(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、装置の小型化、簡略化、低コスト化等を図りつつ、既存のトランシット(又はセオドライト)に対して容易に取り付け及び取り外しを行うことができ、又、トランシットの望遠鏡のレンズ光学系に対して光軸の軸心合わせや焦点合わせ等の調整作業を容易に行うことができるトランシット用カメラ装
置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るトランシット用カメラ装置は、トランシットの接眼レンズを保持する鏡筒に対して着脱自在に連結されるカメラユニットを含むトランシット用カメラ装置であって、上記カメラユニットは、鏡筒に対して同軸上に嵌合されてその光軸(又は視準軸)の方向に位置決め固定される筒部材と、撮像素子を含むカメラモジュールと、カメラモジュールの光軸を筒部材と同軸上に位置付けるべくカメラモジュールを筒部材の内側に保持しつつ筒部材の端部に連結される閉塞部材を含む、ことを特徴としている。
この構成によれば、カメラユニットの筒部材をトランシットの鏡筒に嵌め込むだけで、接眼レンズの光軸(視準軸)とカメラモジュールの光軸との軸心合わせを行うことができ、又、筒部材を光軸方向に適宜移動させて位置決め固定することによりトランシットの接眼レンズを通して見える十字線が撮像素子で明確に見えるように焦点合わせ(合焦)を行うことができる。
そして、トランシットの接眼レンズを介して撮像素子で撮影された視準対象物の撮影画像を、例えば携帯用端末モニタ等で確認しつつ、トランシットの合焦ネジで視準対象物に焦点を合わせ十字線と視準対象物との位置ずれを確認することができる。
特に、カメラユニットの筒部材が、トランシットの鏡筒に対して着脱自在で、かつ、光学的な調整(光軸の調心、焦点合わせ、光軸回りの角度合わせ等)を容易に行えるため、既存のトランシットに対して簡単に適用することができる。
したがって、カメラユニットが予めトランシットに一体的に組み込まれたものに比べて、小型化、低コスト化、構造の簡素化等を達成しつつ、トランシットを使用する場合において、直接肉眼で視準する場合とカメラユニットを用いて視準する場合とを状況に応じて適宜選択することができる。
【0009】
上記構成をなすトランシット用カメラ装置において、筒部材は、鏡筒の外周に嵌合されて固定される第1筒部材と、第1筒部材に嵌合されて位置決め固定される第2筒部材を含む、構成を採用してもよい。
この構成によれば、カメラユニットの筒部材が、第1筒部材と第2筒部材の二段構造をなすため、第1筒部材を鏡筒に固定した後に、第2筒部材を第1筒部材に対して適宜調整することにより、光学的な調整(焦点合わせ、光軸回りの角度合わせ等)を行うことができる。
したがって、トランシットの種類が異なる場合は、それぞれのトランシットの鏡筒に対応する第1筒部材をそれぞれ準備し、第2筒部材及びカメラモジュール並びに閉塞部材は共用することができる。
【0010】
上記構成をなすトランシット用カメラ装置において、筒部材は、その外周において、鏡筒近傍の所定指標に対して光軸回りの角度位置を位置決めする目印を有する、構成を採用してもよい。
この構成によれば、カメラユニットをトランシットの鏡筒に組み付ける際に、筒部材の目印をトランシットの指標に合わせるように組み付けることで、トランシットの十字線に対してカメラモジュールの光軸回りの角度位置を、所望される位置(撮像素子の水平及び垂直方向が十字線と重なる位置)又はその近傍に容易に位置決めすることができる。
【0011】
上記構成をなすトランシット用カメラ装置において、筒部材は、鏡筒の外周面に当接するべく螺合された調整ネジを有する、構成を採用してもよい。
この構成によれば、筒部材を鏡筒に嵌め込み、筒部材を適宜回転及び光軸方向に移動させて光学的な調整(焦点合わせ、光軸回りの角度合わせ等)を行った後に、調整ネジを締め付けることで、カメラユニットをトランシットに対して容易に固定することができ又光学的に調整することができる。
【0012】
上記構成をなすトランシット用カメラ装置において、第1筒部材は、鏡筒の外周面に当接するべく螺合された第1調整ネジと、第2筒部材の外周面に当接するべく螺合された第2調整ネジを有する、構成を採用してもよい。
