(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
一般に、クォーツ発振器回路は、能動的分岐を定めるために、供給電圧源の2つの端子間にある電流源と直列に装着される2つの相補MOSトランジスタで構成されたインバータを備える。MOSトランジスタのうちの一方のソースは電流源に接続され、もう一方のトランジスタのソースは供給電圧源の端子のうちの1つに接続される。NMOS及びPMOSトランジスタのドレインは出力においてクォーツの第1の電極に接続され、前記トランジスタのゲートは入力においてクォーツの第2の電極に接続される。伝統的に、クォーツの第1の電極には第1の位相シフトコンデンサが接続され、クォーツの第2の電極には第2の加減コンデンサが接続される。
【0003】
このような発振器回路は、特許文献1による最新技術において特に説明されており、そこには、インバータのトランジスタのゲートとドレインとの間に配設されたバイアス抵抗器が同様に提示されている。この組立体のため、クォーツの第1の出力電極によって決定される周波数の振動信号を発生させるために、クォーツのレベルにおいて電圧振動が作られる。
【0004】
発振器の能動的分岐の電流を低減するために、バイアス抵抗器は高い値でなければならない。クォーツのレベルにおいて振動を維持するために、インバータによって発生する必要な負の抵抗、及びインバータを通過する電流を破壊しないように、この高い値のバイアス抵抗器を特に選ばなければならない。集積回路内のこのような高い値の抵抗器の製造は、集積回路内で大きな空間を占有するので問題であり、このことは、このような発振器回路の欠点である。
【0005】
クォーツのレベルにおける振動の振幅は同様に、調整ユニットによって制御される適応性電流源によって維持することができる。このような調整ユニットの1つの実施形態は、たとえば、非特許文献1で説明されている。
【0006】
非特許文献2では、発振器回路の能動的分岐のMOSトランジスタM1のドレインとゲートとの間に、能動的バイアスの手段として擬似抵抗器を配置することが提示されている。この論文の
図11に示しているように、この擬似抵抗器は、ドレイン及びソースがMOSトランジスタM1のドレイン及びゲートにそれぞれ接続されたMOSトランジスタM17によって生成される。この擬似抵抗器トランジスタのゲートは、供給電圧源の2つの供給端子の間の電流源M10と直列にダイオード接続された2つのMOSトランジスタM19及びM15によってバイアスされる。
【0007】
この論文の
図11に示されているこの組立体の1つの欠点は、電流源M10によって提供されるバイアス電流が、2つのダイオード接続トランジスタを通じて失われる点である。このバイアス電流は、ダイオード接続トランジスタの所定の電位を定義するためにのみ用いられ、発振器の能動的分岐の動作にはまったく寄与しない。
【0008】
特許文献2では、能動的バイアス手段が、発振器回路の能動的分岐のMOSトランジスタのドレイン端子とゲート端子との間の電圧フォロアとして実装された演算相互コンダクタンス増幅器である、という発振器回路が説明されている。2つのコンデンサC1、C2は各々、クォーツKの1つの端子と接地とにそれぞれ接続され、補償コンデンサC
Kは、増幅器の出力とクォーツの端子の1つに接続する。コンデンサC1、C2は、増幅器を安定化するために大きい容量値を有し、これは、このことによって小さいサイズ発振器回路が生成不能になるので欠点となる。さらにまた、トランジスタのバイアスのための構成要素の削減、及び発生した振動の調整は、行われない。
【0009】
特許文献3では、能動的バイアスを有するクォーツ発振器回路が説明されている。発振器回路は、能動的分岐を定めるために、供給電圧源の2つの端子間にある第1の電流源と直列に装着される2つの相補PMOS及びNMOSトランジスタで形成されたインバータを備える。PMOSトランジスタのソースは第1の電流源に接続され、NMOSトランジスタのソースは供給電圧源の端子のうちの1つに接続される。トランジスタのドレインは、たとえば出力信号を提供するために、クォーツの第1の電極に接続される。トランジスタのゲートはクォーツの第2の電極に接続される。クォーツの第1の電極には第1の位相シフトコンデンサが接続され、クォーツの第2の電極には第2のコンデンサが接続される。
