【実施例】
【0036】
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明する。ただし、下記の実施例は、本発明の技術的特徴を明確に例示するためのものであり、本発明の保護範囲を限定するものではない。
【0037】
I.乳酸菌の選別および効能を確認するための第1次実験
1.乳酸菌の単離および同定
(1)キムチからの乳酸菌の単離
白菜キムチ、大根キムチおよびネギキムチをそれぞれ破砕し、破砕液をMRS液体培地(MRS Broth;Difco,米国)に入れて懸濁した。その後、上澄み液を取ってMRS寒天培地(MRS agar medium;Difco,米国)に移植し、37℃で約48時間嫌気的に培養した後、コロニー(colony)を形成した菌株を単離した。
【0038】
(2)ヒト糞便からの乳酸菌の単離
ヒト糞便をGAM液体培地(GAM broth;Nissui Pharmaceutical Co.,Ltd.、日本)に入れて懸濁した。その後、上澄み液を取ってBL寒天培地(BL agar medium;Nissui Pharmaceutical、日本)に移植し、37℃で約48時間嫌気的に培養した後、コロニー(colony)を形成したビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium sp.)菌株を単離した。
【0039】
(3)選別した乳酸菌の同定
キムチまたはヒト糞便から単離した菌株の生理学的特性および16S rDNA配列を分析して菌株の種を同定し、菌株名を付与した。下記表1に白菜キムチ、大根キムチ、ネギキムチおよびヒト糞便から単離された乳酸菌の管理番号および菌株名を示す。
【0040】
【表1】
【0041】
上記表1に示す菌株のうち、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23は、グラム染色に陽性を示す嫌気性桿菌であり、胞子を形成せず、好気的条件下でも生存性を示した。また、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23は、10〜42℃で生存し、pH2で2時間安定な耐酸性菌株であった。また、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23は、2%塩化ナトリウム溶液でも生存し、グルコシダーゼ(glucosidase)を活発に産生した。また、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23を化学的に分類するためにその16S rDNAを解析した結果、配列番号1の塩基配列を有することが確認された。ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23の16S rDNA塩基配列をGenebank(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)のBLAST検索で同定した結果、同一の16S rDNA塩基配列を有するラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)菌株は検出されず、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)菌株FJ004の16S rDNAの部分配列と99%の相同性を示した。
【0042】
上記表1に示す菌株のうち、ラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)CH32は、グラム染色に陽性を示す嫌気性桿菌であり、胞子を形成せず、好気的条件下でも生存性を示した。また、ラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)CH32は45℃まで安定的に生存し、pH2で2時間安定な耐酸性菌株であった。また、ラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)CH32は、グルコシダーゼ(glucosidase)を活発に産生していたが、β−グルクロニダーゼ(β−glucuronidase)を産生していなかった。また、ラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)CH32を化学的に分類するために、その16S rDNAを解析した結果、配列番号2の塩基配列を有することが確認された。ラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)CH32の16S rDNA塩基配列をGenebank(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)のBLAST検索で同定した結果、同一の16S rDNA塩基配列を有するラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)菌株は検出されず、ラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)菌株JCM2012の16S rDNAの部分配列と99%の相同性を示した。
【0043】
上記表1に示す菌株のうち、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57は、グラム染色に陽性を示す嫌気性桿菌であり、胞子を形成せず、好気的条件下で非常に低い生存性を示した。また、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57は熱に不安定であった。また、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57は、グルコシダーゼ(glucosidase)を活発に産生していたが、β−グルクロニダーゼ(β−glucuronidase)は産生していなかった。また、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57を化学的に分類するために、その16S rDNAを測定した結果、配列番号3の塩基配列を有することが確認された。ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57の16S rDNA塩基配列をGenebank(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)のBLAST検索で同定した結果、同一の16S rDNA塩基配列を有するビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)菌株は検出されず、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)菌株CBT−6の16S rDNAの部分配列と99%の相同性を示した。
