特許第6607785号(P6607785)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシーの特許一覧

特許6607785相セグメント化非イソシアネート系弾性体
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6607785
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】相セグメント化非イソシアネート系弾性体
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/68 20060101AFI20191111BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20191111BHJP
   C08L 71/02 20060101ALI20191111BHJP
   C08K 5/37 20060101ALI20191111BHJP
   C08K 5/17 20060101ALI20191111BHJP
   C08K 5/50 20060101ALI20191111BHJP
   C08K 5/3412 20060101ALI20191111BHJP
   C08G 65/333 20060101ALN20191111BHJP
【FI】
   C08G59/68
   C08L63/00 C
   C08L71/02
   C08K5/37
   C08K5/17
   C08K5/50
   C08K5/3412
   !C08G65/333
【請求項の数】13
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2015-549645(P2015-549645)
(86)(22)【出願日】2013年12月18日
(65)【公表番号】特表2016-501969(P2016-501969A)
(43)【公表日】2016年1月21日
(86)【国際出願番号】US2013076236
(87)【国際公開番号】WO2014100238
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2016年12月5日
(31)【優先権主張番号】61/745,515
(32)【優先日】2012年12月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ヒース
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・エス・アテイ
(72)【発明者】
【氏名】ナーザン・ウィルモット
(72)【発明者】
【氏名】ハーシャッド・エム・シャー
(72)【発明者】
【氏名】カメシュ・アール・ヴィヤカラナム
(72)【発明者】
【氏名】ニコル・ナイト
(72)【発明者】
【氏名】アダム・シー・コルソン
【審査官】 三原 健治
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/164869(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/164870(WO,A1)
【文献】 特開2001−131262(JP,A)
【文献】 特表2016−511290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G
C08K
C08L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性ポリマーを形成する方法であって、
a)1)4,000〜8,000の分子量を有し、チオール基と反応可能である脂肪族炭素−炭素二重結合を2〜6個有する、少なくとも1つのエン末端ポリエーテルであって、
前記脂肪族炭素−炭素二重結合のうちの少なくとも1つが、少なくとも1000原子質量単位の重量を有する脂肪族スペーサ基によって、互いの前記脂肪族炭素−炭素二重結合から分離されており、
前記脂肪族スペーサ基が、ポリ(1,2−プロピレンオキシド)鎖または共重合エチレンオキシドを最大40重量%含む不規則プロピレンオキシド−共−エチレンオキシド鎖である、エン末端ポリエーテルと、
2)成分1)の100重量部当たり20〜150重量部の、分子当たり平均で少なくとも1.5個のエポキシ基および最大1000のエポキシ当量重量を有する、少なくとも1つのエポキシ樹脂と、
3)エン基およびエポキシ基の合計当量当たり0.75〜1.25当量のチオール基をもたらす量の少なくとも2つのチオール基を有する、少なくとも1つの硬化剤と、
4)少なくとも1つの塩基性触媒と、
を含有する反応混合物を形成することと、
b)前記反応混合物を硬化して、前記高分子弾性体を形成することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記エポキシ樹脂が、最大250のエポキシ当量重量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記硬化剤が、2〜4個のチオール基を含有する少なくとも1つのポリチオール化合物、またはそれぞれが2〜4個のチオール基を含有する2つ以上のポリチオール化合物の混合物を含み、前記ポリチオール化合物(複数可)が、50〜250のチオール当量重量を有する、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記塩基触媒が、少なくとも1つの第三級アミン化合物、少なくとも1つの環状アミジン触媒、少なくとも1つの第三級ホスフィン化合物、またはこれらのうち任意の2つ以上の混合物を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記反応混合物が、少なくとも1つの熱分解性フリーラジカル開始剤化合物を更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記硬化剤が、前記反応混合物中に存在するエポキシおよびエン基の当量当たり、0.75〜1.25当量のチオール基を提供する、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
記脂肪族炭素−炭素二重結合が、ビニル(−CH=CH)基である、請求項に記載の方法。
【請求項8】
記脂肪族炭素−炭素二重結合が、アクリレート基である、請求項に記載の方法。
【請求項9】
ステップb)が、0〜180℃の温度で行われる、請求項に記載の方法。
【請求項10】
ステップb)が、前記ポリエンおよびチオール硬化剤のフリーラジカル反応と、前記エポキシ樹脂およびチオール硬化剤間の塩基触媒反応と、を含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1に従って作製される弾性ポリマー。
【請求項12】
ASTM D1708に従って測定する場合、少なくとも50%の破断伸び率および少なくとも3500kPaの引張強度を有する、請求項11に記載の弾性ポリマー。
【請求項13】
−20℃以下のガラス転移温度を有する連続相および少なくとも20℃のガラス転移温度を有する分散相を有し、前記連続相が前記ポリエンと前記チオール硬化剤の一部との反応生成物を含み、前記分散相が前記エポキシ樹脂と前記チオール硬化剤との反応生成物を含む、請求項11または12に記載の弾性ポリマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相セグメント化非イソシアネート系弾性体に関する。
【0002】
弾性(ゴム状)ポリマーは、幅広い種類の用途において、広範に使用される。弾性ポリマーは、タイヤ、多くの形式のシール、ガスケット、管材料、可撓管およびホース、機械設備のためのスリーブおよび覆い、空気管理ダクト、仕切版、多くの基材のための保護コーティング、靴底、ホイール、衝撃吸収剤、コーキング材およびシーラント、柔軟性スペーサ、ならびに幅広い分野の緩衝製品を製造するために使用される。
【0003】
まず、これらのような弾性製品は、天然ゴムを硫化することにより作られていた。時を経て、例えばネオプレンおよびイソプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、様々なアクリレートゴム、ブタジエンポリマーおよびコポリマー等を含む、様々な合成弾性ポリマーが発達してきた。これらは全て、大規模な工業プロセスにおいてのみ、経済的に生成可能な高分子量材料である。加えて、これらのポリマーは部品を形成するために溶融加工されねばならない。これらのポリマーを大きな規模で製造する必要性、およびこれらのポリマーを溶融加工する更なる必要性によって、これらの特定の用途における使用は制限される。例えば、多くの現場内用途において、弾性ポリマーは、まさに使用する際に形成および整形することが必要である。シーラントはこのような例であり、多くのシーラントは液体または半流動体材料として適用されねばならず、次いでその場で固まらねばならない。このような例において、必要である溶融加工設備が現場では利用不可能であるか、あるいは特定の用途に対して技術的または経済的に適合し得ないため、熱可塑性材料の使用はしばしば非現実的である。必要な加工設備にかかる費用のため、溶融加工を必要とするポリマーは、通常、部品が前もって大量に形成され得る用途に限定される。
【0004】
これらの弾性材料の別の問題点は、これらは大変高い伸び率を提示するものの、低い引張強度および引張係数を有する傾向にあることである。多くの用途において、これらの材料は必要とされる強度を有せず、例えば弾性があり過ぎる、ならびに/または圧縮性が高過ぎる場合がある。この問題点は、例えば、ポリマーに充填剤を入れることにより、あるいは様々な架橋結合戦略を採用することにより克服可能だが、これはただ複雑さを加え、ポリマーが使用され得る用途を更に制限するだけである。
【0005】