【0010】
回路はまた、能動的バイアスの役割を果たすために、トランジスタのドレインとゲートとの間に、NMOSトランジスタによって生成された擬似抵抗器を備える。この擬似抵抗器トランジスタのソースは相補トランジスタのゲートに接続され、この擬似抵抗器トランジスタのドレインは相補トランジスタのドレインに接続される。擬似抵抗器トランジスタのゲートは、第2のバイアス電流源によってバイアスされる。したがって、この発振器回路は外部バイアスを必要とし、これは、この発振器回路の動作のために外部電流源がなければならないことを意味し、欠点となる。
【0011】
特許文献4が同様に引用されてもよく、それは、大きい電圧範囲及び温度範囲で振幅が制御される、クォーツ発振器回路を説明している。発振器回路は、クォーツの各端子に接続される2つのコンデンサと、インバータ増幅器を形成する第1及び第2の相補能動的トランジスタと、能動的トランジスタの第1及び第2のバイアス手段と、第2の能動的トランジスタと同型のトランジスタによって形成される第1の電流源と、第2のバイアス手段用の電流の制御手段とを備える。安定動作状態において、第2のバイアス手段は、電圧偏差内で、第1の電流源のトランジスタゲート電圧に対応する第2の能動的トランジスタのゲートを介して、バイアス電圧を提供する。この発振器回路の1つの欠点は、振動振幅調整に容易に変調を導入し、電力消費量を削減するために、振幅調整及びインバータ増幅器のバイアスが組み合わされないということである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の説明では、本技術分野において当業者によく知られているクォーツ発振器回路のすべての要素については、簡略的にしか言及しない。原則として、特に時計の製造で使用するための、クロック信号を提供できる自己バイアスクォーツ発振器回路について言及する。
【0023】
図1には、その動作原理を理解するために、自己バイアス型のクォーツ発振器回路1の簡略化されたブロック図が示されている。目的は、電力消費量を削減し、同様にクォーツ発振器の自己バイアスを可能にするために、振動信号の振幅調整部分に変調を導入することである。変調は、原則として発振器の能動的分岐のバイアス電流に作用する。したがって、バイアス電流は、直流構成要素と、交流構成要素とを備える。
【0024】
クォーツ発振器回路1はピアース型とすることができる。それは、クォーツXtalまたはクォーツ共振器と、発振器集積回路の接続端子Oscinに接続されたクォーツXtalの第1の電極と接地との間に接続された第1のコンデンサC1と、発振器集積回路の接続端子Oscoutに接続されたクォーツXtalの第2の電極と接地との間に接続された第2のコンデンサC2とを備える。寄生と呼ばれる第3のコンデンサC3は、クォーツXtalまたはクォーツ共振器と並列に装着される可能性がある。この第3のコンデンサC3は、クォーツ結晶の一体部品とすることもできる。通常、
図1に示されていないが、各コンデンサC1、C2、及びC3は、接続端子Oscin及びOscoutならびに加減集積コンデンサに接続された外部コンデンサ、さらに、発振器集積回路の寄生コンデンサを備える。発振器集積回路外部のコンデンサは、この後に説明する以下の図の基準Cin及びCoutを有する。これらのコンデンサの容量値は1pF以下程度とすることができる。
【0025】
発振器集積回路1はまた、たとえば、相互コンダクタンスインバータ増幅器2 Gmとすることができる増幅器2を備える。この増幅器は、接続端子Oscin及びOscoutによってクォーツXtalに接続される。増幅器2の入力は入力端子Oscinに接続され、増幅器2の出力は出力端子Oscoutに接続される。クォーツXtalの端子の振動の振幅調整は、クォーツXtalの端子における振動に依存して機能ブロック4によって制御される
