(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6607788
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】蓄冷機能付きエバポレータ
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20191111BHJP
F28D 20/00 20060101ALI20191111BHJP
F25B 39/02 20060101ALI20191111BHJP
【FI】
F25B1/00 321C
F28D20/00 B
F25B39/02 Z
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-4103(P2016-4103)
(22)【出願日】2016年1月13日
(65)【公開番号】特開2017-125636(P2017-125636A)
(43)【公開日】2017年7月20日
【審査請求日】2018年11月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】512025676
【氏名又は名称】株式会社ケーヒン・サーマル・テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(72)【発明者】
【氏名】鴨志田 理
【審査官】
石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−83911(JP,A)
【文献】
特開2015−148404(JP,A)
【文献】
特開2011−12947(JP,A)
【文献】
特開2015−200477(JP,A)
【文献】
特開2012−137199(JP,A)
【文献】
特開2012−42167(JP,A)
【文献】
特開2011−6058(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F25B 39/02
F28D 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向を上下方向に向けるとともに幅方向を通風方向に向けた複数の扁平状冷媒流通管、蓄冷材が封入された蓄冷材容器およびフィンを有する熱交換コア部を備えており、熱交換コア部において、通風方向に間隔をおいて配置された2つの冷媒流通管からなる管組が左右方向に間隔をおいて複数配置されることにより、左右方向に隣り合う管組どうしの間に間隙が形成され、全間隙のうちの一部でかつ複数の第1間隙に、蓄冷材容器が左右の管組の両冷媒流通管に跨って接するように配置され、全間隙のうちの残部である複数の第2間隙に、フィンが左右の管組の両冷媒流通管に跨って接するように配置され、蓄冷材容器が配置された第1間隙の少なくとも左右両側にフィンが配置された第2間隙が位置しており、蓄冷材容器が、長手方向を上下方向に向けるとともに幅方向を通風方向に向けた扁平状であり、第1間隙を構成する左右の管組の風上冷媒流通管と蓄冷材容器との間に第1通風路が設けられるとともに、第1間隙を構成する左右の管組の風下冷媒流通管と蓄冷材容器との間に第1通風路に通じる第2通風路が設けられている蓄冷機能付きエバポレータにおいて、
第1間隙の第1通風路の通風抵抗が、左右に隣接する第2間隙の通風抵抗よりも高くなっているとともに、第1間隙の第2通風路の通風抵抗が、左右に隣接する第2間隙の通風抵抗よりも低くなっており、第1間隙の第2通風路と左右に隣接する第2間隙とが、第1間隙を構成する左右の管組における両冷媒流通管どうしの間の空隙を介して通じさせられている蓄冷機能付きエバポレータ。
【請求項2】