大体積弾性ポリマーの、他の主な種類はポリウレタンである。他の大体積弾性ポリマーとは異なり、ポリウレタンは、低分子量の前駆物質の反応を通して、実質的にどのような規模でも容易かつ安価に生成され得る。出発物質および触媒の賢明な選択を通じ、これらの前駆物質は低から中程度の温度での反応をもたらして、時には周囲条件でも、高分子量で強固な弾性材料を形成する。これらの属性により、ポリウレタンは、溶融加工可能なポリマーが好適でない多くの用途において、一般的に好まれる材料となる。これらの用途としては、例えば、多くの現場内のコーティングおよびシーラント適用、ならびに多くの少量での適用が挙げられる。
【0006】
ポリウレタンの別の強みは、その限りない汎用性である。ポリウレタン系の反応性が、幅広い加工特性に適応させるための、出発物質および触媒の選択を通して「調和」され得るのと同様に、弾性体の特性もまた、幅広い用途にとって好適になるように調節され得る。ポリウレタンは、非常に軟質かつ伸び率がとても高い材料として、非常に硬質かつガラス転移温度の高い樹脂として、その間の実質的にどんなものにでも形成され得る。ポリウレタンは、熱可塑性または熱硬化性のポリマーを生成するように配合され得る。架橋される際、架橋密度は容易に幅広く変化し得る。加えて、ポリウレタンは非気泡体へ、ならびに約16kg/mほど低い密度にまで変動し得る気泡体へと容易に形成される。
【0007】
この汎用性は、概ねイソシアネート基の化学的性質によるものである。ポリウレタンの化学的性質は、イソシアネート基の、活性水素原子を含有する化学種(ヒドロキシ基およびアミノ基等)との反応に基づくものである。イソシアネート基の、アルコール、または第一級もしくは第二級アミンとの反応がそれぞれ、ウレタンまたはウレア結合を生成する。加えて、水分子が、2つのイソシアネート基と反応してウレア結合を生成し得る(二酸化炭素分子の遊離と共に)。これらの反応は容易であり、ほとんど副生成物を形成せず(水/イソシアネート反応において生成される二酸化炭素を除く)、イソシアネート基は単独でも、ならびにウレタンおよびウレア基とも反応可能であり、様々な構造体を形成するにもかかわらず、驚くほど予測可能である。幸運にもこれらの追加的な反応は多くの場合、限定された程度にしか進行せず(その系が特別に配合されたり、あるいは反応を促進したりするように加工されていない限りは)、生成されたポリマーは、構造および形態の観点から大変に予測可能である。
【0008】
溶融加工可能な弾性材料の多くとは異なり、ポリウレタン弾性体は、良好な伸び率および高い強度の両方を備えて容易に生成される。これもまたイソシアネートの化学的性質の独自の態様に起因するものである。弾性ポリウレタンが生成される際、ポリイソシアネートは、2つの異なる種類のイソシアネート反応性材料と反応する。これらのうち第1のものは、特定のヒドロキシ末端ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリエステル、およびまたはポリブタジエン等の長鎖可撓性材料である。イソシアネート反応性材料の第2の種類は、鎖延長剤または架橋剤である。鎖延長剤または架橋剤は、短鎖ポリオールまたはポリアミンであり、あるいは幾つかの場合において水でもある。イソシアネート基の一部が長鎖可撓性材料と反応し、別の一部が鎖延長剤または架橋剤と反応する。
【0009】
ポリイソシアネートが鎖延長剤と反応する際、2つ以上の密に並んだウレタンまたはウレア基を含有する、高分子セグメントが形成される。ウレタンおよびウレア基は、互いに水素結合を形成可能であり、そうした場合、長鎖可撓性材料内に分散される、高水素結合性材料の小さな範囲を生成し得る(ポリマー鎖にも結合される)。これらの高水素結合性の範囲、および長鎖可撓性材料から相間離隔するその能力の形成が、ポリウレタンに、伸び率と引張強度の組み合わせを与える。高水素結合性の範囲は、弾性体の「硬質セグメント」として一般的に知られ、一方で主に長鎖可撓性材料から作製される相は、「軟質セグメント」として一般的に知られる。
【0010】
これらの硬質および軟質セグメントの形成は、生成されるポリマーの質量全体において、マクロスケールで統一性を維持する必要性によって、更に複雑化される。これは一般的に、前駆物質が最初に混合される際、ウレタンおよび/またはウレア形成反応が良好に進行するまで著しく相分離しない、均質性の高い混合物を形成せねばならないことを意味する。早過ぎる相分離は、ポリマーにおける大規模な(>10μm)範囲の形成につながり、これは、今度はその部分における貧弱な性能および不統一な特性につながるであろう。不適当な相分離は、引張強度の大きな損失に帰着する。ポリウレタンの化学的性質は、出発物質が必要な混和性を有する、あるいは適切な混和性を有するように容易に変更され得るという点において独自であり、様々な硬化反応の割合や配列決定がそのようであるので、相分離が、初期に低粘度を有し、周囲温度またはただ穏やかに上昇する温度で急速に硬化する系の中で全て、良好な伸び率と一緒に適当な引張強度を生成する必要がある。
【0011】
ポリウレタンの問題点は、イソシアネートの化学的性質がその利点にとって中核をなすものの、ポリイソシアネート化合物が適切に取り扱われなかった場合、作業員の曝露の可能性が懸念されることである。
【0012】
イソシアネート化合物に対する人体暴露を制限する1つの方法は、もちろん、代替の、遊離イソシアネート化合物を含有しない硬化性ポリマー系を提供することであろう。しかしながら、周囲温度またはせめて穏やかに上昇する温度で液状低粘度前駆物質から急速に硬化するという利点と、小規模な現場内用途に適している(一方でまた、産業的大規模な部品製造にも完全に好適である)という利点と、伸び率および引張強度の良好な組み合わせを有する弾性材料を形成するという利点と、を提供するのに利用可能な、他のポリマー系は現在存在しない。
【0013】
チオール−エンの化学的性質は、低粘度前駆物質からポリマーを作成する道筋として提案されてきた。チオール−エン反応は、幾つかの条件下で非常に急速に進行し得、追加的な反応として、除去の必要があるような反応副生成物を生成しない。しかしながら、ポリウレタン弾性体の特性と類似する特性を持つ弾性材料を形成するように硬化するチオール−エン系は、開発されていなかった。チオール−エン材料は概ね、とても低い伸び率を有する、硬質ガラス状ポリマーである。
【0014】
チオール−エン/エポキシ混成物を形成することにより、チオール−エンポリマーの特性を拡張するために、幾つかの試みがなされてきた。例えば、Sangermanoらは、“Preparation and characterization of hybrid thiol−ene/epoxy UV−thermal dual−cured systems”,Polym.Int.2010:50:1046−1051において、そのような混成物を作製する試みについて説明している。その生成物は弾性を持たない。その生成物は、動機械的熱分析により、16〜25℃の範囲の単一ガラス転移温度を有する。Cariosciaらは、“Evaluation and control of thiol−ene/thiol−epoxy hybrid networks”,Polymer 48(2007)1526−1532において、歯科用途のためのチオール−エン/チオール−エポキシ相互貫入網目構造系について説明している。これらの系もまた弾性を持たない。これらの系は、およそ71〜75℃の単一ガラス転移温度を有する。
【0015】
Shinらは、Segmented Polythiourethane Elastomers through Sequential Thiol−Ene and Thiol−Isocyanate Reactions,Macromolecules 2009,42,3294−3301において、弾性ポリチオウレタンについて説明している。ポリチオウレタンは、1,6−ヘキサンジチオールおよび1,4−ブタンジオールジアクリレート間のホスフィンによって触媒されるチオール−エン反応によりチオール末端プレポリマーを生成すること、ならびにそれに次ぐポリイソシアネート化合物でプレポリマーを鎖延長することにより合成された。この合成は溶液中で行われ、生成物は沈殿を介して単離される。したがって、これは産業的に実現可能な方法ではない。
【0016】
本発明は、一態様において、弾性ポリマーを形成する方法であって、a)1)チオール基と反応可能である脂肪族炭素−炭素二重結合を含有する、平均で少なくとも2つの基を有する、少なくとも1つのポリエン化合物であって、このような脂肪族炭素−炭素二重結合のうちの少なくとも1つが、少なくとも1000原子質量単位の重量を有する脂肪族スペーサ基によって、互いに前記脂肪族炭素−炭素二重結合から分離されるポリエン化合物と、2)成分1)の100重量部当たり20〜150重量部の、分子当たり平均で少なくとも1.5個のエポキシ基および最大1000のエポキシ当量重量を有する、少なくとも1つのエポキシ樹脂と、3)少なくとも2つのチオール基を有する、少なくとも1つの硬化剤と、4)少なくとも1つの塩基性触媒と、を含有する反応混合物を形成することと、b)反応混合物を硬化して、高分子弾性体を形成することと、を含む方法である。
【0017】
本発明は、大変有用な特性を有する弾性ポリマーを作製する、汎用的かつ非イソシアネート系の道筋を提供する。反応混合物は、幅広い条件下で硬化するように、特定の出発物質および触媒の選択を通じて適合され得ることから、本発明は加工処理の見地から汎用性がある。しばしば、反応物質は、室温下でも自然に重合し、熱の適用無しに硬化して、有用な特性を有する弾性体を形成し得る。この属性は特定の用途、特に特定の現場内のシーラントおよび接着剤の使用において、大変有益である。代わりに、反応混合物は、例えば高温、および幾つかの場合フリーラジカルの供給源等の特定の条件に曝されるまで緩徐に硬化するように配合可能である。
【0018】
同様に、結果として得られる弾性体の特性は、特定の用途に適合された特性を有する生成物を生成するように、容易に変化される。
【0019】
