特許第6607807号(P6607807)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6607807
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】加湿器
(51)【国際特許分類】
   F24F 6/00 20060101AFI20191111BHJP
【FI】
   F24F6/00 A
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-43419(P2016-43419)
(22)【出願日】2016年3月7日
(65)【公開番号】特開2017-161104(P2017-161104A)
(43)【公開日】2017年9月14日
【審査請求日】2018年9月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】浦 治久
【審査官】 河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−099625(JP,A)
【文献】 米国特許第05746359(US,A)
【文献】 実開昭56−005941(JP,U)
【文献】 実開昭55−163623(JP,U)
【文献】 実開平02−147642(JP,U)
【文献】 実開昭61−010444(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 6/00−6/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を貯留する貯水皿と、該貯水皿の貯留水を含侵し、通気中に放出する加湿フィルタと、軸長方向一側の端部に設けた給水口を下向きとして前記貯水皿に連設された保持部に保持され、前記貯水皿に収容水を送り込む筒形の給水タンクとを備える加湿器において、
前記給水タンクの側面に設けた凹部の底面に開設された補給水口と、
該補給水口を開閉する蓋体と
前記凹部の開口周縁部を前記保持部との間で液密に封止する封止部材と
を備えることを特徴とする加湿器。
【請求項2】
前記給水タンクは、他側端部に揺動可能に取り付けてあり、該他側端部を下とする縦姿勢及び前記側面を上とする横姿勢での支持脚を兼ねる把手を備えることを特徴とする請求項1に記載の加湿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を含侵した加湿フィルタに空気を通し、該加湿フィルタの下流側に送り出すように構成された加湿器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、室内の空気に適正な湿度を与えるための加湿器が広く用いられており、特に、水の蒸発を伴わずに加湿を実現する気化式の加湿器は、室内温度に影響を与えずに湿度調節をなし得ることから、その普及が拡大している。
【0003】
気化式の加湿器は、吸気口と送気口とを結ぶ送風路の内部に、水を含侵させた加湿フィルタを送風ファンと共に配し、該送風ファンの動作により吸気口から送風路内に導入される空気を前記加湿フィルタに通し、該加湿フィルタの下流側に送り出される気化水分を含む湿り空気を送気口を経て送り出すように構成されている。
【0004】
加湿フィルタは、高い含水性を有し、通気が可能な材料(不織布等)製のシートを蛇腹状に折り重ねて構成され、貯水皿に下部を浸漬させ、該貯水皿の貯留水を吸い上げて気化により失われた水分を補充するようにしてある。貯水皿の一側には、給水タンクが装着してあり、貯水皿には、加湿フィルタの吸い上げによる水位の低下に応じて給水タンク内の水が逐次導入され、常時定量の水が貯留されるように構成してある。
【0005】
給水タンクは、筒形の中空容器であり、一側の端部に開設された給水口を有している。給水口には、止水弁を備える止水蓋が取り付けてあり、給水タンクは、貯水皿の一側に連設された保持部に給水口を下向きとした縦姿勢で保持される。このとき止水弁は、保持部に設けた突起により押し上げられて開放され、給水タンク内の水は、止水弁を通って貯水皿に送り込まれる。
【0006】
給水タンク内の水が減少した場合、使用者は、保持部から給水タンクを外し、止水蓋を取り外した給水口を水道の蛇口に対向させて水を補給する。この補給は、例えば、蛇口を備えるシンクの底面上に、給水口を上向きとした起立姿勢で給水タンクを支えることで安定して実施し得るが、蛇口と底面との間の離隔距離が十分でなく、蛇口と給水口とを対向させ得ない場合がある。この場合、使用者は、給水タンクを手で支え、不安定な補給作業を強いられるという問題がある。