蓄冷材容器が、第1間隙を構成する左右の管組の風上冷媒流通管どうしの間に位置する第1部分、第1間隙を構成する左右の管組の風下冷媒流通管どうしの間に位置する第2部分、および第1部分と第2部分とを連結しかつ第1間隙を構成する左右の管組の両冷媒流通管どうしの間の空隙間に位置する第3部分よりなり、第2部分が、左右両風下冷媒流通管どうしの間隔よりも左右方向の厚みが小さくかつ左右両風下冷媒流通管どうし間の中間部に位置する本体部と、当該本体部の左右両側壁に点在するように外方膨出状に設けられ、かつ膨出端部が風下冷媒流通管に接している複数の凸部とを有し、第3部分が、第2部分の本体部の風上側に連なるとともに左右両風下冷媒流通管どうしの間隔よりも左右方向の厚みが小さく、かつ左右の管組の両冷媒流通管どうしの間の空隙における通風方向の少なくとも一部に位置する薄肉部を有しており、第2通風路が、蓄冷材容器の第2部分の本体部と左右両風下冷媒流通管との間に、凸部間を縫うように形成され、蓄冷材容器の第3部分の薄肉部の左右両側に、第1間隙の第2通風路と、第1間隙を構成する左右の管組における両冷媒流通管どうしの間の空隙とを通じさせる連通路が形成されている請求項1記載の蓄冷機能付きエバポレータ。
【請求項3】
蓄冷材容器の第1部分が、左右方向の厚みが左右両風上冷媒流通管どうしの間隔よりも小さくかつ第2部分の本体部および第3部分の薄肉部よりも大きい本体部と、本体部の左右両側壁に外方に膨出するように設けられ、かつ長手方向を上下方向に向けるとともに膨出端部が風上冷媒流通管に接している遮風凸部とを有し、遮風凸部の上下両端が、第2間隙に配置されたフィンの上下両端の近傍に位置しており、第1通風路が、蓄冷材容器の第1部分と左右両風上冷媒流通管との間でかつ遮風凸部の上下両側に形成されている請求項1または2記載の蓄冷機能付きエバポレータ。
【請求項4】
蓄冷材容器の第3部分の遮風凸部の上下両端が、第2間隙に配置されたフィンの上下両端と同一高さ位置にある請求項3記載の蓄冷機能付きエバポレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、停車時に圧縮機の駆動源であるエンジンを一時的に停止させる車両のカーエアコンに用いられる蓄冷機能付きエバポレータに関する。
【0002】
この明細書および特許請求の範囲において、
図1〜
図3、
図5および
図6に矢印Xで示す通風方向の上流側から見た上下、左右(
図1の上下、左右)を上下、左右というものとする。
【背景技術】
【0003】
近年、環境保護や自動車の燃費向上などを目的として、信号待ちなどの停車時にエンジンを自動的に停止させる自動車が提案されている。
【0004】
しかしながら、通常のカーエアコンにおいては、エンジンを停止させると、エンジンを駆動源とする圧縮機が停止するので、エバポレータに冷媒が供給されなくなり、冷房能力が急激に低下するという問題がある。
【0005】
そこで、このような問題を解決するために、エバポレータに蓄冷機能を付与し、エンジンが停止して圧縮機が停止した際に、エバポレータに蓄えられた冷熱を放冷して車室内を冷却することが考えられている。
【0006】
この種の蓄冷機能付きエバポレータとして、長手方向を上下方向に向けるとともに幅方向を通風方向に向けた複数の扁平状冷媒流通管、蓄冷材が封入された蓄冷材容器およびアウターフィンを有する熱交換コア部を備えており、熱交換コア部において、通風方向に間隔をおいて配置された2つの冷媒流通管からなる管組が左右方向に間隔をおいて複数配置されることにより、左右方向に隣り合う管組どうしの間に間隙が形成され、全間隙のうちの一部でかつ複数の第1間隙に、長手方向を上下方向に向けるとともに幅方向を通風方向に向けた蓄冷材容器が左右の管組の両冷媒流通管に跨って接するように配置され、全間隙のうちの残部である複数の第2間隙に、アウターフィンが左右の管組の両冷媒流通管に跨って接するように配置され、蓄冷材容器が配置された第1間隙の少なくとも左右両側にアウターフィンが配置された第2間隙が位置しており、蓄冷材容器が、左右両風下冷媒流通管どうしの間隔よりも左右方向の厚みが小さく、かつ通風方向の全幅にわたって左右方向の厚みが等しくなっている本体部と、本体部の左右両側壁に外方に膨出するとともに点在するように設けられ、かつ膨出端部が風上冷媒流通管および風下冷媒流通管に接している複数の凸部とを有し、第1間隙を構成する左右の管組の風上冷媒流通管と蓄冷材容器との間に第1通風路が凸部を縫うように設けられるとともに、第1間隙を構成する左右の管組の風下冷媒流通管と蓄冷材容器との間に第1通風路に通じる第2通風路が凸部を縫うように設けられている蓄冷機能付きエバポレータが提案されている(特許文献1参照)。