【0044】
また、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23、ラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)CH32およびビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57の生理学的特性のうち、炭素源利用性をAPI Kit(モデル名:API 50 CHL;製造社:BioMerieux’s、米国)による糖発酵試験で分析した。下記表2は、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23の炭素源利用性の分析結果を示すものであり、下記表3は、ラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)CH32の炭素源利用性の分析結果を示すものであり、下記表4は、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57の炭素源利用性の分析結果を示すものである。下記の表2、表3および表4において、「+」は炭素源利用性が陽性である場合を示し、「−」は炭素源利用性が陰性である場合を示し、「±」は炭素源利用性の可否が曖昧な場合を示す。下記の表2、表3および表4に示すように、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23、ラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)CH32およびビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57は、いくつかの炭素源に関して同種の他の菌株と異なる炭素源利用性を示した。
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】
(4)乳酸菌の寄託情報
本発明の発明者らは、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23を2015年9月1日に国際寄託機関である韓国微生物保存センター(住所:大韓民国、ソウル西大門区 弘済内2街ギル45ユリムビル)に寄託してKCCM11762Pの受託番号を与えられた。また、本発明の発明者らは、ラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)CH32を2015年9月1日に国際寄託機関である韓国微生物保存センター(住所:大韓民国、ソウル西大門区 弘済内2街ギル45ユリムビル)に寄託してKCCM11763Pの受託番号を与えられた。また、本発明の発明者らは、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57を2015年9月1日に国際寄託機関である韓国微生物保存センター(住所:大韓民国、ソウル西大門区 弘済内2街ギル45ユリムビル)に寄託してKCCM11764Pの受託番号を与えられた。
【0049】
2.乳酸菌の腸損傷または腸漏れ改善効果の評価
キムチまたはヒトの糞便から単離した乳酸菌の腸損傷または腸漏れ改善効果を評価するために、乳酸菌の抗酸化活性、リポ多糖類(lipopolysaccharide、LPS)生成抑制活性、腸内有害酵素であるβ−グルクロニダーゼ(β−glucuronidase)阻害活性および密着結合タンパク質(tight junction protein)発現誘導活性を測定した。
【0050】
(1)実験方法
*抗酸化活性
DPPH(2,2−diphenyl−1−picrylhydrazyl)をエタノールに0.2mMの濃度となるように溶解させてDPPH溶液を製造した。前記DPPH溶液0.1mlに乳酸菌懸濁液(1×10
8CFU/ml)またはビタミンC溶液(1g/ml)を加え、20分間37℃で培養した。培養液を3000rpmで5分間遠心分離して上澄み液を得た。その後、517nmで上澄み液の吸光度を測定し、乳酸菌の抗酸化活性を計算した。
【0051】
*リポ多糖類(lipopolysaccharide、LPS)生成抑制活性
ヒトの新鮮な糞便0.1gを0.9mlの滅菌生理食塩水に懸濁し、一般嫌気性培地で100倍に希釈して糞便懸濁液を製造した。滅菌一般嫌気性培地(日水製薬株式会社、日本)9.8mlに前記糞便懸濁液0.1mlおよび乳酸菌(1×10
4または1×10
5CFU)0.1mlを加え、24時間嫌気的に培養した。その後、培養液を約1時間超音波で処理して菌の細胞外膜を破壊し、5000×gの条件で遠心分離して上澄み液を得た。その後、上澄み液に存在する代表的な内毒素であるLPS(lipopolysaccharide)の含有量をLAL(Limulus Amoebocyte Lysate)assay kit(製造社:Cape Cod Inc.、米国)で測定した。また、乳酸菌の大腸菌増殖抑制活性を評価するために、上記と同じ実験により得られた培養液を1000倍および100000倍に希釈し、DHL培地で培養した後、大腸菌数を測定した。
【0052】
*β−グルクロニダーゼ(β−glucuronidase)阻害活性
0.1mMの濃度のp−ニトロフェニル−β−D−グルクロニド(p−nitrophenyl−β−D−glucuronide)溶液0.1ml、50mMの濃度のリン酸緩衝生理食塩水0.2mlおよび乳酸菌懸濁液(乳酸菌培養液5mlを集菌した後、生理食塩水5mlに懸濁して製造した)0.1mlを反応器に入れ、15分間β−グルクロニダーゼ(β−glucuronidase)酵素反応を行い、0.1mMの濃度のNaOH溶液0.5mlを加えて反応を停止させた。その後、反応液を3000rpmで5分間遠心分離して、上澄み液を得た。その後、405nmで上澄み液の吸光度を測定した。
【0053】
*密着結合タンパク質(tight junction protein)発現誘導活性