ポリエン化合物は、チオール−エン付加反応を為すことのできる、少なくとも2つの脂肪族炭素−炭素二重結合(「エン基」)を有する。これらのエン基のうちの少なくとも1つは、少なくとも1000原子質量単位の重量を有する軟質脂肪族スペーサ基によって、他のエン基のそれぞれから間隔を空けられる。これらのエン基のそれぞれが、このような軟質脂肪族スペーサ基によって、他のエン基のそれぞれから間隔を空けられることが好まれる。エン基は、好ましくは末端、すなわち分子鎖の端部にある。
【0020】
ポリエンは、好ましくは8以下、より好ましくは6以下、更により好ましくは4以下のエン基を有する。
【0021】
エン基は、脂肪族、あるいは、より低い程度で好ましくは、脂環式炭素−炭素二重結合であり、ここで水素原子がこの炭素原子のうちの少なくとも1つに結合される。炭素−炭素二重結合は、次の形を持ち得、
―RC=CR′R′′
式中、R、R′、およびR′′は、独立して、水素または有機置換基であり、R、R′、およびR′′のうちの少なくとも1つが水素原子であった場合、有機置換基は置換され得る。R、R′、およびR′′のうちのいずれかが、例えば、最大12個の、好ましくは最大4個の、より好ましくは最大3個の炭素原子を有する、アルキルまたは置換アルキル基であってよい。Rは好ましくは水素またはメチルである。R′およびR′′がそれぞれ水素であることが好まれ、R、R′、およびR′′がすべて水素であることがより好まれる。
【0022】
幾つかの実施形態において、エン基は、末端α,β−不飽和カルボキシレート基、例えば、アクリレート(―O−C(O)−CH=CH)基、またはメタクリレート(―O−C(O)−C(CH)=CH)基等の形で提供される。幾つかの実施形態において、エン基は末端ビニル(−CH=CH)基である。ビニル基は、ビニルアリール基であってもよく、ここでビニル基は、例えばフェニル環等の芳香環の環炭素へ直接結合される。幾つかの実施形態において、エン基は末端アリル(−CH−CH=CH)基である。ポリエン化合物は、異なる形式のエン基を有してよく、あるいは全てのエン基は同一であり得る。
【0023】
スペーサ基はそれぞれ、少なくとも1000原子質量単位の、好ましくは少なくとも1500原子質量単位の、より好ましくは少なくとも2000原子質量単位の、更により好ましくは少なくとも3000原子質量単位の、ならびに幾つかの実施形態において少なくとも4000原子質量単位の重量を有する。軟質スペーサ基の重量は、20,000と同等、および好ましくは最大12,000、より好ましくは最大8000であり得る。スペーサ基はそれぞれ、好ましくは、硬化の際結果として生じる弾性体において、−20℃以下の、好ましくは−35℃以下の、およびより好ましくは−40℃以下のガラス転移温度を有する弾性相をもたらす、少なくとも1000原子質量単位の質量を有する少なくとも1つの鎖を含む。
【0024】
スペーサ基は脂肪族である。好まれる脂肪族スペーサ基は、直列もしくは分岐脂肪族炭素−炭素単結合および/または非共役二重結合、脂肪族エーテル結合、脂肪族アミン結合、ならびに/あるいはそれらの主鎖内の類似の結合の配列を含有する基を含む。このような配列は、例えば、少なくとも原子5個の、または少なくとも原子10個の長さであってよく、最大原子数百個の長さであってよい。これらの配列は、アミド、ウレタン、ウレア、エステル、イミドカルボネート等の様々な結合基で散在している。これらの配列は芳香族基で散在し得、その場合、このような芳香族基は、脂肪族スペーサ基の重量の好ましくは25%以下、好ましくは5%以下を構成する。
【0025】
好まれる実施形態において、スペーサ基のそれぞれは、このようなスペーサ基の全てまたは一部を形成し得る脂肪族ポリエーテル鎖を含有する。脂肪族ポリエーテル鎖は、少なくとも1500、より好ましくは少なくとも2000、更により好ましくは少なくとも3000、および幾つかの実施形態において少なくとも4000から、20,000程の、好ましくは最大12,000、およびより好ましくは最大8,000g/モルの分子量を有する。ポリエーテル鎖は、例えば、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、テトラメチレンオキシド等のポリマーであってよい。例えば1,2−プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド等のポリマーのような側鎖基を有するポリエーテル鎖が、良好な特性を有する相間離隔されたポリマーを形成する際に特に良好な結果をもたらすことが発見されている。特に好まれるスペーサ基は、ポリ(1,2−プロピレンオキシド)鎖、または、エチレンオキシド鎖が、最大40重量%、好ましくは最大25重量%、より好ましくは最大約15重量%の共重合エチレンオキシドを含有する、不規則プロピレンオキシド−共−エチレンオキシド鎖を含有する。このような特に好まれるスペーサ基は、末端ポリ(エチレンオキシド)セグメントを有し得、その場合、このようなセグメントは全体として、ポリエーテルの総重量の40%超、好ましくは25%以下、およびより好ましくは15%以下を構成すべきではない。
【0026】
ポリエン化合物の好まれる種類はエン末端ポリエーテルであり、特に少なくとも2000(好ましくは少なくとも4000)から最大12,000(好ましくは最大8,000)の分子量、および分子当たり2〜8個、好ましくは2〜6個または2〜4個のエン基を有するエン末端ポリエーテルである。これらの材料を作製するために、幾つか手法が存在する。1つの手法は、ポリエーテルポリオールのヒドロキシ基を、ポリエーテル鎖の末端に結合を形成するためにヒドロキシ基と反応する官能基も有するエン化合物で、キャップすることを伴う。このようなキャッピング化合物の例としては、例えば3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート(TMI)、またはイソシアネートエチルメタクリレート(IEM)を含む、エン含有イソシアネート化合物が挙げられる。エン末端ポリエーテルはまた、ポリエーテルポリオールを、ビニルベンジルクロリド等のエチレン性不飽和ハロゲン化合物、ビニルトリメトキシルシラン等のエチレン性不飽和シロキサン、またはエチレン性不飽和エポキシ化合物でキャップすることにより調製することもできる。
【0027】
エン末端ポリエーテルを作製する別の手法は、先に説明されたポリエーテルポリオールを、ポリイソシアネート化合物、好ましくはジイソシアネートでキャップすることである。ポリイソシアネートは、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネートまたはトルエンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、あるいはイソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水素化トルエンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、およびそれに類するものであってよい。これは、ウレタン基および末端イソシアネート基を含有するプレポリマーを生成する。イソシアネート基は次いで、ヒドロキシ基および先に説明されたエン基を有する、イソシアネート反応性キャッピング化合物との反応によりキャップされる。このようなイソシアネート反応性キャッピング化合物の例としては、例えば、アリルアルコール、ビニルアルコール、ならびにヒドロキシエチルアクリレートおよびヒドロキシエチルメタクリレート等の、ヒドロキシアルキルアクリレートおよび/またはヒドロキシアルキルメタクリレート化合物が挙げられる。
【0028】
好まれるエン末端ポリエーテルを作製するために幾つかの実施形態において使用されるポリエーテルポリオールは、50μ当量/gを超える末端不飽和を有さない。ポリエーテルポリオール内の末端不飽和は、生成物内における単官能性ポリエーテル種の存在を指し示す。それ故、末端不飽和の量が少ないことは、生成物がより少量の単官能性ポリエーテル種を有することを指し示す。単官能性ポリエーテル種は、アルキレンオキシド(特にプロピレンオキシド)異性体が、モノアルコールであり、アルコキシレート化されて単官能性分子を形成する、アリルアルコールおよび/またはプロペニルアルコールを形成する際に形成されると理解される。末端不飽和の水準は、例えば20μ当量/g未満、10μ当量/g未満、7μ当量/g未満、または5μ当量/g未満であり得る。
【0029】
重合条件および/または重合触媒の選択は、ポリエーテルポリオール製造中に形成される末端不飽和の量に大きな影響を与える。アルカリ金属水酸化物等の強いアルカリ触媒を使用する際、低〜中程度の温度で重合を実行することにより、より少ない量の末端不飽和が獲得され得る。代わりに、弱いアルカリ、または非アルカリ重合触媒が使用され得る。このような代替的な重合触媒の1つは、例えば、米国特許第3,278,457号、同第3,278,458号、同第3,278,459号、同第3,404,109号、同第3,427,256号、同第3,427,334号、同第3,427,335号、および同第5,470,813号のいずれかにおいて記載される、複金属シアン化物(DMC)触媒錯体である。好まれる形式は、亜鉛ヘキサシアノコバルテート触媒錯体である。DMC触媒錯体は、t−ブタノールおよび/またはポリエーテルポリオール等のアルコールで、錯体生成され得る。DMC触媒で作製されたプロピレンオキシドのポリマーは、単官能性種の、好適な低い水準を提示する。
【0030】
エポキシ樹脂は、分子当たり平均で少なくとも1.5個、好ましくは少なくとも1.8個のエポキシ基、および最大1000のエポキシ当量重量を有する、1つ以上の材料である。エポキシ当量重量は好ましくは最大500、より好ましくは最大250、および更により好ましくは最大225である。エポキシ樹脂は、好ましくは分子当たり最大8個のエポキシ基、およびより好ましくは1.8〜4個、特に1.8〜3個を有する。
【0031】
エポキシ樹脂は、他の成分との容易な混合を促進するため、好ましくは室温で液体である。しかしながら、特にエポキシ樹脂がポリエン化合物に可溶性である場合、ならびに/あるいはエポキシ樹脂が好適な溶媒中の溶液の形式で提供される場合は、固体(25℃で)エポキシ樹脂を使用することも可能である。
【0032】