【0007】
特許文献1記載の蓄冷機能付きエバポレータによれば、圧縮機が作動している通常の冷房時には、冷媒流通管内を流れる冷媒の有する冷熱が、蓄冷材容器の両側壁の凸部の膨出端部から蓄冷材容器内の蓄冷材に伝わって蓄冷材に冷熱が蓄えられるようになっている。一方、圧縮機が停止した際には、蓄冷材容器内の蓄冷材に蓄えられた冷熱が蓄冷材容器の両側壁に伝えられ、ついで凸部の膨出端部を経て冷媒流通管に伝えられ、冷媒流通管を通って蓄冷材容器が配置された第1間隙の両隣の第2間隙に配置されたアウターフィンに伝えられ、アウターフィンから当該第2間隙を流れる空気に放冷されるようになっている。
【0008】
ところで、特許文献1記載の蓄冷機能付きエバポレータにおいては、通常の冷房時である蓄冷時および放冷時における蓄冷材容器内の蓄冷材と冷媒流通管との間の熱伝達性の向上は、蓄冷材容器の凸部の数を増やすことによって達成することができるが、この場合、第1間隙の第1通風路および第2通風路での通風抵抗が高くなり、通常の冷房時の冷却性能が低下するおそれがある。これとは逆に、第1間隙の第1通風路および第2通風路での通風抵抗を低くするには凸部の数を減らせばよいが、この場合、蓄冷時および放冷時における蓄冷材容器内の蓄冷材と冷媒流通管との間の熱伝達性が低下し、十分な蓄冷性能および放冷性能を得ることができないおそれがある。しかも、蓄冷材容器の凸部の数を減らすと、第1間隙の第1通風路および第2通風路を通る空気量が増えるが、通常の冷房時においては第1間隙の第1通風路および第2通風路を通る空気と冷媒流通管を流れる冷媒との熱交換性能は、アウターフィンが配置されている第2間隙を通る空気と冷媒流通管を流れる冷媒との熱交換性能に比べて著しく劣るので、通常の冷房時の冷却性能が低下するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2011−12947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この発明の目的は、上記問題を解決し、通常の冷房時の冷却性能の低下を抑制した上で蓄冷性能および放冷性能が向上した蓄冷機能付きエバポレータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
【0012】
1)長手方向を上下方向に向けるとともに幅方向を通風方向に向けた複数の扁平状冷媒流通管、蓄冷材が封入された蓄冷材容器およびフィンを有する熱交換コア部を備えており、熱交換コア部において、通風方向に間隔をおいて配置された2つの冷媒流通管からなる管組が左右方向に間隔をおいて複数配置されることにより、左右方向に隣り合う管組どうしの間に間隙が形成され、全間隙のうちの一部でかつ複数の第1間隙に、蓄冷材容器が左右の管組の両冷媒流通管に跨って接するように配置され、全間隙のうちの残部である複数の第2間隙に、フィンが左右の管組の両冷媒流通管に跨って接するように配置され、蓄冷材容器が配置された第1間隙の少なくとも左右両側にフィンが配置された第2間隙が位置しており、蓄冷材容器が、長手方向を上下方向に向けるとともに幅方向を通風方向に向けた扁平状であり、第1間隙を構成する左右の管組の風上冷媒流通管と蓄冷材容器との間に第1通風路が設けられるとともに、第1間隙を構成する左右の管組の風下冷媒流通管と蓄冷材容器との間に第1通風路に通じる第2通風路が設けられている蓄冷機能付きエバポレータにおいて、
第1間隙の第1通風路の通風抵抗が、左右に隣接する第2間隙の通風抵抗よりも高くなっているとともに、第1間隙の第2通風路の通風抵抗が、左右に隣接する第2間隙の通風抵抗よりも低くなっており、第1間隙の第2通風路と左右に隣接する第2間隙とが、第1間隙を構成する左右の管組における両冷媒流通管どうしの間の空隙を介して通じさせられている蓄冷機能付きエバポレータ。
