(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6607998
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】手動錠に取り付けてドアを開閉する電動錠装置及びその電動錠装置の機能設定方法
(51)【国際特許分類】
E05B 13/08 20060101AFI20191111BHJP
E05B 9/08 20060101ALI20191111BHJP
E05B 47/00 20060101ALI20191111BHJP
【FI】
E05B13/08 A
E05B9/08 Z
E05B47/00 J
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-92995(P2018-92995)
(22)【出願日】2018年5月14日
(65)【公開番号】特開2019-183606(P2019-183606A)
(43)【公開日】2019年10月24日
【審査請求日】2018年5月15日
(31)【優先権主張番号】10-2018-0043238
(32)【優先日】2018年4月13日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】313006692
【氏名又は名称】ユニオンコミュニティー シーオー エルティディ
【氏名又は名称原語表記】UNIONCOMMUNITY CO.,LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ミョンフン
(72)【発明者】
【氏名】ペク、ヨンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】シン、ヨシク
【審査官】
藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−209856(JP,A)
【文献】
特開2012−237121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00−85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアに既に設置された手動錠と連結軸で結合する電動錠装置であって、
代替サムターンに連結され、結合溝が形成された第1のサムターンブロックと、
一端が結合軸上で前記第1のサムターンブロックと独立して単独で回転できる形態で結合し、他端に前記連結軸が挿入される連結孔が形成され、前記連結孔から延長されて前記結合溝と連結される貫通孔が形成された第2のサムターンブロックと、
前記連結孔の同軸線上に前記結合溝と貫通孔が形成されるピン孔に挿入可能であり、前記ピン孔に挿入されると、前記第1のサムターンブロックと第2のサムターンブロックが単独で回転できないように連結する結合ピンと、
前記結合ピンが挿入された後に前記連結孔に挿入されることにより、前記結合ピンと連結軸との間で前記結合ピンが前記結合溝と貫通孔から離脱しないように支持する支持部材とを含むことを特徴とする、
電動錠装置。
【請求項2】
前記支持部材は、前記結合ピンに形成されたスプリング溝に一端が収容されるスプリングであることを特徴とする請求項1に記載の電動錠装置。
【請求項3】
前記スプリングの中心部に差し込まれ、前記スプリングの圧縮をガイドするスプリングホルダをさらに含み、前記スプリングホルダは、前記スプリングの中心部が差し込まれる柱状の胴部と、前記胴部の一側に設けられ、前記スプリングの一側を前記胴部に固定する突起と、前記胴部の一端に設けられ、前記スプリングが前記胴体から離脱しないように遮断するヘッドと、を備えることを特徴とする請求項2に記載の電動錠装置。
【請求項4】
請求項1に記載の電動錠装置の機能設定方法において、
前記結合ピンが前記ピン孔から分離された状態で、前記代替サムターンを回転させて前記第1のサムターンブロックを第2の位置に回転させることにより、機能設定を変更するステップと、
前記機能変更ステップの後に、前記結合ピンを前記連結孔を介して前記ピン孔に挿入して前記設定変更を固定するステップと、
前記設定変更を固定した後に、前記連結軸を前記連結孔に差し込んで前記手動錠と結合するステップと、を含み、
前記結合するステップは、前記設定変更を固定するステップの後に、スプリングを前記結合ピンに形成されたスプリング溝と前記連結軸との間にスプリングを挿入することにより、前記結合ピンが前記結合溝と貫通孔から離脱しないように支持することを特徴とする、
