下にn
−型半導体領域NW1を形成することにより、フォトダイオードPDに入射光が吸収されて光電変換により電子が発生する効率、いわゆる内部量子効率を増加させることができる。
【0081】
ところが、n型半導体領域NW2下にn
−型半導体領域NW1が形成されている場合、n型半導体領域NW2下にn
−型半導体領域NW1が形成されない場合に比べ、フォトダイオードPDで発生する電荷としての電子のうち転送トランジスタTXで転送される効率、すなわち電荷転送効率が減少しやすい。これは、画素PUにおいて、MOS(Metal-Oxide-Semiconductor)構造を有する転送トランジスタTXがフォトダイオードPDで発生した電荷を転送するものであるためである。すなわち、ゲート電極Gtに電圧を印加することにより転送トランジスタTXを流れる電流量が制御される部分が、p型ウェルPW1のうちゲート電極Gt近傍に限られているためである。そのため、電荷転送効率を増加させるためには、フォトダイオードPDが、p型ウェルPW1のうち半導体基板1Sの主面1aに近い部分にしか形成されないことが望ましい。
【0082】
ここで、入射光の波長が長くても内部量子効率を確保しつつ電荷転送効率を増加させるため、n
−型半導体領域NW1における、n型の不純物濃度からp型の不純物濃度を差し引いた正味の不純物濃度を、n型半導体領域NW2における、n型の不純物濃度からp型の不純物濃度を差し引いた正味の不純物濃度よりも低くすることが考えられる。
図8の模式的なグラフに示すように、比較例の半導体装置では、n
−型半導体領域NW1における正味の不純物濃度は、n型半導体領域NW2における正味の不純物濃度よりも低い。なお、
図8の模式的なグラフでは、p
+型半導体領域PRにおける正味の不純物濃度が、p型ウェルPW1における正味の不純物濃度よりも高いことを示している。
【0083】
なお、本願明細書では、2つの半導体領域における不純物濃度を比較する場合、当該2つの半導体領域の各々における深さ方向での不純物濃度の平均値同士を比較することができる。あるいは、2つの半導体領域の各々における深さ方向での不純物濃度の最大値同士の大小関係が、当該2つの半導体領域の各々における深さ方向での不純物濃度の平均値同士の大小関係と同一の大小関係である場合には、当該2つの半導体領域の各々における深さ方向での不純物濃度の最大値同士を比較することができる。
【0084】
ところが、n
−型半導体領域NW1における正味の不純物濃度が、n型半導体領域NW2における正味の不純物濃度よりも低く、かつ、n
−型半導体領域NW1がn型半導体領域NW2に接触している場合、n型半導体領域NW2における深さ方向のポテンシャルエネルギーの分布が、n
−型半導体領域NW1が形成されない場合に比べて変調される。そして、
図9の模式的なグラフに示すように、比較例の半導体装置では、ポテンシャルエネルギーが最も低くなる深さ位置DP1が、n
−型半導体領域NW1が形成されない場合に比べ、n型半導体領域NW2の深さ方向の中心位置DP2よりも深くなる。そして、ポテンシャルエネルギーが最も低くなる深さ位置DP1は、n
−型半導体領域NW1が形成されない場合に比べ、n
−型半導体領域NW1に近づく。また、深さ位置DP1におけるポテンシャルエネルギーが、n
−型半導体領域NW1が形成されない場合に比べ、低くなる。そのため、比較例の半導体装置では、n
−型半導体領域NW1が形成されない場合に比べ、n型半導体領域NW2からフローティングディフュージョンFDへの電荷転送効率が減少する。
【0085】
すなわち、比較例の半導体装置は、p型ウェルPW1の内部に形成されたn
−型半導体領域NW1と、n
−型半導体領域NW1よりも主面1a側に形成されたn型半導体領域NW2と、を有するが、n型半導体領域NW2とn
−型半導体領域NW1との間にp
−型半導体領域PW2(
図6参照)が形成されていない。言い換えれば、比較例の半導体装置では、フォトダイオードPDが、p型ウェルPW1と、p型ウェルPW1の内部に形成されたn型半導体領域NW2と、n型半導体領域NW2の下に形成されたn
−型半導体領域NW1と、を有するが、n型半導体領域NW2とn
−型半導体領域NW1との間にp
−型半導体領域PW2が形成されていない。また、前述したように、n
−型半導体領域NW1における正味の不純物濃度は、n型半導体領域NW2における正味の不純物濃度よりも低い。
【0086】
このような比較例の半導体装置では、深さ方向のポテンシャルエネルギーの分布が変調され、ポテンシャルエネルギーが最も低くなる深さ位置DP1が、n型半導体領域NW2の深さ方向の中心位置DP2よりも深くなる。そのため、比較例の半導体装置では、p型ウェルPW1のうち主面1aから遠く離れた部分に入射光が入射される場合、内部量子効率を確保しつつ電荷転送効率を増加させることができず、光電変換素子を備えた半導体装置の性能が低下する。
【0087】
ここで、n
−型半導体領域NW1とn型半導体領域NW2とがp型ウェルPW1により分断され、p型ウェルPW1のうちn
−型半導体領域NW1とn型半導体領域NW2との間の部分における正味の不純物濃度が、p型ウェルPW1のうちそれ以外の部分における正味の不純物濃度と略等しい場合を考える。このような場合、深さ方向のポテンシャルエネルギーの分布は、p型ウェルPW1のうちn
−型半導体領域NW1とn型半導体領域NW2との間の部分にポテンシャル障壁を有し、そのポテンシャル障壁の高さは高い。そのため、転送トランジスタTXのゲート電極Gtに正の電圧を印加した場合でも、n
−型半導体領域NW1中の電荷をn型半導体領域NW2中まで移動させることができず、n
−型半導体領域NW1中に電荷が残ることになる。
【0088】
あるいは、入射光がカラーフィルタ層を透過して検出感度が低下することを防止するため、単一画素内で、互いに異なる波長を有する入射光が吸収されて光電変換により電荷を発生させる複数のフォトダイオードが深さ方向に積層される場合を考える。このような場合、p型ウェルのうち半導体基板の主面から遠く離れた部分に入射光が入射される際の内部量子効率を増加させることはできる。しかし、このような場合、ある波長を有する入射光が、その画素内に積層された複数のフォトダイオードの各々で電荷を発生させ、混色が発生することにより、実効的な検出感度が減少する。
【0089】
<本実施の形態の主要な特徴と効果>
一方、本実施の形態1の半導体装置は、p型ウェルPW1の内部に形成されたn
−型半導体領域NW1と、n
−型半導体領域NW1よりも主面1a側に形成されたn型半導体領域NW2と、n
−型半導体領域NW1とn型半導体領域NW2との間に形成されたp
−型半導体領域PW2と、を有する。言い換えれば、本実施の形態1の半導体装置では、フォトダイオードPDが、p型ウェルPW1の内部に形成されたn
−型半導体領域NW1と、n
−型半導体領域NW1よりも主面1a側に形成されたn型半導体領域NW2と、n
−型半導体領域NW1とn型半導体領域NW2との間に形成されたp
−型半導体領域PW2と、を有する。n
−型半導体領域NW1における正味の不純物濃度は、n型半導体領域NW2における正味の不純物濃度よりも低く、p
−型半導体領域PW2における正味の不純物濃度は、p型ウェルPW1における正味の不純物濃度よりも低い。
【0090】
図10は、実施の形態1の半導体装置のフォトダイオード中の深さ方向の正味の不純物濃度の分布を説明するための図である。
図11は、実施の形態1の半導体装置のフォトダイオード中の深さ方向のp型およびn型の不純物濃度の分布を説明するための図である。
図12は、実施の形態1の半導体装置のフォトダイオード中の深さ方向のポテンシャルエネルギーの分布を説明するための図である。
図10は、
図6に示した断面図に加え、実施の形態1の半導体装置のフォトダイオード中の深さ方向の正味の不純物濃度の分布を模式的に表すグラフを示している。
図11は、
図6に示した断面図に加え、実施の形態1の半導体装置のフォトダイオード中の深さ方向のp型およびn型の不純物濃度の分布を模式的に表すグラフを示している。
図12は、
図6に示した断面図に加え、実施の形態1の半導体装置のフォトダイオード中の深さ方向のポテンシャルエネルギーの分布を模式的に表すグラフを示している。なお、
図12の模式的なグラフに示すポテンシャルエネルギーの分布は、伝導帯のエネルギー分布を意味する。また、
図12では、フォトダイオードPDのうちn型半導体領域NW2およびn
−型半導体領域NW1の一部におけるポテンシャルエネルギーの分布を示している。
【0091】
図6に示すように、本実施の形態1の半導体装置では、n
−型半導体領域NW1は、n型半導体領域NW2下、すなわちn型半導体領域NW2を挟んで主面1aと反対側に形成されている。すなわち、本実施の形態1の半導体装置では、比較例の半導体装置と同様ではあるが、n
−型半導体領域NW1が形成されていない場合に比べ、フォトダイオードPDが、p型ウェルPW1のうち半導体基板1Sの主面1aから深い位置まで形成されている。
【0092】
そのため、特に、赤(R)の画素PUにおいては、n型半導体領域NW2下にn
−型半導体領域NW1を形成することにより、フォトダイオードPDに入射光が入射されて光電変換により電子が発生する効率、いわゆる内部量子効率を増加させることができる。
【0093】
図10の模式的なグラフに示すように、本実施の形態1の半導体装置では、n
−型半導体領域NW1における正味の不純物濃度は、n型半導体領域NW2における正味の不純物濃度よりも低い。これは、入射光の波長が長い場合でも、内部量子効率を増加させるためのものである。
【0094】
図11の模式的なグラフに示すように、n型半導体領域NW2におけるp型の不純物濃度をCp1とし、n型半導体領域NW2におけるn型の不純物濃度をCn1とし、
図10の模式的なグラフに示すように、n型半導体領域NW2における正味の不純物濃度をCnet1とする。このとき、Cnet1は、下記式(1)
Cnet1=|Cp1−Cn1|=Cn1−Cp1 (1)
で表される。
【0095】
また、
図11の模式的なグラフに示すように、p
−型半導体領域PW2におけるp型の不純物濃度をCp2とし、p
−型半導体領域PW2におけるn型の不純物濃度をCn2とし、
図10の模式的なグラフに示すように、p
−型半導体領域PW2における正味の不純物濃度をCnet2とする。このとき、Cnet2は、下記式(2)
Cnet2=|Cp2−Cn2|=Cp2−Cn2 (2)
で表される。
【0096】
なお、p
−型半導体領域PW2における不純物濃度として、ゲート電極Gtのゲート長方向におけるp
−型半導体領域PW2の中央に位置し、かつ、深さ方向におけるp
−型半導体領域PW2の中央に位置する位置PST1における不純物濃度を用いることができる。
【0097】
また、
図11の模式的なグラフに示すように、n
−型半導体領域NW1におけるp型の不純物濃度をCp3とし、n
−型半導体領域NW1におけるn型の不純物濃度をCn3とし、
図10の模式的なグラフに示すように、n
−型半導体領域NW1における正味の不純物濃度をCnet3とする。このとき、Cnet3は、下記式(3)
Cnet3=|Cp3−Cn3|=Cn3−Cp3 (3)
で表される。
【0098】
また、
図11の模式的なグラフに示すように、p型ウェルPW1におけるp型の不純物濃度をCp4とし、p型ウェルPW1におけるn型の不純物濃度をCn4とし、
図10の模式的なグラフに示すように、p型ウェルPW1における正味の不純物濃度をCnet4とする。このとき、Cnet4は、下記式(4)
Cnet4=|Cp4−Cn4|=Cp4−Cn4 (4)
で表される。
【0099】
なお、p型ウェルPW1における不純物濃度とは、p型ウェルPW1のうち、n
−型半導体領域NW1、n型半導体領域NW2、p
−型半導体領域PW2、n型の高濃度半導体領域NRおよびp
+型半導体領域Pのいずれからも十分離れた部分における不純物濃度である。このようなp型ウェルPW1における不純物濃度として、
図10および
図11の模式的なグラフに示すように、p型ウェルPW1のうち、n
−型半導体領域NW1を挟んでn型半導体領域NW2と反対側に位置する部分における不純物濃度を用いることができる。
【0100】
あるいは、p型ウェルPW1における不純物濃度として、好適には、p型ウェルPW1のうち、主面1aに垂直な方向においてゲート電極Gt下に位置、すなわちゲート電極Gtと対向し、かつ、ゲート電極Gtのゲート長方向においてp
−型半導体領域PW2と対向する部分PTFにおける不純物濃度を用いることができる。さらに好適には、p型ウェルPW1における不純物濃度として、ゲート電極Gtのゲート長方向において、ゲート長方向におけるゲート電極Gtの中央位置と同じ位置に配置され、かつ、深さ方向において、位置PST1と同じ位置に配置された位置PST2における不純物濃度を用いることができる。
【0101】
