【実施例】
【0090】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例及び比較例により制限されない。尚、実験1〜26に用いたポリマーA〜Fの化学構造式を表す式(5)〜(10)については、実験26の説明の後にまとめて記載する。
【0091】
[実験1]
本実験では、触媒活性妨害層に含まれるアミド基/アミノ基含有ポリマーとして式(5)で表されるポリマーAを用いた。
【0092】
(1)ポリマーAの合成
式(8)で表される、市販のハイパーブランチポリマー(ポリマーD)にアミド基を導入して、式(5)で表されるポリマーAを合成した。式(5)で表されるポリマーAは、式(1)で表されるポリマーであり、式(1)において、A
1が式(2)で表される基であり、A
2がジチオカルバメート基であり、R
1が単結合であり、R
2が水素であり、R
3がイソプロピル基である。
【0093】
まず、式(8)で表されるハイパーブランチポリマー(日産化学工業製、ハイパーテック HPS−200)(1.3g、ジチオカルバメート基:4.9mmol)、N‐イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)(1.10g、9.8mmol)、α,α’‐アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(81mg、0.49mmol)、脱水テトラヒドロフラン(THF)(10mL)をシュレンク管へ加え、凍結脱気を3回行った。その後、オイルバスを用いて70℃で一晩(18時間)撹拌して反応させ、反応終了後、氷水によって冷却し、THFで適度に希釈した。次に、ヘキサン中で再沈殿させ、得られた固体の生成物を60℃で一晩真空乾燥させた。生成物のNMR(核磁気共鳴)測定及びIR(赤外吸収スペクトル)測定を行った。この結果、式(8)で表される市販のハイパーブランチポリマーにアミド基が導入されて、式(5)で表されるポリマーAが生成していることが確認できた。次に、生成物の分子量をGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)で測定した。分子量は、数平均分子量(Mn)=9,946、重量平均分子量(Mw)=24,792であり、ハイパーブランチ構造独特の数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)とが大きく異なった値であった。ポリマーAの収率は、92%であった。
【0094】
(2)樹脂成形体(基材)の成形
汎用の射出成形機(日本製鋼所製、J180AD−300H)を用いて、ガラス繊維強化ポリフェニレンサルファイド(PPS)(帝人株式会社製、1040G、黒色)を4cm×6cm×0.2cmの板状体に成形した。
【0095】
(3)触媒活性妨害層の形成
合成した式(5)で表されるポリマーAをメチルエチルケトンに溶解して、ポリマー濃度0.5重量%のポリマー液を調製した。成形した基材を調製したポリマー液に室温で5秒間ディッピングし、その後、85℃乾燥機中で5分間乾燥した。これにより、基材表面に触媒活性妨害層を形成した。
【0096】
触媒活性妨害層の膜厚を以下に説明する方法により測定した。まず、本実験と同一の条件で樹脂層を形成した膜厚測定用試料を作製した。膜厚測定用試料の樹脂層の一部を金属製スパチュラで傷をつけて基材を露出させ、レーザー顕微鏡(キーエンス製、VK−9710)で樹脂層表面と露出した基材表面との段差を測定し、この測定値を触媒活性妨害層の膜厚とした。触媒活性妨害層の膜厚は、約70nmであった。
【0097】
(4)レーザー描画
触媒活性妨害層を形成した樹脂成形体に、レーザー描画装置(キーエンス製、MD−V9929WA、YVO
4レーザー、波長1064nm)を用いて、レーザー強度80%、描画速度500mm/sec、周波数50kHzでレーザー描画を行った。描画したパターンは、5mm×5cm領域を0.1mmピッチで複数個並べたパターンである。
【0098】
(5)無電解メッキ触媒の付与
レーザー描画を行った成形体の表面に、市販の無電解メッキ用触媒液を用い汎用の方法により、無電解メッキ触媒を付与した。まず、レーザー描画を行った成形体を常温の感応性付与剤(奥野製薬工業製、センシタイザー)に浸漬し、5分間超音波を照射してセンシタイザー処理を行い、成形体表面にスズコロイドを吸着させた。その後、成形体を感応性付与剤から取り出し、十分に水洗した。次に、成形体を常温の触媒化処理剤(奥野製薬工業製、アクチベータ)に浸漬し、2分間放置してアクチベータ処理を行い、成形体表面にパラジウムを吸着させた。その後、樹脂成形体を触媒化処理剤から取り出し、十分に水洗した。
【0099】
(6)無電解メッキ
