特許第6607860号(P6607860)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6607860
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】スライドバルブ
(51)【国際特許分類】
   F16K 3/02 20060101AFI20191111BHJP
【FI】
   F16K3/02 D
【請求項の数】30
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-550551(P2016-550551)
(86)(22)【出願日】2015年2月6日
(65)【公表番号】特表2017-506315(P2017-506315A)
(43)【公表日】2017年3月2日
(86)【国際出願番号】EP2015000241
(87)【国際公開番号】WO2015124266
(87)【国際公開日】20150827
【審査請求日】2018年1月18日
(31)【優先権主張番号】102014001726.5
(32)【優先日】2014年2月7日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516031196
【氏名又は名称】クラーマー ヴァルター
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(74)【代理人】
【識別番号】100091867
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 アキラ
(74)【代理人】
【識別番号】100202016
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 喬
(72)【発明者】
【氏名】クラーマー ヴァルター
【審査官】 北村 一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−063249(JP,A)
【文献】 実開昭50−113137(JP,U)
【文献】 英国特許出願公告第01572389(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 3/00− 3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送ライン(6、6’、7)を備える搬送システム内で使用するための、スライドバルブにして、
少なくとも1つのスライダー(1、1a)を備え、前記少なくとも1つのスライダー(1、1a)を用いて前記搬送ライン(6、6’、7)の搬送断面が閉止可能であり、また、前記少なくとも1つのスライダー(1、1a)が少なくとも1つの通過口(33)を有しており、また
前記搬送ライン(6、6’、7)を取り囲む少なくとも1つの密閉リング(27、28)を備え、前記少なくとも1つの密閉リング(27、28)を用いて前記搬送ライン(6、6’、7)がスライダー(1、1a)に対して密閉されており、また
記密閉リング(27、28)がリングディスク形状の密閉部を有しており、当該密閉部が、前記スライダー(1、1a)に平面で当接し、また、前記搬送ライン(6、6’、7)内の圧力及び周囲圧力の間の圧力差によって密閉している、
スライドバルブにおいて、
前記密閉リング(27、28)が、少なくとも1つのポジションリング(29、30)によってその取り付け位置で保持されていること、
を特徴とするスライドバルブ。
【請求項2】
請求項1に記載のスライドバルブにおいて、
前記スライダー(1、1a)が2つの保持プレート(2、3;2a、3a)の間に存在し、当該保持プレート(2、3;2a、3a)がそれぞれ前記スライダー(1、1a)から間隔を有していること、
を特徴とするスライドバルブ。
【請求項3】
請求項2に記載のスライドバルブにおいて、
前記両保持プレート(2、3)がスペーサー(8)により互いに間隔を保持されており、当該スペーサー(8)が、前記スライダー(1)の変位方向に延伸している前記スライダー(1)のスリット(14、15)を、貫通していること、
を特徴とするスライドバルブ。
【請求項4】
請求項2または3に記載のスライドバルブにおいて、
少なくとも一方の前記保持プレートが、少なくとも1つのパイプ部(6、6’、7)を有しており、当該パイプ部(6、6’、7)が前記搬送ラインの一部であって、また、前記保持プレート(2、3;2a、3a)の開口部(4、5)を通って突出していること、
を特徴とするスライドバルブ。
【請求項5】
請求項からの何れか一項に記載のスライドバルブにおいて、
一方の前記保持プレート(2)が、前記スライダー(1)の変位方向(9)で間隔を置いて並んで位置する少なくとも2つのパイプ部(6、6’)を有し、また、前記スライダー(1)が、前記スライダー(1)の変位によって前記保持プレート(2)の前記パイプ部(6、6’)の一方と選択的に接続可能な1つのパイプ部(7)を有すること、
を特徴とするスライドバルブ。
【請求項6】
請求項からの何れか一項に記載のスライドバルブにおいて、
前記スライダー(1a)が前記両保持プレート(2a、3a)の間で揺動可能に支持されていること、
を特徴とするスライドバルブ。
【請求項7】
請求項からの何れか一項に記載のスライドバルブにおいて、
前記スライダー(1a)が少なくとも1つの操作部(59、61、63、64)と共に揺動可能であること、
を特徴とするスライドバルブ。
【請求項8】
請求項に記載のスライドバルブにおいて、
前記操作部(59、61、63、64)が、一方の前記保持プレート(2a、3a)に設けられた少なくとも1つのスリット(62)を貫通して突出しており、当該スリット(62)が前記スライダー(1a)の揺動軸(48)の周りで湾曲して延伸していること、
を特徴とするスライドバルブ。
【請求項9】
請求項またはに記載のスライドバルブにおいて、
前記操作部(59、61、63、64)が、クランプ部材(64)を有し、それを用いて前記操作部(59、61、63)が、前記スライダー(1a)のそれぞれの調整位置で、前記少なくとも1つ保持プレート(2a、3a)にクランプ可能であること、
を特徴とするスライドバルブ。
【請求項10】
請求項1から9の何れか一項に記載のスライドバルブにおいて、
前記ポジションリング(29、30)が円形状の断面を有していること、
を特徴とするスライドバルブ。
【請求項11】
送ライン(6、6’、7)を備える搬送システム内で使用するための、スライドバルブにして、