【0007】
特許文献1においては、角筒状をなす給水タンクの他側(給水口と反対側)の角部を斜めにカットした平坦部を設け、この平坦部を利用することにより、給水口の位置を下げた斜め姿勢での支持を可能として上記の問題の解消を図っている。更に、給水タンクを持ち運ぶための把手を利用し、この把手と前記平坦部とにより斜め姿勢での安定した支持が可能であるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002ー349911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示された給水タンクにおいては、平坦部を利用した斜め支持による給水口の位置変化が限定的であり、広範な使用状況下での補給作業の安定化を図ることは難しい。
【0010】
例えば、以上の如き加湿器は、一般家庭だけでなく、ホテルの客室においても広く使用されている。このような使用状況下での給水タンクへの水の補給は、客室に付設された洗面所で実施されるが、蛇口と洗面ボウルの底面との離隔距離が小さい上、洗面ボウルの底面は平坦でないことから、特許文献1に開示された給水タンクを使用したとしても安定した支持状態での補給作業を実現することは難しい。
【0011】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、種々の使用状況下での給水タンクへの水補給を安定して実施し得る加湿器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の一実施形態に係る加湿器は、水を貯留する貯水皿と、該貯水皿の貯留水を含侵し、通気中に放出する加湿フィルタと、軸長方向一側の端部に設けた給水口を下向きとして前記貯水皿に連設された保持部に保持され、前記貯水皿に収容水を送り込む筒形の給水タンクとを備える加湿器において、前記給水タンクの側面に設けた凹部の底面に開設された補給水口と、該補給水口を開閉する蓋体と、前記凹部の開口周縁部を前記保持部との間で液密に封止する封止部材とを備える。
【0016】
更に前記給水タンクは、他側端部に揺動可能に取り付けてあり、該他側端部を下とする縦姿勢及び前記側面を上とする横姿勢での支持脚を兼ねる把手を備える。
【発明の効果】
【0017】
本開示の実施形態においては、給水タンクへの水補給を、種々の使用状況下で安定して行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施の形態に係る加湿器の外観斜視図である。
図2】実施の形態に係る加湿器の概略構成を示す側断面図である。
図3】加湿フィルタの支持構造を示す要部破断正面図である。
図4】加湿フィルタの支持構造を示す斜視図である。
図5】給水タンクの平面図である。
図6図5のVI−VI線による給水タンクの縦断面図である。
図7】給水タンクの保持状態の説明図である。
図8】給水タンクへの水の補給方法の説明図である。
図9】給水タンクへの水の補給方法の説明図である。
図10参考形態1の加湿器における給水タンクの保持状態の説明図である。
図11参考形態2の加湿器における給水タンクの保持状態の説明図である。
図12参考形態2の給水タンクへの水の補給方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
1は、実施の形態に係る加湿器の外観斜視図、図2は、実施の形態に係る加湿器の概略構成を示す側断面図である。なお、図2は正面を左、背面を右として示してあり、図1は、背面側(図2の右側)から見た斜視図である。
【0020】
図2に示すように加湿器は、矩形箱形のハウジング1の内部に、送風ファン2、加湿フィルタ3及び貯水皿4を備えている。ハウジング1の内部は、隔壁11により背面側の吸込室12と正面側の吐出室13とに分割されている。吸込室12は、ハウジング1の背面を覆う背面パネル14に開設された複数の吸気口15を介して外部に連通し、また吐出室13は、ハウジング1の天板に開設された送気口16を介して外部に連通しており、吸込室12と吐出室13とは、隔壁11の下部に開設された通気口11aにより連通されている。
【0021】