無電解メッキ触媒を付与した成形体を61℃の無電解銅メッキ液(奥野製薬工業製、OPC−NCA)に15分浸漬して、成形体表面に無電解銅メッキ膜を1μm成長させた。以上説明した製造方法により、本実験のメッキ部品を得た。
【0100】
[実験2]
本実験では、レーザー描画にCO
2レーザー描画装置を用いた以外は、実験1と同様の方法によりメッキ部品を製造した。
【0101】
(1)樹脂成形体(基材)の成形及び触媒活性妨害層の形成
実験1と同様の方法により、基材として樹脂成形体(PPS)を成形し、基材表面に、ポリマーAを含む触媒活性妨害層を形成した
【0102】
(2)レーザー描画
触媒活性妨害層を形成した樹脂成形体に、レーザー描画装置として、CO
2レーザー描画装置(パナソニック製、LP−310、光源CO
2、レーザー発振部の出力:平均12W、発光ピーク波長:10.6μm)を用い、レーザー強度80%、描画速度500mm/secでレーザー描画を行った。描画パターンは、実験1と同様とした。
【0103】
(3)無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキ
レーザー描画を行った成形体に、実験1と同様の方法により、無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキをこの順に行った。これにより、基材表面に無電解銅メッキ膜を1μm成長させた。以上説明した製造方法により、本実験のメッキ部品を得た。
【0104】
[実験3]
本実験では、メッキ液として無電解ニッケルリンメッキ液を用いた以外は、実験1と同様の方法によりメッキ部品を製造した。
【0105】
(1)樹脂成形体(基材)の成形、触媒活性妨害層の形成、レーザー描画及び無電解メッキ触媒の付与
実験1と同様の方法により、樹脂成形体(PPS)を成形し、基材表面に、ポリマーAを含む触媒活性妨害層を形成した。触媒活性妨害層を形成した成形体に、実験1と同様の方法により、レーザー描画及び無電解メッキ触媒の付与をこの順に行った。
【0106】
(2)無電解メッキ
無電解メッキ触媒を付与した成形体を85℃の無電解ニッケルリンメッキ液(カニゼン製、SE−666)に15分浸漬して、成形体表面に無電解ニッケルリンメッキ膜を1μm成長させた。以上説明した製造方法により、本実験のメッキ部品を得た。尚、本実験で用いた無電解ニッケルリンメッキ液は、実験1で用いた無電解銅メッキ液と比較して、還元剤の含有量が多い。このため、無電解メッキ触媒(Pd)の量が少なくとも、メッキ反応が進行し易い。
【0107】
[実験4]
本実験では、触媒活性妨害層に含まれるポリマーとして、式(6)で表されるポリマーBを用いた以外は、実験1と同様の方法によりメッキ部品を製造した。
【0108】
(1)樹脂成形体(基材)の成形
実験1と同様の方法により、樹脂成形体(PPS)を成形した。
【0109】
(2)触媒活性妨害層の形成
本実験では、ポリマーAに代えて、式(6)で表されるポリマーB(フナコシ株式会社製、ポリ(N‐イソプロピルアクリルアミド) )(PNIPAM)を用いた以外は実験1と同様の方法により、基材表面に触媒活性妨害層を形成した。式(6)で表されるポリマーBは、式(3)で表されるポリマーであり、式(3)において、R
4がメチル基であり、R
5がイソプロピル基である。ポリマーBの分子量は、重量平均分子量(Mw)=40、000であった。形成した触媒活性妨害層の厚みを実験1と同様の方法により測定した。触媒活性妨害層の厚みは、約80nmであった。
【0110】
(3)レーザー描画、無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキ
触媒活性妨害層を形成した成形体に、実験1と同様の方法により、レーザー描画、無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキをこの順に行った。これにより、基材表面に無電解銅メッキ膜を1μm成長させた。以上説明した製造方法により、本実験のメッキ部品を得た。
【0111】
[実験5]
本実験では、触媒活性妨害層に含まれるポリマーとして、式(7)で表されるポリマーCを用いた以外は、実験1と同様の方法によりメッキ部品を製造した。
【0112】
(1)樹脂成形体(基材)の成形
実験1と同様の方法により、樹脂成形体(PPS)を成形した。
【0113】
(2)触媒活性妨害層の形成
本実験では、ポリマーAに代えて、式(7)で表されるポリマーC(シグマ−アルドリッチジャパン製、PNIPAM,amine terminated)を用いた以外は実験1と同様の方法により、基材表面に触媒活性妨害層を形成した。式(7)で表されるポリマーCは、式(3)で表されるポリマーであり、式(3)において、R
4が式(4)で表される基であり、R
5がイソプロピル基である。ポリマーCの分子量は、重量平均分子量(Mw)=5,500であった。形成した触媒活性妨害層の厚みを実験1と同様の方法により測定した。触媒活性妨害層の厚みは、約80nmであった。