この構成によれば、第1筒部材を鏡筒に嵌め込んで第1調整ネジを締め付けて固定した後に、第2筒部材を第1筒部材に対して適宜回転及び光軸方向に移動させて光学的な調整(焦点合わせ、光軸回りの角度合わせ等)を行った後に、第2調整ネジを締め付けることで、カメラユニットをトランシットに対して容易に固定することができ又光学的に容易に調整することができる。
【0013】
上記構成をなすトランシット用カメラ装置において、閉塞部材は、筒部材又は第2筒部材の端面に沿って位置合わせしつつ締結する締結ネジを含む、構成を採用してもよい。
この構成によれば、カメラモジュールを保持する閉塞部材を筒部材又は第2筒部材に固定する際に、筒部材又は第2筒部材の中心軸線にカメラモジュールの光軸を一致させて締結ネジを締め付けることにより、調心作業を容易に行うことができる。
【0014】
上記構成をなすトランシット用カメラ装置において、閉塞部材は、カメラモジュールを押え込んで保持する押え部材と、押え部材を締結する締結ネジを含む、構成を採用してもよい。
この構成によれば、押え部材でカメラモジュールを押えつつ閉塞部材に対して押え部材を締結ネジで締め付けることにより、簡単な構造で容易にカメラモジュールを固定することができる。
【0015】
上記構成をなすトランシット用カメラ装置において、カメラユニットに電気的に接続されて撮像情報を送信するべく、トランシットの本体に対して着脱自在に固定され得る無線送信器をさらに含む、構成を採用してもよい。
この構成によれば、カメラモジュールで撮影された撮影画像を、無線送信器を介して無線受信器を備えた携帯用端末モニタ等に送ることにより、トランシットから離れた位置において、操作者は携帯用端末モニタを眺めながら、視準対象物の位置ずれ等を確認することができる。
また、カメラユニット及び無線送信器が、トランシットに対して着脱自在となっているため、種々のトランシットに対して適用することができる。
【0016】
上記構成をなすトランシット用カメラ装置において、カメラユニット及び無線送信器に電気的に接続されて電力を供給するべく、トランシットの本体に対して着脱自在に固定され得る電源をさらに含む、構成を採用してもよい。
この構成によれば、カメラ装置として専用の電源を備えるため、この電源によりカメラモジュール及び無線送信器を起動させることができ、トランシットに内蔵された電源はトランシット専用として利用することができる。
また、カメラユニット及び無線送信器並びに電源が、トランシットに対して着脱自在となっているため、種々のトランシットに対して適用することができる。
【0017】
上記構成をなすトランシット用カメラ装置において、無線送信器及び電源は、面ファスナーを介してトランシットの本体に固定される、構成を採用してもよい。
この構成によれば、面ファスナーを使用することで、トランシトの本体に対する無線送信器及び電源の取付け及び取り外しを容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
上記構成をなすトランシット用カメラ装
置によれば、装置の小型化、簡略化、低コスト化等を達成しつつ、既存のトランシット(又はセオドライト)に対して容易に取り付け及び取り外しを行うことができ、又、トランシットのレンズ光学系に対して光軸の軸心合わせや焦点合わせ等の調整作業を容易に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
先ず、本発明が適用されるトランシット(又はセオドライトとも称する)Tは、
図1及び
図2に示すように、略U字状の形態をなす本体1、本体1の下方に位置する底板2、整準ネジ3、水平軸HL回りに回転自在に支持された望遠鏡4、鉛直調整ネジ5、水平調整ネジ6、操作パネル7、水平気泡管8、本体1内に内蔵されたバッテリ9等を備えている。
【0023】
ここで、望遠鏡4は、
図2に示すように、主鏡筒4a、光軸(視準軸)Lをもつ接眼レンズ4bを同軸上に保持する鏡筒4c、主鏡筒4aの先端側に保持された対物レンズ(不図示)、合焦ネジ4d、鏡筒4cの近傍に設けられた指標(例えば、ネジ頭、突起物等)4e等により構成されている。
【0024】