韓国細胞株銀行から分譲されたCaco2細胞をRPMI 1640培地で48時間培養した後、Caco2細胞培養液を12−ウェルプレートの各ウェルに2×10
6cells/wellの量となるように分注した。その後、各ウェルを1μgのLPS(lipopolysaccharide)または1μgのLPS(lipopolysaccharide)と1×10
3CFU/mlの乳酸菌との組合せで処理した後、24時間培養した。その後、各ウェルから培養された細胞を掻き集め、免疫ブロット(immunoblotting)法で密着結合タンパク質(tight junction protein)ZO−1の発現量を測定した。
【0054】
(2)実験結果
キムチまたはヒトの糞便から単離した乳酸菌の抗酸化活性、リポ多糖類(lipopolysaccharide、LPS)生成抑制活性、β−グルクロニダーゼ(β−glucuronidase)阻害活性および密着結合タンパク質(tight junction protein)発現誘導活性を測定し、その結果を下記の表5および表6に示した。下記の表5および表6に示すように、ラクトバチルス・クルヴァトゥス(Lactobacillus curvatus)CH5、ラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)CH11、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23、ラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)CH32、ビフィドバクテリウム・シュードカテニュラタム(Bifidobacterium pseudocatenulatum)CH38およびビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57乳酸菌は、抗酸化活性に優れており、リポ多糖類(lipopolysaccharide、LPS)生成およびβ−グルクロニダーゼ(β−glucuronidase)の活性を強く阻害し、密着結合タンパク質(tight junction protein)の発現を強く誘導した。これらの乳酸菌は、優れた抗酸化効果を有し、炎症および発がんと関連している腸内細菌叢の有害菌の酵素活性抑制効果に優れており、腸内細菌叢の有害菌が産生する内毒素であるLPS(lipopolysaccharide)の生成を抑制するだけでなく、密着結合タンパク質(tight junction protein)の発現を誘導する。従って、これらの乳酸菌は、腸漏れ症候群(Intestinal permeability syndrome)を改善させることができる。
【0055】
【表5】
【0056】
【表6】
【0057】
*抗酸化活性測定時の乳酸菌の最終濃度:1×10
4CFU/ml;β−グルクロニダーゼ阻害活性およびリポ多糖類(lipopolysaccharide、LPS)生成抑制活性測定時の乳酸菌の添加濃度:1×10
4CFU/ml;密着結合タンパク質(tight junction protein)発現誘導活性測定時の乳酸菌濃度:1×10
4CFU/ml
【0058】
*乳酸菌の様々な活性測定時の基準:very strongly(+++;>90%);strongly(++;>60〜90%);weakly(+;>20〜60%);not or less than 20%(−;<20%)
【0059】
3.乳酸菌の肝損傷の改善効果の評価
乳酸菌の腸損傷または腸漏れ改善効果の評価に基づき、以下の7つの菌株:ラクトバシラス・クルヴァトゥス(Lactobacillus curvatus)CH5、ラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)CH11、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)CH15、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23、ラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)CH32、ビフィドバクテリウム・シュードカテニュラタム(Bifidobacterium pseudocatenulatum)CH38およびビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57を選別した。肝損傷の改善に対するこれらの選別された乳酸菌の菌株またはこれらの菌株の混合乳酸菌のそれぞれの効果を、様々な肝損傷モデル動物を用いて評価した。
【0060】
(1)D−ガラクトサミン(D−Galactosamine)によって肝損傷が誘発されたモデル動物を用いた実験による乳酸菌の肝損傷の改善効果の測定
1)実験方法
マウス(C57BL/6、雄性)を各々6匹とする幾つかの群に分けた。正常群以外の群の実験動物にD−ガラクトサミン(D−Galactosamine)を800mg/kgの用量で腹腔内投与して肝損傷を誘発した。D−ガラクトサミン(D−Galactosamine)を腹腔内投与した後2時間後から、正常群および陰性対照群以外の群の実験動物に、乳酸菌を1×10
9CFUの量で1日に1回ずつ3日間経口投与した。また、陽性対照群の実験動物には、乳酸菌の代わりにシリマリン(silymarin)を100mg/kgの量で1日に1回ずつ3日間経口投与した。薬物の最後の投与から6時間後に心臓採血を行った。採取した血液を室温で60分間放置し、3000rpmで15分間遠心分離して血清を分離した。分離した血清のGPT(glutamic pyruvate transaminase)とGOT(glutamic oxalacetic transaminase)を血液分析キット(ALT&AST測定キット;アサンファーム社製、韓国)を用いて測定した。
【0061】