【0114】
(3)レーザー描画、無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキ
触媒活性妨害層を形成した成形体に、実験1と同様の方法により、レーザー描画、無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキをこの順に行った。これにより、基材表面に無電解銅メッキ膜を1μm成長させた。以上説明した製造方法により、本実験のメッキ部品を得た。
【0115】
[実験6]
本実験では、レーザー描画の後に樹脂成形体(基材)の洗浄を行った以外は、実験1と同様の方法によりメッキ部品を製造した。
【0116】
(1)樹脂成形体(基材)の成形、触媒活性妨害層の形成及びレーザー描画
実験1と同様の方法により、基材として樹脂成形体(PPS)を成形し、基材表面にポリマーAを含む触媒活性妨害層を形成し、触媒活性妨害層を形成した樹脂成形体にレーザー描画を行った。
【0117】
(2)樹脂成形体(基材)の洗浄
レーザー描画を行った樹脂成形体を、60℃の市販のメッキ用前処理剤(奥野製薬工業製、コンディクリーンMA)に15分間浸漬した。その後、50℃の純水で1回、室温の純水で3回水洗した。樹脂成形体は、水洗後に風乾せずに次の工程に用いた。
【0118】
(3)無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキ
洗浄を行った成形体に、実験1と同様の方法により、無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキをこの順に行った。これにより、基材表面に無電解銅メッキ膜を1μm成長させた。以上説明した製造方法により、本実験のメッキ部品を得た。
【0119】
[実験7]
本実験では、レーザー描画にCO
2レーザー描画装置を用い、レーザー描画の後に樹脂成形体(基材)の洗浄を行った以外は、実験1と同様の方法によりメッキ部品を製造した。
【0120】
まず、実験1と同様の方法により、基材として樹脂成形体(PPS)を成形し、基材表面にポリマーAを含む触媒活性妨害層を形成した。次に、実験2と同様の方法により、触媒活性妨害層を形成した樹脂成形体にレーザー描画を行った。そして、実験6と同様の方法により、樹脂成形体の洗浄を行った。洗浄を行った成形体に、実験1と同様の方法により、無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキをこの順に行った。これにより、基材表面に無電解銅メッキ膜を1μm成長させた。以上説明した製造方法により、本実験のメッキ部品を得た。
【0121】
[実験8]
本実験では、レーザー描画の後に樹脂成形体(基材)の洗浄を行い、メッキ液として無電解ニッケルリンメッキ液を用いた以外は、実験1と同様の方法によりメッキ部品を製造した。
【0122】
まず、実験1と同様の方法により、樹脂成形体(PPS)を成形し、基材表面にポリマーAを含む触媒活性妨害層を形成し、レーザー描画を行った。そして、実験6と同様の方法により、樹脂成形体の洗浄を行った。洗浄を行った成形体に、実験1と同様の方法により、無電解メッキ触媒の付与を行い、実験3と同様の方法により、無電解ニッケルリンメッキを行った。これにより、基材表面に無電解ニッケルリンメッキ膜を1μm成長させた。以上説明した製造方法により、本実験のメッキ部品を得た。
【0123】
[実験9]
本実験では、触媒活性妨害層に含まれるポリマーとして、式(6)で表されるポリマーBを用い、レーザー描画の後に樹脂成形体(基材)の洗浄を行った以外は、実験1と同様の方法によりメッキ部品を製造した。
【0124】
まず、実験1と同様の方法により、樹脂成形体(PPS)を成形し、実験4と同様の方法により基材表面にポリマーBを含む触媒活性妨害層を形成した。次に、実験1と同様の方法により、触媒活性妨害層を形成した樹脂成形体にレーザー描画を行った。そして、実験6と同様の方法により、樹脂成形体の洗浄を行った。洗浄を行った成形体に、実験1と同様の方法により、無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキをこの順に行った。これにより、基材表面に無電解銅メッキ膜を1μm成長させた。以上説明した製造方法により、本実験のメッキ部品を得た。
【0125】
[実験10]
本実験では、触媒活性妨害層に含まれるポリマーとして、式(7)で表されるポリマーCを用い、レーザー描画の後に樹脂成形体(基材)の洗浄を行った以外は、実験1と同様の方法によりメッキ部品を製造した。
【0126】