上記のトランシットTに適用されるトランシット用カメラ装置は、
図1に示すように、カメラユニットU、無線送信器R、電源B、カメラユニットUと無線送信器Rとを電気的に接続する配線C1、無線送信器Rと電源Bとを電気的に接続する配線C2等を備えている。
【0025】
カメラユニットUは、
図3及び
図4に示すように、筒部材としての第1筒部材10及び第2筒部材20、カメラモジュール30、閉塞部材40、押え部材50、第1調整ネジ60、第2調整ネジ70、締結ネジ80、締結ネジ90等を備えている。
【0026】
第1筒部材10は、アルミニウム材料等を用いて、
図3及び
図4に示すように、大径円筒部11及び小径円筒部12が連続する二段円筒状に形成されている。
大径円筒部11は、鏡筒4cの外周面に嵌合される大径内周面11a、2つの第1調整ネジ60がそれぞれ螺合される2つのネジ孔11b、トランシットTの指標4eに位置合わせする際の目印11cを有する。
2つのネジ孔11bは、周方向に等間隔(ここでは180度間隔ごと)に配置され径方向に貫通するように形成されている。尚、ネジ孔11bの個数は、2つに限らず、1つ、3つあるいはそれ以上であってもよい。
小径円筒部12は、第2筒部材20を内側に嵌合させる小径内周面12a、4つの第2調整ネジ70がそれぞれ螺合される4つのネジ孔12bを有する。
4つのネジ孔12bは、周方向に等間隔(ここでは90度間隔ごと)に配置され径方向に貫通するように形成されている。尚、ネジ孔12bの個数は、4つに限らず、1ないし3つあるいは5つ以上であってもよい。
ここで、第1筒部材10の中心軸線、すなわち、大径内周面11a及び小径内周面12aの中心軸線は、大径円筒部11が鏡筒4cに嵌合されることで、接眼レンズ4bの光軸(視準軸)Lと一致する同軸上に位置付けられるように形成されている。
尚、ここでは、第1筒部材10が大径円筒部11及び小径円筒部12を備える二段円筒形状を示したが、これに限定されるものではなく、同一の内径をなす単一の円筒形状を採用してもよい。
【0027】
第2筒部材20は、アルミニウム材料等を用いて、
図3及び
図4に示すように、円筒状に形成され、小径内周面12aに嵌合される外周面21、閉塞部材30が当接して連結される端部22、端部22に開けられて2つの締結ネジ80をそれぞれ捩じ込む2つのネジ穴23、カメラモジュール30に接続された配線C1を通すべく貫通孔に嵌め込まれたゴム製のグロメット(不図示)の等を有する。
第2筒部材20の中心軸線、すなわち、外周面21の中心軸線は、外周面21が第1筒部材10の小径内周面12aに嵌合されることで、第1筒部材10の中心軸線と一致する同軸上に位置付けられるように形成されている。
端部22は、
図3及び
図4に示すように、中心軸線に対して垂直な面上に位置する円環状の端面として形成されている。
【0028】
ここでは、筒部材として第1筒部材10及び第2筒部材20を採用しているため、トランシットTの種類が異なる場合は、それぞれのトランシットTの鏡筒4cに対応する第1筒部材10をそれぞれ準備し、第2筒部材20及びカメラモジュール30並びに閉塞部材40等は共用することができる。
【0029】
カメラモジュール30は、
図4に示すように、ハウジング31、ハウジング31の中央に配置されたレンズ32、ハウジング31の内部でレンズ32の後方に配置された撮像素子33、撮像素子33を実装した回路基板34等を備えている。
撮像素子33は、CCDあるいはCMOS等のイメージセンサである。
ここで、カメラモジュール30としては、画角40度〜70度の範囲、好ましくは60度程度、焦点距離としては無限大のものが使用される。
尚、上記カメラモジュール30の構成は一例であり、要求される特性に応じて、レンズの枚数及び形状等が異なる仕様をなすカメラモジュールを適用することができる。
【0030】
閉塞部材40は、アルミニウム材料、ステンレス材料、鋼材料等を用いて、
図3及び
図4に示すように、第2筒部材20の端部22側の開口を閉塞するように円板状に形成され、2つの締結ネジ80をそれぞれ通す2つの円孔41、2つの締結ネジ90をそれぞれ通す2つの円孔42を有する。