有用なエポキシ樹脂の中に、例えば、ポリフェノール化合物のポリグリシジルエーテルが挙げられ、これにより化合物が2個以上の芳香族ヒドロキシ(フェノール)基を有することが意味される。ポリフェノール化合物の1つの形式は、例えば、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、ビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールAP(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン)、ビスフェノールF、ビスフェノールK、テトラメチルビフェノール、またはそれらの2つ以上の混合物等の、ジフェノール(すなわち、ちょうど2つの芳香族ヒドロキシ基を有する)である。このようなジフェノールのポリグリシジルエーテルは、エポキシ当量重量が約1000以下、好ましくは約250以下、およびより好ましくは約225以下である場合、先進され得る。
【0033】
ポリフェノールの好適なポリグリシジルエーテルは、構造(I)により表されるものを含み、
【0034】
【化1】
【0035】
構造中、それぞれのYは独立してハロゲン原子であり、それぞれのDは、1〜約10個の、好ましくは1〜約5個の、より好ましくは1〜約3個の炭素原子、−S−、−S−S−、−SO−、−SO、−CO3−−CO−、または−O−を好適に有する二価炭化水素基であり、それぞれのmは0、1、2、3、または4であってよく、ならびにpは、化合物が最大1000の、好ましくは170〜500の、およびより好ましくは170〜225のエポキシ当量重量を有するような数字である。pは典型的に0〜1、特に0〜0.5である。
【0036】
ポリフェノールの脂肪酸変性ポリグリシジルエーテル、例えばThe Dow Chemical CompanyからのD.E.R.3680等は、有用なエポキシ樹脂である。
【0037】
ポリフェノールの、他の有用なポリグリシジルエーテルは、エポキシノボラック樹脂を含む。エポキシノボラック樹脂は、一部または全てのフェノール基がエピクロロヒドリンでキャップされ、対応するグリシジルエーテルを生成する、メチレン架橋ポリフェノール化合物として一般的に説明され得る。フェノール環は非置換であってよく、あるいは1つ以上の置換基を含有してよく、この置換基は、もし存在するならば好ましくは最大6個の炭素原子を有するアルキル、およびより好ましくはメチルである。エポキシノボラック樹脂は、約156〜300の、好ましくは約170〜225の、および特に170〜190のエポキシ当量重量を有してよい。エポキシノボラック樹脂は、例えば、分子当たり2〜10個の、好ましくは3〜6個の、より好ましくは3〜5個のエポキシ基を含有してよい。好適なエポキシノボラック樹脂の中には、一般的な構造を有するものがあり、
【0038】
【化2】
【0039】
構造中、Iは0〜8、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3であり、それぞれのR′は独立してアルキルまたは不活性置換アルキルであり、それぞれのxは独立して0〜4、好ましくは0〜2、およびより好ましくは0〜1である。R′は好ましくは存在するならばメチルである。
【0040】
ポリフェノール化合物の他の有用なグリシジルエーテルとしては、例えば、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタン、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン等が挙げられる。
【0041】
更に他の有用なエポキシ樹脂としては、ポリオールのポリグリシジルエーテルが挙げられ、ここでエポキシ当量重量は最大1000、好ましくは最大500、より好ましくは最大250、および特に最大200である。これらは、分子当たり2〜6個のエポキシ基を含有してよい。ポリオールは、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のアルキレングリコールおよびポリアルキレングリコール、ならびにグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の高官能ポリオールであってよい。これらは、例えばビフェノールのジグリシジルエーテルまたはエポキシノボラック樹脂等の芳香族エポキシ樹脂と一緒に、好ましく使用される。
【0042】
更なる他の有用なエポキシ樹脂としては、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンと、米国特許第5,112,932号において説明されるオキサゾリドン含有化合物と、脂環式エポキシドと、D.E.R.(商標)592およびD.E.R.(商標)6508(The Dow Chemical Company)として商業的に販売されるもの等の先進エポキシ−イソシアネートコポリマーと、ならびに例えば国際公開第WO 2008/140906号において説明されるエポキシ樹脂とが挙げられる。
【0043】
エン化合物(複数可)(上の成分1))の100重量部当たり、20〜150重量部のエポキシ樹脂(複数可)が、反応混合物へ提供され得る。エン化合物(複数可)に応じて、エポキシ樹脂の量は、弾性体の特性を調節する必要に応じて、変化し得る。エポキシ樹脂のエン化合物に対するこの比率は、高い伸び率(少なくとも50%で、多くの場合少なくとも100%)および良好な引張強度(少なくとも2100kPa(約300psi)、好ましくは少なくとも3500kPa(約500psi))の組み合わせを有する弾性体を提供するために、発見されている。この広範な範囲内において、エポキシ樹脂の量が増えるにつれ、伸び率は一般的に低下し、一方で引張強度および係数は増加する傾向にある。エポキシ樹脂の量が前述の範囲内である場合、エポキシ樹脂は、主に硬化したエン化合物(成分1))によって構成される連続的な相の中に分散した、不連続な樹脂相を形成するように硬化する傾向にある。
【0044】
エポキシ樹脂が大量に提供される場合、位相反転がしばしば確認され、この中で、硬化したエポキシ樹脂が主に最終ポリマーの連続相を構成し、従来型の強靭化エポキシ樹脂と類似する特性を有する、低伸び率の生成物に帰着する。このような低伸び率の材料の形成を避けるために、エン化合物(複数可)(成分1))の100重量部当たり、125重量部以下のエポキシ樹脂(複数可)を提供することが好まれる。より好まれる量は、エン化合物(成分1))の100重量部当たり、最大110重量部のエポキシ樹脂(複数可)であり、更により好まれる量は最大75部である。好まれる低量は、エン化合物(複数可)(成分1))の100重量部当たり、少なくとも25または少なくとも40重量部のエポキシ樹脂である。
【0045】
反応混合物は、高分子量ポリマーを形成するために、エン化合物(成分1))のエン基およびエポキシ樹脂(複数可)のエポキシ基の両方と反応し得る、少なくとも1つのポリチオールを更に含む。
【0046】
ポリチオール硬化剤は、少なくとも2個のチオール基を含有する。ポリチオールは、好ましくは、チオール基当たり最大500、より好ましくは最大200、および更により好ましくは最大150の当量重量を有する。このポリチオール化合物は、分子当たり最大8個の、好ましくは最大4個のチオール基を含有してよい。
【0047】
好適なポリチオール化合物の中には、2〜8個の、好ましくは2〜4個のヒドロキシ基および最大約75の当量重量を有する低分子量ポリオールのメルカプトアセテートおよびメルカプトプロピオネートエステルがあり、ここで全てのヒドロキシ基は、メルカプトアセテートおよび/またはメルカプトプロピオネートでエステル化される。このような低分子量ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース等が挙げられる。
【0048】
他の好適なポリチオール化合物としては、例えば1,2−エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール等のアルキレンジチオール、例えば1,2,3−トリメルカプトプロパン、1,2,3−トリ(メルカプトメチル)プロパン、1,2,3−トリ(メルカプトエチル)エタン、(2,3−ジ((2−メルカプトエチル)チオ)1−プロパンチオール等のトリチオール、およびそれに類するものが挙げられる。更なる別の有用なポリチオール化合物は、少なくとも2つのメルカプト置換基を脂肪酸鎖上に有する、例えば以下の構造を有するメルカプト置換脂肪酸である。
【0049】
【化3】
【0050】
使用される硬化剤の量は、硬化した生成物において求められる特性に依存して大きく変化し得、幾つかの場合、所望される硬化反応の形式に依存する。硬化剤の最大量は、エンおよびエポキシ基の当量当たり、最大1.25当量、好ましくは最大1.15当量、および幾つかの場合最大1.05当量のチオール基を典型的に提供する。硬化剤の過剰量が大きいほど、ポリマー特性が劣化する傾向にある。エポキシ樹脂(複数可)は自身で重合可能であり、多くの場合エン化合物もまた、自己重合が可能であるため、反応混合物中でエポキシおよび/またはエン基を過剰に提供することが可能である。したがって、例えば、エポキシおよびエン基の当量当たり、硬化剤中わずかに0.1、わずかに0.25、またはわずかに0.5のチオール基の当量が提供され得る。
【0051】
幾つかの実施形態において、硬化剤の量は定比に近く、すなわち、チオールおよび/またはアミン水素当量の総数が、反応混合物へ提供されるエポキシおよびエン基の当量の合計数と多少近い。したがって、例えば、反応混合物中に存在するエポキシおよびエン基の当量当たり、0.75〜1.25当量、0.85〜1.15当量、または0.85〜1.05当量のチオール基が、硬化剤によって提供され得る。
【0052】
本反応混合物は、少なくとも1つの塩基性触媒を含有する。本発明の目的のために、塩基性触媒は、チオラートアニオンを形成するために、チオール基から水素を直接的または間接的に抜き出すことのできる化合物である。幾つかの実施形態において、塩基性触媒は、チオール基および/またはアミン水素を含有しない。好ましくは、触媒は、少なくとも5、好ましくは少なくとも10のpKaを有する材料である。