図11の模式的なグラフに示すように、n型半導体領域NW2におけるp型の不純物濃度Cp1、p
−型半導体領域PW2におけるp型の不純物濃度Cp2、n
−型半導体領域NW1におけるp型の不純物濃度Cp3、および、p型ウェルPW1におけるp型の不純物濃度Cp4は、略等しい。一方、n型半導体領域NW2におけるn型の不純物濃度Cn1、p
−型半導体領域PW2におけるn型の不純物濃度Cn2、n
−型半導体領域NW1におけるn型の不純物濃度Cn3、および、p型ウェルPW1におけるn型の不純物濃度Cn4は、Cn4<Cn2<Cn3<Cn1の関係を有する。また、p型の不純物濃度Cp1、Cp2、Cp3およびCp4、ならびに、n型の不純物濃度Cn1、Cn2、Cn3およびCn4は、Cp1<Cn1、Cn2<Cp2、Cp3<Cn3、Cn4<Cp4の関係を有する。
【0102】
そのため、上記式(1)および上記式(3)を用いると、
図10の模式的なグラフに示すように、n型半導体領域NW2における正味の不純物濃度Cnet1、および、n
−型半導体領域NW1における正味の不純物濃度Cnet3は、Cnet3<Cnet1の関係を有する。また、上記式(2)および上記式(4)を用いると、
図10の模式的なグラフに示すように、p
−型半導体領域PW2における正味の不純物濃度Cnet2、および、p型ウェルPW1における正味の不純物濃度Cnet4は、Cnet2<Cnet4の関係を有する。なお、
図11の模式的なグラフでは、p
+型半導体領域PRにおける正味の不純物濃度が、p型ウェルPW1における正味の不純物濃度よりも高いことを示している。
【0103】
本実施の形態1の半導体装置では、n
−型半導体領域NW1とn型半導体領域NW2との間にp
−型半導体領域PW2が形成され、n
−型半導体領域NW1がn型半導体領域NW2に接触していない。このような場合、
図12の模式的なグラフに示すように、深さ方向のポテンシャルエネルギーの分布は、p
−型半導体領域PW2にポテンシャル障壁としての山部MP1を有する。
【0104】
前述したように、n
−型半導体領域NW1とn型半導体領域NW2とがp型ウェルPW1により分断される場合、深さ方向のポテンシャルエネルギーの分布は、p型ウェルPW1のうちn
−型半導体領域NW1とn型半導体領域NW2との間の部分に大きなポテンシャル障壁を有する。このような場合、転送トランジスタTXのゲート電極Gtに正の電圧を印加した場合でも、n
−型半導体領域NW1中の電荷をn型半導体領域NW2中まで移動させることができない。
【0105】
しかし、本実施の形態1の半導体装置では、p
−型半導体領域PW2における正味の不純物濃度は、p型ウェルPW1における正味の不純物濃度よりも低い。このような場合、深さ方向のポテンシャルエネルギーの分布は、p
−型半導体領域PW2にポテンシャル障壁としての山部MP1を有するものの、その山部MP1におけるポテンシャル障壁の高さは、p
−型半導体領域PW2における正味の不純物濃度がp型ウェルPW1における正味の不純物濃度と略等しい場合に比べて低い。また、
図12の模式的なグラフにおいて、n
−型半導体領域NW1の上部において、主面1aに近い位置ほどポテンシャルエネルギーが低くなっていることからも分かるように、n
−型半導体領域NW1は空乏化している。また、n型半導体領域NW2でポテンシャルエネルギーが最も低くなる深さ位置DP1におけるポテンシャルエネルギーは、n
−型半導体領域NW1でポテンシャルエネルギーが最も低くなる深さ位置DP3におけるポテンシャルエネルギーよりも低い。
【0106】
このように、本実施の形態1の半導体装置では、山部MP1におけるポテンシャル障壁がそれほど高くないので、n
−型半導体領域NW1中の電子をn型半導体領域NW2中まで容易に移動させることができる。したがって、
図12の模式的なグラフに示すように、n
−型半導体領域NW1中で光電変換された電子ELのうち、大部分は、深さ位置DP1に配置されたポテンシャルエネルギーの分布の谷部VP1に蓄積される。一方、n
−型半導体領域NW1中で光電変換された電子ELのうち、残りの一部は、n
−型半導体領域NW1のうちp
−型半導体領域PW2側の部分に配置されたポテンシャルエネルギーの分布の谷部VP2に蓄積される。
【0107】
そして、転送トランジスタTXのゲート電極Gtに正の電圧を印加した場合、ポテンシャルエネルギーは全体的に低くなり、ポテンシャルエネルギーの分布の谷部VP2、および、ポテンシャル障壁としての山部MP1が消滅して、ポテンシャルエネルギーの分布の谷部VP1だけが残る。このとき、n型半導体領域NW2中の電子ELはフローティングディフュージョンFDに転送され、フローティングディフュージョンFDに電子が転送されて空いた谷部VP1に、n
−型半導体領域NW1から電子ELが移動し、n
−型半導体領域NW1に移動した電子ELがフローティングディフュージョンFDに転送される。
【0108】
また、
図12の模式的なグラフに示すように、本実施の形態1の半導体装置では、比較例の半導体装置よりも、深さ方向のポテンシャルエネルギーの分布が、n
−型半導体領域NW1が形成されない場合に比べて変調されにくくなる。また、ポテンシャルエネルギーが最も低くなる深さ位置DP1と、n型半導体領域NW2の深さ方向の中心位置DP2との距離が、比較例の半導体装置に比べて短くなる。そして、ポテンシャルエネルギーが最も低くなる深さ位置DP1が、n
−型半導体領域NW1が形成されない場合に比べ、n
−型半導体領域NW1側に近づく距離は、比較例の半導体装置に比べて、短くなる。また、深さ位置DP1におけるポテンシャルエネルギーが、n
−型半導体領域NW1が形成されない場合よりも低くなる量は、比較例の半導体装置よりも少なくなる。そのため、本実施の形態1の半導体装置では、比較例の半導体装置に比べ、n型半導体領域NW2からフローティングディフュージョンFDへの電荷転送効率が増加する。
【0109】
このように、本実施の形態1の半導体装置では、p型ウェルPW1のうち主面1aから遠く離れた部分に入射光が入射される場合でも、内部量子効率を確保しつつ電荷転送効率を増加させることができるので、光電変換素子を備えた半導体装置の性能を向上させることができる。
【0110】
なお、p
−型半導体領域PW2における正味の不純物濃度がp型ウェルPW1における正味の不純物濃度と略等しい場合に比べて、山部MP1におけるポテンシャル障壁の高さを低くするためには、n
−型半導体領域NW1とn型半導体領域NW2との間に、p
−型半導体領域PW2に代え、イントリンシック状態の半導体領域が形成されていてもよい。イントリンシック状態とは、実効的なキャリア濃度が1×10
15cm
−3未満の状態を意味し、例えばp型の不純物濃度とn型の不純物濃度との差である正味の不純物濃度が1×10
15cm
−3未満の状態を意味する。
【0111】
n型半導体領域NW2の深さ方向の厚さを厚さTH1とし、p
−型半導体領域PW2の深さ方向の厚さを厚さTH2とし、n
−型半導体領域NW1の深さ方向の厚さを厚さTH3とする。このとき、好適には、n型半導体領域NW2の厚さTH1は、n
−型半導体領域NW1の厚さTH3よりも薄く、p
−型半導体領域PW2の厚さTH2は、n型半導体領域NW2の厚さTH1よりも薄い。
【0112】
具体的には、厚さTH1を、例えば0.1〜0.3μm程度とし、厚さTH2を、例えば0.05〜0.015μm程度とし、厚さTH3を、例えば1.5〜3μm程度とすることができる。
【0113】
p型ウェルPW1のうち主面1aから遠く離れた部分に入射光が入射される場合でも内部量子効率を確保するという観点、すなわち赤(R)色の入射光が入射される場合でも内部量子効率を確保するという観点から、厚さTH1、TH2およびTH3のうち、n
−型半導体領域NW1の厚さTH3が最も厚くなることが好ましい。また、p型ウェルPW1のうち主面1aに近い部分に入射光が入射される場合でも内部量子効率を確保するという観点、すなわち青(B)色の入射光が入射される場合でも内部量子効率を確保するという観点から、n型半導体領域NW2の厚さTH1も厚さTH3ほどではないが、ある程度厚くなることが好ましい。
【0114】
一方、n型半導体領域NW2とn
−型半導体領域NW1との間に、それほど高くないポテンシャル障壁を形成することによって、n型半導体領域NW2におけるポテンシャルエネルギーが変調されることを防止するという観点から、厚さTH1、TH2およびTH3のうち、p
−型半導体領域PW2の厚さTH2が最も薄くなることが好ましい。そのため、厚さTH1、TH2およびTH3は、前述したTH2<TH1<TH3の関係を有することが好ましい。
【0115】
好適には、p
−型半導体領域PW2は、n型の不純物を含有し、p型ウェルPW1は、p
−型半導体領域PW2におけるn型の不純物の濃度よりも低い濃度でn型の不純物を含有するか、または、n型の不純物を含有しない。p
−型半導体領域PW2が、p型の不純物とn型の不純物とを含有することにより、p型の不純物濃度からn型の不純物濃度を差し引いた正味の不純物濃度を極めて小さくすることができる。そのため、p
−型半導体領域PW2における正味の不純物濃度が極めて低い値になるように、精度よく制御することができる。
【0116】
好適には、p
−型半導体領域PW2は、p型ウェルPW1と接触している。これにより、p
−型半導体領域のうちp型ウェルPW1と接触している部分の近傍では、n
−型半導体領域NW1とn型半導体領域NW2とがp
−型半導体領域により完全に分断される。そのため、n
−型半導体領域NW1中の電荷をn型半導体領域NW2中まで容易に移動させる効果が、より大きくなる。
【0117】
好適には、n
−型半導体領域NW1およびp
−型半導体領域PW2は、平面視において、n型半導体領域NW2のうちゲート電極Gt側の部分と対向する。これにより、平面視において、n
−型半導体領域NW1がゲート電極Gtに近づくため、n
−型半導体領域NW1で発生した電荷をフローティングディフュージョンFDへ転送する際の電荷転送効率が増加する。
【0118】
上記特許文献1〜上記特許文献3に記載された技術では、単一の光電変換素子中に、複数のフォトダイオードが深さ方向に積層され、深さ方向において、互いに離れて配置された2つのn型半導体領域の間にp型半導体領域が形成されている。しかし、上記特許文献1〜上記特許文献3には、n型半導体領域と、その下方に形成されたn
−型半導体領域と、の間に形成されたp
−型半導体領域における正味の不純物濃度が、p型ウェルにおける正味の不純物濃度よりも低いことは記載されていない。
【0119】
また、上記特許文献4に記載された技術では、フォトダイオードと分離された独立第1導電型領域がフォトダイオードよりも深い位置に設けられている。しかし、上記特許文献4に記載された技術では、独立第1導電型領域は、独立第1導電型領域に付与される電位の選定による、所望の特性改善を可能とするためのものであり、フォトダイオードPDの内部量子効率に影響を及ぼすものではない。また、上記特許文献4には、n型半導体領域と、その下方に形成されたn
−型半導体領域と、の間に形成されたp
−型半導体領域における正味の不純物濃度が、p型ウェルにおける正味の不純物濃度よりも低いことは記載されていない。
【0120】
上記特許文献5に記載された技術では、n型である一導電型の第1の層が画像領域全体に及び、p型である一導電型の第2の層が第1の層に縦方向で隣接するように配置されている。しかし、上記特許文献5には、n型半導体領域と、その下方に形成されたn
−型半導体領域と、の間に形成されたp
−型半導体領域における正味の不純物濃度が、p型ウェルにおける正味の不純物濃度よりも低いことは記載されていない。
【0121】
上記特許文献6に記載された技術では、フォトダイオード領域には、基板の表面から5個のp型ドーピング層と4個のn型ドーピング層とが交互に形成され、電子と正孔の分離が行われる。そのため、上記特許文献6に記載された技術では、フォトダイオードの外周に、4個のn型ドーピング層と連通され、電子の移動経路となるn+ウォールを形成する必要があるが、n+ウォールの幅が深さ方向の途中の位置で狭くなると、フォトダイオード領域のうち、その途中の位置よりも深い部分から電荷を移動させることができない。また、上記特許文献6には、n型半導体領域と、その下方に形成されたn
−型半導体領域と、の間に形成されたp
−型半導体領域における正味の不純物濃度が、p型ウェルにおける正味の不純物濃度よりも低いことは記載されていない。
【0122】
<実施の形態1の変形例>
図13は、実施の形態1の変形例の半導体装置の構成を示す平面図である。
【0123】
図13に示すように、本変形例の半導体装置では、n
−型半導体領域NW1が、平面視において、n型半導体領域NW2のうち、ゲート電極Gtのゲート長方向における中央部と対向する。これにより、画素PUに入射された入射光のうち、n
−型半導体領域NW1に入射される割合が増加する。そのため、実施の形態1に比べ、n
