(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6607994
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】二輪車用車体カバー
(51)【国際特許分類】
B62J 19/00 20060101AFI20191111BHJP
【FI】
B62J19/00
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-89218(P2018-89218)
(22)【出願日】2018年5月7日
(65)【公開番号】特開2019-196026(P2019-196026A)
(43)【公開日】2019年11月14日
【審査請求日】2018年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】503356451
【氏名又は名称】有限会社大久保製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100135437
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 哲三
(72)【発明者】
【氏名】大久保 富彦
【審査官】
中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭59−008879(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3089886(JP,U)
【文献】
特開平02−189293(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3178602(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3124817(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3184048(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3125504(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 19/00
B60J 11/00 − 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二輪車の車体の全体を被覆できる立体的形状に形成した底面開口の二輪車用車体カバーにおいて、
前記底面開口の周縁部の全体又は一部に重り部材を配設し、
前記底面開口の周縁部を二輪車の上方から投げ掛け被覆するようにして、前記重り部材の重力によって前記二輪車用車体カバーの底面開口周縁部が下方に落下して前記二輪車の全体を被覆するようにして装着することができ、
前記重り部材が線状で且つ変形自在に形成されたものから成り、
この重り部材を前記二輪車用車体カバーの底面開口周縁部に設けた挿通部内に挿通配設したことを特徴とする二輪車用車体カバー。
【請求項2】
前記重り部材が金属製チェーン、若しくは、複数の金属球を間隔を維持して又は連続的に紐状部材で連結したものであることを特徴とする請求項1に記載の二輪車用車体カバー。
【請求項3】
前記二輪車用車体カバーの後部上下方向にスライドファスナーを設けて開閉部としたことを特徴する請求項1又は2に記載の二輪車用車体カバー。
【請求項4】
前記二輪車用車体カバーの底面開口周縁部の後方側に挿通部を更に設け、この挿通部の略中央部には出口部を設け、この挿通部内に前記底面開口周縁部を収束するための収束帯状部材を少なくとも一対配設し、この一対の収束帯状部材の一方端部は挿通部内の両端に固定し、その他方端部はそれぞれ前記出口部から外部に取り出し相互に係着して前記底面開口周縁部を収束できることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の二輪車用車体カバー。
【請求項5】
前記二輪車用車体カバーの上部前端部又は上部後端部に持ち手を設け、前記二輪車用車体カバーの下方部の前方部又は下方部の後方部にはリング錠を挿通するための錠挿通孔を設けたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の二輪車用車体カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモーターバイク等の自動二輪車(以下、単に「バイク」という。)や自転車の車体の全体を被覆できる二輪車用の車体カバーに関するものであって、二輪車への被覆装着の容易性をより向上させたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のバイクや自転車の車体カバーとしては各種のものが存在するが、通常は表面に防水加工が施されたポリエステル等の合成繊維製生地を使用し、上面被覆部、両側面被覆部等の複数枚の構成生地を縫製し、車体の外形形状に適合するように立体的に形成したものである。
【0003】