また、実験動物の肝臓組織を摘出し、肝臓組織内に存在するマロンジアルデヒド(malondialdehyde、MDA)の量を測定した。マロンジアルデヒド(malondialdehyde)は脂質過酸化のマーカーである。具体的には、摘出した肝臓組織0.5gに16倍の容量のRIPA溶液(0.21M マンニトール、0.1M EDTA−2Na、0.07M スクロース、0.01M Trizma base)を加えた後、ホモジナイザー(homogenizer)を使用して均質化した。均質液を再び3000rpmで10分間遠心分離して肝臓ホモジネート(liver homogenate)を得た。肝臓ホモジネート(liver homogenate)0.5mlに10%SDS0.4mlを加え、30分間37℃でインキュベートし、冷やした後、1%リン酸緩衝液(phosphate buffer)3mlおよび0.6%TBA1mlを加え、100℃の水浴上で45分間加熱して試料溶液を発色させた。発色した試料溶液にn−ブタノール4mlを加え混合した後、3000rpmで10分間遠心分離して上澄み液を得た。得られた上澄み液の535nmにおける吸光度を測定してMDAを定量した。また、MDAを測定するための検量線は、1,1,3,3−テトラエトキシプロパン(1,1,3,3−tetraethoxypropane)を用いて作成した。
【0062】
2)実験結果
図1は、D−ガラクトサミン(D−Galactosamine)によって肝損傷が誘発されたモデル動物に乳酸菌を投与したときのGOT値の変化を示すグラフであり、
図2は、D−ガラクトサミン(D−Galactosamine)により肝損傷が誘発されたモデル動物に乳酸菌を投与したときのGPT値の変化を示すグラフであり、
図3は、D−ガラクトサミン(D−Galactosamine)により肝損傷が誘発されたモデル動物に乳酸菌を投与したときのMDA値の変化を示すグラフである。
図1乃至
図3において、X軸の「Nor」は正常群を示し、「Con」はD−ガラクトサミン(D−Galactosamine)により肝損傷が誘発されたモデル動物に別の薬物を投与していない陰性対照群を示し、「CH11」はラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)CH11投与群を示し、「CH15」はラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)CH15投与群を示し、「CH23」はラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23投与群を示し、「CH32」はラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)CH32投与群を示し、「CH38」はビフィドバクテリウム・シュードカテニュラタム(Bifidobacterium pseudocatenulatum)CH38投与群を示し、「CH57」はビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57投与群を示し、「CH57+CH11」はビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)CH11を同量混合して製造した混合乳酸菌の投与群を示し、「CH57+CH23」はビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23を同量混合して製造した混合乳酸菌の投与群を示し、「CH57+CH32」はビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)CH32を同量混合して製造した混合乳酸菌の投与群を示し、「SM」は乳酸菌の代わりにシリマリン(silymarin)を投与した陽性対照群を示す。
【0063】
図1乃至
図3に示すように、肝損傷によってGOT値、GPT値、MAD値が上昇したモデル動物にラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23、ラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)CH32およびビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57のそれぞれを投与した場合、肝損傷が改善された。特に、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23の混合乳酸菌またはビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii )CH32の混合乳酸菌を投与した場合、肝損傷が大きく改善された。また、特定の乳酸菌またはこれらから選択された混合乳酸菌は、肝損傷の治療薬物として使用されるシリマリン(silymarin)よりも肝損傷の改善効果にさらに優れていた。これらの結果は、特定の乳酸菌またはこれらから選択された混合乳酸菌が、アルコールおよび高脂肪食により誘導される脂肪肝を改善したり、酸化的ストレスに起因する肝疾患の改善に有効であることを示唆している。
【0064】
(2)Tert−ブチルペルオキシド(Tert−butylperoxide)により肝損傷が誘発されたモデル動物実験を用いた乳酸菌の肝損傷改善効果の測定
(1)実験方法
マウス(C57BL/6、雄性)を各々6匹とする幾つかの群に分けた。正常群以外の群の実験動物にTert−ブチルペルオキシド(Tert−butylperoxide)を2.5mmol/kgの用量で腹腔内投与して肝損傷を誘発した。Tert−ブチルペルオキシド(Tert−butylperoxide)を腹腔内投与した後2時間後から、正常群および陰性対照群以外の群の実験動物に、乳酸菌を2×10
9CFUの量で1日に1回ずつ3日間経口投与した。また、陽性対照群の実験動物には、乳酸菌の代わりにシリマリン(silymarin)を100mg/kgの量で1日に1回ずつ3日間経口投与した。薬物の最後の投与から6時間後に心臓採血を行った。採取した血液を室温で60分間放置し、3000rpmで15分間遠心分離して血清を分離した。分離した血清のGPT(glutamic pyruvate transaminase)とGOT(glutamic oxalacetic transaminase)を血液分析キット(ALT&AST測定キット;アサンファーム社製、韓国)を用いて測定した。
【0065】
(2)実験結果
下記表7は、Tert−ブチルペルオキシド(Tert−butylperoxide)によって肝損傷が誘発されたモデル動物に乳酸菌を投与したときのGOT値およびGPT値の変化を示している。下記表7に示すように、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23、ラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)CH32およびビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57は、シリマリン(silymarin)よりも優れた肝損傷の改善効果を示し、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23の混合乳酸菌またはビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)CH32の混合乳酸菌は、肝損傷の改善効果にさらに優れていた。