【0053】
触媒の有用な形式の中に、炭酸カリウムおよびカルボン酸カリウムが例である、強塩基と弱酸の塩、様々なアミン化合物、ならびに様々なホスフィン等の無機化合物が挙げられる。
【0054】
好適なアミン触媒としては、様々な第三級アミン化合物、例えば1,8−ジアザビシクロ−5.4.0−ウンデセン−7等の環状もしくは二環式アミジン化合物,第三級アミノフェノール化合物、ベンジル第三級アミン化合物、イミダゾール化合物、またはこれらのうち任意の2つ以上の混合物が挙げられる。
【0055】
第三級アミノフェノール化合物は、1個以上のフェノール基および1個以上の第三級アミノ基を含有する。第三級アミノフェノール化合物の例としては、モノ、ビス、およびトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ならびにこれらのうち2つ以上の混合物が挙げられる。ベンジル第三級アミン化合物は、第三級窒素原子を有する化合物であり、第三級窒素原子上の少なくとも1つの置換基がベンジルまたは置換ベンジル基である。有用なベンジル第三級アミン化合物の例は、N,N−ジメチルベンジルアミンである。
【0056】
イミダゾール化合物は、1つ以上のイミダゾール基を含有する。イミダゾール化合物の例としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−フェニル−4−ベンジルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−イソプロピルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−[2′−メチルイミダゾリル−(1)′]エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2′−エチルイミダゾリル−(1)′]エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2′−ウンデシルイミダゾリル−(1)′]エチル−s−トリアジン、2−メチルイミダゾリウム−イソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾリウム−イソシアヌル酸付加物、1−アミノエチル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ベンジル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、および前述のイミダゾール化合物のいずれかを脱水すること、またはそれらをホルムアルデヒドで凝縮することにより得られる、2つ以上のイミダゾール環を含有する化合物が挙げられる。
【0057】
他の有用な触媒としては、ホスフィン化合物、すなわち、一般式RPを有する化合物が挙げられ、ここでそれぞれのRはヒドロカルビル、または不活性置換ヒドロカルビルである。ジメチルフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン等が、このようなホスフィン触媒の例である。
【0058】
塩基性触媒は、触媒的に有効な量で存在する。好適な量は、典型的に、硬化剤中のチオールおよびアミン水素の当量当たり、触媒約0.01〜約10モルである。好まれる量は、硬化剤中のチオールおよびアミン水素の当量当たり、触媒0.5〜1モルである。
【0059】
前述の成分に加え、反応混合物は様々な他の材料を含有してよい。
【0060】
存在し得る他の材料の1つはフリーラジカル開始剤であり、特に、50〜160℃の、特に65〜120℃の、およびより好ましくは70〜100℃の範囲の温度に加熱された際フリーラジカルを生成する、熱分解性フリーラジカル開始剤である。このような熱分解性フリーラジカル開始剤化合物は、10分半減期温度、50〜120℃を有し得る。フリーラジカル開始剤の存在は、ポリエン化合物のエン基がカチオン性またはアニオン性メカニズムを介して容易に硬化可能でない場合に好まれ、エン基がビニル、ビニルアリール、またはアリルである場合よく起こる。
【0061】
フリーラジカル開始剤の存在は、二重メカニズム硬化が起こることを許容し得、ここでチオールとのエン反応がフリーラジカルメカニズムを介して起こり、エポキシ硬化がアニオン性(塩基触媒)メカニズムを介して起こる。所望されるならば、フリーラジカル開始剤によるフリーラジカルの形成を促進する条件へ反応混合物をまず供し、次いでエポキシ樹脂成分を硬化するのに十分な条件に供することにより、このような手法はエンおよびエポキシ反応が経時的に起こることを許容する。代わりに、例えば、熱活性化フリーラジカル開始剤を選択することと、フリーラジカル開始剤を活性化し、エポキシ硬化反応を促進するために十分な高温に、反応混合物を曝すこととにより、両方の硬化メカニズムが同時に起こり得る。
【0062】
あるエン化合物、特に末端アクリレートおよび/またはメタクリレートエン基を有するものは、フリーラジカルの存在下において単独重合し得る。したがって、幾つかの実施形態において、アクリレートおよび/またはメタクリレートエン基を有するエン化合物の過剰量(硬化剤中のチオールおよび/またはアミン基の量を超える)は、エン/チオールおよび/またはエン/アミン硬化反応に加えてエン化合物の単独重合のある程度の量を促進するために、フリーラジカル開始剤と併せて提供され得る。他の実施形態において、エン化合物は、例えば、フリーラジカル条件下で有意な程度には単独重合しないビニルおよび/またはアリルエン基を含有する。このような場合においても、フリーラジカル開始剤の存在は、エン基がチオールおよび/またはアミン基とフリーラジカルメカニズムを介して反応し、エポキシが塩基触媒メカニズムを介して硬化する、二重硬化メカニズムを許容するため、やはり有益であり得る。
【0063】
好適なフリーラジカル発生剤の例としては、例えば、ペルオキシ化合物(例えば、過酸化物、過硫酸塩、過ホウ酸塩、および過炭酸塩)、アゾ化合物、およびそれに類するものが挙げられる。具体的な例としては、過酸化水素、ジ(デカノイル)ペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルネオデカノエート、1,1−ジメチル−3−ヒドロキシブチルペルオキシド−2−エチルヘキサノエート、ジ(t−ブチル)ペルオキシド、t−ブチルペルオキシジエチルアセテート、t−ブチルペルオクトエート、t−ブチルペルオキシイソブチレート、t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルペルベンゾエート、t−ブチルペルオキシピバレート、t−アミルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、ラウロイルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、およびそれに類するものが挙げられる。
【0064】
フリーラジカル開始剤の有用な量は、エン化合物(複数可)の100重量部当たり、0.2〜10重量部である。
【0065】
別の任意の成分は、1つ以上の低当量重量エン化合物である。このような化合物(複数可)は、先に説明された1個以上のエン基を有し、例えばエン基当たり最大約450、好ましくは最大約250の当量重量を有し得る。このような低当量重量エン化合物は、例えば、低(最大125、好ましくは最大75)当量重量ポリオールを、3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート(TMI)もしくはイソシアネートエチルメタクリレート(IEM)等の不飽和イソシアネート化合物、ビニルベンジルクロリド等のエチレン性不飽和ハロゲン化合物、ビニルトリメトキシルシラン等のエチレン性不飽和シロキサン、エチレン性不飽和エポキシド化合物、またはヒドロキシアルキルアクリレートもしくはメタクリレートでキャップすることにより生成し得る。低当量重量エン化合物はまた、ポリイソシアネートを、好ましくはジイソシアネートを、ヒドロキシ基および先に説明されたエン基を有するイソシアネート反応性キャッピング化合物でキャップすることにより、生成され得る。他の有用な低当量重量エン化合物としては、ジビニルベンゼン等のジビニルアレーン化合物が挙げられる。
【0066】
本発明の幾つかの実施形態において、高および低当量重量エン化合物の混合物は、(1)ポリイソシアネートの過剰量を、任意に鎖延長剤の存在下で、イソシアネート終端ポリエーテル化合物未反応(単量体)ポリイソシアネートを含有する準プレポリマーを形成するために、ポリエーテルポリオールと反応させることと、次いで(2)イソシアネート基を、ヒドロキシ基および先に説明されたエン基を有するイソシアネート反応性キャッピング化合物でキャップすることと、により生成され得る。これは、高および低当量重量エン化合物の混合物を生成するために、プレポリマー分子および残存する単量体イソシアネート化合物をキャップする。
【0067】
反応混合物は、上に説明されたものに加えて、他の材料を含有してもよい。このような追加的な材料としては、例えば、1つ以上の着色剤、1つ以上の溶媒もしくは反応性希釈剤、1つ以上の酸化防止剤、1つ以上の保存剤、1つ以上の繊維、1つ以上の非繊維状粒状充填剤(ミクロンおよびナノ粒子を含む)、湿潤剤、およびそれに類するものが挙げられ得る。
【0068】
反応混合物は、好ましくは、イソシアネート化合物を実質的に含まない。このような化合物は、存在する場合は、反応混合物の重量の好ましくは最大で1%、より好ましくは最大で0.5%を構成する。最も好ましくは、反応混合物はイソシアネート化合物を測定可能な量で含有しない。
【0069】
硬化ステップは幾つかの方法で行われ得る。
【0070】