背面パネル14は着脱可能であり、該背面パネル14の内側には、脱臭フィルタ17及び集塵フィルタ18が積層配置されている。脱臭フィルタ17は、例えば、不織布に活性炭を分散保持させてなり、通気中の臭い成分を吸着除去する作用をなす。集塵フィルタ18は、例えば、HEPA(High Efficiency Particulate Air )フィルタであり、通気中に含まれる微細な塵埃を捕集除去する作用をなす。脱臭フィルタ17及び集塵フィルタ18は、樹脂製の枠体17a,18aに各別に保持され、背面パネル14の内側に設けたフィルタ室に、着脱可能に嵌め込み保持されている。図1には、背面パネル14、脱臭フィルタ17及び集塵フィルタ18を取り外して示してある。
【0022】
送風ファン2は、羽根車20と、該羽根車20を駆動するファンモータ21とを備えている。ファンモータ21は、吐出室13の正面壁に固定支持されている。羽根車20は、吐出室13の内側に突出するファンモータ21の出力端に固定され、隔壁11下部の通気口11aに対向配置してある。送風ファン2の羽根車20は、ファンモータ21の駆動により回転する。
【0023】
羽根車20が回転した場合、図2中に白抜矢符により示すように、吸気口15を経て吸込室12の内部に外気が導入される。導入された外気は、脱臭フィルタ17及び集塵フィルタ18の通過により臭い成分、塵埃を除去された清浄な空気となり、通気口11aを経て羽根車20に吸い込まれ、上向きに方向を変えて吐出室13に導出されて送気口16を経て外部に送り出される。
【0024】
吐出室13には、イオン発生器19が設けてある。イオン発生器19は、例えば、空気中の酸素及び水を放電によりイオン化し、H+ (H2 O)m (mは任意の整数)等の正イオン、及びO2-(H2 O)n (nは任意の整数)等の負イオンを発生するように構成されている。イオン発生器9が発生するイオンは、吐出室13内の通気と共に送出され、送出空間中に浮遊する細菌及びウィルスの表面に取り付き、これらを殺菌又は不活性化する機能を果たす。
【0025】
図示の加湿器は、脱臭フィルタ17、集塵フィルタ18及びイオン発生器19の配置により、空気清浄器としても機能する。なおイオン発生器19は、冷却した電極上の結露に高電圧を印加し、霧状の帯電した水粒子を発生させる構成等、公知の適宜の構成を採用することができる。
【0026】
加湿フィルタ3及び貯水皿4は、以上のようにハウジング1内を流れる空気を加湿すべく、脱臭フィルタ17及び集塵フィルタ18と送風ファン2との間に配置してある。
【0027】
貯水皿4は、開口側を上向きとしてハウジング1の底板上に載置されている。図1に示すように貯水皿4は、ハウジング1の一側から外部に引き出すことが可能であり、引き出し側の端部には、広幅の保持部40が連設してある。該保持部40には、給水タンク5が着脱自在に保持される。図1には、取り外された給水タンク5が示されている。該給水タンク5の構成については後述する。
【0028】
加湿フィルタ3は、高い含水性を有すると共に通気が可能な材料、例えば不織布製のシートであり、後述する通気との接触面積を増すべく蛇腹状に折り重ね、中空円盤形の保持枠30の内部に収納保持されている。
【0029】
図3は、加湿フィルタ3の支持構造を示す要部破断正面図、図4は、同じく斜視図である。なお図3図4中には、加湿フィルタ3の保持枠30のみを図示してある。加湿フィルタ3は、保持枠30の下部を貯水皿4の内部に差し込み、図3に示すように、貯水皿4の内部に設けた2つの支持ローラ6、6上に載架されている。支持ローラ6,6は、貯水皿4の長手方向に適長離隔して配してあり、加湿フィルタ3は、両支持ローラ6、6上への保持枠30の載架により、図3及び図4に示す如く、貯水皿4の上で垂直に立ち上がる姿勢で支持され、支持ローラ6,6の転動により、支持姿勢を保って中心軸周りに回転することができる。
【0030】
このように支持された加湿フィルタ3は、図1に示すように、ハウジング1の一側面から貯水皿4と共に外部に引き出すことができ、また逆に、貯水皿4と共にハウジング1内に押し込み、該ハウジング1の内部の所定位置にセットすることができる。
【0031】
保持枠30の外周面には、図4に示すように、適宜幅のリングギヤ31が全周に亘って設けてある。このリングギヤ31は、図2図3に示すように、隔壁11に固定支持された駆動モータ7の出力端に取り付けられた駆動ギヤ70に噛合させてある。駆動ギヤ70は、駆動モータ7の駆動により加湿フィルタ3の保持枠30と平行をなす軸周りに回転する。
【0032】
駆動ギヤ70とリングギヤ31との噛合は、加湿フィルタ3がハウジング1の内部に前述の如くセットされた状態で生じる。この噛合により保持枠30は、貯水皿4の内部の2つの支持ローラ6,6と駆動ギヤ70とにより3点支持されることとなり、加湿フィルタ3は、駆動モータ7の駆動による駆動ギヤ70の回転に応じて保持枠30の中心軸周りに低速度で回転する。支持ローラ6,6は、保持枠30の回転に応じて転動する従動ローラとして機能し、加湿フィルタ3の回転を阻害しない。