図1の整流子で表される変調器5と、入力端子Oscinにおける振動信号によって制御される電流源3とを備える組立体によって得られる。電流源3は供給電圧端子Vddに接続され、変調器5によって増幅器2にバイアスを提供する。したがって、クォーツ発振器回路は振幅調整のための機能的組立体によって自己バイアスされる。
【0026】
クォーツ発振器回路1はまた、増幅器2の出力において、電圧レベルシフトのためのステージを備えることができる。特にタイムベースのタイミングのために、別の出力端子Outを介した出力において、振動信号を提供するために、電圧レベルシフトのこのステージは、振動増幅器6が続く入力コンデンサCsから構成される。
【0027】
このクォーツ発振器回路1の機能は、以下の
図2及び3に示される2つの実施形態を参照して、よりよく理解されるであろう。
【0028】
図2には、自己バイアスクォーツ発振器回路1の第1の実施形態が示されている。発振器回路1は、供給電圧源の第1の端子と第2の端子との間に接続されるように意図される。第1の端子は供給電圧端子Vddとすることができ、かつ、第2の端子は接地端子とすることができ、またはその反対である。
【0029】
この発振器回路1は、MOSトランジスタなどの、第1の種類の導電率のトランジスタである第1のトランジスタMgmnから主に構成される増幅器を備える。好ましくは、第1のトランジスタMgmnはNMOSトランジスタである。この第1のトランジスタMgmnは、本実施形態においては接地端子である供給電圧源の第2の端子に接続されたそのソースを有する。第1のトランジスタMgmnのドレインは、出力端子OscoutにおいてクォーツXtalの第1の電極に接続される。第1の抵抗器Rbnは、第1のトランジスタMgmnのドレインとゲートとの間に接続することができ、第1のコンデンサChpnは、ゲートと入力端子OscinへのクォーツXtalの第2の電極との間に接続することができる。出力コンデンサCoutは、クォーツXtalの第1の電極と、接地端子である供給電圧源の第2の端子との間に接続され、入力コンデンサCinは、クォーツXtalの第2の電極と、接地端子である供給電圧源の第2の端子との間に接続される。一般に、入力コンデンサCin及び出力コンデンサCout、さらにクォーツXtalは発振器集積回路の外部にある構成要素である。
【0030】
増幅器の、すなわち、第1のトランジスタMgmnのバイアスは、第2の種類の導電率のトランジスタである、好ましくは、この第1の実施形態ではPMOSトランジスタである、バイアストランジスタMB1によって提供される。このバイアストランジスタMB1のソースは、この場合には供給電圧端子Vddである供給電圧源の第1の端子に接続され、ドレインは、第1のトランジスタMgmnのドレインに、及び、クォーツXtalの第1の電極に接続される。バイアストランジスタMB1のゲートは、電流源において振幅調整ステージに接続される。バイアストランジスタMB1のゲートはまた、以下で説明されるように、クォーツXtalの第2の電極に、及び、バイアストランジスタMB1における電流の変調の制御のために接続ノードを形成する第1のコンデンサChpnの端子に接続される。
【0031】
第1のトランジスタMgmnのゲートを、入力端子OscinにおいてクォーツXtalの第2の電極に、さらに、バイアストランジスタMB1のゲートに、直接接続する可能性もあることに注目すべきである。抵抗器Rbn及びコンデンサChpnは、クォーツXtalの端子において調整された振幅を有する振動信号を取得するために、任意のフィルタリング前に、任意の寄生ノイズまたはジッタを軽減するのに役立つ。
【0032】