−型半導体領域NW1で発生した電荷をフローティングディフュージョンFDへ転送する際の電荷転送効率は弱まるものの、p型ウェルPW1のうち半導体基板1Sの主面1a(
図5参照)から遠く離れた部分に入射光が入射される場合でも、内部量子効率を増加させることができる。
【0124】
<半導体装置の製造方法>
次いで、本実施の形態1の半導体装置の製造方法について説明する。
図14は、実施の形態1の半導体装置の製造工程の一部を示す製造プロセスフロー図である。
図15〜
図24は、実施の形態1の半導体装置の製造工程を示す断面図である。なお、
図15〜
図24の各断面図は、
図4のA−A断面に対応している。
【0125】
図25および
図26は、実施の形態1の半導体装置のフォトダイオード中の深さ方向のp型およびn型の不純物濃度の分布を説明するための図である。
図25および
図26は、
図6に示した断面図に加え、実施の形態1の半導体装置のフォトダイオード中の深さ方向のp型およびn型の不純物濃度の分布を模式的に表すグラフを示している。
【0126】
まず、
図15に示すように、半導体基板1Sを用意する(
図14のステップS1)。このステップS1では、半導体基板1Sとして、例えばリン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物を含有したn型の単結晶シリコン基板を準備する。
【0127】
次いで、
図15に示すように、半導体基板1Sに素子分離領域IRを形成する。素子分離領域IRは、半導体基板1S中の溝内に埋め込まれた絶縁部材からなる。例えば、窒化シリコン(SiN)膜をマスクとして半導体基板1Sをエッチングすることにより、半導体基板1Sのうち、活性領域AcTP等の活性領域となる領域に、分離溝を形成する。次いで、この分離溝の内部に酸化シリコン(SiO
2)膜などの絶縁膜を埋め込むことにより、素子分離領域IRを形成する。このような素子分離方法をSTI(Shallow Trench Isolation)法という。この素子分離領域IRにより活性領域AcTP等の活性領域が区画、すなわち形成される。活性領域AcTPは、半導体基板1Sの主面1a側の画素領域1Aに形成される。
【0128】
なお、STI法に代えてLOCOS(Local oxidation of silicon)法を用いて素子分離領域を形成してもよい。この場合、素子分離領域は、熱酸化膜からなる。例えば、半導体基板1Sのうち、活性領域AcTPおよびAcL等の活性領域となる領域を窒化シリコン膜で覆い、熱酸化することにより、酸化シリコン膜等の絶縁部材からなる素子分離領域を形成する。
【0129】
また、図示は省略するが、半導体基板1Sのうち、活性領域AcTP等の活性領域となる領域に、分離溝を形成した後、酸化シリコン(SiO
2)膜などの絶縁膜を埋め込む前に、分離溝の底部に露出した部分に、例えばホウ素(B)などのp型の不純物を導入してもよい。これにより、後述する
図16を用いて説明するp型ウェルPW1のうち、素子分離領域IR下部分で、暗電流の発生を抑制することができる。
【0130】
次いで、
図16に示すように、p型ウェルPW1を形成する(
図14のステップS2)。このステップS2では、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、画素領域1Aの活性領域AcTP内で、半導体基板1Sの主面1a側に、例えばホウ素(B)などのp型の不純物イオンIM1を注入する。これにより、画素領域1Aで、半導体基板1Sの主面1a側に半導体領域としてのp型ウェルPW1を形成する。p型ウェルPW1の導電型はp型であり、半導体基板1Sの導電型であるn型の反対の導電型である。
【0131】
前述したように、p型ウェルPW1における、p型の不純物濃度からn型の不純物濃度を差し引いた正味の不純物濃度を、例えば1×10
16〜1×10
17cm
−3程度とすることができる。そして、このような正味の不純物濃度を有するp型ウェルPW1を形成するために、ステップS2において、p型の不純物としての例えばホウ素(B)をイオン注入する際の注入条件として、注入エネルギーを例えば550keV〜2.5MeV程度とし、ドーズ量を例えば5×10
11〜5×10
12cm
−2程度とすることができる。また、例えば注入エネルギーを階段状に減少させながら複数のステップに分けてイオン注入することができ、これにより、p型ウェルPW1のうち、主面1aから遠い、すなわち深い部分から、主面1aに近い、すなわち浅い部分まで、不純物濃度を精度よく制御しながら、順次不純物をイオン注入することができる。
【0132】
このステップS2では、p型の不純物イオンIM1を注入してp型の不純物を導入した後、例えば1000℃程度の高温で活性化アニールを行って、イオン注入により導入されたp型の不純物を活性化させることができる。
【0133】
次いで、
図17に示すように、n
−型半導体領域NW1を形成する(
図14のステップS3)。このステップS3では、画素領域1Aで、p型ウェルPW1の内部の部分PTWに、n
−型半導体領域NW1を、イオン注入法により主面1aから離れて形成する。
【0134】
例えば、半導体基板1S上にフォトレジスト膜(レジスト膜)R1を形成し、フォトリソグラフィ技術を用いて露光および現像処理を行うことにより、フォトレジスト膜R1をパターニングする。
【0135】
具体的には、p型ウェルPW1上に、フォトレジスト膜R1を形成する。そして、フォトレジスト膜R1のうちp型ウェルPW1の部分PTP上に位置する部分を除去し、フォトレジスト膜R1を貫通して部分PTPに達する開口部OP1を形成する。言い換えれば、p型ウェルPW1の部分PTPが露出するように、フォトレジスト膜R1をパターニングする。このとき、p型ウェルPW1のうち部分PTP以外の部分は、n型の不純物イオンが注入されないように、フォトレジスト膜R1により覆われている。
【0136】
そして、フォトレジスト膜R1をマスクとして、p型ウェルPW1の部分PTPに、例えばリン(P)などのn型の不純物イオンIM2を注入する。これにより、p型ウェルPW1の部分PTPの内部の部分PTWに、n
−型半導体領域NW1が形成される。その後、フォトレジスト膜R1を除去する。このようなフォトレジスト膜の形成から除去までの工程をパターニングという。
【0137】
n
−型半導体領域NW1における、n型の不純物濃度からp型の不純物濃度を差し引いた正味の不純物濃度を、例えば1×10
15〜1×10
16cm
−3程度とすることができる。また、ステップS3において、n型の不純物としての例えばリン(P)をイオン注入する際の注入条件として、注入エネルギーを例えば300keV〜2MeV程度とし、ドーズ量を例えば8×10
11〜1.5×10
12cm
−2程度とすることができる。
【0138】
このステップS3では、n型の不純物イオンIM2を注入してn型の不純物を導入した後、例えば1000℃程度の高温で活性化アニールを行って、イオン注入により導入されたn型の不純物を活性化させることができる。
【0139】
なお、例えば、ステップS3を行った後、ステップS4を行う前に、フォトレジスト膜をマスクとして、画素PU(
図5参照)の周りに、例えばホウ素(B)などのp型の不純物を導入してもよい。
【0140】
また、例えば、ステップS3を行った後、ステップS4を行う前に、p型ウェルPW1のうち主面1a側の浅い部分に、例えばホウ素(B)などのp型の不純物を導入してもよい。このような場合において、p型の不純物としての例えばホウ素(B)をイオン注入する際の注入エネルギーを、ステップS2における注入エネルギーよりも低い注入エネルギーとすることができる。具体的には、注入エネルギーを例えば10〜250keV程度とし、ドーズ量を例えば5×10
11〜2×10
12cm
−2程度とすることができる。また、例えば注入エネルギーを階段状に減少させながら複数のステップに分けてイオン注入することができ、これにより、p型ウェルPW1のうち、主面1aから遠い側から、主面1aに近い側まで、不純物濃度を精度よく制御しながら、順次不純物をイオン注入することができる。なお、この浅い部分にp型の不純物を導入する工程は、ステップS2を行う際に行ってもよい。
【0141】
次いで、
図18に示すように、ゲート絶縁膜GOXおよびゲート電極Gtを形成する(
図14のステップS4)。このステップS4では、画素領域1Aで、p型ウェルPW1のうち平面視においてn
−型半導体領域NW1よりも第1の側(
図18中右側)に位置する部分PT1上に、ゲート絶縁膜GOXを介してゲート電極Gtを形成する。また、部分PT1は、p型ウェルPW1のうち平面視においてn
−型半導体領域NW1よりもゲート電極Gtのゲート長方向における第1の側(
図18中右側)に位置する。
【0142】
このステップS4では、まず、半導体基板1Sを熱酸化することにより、p型ウェルPW1の主面1a上に、酸化シリコン膜からなる絶縁膜GI1を形成する。
【0143】
絶縁膜GI1として、窒化シリコン膜や酸窒化シリコン(SiON)膜などを用いてもよい。また、酸化ハフニウム(HfO
2)膜に酸化ランタンを導入したハフニウム系絶縁膜などのいわゆる高誘電体膜、すなわち窒化シリコン膜よりも誘電率の高い膜を用いてもよい。これらの膜は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて形成することができる。
【0144】
このステップS4では、次に、絶縁膜GI1上に、導電膜CNDとして、例えば多結晶シリコン膜を、CVD法などを用いて形成する。
【0145】
このステップS4では、次に、導電膜CNDおよび絶縁膜GI1をパターニングする。具体的には、導電膜CND上にフォトレジスト膜(図示は省略)を形成し、フォトリソグラフィ技術を用いて露光および現像処理を行うことにより、ゲート電極Gtの形成予定領域にフォトレジスト膜を残存させる。次に、このレジスト膜をマスクとして、導電膜CNDおよび絶縁膜GI1をエッチングする。これにより、p型ウェルPW1の部分PT1上に、絶縁膜GI1を含むゲート絶縁膜GOXを介して、導電膜CNDを含むゲート電極Gtを形成する。次いで、フォトレジスト膜をアッシングなどにより除去する。
【0146】
この際、周辺回路領域に形成されるロジックトランジスタとしてのトランジスタのゲート電極を半導体基板1S上にゲート絶縁膜を介して形成してもよい。あるいは、例えば
図2に示した他のトランジスタ、すなわちリセットトランジスタRST、選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMIの、ゲート電極Gr、ゲート電極Gsおよびゲート電極Gaを形成してもよい。
【0147】
次いで、
図19に示すように、n型半導体領域NW2およびp
−型半導体領域PW2を形成する(
図14のステップS5)。このステップS5では、画素領域1Aで、p型ウェルPW1のうちn
−型半導体領域NW1よりも半導体基板1Sの主面1a側に位置する部分PT2に、n型半導体領域NW2を形成する。
【0148】
例えば、半導体基板1S上にフォトレジスト膜(レジスト膜)R2を形成し、フォトリソグラフィ技術を用いて露光および現像処理を行うことにより、フォトレジスト膜R2をパターニングする。
【0149】
具体的には、p型ウェルPW1上に、フォトレジスト膜R2を形成する。そして、フォトレジスト膜R2のうちp型ウェルPW1の部分PTP上に位置する部分を除去し、フォトレジスト膜R2を貫通して部分PTPに達する開口部OP2を形成する。言い換えれば、p型ウェルPW1の部分PTPが露出するように、フォトレジスト膜R2をパターニングする。このとき、p型ウェルPW1のうち部分PTP以外の部分は、n型の不純物イオンが注入されないように、フォトレジスト膜R2により覆われている。
【0150】
そして、フォトレジスト膜R2をマスクとして、p型ウェルPW1の部分PTPに、例えばヒ素(As)などのn型の不純物イオンIM3を注入する。これにより、p型ウェルPW1の部分PTPの内部の部分PT2に、n型半導体領域NW2が形成され、部分PTPのうちn
−型半導体領域NW1とn型半導体領域NW2との間に位置する部分PT3に、p
−型半導体領域PW2が形成される。その後、フォトレジスト膜R2を除去する。
【0151】
なお、好適には、n
−型半導体領域NW1が平面視において開口部OP2に内包されるように、開口部OP2を形成する。これにより、n
−型半導体領域NW1がn型半導体領域NW2に内包されるように、n型半導体領域NW2を形成することができる。
【0152】
n型半導体領域NW2における、n型の不純物濃度からp型の不純物濃度を差し引いた正味の不純物濃度を、例えば1×10
16〜1×10
17cm
−3程度とし、p
−型半導体領域PW2における、p型の不純物濃度からn型の不純物濃度を差し引いた正味の不純物濃度を、例えば1×10