2つの円孔41は、カメラモジュール30を押え部材50で固定した状態で、閉塞部材40を第2筒部材20に連結して固定する際に、カメラモジュール30の光軸が第2筒部材20の中心軸線と一致するように調心しつつ位置決めできるように、締結ネジ80のネジ外径よりも所定量だけ大きい内径に形成されている。
【0031】
押え部材50は、アルミニウム材料、ステンレス材料、鋼材料等を用いて、
図3及び
図4に示すように、略コ字状に屈曲して形成され、カメラモジュール30のレンズ32を露出させると共にハウジング31の円筒部を通す円孔51、ハウジング31の段差部を押える押え部52、閉塞部材40に接合される2つの脚部53、2つの脚部53にそれぞれ設けられた2つのナット54等を備えている。
【0032】
ここで、上記構成をなすカメラユニットUの組付け手順について説明する。
先ず、第1筒部材10、第2筒部材20、カメラモジュール30、閉塞部材40、押え部材50、2つの第1調整ネジ60、4つの第2調整ネジ70、2つの締結ネジ80、2つの締結ネジ90を準備する。
そして、カメラモジュール30を押え部材50で閉塞部材40に押えつつ、締結ネジ90を締め付け、カメラモジュール30を閉塞部材40に固定する。
このように、押え部材50でカメラモジュール30を押えつつ、閉塞部材40に対して押え部材50を締結ネジ90で締め付けることにより、簡単な構造で容易にカメラモジュール30を固定することができる。
【0033】
続いて、カメラモジュール30が第2筒部材20の内側に配置されるように、閉塞部材40を第2筒部材20の端部22に接合させる。そして、締結ネジ80を、円孔41を通してネジ穴23に所定量だけ捩じ込む。次に、所定の測定機器を用いて、カメラモジュール30の光軸が第2筒部材20の中心軸線と一致するように調心を行い、その後、締結ネジ80を締め込んで固定する。
このように、カメラモジュール30を保持した閉塞部材40を締結ネジ80で第2筒部材20に締め付けて固定するため、第2筒部材20の中心軸線にカメラモジュール30の光軸を一致させて締結ネジ80を締め付けることにより、調心作業を容易に行うことができる。
【0034】
続いて、第2筒部材20を第1筒部材10の小径内周面12aに嵌合させ、第2調整ネジ70をネジ孔12bに捩じ込んで締め付け固定する。これにより、カメラモジュール30の光軸は、第1筒部材10の中心軸線と一致するように組み込まれた状態となる。さらに、第1調整ネジ60をネジ孔11bに捩じ込む。
【0035】
また、カメラユニットUには、配線C1を介して無線送信器Rが接続され、さらに、無線送信器Rに接続された配線C2を介して電源Bが接続される。
これにより、カメラユニットU、無線送信器R、及び電源Bを備えたトランシット用カメラ装置が完成する。
尚、無線送信器Rとしては、無線LANが行える送信器であり、例えばWiFiルータ、その他の送信器を適用することができる。また、電源Bとしては、モバイルバッテリであり、乾電池、リチウムイオンバッテリ、その他のモバイルバッテリを適用することができる。
【0036】
ここでは、カメラユニットU、無線送信器R、電源Bが、トランシットTに対して着脱自在となっているため、種々のトランシットTに対して適用することができる。また、専用の電源Bを備えるため、電源Bによりカメラモジュール30及び無線送信器Rを起動させることができ、トランシットTに内蔵されたバッテリ9はトランシット専用として利用することができる。
【0037】
次に、上記のようにして完成したトランシット用カメラ装置を、トランシットTに組み付ける手順について説明する。
予め、トランシットTの本体1に対して、
図2に示すように、無線送信器Rを固定するための面ファスナーF1及び電源Bを固定するための面ファスナーF2を貼付し、又、無線送信器Rの表面に対応する面ファスナーF1及び電源Bの表面に対応する面ファスナーF2を貼付する。
そして、カメラユニットUの第1筒部材10をトランシットTの鏡筒4cに嵌め込みつつ、目印11cを指標4eに合わせ、第1調整ネジ60により固定する。
このように、第1筒部材10の目印11cをトランシットTの指標4eに合わせるように組み付けることで、トランシットTの十字線に対してカメラモジュール30の光軸回りの角度位置を、所望される位置(撮像素子33の水平及び垂直方向が十字線と重なる位置)又はその近傍に容易に位置決めすることができる。