【0013】
2)蓄冷材容器が、第1間隙を構成する左右の管組の風上冷媒流通管どうしの間に位置する第1部分、第1間隙を構成する左右の管組の風下冷媒流通管どうしの間に位置する第2部分、および第1部分と第2部分とを連結しかつ第1間隙を構成する左右の管組の両冷媒流通管どうしの間の空隙間に位置する第3部分よりなり、第2部分が、左右両風下冷媒流通管どうしの間隔よりも左右方向の厚みが小さくかつ左右両風下冷媒流通管どうし間の中間部に位置する本体部と、当該本体部の左右両側壁に点在するように外方膨出状に設けられ、かつ膨出端部が風下冷媒流通管に接している複数の凸部とを有し、第3部分が、第2部分の本体部の風上側に連なるとともに左右両風下冷媒流通管どうしの間隔よりも左右方向の厚みが小さく、かつ左右の管組の両冷媒流通管どうしの間の空隙における通風方向の少なくとも一部に位置する薄肉部を有しており、第2通風路が、蓄冷材容器の第2部分の本体部と左右両風下冷媒流通管との間に、凸部間を縫うように形成され、蓄冷材容器の第3部分の薄肉部の左右両側に、第1間隙の第2通風路と、第1間隙を構成する左右の管組における両冷媒流通管どうしの間の空隙とを通じさせる連通路が形成されている上記1)記載の蓄冷機能付きエバポレータ。
【0014】
3)蓄冷材容器の第1部分が、左右方向の厚みが左右両風上冷媒流通管どうしの間隔よりも小さくかつ第2部分の本体部および第3部分の薄肉部よりも大きい本体部と、本体部の左右両側壁に外方に膨出するように設けられ、かつ長手方向を上下方向に向けるとともに膨出端部が風上冷媒流通管に接している遮風凸部とを有し、遮風凸部の上下両端が、第2間隙に配置されたフィンの上下両端の近傍に位置しており、第1通風路が、蓄冷材容器の第1部分と左右両風上冷媒流通管との間でかつ遮風凸部の上下両側に形成されている上記1)または2)記載の蓄冷機能付きエバポレータ。
【0015】
4)蓄冷材容器の第3部分の遮風凸部の上下両端が、第2間隙に配置されたフィンの上下両端と同一高さ位置にある上記3)記載の蓄冷機能付きエバポレータ。
【発明の効果】
【0016】
上記1)〜4)の蓄冷機能付きエバポレータによれば、第1間隙の第1通風路の通風抵抗が、左右に隣接する第2間隙の通風抵抗よりも高くなっているので、空気が蓄冷機能付きエバポレータを通過する際に、第1間隙および第1間隙に隣接する第2間隙においては、風上冷媒流通管側では第1間隙の第1通風路よりも多くの空気が第2間隙を流れ、第2間隙の風上側を通過した空気の一部はそのまま第2間隙の風下側を流れて蓄冷機能付きエバポレータを通過する。また、第2間隙の風上側を通過した空気の残部は、第1間隙を構成する左右の管組における両冷媒流通管どうしの間の空隙を通って第1間隙の第2通風路内に入り、第2通風路内を流れて蓄冷機能付きエバポレータを通過する。ここで、第1間隙の第2通風路の通風抵抗が、左右に隣接する第2間隙の通風抵抗よりも低くなっているので、風下冷媒流通管側では第2間隙よりも多くの空気が第1間隙の第2通風路内を流れる。したがって、第1間隙に配置された蓄冷材容器と風上冷媒流通管との接触面積を増やして第1通風路の通風抵抗を高くしたとしても、エバポレータ全体の通風抵抗の増大が抑制され、その結果通常の冷房時における冷却性能の低下が抑制される。しかも、第1間隙において蓄冷材容器と風上冷媒流通管との接触面積を増やすことにより、蓄冷時および放冷時における蓄冷材容器内の蓄冷材と風上冷媒流通管との間の熱伝達性を向上させることができるので、蓄冷性能および放冷性能が向上する。
【0017】
上記2)の蓄冷機能付きエバポレータによれば、比較的簡単な構成で、第1間隙の第2通風路の通風抵抗を、左右に隣接する第2間隙の通風抵抗よりも低くすることができるとともに、第1間隙の第2通風路と左右に隣接する第2間隙とを通じさせることができる。
【0018】