振幅調整のステージは、MOS型の電流ミラーである第1の電流ミラーを最初に備える。この第1の電流ミラーは、ダイオード接続PMOSトランジスタMR1である、第2の種類の導電率のトランジスタを備え、そのソースは、供給電圧端子Vddである、供給電圧源の第1の端子に接続される。ダイオード接続トランジスタMR1のゲートは、バイアストランジスタMB1のゲートに、ならびに、第1のコンデンサChpn及びクォーツXtalの第2の電極の接続ノードに接続される。ダイオード接続トランジスタMR1のゲートは、フィルタ抵抗器Rfの一方側に接続される。このフィルタ抵抗器Rfの他方側は、第1の電流ミラーのPMOSトランジスタMR2である、第2の種類の導電率のトランジスタのゲートに、及び、供給電圧端子Vddである供給電圧源の第1の端子に第2の電極が接続される、フィルタコンデンサCfの第1の電極に接続される。PMOSトランジスタMR2のソースは、ベース抵抗器Rbを介して供給電圧端子Vddに接続され、それにより、振幅調整ステージの調整のための電流を決定することが可能になる。ダイオード接続トランジスタMR1、ならびに、フィルタ抵抗器Rf及びフィルタコンデンサCfから構成される整流器は、ピーク検出器を形成する。
【0033】
情報として、フィルタエレメントRf及びCfの大きさは、フィルタの通過帯域がクォーツの共振周波数の10分の1よりはるかに小さいようにもたらされ、この場合、約32.768kHzの共振器の周波数に対して3.2kHzである。範囲は、たとえば、560Hzの周波数とすることができ、それは、120MOhmの抵抗器Rf及び4.7pFのコンデンサCfにより実現可能である。
【0034】
振幅調整ステージはまた、NMOS型などの、第1の種類の導電率の電流ミラーである第2の電流ミラーを備える。この第2の電流ミラーは、ダイオード接続NMOSトランジスタMB3を備え、そのソースは、接地端子である、供給電圧源の第2の端子に接続される。このダイオード接続トランジスタMB3のドレインは、第1の電流ミラーのPMOSトランジスタMR2のドレインに接続される。ドレインに接続された、ダイオード接続トランジスタMB3のゲートは、第2の電流ミラーのNMOSトランジスタMB2のゲートに接続される。このNMOSトランジスタMB2のソースは、接地端子である供給電圧源の第2の端子に接続される。このNMOSトランジスタMB2のドレインは、第1の電流ミラーのダイオード接続トランジスタMR1に、及び、バイアストランジスタMB1の電流の変調制御のための接続ノードに接続される。したがって、PMOSトランジスタMR2で発生する基準電流は、バイアストランジスタMB1によって振動振幅を調整するためにダイオード接続PMOSトランジスタMR1を提供するために、第2の電流ミラーでミラーリングされる。よって、振幅調整のための機能的組立体は、電流源の、整流器またはピーク検出器の、及び、発振器回路の能動的分岐の増幅器のバイアスの機能を再配列する。
【0035】
図2に示されるように、振幅調整ステージを起動するためのスタートアップブロック(スタートアップと示される)も設けることができる。このスタートアップブロックは、第1の電流ミラーのPMOSトランジスタMR2のゲートに、及び、第2の電流ミラーのNMOSトランジスタMB2及びMB3のゲートに接続される。このスタートアップブロックについては説明しないが、特に、IEEE半導体回路ジャーナル、1977年6月、第12巻第3号、224ページから231ページのE. Vittoz及びJ. Fellrathによる「CMOS analog integrated circuits based on weak inversion operations」によりすでに知られている。
【0036】
一例として、ゼロゲートソース電圧のための簡単なネイティブ導体トランジスタを使用することができる。ゲートは回路の接地に接続され、ソースはトランジスタMB2及びMB3のゲートに接続され、よって回路を収束させることによって、ドレインはトランジスタMR2のゲートに接続される。回路が動作点に収束するとき、ゲートソース電圧は負であり、したがって、ネイティブトランジスタをブロックする。
【0037】
自己バイアスクォーツ発振器回路1は、
図2に示される組立体とは反対に設けることができることにも留意すべきである。これらの状態では、NMOS型のトランジスタMgmn、MB2、MB3は、供給電圧端子Vddに接続されたPMOS型のトランジスタになり、PMOS型のトランジスタMB1、MR1、及びMR2は、接地に接続されたNMOS型のトランジスタになる。したがって、クォーツXtal、ならびにコンデンサCin及びCoutは、供給電圧端子Vddに接続される。