【0038】
続いて、
図2に示すように、無線送信器R及び電源Bを面ファスナーF1,F2を介してトランシットTの本体1に固定する。
続いて、電源Bをオンにする。
続いて、
図5に示すように、携帯用端末モニタMを使用し、インストール済みのアプリケーションソフト(例えば、AVIN等のメディアプレーヤー)を起動する。
【0039】
そして、予め第2調整ネジ70を緩めて、携帯用端末モニタMを確認しつつ、トランシットTの十字線が水平・垂直に向くように第2筒部材20を回転させると共に、十字線が明確に見えるように第2筒部材20を中心軸線の方向に移動させてフォーカス調整を行った後に、第2調整ネジ70を締めて固定する。
これにより、トランシットTへの取付けが完了する。このように、簡単な取付け作業と、簡単な調整作業により、トランシット用カメラ装置をトランシットTに容易に取り付けることができる。
【0040】
次に、上記トランシット用カメラ装置が取り付けられたトランシットTを、スピーダー工法による横穴掘削の際の誤差測定に使用する場合について説明する。
先ず、
図6に示すように、発進立坑100及び到達立坑101が掘られ、両方の立坑100,101の間に埋設管用の掘削穴102の中心線となる計画線Sが設定される。
そして、発進立坑100には、推進機103が設置され、地上には、推進機103に油圧を供給する油圧ユニット104等が設置される。
また、地上には、計画線S上に位置する基準点(2点)間に水糸105が張られ、下降りが降ろされる。
【0041】
さらに、推進機103には、所定位置にある台座に対して、トランシット用カメラ装置が取り付けられたトランシットTが、所定方向に位置付けられて設置される。
また、内部に視準対象物としてのターゲットを取り付けたスピーダーヘッドを接続したリード管106が、推進機103に取り付けられる。尚、ターゲットとしては、高輝度の発光ダイオード等が使用される。
ここで、トランシットTの望遠鏡4(の対物レンズ)が、リード管106の軸線方向に方向付けられると、リード管106の内部を通してスピーダーヘッド内に設けられたターゲットを視準できるようになっている。
【0042】
また、発進立坑100内において、推進機103を水平に位置付けるために、推進機103に設けられた所定のマークに下降りが一致するように、推進機103の調整ネジが適宜調整される。
続いて、
図7(a)に示すように、望遠鏡4の対物レンズが鉛直上方を向くように望遠鏡4が回転させられる。そして、水糸が十字線の縦線に一致するように、推進機103の水平方向における向きが調整される。尚、この調整は、携帯用端末モニタMにおいて、表示画像を適宜拡大して確認しつつ行われる。
この調整の際に、カメラユニットUは、小型化されているため、トランシットTのU字状をなす本体1に干渉することなく、鉛直方向に向けて調整作業や測量作業を容易に行うことができる。
【0043】
この調整が終わると、
図7(b)に示すように、望遠鏡4が水平方向に回転させられて、スピーダーヘッドのターゲットに方向付けられる。そして、携帯用端末モニタMの表示画像を確認しつつ、合焦ネジ4dを適宜調整して、ターゲットに対して焦点が合わせられる。この調整作業により、リード管106が計画線S上に方向付けられる。
その後、スピーダー工法の工程において、カメラユニットUを通して得られる撮影画像を、携帯用端末モニタMで確認し、適宜画像を拡大してターゲットの位置ずれ等を確認しつつ、適宜補正量をフィードバックして掘削作業が進められる。
【0044】
ここでは、トランシットTを作業者が直接覗き込むのではなく、カメラユニットUの撮影画像が、無線送信器Rで携帯用端末モニタMに送信されるため、作業者は、携帯用端末モニタMを眺めて、又、適宜拡大して表示しつつ確認することができる。
したがって、作業者は、狭い発進立坑100内に留まることなく、地上において確認作業を行うことができる。
【0045】
上記実施形態に係るトランシット用カメラ装置によれば、カメラユニットUの筒部材が第1筒部材10と第2筒部材20の二段構造をなすため、第1筒部材10を鏡筒4cに固定した後に、第2筒部材20を第1筒部材10に対して適宜調整することにより、光学的な調整(焦点合わせ、光軸回りの角度合わせ等)を行うことができる。