15〜1×10
16cm
−3程度とすることができる。また、ステップS5において、n型の不純物としての例えばヒ素(As)をイオン注入する際の注入条件として、注入エネルギーを例えば100〜200keV程度とし、ドーズ量を例えば1×10
12〜1×10
13cm
−2程度とすることができる。
【0153】
なお、前述したように、n
−型半導体領域NW1における正味の不純物濃度は、n型半導体領域NW2における正味の不純物濃度よりも低く、p
−型半導体領域PW2における正味の不純物濃度は、p型ウェルPW1における正味の不純物濃度よりも低い。p型ウェルPW1における不純物濃度として、好適には、p型ウェルPW1のうち、主面1aに垂直な方向においてゲート電極Gt下に位置、すなわちゲート電極Gtと対向し、かつ、ゲート電極Gtのゲート長方向においてp
−型半導体領域PW2と対向する部分PTF(例えば
図10参照)における不純物濃度を用いることができる。
【0154】
このステップS5では、n型の不純物IM3イオンを注入してn型の不純物を導入した後、例えば1000℃程度の高温で活性化アニールを行って、イオン注入により導入されたn型の不純物を活性化させることができる。
【0155】
ステップS3およびステップS5を行うことにより、
図19に示すように、p型ウェルPW1の内部に、n
−型半導体領域NW1、p
−型半導体領域PW2およびn型半導体領域NW2が形成される。これらのp型ウェルPW1、n
−型半導体領域NW1、p
−型半導体領域PW2およびn型半導体領域NW2により、フォトダイオードPDが形成される。
【0156】
好適には、ステップS2で、部分PT3にp型の不純物をイオン注入し、ステップS3で、部分PTWにn型の不純物をイオン注入する注入量よりも少ない注入量で部分PT3にn型の不純物をイオン注入し、ステップS5で、部分PT2にn型の不純物をイオン注入する注入量よりも少ない注入量で部分PT3にn型の不純物をイオン注入する。これにより、部分PT3にp
−型半導体領域PW2を形成する。
【0157】
図11に示したように、部分PT3におけるn型の不純物濃度の濃度分布は、部分PTWにイオン注入されたn型の不純物濃度の濃度分布の裾の部分となり、部分PT2にイオン注入されたn型の不純物濃度の濃度分布の裾の部分となる。
【0158】
したがって、ステップS3で部分PTWにn型の不純物をイオン注入する際のn型の不純物濃度の濃度分布と、ステップS5で部分PT2にn型の不純物をイオン注入する際のn型の不純物濃度の濃度分布とを調整することにより、p
−型半導体領域PW2におけるn型の不純物濃度を調整することができる。
【0159】
なお、n型半導体領域NW2の一部は、転送トランジスタのゲート電極Gtと平面視において重なってもよい。n型半導体領域NW2の一部が転送トランジスタのゲート電極Gtと平面視において重なることにより、n型半導体領域NW2を転送トランジスタのソース領域としても機能させることができる。
【0160】
なお、ステップS5は、部分PT2にn型の不純物をイオン注入する工程と、部分PT3にp型の不純物をイオン注入する工程と、を含んでもよい。このとき、ステップS2で、部分PT3にp型の不純物をイオン注入し、ステップS3で、部分PTWにn型の不純物をイオン注入する注入量よりも少ない注入量で部分PT3にn型の不純物をイオン注入してもよい。また、ステップS5のうち、部分PT2にp型の不純物をイオン注入する工程で、部分PT2にn型の不純物をイオン注入する注入量よりも少ない注入量で部分PT3にn型の不純物をイオン注入してもよい。また、ステップS5のうち、部分PT3にp型の不純物をイオン注入する工程を行ってもよい。そして、このようなイオン注入を行うことにより、部分PT3にp
−型半導体領域PW2を形成してもよい。
【0161】
このような場合、実施の形態1の半導体装置のフォトダイオード中の深さ方向のp型およびn型の不純物濃度の分布は、
図25に示すような分布を有するものの、実施の形態1の半導体装置のフォトダイオード中の深さ方向の正味の不純物濃度の分布を、
図10に示した分布と同様にすることができる。したがって、n
−型半導体領域NW1とn型半導体領域NW2との間に、p型ウェルPW1における正味の不純物濃度よりも少ない正味の不純物濃度を有するp
−型半導体領域PW2を容易に形成することができる。
【0162】
なお、ステップS5のうち、部分PT3にp型の不純物をイオン注入する工程を、ステップS3を行った後、ステップS4を行う前に、p型ウェルPW1のうち主面1a側の浅い部分にp型の不純物を導入する工程を行う際に、行ってもよい。
【0163】
あるいは、ステップS2で、部分PT3にp型の不純物をイオン注入せず、ステップS3で、部分PT3にn型の不純物をイオン注入せず、ステップS5のうち、部分PT2にn型の不純物をイオン注入する工程で、部分PT3にn型の不純物をイオン注入しなくてもよい。また、ステップS5のうち、部分PT3にp型の不純物をイオン注入する工程を行ってもよい。そして、このようなイオン注入を行うことにより、部分PT3にp
−型半導体領域PW2を形成してもよい。
【0164】
このような場合、実施の形態1の半導体装置のフォトダイオード中の深さ方向のp型およびn型の不純物濃度の分布は、
図26に示すような分布を有するものの、実施の形態1の半導体装置のフォトダイオード中の深さ方向の正味の不純物濃度の分布を、
図10に示した分布と同様にすることができる。したがって、n
−型半導体領域NW1とn型半導体領域NW2との間に、p型ウェルPW1における正味の不純物濃度よりも少ない正味の不純物濃度を有するp
−型半導体領域PW2を容易に形成することができる。
【0165】
次いで、
図20に示すように、p
+型半導体領域PRを形成する(
図14のステップS6)。このステップS6では、例えば、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、画素領域1Aにおいて、n型半導体領域NW2の主面1a側に、例えばホウ素(B)などのp型の不純物イオンをイオン注入する。これにより、
図20に示すように、n型半導体領域NW2の主面1a側に、p
+型半導体領域PRを形成する。
【0166】
p
+型半導体領域PRにおけるp型の不純物濃度を、例えば1×10
18〜1×10
19cm
−3程度とすることができる。また、ステップS6において、p型の不純物としての例えばホウ素(B)をイオン注入する際の注入条件として、注入エネルギーを例えば5keV以下とし、ドーズ量を例えば1×10
12〜2×10
13cm
−2程度とすることができる。なお、イオンを注入する方向を、主面1aに垂直な方向に対して例えば20〜30°傾斜させることにより、平面視において、p
+型半導体領域PRをゲート電極Gtから離すことができる。また、例えば傾斜角を階段状に増加させながら複数のステップに分けてイオン注入することができ、これにより、p
+型半導体領域PRを位置精度よくゲート電極Gtから離すことができる。
【0167】
なお、図示は省略するが、例えばステップS6を行った後、ステップS7を行う前に、周辺回路領域に形成されるトランジスタの閾値電圧を調整するため、周辺回路領域に形成されたウェル領域のうちゲート電極を挟んで両側の部分に、エクステンション領域、すなわちn型の低濃度半導体領域を、ゲート電極に整合して形成してもよい。また、周辺回路領域に形成されたウェル領域に、周辺回路領域に形成されるトランジスタの短チャネル効果を防止または抑制するため、周辺回路領域に形成されたウェル領域のうちゲート電極を挟んで両側の部分に、低濃度半導体領域を取り囲むように、ハロー領域を形成してもよい。
【0168】
あるいは、例えば
図2に示した他のトランジスタ、すなわちリセットトランジスタRST、選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMIの各々のエクステンション領域、すなわちn型の低濃度半導体領域を、それぞれのトランジスタのゲート電極に整合して形成してもよい。また、p型ウェルPW1の部分PT4(後述する
図22参照)に、n型の低濃度半導体領域を、ゲート電極Gtに整合して形成してもよい。
【0169】
なお、p
+型半導体領域PRが形成された状態では、
図20に示すように、n型半導体領域NW2の厚さTH1は、n
−型半導体領域NW1の厚さTH3よりも薄く、p
−型半導体領域PW2の厚さTH2は、n型半導体領域NW2の厚さTH1よりも薄い。
【0170】
次いで、
図21に示すように、反射防止膜ARFおよびサイドウォールスペーサSWSを形成する(
図14のステップS7)。
【0171】
このステップS7では、まず、ゲート電極Gtを覆うようにオフセットスペーサOSを形成する。オフセットスペーサOSは、例えば酸化シリコン膜からなる。
【0172】
このステップS7では、次に、半導体基板1Sの主面1a上に、ゲート電極GtおよびオフセットスペーサOSを覆うように、絶縁膜ZM1を形成する。この絶縁膜ZM1は、反射防止膜ARF形成用の絶縁膜とサイドウォールスペーサSWS形成用の絶縁膜とを兼ねている。絶縁膜ZM1は、例えば窒化シリコン膜からなる。
【0173】
このステップS7では、次に、反射防止膜ARFを形成する領域の絶縁膜ZM1上に、フォトレジストパターン(図示は省略)を形成する。ゲート電極Gtよりもソース側に配置されたn型半導体領域NW2およびp
+型半導体領域PRは、この図示しないフォトレジストパターンにより覆われる。一方、p型ウェルPW1のうち平面視においてゲート電極Gtよりもドレイン側に位置する部分PT4は、この図示しないフォトレジストパターンから露出する。
【0174】
このステップS7では、次に、この図示しないフォトレジストパターンをマスク(エッチングマスク)として用いて、絶縁膜ZM1をRIE(Reactive Ion Etching)法などの異方性ドライエッチングによりエッチバックする。このとき、ゲート電極Gtの側壁上に絶縁膜ZM1を残すことにより、サイドウォールスペーサSWSを形成し、この図示しないフォトレジストパターンの下に絶縁膜ZM1を残すことにより、反射防止膜ARFを形成する。異方性ドライエッチングの後、フォトレジストパターンは除去される。
【0175】
反射防止膜ARFは、n型半導体領域NW2およびp
+型半導体領域PRの各々の上に、オフセットスペーサOSを介して形成され、反射防止膜ARFおよびオフセットスペーサOSの一部(端部)は、ゲート電極Gt上に乗り上げる。そのため、ゲート電極Gtの両側壁上のうち、ゲート電極Gtのソース側、すなわちフォトダイオードPD側の側壁は、オフセットスペーサOSを介して反射防止膜ARFで覆われる。
【0176】
一方、ゲート電極Gtの両側壁上のうち、ドレイン側、すなわちフローティングディフュージョンFDが形成される側の側壁上には、オフセットスペーサOSを介してサイドウォールスペーサSWSが形成される。
【0177】
なお、ステップS7を行う際に、周辺回路領域に形成されるトランジスタのゲート電極の両側壁上に、オフセットスペーサを介してサイドウォールスペーサを形成してもよい。あるいは、例えば
図2に示した他のトランジスタ、すなわちリセットトランジスタRST、選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMIの各々のゲート電極の両側壁上に、オフセットスペーサを介してサイドウォールスペーサを形成してもよい。
【0178】
次いで、
図22に示すように、n型の高濃度半導体領域NRを形成する(
図14のステップS8)。
【0179】
このステップS8では、画素領域1Aにおいて、p型ウェルPW1のうちゲート電極Gtよりもドレイン側、すなわちゲート電極Gtを挟んでフォトダイオードPDと反対側(
図22中右側)に位置する部分PT4に、例えば、反射防止膜ARFおよびゲート電極Gtをマスクとして、例えばリン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物イオンをイオン注入する。これにより、p型ウェルPW1のうちゲート電極Gtを挟んでn
−型半導体領域NW1と反対側に位置する部分PT4に、n型の高濃度半導体領域NRを形成する。このn型の高濃度半導体領域NRは、転送トランジスタTXのドレイン領域でもあり、フォトダイオードPDのフローティングディフュージョンFDとなる半導体領域でもある。n型の高濃度半導体領域NRにおけるn型の不純物濃度は、n型半導体領域NW2におけるn型の不純物濃度よりも高い。
【0180】
n型の不純物としての例えばリン(P)およびヒ素(As)をイオン注入する際の注入条件として、注入エネルギーを例えば60keV以下程度とし、ドーズ量を例えば1×10
13〜3×10
15cm