上記3)および4)の蓄冷機能付きエバポレータによれば、比較的簡単な構成で、第1間隙の第1通風路の通風抵抗を第2間隙の通風抵抗よりも効果的に高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】この発明の蓄冷機能付きエバポレータの全体構成を示す一部切り欠き斜視図である。
【
図3】
図1の蓄冷機能付きエバポレータの蓄冷材容器の右側面図である。
【
図4】
図1の蓄冷機能付きエバポレータの蓄冷材容器の分解斜視図である。
【
図5】蓄冷材容器の第1の変形例を示す
図3相当の図である。
【
図6】蓄冷材容器の第2の変形例を示す
図3相当の図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0021】
さらに、以下の説明において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
【0022】
図1はこの発明による蓄冷機能付きエバポレータの全体構成を示し、
図2〜
図4はその要部の構成を示す。
【0023】
図1において、蓄冷機能付きエバポレータ(1)は、長手方向を左右方向に向けるとともに幅方向を通風方向に向けた状態で上下方向に間隔をおいて配置されたアルミニウム製上ヘッダタンク(2)およびアルミニウム製下ヘッダタンク(3)と、両ヘッダタンク(2)(3)間に設けられた熱交換コア部(4)とを備えている。
【0024】
上ヘッダタンク(2)は、風下側に位置する風下側上ヘッダ部(5)と、風上側に位置しかつ風下側上ヘッダ部(5)に一体化された風上側上ヘッダ部(6)とを備えている。風下側上ヘッダ部(5)の右端部に冷媒入口(7)が設けられ、風上側上ヘッダ部(6)の右端部に冷媒出口(8)が設けられている。下ヘッダタンク(3)は、風下側に位置する風下側下ヘッダ部(9)と、風上側に位置しかつ風下側下ヘッダ部(9)に一体化された風上側下ヘッダ部(11)とを備えている。
【0025】
図1〜
図3に示すように、熱交換コア部(4)には、長手方向を上下方向に向けるとともに幅方向を通風方向に向けた状態で通風方向に間隔をおいて配置された複数、ここでは2つのアルミニウム製扁平状冷媒流通管(12A)(12B)からなる複数の管組(13)が左右方向に間隔をおいて配置されており、これにより左右方向に並んだ管組(13)の隣り合うものどうしの間に間隙(14A)(14B)が形成されている。風上側に並んだ冷媒流通管(12A)の上端部は風上側上ヘッダ部(6)に接続されるとともに、同下端部は風上側下ヘッダ部(11)に接続されている。風下側に並んだ冷媒流通管(12B)の上端部は風下側上ヘッダ部(5)に接続されるとともに、同下端部は風下側下ヘッダ部(9)に接続されている。
【0026】
熱交換コア部(4)における全間隙(14A)(14B)のうちの一部でかつ複数の第1間隙(14A)に、蓄冷材が封入されたアルミニウム製蓄冷材容器(15)が、各管組(13)を構成する2つの冷媒流通管(12A)(12B)に跨るように配置されて両冷媒流通管(12A)(12B)にろう付されている。熱交換コア部(4)における全間隙(14A)(14B)のうち残りの複数の第2間隙(14B)に、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからなり、かつ通風方向にのびる波頂部、通風方向にのびる波底部、および波頂部と波底部とを連結する連結部よりなるコルゲート状のアウターフィン(16)が、各管組(13)を構成する2つの冷媒流通管(12A)(12B)に跨るように配置されて両冷媒流通管(12A)(12B)にろう付されている。左右方向に隣り合う2つの第1間隙(14A)どうしの間には複数、ここでは3つの第2間隙(14B)が存在しており、第1間隙(14A)の左右両側に蓄冷材容器(15)が配置された第1間隙(14A)の左右両側にアウターフィン(16)が配置された第2間隙(14B)が位置している。なお、左右方向に隣り合う2つの第1間隙(14A)どうしの間の第2間隙(14B)の数は2以上であればよく、その上限は7であることが好ましい。また、左右両端の管組(13)の外側にも、アウターフィン(16)が、管組(13)を構成する2つの冷媒流通管(12A)(12B)に跨るように配置されて両冷媒流通管(12A)(12B)にろう付され、さらに左右両端のアウターフィン(16)の外側にアルミニウム製サイドプレート(17)が配置されてアウターフィン(16)にろう付されている。