まず、実験1と同様の方法により、樹脂成形体(PPS)を成形し、実験5と同様の方法により基材表面にポリマーCを含む触媒活性妨害層を形成した。次に、実験1と同様の方法により、触媒活性妨害層を形成した樹脂成形体にレーザー描画を行った。そして、実験6と同様の方法により、樹脂成形体の洗浄を行った。洗浄を行った成形体に、実験1と同様の方法により、無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキをこの順に行った。これにより、基材表面に無電解銅メッキ膜を1μm成長させた。以上説明した製造方法により、本実験のメッキ部品を得た。
【0127】
[実験11]
本実験では、触媒活性妨害層に含まれるポリマーとして、式(9)で表されるポリマーEを用い、レーザー描画の後に樹脂成形体(基材)の洗浄を行った以外は、実験1と同様の方法によりメッキ部品を製造した。
【0128】
(1)樹脂成形体(基材)の成形
実験1と同様の方法により、樹脂成形体(PPS)を成形した。
【0129】
(2)触媒活性妨害層の形成
本実験では、ポリマーAに代えて、式(9)で表されるアミノエチル化アクリルポリマー(日本触媒製、ポリメントNK−350)(ポリマーE)を用いた以外は実験1と同様の方法により、基材表面に触媒活性妨害層を形成した。ポリマーEの分子量は、重量平均分子量(Mw)=100,000であった。形成した触媒活性妨害層の厚みを実験1と同様の方法により測定した。触媒活性妨害層の厚みは、80nmであった。
【0130】
(3)レーザー描画、樹脂成形体(基材)の洗浄、無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキ
触媒活性妨害層を形成した成形体に、実験1と同様の方法により、レーザー描画を行い、次に、実験6と同様の方法により、樹脂成形体(基材)の洗浄を行った。洗浄した基材に、実験1と同様の方法により、無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキをこの順に行った。これにより、基材表面に無電解銅メッキ膜を1μm成長させた。以上説明した製造方法により、本実験のメッキ部品を得た。
【0131】
[実験12]
本実験では、触媒活性妨害層に含まれるポリマーとして、式(6)で表されるポリマーBを用い、レーザー描画にCO
2レーザー描画装置を用い、更にレーザー描画の後に樹脂成形体(基材)の洗浄を行った以外は、実験1と同様の方法によりメッキ部品を製造した。
【0132】
まず、実験1と同様の方法により、樹脂成形体(PPS)を成形した。次に、実験4と同様の方法により、式(6)で表されるポリマーBを用いて、基材表面に触媒活性妨害層を形成した。触媒活性妨害層を形成した樹脂成形体に、実験2と同様の方法により、CO
2レーザー描画装置を用いてレーザー描画を行った。次に、実験6と同様の方法により、樹脂成形体(基材)の洗浄を行った。洗浄した基材に、実験1と同様の方法により、無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキをこの順に行った。これにより、基材表面に無電解銅メッキ膜を1μm成長させた。以上説明した製造方法により、本実験のメッキ部品を得た。
【0133】
[実験13]
本実験では、触媒活性妨害層に含まれるポリマーとして、式(7)で表されるポリマーCを用い、レーザー描画にCO
2レーザー描画装置を用い、更にレーザー描画の後に樹脂成形体(基材)の洗浄を行った以外は、実験1と同様の方法によりメッキ部品を製造した。
【0134】
まず、実験1と同様の方法により、樹脂成形体(PPS)を成形した。次に、実験5と同様の方法により、式(7)で表されるポリマーCを用いて、基材表面に触媒活性妨害層を形成した。触媒活性妨害層を形成した樹脂成形体に、実験2と同様の方法により、CO
2レーザー描画装置を用いてレーザー描画を行った。次に、実験6と同様の方法により、樹脂成形体(基材)の洗浄を行った。洗浄した基材に、実験1と同様の方法により、無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキをこの順に行った。これにより、基材表面に無電解銅メッキ膜を1μm成長させた。以上説明した製造方法により、本実験のメッキ部品を得た。
【0135】
[実験14]
本実験では、触媒活性妨害層に含まれるポリマーとして、式(9)で表されるポリマーEを用い、レーザー描画にCO
2レーザー描画装置を用い、更に、レーザー描画の後に樹脂成形体(基材)の洗浄を行った以外は、実験1と同様の方法によりメッキ部品を製造した。
【0136】
まず、実験1と同様の方法により、樹脂成形体(PPS)を成形した。次に、実験11と同様の方法により、式(9)で表されるポリマーEを用いて、基材表面に触媒活性妨害層を形成した。触媒活性妨害層を形成した樹脂成形体に、実験2と同様の方法により、CO