【0033】
貯水皿4の内部には、図3中にLとして示す基準水位の水が貯留されている。以上の如く回転する加湿フィルタ3の下部は、貯水皿4の貯留水中に浸漬されており、加湿フィルタ3は、貯留水を吸い上げ、また回転により持ち上げる。これにより貯水皿4の貯留水は、加湿フィルタ3の全体に行き渡り、該加湿フィルタ3に含侵保持される。
【0034】
このように水を保持する加湿フィルタ3には、ハウジング1内を前述の如く流れる空気が通過する。加湿フィルタ3の保持水は、通気との接触により気化し、加湿フィルタ3の下流側の吐出室13には、気化水分を含む湿り空気が送り出され、該吐出室13の末端に開口する送出口16から送り出される。
【0035】
図3図4中には、貯水皿4の一側に連設された保持部40が示されている。保持部40の内部には、底板から垂直上向きに押し上げ突起41が立設されており、該押し上げ突起41は、側板から内向きに張り出す座板42により底板から適長離隔した位置で囲われている。また保持部40は、貯水皿4との連設部に、底板に対して略垂直をなして立設された支え板43を備えている。
【0036】
図5は、給水タンク5の正面図、図6は、図5のVI−VI線による給水タンク5の縦断面図である。図示の如く給水タンク5は、軸長方向の両端が閉じられた角筒形の中空容器であり、軸長方向一側の端板には、給水口50が開設され。該給水口50には、ねじ込み式の止水蓋51が取り付けてある。止水蓋51は、中央に設けた弁座に内側から着座する弁体を備える公知の止水弁52を内蔵している。止水弁52の弁体は、止水蓋51の中央部から外向きに突出する作用端を有しており、該作用端を内向きに押し込むことにより弁座から離れる。
【0037】
給水タンク5の他側端部には、把手53が取り付けられている。把手53は、一側の枢軸を中心として揺動可能であり、給水タンク5の外面に重なる重なり位置と、該重なり位置から略90°揺動し、給水タンク5の外面から立ち上がる把持位置と、該把持位置から更に略90°揺動し、重なり位置とは逆向きに延びる支え位置とを実現することができる。図6中には、重なり位置にある把手53を実線により示し、把持位置及び支え位置にある把手53を2点鎖線により夫々示してある。
【0038】
また給水タンク5の一側面には、図5に示すように、円形の凹部54が設けられ、該凹部54の底面中央部には、補給水口55が開設されている。補給水口55は、ねじ込み式の蓋体56により開閉可能に覆ってあり、凹部54の開口周縁部には、弾性材料製のシール環57(封止部材)が被着されている。更に、給水タンク5の他側面は、図6に示す如く、略全面に亘って外装板58により覆われている。なお蓋体56は、ねじ込み式に限らず、例えば、補給水口55への嵌め合わせにより開閉を実現する構成であってもよい。
【0039】
以上の如く構成された給水タンク5は、図1及び図3に示す如く、止水蓋51側を下向きとした倒立姿勢にて保持部40に着脱される。この着脱は、把持位置に揺動させた把手53を把持することにより容易に実施し得る。このとき止水蓋51に内蔵された止水弁52は、弁体に付設されたバネの付勢力、及び給水タンク5の収容水の自重により下向きに押され、弁座と弁体とが密着した閉状態を保つから給水タンク5の収容水が漏れ出す虞れはない。
【0040】
図7は、給水タンク5の保持状態の説明図である。給水タンク5は、保持部40内部の座板42により止水蓋51を下側から支え、凹部54が設けられた一側面を支え板43により支えて図示の如く保持される。このとき、貯水皿4に立設された押し上げ突起41は、止水蓋51の中央部に挿入され、当該位置に突出する止水弁52の弁体を上向きに押し上げる。この押し上げにより止水弁52の弁体は弁座から離れ、止水弁52が開放されて、給水タンク5は保持部40及び貯水皿4と連通する。
【0041】
なお、給水タンク5の他側面を覆う外装板58は、給水タンク5を保持する保持部40及び貯水皿4をハウジング1内に押し込むことにより、該ハウジング1の外装の一部を形成する。
【0042】
座板42による止水蓋51の支持高さは、貯水皿4内部の基準水位Lと一致させてある。給水タンク5の収容水は、貯水皿4の内水位が基準水位Lよりも低くなり止水蓋51との間に隙間が生じたとき、該隙間を通り、開放された止水弁52を経て導入される空気との置換により保持部40及び貯水皿4に送り込まれる。以上の動作により貯水皿4の内部には、基準水位Lの水を常時貯留させることができる。