【0066】
【表7】
【0067】
前記表7において、「CH23」はラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23を示し、「CH32」はラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)CH32を示し、「CH57」はビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57を示し、「CH57+CH23」はビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23を同量混合して製造した混合乳酸菌を示し、「CH57+CH32」はビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)CH32を同量混合して製造した混合乳酸菌を示す。
【0068】
4.乳酸菌のアレルギー改善効果の評価
(1)乳酸菌による脱顆粒抑制作用の測定
RBL−2H3細胞株(rat mast cell line、韓国細胞株銀行、Cat.No.22256)を、10%FBS(fetal bovine serum)とL−グルタミンを含むDMEM(Dulbecco’s modified Eagle’s medium、シグマ社、22256)を用い、加湿された(humidified)5%CO
2培養器内で、37℃で培養した。培養液に含まれている細胞をトリプシン−EDTA溶液を使用して浮遊させ、分離および回収して実験に使用した。回収されたRBL−2H3細胞を24−ウェルプレートに5×10
5cells/wellの量となるように分注した後、マウスモノクローナルIgE0.5μg/mlを入れて12時間インキュベーションすることにより感作させた(sensitized)。感作された細胞を0.5mlのシラガニアン緩衝液(siraganian buffer;119mM NaCl、5mM KCl、0.4mM MgCl
2、25mM PIPES、40mM NaOH、pH7.2)で洗浄した後、0.16mlのシラガニアン緩衝液(5.6mM ブドウ糖、1mM CaCl
2、0.1% BSAを添加)中で37℃、10分間インキュベートした。次に、細胞培養液に試験薬物である乳酸菌を1×10
4CFU/mlの濃度となるように添加するか、対照薬物であるDSCG(クロモグリク酸ナトリウム、disodium cromoglycate)0.04mlを添加し、20分後、0.02mlの抗原(DNP−BSA 1μg/ml)を用いて37℃で10分間細胞を活性化させた。その後、細胞培養液を2000rpmで10分間遠心分離して上澄み液を得た。得られた上澄み液0.025mlを96−ウェルプレートに移し、1mM p−NAG(0.1M クエン酸緩衝液中にp−ニトロフェニル−N−アセチル−β−D−グルコサミドを含む溶液、pH4.5)0.025mlをそれに加えた後、37℃で60分間反応させた。次に、0.2mlの0.1M Na
2CO
3/NaHCO
3を添加して反応を停止させ、405nmの吸光度をELISA分析装置で測定した。
【0069】
(2)乳酸菌による掻痒感抑制作用の測定
BALB/cマウスを各々5匹とする幾つかの群に分けた。正常群および対照群以外の実験群に試験薬物の乳酸菌を1×10
9CFUの量で1日に1回ずつ3日間経口投与するか、対照薬物であるDSCG(クロモグリク酸ナトリウム、disodium cromoglycate)またはアゼラスチン(Azelastine)を0.2mg/mouseの量で1回ずつ3日間経口投与した。薬物の最後の投与から1時間後、マウスを観察箱(24cm×22cm×24cm)に10分間放置して環境になじませてから、首の後ろ(頸部背面)の毛を除去した。次に、正常群のマウスには生理食塩水を注射し、他の実験群のマウスには29ゲージ針を用いて掻痒誘導剤(50μgのコンパウンド48/80;シグマ社、米国)を注射した。次に、各マウスを直ちに観察箱に隔離させた後、無人の条件下で8mmビデオカメラ(SV−K80、サムソン(Samsung))を用いて1時間録画し、掻痒行動を観察した。掻痒行動としては、後足による注射部位を引っ掻く行為が認められ、その以外の部分に対しては認められていない。
【0070】
(3)乳酸菌による血管透過性抑制作用の測定
掻痒誘発部位では、血管透過性が増加することが知られている。本実験は、様々な化合物によって誘発される血管透過性を、本発明に係る乳酸菌が効果的に抑制できるかどうかを調べるために行った。前の掻痒反応抑制活性の測定実験と同じ方法で、同じマウスに薬物を投与した。その後、正常群マウスの頸部背面部位に生理食塩水を皮下注射し、他の実験群のマウスの頸部背面部位に掻痒誘導剤(50μgのコンパウンド48/80;シグマ社、米国)を皮下注射した。その後、1%エバンスブルー(Evans blue)溶液(シグマ社、米国)0.2mlを尾静脈に投与し、1時間後にマウスを安楽死させた。その後、皮下注射部位の皮膚を切開して1N KOH 1mlに入れた後、37℃で一晩インキュベートした。翌日、インキュベートした皮膚組織を0.6Nリン酸−アセトン(5:13)混合溶液4mlを添加して混合した後、3000rpmで15分間遠心分離し、上澄み液を取り、620nmで吸光度を測定した。血管透過性の抑制率(%)は、次の式で計算した。
【0071】
抑制率(%)={1−[薬物および掻痒誘導剤処理した部位の吸光度−掻痒誘導剤処理していない部位の吸光度]/[掻痒誘導剤処理した部位の吸光度−掻痒誘導剤処理していない部位の吸光度]}×100
【0072】
(4)実験結果