電動錠装置の機能設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアに設置されてデッドボルト(Dead Bolt)を開閉する方式でドアを開閉する手動錠(Manual Door Lock)に装着して手動錠装置のサムターンを制御する錠装置に関し、左勝手/右勝手の設定を含む各種設定を容易にできるように構成したドア用錠装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ドアに設置されたデッドボルト(Dead Bolt)を用いてドアを開閉する錠装置(Door Lock)は、電動式と手動式がある。
【0003】
手動であっても電動であっても、戸枠に形成された溝にデッドボルトを嵌める方式で施錠し、溝からデッドボルトを抜く方式で解錠する。ただし、手動錠は、ドアの内側に設けられたサムターン(Thumb Turn)を手動で回転させてデッドボルトを駆動し、電動錠は、モータなどの回転力を利用してデッドボルトを駆動する点が異なる。
【0004】
従来、ドアに設置された手動錠を電動方式に変更するためには、(1)手動錠全体を除去した後に電動錠を設置したり、(2)手動錠に電動錠を取り付けていた。方式(1)の電動錠は、内部にデッドボルトを備えている。方式(2)の電動錠は、手動錠のサムターンに連結して手動錠のデッドボルトをそのまま使用する。したがって、この方式の電動錠は、別にデッドボルトを備える必要がないので、構造が簡単であり、ドアに既に設置されている手動錠を分離しなくても良いので、工事も容易であるという利点がある。
【0005】
一方、ドアには左勝手と右勝手がある。問題は、デッドボルトの進出方向が左勝手と右勝手に応じて変わるので、デッドボルトを駆動する駆動軸(又はモータ)の回転方向(電動錠を基準に)も左勝手と右勝手に合わせて設定する必要があるということである。
【0006】
図1を参照する。(a)は右勝手であり、(b)は左勝手である。ドアの内側である室内に位置した人から見ると、右勝手は、ヒンジが右に位置したドア1aであるため、右手を使って開放しなければならない。したがって、錠10aもデッドボルト11aが左に突出するように右勝手に設定する。
図1の(b)を参照する。ドアの内側である室内に位置した人から見ると、左勝手は、ヒンジが左側に位置したドア1bであるため、左手を使って開放しなければならない。したがって、錠10bは、デッドボルト11bが右に突出するように左勝手に設定する。
【0007】
従来のほとんどの電動錠は、設定変更によって右勝手と左勝手を変えることができる。例えば、左右勝手の設定に応じて、モータの回転方向を変え、ドアの開閉に対応するデッドボルトの位置を異なって認識する方法で、左勝手又は右勝手として作動することができる。左右勝手の設定方法は、設定スイッチの操作を使用する方法が広く用いられているが、このような方法は、一般の使用者も簡単に設定を変えることができるという問題がある。
【0008】
一方、特許文献1に開示されている錠装置は、扉に既設手動錠装置の操作部材に連結されるサムターンコアと、新設サムターンに連結されるサムターンベースと、サムターンコアとサムターンベースを相対回転不能な形で連結する切替軸を備える。
切替軸は、サムターンコアとサムターンベースとの間に分離不可能な形で内蔵され、共に内蔵されたスプリングによって支持される。錠装置の奥側に工具によって切替軸を押圧して軸線方向にスライドさせるとサムターンコアとサムターンベースとの連結が解除される。この状態で、工具を回転させてサムターンコアだけを回転させることにより、左右勝手を設定する方式である。工具を除去すると、圧縮されたスプリングが復元され、スライドされた切替軸も元の位置に復元し、サムターンコアとサムターンベースとの連結も復元される。この特許の方法は、有用であり、且つ便利である。ただし、内部にスプリングと切替軸を備えるなど、その構造が複雑であり、それにスプリングや切替軸が故障した場合の修理も容易ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】日本登録特許第6062649号公報(錠装置及び錠装置の機能設定方法)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、ドアに既に設置された手動錠(Manual Door Lock)に結合される錠装置であって、管理者は、機能(例えば、左勝手/右勝手の設定)を容易に設定することができるが、使用者は、簡単にその設定を変更できないように構成した電動錠装置を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、電動錠装置の機能設定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するための本発明に係る電動錠装置は、ドアに既に設置された手動錠と連結軸により結合して手動錠を制御することができる。
【0013】