そして、カバーが風等によって飛ばされないように、或いは埃の侵入防止等のために、カバーの底面開口周縁部の適宜位置には、カバーを車体に固定するための各種の固定手段が設けられたものが存在している。
【0004】
下記特許文献に記載の車体カバーは、本願出願人が先に提案したものであるが、特許文献1に記載の二輪車用車体カバーにおいては、二輪車の全体に簡単に被覆でき且つ簡単に開口部を開放できることを課題としている。
【0005】
その構成は、切込ラインをカバーの両側のそれぞれの側面部に前方から後方に向かって設け、これらの切込ラインの後方端部を相互に連結したものである。これらの切込ラインの前端部分でカバーの下半部と上半部とが接続する。この切込ラインの後端部の上下の両縁部には一対の係着部材と舌片を設ける。切込ラインにはスライドファスナーを設けた。
【0006】
そして、使用に際しては、カバーの底面部上に二輪車を載置してカバー前端部分を二輪車のハンドル部に被覆し、後端部の係着部材を相互に係着し、両側側面部のスライドファスナーを閉鎖して二輪車の全体を被覆できる。他方、前記舌片を片手で把持して係着部材を離脱させ、前方に向かって移行させることにより両側のスライドファスナーが同時に開放されて二輪車を取り出せる。
【0007】
下記特許文献2に記載の車体カバーは、自転車に掛けやすく、防水効果が高い自転車用車体カバーを提供することを課題とする。
その構成は、車体カバーの前部上下方向に前部スライドファスナーを設け、カバーの後部上下方向に後部スライドファスナーを設けたものである。
これら両スライドファスナーを開放してカバーを略平面状態として自転車に被覆し、その後両スライドファスナーを閉鎖して被覆装着が完了する。
【0008】
前部スライドファスナーを黄色に、後部スライドファスナーを灰色に着色した。前部スライドファスナー及び後部スライドファスナーのそれぞれに帯状の覆い部を設け、この覆い部の長辺をそれぞれのファスナーの上下方向の一方の側縁に沿って縫着し、それぞれのファスナーの上端部の上方に位置する覆い部の上端短辺部をカバーに縫着した。覆い部の中間部には複数の係着片を設けた。カバー下端にはカバーの両下端部を相互に係着できる係着帯設けたものである。
【0009】
下記特許文献3に記載の車体カバーにおいては、車体カバーを二輪車に被覆し易くし、被覆したままその一部を開口できる二輪車用車体カバーを提供することを課題とする。
その構成は、車体カバーの側面部の上下方向にスライドファスナーを設け、スライダーを2個設ける。上スライダー及び下スライダーを上端部に位置させた状態でスライドファスナーは全開となり、使用者は車体カバー20を二輪車に被覆できる。
【0010】
他方使用者が下スライダーのみを下端部まで移動させることにより、スライドファスナーは全て閉鎖される。この閉鎖状態で、上端部に位置する上スライダーを下方に移動させることによりその移動分だけファスナーが開放され開口部を形成できる。この開口部から内部の電動アシスト自転車のバッテリーを交換できるようにした。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2015−120495号公報
【特許文献2】実用新案登録第3173532号公報
【特許文献3】実用新案登録第3192626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明においても、上記特許文献に記載の車体カバーと同様に二輪車への被覆装着をより簡単に行えることを目的とするものであるが、スライドファスナー等のカバーの開閉手段の設け方ではなく、異なる視点からより被覆装着し易いものを提供することをその課題としている。
従って、その開閉部であるスライドファスナーを設けずとも実施することができ、或いはその開閉部をカバーの後部上下方向に1ヶ所のみに設けるだけで、その開閉部を開放して簡単に二輪車の全体に被覆装着できるものを提供することをその課題としている。
【0013】
バイクの駐車場や駐輪場においては、通常は車体の前部を奥側に後部を手前側に配置して左右横方向に並べて駐車又は駐輪するのであるが、このように駐車又は駐輪した状態で車体カバーを被覆する際には、車体の両側のスペースがないことがあり、このような場合に車体の手前の後部側からカバーを被覆せねばならないこととなる。
本発明は、このような場合に、車体の後部側の位置からカバーを車体の全体に被覆し易くすることを念頭において開発を行ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の第1のものは、二輪車の車体の全体を被覆できる立体的形状に形成した底面開口の二輪車用車体カバーにおいて、前記底面開口の周縁部の全体又は一部に重り部材を配設し、前記底面開口の周縁部を二輪車の上方から投げ掛け被覆するようにして、前記重り部材の重力によって前記二輪車用車体カバーの底面開口周縁部が下方に落下して前記二輪車の全体を被覆するようにして装着することができ、
前記重り部材が線状で且つ変形自在に形成されたものから成り、この重り部材を前記二輪車用車体カバーの底面開口周縁部に設けた挿通部内に挿通配設したことを特徴とする二輪車用車体カバーである。