少なくとも1つのスライダー(1、1a)を備え、前記少なくとも1つのスライダー(1、1a)を用いて前記搬送ライン(6、6’、7)の搬送断面が閉止可能であり、また、前記少なくとも1つのスライダー(1、1a)が少なくとも1つの通過口(33)を有しており、また
前記搬送ライン(6、6’、7)を取り囲む少なくとも1つの密閉リング(27’、28’)を備え、前記少なくとも1つの密閉リング(27’、28’)を用いて前記搬送ライン(6、6’、7)がスライダー(1、1a)に対して密閉されており、また
記密閉リング(27’、28’)がリングディスク形状の密閉部を有しており、当該密閉部が、前記スライダー(1、1a)に平面で当接し、また、前記搬送ライン(6、6’、7)内の圧力及び周囲圧力の間の圧力差によって密閉している、
スライドバルブにおいて、
前記密閉リング(27’、28’)がL字形状の断面を有していること、
一方の脚部(34、35)がリングディスク形状の密閉部を形成すること、及び、
前記密閉リング(27’、28’)の他方の脚部(36、37)が、その外側の周面で、前記密閉リング(27’、28’)を取り囲むサポートリング(40、41)の内側に当接すること、
を特徴とするスライドバルブ。
【請求項12】
請求項11に記載のスライドバルブにおいて、
前記スライダー(1、1a)が2つの保持プレート(2、3;2a、3a)の間に存在し、当該保持プレート(2、3;2a、3a)がそれぞれ前記スライダー(1、1a)から間隔を有していること、
を特徴とするスライドバルブ。
【請求項13】
請求項12に記載のスライドバルブにおいて、
前記両保持プレート(2、3)がスペーサー(8)により互いに間隔を保持されており、当該スペーサー(8)が、前記スライダー(1)の変位方向に延伸している前記スライダー(1)のスリット(14、15)を、貫通していること、
を特徴とするスライドバルブ。
【請求項14】
請求項12または13に記載のスライドバルブにおいて、
少なくとも一方の前記保持プレートが、少なくとも1つのパイプ部(6、6’、7)を有しており、当該パイプ部(6、6’、7)が前記搬送ラインの一部であって、また、前記保持プレート(2、3;2a、3a)の開口部(4、5)を通って突出していること、
を特徴とするスライドバルブ。
【請求項15】
請求項12から14の何れか一項に記載のスライドバルブにおいて、
一方の前記保持プレート(2)が、前記スライダー(1)の変位方向(9)で間隔を置いて並んで位置する少なくとも2つのパイプ部(6、6’)を有し、また、前記スライダー(1)が、前記スライダー(1)の変位によって前記保持プレート(2)の前記パイプ部(6、6’)の一方と選択的に接続可能な1つのパイプ部(7)を有すること、
を特徴とするスライドバルブ。
【請求項16】
請求項14または15に記載のスライドバルブにおいて、
前記密閉リング(27’、28’)の前記一方の脚部(34、35)が、前記パイプ部(6、6’、7)から半径方向の間隔を有していること、
を特徴とするスライドバルブ。
【請求項17】
請求項14から16の何れか一項に記載のスライドバルブにおいて、
前記密閉リング(27’、28’)の脚部(34、35)、及び、前記保持プレート(2、3)、及び、前記パイプ部(6、6’、7)、及び、前記サポートリング(40、41)が、半径方向で、1つの収容空間(38、39)を画成していること、
を特徴とするスライドバルブ。
【請求項18】
請求項17に記載のスライドバルブにおいて、
前記密閉リング(27’、28’)の前記収容空間(38、39)内に、1つのポジションリング(29’、30’)が収容されていること、
を特徴とするスライドバルブ。
【請求項19】
請求項18に記載のスライドバルブにおいて、
前記ポジションリング(29’、30’)が圧力媒体にとって通過可能であること、
を特徴とするスライドバルブ。
【請求項20】
請求項18または19に記載のスライドバルブにおいて、
前記ポジションリング(29’、30’)が、少なくとも1つの通過部(42)を有していること
を特徴とするスライドバルブ。
【請求項21】
請求項20に記載のスライドバルブにおいて、
前記ポジションリング(29’、30’)が周囲に渡って分布して配された複数の通過部を有していること、
を特徴とするスライドバルブ。
【請求項22】
請求項18から21の何れか一項に記載のスライドバルブにおいて、
前記ポジションリング(29’、30’)が円形状の断面を有していること、
を特徴とするスライドバルブ。
【請求項23】
請求項12から22の何れか一項に記載のスライドバルブにおいて、
前記スライダー(1a)が前記両保持プレート(2a、3a)の間で揺動可能に支持されていること、
を特徴とするスライドバルブ。
【請求項24】
請求項12から23の何れか一項に記載のスライドバルブにおいて、
前記スライダー(1a)が少なくとも1つの操作部(59、61、63、64)と共に揺動可能であること、
を特徴とするスライドバルブ。
【請求項25】
請求項24に記載のスライドバルブにおいて、
前記操作部(59、61、63、64)が、一方の前記保持プレート(2a、3a)に設けられた少なくとも1つのスリット(62)を貫通して突出しており、当該スリット(62)が前記スライダー(1a)の揺動軸(48)の周りで湾曲して延伸していること、
を特徴とするスライドバルブ。
【請求項26】
請求項24または25に記載のスライドバルブにおいて、
前記操作部(59、61、63、64)が、クランプ部材(64)を有し、それを用いて前記操作部(59、61、63)が、前記スライダー(1a)のそれぞれの調整位置で、前記少なくとも1つ保持プレート(2a、3a)にクランプ可能であること、
を特徴とするスライドバルブ。
【請求項27】
請求項11から26の何れか一項に記載のスライドバルブにおいて、
圧力搬送の際、前記搬送ライン(6、6’、7)内に発生する圧力が、前記密閉リング(27’、28’)を、前記スライダー(1)及び前記サポートリング(40、41)に対して押し付けること、
を特徴とするスライドバルブ。
【請求項28】
請求項1から27の何れか一項に記載のスライドバルブにおいて、
前記スライダー(1、1a)の両側に、それぞれ1つの密閉リング(27、28、27’、28’)が、リングディスク形状の密閉部で、当接していること、
を特徴とするスライドバルブ。
【請求項29】
請求項1から28の何れか一項に記載のスライドバルブにおいて、
前記スライダー(1a)が略L字状に形成されていること、
を特徴とするスライドバルブ。
【請求項30】
請求項29に記載のスライドバルブにおいて、
前記スライダー(1a)がその長脚部(46)と共に揺動可能に支持されていること、