本発明の電動錠装置は、手動錠の既存サムターンを代替する代替サムターンに連結され、結合溝が形成された第1のサムターンブロックと、一端が結合軸上で前記第1のサムターンブロックと独立して単独で回転できる形態で結合し、他端に前記連結軸が挿入される連結孔が形成された第2のサムターンブロックと、を含む。第2のサムターンブロックには、前記連結孔から延長されて前記結合溝と連結される貫通孔が形成される。本発明の電動錠装置には、前記連結孔を介して前記結合溝と貫通孔が形成されるピン孔に挿入されたり分離される結合ピンを含む。ピン孔に差し込まれた結合ピンは、前記第1のサムターンブロックと第2のサムターンブロックが単独で回転できないように連結する。
【0014】
実施例により、本発明の電動錠装置は、前記結合ピンが挿入された後に前記連結孔に挿入されることにより、前記結合ピンと連結軸との間で前記結合ピンが前記結合溝と貫通孔から離脱しないように支持する支持部材をさらに含むことができる。例えば、前記支持部材は、前記結合ピンに形成されたスプリング溝に一端が収容されるスプリングである。
【0015】
他の実施例により、本発明の電動錠装置は、前記スプリングの中心部に差し込まれ、前記スプリングの圧縮をガイドするスプリングホルダをさらに含むことができる。前記スプリングホルダは、前記スプリングの中心部が差し込まれる柱状の胴部と、前記胴部の一側に設けられ、前記スプリングの一側を前記胴部に固定する突起と、前記胴部の一端に設けられ、前記スプリングが前記胴部から離脱しないように遮断するヘッドとを備える。
【0016】
本発明は、前記電動錠装置の機能設定方法を提供する。本発明の方法は、前記結合ピンが分離された状態で、前記連結孔を介して工具を挿入して前記第2のサムターンブロックを第2の位置に回転させたり、前記代替サムターンを回転させて前記第1のサムターンブロックを前記第2の位置に対応する位置に回転させることにより、機能設定を変更するステップと、前記機能変更ステップの後に、前記結合ピンを前記連結孔を介して前記ピン孔に挿入して前記設定変更を固定するステップと、前記設定変更を固定した後に、前記連結軸を前記連結孔に差し込んで前記手動錠と結合するステップとを含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明の電動錠装置は、ドアに既に設置された手動錠に結合する方式で設置することができ、電動で手動錠に内蔵されたデッドボルトを駆動することができる。
【0018】
設置者は、本発明の電動錠を設置するときに、電動錠の機能(又は動作)に関連して複数の選択事項のうちいずれかを選択することができる。例えば、設置者は、手動錠と連結する前にサムターンを回転する方法で電動錠が左勝手に作動するか、或いは右勝手に作動するかを設定することができる。一旦設置した後は、再び分解しない限り、その設定を変更することができないので、一般の使用者は、その選択を容易に変更することができない。
【0019】
なお、本発明の電動錠は、結合ピンをピン孔から除去した状態で機能設定をし、機能設定の後に初めて結合ピンを挿入するので、結合ピンが錠装置の内部で機能故障を起こす危険がなく、機能故障があっても容易に交換して使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図3】本発明の電動錠装置の部分断面図(手動錠と結合する前)である。
【
図4】手動錠と結合した状態の電動錠装置の部分断面図である。
【
図5】第1のサムターンブロック、第2のサムターンブロック及び結合ピンの分解斜視図である。
【
図6】本発明による左右勝手の設定方法の説明に提供されるフローチャートである。
【
図7】本発明の他の実施例による電動錠装置の部分断面図である。
【
図8】
図7に適用されたスプリングホルダを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施例をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0022】
図2を参照する。本発明の電動錠装置100は、ドア30に既に設置された手動錠10と結合し、手動錠10のデッドボルト11を駆動してドア30を開閉する。ここで、手動錠10は、外力により、既存サムターン15が回転しながら、内部のデッドボルト11がドア30に設置されたストライク(図示せず)に挿入される形態でドア30を開閉する従来の錠装置である。手動錠10の既存サムターン15は、本発明の電動錠装置100を結合するときに除去され、その代わりに電動錠装置100が代替サムターン101を有している。
【0023】