【0043】
給水タンク5の側面を支える支え板43には、図7に示す如く、凹部54の周縁に設けられたシール環57が弾接し、該シール環57は、凹部54の内側を液密に封止する作用をなす。給水タンク5は、凹部54の内側に補給水口55を有している。この補給水口55は、蓋体56により閉止されるが、閉止が不完全であった場合、給水タンク5の収容水は、補給水口55を経て漏れ出す虞れがある。
【0044】
シール環57は、このように生じる漏れ出し水を凹部54の内部に止め、外部への漏れ出しを防止する機能を果たす。従って、補給水口55からの漏れ出し水による貯水皿4の内水位の上昇を抑え、貯水皿4の上縁からの溢水を防止することができる。
【0045】
なおシール環57は、給水タンク5ではなく支え板43に設け、凹部54の周縁部に弾接させてシール機能を果たす構成としてもよい。この構成においても補給水口55からの漏れ出し水をシール環57の作用により凹部54の内部に止めることができる。
【0046】
給水タンク5の収容水は、保持部40及び貯水皿4への送り出しにより徐々に減少する。収容水減少した場合、使用者は、保持部40から給水タンク5を取外して持ち運び、収容水を補給する。給水タンク5の取外しは、図1に示す如く、ハウジング1の外部に貯水皿4を引き出し、前述の如く、把持位置に揺動させた把手53を把持して上方に引き上げることにより実施される。
【0047】
図8及び図9は、給水タンク5への水の補給方法の説明図である。図8は、給水源となる蛇口9から離れた位置に平坦な支持面8(例えば、台所のシンクの底面)を確保できる給水箇所での給水方法を示しており、この場合、蛇口9の給水端と支持面8との離隔距離に応じて異なる補給方法を採用することができる。
【0048】
蛇口9の給水端と支持面8との離隔距離Hが大きい場合、給水タンク5は、図8Aに示す如く、止水蓋51を取り外した給水口50を上向きとし、支持面8上に起立させた縦姿勢で支持し、給水口50に対向させた蛇口9からの放出水を給水タンク5に補給する。このとき、把手53を前述した支え位置に揺動させることにより、該把手53が支持部材として機能し、支持面8への当接面積が大きくなって安定した支持状態での水補給が可能となる。
【0049】
一方、蛇口9の給水端と支持面8との離隔距離Hが小さい場合、給水タンク5は、図8Bに示す如く、蓋体56を取り外した補給水口55を上向きとした横姿勢にて支持し、この状態で給水口50に対向させた蛇口9からの放出水を補給することができる。
【0050】
なおこのとき、把手53を伸長可能とし、前述した重なり位置に揺動させて伸長させることにより、図8Cに示す如く、把手53を支持脚とした斜め姿勢で支持することも可能である。これにより、支持面8との接触による外装板58(図1図6参照)の損傷及び水濡れを防止することができる。
【0051】
図9は、洗面所の洗面ボウル80を利用する場合の給水方法を示している。この場合、給水タンク5は、蓋体56を取り外した補給水口55を上向きとし、洗面ボウル80の底部及び縁部間に斜めに立てかけた状態で支持することにより、補給水口55に対向させた蛇口9からの放出水を補給することができる。このように、補給水口55を設けたことにより、種々の使用状況下での給水タンク5への水補給を安定して実施することが可能である。
【0052】
10は、参考形態1の加湿器における給水タンク5の保持状態の説明図であり、実施の形態の図7に対応する。図示の給水タンク5は、軸長方向の一端部に止水蓋51により覆われた給水口を備え、また側面に設けた凹部54内に蓋体56により覆われた補給水口を備えている。
【0053】
水タンク5の補給水口は、実施の形態よりも下(給水口の近く)に配置されている。また凹部54の周縁にはシール環57が設けられておらず、給水タンク5は、支え板43に側面を直接当接させて支えられている。更に保持部40及び貯水皿4は、側壁を高くし、基準水位Lよりも高い最高水位L1 の水の貯留が可能としてあり、補給水口は、最高水位L1 よりも下位置に設けてある。
【0054】
この参考形態1においては、蓋体56による閉止が不完全であり、給水タンク5の収容水が補給水口を経て漏れ出した場合、シール環57が設けられていないことから、漏れ出し水は保持部40及び貯水皿4に流れ込むが、最大水位L1 に達する前に補給水口が水中に没することで漏れ出しを防止することができる。
【0055】