最も単純な方法において、出発物質は、単純に周囲温度で混ぜ合わされ、反応させられる。一般的に、硬化剤(複数可)を添加する前に、エン化合物(複数可)とエポキシ樹脂(複数可)を混ぜ合わすことが有益である。硬化剤を添加する前に、エン化合物とエポキシ樹脂を緊密に混合することが好まれる。この混合は、例えば高速実験室混合器または他の好適な装置を使用してなされ得る。エン化合物および/またはエポキシ樹脂(複数可)のいずれかが、周囲温度で固体である場合、材料は、混合を促進するために、加熱されて、溶解または軟化され得る。
【0071】
広範囲の硬化温度、例えば0〜180℃の温度等が使用され得る。
【0072】
出発物質を二成分系へ配合することが、しばしば都合がよい。第1の成分は、エン化合物(複数可)およびエポキシ樹脂(複数可)を含有し、第2の成分はチオール硬化剤(複数可)を含む。エンおよび/またはエポキシ化合物の早過ぎる反応を防ぐために、塩基性触媒をチオール化合物内へ配合することが一般的に好まれる。他の材料は、このような化合物が不必要にそれで反応することがないのであれば、2つの成分の片方または両方へ配合され得る。
【0073】
反応混合物は次いで、基材へ適用され、ならびに/あるいは硬化が起こる鋳型または他の容器内へ導入される。
【0074】
多くの場合において、硬化は、室温(約20℃)で進行し、このような場合の硬化は外部エネルギーの適用無しに成し遂げられる。このような場合において、硬化剤は、周囲温度で、エン化合物(複数可)およびエポキシ樹脂(複数可)と単純に混合され得、結果として得られる混合物は硬化可能である。硬化反応は一般的に発熱性であり、対応する温度の上昇が起こり得る。
【0075】
より速い、ならびに/またはより完全な硬化が、より高い温度で確認され、この理由から、幾つかの実施形態において、反応混合物を加熱することが望ましい場合がある。例えば、(a)他の材料と混合して反応混合物を形成する前に、1つ以上の出発物質を加熱すること、および/または(b)原材料を混ぜ合わせることにより反応混合物を形成した後に、それを加熱することにより、これはなされ得る。高熱での硬化が行われる場合、好適な硬化温度は35〜180℃である。より好まれる硬化温度は50〜120℃であり、更により好まれる硬化温度は50〜90℃である。
【0076】
幾つかの実施形態において、硬化は、反応混合物をフリーラジカルおよび/またはフリーラジカルを発生させる条件に曝すことにより行われ得る。これは、所望されるならば、高温硬化を行うことに加えてなされ得るフリーラジカルは、様々な方法で提供され得る。幾つかの実施形態において、反応混合物は、光源、好ましくは水銀放電灯またはUV生成LED等の紫外線光源に曝される。紫外線光源は、例えば、10mW/cm〜10W/cmの強さのUV照射を提供し得る。他の実施形態において、反応混合物はプラズマに曝される。更なる他の実施形態において、フリーラジカルは、先に説明されたように、フリーラジカル開始剤を分解することにより生成される。この最後の場合、フリーラジカルは、反応混合物を高温に曝すことにより熱的に生成され得、それによりフリーラジカル硬化メカニズムを促進し、エポキシ樹脂(複数可)の硬化剤との反応を加速させる。
【0077】
フリーラジカル条件は、エン−チオール硬化反応を促進するものの、エポキシ硬化反応は促進しない傾向にある。それ故、フリーラジカル硬化が行われる場合でも、エポキシ硬化反応のための触媒を提供することが通常必要である。
【0078】
幾つかの場合、特にエン化合物がアクリレートおよび/またはメタクリレートエン基を含有する場合、フリーラジカル条件はまた、エン化合物(複数可)の単独重合を促進し得る。このような単独重合を促進することが所望される場合、反応混合物は、アクリレートおよび/またはメタクリレートエン基を有する少なくとも1つのエン化合物を好ましくは含み、また、硬化剤の量に応じてエンおよびエポキシ基の過剰量を、例えば硬化剤中のチオールおよびアミン基当量当たり、少なくとも1.25、最大10ものエンおよびエポキシ基当量を、好ましくは含む。エンの単独重合が所望されない場合、エン化合物は、アクリレートおよびメタクリレート基等の、フリーラジカル条件下で単独重合するエン基を持たないことが好まれる。
【0079】
硬化したポリマーは弾性を持つ。それは、ASTM D1708に従って決定される、少なくとも50%の、好ましくは少なくとも100%の破断伸び率を典型的に有する。破断伸び率は1000%以上であり得る。典型的な伸び率は100〜400%、特に100〜250%である。引張強度はしばしば少なくとも2000kPa(約300psi)であり、幾つかの実施形態において少なくとも3500kPa(約500psi)であり、特に好まれる実施形態において少なくとも7000kPa(約1000psi)である。引張強度は28000kPa(約4000psi)以上の場合もあるが、より典型的に最大21000kPa(約3000psi)であり、または最大14000kPa(約2000psi)である。より硬い弾性体も生成され得るが、多くの実施形態において、弾性体は、60〜95の、より典型的に70〜95の、および更により典型的に70〜90のショアA硬度を有する。本発明の利点は、出発物質の選択、出発物質の比率、およびある程度の硬化の様式を通じて、特性が適合され得ることである。
【0080】
本発明の方法および弾性体は、広範な分野のコーティング、接着剤、シーラント、ならびにシールおよびガスケット等の弾性材料の作製に大変適している。これらの生成物の例としては、タイヤ、シール、ガスケット、管材料、可撓管およびホース、機械設備のためのスリーブおよび覆い、空気管理ダクト、仕切版、多くの基材のための保護コーティング、靴底、ホイール、衝撃吸収剤、コーキング材およびシーラント、柔軟性スペーサ、ならびに幅広い分野の緩衝製品が挙げられる。本発明は、コーティング、接着剤、シーラント、または弾性材料が、使用される場所で形成される、現場内用途に関して大変好適である。
【0081】
下記の実施例は本発明を説明するために提供されるものであり、その範囲を制限しない。全ての部およびパーセントは、特に指示の無い限り、重量によるものである。
【実施例】
【0082】
A.アクリレート末端ポリエーテルの合成
74.5g(428ミリモル)のトルエンジイソシアネート(TDI、2,4−および2,6−異性体の80/20混合物)を、乾燥した、塔頂攪拌機、温度制御プローブ、添加漏斗、および窒素入口を備える2L四つ首丸底フラスコに装入する。フラスコおよびその内容物を80℃へ加熱し、827g(207ミリモル)の、分子量4000、名目官能価2の、7μ当量/gの末端不飽和を有する、ポリ(プロピレンオキシド)ジオールを添加する。溶液を、ジオールを添加した後、30分間撹拌する。一滴のジブチル錫ジラウレートを添加し、反応を更に2時間撹拌する。生成物は、滴定により決定された、2.04重量%のイソシアネート含量を有する、イソシアネート末端プレポリマーである。
【0083】
881.2グラムのプレポリマーを、45℃の温度にする。54.3g(467.6ミリモル)のヒドロキシエチルアクリレート(95%)および一滴のジブチル錫ジラウレートを添加する。FT−IRによる観測で測定可能なイソシアネート基が残存しなくなるまで、反応混合物を45℃で撹拌する。結果として得られる生成物は、分子当たり2つの末端アクリレート(−O−C(O)−CH=CH)基でキャップされたポリエーテルである。
【0084】
B.相セグメント化弾性体の生成
150.00gの、Aにおいて生成されたアクリレート末端ポリエーテル、および100.00gの180エポキシ当量重量のビスフェノールAのジグリシジルエーテル(D.E.R.383、The Dow Chemical Companyから)を、高速実験室混合物で均一になるまで混合する。別個に、84gのトリメチロールプロパントリス(メルカプトプロピオネート)(Sigma Aldrich technical grade)を、318mg(チオール基に基づいて0.33モル%)の1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス−7−エン(DBU、Sigma Aldrich technical grade)と混合する。次いで、チオール/触媒混合物をアクリレート末端プレポリマー/エポキシ樹脂混合物と、透明な混合物を生成するように、高速混合器で混合する。出発物質のこれらの割合は、アクリレートおよびエポキシ基の合計当量当たり、約1.15当量のチオール基を提供する。混合物の一部を、50℃に温められた鋳型に注ぎ込む。次いで、満たされた鋳型を、夜通し50℃のオーブン内に置く。タックフリーのプラークが得られる。硬化したプラークは、先に説明された計算で、25重量%の硬化したエポキシ樹脂を含有する。
【0085】
プラークは、8950kPa(約1300psi)の引張強度および138%の破断伸び率(それぞれ、ASTM D1708により測定)を有する。ショアA硬度は90である。
【0086】
硬化したプラークの10mgの試料を、試料を−90℃で平衡化し、10℃/分の速度で200℃まで加熱することにより、示差走査熱量測定で評価する。2つのガラス転移温度が導き出され、1つは約−50℃で、2つ目は約25℃である。
【0087】
硬化したプラークの10cm×10cm断片を、脱イオン水中に置き、14日間70℃に加熱する。次いで試料を乾燥し、その引張強度、伸び率、およびショアA硬度を測定する。引張強度は7764kPa(1126psi)であり、たった13%の低減である。伸び率は186%である。ショアA硬度は実質的に変化しない。試料は、一貫して、水とほとんど反応せず、ならびに/または水をほとんど吸収せず、質量において2.5%増加するだけである。
【0088】
この系はまた、より長い硬化時間が必要となるものの、室温で硬化して、類似の特性を有する弾性体を形成する。
【0089】
実施例2〜5