本発明の電動錠装置100と手動錠10との連結には、連結軸17を用いる。電動錠装置100の本体103の背面には、連結軸17を挿入するための連結孔105が設けられている。連結孔105の断面は、円形は好ましくなく、例えば、図示したように、十字形や多角形が望ましい。先ず、手動錠10の既存サムターン15を除去した後だるま形状溝13が開放されると、連結軸17の一端は、手動錠10のだるま形状溝13に差し込み、他端は、電動錠装置100に差し込む。連結孔105とだるま形状溝13の両方は円形状ではないので、連結軸17は、電動錠装置100及び手動錠10と一体に結合されて同時に回転するように結合され、電動錠装置100と手動錠10のいずれも単独で回転することができない。
【0024】
図3〜
図5を参照する。本発明の電動錠装置100は、本体103の前面に、既存サムターン15に代わる代替サムターン101があり、本体103には、第1のサムターンブロック110、第2のサムターンブロック130及びセンサ部150が内蔵され、結合ピン171と支持部材が結合する。
図3〜
図5には、支持部材としてスプリング173を用いた例が示されている。その他にも、電動錠装置100も、従来の電動錠のように、回転力を作るモータ(図示せず)と、モータの回転力を連結軸17に伝達するギア系(図示せず)を有しているが、このような構成は、本発明を説明するために必須的なものではないので、図示せずに、その説明も簡単にするか、或いは省略する。
【0025】
代替サムターン101は、第1のサムターンブロック110に結合されており、使用者が代替サムターン101を回転させると、第1のサムターンブロック110も同様に回転する。以下で説明するように、電動錠装置100が手動錠10に設置されると、第1のサムターンブロック110と第2のサムターンブロック130のそれぞれは、単独で回転することができなくなるので、代替サムターン101の回転力は、第1のサムターンブロック110を介して第2のサムターンブロック130に同一に伝達される。
【0026】
第1のサムターンブロック110は、代替サムターン101の回転によって仮想の結合軸(x)を中心に回転することができるが、結合軸(x)方向に動いたり、スライドしない。第1のサムターンブロック110の一端は、代替サムターン101に連結され、他端は、第2のサムターンブロック130と結合する。第1のサムターンブロック110は、結合ピン171により相互連結される前には、第2のサムターンブロック130とは別に単独で回転することができる。
【0027】
第2のサムターンブロック130と結合する他端部分は、第2のサムターンブロック130の円形の第1の収容孔131に挿入される円柱状であり、結合軸(x)に沿って結合ピン171が挿入される結合溝113が形成される。
図3のように、第1のサムターンブロック110は、外周に沿って形成されたガイド111を備えることができる。
【0028】
結合溝113は、第2のサムターンブロック130の貫通孔135と共に結合ピン171を収容するピン孔115を形成する。
図5を参照する。結合溝113は、円柱の形状ではないので、第1のサムターンブロック110が結合溝113に挿入された結合ピン171と独立して単独で回転することができない。
図5に示した例には、結合溝113が正方形の断面として開示されているが、これに限定されない。例えば、六角形の断面を有する結合溝113も可能である。
結合溝113の断面は、貫通孔135と同一であるか、或いは貫通孔135内に含まれることにより、連結孔105を介して挿入される結合ピン171が貫通孔135と結合溝113に挿入できるように構成すれば良い。
【0029】
第2のサムターンブロック130は、第1のサムターンブロック110と同一の結合軸(x)上に配置され、一端は、第1のサムターンブロック110と結合し、他端は、連結軸17と結合する。第2のサムターンブロック130には、モータ(図示せず)に連動するギアの組み合わせ(図示せず)を有しているので、第2のサムターンブロック130は、モータの回転によって一定の回転区間を回転することになり、連結軸17が同様に回転する。
連結軸17の回転によって、手動錠10は、デッドボルト11を動かす。モータの回転を制御するために、第2のサムターンブロック130には、センサ部150が設けられる。例えば、センサ部150は、第2のサムターンブロック130と同様に回転する磁石151と、一定の間隔で配置され、磁石151を感知する孔センサ(Hall Sensor)153などで実現することができる。
【0030】
第2のサムターンブロック130の一端には、結合軸(x)に沿って第1のサムターンブロック110を収容するための円形の第1の収容孔131が形成される。もし、
図3に示したように、第1のサムターンブロック110にガイド111があれば、直径がより大きい第2の収容孔133を第1の収容孔131と共に多段に形成することができる。
【0031】