を特徴とするスライドバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1及び請求項11の前提部分に従うスライドバルブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
スライドバルブを用いて、プラスチック顆粒のような素材が空圧的に搬送される搬送ラインを開放又は閉止することが知られている。そのために、1つのスライダーが設けられており、当該スライダーは、閉止位置から開放位置へ変位され、当該開放位置ではスライダー内に設けられた貫通口が、搬送ラインを通っての素材の通過を可能にする。搬送素材(搬送物)は、真空又は圧力を用いて、搬送ラインを通って搬送される。それゆえ、スライダーの通過領域は、搬送ラインによって密閉されていなければならない。貫通口の縁部にシーリング部材を設けることが知られており、当該シーリング部材はスライダーの開放位置において、スライダーと搬送ラインの間のシーリングギャップを密閉する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、従来のスライドバルブを、簡潔な構造でまた安価である形態において、より確実な密閉が保証されるように形成し、またその際、搬送の休止中すなわち圧が掛けられていない状態においても、スライダーを閉止位置及び開放位置の間で容易に変位させることが出来るように形成する、という課題に基づいている。
【0004】
この課題は、従来のスライドバルブにおいて、本発明に従い、請求項1及び請求項11の特徴部分の特徴によって達成される。
【0005】
本発明に従うスライドバルブにおいては、シールリングが、搬送ラインを取り囲んでおり、また、リングディスク形状の密閉部を用いてスライダーに平面で当接している。リングディスク形状の平らな密閉部は、僅かな組み立て空間しか要求しない、また、それは容易に組み立てることが出来る。それにより密閉がなされ、リングディスク形状の密閉部には圧力が掛り、当該圧力により、密閉部はスライダーに対して押し付けられる。圧力は、搬送ライン内の圧力と周囲圧力(環境気圧)の間の圧力差によって発生する。搬送ライン内で真空下での搬送が行われる場合、搬送ライン内には負圧(陰圧)が存在する。そして、リングディスク形状の密閉部は搬送ラインの外部の外圧によってスライダーに対して押し付けられ、それによって、密閉がなされる。周囲圧力よりも高い圧力を用いて搬送ラインを通過して搬送素材を搬送する場合、リングディスク形状の密閉部は搬送ライン内に作用する圧力によってスライダーに対して押し付けられる。
【0006】
スライドバルブは、好ましい実施形態においては、2枚の保持プレート(ホールディングプレート)を有しており、それらの間にスライダーが配設されている。保持プレートはその際、スライダーから間隔を置いているので、それらがスライダーの変位可能性を妨げることは出来ない。
【0007】
好ましい構成においては、平坦なスライダーの両側に、リングディスク形状の密閉部を有するシールリングが、それぞれ当接している。これらの平坦な密閉部はそれぞれ、圧力を掛けられて、スライダーの両側に平面で当接している。それにより最適な密閉が保証される。
【0008】
両保持プレートは、有利には、複数のスペーサーによって互いの間隔を保持されている。これらのスペーサーは、スライダー内でスライダーの変位方向に延びるスリットを、貫通している。従ってスペーサーは追加的に、スライダーをその変位方向に案内するためにも利用される。
【0009】
有利には、少なくとも保持プレートの1つが、少なくとも1つのパイプ部を有している。好ましくは、保持プレートの双方がそれぞれ、少なくとも1つのパイプ部を備えている。当該パイプ部は搬送ラインの一部である。パイプ部はそれぞれの保持プレートに固定して接続、好ましくは溶接されている、そして、保持プレートの開口部を通って突出している。スライダーは、互いに向かい合っている両方の保持プレートのパイプ部の端部の間で、延伸しており、その際、シールリングは、それぞれのパイプ部とスライダーの間のリングギャップを密閉している。
【0010】
有利な実施形態においては、シールリングは少なくとも1つのポジションリング(位置決めリング)によってその取り付け位置において保持されている。
【0011】
有利には、ポジションリングは円形状の断面を有している。それによりポジションリングは、シールリングの平坦な密閉部に、単に直線状に載っているので、スライダーを容易に開放位置及び密閉位置の間で変位させることが出来る。
【0012】
有利な構成においては、シールリングはL字形状の断面を有している。特には、搬送ライン内の搬送素材が圧力を用いて搬送される場合に、シールリングのそのような形成が用いられる。このシールリングの一方の脚部は、リングディスク形状の平坦な密閉部を形成し、当該密閉部はスライダーに密着して当接している。
【0013】
L字形状の断面を有するシールリングの他方の脚部は円筒状に延びており、その際円筒の軸はパイプ部の軸と一致している。この円筒状の脚部はその外側の外周面で、シールリングを取り囲んでいる支持リング(サポートリング)の内側に当接している。それによりシールリングは、支持リングによって、半径方向外側に向かって確実に支えられる。
【0014】
シールリングの一方の平坦な脚部がパイプ部から半径方向に間隔を有している場合、有利である。その場合、圧力搬送時に搬送ライン内に発生する圧力は、パイプ部及びスライダーの間のリングギャップを介して、パイプ部及びシールリングの円筒部の間の領域に達することが出来る。この圧力下で、この円筒状のシールリング部分は、支持リングの内側に確実に押し付けられ、それによって最適な密閉が保証されている。
【0015】
シールリングは有利には、パイプ部を取り囲んでいる圧力媒体のための収容空間を、有している。シールリングの両方の脚部は、それにより、スライダー並びに支持リングに対して押し付けられるので、スライダーの領域における搬送ラインの或いはそのパイプ部の信頼性の高い密閉が達成される。
【0016】
この圧力空間は、パイプ部の軸方向では、シールリングの一方の平坦な脚部によって或いはスライダー及び保持プレートによって、画成されており、また、半径方向では、パイプ部及び支持リングによって或いはシールリングの他方の円筒状の脚部によって、画成されている。
【0017】
支持リングは、スライダー及び近傍の保持プレートの間で延伸している。シールリングの円筒状の脚部によって、収容空間内に発生する圧力が支持リング及びスライダー或いは保持プレートの間のギャップを介して減少され得ること、が回避される。