【0027】
この実施形態のエバポレータ(1)の場合、冷媒は、冷媒入口(7)を通ってエバポレータ(1)の風下側上ヘッダ部(5)内に入り、全冷媒流通管(12A)(12B)を通って風上側上ヘッダ部(6)の冷媒出口(8)から流出する。
【0028】
図2〜
図4に示すように、蓄冷材容器(15)は長手方向を上下方向に向けるとともに幅方向を通風方向に向けた略縦長方形の扁平中空状であり、蓄冷材容器(14)内に通風方向にのびる波頂部、通風方向にのびる波底部、および波頂部と波底部とを連結する連結部よりなるコルゲート状のアルミニウム製インナーフィン(18A)(18B)が配置されている。蓄冷材容器(15)は、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工が施されることにより形成され、かつ通風方向の両側縁部どうしが全長にわたってろう付された左右両構成板(19)と、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工が施されることにより形成され、かつ左右両
構成板(19)の上下両端にろう付された両端閉鎖板(21)とよりなる。
【0029】
蓄冷材容器(15)は、第1間隙(14A)を構成する左右の管組(13)の風上冷媒流通管(12A)どうしの間に位置する第1部分(22)、第1間隙(14A)を構成する左右の管組(13)の風下冷媒流通管(12B)どうしの間に位置する第2部分(23)、および第1部分(22)と第2部分(23)とを連結しかつ第1間隙(14A)を構成する左右の管組(13)の両冷媒流通管(12A)(12B)どうしの間の空隙(25)間に位置する第3部分(24)よりなる。蓄冷材容器(15)の第1部分(22)と第1間隙(14A)を構成する左右の管組(13)の風上冷媒流通管(12A)との間に第1通風路(26)が設けられるとともに、蓄冷材容器(15)と第1間隙(14A)の左右の管組(13)の風下冷媒流通管(12B)との間に第1通風路(26)に通じる第2通風路(27)が設けられている。
【0030】
蓄冷材容器(15)の第1部分(22)は、左右方向の厚みが左右両風上冷媒流通管(12A)どうしの間隔よりも小さいが、当該間隔の大部分を占める本体部(28)と、本体部(28)の左右両側壁(28a)に外方に膨出するように設けられ、かつ長手方向を上下方向に向けるとともに平坦な膨出端部が風上冷媒流通管(12A)に接した状態でろう付されている遮風凸部(29)とを有する。遮風凸部(29)は左右両側方から見て長手方向を上下方向に向けた縦長方形であり、遮風凸部(29)の上下両端は、第2間隙(14B)に配置されたアウターフィン(16)の上下両端の近傍、ここでは同一高さにある。ここで、同一高さ位置とは、制作誤差を含むものとする。そして、蓄冷材容器(15)の第1部分(22)の本体部(28)と風上冷媒流通管(12A)との間の間隙でかつ遮風凸部(29)の上下両側部分に第1間隙(14A)の第1通風路(26)が形成されている。第1通風路(26)の通風抵抗は、左右に隣接する第2間隙(14B)の通風抵抗よりも高くなっている。なお、第1部分(22)の風下側端部は、風上冷媒流通管(12A)の風下側縁部よりも若干風下側に突出している。
【0031】
蓄冷材容器(15)の第2部分(23)は、左右方向の厚みが、第1部分(22)の本体部(28)の左右方向の厚みおよび左右両風下冷媒流通管(12B)どうしの間隔よりも小さく、かつ左右両風下冷媒流通管(12B)どうし間の中間部に位置する本体部(31)と、本体部(31)の左右両側壁に外方に膨出するように設けられ、かつ平坦な膨出端部が風下冷媒流通管(12B)に接した状態でろう付されている複数の凸部(32)とを有する。凸部(32)は左右両側方から見て円形であり、本体部(31)の左右両側壁に、千鳥配置状となるように点在して設けられている。本体部(31)の左側壁の凸部(32)と右側壁の凸部(32)とは、左右方向から見てずれて設けられている。そして、蓄冷材容器(15)の第2部分(23)の本体部(31)と左右の管組(13)の風下冷媒流通管(12B)との間において、凸部(32)を縫うように第2通風路(27)が形成されている。第2通風路(27)の通風抵抗は、左右に隣接する第2間隙(14B)の通風抵抗よりも低くなっている。