乳酸菌の脱顆粒抑制率、掻痒感抑制率および血管透過性抑制率を測定した結果を下記表8に示す。下記表8において、「CH5」はラクトバシラス・クルヴァトゥス(Lactobacillus curvatus)CH5を示し、「CH11」はラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)CH11を示し、「CH15」はラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)CH15を示し、「CH23」はラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23を示し、「CH32」はラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)CH32を示し、「CH38」はビフィドバクテリウム・シュードカテニュラタム(Bifidobacterium pseudocatenulatum)CH38を示し、「CH57」はビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57を示し、「CH57+CH11」はビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)CH11を同量混合して製造した混合乳酸菌を示し、「CH57+CH23」はビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23を同量混合して製造した混合乳酸菌を示し、「CH57+CH32」はビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)CH32を同量混合して製造した混合乳酸菌を示す。
【0073】
表8に示すように、ラクトバシラス・クルヴァトゥス(Lactobacillus curvatus)CH5、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23、ラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)CH32およびビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57は、好塩基球(basophils)の脱顆粒を効果的に抑制し、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57は、掻痒感と血管透過性を非常に強く抑制した。また、これらの混合乳酸菌、特にビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23の混合乳酸菌またはビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)CH32の混合乳酸菌は、単独乳酸菌よりも、より高い脱顆粒抑制率、掻痒感抑制率および血管透過性抑制率を示した。従って、前記乳酸菌または混合乳酸菌は、アレルギーから誘発されるアトピー、喘息、咽喉炎、慢性皮膚炎などを非常に効果的に改善することができる。
【0074】
【表8】
【0075】
5.乳酸菌の抗炎症効果および腸漏れ抑制効果の評価(In Vitro)
(1)樹状細胞の単離および炎症マーカーの測定
C57BL/6マウス(雄、20−23g)の骨髄から、10%FBS、1%抗生物質(antibiotics)、1%グルタマックス(glutamax)、0.1%メルカプトエタノール(mercaptoethanol)を含有したRPMI 1640を用いて免疫細胞を単離した。単離した細胞をRBC lysis bufferで処理し、洗浄し、24−ウェルプレートの各ウェルに分注し、GM−CSFおよびIL−4を1:1000の割合で処理し、培養した。培養5日目に培地を新しい培地に交換し、8日目に細胞を回収し、樹状細胞として使用した。その後、24−ウェルプレートに樹状細胞を0.5×10
6cells/wellの密度で播種し、試験物質である乳酸菌と炎症反応誘導物質であるLPS(lipopolysaccharide)で2時間または24時間処理した後、上澄み液および細胞を回収した。得られた上澄み液を用いて、IL−10およびIL−12の発現量を免疫ブロット(immunoblotting)法で測定した。
【0076】
図4は、本発明で選別された乳酸菌がリポ多糖(lipopolysaccharide、LPS)により誘導された樹状細胞の炎症反応に及ぼす影響を示すグラフである。
図4において、左のグラフは、LPS(lipopolysaccharide)で処理していない細胞に乳酸菌が及ぼす影響を示すグラフであり、右のグラフは、LPS(lipopolysaccharide)で処理した細胞に乳酸菌が及ぼす影響を示すグラフである。また、
図4において、X軸の「Nor」は試験物質である乳酸菌および炎症反応の誘導物質であるLPS(lipopolysaccharide)で処理していない群を示し、「LPS」は炎症反応の誘導物質であるLPS(lipopolysaccharide)を処理した群を示し、「CH11」はラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)CH11処理群を示し、「CH15」はラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)CH15処理群を示し、「CH23」はラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23処理群を示し、「CH32」はラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)CH32処理群を示し、「CH38」はビフィドバクテリウム・シュードカテニュラタム(Bifidobacterium pseudocatenulatum)CH38処理群を示し、「CH57」はビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57処理群を示し、「CH57+CH11」はビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)CH11を同量混合して製造した混合乳酸菌の処理群を示し、「CH57+CH23」はビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23を同量混合して製造した混合乳酸菌の処理群を示し、「CH57+CH32」はビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)CH32を同量混合して製造した混合乳酸菌の処理群を示す。
【0077】