【0018】
圧力搬送時においては、収容空間内に発生する圧力は、搬送ライン或いはそのパイプ部を確実に密閉するのに十分である。搬送圧はパイプ部及びスライダーの間のギャップを介して収容空間内で作用する。
【0019】
シールリングの収容空間内にポジションリングが入れられている場合、有利であり、当該ポジションリングは、圧力がかかっていない状態においてシールリングがスライダーから外れることを防ぐ。
【0020】
それにより、圧力がシールリングの円筒状の脚部にも達し得るために、ポジションリングは圧力媒体にとって通過可能に形成されている。ポジションリングは有利には、圧力媒体のための少なくとも1つの通過部を有しており、この通過部を介して、圧力は円筒状の脚部にも達し得る。有利には、ポジションリングには、ポジションリングの周囲に渡って好ましくは均等に分布して配設された、複数のリングノッチ(環状溝)が設けられており、それらを介して、圧力はシールリングの円筒状の脚部に作用することが出来る。
【0021】
スライドバルブは、供給ラインを用いて搬送素材を少なくとも2つの互いに分離された搬送ラインに選択的に導くことが出来るように、形成されていてもよい。この場合、上述の保持プレートの一枚は、少なくとも2つの、スライダーの変位方向で互いに間隔を置いた状態にあるパイプ部を備えており、当該パイプ部は別々の2つの搬送ラインの一部である。スライダーは1つのパイプ部を備えており、当該パイプ部には、搬送素材の供給ラインが接続されている。スライダーを変位させることによってそのパイプ部を、選択的に保持プレートのパイプ部の一方に、接続させることが出来る。もう一方のパイプ部は、スライダーによって閉止されているので、搬送されるべき物質は互いに接続されたパイプ部を介してのみ搬送されることが可能である。
【0022】
そのような構成は、スライダーに接続されたパイプ部を介して搬送素材をレシーバー(受容部)に供給することも可能にする。搬送素材はこの場合、保持プレートの一方のパイプ部を介して供給される。
【0023】
1つの有利且つ簡潔な実施形態においては、スライダーは両方の保持プレートの間で揺動可能(回動可能)に支持されている。そのような構成は、スライドバルブの非常に簡潔な構造をもたらす。
【0024】
その際、スライダーは有利には略L字形状に形成されている。
【0025】
好ましくは、スライダーは、その長い方の脚部を用いて、両方の保持プレートの間で揺動可能に支持されている。
【0026】
スライダーを容易に揺動可能とするため、当該スライダーは少なくとも1つの操作部を備えている。それを用いてスライドバルブの使用者は開放位置並びに閉止位置へ非常に簡単に搖動させることが出来る。
【0027】
スライダーは両方の保持プレートの間にあるので、少なくとも一方の保持プレートには一本のスリットが設けられており、当該スリットを貫通して操作部が突出している。それにより、スライダーは使用者により外部から容易に調整され得る。スリットはスライダーの揺動軸の周りで湾曲されている。
【0028】
スリットは有利には、揺動方向にあるスリットの両方の端部によってスライダーの開放位置並びに閉止位置が特定されるほどの、長さである。使用者はそれゆえ、操作部がスライダーの一方の端部或いは他方の端部に接触するまで、操作部を移動させるだけでよい。
【0029】
スライダーが開放位置或いは閉止位置で確実に状態保障されているために、有利には、操作部にクランプ部材を設けること、特には回転ハンドルを設けること、が企図される。
【0030】
回転ハンドルには、有利な実施形態においては、固定的にネジボルトが設けられており、当該ネジボルトをスライダーに固定的に接続されているネジブッシュ内へ螺入することが出来る。安全位置においては、ネジボルトは、クランプ部材がクランプして保持プレートに当接するまで、ネジブッシュ内へ螺入されている。
【0031】
本願の対象は、個々の請求項の対象のみからもたらされるものではなく、図面及び明細書に開示される全ての記載及び特徴によってもたらされるものである。それらが請求項の対象でない場合でも、それらが個別に又は組み合わせで従来技術に対して新規であるかぎり、それらは発明に本質的なものとして請求される。
【0032】
本発明の更なる特徴は、更なる請求項、明細書及び図面からもたらされる。
【0033】
本発明は、図面に示されている3つの実施形態により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明に従うスライドバルブの上面図を示す。
図2図1のA−Aラインに沿った断面を示す。
図3図2の細部Xを拡大図で示す。
図4】本発明に従うスライドバルブを図1に対応する図面で示し、そのスライダーは別の端部位置に変位されている。
図5図4のA−Aラインに沿った断面を示す。
図6】本発明に従うスライドバルブの第2の実施形態の上面図を示す。
図7図6のA−Aラインに沿った断面を示す。
図8図6に従うスライドバルブを示しており、そのスライダーは別の端部位置へ変位されている。
図9図8のA−Aラインに沿った断面を示す。
図10図9の細部Xを拡大図で示す。
図11】本発明に従うスライドバルブの第3の実施例の上面図を示す。
図12図11のA−Aラインに沿った断面を示す。
図13図11の矢印XIIIの方向から見た図を示す。
図14図11に従うスライドバルブを斜視図で示す。
図15図11の矢印XVの方向から見た図を示す。
図16】本発明に従うスライドバルブの別の実施形態を示しており、そのスライダーは閉止位置を占めている。
図17図16に従うスライドバルブを示しており、そのスライダーは開放位置を占めている。
図18図17のA−Aラインに沿った断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1から図5に従うスライドバルブは、真空搬送の際に使用される。このバルブは、2枚の保持プレートの間に存する平坦なスライダーを有している。それらのプレートはスライダー1に対して間隔を置いており、またそれぞれ開口部4、5を有しており、これらの開口部を通ってそれぞれ1つのパイプ部6、7が突出している。両パイプ部6、7は、互いに揃って並んでおり、また、同一の内径及び外径を有している。パイプ部6、7には、既知の様態で、搬送ラインが接続されており、当該搬送ラインを通って、搬送素材、例えばプラスチック顆粒が搬送される。スライダー1を用いて、パイプ部6、7の内側断面を閉じることが出来るので、対応する搬送ラインを通ってそれ以上の素材が流れることは出来ない。パイプ部6、7は有利には溶接によって保持プレート2、3に固定接続されている。