【0016】
本発明の第
2のものは、上記第
1の発明において、前記重り部材が金属製チェーン、若しくは、複数の金属球を間隔を維持して又は連続的に紐状部材で連結したものであることを特徴とする二輪車用車体カバーである。
【0018】
本発明の第
3のものは、上記何れかの発明において、前記二輪車用車体カバーの後部上下方向にスライドファスナーを設けて開閉部としたことを特徴する二輪車用車体カバーである。
【0019】
本発明の第
4のものは、上記何れかの発明において、前記二輪車用車体カバーの底面開口周縁部の後方側に挿通部を更に設け、この挿通部の略中央部には出口部を設け、この挿通部内に前記底面開口周縁部を収束するための収束帯状部材を少なくとも一対配設し、この一対の収束帯状部材の一方端部は挿通部内の両端に固定し、その他方端部はそれぞれ前記出口部から外部に取り出し相互に係着して前記底面開口周縁部を収束できることを特徴とする二輪車用車体カバーである。
【0020】
本発明の第
5のものは、上記何れかの発明において、前記二輪車用車体カバーの上部前端部又は上部後端部に持ち手を設け、前記二輪車用車体カバーの下方部の前方部又は下方部の後方部にはリング錠を挿通するための錠挿通孔を設けたことを特徴とする二輪車用車体カバーである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の第1のものにおいては、二輪車の車体の全体を被覆できる立体的形状に形成した底面開口の二輪車用車体カバーにおいて、前記底面開口の周縁部の全体又は一部に重り部材を配設しているため、例えばカバーの使用者がバイクの駐車場や駐輪場において、その両側にスペースがないような場合、車体の後方側に位置して、カバーの底面開口の周縁部を把持した状態で、二輪車の上方から投げ掛けるようにして、いわば漁網の投網を行う要領で投げ掛けることによって、前記重り部材の重力によって車体カバーの底面開口周縁部が下方に落下して二輪車の前方部から後方部に掛けてその全体を被覆するようにして装着することができるのである。
本発明においては、バイクや自転車が駐車場又は駐輪場で縦方向に駐車又は駐輪し、その両側にスペースが無い状態にあっても、その後方側からいわば投網を投げ掛けるようにして車体に被覆することができるのである。
【0022】
本発明においては、上記重り部材の形態と配設状態を特定したものであり、即ち、この重り部材が線状で且つ変形自在に形成されたものから成り、この重り部材を前記二輪車用車体カバーの底面開口周縁部に設けた挿通部内に挿通配設したものからなることを明確にした。
【0023】
本発明の第
2のものにおいては、上記発明と同様に、重り部材をより具体的に特定したものである。
即ち、この重り部材が金属製チェーン、若しくは、複数の金属球を間隔を維持して又は連続的に紐状部材で連結したものであることを特定した。これらの重り部材は線状で変形可能で、カバーの底面開口周縁部の挿通部内に配設できることとなるのである。
【0024】
ここで更に詳述すると、カバーの底面開口部の周縁部に金属チェーン等を配設することにより、今までよりも非常に掛け易いものとなり、いわば漁師の投網の要領でカバーの裾が開き易くなり、車体に被覆し易くなるのである。
駐車場のスペースが狭く、バイク同士の間隔が狭い場合、その狭い隙間でもカバーの裾を下方に落とし込むことができ、前から後ろへと掛けて行くことによってカバーの全体が素直に自然に金属製チェーンの重みで下方に落下し、非常に掛け易いものとなる。
この重り部材が無い場合には、風等の作用によりカバーの裾が捲り上がることがあり、掛け難くなるのであるが、本発明においてはこの重り部材の作用により簡単には捲り上がらず、非常に掛け易いものとなっているのである。
【0026】
本発明の第
3のものにおいては、上記二輪車用車体カバーの後部上下方向にスライドファスナーを設けて開閉部としたものである。
本発明においては、この開閉部を設けずとも実施することができるが、より容易に二輪車にカバーを被覆し易くするために、この開閉部をカバーの後部に設けたものである。
【0027】
本発明の第
4のものにおいては、上記二輪車用車体カバーの底面開口周縁部の後方側に挿通部を更に設け、この挿通部の略中央部には出口部を設け、この挿通部内に前記底面開口周縁部を収束するための収束帯状部材を少なくとも一対配設し、この一対の収束帯状部材の一方端部は挿通部内の両端に固定し、その他方端部はそれぞれ前記出口部から外部に取り出し相互に係着して前記底面開口周縁部を収束できるように構成したものである。
これにより、カバーの底面開口周縁部が収束され、車体カバーは二輪車にフィットするように装着される。
【0028】
本発明の第
5のものにおいては、上記二輪車用車体カバーの上部前端部又は上部後端部に持ち手を設け、前記二輪車用車体カバーの下方部の前方部又は下方部の後方部にはリング錠を挿通するための錠挿通孔を設けたものである。