【0038】
上記の振幅調整ステージの適切な動作のために、これは、PMOSトランジスタMR1及びMR2が低反転で動作することを必要とする。よって、PMOSトランジスタMR2のソースで生じる電圧、及び、PMOSトランジスタMR1及びMR2が同じ基板電圧を有すると仮定した場合の抵抗器Rbの電圧差は、以下の式で定義される。
【0039】
V
sMR2=u
t・ln[((W
MR2/L
MR2)/(W
MR1/L
MR1))・((W
MB3/L
MB3)/(W
MB2/L
MB2))]
【0040】
ここで、WはMOSトランジスタのチャネルの幅を定義し、LはMOSトランジスタのチャネルの長さを定義し、構成要素u
tは熱力学的電圧である。
【0041】
ベース抵抗器Rbの端子の電圧は原則として一定であるが、それは、クォーツXtalの端子における振動の関数としてのPMOSトランジスタMR1のゲートの電圧については、完全に事実というわけではない。よって、以下の式によって定義される、ベース抵抗器Rb及びPMOSトランジスタMR2による基準電流が形成される。
【0042】
Iref=u
t・ln[((W
MR2/L
MR2)/(W
MR1/L
MR1))・((W
MB3/L
MB3)/(W
MB2/L
MB2))]/Rb
【0043】
次いで、この電流Irefは、定義された比率に従って、PMOSバイアストランジスタMB1への電流ミラーによって伝えられる。第1のトランジスタMgmnを介した増幅器の能動的分岐では、バイアス電流は定電流成分にわたって変調された電流である。振動がクォーツXtalの端子で始まるとき、PMOSトランジスタMR1及びMR2が所望の弱反転領域を離れるのを避けるために、振幅制限が賢明に選択される。簡単な基準は次の通りである。
【0044】
V
dd−(V
osc+V
gMR2)≦V
Tp
【0045】
理論的には、PMOSトランジスタの構成が保たれる場合、PMOSトランジスタMR2のゲート電圧、すなわち、V
gMR2は、次のように計算できる。
【0046】
V
gMR2=V
dd−u
t・ln[((W
MR2/L
MR2)/(W
MR1/L
MR1))・((W
MB3/L
MB3)/(W
MB2/L
MB2))]−[V
T0+n・u
t・ln(I
F)]
【0048】
振幅調整についても、IEEE半導体回路ジャーナル、1977年6月、第12巻第3号、224ページから231ページのE. Vittoz及びJ. Fellrathによる「CMOS analog integrated circuits based on weak inversion operations」に十分に示されており、それは参照として本明細書に組み込まれる。これは、トランジスタの非線形挙動に利点を与える。
【0049】
(I
D/I
spec)=e
(vg-vt+|voscin|・sin(ωt))/ut
【0050】
ドレイン電流の連続成分は、一定期間にわたってこの式を平均することによって得られる。
【0051】
(I
D/I
spec)=e
(vg-vt)/ut・(1/2π)∫e
((voscin/n・ut)・sin(ωt))dωt
−πから+πまでの積分
【0052】
これは、オーダー0{Io(x)}の修正ベッセル関数と呼ばれるテーブル化された関数を分析的にもたらす。
【0053】
(I
D/I
spec)=e
(vg-vt)/ut・(1+v
12/2
2+v
14/(2
2・4
2)+v
16/(2
2・4
2・6
2)+・・・)
【0054】
したがって、振幅のベッセル関数に依存する電流が提案される。よって、非限定的な例として、ピーク振幅は、それ自体が、特定の電流の比によって、そして、ペアリング制約に従って定義され、後者はジオメトリによって示される。60mVのピーク振幅については、集計により関数Io(x)=2.1であり、x自体は次の式で定義される。
【0055】
[((W
MR2/L
MR2)/(W