2レーザー描画装置を用いてレーザー描画を行った。次に、実験6と同様の方法により、樹脂成形体(基材)の洗浄を行った。洗浄した基材に、実験1と同様の方法により、無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキをこの順に行った。これにより、基材表面に無電解銅メッキ膜を1μm成長させた。以上説明した製造方法により、本実験のメッキ部品を得た。
【0137】
[実験15]
本実験では、触媒活性妨害層に含まれるポリマーとして、式(6)で表されるポリマーBを用い、レーザー描画の後に樹脂成形体(基材)の洗浄を行い、更に、メッキ液として無電解ニッケルリンメッキ液を用いた以外は、実験1と同様の方法によりメッキ部品を製造した。
【0138】
まず、実験1と同様の方法により、樹脂成形体(PPS)を成形した。次に、実験4と同様の方法により、式(6)で表されるポリマーBを用いて、基材表面に触媒活性妨害層を形成した。触媒活性妨害層を形成した成形体に、実験1と同様の方法により、レーザー描画を行った。次に、実験6と同様の方法により、樹脂成形体(基材)の洗浄を行った。洗浄を行った成形体に、実験1と同様の方法により、無電解メッキ触媒の付与を行い、実験3と同様の方法により、無電解ニッケルリンメッキ液を用いて、成形体表面に無電解ニッケルリンメッキ膜を1μm成長させた。以上説明した製造方法により、本実験のメッキ部品を得た。
【0139】
[実験16]
本実験では、触媒活性妨害層に含まれるポリマーとして、式(7)で表されるポリマーCを用い、レーザー描画の後に樹脂成形体(基材)の洗浄を行い、更に、メッキ液として無電解ニッケルリンメッキ液を用いた以外は、実験1と同様の方法によりメッキ部品を製造した。
【0140】
まず、実験1と同様の方法により、樹脂成形体(PPS)を成形した。次に、実験5と同様の方法により、式(7)で表されるポリマーCを用いて、基材表面に触媒活性妨害層を形成した。触媒活性妨害層を形成した成形体に、実験1と同様の方法により、レーザー描画を行った。次に、実験6と同様の方法により、樹脂成形体(基材)の洗浄を行った。洗浄を行った成形体に、実験1と同様の方法により、無電解メッキ触媒の付与を行い、実験3と同様の方法により、無電解ニッケルリンメッキ液を用いて、成形体表面に無電解ニッケルリンメッキ膜を1μm成長させた。以上説明した製造方法により、本実験のメッキ部品を得た。
【0141】
[実験17]
本実験では、触媒活性妨害層に含まれるポリマーとして、式(9)で表されるポリマーEを用い、レーザー描画の後に樹脂成形体(基材)の洗浄を行い、更に、メッキ液として無電解ニッケルリンメッキ液を用いた以外は、実験1と同様の方法によりメッキ部品を製造した。
【0142】
まず、実験1と同様の方法により、樹脂成形体(PPS)を成形した。次に、実験11と同様の方法により、式(9)で表されるポリマーEを用いて、基材表面に触媒活性妨害層を形成した。触媒活性妨害層を形成した成形体に、実験1と同様の方法により、レーザー描画を行った。次に、実験6と同様の方法により、樹脂成形体(基材)の洗浄を行った。洗浄を行った成形体に、実験1と同様の方法により、無電解メッキ触媒の付与を行い、実験3と同様の方法により、無電解ニッケルリンメッキ液を用いて、成形体表面に無電解ニッケルリンメッキ膜を1μm成長させた。以上説明した製造方法により、本実験のメッキ部品を得た。
【0143】
[実験18]
本実験では、触媒活性妨害層に含まれるポリマーとして、式(10)で表されるポリマーFを用い、レーザー描画の後に樹脂成形体(基材)の洗浄を行った以外は、実験1と同様の方法によりメッキ部品を製造した。
【0144】
(1)樹脂成形体(基材)の成形
実験1と同様の方法により、樹脂成形体(PPS)を成形した。
【0145】
(2)触媒活性妨害層の形成
本実験では、ポリマーAに代えて、式(10)で表されるポリアミドイミド(東レ株式会社)(ポリマーF)を用いた以外は実験1と同様の方法により、基材表面に触媒活性妨害層を形成した。形成した触媒活性妨害層の厚みを実験1と同様の方法により測定した。触媒活性妨害層の厚みは、約100nmであった。
【0146】
(3)レーザー描画、樹脂成形体(基材)の洗浄、無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキ
触媒活性妨害層を形成した成形体に、実験1と同様の方法により、レーザー描画を行い、次に、実験6と同様の方法により、樹脂成形体(基材)の洗浄を行った。洗浄した基材に、実験1と同様の方法により、無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキをこの順に行った。これにより、基材表面に無電解銅メッキ膜を1μm成長させた。以上説明した製造方法により、本実験のメッキ部品を得た。
【0147】
[実験19]