−2程度とすることができる。また、例えば注入エネルギーを階段状に減少させ、かつ、イオン注入するn型の不純物の種類をリンからヒ素に変更しながら複数のステップに分けてイオン注入することができ、これにより、p型ウェルPW1のうち、主面1aから遠い側から、主面1aに近い側まで、不純物濃度を精度よく制御しながら、順次不純物をイオン注入することができる。
【0181】
前述したように、p型ウェルPW1の部分PT4に、n型の低濃度半導体領域を、ゲート電極Gtに整合して形成していた場合には、n型の低濃度半導体領域とn型の高濃度半導体領域NRとにより、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有するフローティングディフュージョンFDが形成される。
【0182】
以上の工程により、半導体基板1Sの主面1a側の画素領域1Aに、フォトダイオードPDおよび転送トランジスタTXが形成される。ゲート電極Gtとn型の高濃度半導体領域NRとにより、転送トランジスタTXが形成される。
【0183】
なお、図示は省略するが、このステップS8を行う際に、周辺回路領域に形成されたウェル領域に、n型の高濃度半導体領域を、ゲート電極の側壁上に形成されたサイドウォールスペーサに整合して形成してもよい。そして、n型の低濃度半導体領域とn型の高濃度半導体領域とにより、LDD構造を有するソース・ドレイン領域を形成してもよい。これにより、周辺回路領域で、トランジスタが形成される。
【0184】
あるいは、このステップS8を行う際に、例えば
図2に示した他のトランジスタ、すなわちリセットトランジスタRST、選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMIの各々に含まれるn型の高濃度半導体領域を、それぞれのトランジスタのゲート電極の側壁上に形成されたサイドウォールスペーサに整合して形成してもよい。そして、n型の低濃度半導体領域とn型の高濃度半導体領域とにより、LDD構造を有するソース・ドレイン領域を形成してもよい。これにより、例えば
図2に示した他のトランジスタ、すなわちリセットトランジスタRST、選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMIが形成される。
【0185】
なお、ステップS8を行った後、ステップS9を行う前に、周辺回路領域で、n型の高濃度半導体領域およびゲート電極の各々の上に、シリサイド層を形成してもよい。あるいは、フローティングディフュージョンFD上にもシリサイド層を形成してもよい。
【0186】
次いで、
図23に示すように、層間絶縁膜IL1、コンタクトホールCHtおよびプラグPfdを形成する(
図14のステップS9)。
【0187】
このステップS9では、まず、画素領域1Aで、半導体基板1Sの表面上に、オフセットスペーサOS、反射防止膜ARFおよびサイドウォールスペーサSWSを介して、フォトダイオードPDおよび転送トランジスタTXを覆うように、層間絶縁膜IL1を形成する。
【0188】
例えば、半導体基板1S上に、TEOSガスを原料ガスとしたCVD法により酸化シリコン膜を堆積する。この後、必要に応じて、層間絶縁膜IL1の表面をCMP(Chemical Mechanical Polishing;化学的機械的研磨)法などを用いて平坦化する。
【0189】
図示は省略するが、この際、周辺回路領域で、半導体基板1Sの主面1a上に、トランジスタを覆うように、層間絶縁膜を形成してもよい。また、この際、画素領域1Aで、半導体基板1Sの主面1a上に、例えば
図2に示した他のトランジスタ、すなわちリセットトランジスタRST、選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMIを覆うように、層間絶縁膜を形成してもよい。
【0190】
このステップS9では、次に、層間絶縁膜IL1をパターニングすることにより、コンタクトホールCHtを形成する。フローティングディフュージョンFDおよび転送トランジスタTXのドレイン領域としてのn型の高濃度半導体領域NRの上方で、層間絶縁膜IL1を貫通してn型の高濃度半導体領域NRに達するコンタクトホールCHtを形成する。
【0191】
図示は省略するが、この際、周辺回路領域で、トランジスタのゲート電極およびソース・ドレイン領域の各々の上に、コンタクトホールが形成されてもよい。また、画素領域1Aで、例えば
図2に示した他のトランジスタ、すなわちリセットトランジスタRST、選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMIの、ゲート電極Gr、ゲート電極Gsおよびゲート電極Ga、ならびに、ソース・ドレイン領域の各々の上に、コンタクトホールが形成されてもよい。あるいは、画素領域1Aで、転送トランジスタTXのゲート電極Gt上に、コンタクトホールが形成されてもよい。
【0192】
このステップS9では、次に、コンタクトホールCHtの底面および側面を含む層間絶縁膜IL1上にチタン/窒化チタン膜を形成する。チタン/窒化チタン膜は、チタン膜およびチタン膜上の窒化チタン膜の積層膜から構成され、例えばスパッタリング法を使用することにより形成することができる。このチタン/窒化チタン膜は、例えば、後の工程で埋め込む膜の材料であるタングステンがシリコン中へ拡散するのを防止する、いわゆる拡散バリア性を有する。
【0193】
そして、コンタクトホールCHtを埋め込むように、半導体基板1Sの主面1aの全面にタングステン膜を形成する。このタングステン膜は、例えばCVD法を使用して形成することができる。そして、層間絶縁膜IL1上に形成された不要なチタン/窒化チタン膜およびタングステン膜を例えばCMP法で除去することにより、プラグPfdを形成することができる。
【0194】
図示は省略するが、この際、周辺回路領域で、トランジスタのゲート電極およびソース・ドレイン領域の各々の上に、プラグが形成されてもよい。また、画素領域1Aで、例えば
図2に示した他のトランジスタ、すなわちリセットトランジスタRST、選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMIの、ゲート電極Gr、ゲート電極Gsおよびゲート電極Ga、ならびに、ソース・ドレイン領域の各々の上に、プラグが形成されてもよい。あるいは、画素領域1Aで、転送トランジスタTXのゲート電極Gt上に、プラグが形成されてもよい。
【0195】
次いで、
図24に示すように、層間絶縁膜IL2〜IL4および配線M1〜M3を形成する(
図14のステップS10)。
【0196】
このステップS10では、まず、画素領域1Aで、層間絶縁膜IL1上に、層間絶縁膜IL2として窒化シリコン膜とその上部の酸化シリコン膜との積層膜をCVD法などで形成する。次に、これらの積層膜をパターニングすることにより、配線溝を形成する。
【0197】
このステップS10では、次に、配線溝の内部を含む層間絶縁膜IL2上に、バリア膜としてタンタル(Ta)膜とその上部の窒化タンタル(TaN)膜との積層膜をスパッタリング法などで堆積する。次に、バリア膜上にシード膜(図示は省略)として薄い銅膜をスパッタリング法などで堆積し、電解メッキ法によりシード膜上に銅膜を堆積する。次に、層間絶縁膜IL2上の不要なバリア膜、シード膜および銅膜をCMP法などにより除去する。このように、配線溝の内部にバリア膜、シード膜および銅膜を埋め込むことにより配線M1を形成することができる(シングルダマシン法)。なお、
図24では、バリア膜、シード膜および銅膜を含む配線M1を、一体的に示している。
【0198】
このステップS10では、次に、層間絶縁膜IL2および配線M1の形成と同様に、配線M1を形成した層間絶縁膜IL2上に層間絶縁膜IL3を形成し、層間絶縁膜IL3中に配線M2を形成し、配線M2を形成した層間絶縁膜IL3上に層間絶縁膜IL4を形成し、層間絶縁膜IL4中に配線M3を形成する。
【0199】
次いで、
図5に示すように、カラーフィルタ層CFおよびマイクロレンズMLを形成する(
図14のステップS11)。
【0200】
このステップS11では、まず、画素領域1Aで、層間絶縁膜IL4上に、カラーフィルタ層CFを形成する。カラーフィルタ層CFは、例えば赤(R)、緑(G)または青(B)などの特定の色の光を透過させ、その他の色の光を透過させない膜である。なお、カラーフィルタ層CFと層間絶縁膜IL4との間に、例えば酸化シリコン膜からなる透過膜TF1を形成してもよい。
【0201】
このステップS11では、次に、カラーフィルタ層CF上に、フォトダイオードPDと平面視において重なるように、オンチップレンズとしてのマイクロレンズMLを取り付ける。
【0202】
以上の工程により、本実施の形態1の半導体装置を製造することができる。
【0203】
(実施の形態2)
実施の形態2では、実施の形態1の半導体装置において、さらに、n
−型半導体領域NW1の平面配置が変更された各種の例について説明する。
【0204】
本実施の形態2の半導体装置の構成については、n
−型半導体領域NW1の平面配置、すなわちフォトダイオードPDの平面配置を除いて、
図1〜
図3、
図5および
図6を用いて説明した実施の形態1の半導体装置の構成と同様にすることができるため、その説明を省略する。
【0205】
<フォトダイオードの平面配置>
図27は、実施の形態2の半導体装置の構成を示す平面図である。
【0206】
図27に示すように、本実施の形態2の半導体装置では、n
−型半導体領域NW1は、平面視においてn型半導体領域NW2に内包されている。すなわち、n型半導体領域NW2は、部分PNW1と、平面視において部分PNW1と隣り合う部分PNW2と、を含み、n
−型半導体領域NW1は、p型ウェルPW1のうち、部分PNW1下の部分に形成され、かつ、部分PNW2下の部分には形成されていない。
【0207】
例えば
図14のステップS3を行って、n
−型半導体領域NW1をイオン注入法により形成する際に、p型ウェルPW1の部分PTP(
図6参照)に、点欠陥が発生するか、または、イオン注入装置からの微量の汚染物質がイオン注入される。このような点欠陥または汚染物質により、暗電流および白点が増加する。暗電流とは、光を照射していない状態でも電流が流れる現象をいい、この暗電流が増加すると、光が照射されていないにもかかわらず、光が照射されていると判断されて誤点灯を起こして白点が発生し、表示される画像の劣化を引き起こすことになる。
【0208】
一方、本実施の形態2の半導体装置では、n
−型半導体領域NW1は、p型ウェルPW1のうち、n型半導体領域NW2の部分PNW2下の部分には形成されていない。そのため、p型ウェルPW1のうち、n型半導体領域NW2の部分PNW2下の部分では、内部量子効率を増加させることができないものの、暗電流および白点が増加することを防止または抑制することができる。
【0209】
実施の形態1の半導体装置でも、
図4に示したように、n
−型半導体領域NW1が、平面視においてn型半導体領域NW2に内包されている。しかし、本実施の形態2では、1個のn
−型半導体領域NW1の面積は、n型半導体領域NW2の面積に比べて極めて小さい。後述する
図35と比較すると分かりやすいが、
図27に示す例では、1個のn
−型半導体領域NW1の面積は、n型半導体領域NW2の面積の例えば9分の1よりも小さい。このように、n
−型半導体領域NW1、すなわちn型半導体領域NW2の部分PNW1が小さな面積を有することにより、n型半導体領域NW2の部分PNW2の面積が大きくなるため、暗電流および白点が増加することを防止または抑制する効果が大きくなる。
【0210】
また、
図27に示す例では、n
−型半導体領域NW1およびp
−型半導体領域PW2は、平面視において、n型半導体領域NW2のうちゲート電極Gt側の部分PT6と対向する。これにより、平面視において、n
−型半導体領域NW1がゲート電極Gtに近づくため、n
−型半導体領域NW1で発生した電荷をフローティングディフュージョンFDへ転送する際の電荷転送効率が増加する。
【0211】
<実施の形態2の第1変形例>
図28は、実施の形態2の第1変形例の半導体装置の構成を示す平面図である。
【0212】
図28に示すように、本第1変形例の半導体装置では、n
−型半導体領域NW1およびp
−型半導体領域PW2は、平面視において、n型半導体領域NW2のうち、ゲート電極Gtのゲート長方向における中央部と対向する。これにより、画素PUに入射された入射光のうち、n
−型半導体領域NW1に入射される割合が増加する。そのため、実施の形態2に比べ、n
−型半導体領域NW1で発生した電荷をフローティングディフュージョンFDへ転送する際の電荷転送効率は弱まるものの、p型ウェルPW1のうち主面1aから遠く離れた部分に入射光が入射される場合でも、内部量子効率を増加させることができる。
【0213】
<実施の形態2の第2変形例>
図29は、実施の形態2の第2変形例の半導体装置の構成を示す平面図である。
【0214】
図29に示すように、本第2変形例の半導体装置では、n
−型半導体領域NW1およびp