MR1/L
MR1))・((W
MB3/L
MB3)/(W
MB2/L
MB2))]
【0056】
したがって、W
MR2/L
MR2=21・W
MR1/L
MR1、及び、W
MB3/L
MB3=10・W
MB2/L
MB2であるように選択される。
【0057】
図3には、自己バイアスクォーツ発振器回路1の第2の実施形態が示されている。
図2の構成要素に対応するこの
図3の構成要素は、同じ参照記号を有することに注目すべきである。第2の実施形態の構成要素の大部分が、
図2を参照して説明したものと同様であるので、これらの発振器回路の相違点のみ以下で説明する。
【0058】
この第2の実施形態の本質的な相違は、発振器回路の能動的分岐における増幅器が相互コンダクタンスインバータ増幅器Gmであるという事実である。したがって、この増幅器は、第2の種類の導電率の第2のトランジスタMgmpと直列に接続された、第1の種類の導電率の第1のトランジスタMgmnから構成されるインバータを備える。第1のトランジスタMgmnは好ましくはNMOSトランジスタであり、第2のトランジスタMgmpは好ましくはPMOSトランジスタである。
【0059】
第1のトランジスタMgmnは、この第2の実施形態において、接地端子に接続されるそのソースを有する。第1のトランジスタMgmnのドレインは、第2のトランジスタMgmpのドレインに、及び、出力端子OscoutにおいてクォーツXtalの第1の電極に接続される。第1の抵抗Rbnは、第1のトランジスタMgmnのドレインとゲートとの間に接続することができ、第1のコンデンサChpnは、第1のトランジスタのゲートと、入力端子OscinにおけるクォーツXtalの第2の電極との間に接続することができる。第2の抵抗器Rbpは、第2のトランジスタMgmpのドレインとゲートとの間に接続することができ、第2のコンデンサChppは、第2のトランジスタのゲートと、入力端子OscinにおけるクォーツXtalの第2の電極との間に接続することができる。出力コンデンサCoutは、クォーツXtalの第1の電極と接地端子との間に接続され、入力コンデンサCinは、クォーツXtalの第2の電極と接地端子との間に接続される。一般に、入力コンデンサCin及び出力コンデンサCout、さらにクォーツXtalは、発振器集積回路の外部にある構成要素である。調整及び寄生コンデンサも図示されていないが、発振器集積回路1にある。
【0060】
増幅器のバイアスは、第2の種類の導電率のバイアストランジスタMB1によって得られ、そのソースは供給電圧端子Vddに接続され、ドレインは第2のPMOSトランジスタMgmpのソースに接続される。上記のように、バイアストランジスタMB1のゲートは、電流源において振幅調整ステージに接続される。バイアストランジスタMB1のゲートはまた、クォーツXtalの第2の電極に、及び、第1のコンデンサChpnの端子に、及び、バイアストランジスタMB1における電流の変調制御のために接続ノードSaを形成する第2のコンデンサChppの端子に接続される。
【0061】
第1のトランジスタMgmnのゲート及び第2のトランジスタMgmpのゲートを、入力端子OscinにおいてクォーツXtalの第2の電極に、さらに、バイアストランジスタMB1のゲートに、直接接続することも考えられることに注目すべきである。抵抗器Rbn及びRbp、ならびにコンデンサChpn及びChppは、取り除くことができる。抵抗器Rbn及びRbp、ならびにコンデンサChpn及びChppは、クォーツXtalの端子において調整された振幅振動信号を取得するために、何よりフィルタリングに対して、任意の寄生ノイズまたは任意のジッタを軽減するのに役立つ。
【0062】
電流源における振幅調整ステージのすべての構成要素は、
図2を参照して説明したものと同じであることにも留意すべきである。したがって、それらはすでに説明した。さらにまた、上で示したように、自己バイアスクォーツ発振器回路1の