本実験では、触媒活性妨害層に含まれるポリマーとして式(10)で表されるポリマーFを用い、レーザー描画の後に樹脂成形体(基材)の洗浄を行い、更に、メッキ液として無電解ニッケルリンメッキ液を用いた以外は、実験1と同様の方法によりメッキ部品を製造した。
【0148】
まず、実験1と同様の方法により、樹脂成形体(PPS)を成形した。次に、実験18と同様の方法により、式(10)で表されるポリマーFを用いて、基材表面に触媒活性妨害層を形成した。触媒活性妨害層を形成した成形体に、実験1と同様の方法により、レーザー描画を行った。次に、実験6と同様の方法により、樹脂成形体(基材)の洗浄を行った。洗浄を行った成形体に、実験1と同様の方法により、無電解メッキ触媒の付与を行い、実験3と同様の方法により、無電解ニッケルリンメッキ液を用いて、成形体表面に無電解ニッケルリンメッキ膜を1μm成長させた。以上説明した製造方法により、本実験のメッキ部品を得た。
【0149】
[実験20]
本実験では、基材として板状に成形したポリアミドを用い、レーザー描画の後に樹脂成形体(基材)の洗浄を行いた以外は、実験1と同様の方法によりメッキ部品を製造した。
【0150】
(1)樹脂成形体(基材)の成形
本実験では、PPSに代えてポリアミド(PA)(東洋紡株式会社製、バイロアミド)を用いた以外は実験1と同様の方法により、樹脂成形体を成形した。
【0151】
(2)触媒活性妨害層の形成、レーザー描画、樹脂成形体(基材)の洗浄、無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキ
実験1と同様の方法により、基材表面にポリマーAを含む触媒活性妨害層を形成した。触媒活性妨害層を形成した成形体に、実験1と同様の方法により、レーザー描画を行い、次に、実験6と同様の方法により、樹脂成形体(基材)の洗浄を行った。洗浄した基材に、実験1と同様の方法により、無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキをこの順に行った。これにより、基材表面に無電解銅メッキ膜を1μm成長させた。以上説明した製造方法により、本実験のメッキ部品を得た。
【0152】
[実験21]
本実験では、基材として板状に成形したポリアミドを用い、レーザー描画の後に樹脂成形体(基材)の洗浄を行い、更に、メッキ液として無電解ニッケルリンメッキ液を用いた以外は、実験1と同様の方法によりメッキ部品を製造した。
【0153】
まず、実験20と同様の方法により、樹脂成形体(PA)を成形した。次に、実験1と同様の方法により、基材表面にポリマーAを含む触媒活性妨害層を形成した。触媒活性妨害層を形成した成形体に、実験1と同様の方法により、レーザー描画を行った。次に、実験6と同様の方法により、樹脂成形体(基材)の洗浄を行った。洗浄を行った成形体に、実験1と同様の方法により、無電解メッキ触媒の付与を行い、実験3と同様の方法により、無電解ニッケルリンメッキ液を用いて、成形体表面に無電解ニッケルリンメッキ膜を1μm成長させた。以上説明した製造方法により、本実験のメッキ部品を得た。
【0154】
[実験22]
本実験では、基材として板状に成形したポリアミドを用い、レーザー描画の後に樹脂成形体(基材)の洗浄を行った以外は、実験1と同様の方法によりメッキ部品を製造した。
【0155】
(1)樹脂成形体(基材)の成形
本実験では、PPSに代えてポリアミド(PA)(ソルベイジャパン株式会社製、アモデルAS−1566HS)を用いた以外は実験1と同様の方法により、樹脂成形体を成形した。
【0156】
(2)触媒活性妨害層の形成、レーザー描画、樹脂成形体(基材)の洗浄、無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキ
実験1と同様の方法により、基材表面にポリマーAを含む触媒活性妨害層を形成した。触媒活性妨害層を形成した成形体に、実験1と同様の方法により、レーザー描画を行い、次に、実験6と同様の方法により、樹脂成形体(基材)の洗浄を行った。洗浄した基材に、実験1と同様の方法により、無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキをこの順に行った。これにより、基材表面に無電解銅メッキ膜を1μm成長させた。以上説明した製造方法により、本実験のメッキ部品を得た。
【0157】
[実験23]
本実験では、基材として板状に成形したポリアミドを用い、レーザー描画の後に樹脂成形体(基材)の洗浄を行い、更に、メッキ液として無電解ニッケルリンメッキ液を用いた以外は、実験1と同様の方法によりメッキ部品を製造した。
【0158】