−型半導体領域PW2は、平面視において、n型半導体領域NW2のうちゲート電極Gt側と反対側の部分PT7と対向する。
【0215】
n
−型半導体領域NW1を通り主面1a(
図6参照)に平行な平面内におけるポテンシャルエネルギーの分布は、p型ウェルPW1を山部とし、n
−型半導体領域NW1を谷部とする分布を有する。そのため、あるn
−型半導体領域NW1は、そのn
−型半導体領域NW1が含まれるフォトダイオードPDと隣り合う別のフォトダイオードPDで発生した電荷を引き寄せる。このような場合、隣り合う画素PU同士のクロストークが発生するおそれがある。
【0216】
一方、本第2変形例のように、n
−型半導体領域NW1が、平面視において、n型半導体領域NW2のうちゲート電極Gt側と反対側の部分と対向するように配置された場合、そのn
−型半導体領域NW1が、n型半導体領域NW2を挟んでゲート電極Gtと反対側で隣り合うフォトダイオードPDに引き寄せられる電荷を引き戻すことができる。よって、実施の形態2に比べ、n
−型半導体領域NW1で発生した電荷をフローティングディフュージョンFDへ転送する際の電荷転送効率は弱まるものの、n型半導体領域NW2を挟んでゲート電極Gtと反対側で隣り合う画素PUとの間のクロストークを抑制することができる。
【0217】
<実施の形態2の第3変形例>
図30は、実施の形態2の第3変形例の半導体装置の構成を示す平面図である。
【0218】
図30に示すように、本第3変形例の半導体装置は、複数のn
−型半導体領域NW1と、複数のp
−型半導体領域PW2と、を有する。複数のn
−型半導体領域NW1は、p型ウェルPW1の内部に、平面視において互いに間隔を空けて形成されている。複数のp
−型半導体領域PW2は、p型ウェルPW1のうち、n型半導体領域NW2と複数のn
−型半導体領域NW1の各々との間にそれぞれ位置する複数の部分PT3(
図6参照)の各々にそれぞれ形成されている。n型半導体領域NW2は、p型ウェルPW1のうち複数のn
−型半導体領域NW1よりも主面1a(
図6参照)側に位置する部分PT2(
図6参照)に形成されている。複数のn
−型半導体領域NW1は、平面視においてn型半導体領域NW2に内包されている。
【0219】
複数のn
−型半導体領域NW1を通り主面1aに平行な平面内におけるポテンシャルエネルギーの分布は、p型ウェルPW1を山部とし、複数のn
−型半導体領域NW1の各々を谷部とする分布を有する。そのため、p型ウェルPW1のうち、隣り合う2つのn
−型半導体領域NW1により挟まれた部分で光電変換により発生した電荷は、それらの2つのn
−型半導体領域NW1のいずれかに流れ込んだ後、深さ方向のポテンシャルエネルギーの傾斜に沿ってn型半導体領域NW2に移動することができる。
【0220】
図30に示す例では、本第3変形例の半導体装置は、2つのn
−型半導体領域NW1と、2つのp
−型半導体領域PW2と、を有する。2つのn
−型半導体領域NW1は、n型半導体領域NW2のゲート電極Gt側の部分PT6のうち、ゲート電極Gtのゲート幅方向において両端に位置する2つの部分PT61のそれぞれと対向する。これにより、実施の形態2に比べ、n
−型半導体領域NW1で発生した電荷をフローティングディフュージョンFDへ転送する際の電荷転送効率を増加させることができ、ゲート電極Gtのゲート幅方向でn型半導体領域NW2と隣り合う画素PUとの間のクロストークを抑制することができる。
【0221】
<実施の形態2の第4変形例>
図31は、実施の形態2の第4変形例の半導体装置の構成を示す平面図である。
【0222】
図31に示すように、本第4変形例の半導体装置も、実施の形態1の第3変形例の半導体装置と同様に、2つのn
−型半導体領域NW1と、2つのp
−型半導体領域PW2と、を有する。
【0223】
一方、本第4変形例の半導体装置では、実施の形態1の第3変形例の半導体装置と異なり、2つのn
−型半導体領域NW1は、n型半導体領域NW2のゲート電極Gt側と反対側の部分PT7のうち、ゲート電極Gtのゲート幅方向において両端に位置する2つの部分PT71のそれぞれと対向する。これにより、実施の形態2に比べ、n
−型半導体領域NW1で発生した電荷の電荷転送効率は弱まるものの、n型半導体領域NW2を挟んでゲート電極Gtと反対側で隣り合う画素PUとの間、および、ゲート電極Gtのゲート幅方向でn型半導体領域NW2と隣り合う画素PUとの間のクロストークを抑制することができる。
【0224】
<実施の形態2の第5変形例>
図32は、実施の形態2の第5変形例の半導体装置の構成を示す平面図である。
【0225】
図32に示すように、本第5変形例の半導体装置は、3つのn
−型半導体領域NW1と、3つのp
−型半導体領域PW2と、を有する。
【0226】
本第5変形例の半導体装置は、実施の形態2の第2変形例の半導体装置(
図29参照)に含まれる1つのn
−型半導体領域NW1に加え、実施の形態2の第3変形例の半導体装置(
図30参照)に含まれる2つのn
−型半導体領域NW1を有する。したがって、本第5変形例では、実施の形態2に比べ、n
−型半導体領域NW1で発生した電荷の電荷転送効率を増加させることができ、n型半導体領域NW2を挟んでゲート電極Gtと反対側で隣り合う画素PUとの間、および、ゲート電極Gtのゲート幅方向でn型半導体領域NW2と隣り合う画素PUとの間のクロストークを抑制することができる。
【0227】
<実施の形態2の第6変形例>
図33は、実施の形態2の第6変形例の半導体装置の構成を示す平面図である。
【0228】
図33に示すように、本第6変形例の半導体装置は、3つのn
−型半導体領域NW1と、3つのp
−型半導体領域PW2と、を有する。
【0229】
本第6変形例の半導体装置は、実施の形態2の半導体装置(
図27参照)に含まれる1つのn
−型半導体領域NW1に加え、実施の形態2の第4変形例の半導体装置(
図31参照)に含まれる2つのn
−型半導体領域NW1を有する。したがって、本第6変形例では、実施の形態2に比べ、n
−型半導体領域NW1で発生した電荷の電荷転送効率は同程度であるものの、n型半導体領域NW2を挟んでゲート電極Gtと反対側で隣り合う画素PUとの間、および、ゲート電極Gtのゲート幅方向でn型半導体領域NW2と隣り合う画素PUとの間のクロストークを抑制することができる。
【0230】
なお、本第6変形例では、1つのn
−型半導体領域NW1が、n型半導体領域NW2のゲート電極Gt側の部分PT6と対向し、2つのn
−型半導体領域NW1が、n型半導体領域NW2のゲート電極Gt側と反対側の部分PT7と対向する。一方、実施の形態2の第5変形例(
図32参照)では、2つのn
−型半導体領域NW1が、n型半導体領域NW2のゲート電極Gt側の部分PT6と対向し、1つのn
−型半導体領域NW1が、n型半導体領域NW2のゲート電極Gt側と反対側の部分PT7と対向する。
【0231】
したがって、n
−型半導体領域NW1で発生した電荷をフローティングディフュージョンFDへ転送する際の電荷転送効率は、実施の形態2の第5変形例の半導体装置の方が、本第6変形例の半導体装置よりも大きい。また、n型半導体領域NW2を挟んでゲート電極Gtと反対側で隣り合う画素PUとの間のクロストークを抑制する効果は、本第6変形例の半導体装置の方が、実施の形態2の第5変形例の半導体装置よりも大きい。
【0232】
<実施の形態2の第7変形例>
図34は、実施の形態2の第7変形例の半導体装置の構成を示す平面図である。
【0233】
図34に示すように、本第7変形例の半導体装置は、4つのn
−型半導体領域NW1と、4つのp
−型半導体領域PW2と、を有する。4つのn
−型半導体領域NW1は、p型ウェルPW1の内部に、平面視において互いに間隔を空けて形成されている。また、4つのp
−型半導体領域PW2は、p型ウェルPW1のうちn型半導体領域NW2と複数のn
−型半導体領域NW1の各々との間にそれぞれ位置する4つの部分PT3の各々に、それぞれ形成されている。n型半導体領域NW2は、p型ウェルPW1のうち4つのn
−型半導体領域NW1よりも主面1a(
図6参照)側に位置する部分PT2(
図6参照)に形成され、4つのn
−型半導体領域NW1の各々は、平面視においてn型半導体領域NW2に内包されている。
【0234】
本第7変形例の半導体装置は、実施の形態2の第3変形例の半導体装置(
図30参照)に含まれる2つのn
−型半導体領域NW1に加え、実施の形態2の第4変形例の半導体装置(
図31参照)に含まれる2つのn
−型半導体領域NW1を有する。したがって、本第7変形例では、実施の形態2に比べ、n
−型半導体領域NW1で発生した電荷の電荷転送効率を増加させることができ、n型半導体領域NW2を挟んでゲート電極Gtと反対側で隣り合う画素PUとの間、および、ゲート電極Gtのゲート幅方向でn型半導体領域NW2と隣り合う画素PUとの間のクロストークを抑制することができる。
【0235】
また、n
−型半導体領域NW1で発生した電荷をフローティングディフュージョンFDへ転送する際の電荷転送効率は、本第7変形例の半導体装置の方が、実施の形態2の第6変形例の半導体装置よりも大きい。また、n型半導体領域NW2を挟んでゲート電極Gtと反対側で隣り合う画素PUとの間のクロストークを抑制する効果は、本第7変形例の半導体装置の方が、実施の形態2の第5変形例の半導体装置よりも大きい。
【0236】
<実施の形態2の第8変形例>
図35は、実施の形態2の第8変形例の半導体装置の構成を示す平面図である。
【0237】
図35に示すように、本第8変形例の半導体装置は、実施の形態2の第3変形例で説明したのと同様に、複数のn
−型半導体領域NW1と、複数のp
−型半導体領域PW2と、を有する。
【0238】
一方、
図35に示すように、本第8変形例の半導体装置では、実施の形態2の第3変形例の半導体装置とは異なり、複数のn
−型半導体領域NW1は、ゲート電極Gtのゲート長方向およびゲート幅方向にマトリクス状に配列されている。すなわち、複数のn
−型半導体領域NW1は、p型ウェルPW1の内部に、平面視において互いに間隔を空けて形成されている。また、複数のp
−型半導体領域PW2は、p型ウェルPW1のうちn型半導体領域NW2と複数のn
−型半導体領域NW1の各々との間にそれぞれ位置する複数の部分PT3の各々に、それぞれ形成されている。n型半導体領域NW2は、p型ウェルPW1のうち複数のn
−型半導体領域NW1よりも主面1a(
図6参照)側に位置する部分PT2(
図6参照)に形成され、複数のn
−型半導体領域NW1の各々は、平面視においてn型半導体領域NW2に内包されている。
【0239】
これにより、実施の形態2に比べ、n
−型半導体領域NW1で発生した電荷の電荷転送効率を増加させることができる。また、実施の形態2に比べ、n型半導体領域NW2の面積に対する、複数のn
−型半導体領域NW1の各々の面積の合計の割合が大きくなるので、内部量子効率を増加させることができる。また、例えば3つのn
−型半導体領域NW1が、n型半導体領域NW2のゲート電極Gt側の部分PT6と対向し、例えば3つのn
−型半導体領域NW1が、n型半導体領域NW2のゲート電極Gt側と反対側の部分PT7と対向する。これにより、n型半導体領域NW2を挟んでゲート電極Gtと反対側で隣り合う画素PUとの間、および、ゲート電極Gtのゲート幅方向でn型半導体領域NW2と隣り合う画素PUとの間のクロストークを抑制することができる。
【0240】
(実施の形態3)
実施の形態1では、入射光がp型ウェルPW1のうち主面1aから遠く離れた部分に入射される場合でも、内部量子効率を確保しつつ電荷転送効率を増加させることができるような1つの画素PUが形成されている例について説明した。一方、実施の形態3では、入射光がp型ウェルPW1のうち主面1aから近い部分に入射される場合の波長も含め、互いに異なる波長を有する3色の入射光がそれぞれ入射される3つの画素PUが形成されている例について説明する。
【0241】
本実施の形態3の半導体装置に含まれる3個の画素PU1、PU2およびPU3の各々の構成については、フォトダイオードPD1、PD2およびPD3およびカラーフィルタ層CF1、CF2およびCF3を除いて、実施の形態1の半導体装置に含まれる画素PUの構成と同様にすることができるため、その説明を省略する。
【0242】
<画素領域の素子構造>
図36は、実施の形態3の半導体装置の構成を示す断面図である。
【0243】
図36に示すように、本実施の形態3の半導体装置は、実施の形態1の半導体装置と同様に、半導体基板1Sと、半導体基板1Sの主面1a側の画素領域1Aのうち、領域11A、12Aおよび13Aに形成された半導体領域である活性領域AcTPと、を有する。活性領域AcTPには、画素PUが3個形成されている。すなわち、本実施の形態3の半導体装置は、3つの画素PUとして、画素PU1、PU2およびPU3を有する。画素PU1は、領域11Aに形成され、画素PU2は、領域12Aに形成され、画素PU3は、領域13Aに形成されている。