【0036】
両保持プレート2、3は、スペーサー8によって互いに必要な間隔を置いて保持されている。実施例では、4つのスペーサー8が設けられており、それらのうち、それぞれ2つのスペーサーが、スライダー1の変位方向9において互いに間隔を置いて並んで存在している。
【0037】
スペーサー8は同一に形成されており、また、それぞれ1つのボルト部10を有しており、当該ボルト部10を用いて2枚の保持プレート2、3の間の間隔を調整することが出来る。それにより、例えば製造公差を、対応する部分の機械的な処理を必要とすることなしに、容易に解消することが出来る。保持プレート3は、ボルト部11に存するロックナット11によって固定されている。ボルト部10は、その長さの一部に渡り、ガイドブッシュ12によって取り囲まれており、当該ガイドブッシュ12は、ボルト部10において別のロックナット13により軸方向でボルト部10に固定されている。ガイドブッシュ12は、その他方の端部で、保持プレート3と向かい合っている保持プレート2の内側面に、当接している。それぞれのスペーサー8のガイドブッシュ12は、スライダー1の変位方向9に延伸するスリット14、15を通って突出している。スライダー1は、略長方形形状の輪郭を有しており、当該輪郭は、互いに平行であって、変位方向9に延伸する長側部(長辺)16、17、及び、短側部(短辺)18、19を有している。短側部18は、長側部16、17に対して直角であり、直線的に延伸している。反対側の短側部19は、長側部16、17から互いに接近(集束)するように延伸する縁部19a、19bを有しており、当該縁部19a、19bは、短側部18に対して平行で直線的に延伸する短縁部19cによって互いへ移行する。この形態に基づき、スライダー1はこの端部で先が細まっており、当該端部には少なくとも1つの取り付け口20が設けられており、当該取り付け口20へスライダー1用の操作要素を固定すること、例えば引っ掛けること、が出来る。両スリット14、15は、僅かな間隔のみをおいて、スライダー1の長側部16、17と並んでいる。両スリット14、15内へは、それぞれ2つのガイドブッシュ12が入り込んでおり、それらのガイドブッシュ12は変位方向で互いに間隔をおいている。
【0038】
図1に示すように、両保持プレート2、3も同様に、直線的に延びる2つの長側部(長辺)21、22を有しており、当該長側部21、22は真上から見てスライドバルブ上でごく僅かにスライダー1の長側部16、17を超えてはみ出ている。長側部21、22を結ぶ縁部23、24には、その長さの中央に、それぞれ1つの部分円形状(円弧形状)の凹部25、26が存在する。パイプ部6、7は保持プレート2、3の中央に存在する。
【0039】
スライダー1及び保持プレート2、3の上述の輪郭形状は、それに限定して理解されるものではない。スライダー1及び保持プレート2、3がそれぞれに別の適した輪郭形状を有することが出来ることは自明である。
【0040】
パイプ部6、7は、それぞれ、平坦な密閉リング27、28によって取り囲まれており、当該密閉リング27、28はパイプ部6、7の周囲に密着して当接しておりまたスライダー1の両側面に載っている(図2)。密閉リング27、28は同一の外径を有しており、また、それぞれの使用状況に適した材料から、例えばシリコーン、ポリテトラフルオロエチレン、及び、それらに類似の材料から、構成されている。これらの密閉リングは、耐熱性、耐酸性、腐食性蒸気に対する耐性、及び、それらに類似の特性を有していてもよい。密閉リングの材料は、搬送される素材及び/又はスライドバルブの環境条件に応じて、選択される。密閉リング27、28は、その半径方向の幅及び周に関して、スライダー1の両側面にぴったりと載っている。
【0041】
密閉リング27、28及び両保持プレート2、3の間には、それぞれポジションリング29、30が配設されている。それらは円形状の断面を有しており、また、通気性材料、ゴムやゴムに類似の素材のようなエラストマー材料、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、及び、それらの類似の材料、から構成されている。両ポジションリング29、30はパイプ部6、7の周囲に当接しており、密閉リング27、28がスライダー1から外れないように、利用される。密閉リング27、28は非固定的にスライダー1に載っている。それにより、スライダー1を開放位置(図1から図3)と閉止位置(図4及び図5)の間で容易に変位出来ることが保証される。
【0042】
スライダー1は両方のパイプ部6、7の間で延伸しており、当該パイプ部6、7の互いに向かい合う端部側31、32は、スライダー1の両側とともに、それぞれ1つのリングギャップ66、67(図3)を形成している。リングギャップ66、67は、図3に拡大図で示されている。密閉リング27、28は、パイプ部6、7及びスライダー1の間のギャップ66、67を密閉しており、スライダー1はリングギャップ66、67により非接触で変位可能である。
【0043】
搬送素材を真空搬送する際、ディスク形状の密閉リング27、28に作用する力は、パイプ部6、7内の圧力と周囲圧力の間の圧力差によって決定される。この圧力差が大きいほど、密閉リング27、28に作用する力は大きくなる。それにより、スライダー1及びパイプ部6、7の間のギャップを介して周囲の空気がパイプ部6、7内へ入り込むことが出来ないことが保証される。
【0044】
上述の圧力差が密閉リング27、28に作用することが出来るように、ポジションリング29、30は形成されている。保持プレート2、3及びスペーサー8を用いることで、スライダー1及びパイプ部6、7の間のギャップ66、67を精密且つ精確に調整することが出来る。
【0045】
パイプ部6、7とスライダー1の間のギャップ66、67が十分に小さいことを製造公差が可能とする場合、実施例において設けられているような、調整装置は必要ない。ポジションリング29、30は、圧力のかからない状態において密閉リング27、28がスライダー1から離れないこと、を保証する。
仮に離れる場合、真空搬送において、密閉リング27、28のそれ自体の引きつけは、逆止め弁の原理に従い、最早保証されない、なぜなら、パイプ部6、7とスライダー1の間のギャップ66、67を通って入り込み得る空気の量が、密閉リング27、28が上述の圧力差により最早引きつけられないほどの量であるからである。
【0046】
ポジションリング29、30は、例えば通気性の材料から構成されていてもよい、例えば多孔質の発泡材料から構成されていてもよい。
【0047】