実施例2を生成するため、上の実施例1Aにおける150.00gのアクリレート末端ポリエーテル、および100.00gの180エポキシ当量重量のビスフェノールAのジグリシジルエーテル(D.E.R.383、The Dow Chemical Companyから)を、高速実験室混合物で均一になるまで混合する。別個に、84gのトリメチロールプロパントリス(メルカプトプロピオネート)(Sigma Aldrich technical grade)を、0.45モル%(トリメチロールプロパントリス(メルカプトプロピオネート)に基づいて)の1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス−7−エン(DBU、Sigma Aldrich technical grade)と混合する。次いで、チオール/触媒混合物をアクリレート末端プレポリマー/エポキシ樹脂混合物と、透明な混合物を生成するように、高速混合器で混合する。約20グラムをシンチレーションバイアルに注ぎ込み、密封し、断熱発泡体のブロック内に置く。反応混合物の温度を、発熱性硬化反応により発生するピーク温度、ならびにピーク発熱温度に到達するまでに必要な時間を決定するために、熱電対で監視する。約10分後に、110℃のピーク発熱温度に達する。
【0090】
DBU触媒の量を0.33モル%に低減することを除き、同じ様式で実施例3を行う。約20〜25分後に、85℃のピーク発熱温度に達する。これは、実施例2と比べて、このより低い触媒水準で、大変緩徐な硬化であることを指し示す。
【0091】
実施例4に関して、DBU触媒を1モル%のジメチルフェニルホスフィン(DMPP)と置き換える。約6分後に、111℃のピーク発熱温度に達する。実施例5に関して、DBU触媒を0.5モル%のDMPPと置き換える。約2〜1/2分後に、118℃のピーク発熱温度に達する。これらの実施例において、DMPPが、DBUより大変速い硬化を提供することが分かる。
【0092】
実施例6〜8
実施例2を3回繰り返し、毎回DBU触媒を1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)と置き換える。実施例6〜8に関して、それぞれ0.33、0.25、および0.22モルパーセントのトリエチレンジアミン触媒(ポリチオールに基づいて)を使用する。これらの水準のそれぞれで、トリエチレンジアミン触媒は、ほとんど発熱が確認されない、あるいは全く確認されない誘導期間を提供し、その後、強い硬化反応を指し示す、急激な温度上昇が続く。実施例6に関して、ほぼ15分間、ほとんど発熱は確認されず、次いで温度が、約21分後の111℃のピーク発熱まで急激に上昇する。実施例7に関して、ほぼ60分間、温度は40℃に達せず、約62分後に約87℃のピーク発熱が確認される。実施例8に関して、40℃に達するまでの時間は80分を超え、ほぼ110分後に約72℃のピーク発熱が確認される。
【0093】
実施例9
上の実施例1Aにおいて生成された200.00gのアクリレート末端ポリエーテル、および100.00gの180エポキシ当量重量のビスフェノールAのジグリシジルエーテル(D.E.R.383、The Dow Chemical Companyから)を、高速実験室混合物で均一になるまで混合する。別個に、64.96gのペンタエリスリトールテトラ(メルカプトアセテート)(Sigma Aldrich technical grade)を、300mgの1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス−7−エン(DBU、Sigma Aldrich technical grade)と混合する。次いで、チオール/触媒混合物を、実施例1Bにおいて説明された様式で混合および硬化する。
【0094】
プラークは、6550kPa(約950psi)の引張強度および164%の破断伸び率パーセント(ASTM D1708により測定)を有する。ショアA硬度は70である。
【0095】
実施例1と同様に、この試料もまた室温で硬化可能である。
【0096】
実施例10
304.7グラムの、実施例1Aにおいて説明されたイソシアネート末端プレポリマーを、45℃の温度にする。9.25gのアリルアルコールおよび一滴のジブチル錫ジラウレートを添加する。FT−IRによる観測で測定可能なイソシアネート基が残存しなくなるまで、反応混合物を45℃で撹拌する。結果として得られる生成物は、分子当たり2つの末端アリルエーテル(−O−CH−CH=CH)基でキャップされたポリエーテルである。
【0097】
相セグメント化弾性体を、実施例2において説明された一般的な様式で、15gのアリル末端ポリエーテル、10.00gの180エポキシ当量重量のビスフェノールAのジグリシジルエーテル(D.E.R.383、The Dow Chemical Companyから)、8.35gのトリメチロールプロパントリス(メルカプトプロピオネート)(Sigma Aldrich technical grade)、32mg(トリメチロールプロパントリス(メルカプトプロピオネート)に基づいて1モル%)の1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス−7−エン(DBU、Sigma Aldrich technical grade)、および333mgのt−ブチルペルオキシドを成分として使用して作製する。混合物を、80℃のオーブン内で夜通し硬化する。
【0098】
t−ブチルペルオキシドは硬化温度で分解して、フリーラジカルを形成する。結果として、この系は、フリーラジカル硬化(エン基およびチオール基間の)、および塩基によって触媒される硬化(エポキシ基およびチオール基間の)の両方を為すと考えられる。エン/チオール反応の一部もまた、塩基によって触媒され得る。生成物は、9200kPa(1335psi)の引張強度および200%の破断伸び率を有する。材料は、2つのガラス転移温度を提示し、1つは34℃で、1つは約−50℃である。
【0099】
原子間力顕微鏡法を用いて、結果として得られた弾性体の顕微鏡写真を撮影する。二相材料が確認され、ここで硬化したエポキシ樹脂は、主にポリエーテルからなる連続相中に分散する、主に0.5〜1mmの相の形である。
【0100】
この系もまた室温で硬化可能である。
【0101】
実施例11〜14
末端アクリレート基当たり1947の当量重量を有するアクリレート末端ポリエーテルを、実施例1Aにおいて説明された一般的な様式で作製する。弾性体実施例11〜14を、下の表1において明示される配合を使用し、このアクリレート末端ポリエーテルから作製する。それぞれの場合において、アクリレート末端ポリエーテルを、エポキシ樹脂と、高速実験室混合物で混合し、次いでチオールおよび触媒の混合物を撹拌混合する。結果として得られた混合物の一部を、50℃に温められた鋳型に注ぎ込む。次いで、満たされた鋳型を、夜通し50℃のオーブン内に置く。タックフリーのプラークが得られる。引張強度、伸び率、引張係数、およびショアA硬度は、表1において報告される通りである。
【0102】
【表1】
【0103】
これらの系もまた室温で硬化可能である。
【0104】
実施例15〜18
末端アクリレート基当たり1947の当量重量を有するアクリレート末端ポリエーテルを、実施例1Aにおいて説明された一般的な様式で作製する。弾性体実施例15〜18を、下の表2において明示される配合を使用し、このアクリレート末端ポリエーテルから作製する。それぞれの場合において、アクリレート末端ポリエーテルを、エポキシ樹脂と、高速実験室混合物で混合し、次いでチオールおよび触媒の混合物を撹拌混合する。結果として得られた混合物の一部を、50℃に温められた鋳型に注ぎ込む。次いで、満たされた鋳型を、夜通し80℃のオーブン内に置く。引張強度、伸び率、引張係数、およびショアA硬度は、表2において報告される通りである。
【0105】
【表2】
【0106】
弾性体実施例17の耐摩耗性を、1kg重およびH22ホイールを備えるTaber摩擦試験機で、1000サイクルに関して評価する。実施例17の失った質量は100mg未満である。
【0107】
これらの系は全て室温で硬化可能である。
【0108】
実施例19〜21
末端アクリレート基当たり1230の当量重量を有するアクリレート末端ポリエーテルを、実施例1Aにおいて説明された一般的な様式で、分子量2000のポリ(テトラメチレンオキシド)ジオールを、トルエンジイソシアネートでキャップして、イソシアネート末端プレポリマーを形成し、次いでイソシアネート基をヒドロキシエチルアクリレートでキャップすることにより、作製する。
【0109】
弾性体実施例19〜21を、下の表3において明示される配合を使用し、このアクリレート末端ポリエーテルから作製する。それぞれの場合において、アクリレート末端ポリエーテルを、エポキシ樹脂と、高速実験室混合物で混合し、次いでチオールおよび触媒の混合物を撹拌混合する。結果として得られた混合物の一部を、50℃に温められた鋳型に注ぎ込む。次いで、満たされた鋳型を、夜通し50℃のオーブン内に置く。タックフリーのプラークが得られる。引張強度および伸び率は、表3において報告される通りである。
【0110】
【表3】
【0111】
前と同様、これらの系は全て室温で硬化可能である。
【0112】
実施例22〜25
末端アクリレート基当たり1230の当量重量を有するアクリレート末端ポリエーテルを、実施例1Aにおいて説明された一般的な様式で、分子量2000のポリ(テトラメチレンオキシド)ジオールを、トルエンジイソシアネートでキャップして、イソシアネート末端プレポリマーを形成し、次いでイソシアネート基をヒドロキシエチルアクリレートでキャップすることにより、作製する。
【0113】
弾性体実施例22〜25を、下の表4において明示される配合を使用し、このアクリレート末端ポリエーテルから作製する。それぞれの場合において、アクリレート末端ポリエーテルを、エポキシ樹脂と、高速実験室混合物で混合し、次いでチオールおよび触媒の混合物を撹拌混合する。結果として得られた混合物の一部を、50℃に温められた鋳型に注ぎ込む。次いで、満たされた鋳型を、夜通し50℃のオーブン内に置く。タックフリーのプラークが得られる。引張強度および伸び率は、表4において報告される通りである。
【0114】
【表4】
【0115】
前と同様、これらの系は室温で硬化可能である。
【0116】
実施例26〜29
弾性体実施例26〜29を、下の表5において明示される配合を使用し、アクリレート末端ポリエーテルから作製する。それぞれの場合において、アクリレート末端ポリエーテルを、エポキシ樹脂と、高速実験室混合物で混合し、次いでチオールおよび触媒の混合物を撹拌混合する。結果として得られた混合物の一部を、50℃に温められた鋳型に注ぎ込む。次いで、満たされた鋳型を、約3日間50℃のオーブン内に置く。それぞれの場合において、タックフリーのプラークが得られる。引張強度および伸び率は、表5において報告される通りである。