したがって、トランシットTの種類が異なる場合は、それぞれのトランシットTの鏡筒4cに対応する第1筒部材10をそれぞれ準備し、第2筒部材20及びカメラモジュール30並びに閉塞部材40等は共用することができる。
また、トランシットTの接眼レンズ4bを介して撮像素子33で撮影された視準対象物の撮影画像を、例えば携帯用端末モニタM等で表示画像を適宜拡大しながら、トランシットTの合焦ネジ4dで視準対象物に焦点を合わせ、十字線と視準対象物との位置ずれを確認することができる。
特に、カメラユニットの第1筒部材10が、トランシットTの鏡筒4cに対して着脱自在でかつ光学的な調整(光軸の調心、焦点合わせ、光軸回りの角度合わせ等)を容易に行えるため、既存のトランシットTに対して簡単に適用することができる。
したがって、カメラユニットが予めトランシットに一体的に組み込まれたものに比べて、小型化、低コスト化、構造の簡素化等を達成しつつ、トランシットを使用する場合において、直接肉眼で視準する場合とカメラユニットを用いて視準する場合とを状況に応じて適宜選択することができる。
【0046】
図8及び
図9は、本発明に係るトランシット用カメラ装置に含まれるカメラユニットの他の実施形態を示すものである。尚、前述の実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
この実施形態に係るカメラユニットU´は、
図8及び
図9に示すように、筒部材10´、カメラモジュール30、閉塞部材40、押え部材50、調整ネジ60´、締結ネジ80、締結ネジ90等を備えている。
【0047】
筒部材10´は、アルミニウム材料等を用いて、
図8及び
図9に示すように、大径円筒部11´及び小径円筒部12´が連続する二段円筒状に形成されている。
大径円筒部11´は、鏡筒4cの外周面に嵌合される大径内周面11a´、4つの調整ネジ60´がそれぞれ螺合される4つのネジ孔11b´、トランシットTの指標4eに位置合わせする際の目印11c´を有する。
4つのネジ孔11b´は、周方向に等間隔(ここでは90度間隔ごと)に配置され径方向に貫通するように形成されている。尚、ネジ孔11b´の個数は、4つに限らず、1つ、2つ、3つあるいは5つ以上であってもよい。
【0048】
小径円筒部12´は、閉塞部材30が当接して連結される端部13´、端部13´に開けられて2つの締結ネジ80をそれぞれ捩じ込む2つのネジ穴14´、カメラモジュール30に接続された配線C1を通すべく貫通孔に嵌め込まれたゴム製のグロメット(不図示)の等を有する。
端部13´は、
図8及び
図9に示すように、筒部材10´の中心軸線に対して垂直な面上に位置する円環状の端面として形成されている。
ここで、筒部材10´の中心軸線、すなわち、大径内周面11a´の中心軸線は、大径円筒部11´が鏡筒4cに嵌合されることで、接眼レンズ4bの光軸(視準軸)Lと一致する同軸上に位置付けられるように形成されている。
【0049】
ここでは、筒部材として一つの筒部材10´を採用しているため、カメラユニットU´の筒部材10´をトランシットTの鏡筒4cに嵌め込むだけで、接眼レンズ4bの光軸(視準軸)Lとカメラモジュール30の光軸との軸心合わせを行うことができ、又、筒部材10´を光軸L方向に適宜移動させて位置決め固定することにより、トランシットTの接眼レンズ4bを通して見える十字線が撮像素子33で明確に見えるように焦点合わせ(合焦)を行うことができる。
特に、筒部材10´が一つの部材で構成されているため、部品点数を削減でき、又、カメラユニットとしての組立工数等を削減でき、低コスト化を達成できる。
尚、ここでは、筒部材10´が二段円筒状をなすものを示したが、これに限定されるものではなく、単一の円筒状をなす形態を採用してもよい。
【0050】
次に、上記のようにして完成したトランシット用カメラ装置を、トランシットTに組み付ける手順について説明する。
前述同様に、トランシットTの本体1に対して、
図2に示すように、予め無線送信器Rを固定するための面ファスナーF1及び電源Bを固定するための面ファスナーF2を貼付し、又、無線送信器Rの表面に対応する面ファスナーF1及び電源Bの表面に対応する面ファスナーF2を貼付する。