図1から図3に図示されている開放位置では、パイプ部6、7の開口部断面は、貫通口(通過口)33を有するスライダー1によって、開放される。当該貫通口33の直径は両パイプ部6、7の内径と等しい。スライダー1のこの開口位置においては、図1右側の両スペーサー8は、そのガイドブッシュ12で、スライダー1のスリット14、15の隣り合う端部に当接している。
【0048】
パイプ部6、7を通る通過部が閉じられるべきである場合、スライダー1はスライド方向9で右側へずらされる。スライダー1の閉止位置では、図1左側の両スペーサー8のガイドブッシュ12は、有利には、スリット14、15の図1左側の端部に当接している。ポジションリング29、30は、断面が長方形の密閉リング27、28に対して、最低限の圧力しか及ぼさないので、又は、圧力を全く及ぼさないので、スライダー1への押付力は僅かであるため、スライダー1を容易にずらすことが出来る。密閉リング27、28に作用する外圧によって、パイプ部6、7及びスライダー1の間の確実な密閉が保証される。
【0049】
保持プレート2、3は、両方の端部位置(図1及び図4)で少なくとも保持プレート2、3の縁23、24を超えて突出しているスライダー1よりも、スライダー1の変位方向9において短い。図1の開放位置では、スライダー1は保持プレート2、3の両方の縁23、24を超えており、当該保持プレート2、3は上方から見て互いに等しく配設されている。図4の閉止位置では、スライダー1の短辺側18は、ほぼ保持プレート2、3の縁23の位置にあるのに対し、スライダー1は保持プレート2、3の反対側の縁23を超えて、対応的に長く変位方向に突出している。閉止位置では、スライダー1の貫通口33は保持プレート2、3に並んだ領域にある(図4)。
【0050】
図6から図10のスライドバルブは、素材を圧送する際に使用される。スライダー1及び保持プレート2、3、並びに、スペーサー8を用いたそれらの接続部は、上述の実施形態の場合と同様に形成されている。
【0051】
密閉リング27’、28’は、L字形状の断面を有しており、また、半径方向に僅かに間隔をおいて両方のパイプ部6、7を取り囲んでいる(図10)。その一方の脚部34、35を用いて、両密閉リング27’、28’は、スライダー1の両側に密着して載っている。両脚部34、35はリングディスク形状に形成されており、また、直角に脚部36、37に接続している。当該脚部36、37は、間隔を置いてパイプ部6、7を取り囲んでおり、それぞれ円筒状のリング部を形成している。当該リング部の軸はパイプ部6、7の軸と一致する。脚部34、35;36、37はそれぞれ、リング形状の収容空間38、39を画成しており、その中にポジションリング29’、30’が収容されている。
【0052】
両密閉リング27’、28’は、それぞれサポートリング40、41によって取り囲まれており、当該サポートリング40、41は保持リング2、3及びスライダー1の間で延伸しており、また、その内側には密閉リング27’、28’の脚部36、37が密閉状態で当接している。サポートリング40、41は、保持プレート2、3に固定的に接続されている、特には保持プレート2、3に溶接されている。スライダー1及びサポートリング40、41の間にはそれぞれリングギャップ68、69が存在するので、スライダー1はサポートリング40、41の範囲でも接触なしで変位され得る。
【0053】
リングディスク形状の脚部34、35がパイプ部6、7を半径方向に間隔を置いて取り囲んでいるので、圧力搬送の際、パイプ部6、7内に作用する圧力は、パイプ部6、7及びスライダー1の間のギャップ66、67を介して、収容空間38,39内でも作用する。これは、収容空間内38、39のこの圧力により、密閉リング27’、28’のリングディスク形状の脚部34、35がスライダー1の両側に押し付けられる、という結果をもたらし、それにより、脚部34、35及びスライダー1の間の信頼性の高い密閉が達成される。収容空間38、39内のこの圧力に基づき、ポジションリング29’、30’は必ずしも必要ではない。ただし、ポジションリング29’、30’は、パイプ部6、7内にまだ圧力が発生していない場合にも、密閉リング27’、28’のリングディスク形状の脚部34、35に圧力が作用する、という利点を有している。従って、ポジションリング29’、30’は、密閉のために必要な、密閉リング27’、28’の脚部34、35をスライダー1に押し付ける圧をもたらす。この場合、ポジションリング29’、30’は、それらが弾性変形して密閉リング27’、28’の脚部34、36;35、37に当接するように、形成されている。
【0054】
更に、ポジションリング29’、30’の使用には、密閉リング27’、28’及び/又はサポートリング40、41の種々の製造公差においても確実な密閉が保証される、という利点がある。
【0055】
サポートリング40、41は、保持プレート2、3に密止固定して接続されており、また、鋼材のような金属材料から構成されている。密閉リング27’、28’は、上述の実施形態の密閉リング27、28と同様の材料から構成されている。
【0056】
ポジションリング29’、30’は、少なくとも1つのリングノッチ(環状溝)42を備えており、それにより、圧力搬送時に発生する圧力が両密閉リング28’、29’の脚部36、37に作用出来ることが、保証されている。有利には、断面が円形状のポジションリング29’、30’の周囲に、その種の複数のリングノッチが存在する。ポジションリング29’、30’は、発泡材料のような通気性材料から構成されていてもよい。
【0057】
圧力搬送するためにより高い圧力が導入される場合、ポジションリング29’、30’として、それが設けられる限り、有利にはリング形状のコイルスプリングが使用される。当該コイルスプリングは密閉リング27’、28’の両脚部34、35;36、37へ十分な圧力を及ぼすものである。
【0058】
パイプ部6、7内では、周囲圧力よりも高い圧力を用いて、搬送素材が搬送されるので、ポジションリング29’、30’は必ずしも必要ではない。パイプ部6、7内の圧力が高いほど、密閉リング27’、28’はより強い負荷を受ける。それに応じて、密閉リング27’、28’の脚部34、35は、スライダー1の両側を押圧するので、空気が収容空間38、39から漏れ出ることは出来ない。パイプ部6、7内で搬送が行われておらず、またそれに応じて、パイプ部内に圧力が発生していない場合でも、密閉リング27’、28’が密閉力を受けるという長所を、ポジションリング29’、30’は有している。
【0059】