【0117】
【表5】
【0118】
実施例30〜33
末端アクリレート基当たり2496の当量重量を有するアクリレート末端ポリエーテルを、実施例1Aにおいて説明された一般的な様式で、分子量6000の20%エチレンオキシドキャップ化ポリ(プロピレンオキシド)トリオールを、TDIでキャップして、イソシアネート末端プレポリマーを形成し、次いでイソシアネート基をヒドロキシエチルアクリレートでキャップすることにより、作製する。
【0119】
弾性体実施例30〜33を、下の表6において明示される配合を使用し、このアクリレート末端ポリエーテルから作製する。それぞれの場合において、アクリレート末端ポリエーテルを、エポキシ樹脂と、高速実験室混合物で混合し、次いでチオールおよび触媒の混合物を撹拌混合する。結果として得られた混合物の一部を、50℃に温められた鋳型に注ぎ込む。次いで、満たされた鋳型を、夜通し50℃のオーブン内に置く。タックフリーのプラークが得られる。引張強度および伸び率は、表7において報告される通りである。
【0120】
【表6】
【0121】
実施例34〜39
末端アクリレート基当たり1968の当量重量を有するアクリレート末端ポリエーテルを、実施例1Aにおいて説明された一般的な様式で、20%エチレンオキシドキャップを持つ、4000ダルトンのポリ(プロピレンオキシド)ジオールを、TDIでキャップして、イソシアネート末端プレポリマーを形成し、次いでイソシアネート基をヒドロキシエチルアクリレートでキャップすることにより、作製する。
【0122】
弾性体実施例34〜39を、下の表7において明示される配合を使用し、このアクリレート末端ポリエーテルから作製する。それぞれの場合において、アクリレート末端ポリエーテルを、エポキシ樹脂、およびポリ(プロピレンオキシド)系ジアクリレート(実施例1と同様)の可変量と、高速実験室混合物で混合し、次いでチオールおよび触媒の混合物を撹拌混合する。結果として得られた混合物の一部を、50℃に温められた鋳型に注ぎ込む。次いで、満たされた鋳型を、夜通し50℃のオーブン内に置く。それぞれの場合において、タックフリーのプラークが得られる。引張強度および伸び率は、表7において報告される通りである。
【0123】
【表7】
【0124】
これらの系もまた室温で硬化可能である。
【0125】
実施例40〜43
実施例40を、上の実施例1Bにおいて調製されたアクリレート末端ポリエーテル6グラムと、下の構造を有する低分子量ポリエン化合物4グラムと、
【0126】
【化4】
【0127】
D.E.R.383エポキシ樹脂10グラムと、を、均一になるまで混合することによって調製する。別個に、9.86gのトリメチロールプロパントリス(メルカプトプロピオネート)を37mgのDBUと混合する。混合物を、実施例1において説明されたように混ぜ合わせ、硬化する。
【0128】
DBU触媒の代わりにジメチルフェニルホスフィンを用いることを除き、同じ様式で実施例41を調製する。
【0129】
アクリレート末端ポリエーテルの量を8グラムに増加し、低分子量ポリエン化合物の量を2グラムに低減することを除き、実施例40と同じ様式で実施例42を調製する。
【0130】
DBU触媒の代わりにジメチルフェニルホスフィンを用いることを除き、実施例42と同じ様式で実施例43を調製する。
【0131】
物性測定の結果は、表8において示されている通りである。
【0132】
【表8】
【0133】
実施例44および45
アクリレート末端プレポリマーを作製し、実施例1Aにおいて説明されたようにヒドロキシエチルアクリレートでキャップして、エン末端ポリエーテルを形成する。この材料を使用して、下に説明される実施例44を作製する。
【0134】
この場合におけるポリエーテルは、より高い不飽和で(140μ当量/g)、分子量4000のポリ(プロピレンオキシド)ジオールであることを除き、同様にエン末端ポリエーテルを作製する。この材料を使用して、下に説明される実施例45を作製する。
【0135】
実施例44および45のそれぞれを作製するため、75部のアクリレート末端ポリエーテル、および50部の180エポキシ当量重量のビスフェノールAのジグリシジルエーテル(D.E.R.383、The Dow Chemical Companyから)を、高速実験室混合物で均一になるまで混合する。別個に、99.4部の2,3−ビス((2−メルカプトエチル)チオ)−1−プロパンチオール、および0.6部の1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス−7−エン(DBU、Sigma Aldrich technical grade)を混合する。次いで、アクリレート末端プレポリマー/エポキシ樹脂混合物を、チオール/触媒混合物と、6.45:1の重量比で、透明な混合物を生成するように、高速混合器で混合する。混合物の一部を、50℃に温められた鋳型に注ぎ込む。次いで、満たされた鋳型を、夜通し50℃のオーブン内に置く。タックフリーのプラークが得られる。
【0136】
実施例45は、2.7MPaの引張強度および154%の破断伸び率を有する。実施例
44は、3.5MPaの引張強度および277%の破断伸び率を有する。実施例45と比
較して、実施例44のより高い引張強度は、低不飽和ポリエーテルポリオール出発物質の
使用によるものだと考えられる。ポリエーテルポリオールにおける、したがってエン末端
ポリエーテルにおける、単官能性種のより少ない量は、硬化した弾性体内の鎖欠陥の発生
を低減し、これが引張強度を増加し、この場合においては伸び率も増加させたと考えられ
る。
上記の開示によって提供される発明として、以下のものが挙げられる。
[1] 弾性ポリマーを形成する方法であって、a)1)チオール基と反応可能である脂肪族炭素−炭素二重結合を含有する、平均で少なくとも2つの基を有する、少なくとも1つのポリエン化合物であって、前記脂肪族炭素−炭素二重結合のうちの少なくとも1つが、少なくとも1000原子質量単位の重量を有する脂肪族スペーサ基によって、互いに前記脂肪族炭素−炭素二重結合から分離される、ポリエン化合物と、2)成分1)の100重量部当たり20〜150重量部の、分子当たり平均で少なくとも1.5個のエポキシ基および最大1000のエポキシ当量重量を有する、少なくとも1つのエポキシ樹脂と、3)少なくとも2つのチオール基を有する、少なくとも1つの硬化剤と、4)少なくとも1つの塩基性触媒と、を含有する反応混合物を形成することと、b)前記反応混合物を硬化して、前記高分子弾性体を形成することと、を含む、方法。
[2] 前記脂肪族スペーサ基が、少なくとも2000原子質量単位の重量を有する少なくとも1つのポリ(アルキレンオキシド)鎖を含む、[1]に記載の方法。
[3] 前記エポキシ樹脂が、最大250のエポキシ当量重量を有する、[1]または[2]のいずれかに記載の方法。
[4] 前記硬化剤が、2〜4個のチオール基を含有する少なくとも1つのポリチオール化合物、またはそれぞれが2〜4個のチオール基を含有する2つ以上のポリチオール化合物の混合物を含み、前記ポリチオール化合物(複数可)が、50〜250のチオール当量重量を有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5] 前記塩基触媒が、少なくとも1つの第三級アミン化合物、少なくとも1つの環状アミジン触媒、少なくとも1つの第三級ホスフィン化合物、またはこれらのうち任意の2つ以上の混合物を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6] 前記反応混合物が、少なくとも1つの熱分解性フリーラジカル開始剤化合物を更に含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の方法。
[7] 前記硬化剤が、前記反応混合物中に存在するエポキシおよびエン基の当量当たり、0.75〜1.25当量のチオール基を提供する、[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。
[8] 前記末端脂肪族炭素−炭素二重結合が、ビニル(−CH=CH)基である、[1]〜[7]のいずれかに記載の方法。
[9] 前記末端脂肪族炭素−炭素二重結合が、アクリレート基である、[1]〜[8]のいずれかに記載の方法。
[10] ステップb)が、0〜180℃の温度で行われる、[1]〜[9]のいずれかに記載の方法。
[11] ステップb)が、前記ポリエンおよびチオール硬化剤のフリーラジカル反応と、前記エポキシ樹脂およびチオール硬化剤間の塩基触媒反応と、を含む、[1]〜[10]のいずれかに記載の方法。
[12] 前記ポリエン化合物が、4000〜8000の分子量および分子当たり2〜6個のエン基を有する、エン末端ポリエーテルである、[1]〜[11]のいずれかに記載の方法。
[13] [1]〜[12]のいずれかに従って作製される弾性ポリマー。
[14] 少なくとも50%の破断伸び率および少なくとも3500kPaの引張強度を有する、[13]に記載の弾性ポリマー。
[15] −20℃以下のガラス転移温度を有する連続相および少なくとも20℃のガラス転移温度を有する分散相を有し、前記連続相が前記ポリエンと前記チオール硬化剤の一部との反応生成物を含み、前記分散相が前記エポキシ樹脂と前記チオール硬化剤との反応生成物を含む、[13]または[14]に記載の弾性ポリマー。
[16] −20℃以下のガラス転移温度を有する連続相および少なくとも20℃のガラス転移温度を有する分散相を有し、前記連続相がポリエンとチオール硬化剤との反応生成物を含み、前記分散相がエポキシ樹脂とチオール硬化剤との反応生成物を含む、弾性ポリマー。
[17] 少なくとも50%の破断伸び率および少なくとも3500kPaの引張強度を有する、[16]に記載の弾性ポリマー。
[18] 少なくとも100%の破断伸び率を有する、[17]に記載の弾性ポリマー。