そして、カメラユニットU´の筒部材10´をトランシットTの鏡筒4cに嵌め込みつつ、目印11cを指標4eに合わせる。
【0051】
続いて、
図2に示すように、無線送信器R及び電源Bを面ファスナーF1,F2を介してトランシットTの本体1に固定する。
続いて、電源Bをオンにする。
続いて、
図5に示すように、携帯用端末モニタMを使用し、インストール済みのアプリケーションソフト(例えば、AVIN等のメディアプレーヤー)を起動する。
【0052】
そして、携帯用端末モニタMを確認しつつ、トランシットTの十字線が水平・垂直に向くように筒部材10´を回転させると共に、十字線が明確に見えるように筒部材10´を中心軸線の方向に移動させてフォーカス調整を行った後に、調整ネジ60´を締めて固定する。
これにより、トランシットTへの取付けが完了する。このように、簡単な取付け作業と、簡単な調整作業により、トランシット用カメラ装置をトランシットTに容易に取り付けることができる。
尚、上記トランシット用カメラ装置が取り付けられたトランシットTを、スピーダー工法による横穴掘削の際の誤差測定に使用する場合については、前述の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0053】
上記実施形態に係るトランシット用カメラ装置によれば、カメラユニットU´の筒部材10´がトランシットTの鏡筒4cに対して着脱自在でかつ光学的な調整(光軸の調心、焦点合わせ、光軸回りの角度合わせ等)を容易に行えるため、既存のトランシットTに対して簡単に適用することができる。
したがって、カメラユニットが予めトランシットに一体的に組み込まれたものに比べて、小型化、低コスト化、構造の簡素化等を達成しつつ、トランシットを使用する場合において、直接肉眼で視準する場合とカメラユニットを用いて視準する場合とを状況に応じて適宜選択することができる。
【0054】
上記実施形態においては、筒部材10´、第1筒部材10及び第2筒部材20、閉塞部材40、押え部材50等として、例えばアルミニウム材料、ステンレス材料、鋼材料等により形成されたものを示したが、これに限定されるものではなく、変形が少なく寸法精度を高精度に維持できるものであれば、樹脂材料、その他の材料を用いて形成することができる。
【0055】
上記実施形態において、筒部材10´又は第1筒部材10を鏡筒4cに固定する手段として調整ネジ60´及び第1調整ネジ60を示したが、これに限定されるものではなく、着脱自在に固定できるものであれば、ネジ以外の手段を用いてもよい。
上記実施形態において、第1筒部材10に対して第2筒部材20を固定する手段として、第2調整ネジ70を示したが、これに限定されるものではなく、着脱自在に固定できるものであれば、ネジ以外の手段を用いてもよい。
【0056】
上記実施形態において、カメラモジュール30を閉塞部材40に固定する手段として、押え部材50及び締結ネジ90を示したが、これに限定されるものではなく、固定できるものであれば、接着剤、その他の手段を用いてもよい。
上記実施形態において、閉塞部材40を第2筒部材20又は筒部材10´に固定する手段として、締結ネジ80を示したが、これに限定されるものではなく、高精度に軸心合わせを行いつつ固定できるものであれば、接着剤、その他の手段を用いてもよい。
【0057】
上記実施形態においては、トランシット用カメラ装置として、電源Bを備えた構成を示したが、これに限定されるものではなく、トランシットTに内蔵された電源を兼用する構成としてもよい。
上記実施形態においては、トランシット用カメラ装置を取り付けたトランシットTをスピーダー工法における測定のために使用する場合を示したが、これに限定されるものではなく、トランシットを用いて測定する分野であれば、その他の建築、土木等の分野においても使用され得るものである。
尚、ここでは、測量機としてトランシット(セオドライトとも称する)を示しているが、これに限定されるものではなく、接眼レンズを保持する鏡筒を含む測量機であれば、その他の測量機にも適用できるものであり、ここで述べるトランシットの範疇に含まれるものである。