【0032】
蓄冷材容器(15)の第3部分(24)は、第2部分(23)の本体部(31)の風上側に連なるとともに左右方向の厚みが左右両風下冷媒流通管(12B)どうしの間隔よりも小さく、かつ左右両風下冷媒流通管(12B)どうし間の中間部に位置する薄肉部(33)を有している。薄肉部(33)は、第1間隙(14A)を構成する左右の管組(13)の両冷媒流通管(12A)(12B)どうしの間の空隙(25)における通風方向の少なくとも風下側、ここでは風下側のほぼ全体に位置しており、第3部分(24)の全体が薄肉部(33)となっている。蓄冷材容器(15)の第2部分(23)の本体部(31)と第3部分(24)の薄肉部(33)の左右方向の厚みは等しくなっている。そして、蓄冷材容器(15)の第3部分(24)の薄肉部(33)の左右両側に、空隙(25)と第1間隙(14A)の第2通風路(27)とを通じさせる連通路(34)が形成されており、第1間隙(14A)の第2通風路(27)と第2間隙(14B)とが空隙(25)および連通路(34)を介して通じさせられている。
【0033】
上述した蓄冷機能付きエバポレータ(1)は、車両のエンジンを駆動源とする圧縮機、圧縮機から吐出された冷媒を冷却するコンデンサ(冷媒冷却器)、コンデンサを通過した冷媒を減圧する膨張弁(減圧器)とともに冷凍サイクルを構成し、カーエアコンとして、停車時に圧縮機の駆動源であるエンジンを一時的に停止させる車両、たとえば自動車に搭載される。圧縮機が作動している場合には、圧縮機で圧縮されてコンデンサおよび膨張弁を通過した低圧の気液混相の2相冷媒が、冷媒入口(7)を通って蓄冷機能付きエバポレータ(1)の風下側上ヘッダ部(5)内に入り、全冷媒流通管(12A)(12B)を通って風上側上ヘッダ部(6)の冷媒出口(8)から流出する。そして、冷媒が冷媒流通管(12A)(12B)内を流れる間に蓄冷機能付きエバポレータ(1)を通過する空気と熱交換をし、冷媒は気相となって流出する。
【0034】
空気は、次のようにして蓄冷機能付きエバポレータを通過する。
【0035】
すなわち、第1間隙(14A)および第1間隙(14A)に隣接する第2間隙(14B)においては、第1間隙(14A)の第1通風路(26)の通風抵抗が、左右に隣接する第2間隙(14B)の通風抵抗よりも高くなっているので、風上冷媒流通管(12A)側では、第1間隙(14A)の第1通風路(26)よりも多くの空気が第2間隙(14B)を流れ、第2間隙(14B)の風上側を通過した空気の一部はそのまま第2間隙(14B)の風下側を流れて蓄冷機能付きエバポレータ(1)を通過する。また、第2間隙(14B)の風上側を通過した空気の残部は、第1間隙(14A)を構成する左右の管組(13)における両冷媒流通管(12A)(12B)どうしの間の空隙(25)、および蓄冷材容器(15)の第3部分(24)の薄肉部(33)の左右両側の連通路(34)を通って第1間隙(14A)の第2通風路(27)内に入り、第2通風路(27)内を流れて蓄冷機能付きエバポレータ(1)を通過する。ここで、第1間隙(14A)の第2通風路(27)の通風抵抗が、左右に隣接する第2間隙(14B)の通風抵抗よりも低くなっているので、風下冷媒流通管(12B)側では第2間隙(14B)よりも多くの空気が第1間隙(14A)の第2通風路(27)内を流れる。また、第1間隙(14A)に隣接していない第2間隙(14B)においては、空気は第2間隙(14B)内を真っ直ぐに通過する。
【0036】
圧縮機の作動時には、冷媒流通管(12A)(12B)内を流れる冷媒の有する冷熱が、蓄冷材容器(15)の第1部分(22)の