第1の収容孔131の中心部には、仮想の結合軸(x)を中心線として有する貫通孔135が形成される。貫通孔135の一端は結合溝113と接し、他端は連結孔105と接する。
図5に示したように、貫通孔135は、円形ではない断面を有することにより、結合ピン171が貫通孔135に挿入された後は、第2のサムターンブロック130が結合ピン171と独立して単独で回転することができない。
又、貫通孔135は、少なくとも結合溝113と同一の形状の断面を有するか、或いは結合溝113の断面を含む形状の断面を有することが望ましい。例えば、
図5には、結合溝113と同一の正方形の断面を有する貫通孔135が形成される例を挙げる。
【0032】
結合ピン171は、結合溝113と貫通孔135が形成するピン孔115に内接する形態で挿入されるので、ピン孔115の形状が結合ピン171の形状となる。例えば、
図5のように、結合ピン171は、ピン孔115の形状に従って四角柱状である。結合ピン171は、ピン孔115に挿入されたとき、結合溝113から貫通孔135に同時に差し込まれる程度の長さを有することが望ましい。
第1のサムターンブロック110と第2のサムターンブロック130のそれぞれは、単独で回転できるように組み立てられるが、結合ピン171が、結合溝113と貫通孔135が形成するピン孔115に挿入された後には単独で回転することができなくなる。
【0033】
この際、結合ピン171を挿入して第1のサムターンブロック110と第2のサムターンブロック130を結合するためには、結合溝113の入口と貫通孔135の入口が合わせられた1つのピン孔115を形成しなければならない。もし、ピン孔115の断面が正方形であれば、第1のサムターンブロック110と第2のサムターンブロック130は、4つの相対回転角(0°、90°、180°、270°)に結合することができる。この際、それぞれの相対回転角は、特定の機能の選択が可能な項目に対応することができる。
もし、第2のサムターンブロック130を固定させた状態で、代替サムターン101で第1のサムターンブロック110を回転させて機能を設定し、代替サムターン101の回転角を最大90°に制限する場合は、90°の差がある2つの項目を選択することができる。例えば、左勝手又は右勝手を設定する場合は、第2のサムターンブロック130が固定された状態で、第1のサムターンブロック110を90°で時計回り又は反時計回りに回転させて左勝手や右勝手を設定することができる。
【0034】
実施例により、機能の設定のために、第2のサムターンブロック130を固定させた状態で、代替サムターン101で第1のサムターンブロック110を回転させる場合の他にも、第1のサムターンブロック110を固定させた状態で、連結孔105を介して挿入した別の器具で第2のサムターンブロック130を回転させることもできる。この際、器具の端部は、貫通孔135に内接する形状であることが望ましい。
【0035】
結合ピン171をピン孔115に挿入して機能設定を完了した後、支持部材、すなわち、スプリング173が連結孔105を介して挿入されて結合ピン171を支持する。
連結軸17の連結孔105に挿入される長さがドア30の厚さ、又は手動錠10ごとに異なる場合があるので、本発明の電動錠装置100を手動錠10に設置完了した後にも、ピン孔115に挿入された結合ピン171と連結軸17との間に隙間が生じることがある。このように、結合ピン171と連結軸17との隙間が広がるにつれ結合ピン171がピン孔115から離脱することを防止するために、支持部材が差し込まれる。
図3では支持部材としてスプリング173を用いたが、これに限定されない。例えば、スプリング173に代わってスペーサ(Spacer)などを支持部材として用いることができる。
【0036】
スプリング173を用いる場合、
図3及び
図4に示したように、結合ピン171には、スプリング173の一端を挿入するためのスプリング溝171Aaを設けることができる。
【0037】
一方、実施例により、スプリング溝171aの内面に雌ネジを加工することもできる。例えば、設定変更の必要に応じて、ピン孔115に挿入された結合ピン171を取り出そうとするとき、端部にネジ山が形成された器具をスプリング溝171aにネジ結合することで、結合ピン171を容易に取り出すことができる。
【0038】
<機能設定方法>
以下では、機能設定の一例として、
図6を参照して左右勝手の設定方法について説明する。ピン孔115の断面が、
図5に示したように、四角形であり、左勝手と右勝手の設定は、第1のサムターンブロック110と第2のサムターンブロック130の相対回転角がそれぞれ0°と90°で結合された状態に対応する。
【0039】
センサ部150の孔センサ153は、90°に離隔された第1の位置と第2の位置にそれぞれ設置され、第2のサムターンブロック130の回転を認識するように構成されたと仮定する。ドア30は、左勝手であると仮定する。