この参考形態1においても、実施の形態と同様に、給水タンク5への水補給を給水口及び補給水口を利用して種々の形態で実施することができる
【0056】
11は、参考形態2の加湿器における給水タンク5の保持状態の説明図であり、実施の形態の図7に対応する。図示の給水タンク5は、軸長方向の一端側の角部を斜めにカットし、端面及び側面の夫々に対して傾斜する傾斜部59が設けられており、この傾斜部59に止水蓋51により覆われた給水口50(図12参照)が開設されている。
【0057】
この給水タンク5は、図11Aに示す如く、保持部40に設けた座板44により端面を支え、前述した支え板43により側面を支えて保持されている。一方、貯水皿4には、底面に対して斜めに立ち上がる押し上げ突起41が設けてあり、この押し上げ突起41により止水蓋51に内蔵された止水弁を開放し、給水タンク5の収容水を保持部40及び貯水皿4に導入するように構成されている。
【0058】
なお座板44は、図11Bに示す如く、支え板43に対して接離する向きに傾倒可能であり、給水タンク5は、傾倒させた座板44に載置した後、図11B中に白抜矢符により示す如く、座板44と共に支え板43に近付けくように揺動させて、図11Aに示す如く装着される。押し上げ突起41の傾斜角度は、給水タンク5の揺動経路の途中で止水蓋51の中央部に挿入され得るように設定されている。
【0059】
図12は、参考形態2の給水タンク5への水の補給方法の説明図である。この給水タンク5への水補給は、蛇口9と支持面8との離隔距離に応じて異なる形態で実施することができる。
【0060】
蛇口9と支持面8との離隔距離が大きい場合、給水タンク5への水補給は、図12Aに示す如く、止水蓋51を取り外した給水口50を斜め上向きとし、支持面8上に前述した縦姿勢で支持して実施される。一方、蛇口9と支持面8との離隔距離が小さい場合、給水タンク5への水補給は、図12Bに示す如く、給水口50を斜め上向きとし、支持面8上に前述した横姿勢で支持して実施される。
【0061】
給水口50は、傾斜部59に開設されているから、図12A,Bのいずれにおいても蛇口9に対向させることができ、該蛇口9からの放出水は、給水口50を経て給水タンク5内に補給される。なお傾斜部59の傾斜角度は、給水タンク5の端面及び側面に対して夫々45°とするのが望ましいが、他の角度であってもよい。
【0062】
加湿器は、水を貯留する貯水皿(4)と、該貯水皿(4)の貯留水を含侵し、通気中に放出する加湿フィルタ(3)と、軸長方向一側の端部に設けた給水口(50)を下向きとして前記貯水皿(4)に連設された保持部(40)に保持され、前記貯水皿(4)に収容水を送り込む筒形の給水タンク(5)とを備える加湿器において、前記給水タンク(5)の側面に設けた凹部(54)の底面に開設された補給水口(55)と、該補給水口を開閉する蓋体(56)と、前記凹部(54)の開口周縁部を前記保持部(40)との間で液密に封止する封止部材(57)とを備えている。
【0063】
筒状をなす給水タンクは、一側の端面に設けた給水口と、側面に設けた補給水口を備えており、給水口を上向きとした縦姿勢又は補給水口を上向きとした横姿勢若しくは斜め横姿勢で安定して支持することができ、給水源となる蛇口の位置、支持面の形状の如何に拘わらず給水口又は補給水口を蛇口に対向させ、水補給を容易に実施することができる。
【0065】
補給水口を開閉する蓋体の閉止が不完全であった場合、補給水口からの漏れ出し水が生じる。この漏れ出し水は、封止部材により凹部内に止められ、漏れ出し水の流入による貯水皿の内水位の上昇を抑え、溢水を防止することができる。
【0070】
前記給水タンク(5)は、他側端部に揺動可能に取り付けてあり、該他側端部を下とする縦姿勢及び前記側面を上とする横姿勢での支持脚を兼ねる把手(53)を備えている。
【0071】
給水タンクは、支持部材を兼用する把手を備えており、この把手を利用することにより、縦姿勢及び横姿勢での安定した支持が可能となる。
【0072】
なお、今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等な意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0073】
3 加湿フィルタ
4 貯水皿
5 給水タンク
40 保持部
50 給水口
53 把手
54 凹部
55 補給水口
56 蓋体
57 シール環(封止部材)
59 傾斜部
図1
図2
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図12