遮風凸部(29)の膨出端部、および第2部分(23)の凸部(32)の膨出端部を経て直接蓄冷材容器(15)内の蓄冷材に伝わるとともに、
遮風凸部(29)および凸部(32)の膨出端部から第1部分(22)および第2部分(23)の左右両側壁とインナーフィン(18A)(18B)を経て蓄冷材容器(15)内の蓄冷材の全体に伝わって蓄冷材に冷熱が蓄えられる。さらに、圧縮機の作動時には、第1間隙(14A)に隣接する第2間隙(14B)の風上側を流れて冷却された後に第1間隙(14A)の第2通風路(27)内を流れる空気と、蓄冷材容器(15)の第2部分(23)内の蓄冷材との間で熱交換が行われるので、蓄冷性能および放冷性能を向上させることができる。
【0037】
圧縮機の停止時には、蓄冷材容器(15)内の蓄冷材に蓄えられた冷熱が、蓄冷材容器(15)の第1部分(22)の
遮風凸部(29)の膨出端部、および第2部分(23)の凸部(32)の膨出端部を経て冷媒流通管(12A)(12B)に伝わるとともに、インナーフィン(18A)(18B)と、第1部分(22)および第2部分(23)の左右両側壁と、
遮風凸部(29)および凸部(32)の膨出端部を経て冷媒流通管(12A)(12B)に伝わり、さらに冷媒流通管(12A)(12B)を通過して第1間隙(14A)に隣接する第2間隙(14B)に配置されているアウターフィン(16)に伝わる。アウターフィン(16)に伝わった冷熱は、第2間隙(14B)を通過する空気に伝えられる。したがって、蓄冷機能付きエバポレータ(1)を通過した風の温度が上昇したとしても、当該風は冷却されるので、冷房能力の急激な低下が防止される。
【0038】
図5および
図6は蓄冷材容器の変形例を示す。
【0039】
図5に示す蓄冷材容器(40)の場合、第2部分(23)の本体部(31)の左右両側壁には、外方に膨出しかつ風下側に向かって下方に傾斜した複数の略長方形状凸部(41)が上下方向に間隔をおいて設けられている。凸部(41)の平坦な膨出端部が風下冷媒流通管(12B)に接した状態でろう付されている。第2部分(23)の本体部(31)の左側壁の凸部(41)と右側壁の凸部(41)とは、左右方向から見て上下方向にずれた位置に設けられていてもよいし、あるいは上下方向の同じ位置に設けられていてもよい。その他の構成は、上述した実施形態の蓄冷材容器(15)と同じである。
【0040】
図6に示す蓄冷材容器(45)の場合、第1部分(22)の本体部(28)の左右両側壁には、外方に膨出しかつ長手方向を上下方向に向けた複数、ここでは2つの遮風凸部(46)が通風方向に間隔をおいて設けられている。各遮風凸部(46)の平坦な膨出端部が風上冷媒流通管(12A)に接した状態でろう付されている。各遮風凸部(46)は左右両側方から見て長手方向を上下方向に向けた縦長方形であり、各遮風凸部(46)の上下両端は、第2間隙(14B)に配置されたアウターフィンの上下両端の近傍、ここでは同一高さにある。そして、蓄冷材容器(45)の第1部分(22)の本体部(28)と風上冷媒流通管(12A)との間の間隙でかつ全遮風凸部(46)の上下両側部分に第1間隙(14A)の第1通風路(26)が形成されている。その他の構成は、上述した実施形態の蓄冷材容器(15)と同じである。
【産業上の利用可能性】
【0041】
この発明による蓄冷機能付きエバポレータは、停車時に圧縮機の駆動源であるエンジンを一時的に停止させる車両のカーエアコンを構成する冷凍サイクルに好適に用いられる。
【符号の説明】
【0042】
(1):蓄冷機能付きエバポレータ
(12A):風上冷媒流通管
(12B):風下冷媒流通管
(13):管組
(14A):第1間隙
(14B):第2間隙
(15)(40)(45):蓄冷材容器
(16):アウターフィン
(22):第1部分
(23):第2部分
(24):第3部分
(25):空隙
(26):第1通風路
(27):第2通風路
(28):第1部分の本体部
(29)(46):遮風凸部
(31):第2部分の本体部
(32)(41):凸部
(33):第3部分の薄肉部
(34):連通路