図6に従う位置ではスライダー1は閉止位置にあり、当該閉止位置では貫通口33は両保持プレート2、3の隣の領域にある。従って、パイプ部6、7を通る貫通部は閉じられている。図6の左側のスペーサー8は、そのガイドブッシュ12で、両方のスリット14、15の図6の左側の端部に当接している。
【0060】
図8では、スライダー1は、貫通口33がパイプ部6、7を通る貫通部を開放するまで、変位方向の左側へずらされている。この開放位置は、有利には、図8の右側のスペーサー8がスライダー1のスリット14、15の右側の端部に当接することによって、到達される。
【0061】
図11から図15は、保持プレート2が2つのパイプ部6、6’を備えているスライドバルブを示しており、それらは互いにスライダー1の変位方向9に間隔を置いて存在している。反対側の保持プレート3は、幅の中央に長い開口部43を有しており(図11)、当該開口部43を貫通して、スライダー1に固定的に接続されたパイプ7が突出している。スライダー1を用いて、パイプ部6と一直線上に並ぶように、或いは、パイプ部6’と一直線上に並ぶように、パイプ部7を変位させることが出来る。それにより、搬送されるべき素材を、選択的にパイプ部6又はパイプ部6’を通し、また、それにそれぞれに接続しているラインを通して、搬送すること、が可能となる。
【0062】
両パイプ部6、6’は、保持プレート2と固定的に接続されており、特には溶接されている。両パイプ部6、6’は、保持プレート2及びスライダー1の間の領域で、前述の実施形態に対応的に、それぞれ密閉リング27’及びポジションリング29’によって取り囲まれている。密閉リング27’は、サポートリング40によって取り囲まれている。これらのリング27’、29’、40の構成及び配置は、前述の実施形態に完全に対応している。
【0063】
スライダー1は、図1から図5に従う実施例の場合と同様に形成されており、また、その長手側に2つのスリット14、15を有しており、当該スリット14、15を貫通してスペーサー8が前述の様態で突出している。例えば溶接によりスライダー1に固定的に接続されているパイプ部7は、保持プレート3の開口部を貫通して、外部へ突出している。パイプ部7に接続されている搬送ラインは、スライダー1を用いて、パイプ部6’に接続されている搬送ラインと、又は、パイプ部6に接続されている搬送ラインと、選択的に接続され得る。パイプ部6、6’、7の内部断面は同一であるので、それらのパイプ部を通して、それぞれの素材の問題のない搬送が保証されている。
【0064】
保持プレート2、3の相互接続及び保持プレート2、3とスライダー1の接続は、上述の実施例と同様に構成されている。
【0065】
図11から図15の描写では、図11の右側の両スペーサー8がスリット14、15の右縁に当接するまで、スライダー1は変位されている。この位置では、パイプ部6’及びパイプ部7が互いに接続されているので、パイプ部7の搬送ラインを介して供給される素材は、パイプ部6’に接続されたライン内へ搬送される。
【0066】
素材がパイプ部6に接続された搬送ラインに搬送されるべきである場合、スライダー1は、図11の左側の両スペーサー8がスリット14、15の左縁に接触するまで、変位方向(図11)で右側へずらされる。その場合、両方のパイプ部6、7が互いに流れ的に接続されているので、搬送素材は、パイプ部6及びそれに接続された搬送ラインを介して、搬送される。
【0067】
スライダー1は、当該スライダー1と耐圧的に接続されているパイプ部7を備えているので、密閉リング27’は密閉のために十分である。それらの機能(役割)は図6から図10に従う実施形態に対応する。圧力搬送の際にそれぞれのパイプ部6、6’内に発生する圧力は、ポジションリング29’を収容する収容空間に達し、それにより、密閉リング27’は、スライダー1及びサポートリング40の内壁に対して確実に押し付けられる。
【0068】
上述の実施例においては、搬送されるべき素材は、その都度パイプ部7に接続されたラインを介して供給される。しかしながら、搬送されるべき素材を、パイプ部6、6’の一方を介して、或いはそれに接続されたラインを介して、供給することも可能である。この場合、搬送素材は、スライダー1のパイプ部7に接続されたラインを介して、それぞれの受容部へ搬送され、当該受容部は例えば加工機械であってもよい。
【0069】
図15から明らかとなるように、保持プレート3は、スライドバルブの機能にとって必ずしも必要ではない。スライダー1はそれぞれ2つのナット44、45の間に導かれており、当該ナット44、45はスペーサー8のネジ部にねじ止めされている。この場合、スライダー1は、それぞれの終端位置において、そのスリット14、15の端部で、スペーサー8のネジ部に当たる。
【0070】
しかしながら保持プレート3を使用することには、当該保持プレート3によってスライドバルブ全体がより高い安定性及び頑丈さを有するという長所がある。
【0071】
スライドバルブは、容器からの放出物(排出物)を通すためにも、又は、容器を圧密(耐圧的)に閉鎖するためにも、用いることが出来る。
【0072】
図16から図18はスライドバルブの別の実施例を示している。スライダー1aはこの実施形態においては、直線的に変位可能ではなく、両方の保持プレート2a、3aの間で、揺動可能である。図16は閉止位置にあるスライダー1aを示しており、また、図17は開放位置にあるスライダー1aを示している。スライダー1aは、長脚部46及び短脚部47を備える略L字形状を有している。長脚部46の自由端付近で、スライダー1aは軸48に固定されており、当該軸48は両保持プレート2a、3aに対して垂直に延びており、また、両両保持プレート2a、3aの開口部49、50に揺転可能に支持されている。
【0073】
図18から明らかであるように、軸48は二つの互いに一致して並んだ軸部48a、48bを有しており、それらは開口部49、50から僅かに突出している。軸部48aはサークリップ51によって、軸方向の変位に対して保護されている。サークリップ51は、保持プレート3aと向かい合う保持プレート2aの内側面に、当接している。両保持プレート2a、3aの間の領域で、両軸部48a、48bは互いに回転不能に接続されている。
【0074】
軸部48bは、半径方向の環状肩部で、保持プレート2aと向かい合う保持プレート3aの内側に、当接しており、また、外径において細まった端部部分53と共に、開口部から外側へ僅かに突出している。
【0075】