【0244】
画素PU2に入射される入射光の波長は、画素PU1に入射される入射光の波長よりも短く、画素PU3に入射される入射光の波長は、画素PU2に入射される入射光の波長よりも短い。そのため、画素PU1には例えば赤(R)色の入射光が入射され、画素PU2には例えば緑(G)色の入射光が入射され、画素PU3には例えば青(B)色の入射光が入射される。
【0245】
画素PU1は、フォトダイオードPDとしてのPD1と、カラーフィルタ層CFとしてのカラーフィルタ層CF1と、を有する。画素PU2は、フォトダイオードPDとしてのPD2と、カラーフィルタ層CFとしてのカラーフィルタ層CF2と、を有する。画素PU3は、フォトダイオードPDとしてのPD3と、カラーフィルタ層CFとしてのカラーフィルタ層CF3と、を有する。カラーフィルタ層CF1は、例えば赤(R)色の光を透過させ、カラーフィルタ層CF2は、例え緑(G)色の光を透過させ、カラーフィルタ層CF3は、例えば青(B)色の光を透過させる。
【0246】
フォトダイオードPD1は、例えば赤(R)色の入射光を受光して電荷に変換し、フォトダイオードPD2は、例えば緑(G)色の入射光を受光して電荷に変換し、フォトダイオードPD3は、例えば青(B)色の入射光を受光して電荷に変換する。
【0247】
画素PU1は、p型ウェルPW1の一部であるp型ウェルPW11と、n
−型半導体領域NW1としてのn
−型半導体領域NW11と、ゲート電極Gtとしてのゲート電極Gt1と、を有する。また、画素PU1は、n型半導体領域NW2としてのn型半導体領域NW21と、p
−型半導体領域PW2としてのp
−型半導体領域PW21と、n型の高濃度半導体領域NRとしてのn型の高濃度半導体領域NR1と、を有する。
【0248】
p型ウェルPW11は、半導体基板1Sの主面1a側の領域11Aに形成されている。n
−型半導体領域NW11は、p型ウェルPW11の内部の部分PTWとしての部分PTW1に形成されている。ゲート電極Gt1は、p型ウェルPW11のうち平面視においてn
−型半導体領域NW11よりもゲート長方向における第1の側(
図36中右側)に位置する部分PT1としての部分PT11上に、ゲート絶縁膜GOXとしてのゲート絶縁膜GOX1を介して形成されている。n型半導体領域NW21は、p型ウェルPW11のうちn
−型半導体領域NW11よりも主面1a側に位置する部分PT2としての部分PT21に形成されている。p
−型半導体領域PW21は、p型ウェルPW11のうちn
−型半導体領域NW11とn型半導体領域NW21との間に位置する部分PT3としての部分PT31に形成されている。n型の高濃度半導体領域NR1は、p型ウェルPW11のうち平面視においてゲート電極Gt1を挟んでn
−型半導体領域NW11と反対側に位置する部分PT4としての部分PT41に形成されている。
【0249】
p型ウェルPW11と、n
−型半導体領域NW11と、n型半導体領域NW21と、p
−型半導体領域PW21とにより、フォトダイオードPDとしてのフォトダイオードPD1が形成されている。ゲート電極Gt1とn型の高濃度半導体領域NR1とにより、転送トランジスタTXとしての転送トランジスタTX1が形成されている。
【0250】
本実施の形態3における画素PU1は、実施の形態1における画素PUと同様にすることができる。これにより、画素PU1に入射される例えば赤(R)色の入射光が、p型ウェルPW1のうち主面1aから遠く離れた部分に入射される場合でも、内部量子効率を確保しつつ電荷転送効率を増加させることができる。
【0251】
また、画素PU2は、p型ウェルPW1の一部であるp型ウェルPW12と、n
−型半導体領域NW1としてのn
−型半導体領域NW12と、ゲート電極Gtとしてのゲート電極Gt2と、を有する。また、画素PU2は、n型半導体領域NW2としてのn型半導体領域NW22と、p
−型半導体領域PW2としてのp
−型半導体領域PW22と、n型の高濃度半導体領域NRとしてのn型の高濃度半導体領域NR2と、を有する。
【0252】
p型ウェルPW12は、半導体基板1Sの主面1a側の領域12Aに形成されている。p型ウェルPW12は、p型ウェルPW11と同層に形成されている。n
−型半導体領域NW12は、p型ウェルPW12の内部の部分PTWとしての部分PTW2に、主面1aから離れて形成されている。ゲート電極Gt2は、p型ウェルPW12のうち平面視においてn
−型半導体領域NW12よりもゲート長方向における第2の側(
図36中右側)に位置する部分PT1としての部分PT12上に、ゲート絶縁膜GOXとしてのゲート絶縁膜GOX2を介して形成されている。n型半導体領域NW22は、p型ウェルPW12のうちn
−型半導体領域NW12よりも主面1a側に位置する部分PT2としての部分PT22に形成されている。p
−型半導体領域PW22は、p型ウェルPW12のうちn
−型半導体領域NW12とn型半導体領域NW22との間に位置する部分PT3としての部分PT32に形成されている。n型の高濃度半導体領域NR2は、p型ウェルPW12のうち平面視においてゲート電極Gt2を挟んでn
−型半導体領域NW12と反対側に位置する部分PT4としての部分PT42に形成されている。
【0253】
p型ウェルPW12と、n
−型半導体領域NW12と、n型半導体領域NW22と、p
−型半導体領域PW22とにより、フォトダイオードPDとしてのフォトダイオードPD2が形成されている。ゲート電極Gt2とn型の高濃度半導体領域NR2とにより、転送トランジスタTXとしての転送トランジスタTX2が形成されている。
【0254】
n
−型半導体領域NW12における正味の不純物濃度は、n型半導体領域NW22における正味の不純物濃度よりも低く、p
−型半導体領域PW22における正味の不純物濃度は、p型ウェルPW12における正味の不純物濃度よりも低い。
【0255】
画素PU1におけるn
−型半導体領域NW11の深さ方向の厚さTH3を、厚さTH31とし、画素PU2におけるn
−型半導体領域NW12の深さ方向の厚さTH3を、厚さTH32とする。このとき、厚さTH32は、厚さTH31よりも薄い。このような場合でも、画素PU2に入射される入射光の波長が、画素PU1に入射される入射光の波長よりも短く、画素PU2に入射される入射光が、画素PU1に入射される入射光よりもp型ウェルPW1のうち主面1aに近い部分に入射される場合には、内部量子効率を確保しつつ電荷転送効率を増加させることができる。
【0256】
具体的には、厚さTH31を例えば3μm程度とし、厚さTH32を例えば1.5μm程度とすることができる。
【0257】
一方、画素PU3は、p型ウェルPW1の一部であるp型ウェルPW13と、ゲート電極Gtとしてのゲート電極Gt3と、n型半導体領域NW2としてのn型半導体領域NW23と、n型の高濃度半導体領域NRとしてのn型の高濃度半導体領域NR3と、を有する。そして、画素PU3では、n
−型半導体領域NW1およびp
−型半導体領域PW2を有しない。
【0258】
p型ウェルPW13は、半導体基板1Sの主面1a側の領域13Aに形成されている。p型ウェルPW13は、p型ウェルPW11と同層に形成されている。n型半導体領域NW23は、p型ウェルPW13の上層部としての部分PT23に形成されている。ゲート電極Gt2は、p型ウェルPW13のうち平面視においてn型半導体領域NW23よりもゲート長方向における第3の側(
図36中右側)に位置する部分PT1としての部分PT13上に、ゲート絶縁膜GOXとしてのゲート絶縁膜GOX3を介して形成されている。n型の高濃度半導体領域NR3は、p型ウェルPW13のうち平面視においてゲート電極Gt3を挟んでn型半導体領域NW23と反対側に位置する部分PT4としての部分PT43に形成されている。
【0259】
p型ウェルPW13と、n型半導体領域NW23とにより、フォトダイオードPDとしてのフォトダイオードPD3が形成されている。ゲート電極Gt3とn型の高濃度半導体領域NR3とにより、転送トランジスタTXとしての転送トランジスタTX3が形成されている。
【0260】
画素PU3は、n
−型半導体領域NW1およびp
−型半導体領域PW2を有しない。このような場合でも、画素PU3に入射される入射光の波長が、画素PU2に入射される入射光の波長よりも短く、画素PU3に入射される入射光が、画素PU2に入射される入射光よりもp型ウェルPW1のうち主面1aに近い部分に入射される場合には、内部量子効率を確保しつつ電荷転送効率を増加させることができる。そして、画素PU2で厚さTH32を薄くし、画素PU3でn
−型半導体領域NW1を形成しないことにより、暗電流および白点が増加することを防止または抑制することができる。
【0261】
すなわち、本実施の形態3では、画素PUに入射される光の波長に応じて、内部量子効率を最適化しつつ電荷転送効率を増加させ、かつ、暗電流および白点を低減することができる。
【0262】
<半導体装置の製造方法>
本実施の形態3の半導体装置の製造方法では、
図14のステップS3と同様の工程を行う際に、領域11Aでは、n
−型半導体領域NW11を形成し、領域12Aでは、n
−型半導体領域NW12を形成するが、領域13Aでは、n
−型半導体領域NW1を形成しない。また、n
−型半導体領域NW12の深さ方向の厚さTH32は、n
−型半導体領域NW11の深さ方向の厚さTH31よりも薄い。
【0263】
また、本実施の形態3の半導体装置の製造方法では、
図14のステップS5と同様の工程を行う際に、領域11Aでは、p
−型半導体領域PW21を形成し、領域12Aでは、p
−型半導体領域PW22を形成するが、領域13Aでは、p
−型半導体領域PW2を形成しない。
【0264】
それ以外の点については、本実施の形態3の半導体装置の製造方法は、実施の形態1の半導体装置の製造方法と同様にすることができる。
【0265】
(実施の形態4)
実施の形態3では、半導体装置が、半導体基板の表面側から光を入射する表面照射型のイメージセンサである例について説明した。一方、実施の形態4では、半導体装置が、半導体基板の裏面側から光を入射する裏面照射型のイメージセンサである例について説明する。
【0266】
例えば、表面照射型のイメージセンサでは、マイクロレンズに入射した光は、層間絶縁膜を透過してフォトダイオードに照射される。層間絶縁膜のうちフォトダイオードの上方に位置する部分には、配線層は形成されておらず、光の透過領域となっているが、イメージセンサの画素数の増加や小型化に伴って、この光の透過領域の面積が小さくなり、表面照射型のイメージセンサでは、フォトダイオードに入射する光量が減少するおそれがある。
【0267】
そこで、半導体基板の裏面側から光を入射させて、この入射光を効率よくフォトダイオードに到達させる裏面照射型のイメージセンサが提案されている。
【0268】
<画素領域の素子構造>
図37は、実施の形態4の半導体装置の構成を示す断面図である。
【0269】
図37に示すように、本実施の形態4の半導体装置において、半導体基板1SにフォトダイオードPDと転送用トランジスタTXとが形成され、かつ、半導体基板1Sよりも主面1a側(
図37中下側)に層間絶縁膜IL1〜IL4および配線M1〜M3が形成されている点は、実施の形態3と同様である。そして、さらに、本実施の形態4では、層間絶縁膜IL4よりも下層に、密着膜OXFが形成されており、この密着膜OXFよりも下層に支持基板SSが配置されている。
【0270】
また、本実施の形態4では、半導体基板1Sの厚さが、実施の形態1に比べて薄くなっており、かつ、半導体基板1Sの裏面(
図37中上面)に、例えば、酸窒化シリコン膜から形成された反射防止膜ARFが形成されており、この反射防止膜ARF上にカラーフィルタ層CFを介してマイクロレンズMLが搭載されている。したがって、本実施の形態4では、実施の形態3と異なり、フォトダイオードPDよりも主面1a側に、反射防止膜ARFが形成されていなくてもよい。
図37に示す例では、ゲート電極GtのフォトダイオードPD側の側壁上には、オフセットスペーサOSを介してサイドウォールスペーサSWSが形成されている。
【0271】
このように構成されている画素領域1Aにおいて、マイクロレンズMLに光が入射されると、マイクロレンズMLに入射された光は、反射防止膜ARFを介して半導体基板1Sの裏面に到達する。そして、半導体基板1Sの裏面に到達した光は、半導体基板1Sの内部に入り込み、フォトダイオードPDに照射される。
【0272】
図37に示すように、本実施の形態4の半導体装置は、実施の形態1の半導体装置と同様に、半導体基板1Sと、半導体基板1Sの主面1a側の画素領域1Aのうち、領域11A、12Aおよび13Aに形成された半導体領域である活性領域AcTPと、を有する。活性領域AcTPには、画素PUが3個形成されている。すなわち、本実施の形態4の半導体装置も、実施の形態3の半導体装置と同様に、3つの画素PUとして、画素PU1、PU2およびPU3を有する。画素PU1は、領域11Aに形成され、画素PU2は、領域12Aに形成され、画素PU3は、領域13Aに形成されている。