図4に示すように、ラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)CH11、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23およびラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)CH32は、骨髄から単離して分化させた樹状細胞のIL−10産生を誘導し、LPS(lipopolysaccharide)により誘導されたIL−12の産生を効果的に抑制し、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57との併用により、その効果は増加した。特に、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23の混合乳酸菌は、炎症反応の抑制効果が最も優れていた。樹状細胞を制御すると、Treg細胞(regulatory T cell、制御性T細胞)を効率的に制御することができる。このため、本発明で選別した乳酸菌は、大腸炎などの慢性炎症性疾患、関節リウマチのような自己免疫疾患などを効果的に改善させることができる。
【0078】
(2)マクロファージの単離および炎症マーカーの測定
6週齢C57BL/6J雄マウス(20〜23g)をラオンバイオ(株)(Raon Bio Co.,Ltd.)から購入した。各マウスの腹腔内に滅菌された4%チオグリコレート(thioglycolate)2mlを投与し、96時間経過後にマウスを麻酔し、そして、各マウス腹腔内にRPMI 1640培地8mlを投与した。5〜10分過ぎた後にマウスの腹腔内のRPMI培地(マクロファージを含む)を取り出し、1000rpmで10分間遠心分離してさらにRPMI 1640培地で2回洗浄した。24−ウェルプレートにマクロファージを0.5×10
6cells/wellの密度で播種し、試験物質である乳酸菌と炎症反応誘導物質であるLPS(lipopolysaccharide)で2時間または24時間処理した後、上澄み液および細胞を得た。得られた細胞をバッファー(Gibco社製)中でホモジナイズした。得られた上澄み液を用いて、TNF−α、IL−1βのようなサイトカインの発現量をELISAキットで測定した。また、得られた細胞を用いて、p65(NF−カッパB)、p−p65(phosphor−NF−カッパB)とβ−アクチンの発現量を免疫ブロット(immunoblotting)法で測定した。具体的には、上澄み液50μgを取ってSDS10%(w/v)ポリアクリルアミドゲル(polyacrylamide gel)で1時間30分電気泳動を行った。電気泳動したサンプルをニトロセルロース膜に100V、400mAの条件下で1時間10分転写(transfer)させた。サンプルが転写されたニトロセルロース膜を5%スキムミルク(skim milk)で30分間ブロッキング(blocking)した後、PBS−Tweenで5分間ずつ3回にわたって洗浄し、1:100希釈の1次抗体(antibody)(サンタ・クルーズ バイオテクノロジ社(Santa Cruz Biotechnology)、米国)と共に一晩インキュベートした。その後、膜を10分ずつ3回にわたって洗浄し、1:1000希釈の2次抗体(サンタ・クルーズ バイオテクノロジ社、米国)と共に1時間20分インキュベートした。その後、膜を15分間ずつ3回にわたって洗浄し、蛍光によって現像し、可視化した。
【0079】
図5は、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57がLPS(lipopolysaccharide)により誘導されたマクロファージの炎症反応に及ぼす影響を示すグラフである。
図5に示すように、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57は、LPS(lipopolysaccharide)により誘導された炎症反応を効果的に抑制した。
【0080】
(3)脾臓からのT細胞の単離とTh17細胞またはTreg細胞への分化の測定
C56BL/6Jマウスから脾臓を切り離し、適当に粉砕し、10%FCS含有RPMI 1640培地に懸濁し、CD4T細胞単離キット(CD4T cell isolation kit)(ミルテニーバイオテク社(MiltenyiBiotec)、ベルギッシュ・グラートバッハ(Bergisch Gladbach)、ドイツ)を用いてそこからCD4T細胞を単離した。単離したCD4T細胞を12−ウェルプレートに5×10
5cells/wellの密度で播種し、ここに抗CD3(1μg/ml、ミルテニーバイオテク社、ベルギッシュ・グラートバッハ、ドイツ)および抗CD28(1μg/ml、ミルテニーバイオテク社、ベルギッシュ・グラートバッハ、ドイツ)を添加するか、または、抗CD3(1μg/ml、ミルテニーバイオテク社、ベルギッシュ・グラートバッハ、ドイツ)、抗CD28(1μg/ml、ミルテニーバイオテク社、ベルギッシュ・グラートバッハ、ドイツ)、組換え(recombinant)IL−6(20ng/ml、ミルテニーバイオテク社、ベルギッシュ・グラートバッハ、ドイツ)および組換えトランスフォーミング増殖因子β(recombinant transforming growth factor beta)(1ng/ml、ミルテニーバイオテク社、ベルギッシュ・グラートバッハ、ドイツ)を添加した。細胞を培養しながら乳酸菌を1×10
3CFUまたは1×10
5CFU添加し、4日間培養した。その後、培養液の細胞を抗FoxP3抗体または抗IL−17A抗体で染色し、FACS(Fluorescence−activated cell sorting)装置(C6 Flow Cytometer(登録商標) System、サンノゼ、カリフォルニア州、米国(San Jose、CA、米国))を用いてTh17細胞およびTreg細胞の分布を分析した。
【0081】
図6は、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23が脾臓から単離されたT細胞のTh17細胞またはTreg細胞への分化に及ぼす影響をFACS(Fluorescence−activated cell sorting)装置で分析した結果である。
図6に示すように、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23は、T細胞のTh17細胞(T helper 17 cell)への分化を抑制し、Treg細胞への分化を促進した。これらの結果は、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23が大腸炎、関節炎などの炎症性疾患を効果的に改善できることを示唆している。