軸部48bの軸部48aと向かい合う端部は、半径方向で外側に延びる環状フランジ54を有しており、当該環状フランジ54は有利には軸部48bと一体的に形成されている。環状フランジ54の保持プレート2aから離背した側(保持プレート2aの反対側)には、スライダー1aの脚部46が平面で当接している。脚部46はそのために対応的な開口部55を備えており、当該開口部55を貫通して軸部48bが突出している。スライダー1aの脚部46は、環状フランジ54に取り外し可能に固定されている。実施例においては、脚部47はボルト(或いはネジ)56を用いて環状フランジ54に保持されている。有利には開口部55の周囲に渡って複数のボルト56が備えられている。
【0076】
保持プレート2aの開口部49を貫通して突出する軸部48aの端部は、直径において細まった先端部57を有しており、当該先端部57は環状肩部58から突き出ている。環状肩部58には、フラットレバー59の一方の端部が当接しており、当該フラットレバー59は、軸48或いは軸部48aに対して回転不能に、取り付けられている。レバー59はリテーニングリング60を用いて端部部分57において軸方向で確保されている。レバー59は従って、リテーニングリング60と環状肩部58の間で、軸方向変位に対して保持されている。
【0077】
レバー59は、保持プレート3aから離背した保持プレート2aの外側面に対して、僅かな間隔を置いた状態にあり、また、この端部にてスライダー1aの脚部46と固定的に接続されている。脚部46からはネジブッシュ61が垂直に突き出ており、当該ネジブッシュ61は保持プレート2aの円弧形状のスリットを貫通して突出している。スリット62は、スライダー1aの或いはその脚部46の回転軸の周りの円弧部にある。ネジブッシュ61内へは、ネジボルト63が入り込んでおり、当該ネジボルト63はネジブッシュ61から突出し、また、回転ハンドル64を支持している。また当該回転ハンドル64を用いて、ネジボルト63をネジブッシュ61内へ螺入することが出来る。回転ハンドル64は端部側に環状面を有しており、当該環状面を用いて回転ハンドル64はクランプ位置において保持プレート2aの外側面に当接する。回転ハンドル64の環状面65の直径はスリット62の幅よりも大きい。
【0078】
スライダー1aの両端部位置(図16及び図17)では、ネジボルト63は、回転ハンドル64を用いて、環状面65が保持プレート2aの外側面に平面で当接しまたそれに従いスライダー1aをそれぞれの端部位置で保持プレート2a、3aに対して動かなくするまで、螺子ブッシュ61内へ螺入されている。開放位置(図17)ではネジブッシュ61は円弧形状のスリット62の一方の端部に当接しており、閉止位置(図16)では他方の端部に当接している。スライダー1aを揺動させるために、回転ハンドル64は僅かに逆回転され、それにより回転ハンドル64及び保持プレート2aの間のクランプ(締め付け)は解消される。従ってスライダー1aを容易にそれぞれの位置へスライドさせることが出来る。
【0079】
図16及び図17から明らかになるように、レバー59は、スライダーの回動軸の方向で見て、スライダー1aの脚部46の幅の中央で、延伸している。
【0080】
スライダー1aの脚部46は、円弧状に、短い脚部47へ移行する。両方の脚部の間の移行領域には、貫通口(通過口)33があり、当該貫通口33は図17に従う開放位置では両パイプ部6、7の間の貫通部(通過部)を開放する。
【0081】
両パイプ部6、7は平坦な密閉リング27、28によって取り囲まれており、当該密閉リング27、28はスライダー1aの両側に当接し、上述の様態でパイプ部6、7及びスライダー1aの間のギャップ66、67(図3及び図10)を密閉している。両密閉リング27、28は図1から図5に従う実施形態に対応して形成されている。搬送素材は図1から図5の実施形態に応じて真空を用いて搬送されるので、両密閉リング27、28は、パイプ部6、7内の圧力及び周囲圧力の間の圧力差に基づいて、スライダー1a及びパイプ部6、7の間のギャップ66、67を、確実に密閉する。
【0082】
図1から図5を用いて詳述したように、両保持プレート2a、3aの間の間隔はスペーサー8を用いて上述の方法で調整され得るので、パイプ部6、7及びスライダー1aの間のシールギャップ66、67はごく僅かである。
【0083】
図1から図5を用いて説明された方法でパイプ部6、7及びスライダー1aの両方の外側面に平面で当接している両密閉リング27、28は、有利には、両ポジションリング29、30によって、常にスライダー1aに当接するように、位置決めされる。両ポジションリング29、30は、間隔を置いて、パイプ部を取り囲んでいる。両ポジションリング29、30は、両保持プレート2a、3aの間で、その軸方向での変位に対して確保されている。その際、ポジションリング29、30は、外圧が密閉リング27、28に作用出来るように、形成されている。例えばポジションリング29、30は通気性のある材料から構成されていてもよく、例えば発泡材料から構成されていてもよい。
【0084】
両保持プレート2a、3aは、正面では、それぞれ略長方形の輪郭を有しており、また、完全に重なり合っている。保持プレート2a、3aの角部の一つは、より大きな曲率半径で丸められている。パイプ部6、7は、保持プレート2a、3aの角部領域付近に存在する。それらは、スライダー1aの遮断位置(図16)において、スライダー1aが完全に両保持プレート2a、3aの間に存在し、また、それらから突き出ないように、形成されている。反対に開放位置においては、スライダー1aの短脚部47は、両保持プレート2a、3aから突き出ている(図17)。スライダー1aの開放位置及び閉止位置は、スリット62の両方の端部とのネジブッシュ61の当接位置によって、特定されるので、両方の端部位置における、スライダーの容易でありまたそれにもかかわらず正確な調整が保証される。
【0085】
スライダー1aの短脚部47は、回動移動の間、両パイプ部6、7の貫通部を常に閉止し、貫通口33がパイプ部6、7の範囲に至った場合に初めて開放するように、構成されている。
【0086】
レバー59は、スライダー1aが大きな力を要求することなく揺動移動され得ることを、保証する。
【0087】
図6から図10を用いて説明したように、図16から図18に従うスライドバルブは、圧力搬送のためにも、使用できる。この場合、密閉リング27、28は、図6から図10を用いて説明した断面形状を有している。
【符号の説明】
【0088】
1、1a スライダー
2、3;2a、3a 保持プレート
8 スペーサー
6、6’、7 搬送ライン
14、15 スリット
27、28;27’、28’ 密閉リング
29、30;29’、30’ ポジションリング
33 通過口
40、41 サポートリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18