【0273】
本実施の形態4でも、実施の形態3と同様に、画素PU2に入射される入射光の波長は、画素PU1に入射される入射光の波長よりも短く、画素PU3に入射される入射光の波長は、画素PU2に入射される入射光の波長よりも短い。そのため、画素PU1には例えば赤(R)色の入射光が入射され、画素PU2には例えば緑(G)色の入射光が入射され、画素PU3には例えば青(B)色の入射光が入射される。
【0274】
画素PU1は、フォトダイオードPDとしてのPD1と、カラーフィルタ層CFとしてのカラーフィルタ層CF1と、を有する。画素PU2は、フォトダイオードPDとしてのPD2と、カラーフィルタ層CFとしてのカラーフィルタ層CF2と、を有する。画素PU3は、フォトダイオードPDとしてのPD3と、カラーフィルタ層CFとしてのカラーフィルタ層CF3と、を有する。カラーフィルタ層CF1は、例えば赤(R)色の光を透過させ、カラーフィルタ層CF2は、例えば緑(G)色の光を透過させ、カラーフィルタ層CF3は、例えば青(B)色の光を透過させる。
【0275】
フォトダイオードPD1は、例えば赤(R)色の入射光を受光して電荷に変換し、フォトダイオードPD2は、例えば緑(G)色の入射光を受光して電荷に変換し、フォトダイオードPD3は、例えば青(B)色の入射光を受光して電荷に変換する。
【0276】
本実施の形態4では、実施の形態3と異なり、画素PU3は、p型ウェルPW1の一部であるp型ウェルPW13と、n
−型半導体領域NW1としてのn
−型半導体領域NW13と、ゲート電極Gtとしてのゲート電極Gt3と、を有する。また、画素PU3は、n型半導体領域NW2としてのn型半導体領域NW23と、p
−型半導体領域PW2としてのp
−型半導体領域PW23と、n型の高濃度半導体領域NRとしてのn型の高濃度半導体領域NR3と、を有する。
【0277】
p型ウェルPW13は、半導体基板1Sの主面1a側の領域13Aに形成されている。n
−型半導体領域NW13は、p型ウェルPW13の内部の部分PTWとしての部分PTW3に形成されている。ゲート電極Gt3は、p型ウェルPW13のうち平面視においてn
−型半導体領域NW13よりもゲート長方向における第4の側(
図37中左側)に位置する部分PT1としての部分PT13の主面1aに、ゲート絶縁膜GOXとしてのゲート絶縁膜GOX3を介して形成されている。n型半導体領域NW23は、p型ウェルPW13のうちn
−型半導体領域NW13よりも主面1a側に位置する部分PT2としての部分PT23に形成されている。p
−型半導体領域PW23は、p型ウェルPW13のうちn
−型半導体領域NW13とn型半導体領域NW23との間に位置する部分PT3としての部分PT33に形成されている。n型の高濃度半導体領域NR3は、p型ウェルPW13のうち平面視においてゲート電極Gt3を挟んでn
−型半導体領域NW13と反対側に位置する部分PT4としての部分PT43に形成されている。
【0278】
p型ウェルPW13と、n
−型半導体領域NW13と、n型半導体領域NW23と、p
−型半導体領域PW23とにより、フォトダイオードPDとしてのフォトダイオードPD3が形成されている。ゲート電極Gt3とn型の高濃度半導体領域NR3とにより、転送トランジスタTXとしての転送トランジスタTX3が形成されている。
【0279】
本実施の形態4におけるフォトダイオードPD3は、実施の形態3におけるフォトダイオードPD1と同様、すなわち実施の形態1におけるフォトダイオードPDと同様にすることができる。ここで、画素PU3に、例えば青(B)色の入射光が入射されるときは、画素PU3に入射された青色の入射光は、p型ウェルPW13のうち主面1aから遠く離れた部分、すなわちp型ウェルPW13のうち
図37中上側の部分に入射される。しかし、本実施の形態4におけるフォトダイオードPD3を、実施の形態1におけるフォトダイオードPDと同様にすることにより、画素PU3に入射される例えば青(B)色の入射光が、p型ウェルPW13のうち主面1aから遠く離れた部分に入射される場合でも、内部量子効率を確保しつつ電荷転送効率を増加させることができる。
【0280】
また、画素PU2は、p型ウェルPW1の一部であるp型ウェルPW12と、n
−型半導体領域NW1としてのn
−型半導体領域NW12と、ゲート電極Gtとしてのゲート電極Gt2と、を有する。また、画素PU2は、n型半導体領域NW2としてのn型半導体領域NW22と、p
−型半導体領域PW2としてのp
−型半導体領域PW22と、n型の高濃度半導体領域NRとしてのn型の高濃度半導体領域NR2と、を有する。
【0281】
p型ウェルPW12は、半導体基板1Sの主面1a側の領域12Aに形成されている。p型ウェルPW12は、p型ウェルPW13と同層に形成されている。n
−型半導体領域NW12は、p型ウェルPW12の内部の部分PTWとしての部分PTW2に、主面1aから離れて形成されている。ゲート電極Gt2は、p型ウェルPW12のうち平面視においてn
−型半導体領域NW12よりもゲート長方向における第5の側(
図37中左側)に位置する部分PT1としての部分PT12の主面1aに、ゲート絶縁膜GOXとしてのゲート絶縁膜GOX2を介して形成されている。n型半導体領域NW22は、p型ウェルPW12のうちn
−型半導体領域NW12よりも主面1a側に位置する部分PT2としての部分PT22に形成されている。p
−型半導体領域PW22は、p型ウェルPW12のうちn
−型半導体領域NW12とn型半導体領域NW22との間に位置する部分PT3としての部分PT32に形成されている。n型の高濃度半導体領域NR2は、p型ウェルPW12のうち平面視においてゲート電極Gt2を挟んでn
−型半導体領域NW12と反対側に位置する部分PT4としての部分PT42に形成されている。
【0282】
p型ウェルPW12と、n
−型半導体領域NW12と、n型半導体領域NW22と、p
−型半導体領域PW22とにより、フォトダイオードPDとしてのフォトダイオードPD2が形成されている。ゲート電極Gt2とn型の高濃度半導体領域NR2とにより、転送トランジスタTXとしての転送トランジスタTX2が形成されている。
【0283】
n
−型半導体領域NW12における正味の不純物濃度は、n型半導体領域NW22における正味の不純物濃度よりも低く、p
−型半導体領域PW22における正味の不純物濃度は、p型ウェルPW12における正味の不純物濃度よりも低い。
【0284】
画素PU3におけるn
−型半導体領域NW13の深さ方向の厚さTH3を、厚さTH33とし、画素PU2におけるn
−型半導体領域NW12の深さ方向の厚さTH3を、厚さTH32とする。このとき、厚さTH32は、厚さTH33よりも薄い。このような場合でも、画素PU2に入射される例えば緑(G)色の入射光の波長が、画素PU3に入射される例えば青(B)色の入射光の波長よりも長く、画素PU2に入射される入射光が、画素PU3に入射される入射光よりもp型ウェルPW1のうち主面1aに近い部分に入射される場合には、内部量子効率を確保しつつ電荷転送効率を増加させることができる。
【0285】
具体的には、厚さTH33を例えば3μm程度とし、厚さTH32を例えば1.5μm程度とすることができる。
【0286】
一方、本実施の形態4では、実施の形態3と異なり、画素PU1は、p型ウェルPW1の一部であるp型ウェルPW11と、ゲート電極Gtとしてのゲート電極Gt1と、n型半導体領域NW2としてのn型半導体領域NW21と、n型の高濃度半導体領域NRとしてのn型の高濃度半導体領域NR1と、を有する。そして、画素PU1では、n
−型半導体領域NW1およびp
−型半導体領域PW2を有しない。
【0287】
p型ウェルPW11は、半導体基板1Sの主面1a側の領域11Aに形成されている。p型ウェルPW11は、p型ウェルPW13と同層に形成されている。n型半導体領域NW21は、p型ウェルPW11の主面1a側の部分PT21に形成されている。ゲート電極Gt1は、p型ウェルPW11のうち平面視においてn型半導体領域NW21よりもゲート長方向における第6の側(
図37中左側)に位置する部分PT1としての部分PT11の主面1aに、ゲート絶縁膜GOXとしてのゲート絶縁膜GOX1を介して形成されている。n型の高濃度半導体領域NR1は、p型ウェルPW11のうち平面視においてゲート電極Gt1を挟んでn型半導体領域NW21と反対側に位置する部分PT4としての部分PT41に形成されている。
【0288】
p型ウェルPW11と、n型半導体領域NW21とにより、フォトダイオードPDとしてのフォトダイオードPD1が形成されている。ゲート電極Gt1とn型の高濃度半導体領域NR1とにより、転送トランジスタTXとしての転送トランジスタTX1が形成されている。
【0289】
画素PU1は、n
−型半導体領域NW1およびp
−型半導体領域PW2を有しない。このような場合でも、画素PU1に入射される入射光の波長が、画素PU2に入射される入射光の波長よりも長く、画素PU1に入射される入射光が、画素PU2に入射される入射光よりもp型ウェルPW1のうち主面1aに近い部分に入射される場合には、内部量子効率を確保しつつ電荷転送効率を増加させることができる。そして、画素PU2で厚さTH32を薄くし、画素PU1でn
−型半導体領域NW1を形成しないことにより、暗電流および白点が増加することを防止または抑制することができる。
【0290】
すなわち、本実施の形態4でも、実施の形態3と同様に、画素PUに入射される光の波長に応じて、内部量子効率を最適化しつつ電荷転送効率を増加させ、かつ、暗電流および白点を低減することができる。
【0291】
<半導体装置の製造方法>
本実施の形態4の半導体装置の製造方法では、まず、
図14のステップS1〜ステップS6と同様の工程を行う。
【0292】
このうち、
図14のステップS3と同様の工程を行う際に、領域13Aでは、n
−型半導体領域NW13を形成し、領域12Aでは、n
−型半導体領域NW12を形成するが、領域11Aでは、n
−型半導体領域NW1を形成しない。また、n
−型半導体領域NW12の深さ方向の厚さTH32は、n
−型半導体領域NW13の深さ方向の厚さTH33よりも薄い。
【0293】
また、
図14のステップS5と同様の工程を行う際に、領域13Aでは、p
−型半導体領域PW23を形成し、領域12Aでは、p
−型半導体領域PW22を形成するが、領域11Aでは、p
−型半導体領域PW2を形成しない。
【0294】
それ以外の点については、
図14のステップS1〜ステップS6と同様の工程を、実施の形態1の半導体装置の製造方法で説明した通りに行うことができる。
【0295】
次いで、
図37に示すように、画素領域1Aで、サイドウォールスペーサSWSを形成する(
図14のステップS7)。このステップS7では、ゲート電極GtのフォトダイオードPD側と反対側の側壁上、および、ゲート電極GtのフォトダイオードPD側の側壁上に、オフセットスペーサOSを介してサイドウォールスペーサSWSを形成する。
【0296】
次いで、
図14のステップS8と同様の工程を行って、
図37に示すように、n型の高濃度半導体領域NRを形成する。次いで、
図14のステップS9と同様の工程を行って、
図37に示すように、層間絶縁膜IL1、コンタクトホールCHtおよびプラグPfdを形成する。次いで、
図14のステップS10と同様の工程を行って、層間絶縁膜IL2〜IL4および配線M1〜M3を形成する。
【0297】
次いで、
図37に示すように、配線M3を形成した層間絶縁膜IL4の表面を下側に向け、この層間絶縁膜IL4の表面に、例えば、酸化シリコン膜からなる密着膜OXFを介して支持基板SSを配置する。これにより、半導体基板1Sの裏面が上を向いた状態で支持基板SSに固定される。そして、
図37に示すように、上を向いた半導体基板1Sの裏面を研削する。これにより、半導体基板1Sの厚さを薄くすることができる。
【0298】
次いで、
図37に示すように、半導体基板1Sの裏面上に、例えば、酸窒化シリコン膜からなる反射防止膜ARFを形成する。なお、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、半導体基板1Sの上面側を向いている裏面に、ホウ素(B)などのp型の不純物を導入し、半導体基板1Sと反射防止膜ARFとの間にp
+型半導体領域を形成してもよい。
【0299】
次いで、
図14のステップS11と同様の工程を行って、
図37に示すように、反射防止膜ARF上に、カラーフィルタ層CFおよびマイクロレンズMLを形成する。以上のようにして、本実施の形態4の半導体装置を製造することができる。
【0300】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。