図3のこの第2の実施形態における構成要素の配列を逆にすることが考えられる。これらの状態では、NMOS型のトランジスタMgmn、MB2、MB3は、供給電圧端子Vddに接続されたPMOS型のトランジスタになり、PMOS型のトランジスタMgmp MB1、MR1、及びMR2は、接地に接続されたNMOS型のトランジスタになる。したがって、クォーツXtalに接続されたコンデンサCin及びCoutは、供給電圧端子Vddに接続される。
【0063】
バイアストランジスタMB1による発振器の能動的分岐における電流変調を理解するために、
図4a及び4bを参照する。
図4aに示される回路は、
図3の発振器回路の一部を繰り返す。振幅調整ステージは、第1の電流ミラーのダイオード接続PMOSトランジスタMR1によって、そして、トランジスタMR1のドレインに接続された電流源Iregによって簡略化される。したがって、バイアストランジスタMB1を経由するバイアス電流Ireg+gm・Oscinは、端子Oscin及びOscoutでのクォーツのレベルにおける振動周波数に従って経時的に変調する。振幅調整変調によるバイアストランジスタMB1のゲート電圧変調がある。
【0064】
図4aの本実施形態において示されるように、トランジスタMgmp及びMgmnを有するインバータ組立体によって保証される、信号OscinとOscoutとの間の位相対立がある。
図4bは、バイアス電流Ireg+gm・Oscinの変動、ならびに、入出力端子における反対位相の電圧Oscin及びOscoutを示す。電圧VgpはトランジスタMgmpのゲート電圧であり、電圧VgnはトランジスタMgmnのゲート電圧である。
【0065】
電流源の、整流器の、及び、発振器回路の能動的分岐のバイアスの機能を再配列するこのような振幅調整機能的組立体により、構成要素を削減でき、このため、発振器回路の電力消費量を削減できることに留意されたい。
【0066】
図1参照して簡単に説明されるように、自己バイアスクォーツ発振器回路において、電圧レベルシフトのための増幅器ステージも設けることができる。この出力ステージは、入力端子Oscinにおける振動信号に基づいて振動信号を提供することができる。電圧レベルシフトのための出力ステージは、供給電圧の端子に接続されたインバータ組立体を備えることができる。このインバータ組立体は、発振器の能動的分岐のインバータ増幅器と同一とすることができる。したがって、このインバータ組立体は、NMOSトランジスタと直列に接続されたPMOSトランジスタと、コンデンサの1つの電極が入力端子Oscinに接続された、RCフィルタの接続とを備える。PMOS及びNMOSトランジスタのドレインは、出力振動信号を提供する。
【0067】
指標として、平均バイアス電流は30nA未満、たとえば5nA以下程度であり、供給電圧は3V未満、たとえば0.6V程度とすることができる。クォーツXtalの端子における振動周波数は32.768kHzであり、品質値の包絡線に瞬間誤差を含む。
【0068】
最小電圧の問題に関して、キルヒホッフの法則を以下のように書くことができる。
【0069】
Vdd−Vg
MR1,2−Vdsat
MB2,MB3−Vs
MR2=0
【0070】
ここで、Vgはゲート電圧であり、Vdはドレイン電圧であり、Vsはソース電圧であり、以下の不等式をもたらす。
【0071】
Vdd≧Vg
MR1,2+Vdsat
MB2,MB3+Vs
MR2
【0072】
トランジスタMR2のソースにおける電圧は、以下の不等式に従って置き換えることができる。
【0073】
Vdd≧Vg
MR1,2+Vdsat
MB2,MB3+u
t・ln((S
MR2/S
MR3)・(S
MB2/S
MB3))
【0074】
S
MR2はW
MR2/L
MR2に対応し、S
MR3はW
MR3/L
MR3に対応し、S
MB2はW
MB2/L
MB2に対応し、そして、S
MB3はW
MB3/L
MB3に対応する。
【0075】
0.18μmのCMOS技術(ALP18)においては、以下に示すような閾値電圧についての一定の柔軟性がある。
【0077】
ゲート電圧Vg
MR1,2は、以下の式で示されるように、おおよそ閾値電圧Vtである。
【0078】
Vg
MR1,2=Vt+n・u
t・ln(I