まず、実験22と同様の方法により、樹脂成形体(PA)を成形した。次に、実験1と同様の方法により、基材表面にポリマーAを含む触媒活性妨害層を形成した。触媒活性妨害層を形成した成形体に、実験1と同様の方法により、レーザー描画を行った。次に、実験6と同様の方法により、樹脂成形体(基材)の洗浄を行った。洗浄を行った成形体に、実験1と同様の方法により、無電解メッキ触媒の付与を行い、実験3と同様の方法により、無電解ニッケルリンメッキ液を用いて、成形体表面に無電解ニッケルリンメッキ膜を1μm成長させた。以上説明した製造方法により、本実験のメッキ部品を得た。
【0159】
[実験24]
本実験では、触媒活性妨害層に代えて、式(8)で表されるポリマーDを含む樹脂層を基材上に形成し、レーザー描画の後に樹脂成形体(基材)の洗浄を行ったこと以外は、実験1と同様の方法によりメッキ部品を製造した。
【0160】
(1)樹脂成形体(基材)の成形
実験1と同様の方法により、樹脂成形体(PPS)を成形した。
【0161】
(2)樹脂層の形成
本実験では、ポリマーAに代えて、式(8)で表されるハイパーブランチポリマー(日産化学工業製、ハイパーテック HPS−200)(ポリマーD)を用いた以外は実験1と同様の方法により、基材表面に樹脂層を形成した。ポリマーDの分子量は、重量平均分子量(Mw)=23,000であった。形成した樹脂層の厚みを実験1と同様の方法により測定した。樹脂層の厚みは、80nmであった。
【0162】
(3)レーザー描画、樹脂成形体(基材)の洗浄、無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキ
樹脂層を形成した成形体に、実験1と同様の方法により、レーザー描画を行い、次に、実験6と同様の方法により、樹脂成形体(基材)の洗浄を行った。洗浄した基材に、実験1と同様の方法により、無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキをこの順に行った。これにより、基材表面に無電解銅メッキ膜を1μm成長させた。以上説明した製造方法により、本実験のメッキ部品を得た。
【0163】
[実験25]
本実験では、触媒活性妨害層に代えて、式(8)で表されるポリマーDを含む樹脂層を基材上に形成し、レーザー描画にCO
2レーザー描画装置を用い、更に、レーザー描画の後に樹脂成形体(基材)の洗浄を行った以外は、実験1と同様の方法によりメッキ部品を製造した。
【0164】
まず、実験1と同様の方法により、樹脂成形体(PPS)を成形した。次に、実験24と同様の方法により、式(8)で表されるポリマーDを用いて、基材表面に樹脂層を形成した。樹脂層を形成した樹脂成形体に、実験2と同様の方法により、CO
2レーザー描画装置を用いてレーザー描画を行い、次に、実験6と同様の方法により、樹脂成形体(基材)の洗浄を行った。洗浄した基材に、実験1と同様の方法により、無電解メッキ触媒の付与及び無電解メッキをこの順に行った。これにより、基材表面に無電解銅メッキ膜を1μm成長させた。以上説明した製造方法により、本実験のメッキ部品を得た。
【0165】
[実験26]
本実験では、触媒活性妨害層に代えて、式(8)で表されるポリマーDを含む樹脂層を基材上に形成し、レーザー描画の後に樹脂成形体(基材)の洗浄を行い、更に、メッキ液として無電解ニッケルリンメッキ液を用いた以外は、実験1と同様の方法によりメッキ部品を製造した。
【0166】
まず、実験1と同様の方法により、樹脂成形体(PPS)を成形した。次に、実験24と同様の方法により、式(8)で表されるポリマーDを用いて、基材表面に樹脂層を形成した。樹脂層を形成した成形体に、実験1と同様の方法により、レーザー描画を行い、次に、実験6と同様の方法により、樹脂成形体(基材)の洗浄を行った。洗浄を行った成形体に、実験1と同様の方法により、無電解メッキ触媒の付与を行い、実験3と同様の方法により、無電解ニッケルリンメッキ液を用いて、成形体表面に無電解ニッケルリンメッキ膜を1μm成長させた。以上説明した製造方法により、本実験のメッキ部品を得た。
【0167】
ポリマーA
【化9】
【0168】
ポリマーB
【化10】
【0169】
ポリマーC
【化11】
【0170】
ポリマーD
【化12】
【0171】
ポリマーE
【化13】
【0172】
ポリマーF
【化14】
【0173】
[評価]
以上説明した実験1〜26において製造したメッキ部品を目視にて観察し、以下の評価基準に従ってメッキ析出性とメッキ選択性を評価した。結果を表1に示す。
【0174】
<メッキ析出性の評価基準>
○:レーザー描画部にメッキ膜が成長している。
×:レーザー描画部にメッキ膜が成長していない。
【0175】
<メッキ選択性の評価基準>
○:レーザー描画部のみにメッキ膜が成長している。
△:レーザー描画部以外にも一部メッキ膜が成長している。
×:メッキ膜が基材全体に成長している。
【0176】
【表1】
【0177】
(1)実験6〜19及び24〜26について