【0040】
<設定確認:S601>
結合ピン171がピン孔115から除去された状態で、設置者が電動錠装置100の現在の左右勝手の設定状態を確認するために、断面の形成が四角形である工具を貫通孔135と結合溝113に挿入した状態で代替サムターン101を操作してみることで、電動錠装置100の現在の左右勝手の設定状態を確認することができる。もし、電動錠装置100の現在の設定が、現在のドアの左右勝手状態と一致する場合は、そのまま組み立てれば良い。
【0041】
<設定変更:S603、S605>
電動錠装置100の現在の設定が現在のドア状態と一致しない場合は、設定を変更しなければならない(S603)。
【0042】
結合ピン171を結合する前であるので、第1のサムターンブロック110と第2のサムターンブロック130のそれぞれは、単独で回転することができる。設定の変更のために、第2のサムターンブロック130をそのまま放置した状態で、設置者が代替サムターン101を90°で時計回り(又は反時計回り)に回転させる。代替サムターン101の回転によって第1のサムターンブロック110が90°に回転して再びピン孔115を合わせることにより、電動錠装置100の動作が右勝手に転換される。
図4の(a)のような状態となる(S605)。
【0043】
<設定状態の固定:S607〜S611>
結合溝113の入口と貫通孔135の入口が合わせられてピン孔115が形成されると、設置者は、
図4の(b)のように、結合ピン171を本体103の背面に開放されている連結孔105を介してピン孔115に挿入する。結合ピン171がピン孔115に挿入されると、第1のサムターンブロック110と第2のサムターンブロック130を用いた設定変更が固定される。結合ピン171がピン孔115に挿入された後は、第1のサムターンブロック110と第2のサムターンブロック130のそれぞれは、単独で回転することができなくなる(S607)。
【0044】
次に、
図4の(b)のように、スプリング173を結合ピン171のスプリング溝171aに挿入し(S609)、連結軸17の一端を連結孔105に挿入することにより、既存サムターン15が除去された手動錠10と結合する(S611)。
【0045】
(実施例1)
図7及び
図8を参照する。本発明の電動錠装置100は、スプリング173の中心部に差し込まれてスプリング173の圧縮をガイドし支持するスプリングホルダ710をさらに備えることができる。
【0046】
スプリングホルダ710は、スプリング173に挿入される柱状(例えば、円柱状)の胴部711と、胴部711の一側に設けられ、スプリング173を掛けて胴部711に固定する突起713(又はフック)と、胴部711の一端に設けられ、スプリング173の離脱を防止するヘッダ715とを備える。胴部711の長さは、スプリング173が最大圧縮された状態の長さよりも短いことが望ましい。
【0047】
ステップS607で、スプリング173を結合ピン171のスプリング溝171Aaに挿入する前に、スプリング173をスプリングホルダ710の胴部711に結合し、突起713とヘッド715との間に係止して固定する。その後に、スプリングホルダ710に結合された状態のスプリング173を結合ピン171のスプリング溝171aに挿入する。
【0048】
スプリングホルダ710は、スプリング173の圧縮過程で発生し得る異常圧縮を防止する。上述したように、組み立てられた状態で結合ピン171と連結部材17との離隔距離は、ドアの厚さや手動錠装置10によって異なることになる。したがって、本発明で用いられるスプリング173の長さは、結合ピン171と連結部材17が離隔されることを考慮して十分長くする。この際、スプリング173の縦横比(直径対比の長さ)が一定の倍数以上に大きくなると、スプリング173が圧縮過程で正常に圧縮されない恐れがある。
スプリングホルダ710は、スプリング173に差し込まれた状態で、スプリング173を支持することにより、スプリング173の圧縮を案内する役割をする。又、スプリングホルダ710は、設置過程でのスプリング173の紛失を防止する。
【符号の説明】
【0049】
10 手動錠
11 デッドボルト
17 連結軸
30 ドア
100 電動錠装置
101 代替サムターン
103 本体
105 連結孔
110 第1のサムターンブロック
111 ガイド
113 結合溝
115 ピン孔
130 第2のサムターンブロック
131 第1の収容孔
133 第2の収容孔
135 貫通孔
150 センサ部
151 磁石
153 孔センサ
171 結合ピン
173 スプリング
710 スプリングホルダ
711 胴部(スプリングホルダ)
713 突起(スプリングホルダ)
715 ヘッド(スプリングホルダ)