c)
【0080】
u
t・ln((S
T3/S
T1)・(S
T2/S
T4))(比21)ここで、25°において3・u
t=78mV。
【0081】
Vdsat=u
t・(2・I
F1/2+4)ここで、4・u
tから7・u
tが適切である。
【0083】
5nAの電流に対する反転係数が10であるので、NMOSトランジスタ(LVT)のための1mmにわたる1μmの、及び、PMOSトランジスタ(LVT)のための200μmにわたる1μmのトランジスタを生成することが必要である。いくつかの測定値は、0.3Vにおける発振器コアを生成できることを示すことができる。
【0084】
上記の自己バイアスクォーツ発振器回路は有利なことには、0.18μmのCMOS技術(ALP18)における通常ドープシリコン基板PのクォーツXtalならびにコンデンサCin及びCoutを除いて、集積形態で生成できる。これにより、自己バイアス発振器回路、及び振動振幅の調整を得ることができる。
【0085】
負荷コンデンサCLによって特徴づけられる、標準クォーツ集積コンデンサの計算の非限定的な例として、コンデンサは、以下の表に示されるような値の範囲にある。集積コンデンサの値について、集積化のために適切である、8pF〜20pFの範囲とすることができる。
【0087】
振幅調整ステージの第1の電流源のトランジスタMR1及びMR2の弱反転における相互コンダクタンスgmの問題を理解するために、
図5a及び5bを参照する。
図5aでは、実線の曲線は、定義された振動振幅を維持するために、したがって、共振器に適合された負インピーダンスを定義するために、インバータに必要な電流を示す。
【0088】
I
qcrit=g
mcrit・n・u
t/2
【0089】
そのため、振幅が重要であるほど、相互コンダクタンスのバイアスの電流は上昇しない。相互コンダクタンスは、特定の電流の比例関係により最大化される強反転の場合のように、弱反転における幾何学的効果から利益を得ることができる。
【0090】
図5a上の点によって示される曲線は、コンデンサCinなどのクォーツのベースコンデンサの動的消費量、つまり、容量値が約3pFである条件下でのコストを表す。消費量の値は右の垂直軸に示される。たとえば10nAでのこの組立体の動的消費量を削減したい場合、破線の曲線は右の軸を参照する。次いで、約60mVにおける2、3倍の熱力学的電圧の適切な方法で振動の振幅を小さくする必要性を明確に表している。市販されているいくつかの製品の振幅は、約208mVにおける8倍の熱力学的電圧より優れている。これらの発振器は、この方法によって、35nA未満の消費とすることはできない。
【0091】
図5bにおいて、8倍の熱力学的電圧は、主として、飽和状況を有し、次いで、Diracの形態の下での電流の伝搬を可能にする非線形性を導入することを可能にする。よって、
図5bは、インバータの出力電流の変化を示す。波形は双曲線正弦である。電流は、電流I
qcritで正規化されている。振幅調整ループは、安定化された後に、より高い電流の供給を防止することを可能にする。したがって、それは、T=0とT=Tangleとの間で導通角を定義することができる。
【0092】
したがって、
図5bの曲線の1本が1または−1を横切るとき、電流は供給が停止する。そのため、平均値は、導通時間(角度)が長くなるにつれて増加する。8倍の熱力学的電圧の「標準」振幅は、一種のDiracを得ることを可能にするが、2.5倍の熱力学的電圧は、より長い時間、2.5倍になる。これは、より高い平均電流をもたらす。これらの状態を復元するためにOscinの接続及び調整ループのバイアストランジスタのゲートは、電流の状態をDiracにすることを可能にする。
【0093】
提示した説明から、当業者であれば、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、自己バイアス型のクォーツ発振器回路のいくつかの変形形態を設計することができる。トランジスタはバイポーラトランジスタとすることもできるが、その場合の消費量は、MOS型のトランジスタの配列よりも悪い。