実験6〜19及び24〜26は、全て、基材にポリフェニレンサルファイド(PPS)を用い、レーザー光照射後の基板洗浄を行った実験である。実験6〜8で用いたポリマーA、実験9、12及び15で用いたポリマーB、実験10、13及び16で用いたポリマーC、実験24〜26で用いたポリマーD、実験11、14及び17で用いたポリマーE、及び実験18及び19で用いたポリマーFの6種類のポリマーについて、表1に示すメッキ選択性の評価結果に基づき、以下の評価基準に従って総合評価を行った。結果を表2に示す。
【0178】
<総合評価の評価基準>
◎:無電解銅メッキ及び無電解ニッケルリンメッキのメッキ選択性が共に○。
○:無電解銅メッキのメッキ選択性は○であるが、無電解ニッケルリンメッキのメッキ選択性が×。
△:無電解銅メッキのメッキ選択性は△であるが、無電解ニッケルリンメッキのメッキ選択性が×。
×:無電解銅メッキ及び無電解ニッケルリンメッキのメッキ選択性が共に×。
【0179】
【表2】
【0180】
表1及び表2に示すように、アミド基及びアミノ基の少なくとも一方を有するポリマーA〜C、E及びFを用いて作製したメッキ部品は、無電解銅メッキのメッキ析出性及びメッキ選択性が共に良好であった(総合評価結果:◎〜△)。レーザー描画部においては、触媒活性妨害層が除去されたために無電解銅メッキ膜が生成し、一方、それ以外の部分においては、触媒活性妨害層の存在により無電解銅メッキ膜の生成が抑制されたと推測される。この結果から、ポリマーA〜C、E及びFが触媒活性妨害剤として作用することがわかった。ポリマーA〜C、E及びFに含まれるアミド基及び/又はアミノ基が、無電解メッキ触媒の触媒活性を妨害したと推測される。
【0181】
中でも、側鎖にアミド基を有する分岐ポリマーであるポリマーA〜Cを用いて作製したメッキ部品は、ポリマーE及びFを用いて作製したメッキ部品と比較して、無電解銅メッキのメッキ選択性が良好であった(総合評価結果:◎又は○)。ポリマーEは、アミノ基を有する分岐ポリマーであり、ポリマーFは、直鎖にアミド基を有するポリマーである。この結果から、側鎖にアミド基を有する分岐ポリマーであるポリマーA〜Cは、無電解メッキ触媒の触媒活性を妨害する効果が高いと推測される。
【0182】
更に、ハイパーブランチポリマーであるポリマーAを用いて作製したメッキ部品は、無電解銅メッキに加えて、無電解ニッケルリンメッキのメッキ選択性も良好であった(総合評価結果:◎)。無電解ニッケルリンメッキ液は、無電解銅メッキ液と比較して還元剤の含有量が多い。このため、無電解ニッケルリンメッキは、無電解銅メッキと比較して無電解メッキ反応が進み易い。このような無電解ニッケルリンメッキにおいても、ポリマーAは、無電解メッキ触媒の触媒活性を妨害する触媒活性妨害剤として十分に作用した。この原因は、以下のように推測される。ポリマーAは、自由度の高い側鎖部分が多いため、無電解メッキ触媒であるパラジウム(Pd)に吸着し易く、多座配位子として作用して無電解メッキ触媒(パラジウムイオン)と強固なキレート構造を形成した推測される。これにより、還元剤の含有量が多い無電解ニッケルリンメッキ液中においても、パラジウムイオンの還元が抑制され、この結果、無電解メッキ膜の生成が抑制されたと推測される。
【0183】
一方、ポリマーD用いて作製したメッキ部品は、無電解銅メッキ及び無電解ニッケルリンメッキ共に、メッキ膜が基材全体に成長してしまい、選択的なメッキ膜が形成できなかった(メッキ析出性:○、メッキ選択性:×、総合評価:×)。この結果から、ポリマーDは、触媒活性妨害剤として作用しないことがわかった。ポリマーDは、硫黄を含む基(ジチオカルバメート基)を有するハイパーブランチポリマーである。ジチオカルバメート基は、無電解メッキ触媒を吸着等する傾向があると考えられる。しかし、アミド基及び/又はアミノ基を有さないポリマーDは、無電解メッキ触媒を強固にトラップすることができず、このため、触媒活性妨害剤として作用しなかったと推測される。
【0184】
(2)実験1〜5について
実験1〜5は、レーザー光照射後の基板洗浄を行っていないこと以外は、それぞれ、実験6〜10と同様の条件で行った実験である。実験1〜5におけるメッキ選択性の評価結果は、実験6〜10におけるメッキ選択性の評価結果と比較して、やや劣っている。この結果から、レーザー光照射後の基板洗浄によって、メッキ選択性が向上すると推測される。
【0185】
(3)実験20〜23について
実験20及び22は、基材としてポリアミドの樹脂成形体を用いたこと以外、実験6と同様の条件で行った実験であり、実験21及び23は、基材としてポリアミドの樹脂成形体を用いたこと以外、実験8と同様の条件で行った実験である。実験20〜23におけるメッキ選択性の評価結果も、実験6及び8におけるメッキ選択性の評価結果と同様に良好であった。この結果から、ポリアミドの樹脂成形体を用いても選択的なメッキが可能であることが確認できた。