上記持ち手は、カバーを車体から取り外す場合に、使用者がこの持ち手を把持してカバーを取り外すことが容易となり、上記錠挿通孔にはリング錠を取り付け、二輪車の盗難防止と共に、カバーの盗難防止にも寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車体カバーをバイクに被覆した状態の前方側から見た斜視説明図である。
【
図2】上記実施形態の後方側から見た斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付の図面と共に、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る車体カバーをバイクに被覆した状態の前方側から見た斜視説明図である。
図2は、上記実施形態の後方側から見た斜視説明図である。
【0031】
この実施形態に係る車体カバー10は、バイクの全体形状に合致する立体的形状を有しており、前面構成生地11、上面構成生地12、両側の側面構成生地13、13、及び後面構成生地14の複数の構成生地を適宜縫製又は超音波溶着をして底面開口の立体的な形状に形成したものである。
【0032】
これら構成生地の形状や枚数は、適宜設計変更可能であり、各構成生地を縫着した場合には、縫着部位の裏面に合成樹脂製の防水テープを接着又は溶着することが出来る。
そして、本発明の特徴部分である重り部材は、車体カバー10の底面開口の周縁部に設けた挿通部20の内部に配設される。
【0033】
この挿通部20は、この実施形態では、後面構成生地14と両側面構成生地13、13の後方側を除く前方部分に設けられている。
この挿通部20内に重り部材が配設されるのであるが、この実施形態では金属製チェーン20cを重り部材として採用した。
この金属製チェーン20cは、図中では、破線で示している。
【0034】
この金属製チェーン20cは、その長さを上記挿通部20の長さと略同一とし、この挿通部20の端部から端部までの全体に配設している。
そして、その金属製チェーン20の両端部は上記挿通部20の両端部内に縫製糸により固定されている。
【0035】
この重り部材としての金属製チェーン20cは、線状で変形自在のため、カバーの底面開口周縁部に設けた上記挿通部20の形状に従ってその形を自在に変形できる。
従って、バイクの後部から前方に向かって、車体カバー10の前方の底面開口周縁部を両手で把持してバイクのハンドル部に投げ掛けるようにして、いわば漁網の投網の如くに投げ掛けるようにしてバイクの前方ハンドル部に被覆させ、その後金属製チェーン20cの重力により車体カバー10は、バイクの外形に沿うようにして被覆され、その後にバイクの後部に被覆し装着することができる。
【0036】
また、この実施形態では、後面構成生地14の略中央上下方向に切込みが設けられ、この部位にスライドファスナー30を設けて開閉部と成し、開閉自在としている。
この開閉部は、車体カバー10をバイクに被覆する際に、底面開口周縁部をより大きく広げ、掛けやすくするために設けたものであるが、この開閉部を設けずに実施することも可能である。
【0037】
更に、本実施形態においては、車体カバー10の底面開口周縁部を収束させて、車体カバー10をバイクにしっかりと装着するために、側面構成生地13の後方下端部に収束手段を設けている。
換言すると、側面構成生地14の下端の底面開口周縁部の後面構成生地14寄りの部分に挿通部25を設け、この内部に収束帯状部材25b、25bを配設して、これら収束帯状部材25bにより、底面開口周縁部を収束させて装着できるようにしている。
【0038】
この構成は、両側の側面構成生地13の下端部に設けてもよいし、片側の側面構成生地13のみに設けてもよい。
また、その挿通部25の長さも適宜自由に設定することができる。
側面構成生地13の両側に設けた場合には、その挿通部25の前後長さは短いもので足りる。上記収束帯状部材は、伸縮自在の弾性を有するものであってもよい。
【0039】
上記収束手段についてより詳細に説明すると、側面構成生地13の下端部に設けた上記挿通部25において、その中間部に出口部25dを設け、この挿通部25の内部には一対の収束帯状部材25b、25bが配設され、それぞれの収束帯状部材25bの基端部は上記挿通部25内部の両端部に固定され、それぞれの帯状部材25bの先端部25sは、前記出口部25dから外部に取り出され、これら両先端部25sはバックル25fを介して反対側に反転させることが出来、反転されたのちにこれらの先端部25sはそれぞれ挿通部の外部に設けた係着部材に係着させることによって、これら両収束帯状部材25b、25bは、上記挿通部25の部分を収束させることができる構造である。
【0040】
上面構成生地12の前方側には、この実施形態では、持ち手としての把持部12hを2つ設け、その後方側にも持ち手としての把持部12hを1つ設けている。把持部12hの数と位置は自由に設定することができる。
これらの把持部12hを把持して上方に引き上げることにより車体カバー10をバイクから取り外すことができる。
【0041】
それぞれの側面構成生地の前方上部のコーナー部の生地を二重構造とし、下側の生地に複数の孔部を形成してエアー流通孔13vとし、ベンチレーターの機能を付加することもできる。
更に、このエアー流通孔は、それぞれの側面構成生地13の後方上部のコーナー部に設けることも自由である。
【0042】
車体カバー10の両側面構成生地13、13の前方下方部又は後方下方部に貫通孔をそれぞれ設けて、リング錠やワイヤー錠等の錠挿通孔13jとすることもできる。
【0043】
以上の構成からなる本発明に係る車体カバー10をバイク等の二輪車に被覆する場合の手順は、以下の通りとなる。
後面構成生地に設けられた開閉部であるスライドファスナー30のスライダー30sを把持して上方に引き上げて開放する。
車体カバー10の底面開口周縁部に配設された重り部材の前方部分を把持して、漁網の投網を行うようにして、バイクの後方からハンドル部に向かって投げ掛ける。
【0044】
車体カバー10の底面開口周縁部の前方部分が重り部材の重力によりバイクの外形に沿って適切に下方部分まで落下してバイクの前方部分を被覆する。
その後、車体カバー10の後方部分をバイクに順次被覆して後面構成生地のスライドファスナー30のスライダー30sを引き下げ、閉鎖して被覆が完了する。
その後に収束帯状部材25b、25bを収束させてカバーの装着が完了する。
【0045】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明においては以下の通り種々設計変更が可能である。
車体カバーのサイズやその形態は、バイク又は自転車の種々のタイプに適合するように設計変更可能である。
その構成生地の形状・大きさ・枚数も自由に設定し、設計変更することができる。
【0046】
本発明で使用する車体カバーの各構成生地としては、各種の素材を使用することができ、例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリウレタン等々各種の合成樹脂繊維からなる織地等を使用することができるが、変形自在の柔軟な生地が望ましい。
【0047】
「
他方、重り部材を挿通する挿通部を形成する生地としては、ターポリン(繊維生地を軟質の合成樹脂フィルムでサンドイッチした複合シート、例えば、ナイロン生地の表裏をPVCでサンドイッチしたシート)等の生地を使用して、より強い生地を用いて縫製することもできる。
【0048】
本発明の特徴部分である重り部材は、上記実施形態では金属製チェーンを用いたが、この重り部材は、金属製小球を紐状部材によって連続的に連結したものであってもよく、また金属製小球は適宜間隔を開けて紐状部材により連結したものであってもよい。
これらの重り部材は、線状のものであって、自由に屈曲可能で変形自在のものであればよく、車体カバーの底面開口周縁部に設けた挿通部内に配設でき、その両端部が前記挿通部内の両端部に固定できるものであれば、どのような重り部材でもよい。
【0049】
更に、重り部材としては、単なる金属製小球やリングを車体カバーの底面開口周縁部に適宜間隔を開けて複数個縫着し固定することによって形成することもできる。
この場合には、この重り部材を配設するための挿通部を設けずに実施することもできる。
【0050】
車体カバーの上面構成生地に設けた持ち手としての把持部もその個数や形態を自由に設計変更することができる。この把持部は必ずしも輪状に形成する必要はなく、単に引っ張り可能な舌片、ベルト又は引っ張り片であってもよい。
この持ち手は、カバーの上部前端部に設けたものを赤や黄色に着色することにより、その着色によりそれが前端部であることを識別できるようにすることも可能である。
【0051】
車体カバーの側面構成生地の下端後方に設けた収束帯状部材は、単なる伸縮自在のゴム紐を使用してこれに代えることもできる。即ち、このゴム紐の両端部を挿通部内部の両端部に固定して、ゴム紐の略中央部を挿通部の略中央の出口部から外に引き出し、引き絞り固定具により固定することにより挿通部(底面開口周縁部)は絞られ、収束させることができる。
【0052】
車体カバーの両側側面構成生地に設けたベンチレーターとしての複数の孔部に関しても、その位置や数も自由に設定することができる。
このベンチレーターとしの孔部には、雨水等の侵入を防止するために、これらの小孔を被覆するカバー生地を設けて二重構造とすることが肝要である。
【0053】
車体カバーの後部上下方向に設けた開閉部としてのスライドファスナーに関してもこれを被覆する被覆帯状部材を付加することもできる。
この被覆帯状部材を付加することにより雨水等の侵入を防止することが可能となる。
【0054】
以上、本発明においては、二輪車用車体カバーを形成するためにその底面開口の周縁部に重り部材を配設することにより、二輪車に被覆装着するに際して、いわば投網を投げるような仕方で二輪車に被覆装着することができ、従来にない極めて簡単に二輪車に装着できる二輪車用車体カバーを提供することができた。
【符号の説明】
【0055】
10 車体カバー
11 前面構成生地
12 上面構成生地
12h 把持部(持ち手)
13 側面構成生地
13j 錠挿通孔
13v エアー挿通孔
14 後面構成生地
20、25 挿通部
20c 金属製チェーン(重り部材)
25b 収束帯状部材
25d 出口部(挿通部の)
25f バックル
25s 先端部(収束帯状部材の)
30 スライドファスナー
30s スライダー