【0082】
(4)Caco2細胞のZO−1タンパク質の発現に対する乳酸菌の影響の測定
韓国細胞株銀行から分譲されたCaco2細胞をRPMI 1640培地で48時間培養した後、培養したCaco2細胞を12−ウェルプレートに2×10
6cells/wellの密度で分注した。その後、各ウェルにLPS(lipopolysaccharide)1μgを単独で処理するか、LPS(lipopolysaccharide)1μgと1×10
3CFUまたは1×10
5CFUの乳酸菌との組合せで処理した後、24時間インキュベートした。その後、各ウェルから培養された細胞を採取し、免疫ブロット(immunoblotting)法で密着結合タンパク質(tight junction protein)ZO−1の発現量を測定した。
【0083】
図7は、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57またはこれらの混合乳酸菌が、Caco2細胞のZO−1タンパク質の発現に及ぼす影響を分析した結果である。
図7において、「CH23」はラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23を示し、「CH57」はビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57を示し、「mix」(ミックス)はビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)CH32を同量混合して製造した混合乳酸菌を示す。
図7に示すように、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23およびビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57で処理すると、密着結合タンパク質(tight junction protein)ZO−1の発現が増加し、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)CH32の混合乳酸菌で処理すると、密着結合タンパク質(tight junction protein)ZO−1の発現が相乗的に増加した。密着結合タンパク質の発現が増加すると、有害物質が生体内に取り入られることを遮断することができ、それによって大腸炎、関節炎、肝損傷の悪化を防ぐことができる。
【0084】
6.乳酸菌の抗炎症および大腸炎改善効果の評価(In Vivo)
(1)実験動物
5週齢C57BL/6雄マウス(24〜27g)をオリエントバイオ(株)(Orient Bio Inc.)から購入し、制御された環境条件下(湿度50±10%、温度25±2℃、照明を12時間付けた後12時間消すことを繰り返す)で飼育した後に実験に使用した。飼料は、標準実験用飼料(サムヤン(Samyang)、韓国)を使用し、飲用水は自由に摂取させた。全ての実験で一群は6匹とした。
【0085】
(2)TNBSによる大腸炎誘発およびサンプル投与
実験動物のうち一群を正常群とし、残りの群の実験動物に対しては、2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸(2,4,6−trinitrobenzenesulfonic acid、TNBS)で急性大腸炎を誘発した。具体的には、実験動物をエーテルで軽く麻酔した後、TNBS(2,4,6−Trinitrobenzene sulfonic acid)2.5gと50%エタノール100mlとの混合溶液を先端の丸い1ml容量の注射器を用いて肛門を通して大腸内に0.1mlずつ投与し、垂直に持ち上げて30秒間維持し、それによって炎症を誘発した。一方、正常群には、生理食塩水0.1mlを経口投与した。その翌日から1日1回3日間試験試料である乳酸菌または混合乳酸菌を生理食塩水に懸濁して2.0×10
9CFUの量で経口投与した。試料の投与が終了した翌日に実験動物を二酸化炭素で窒息死させ、盲腸から肛門直前の大腸部分を摘出して使用した。一方、正常群の実験動物には、乳酸菌の代わりに生理食塩水のみを経口投与した。また、陰性対照群の実験動物には、TNBSによる大腸炎誘発後、乳酸菌の代わりに生理食塩水のみを経口投与した。さらに、陽性対照群の実験動物には、乳酸菌の代わりに大腸炎の治療薬であるスルファサラジン(sulfasalazine)を50mg/kgの量で経口投与した。
【0086】
(3)大腸の巨視的分析
摘出した大腸の長さと外観を観察し、外観を下記表9に示す基準(Hollenbachなど、2005、大腸炎の判定基準)に基づいて採点することによって分析した。大腸内容物を全て除去した後、大腸組織を生理食塩水で洗浄した。洗浄した大腸組織の一部を病理組織サンプルとして使用するために4%ホルムアルデヒド溶液で固定し、残りは分子生物学的分析のために−80℃で凍結保存した。
【0087】
【表9】
【0088】
(4)ミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase、MPO)活性の測定
大腸組織100mgを、0.5%ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(hexadecyl trimethyl ammonium bromide)を含む10mMリン酸カリウム緩衝液(potassium phosphate buffer)(pH7.0)200μl中でホモジナイズした。ホモジナイズした組織を10000×g、4℃で10分間遠心分離して上澄み液を得た。上澄み液50μlを0.95mlの反応液(1.6mM テトラメチルベンジジン(tetramethyl benzidine)と0.1mM H
2O
2を含む)に添加した後、37℃で反応させ、反応中の様々な時点で650nmの吸光度を測定した。ミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase、MPO)活性を算出するため、反応により生成されたペルオキシド(peroxide)1μmol/mlを1ユニット(unit)として使用した。
【0089】
(5)炎症マーカーの測定
ウェスタンブロッティング法を用いてp−p65、p65、iNOS、COX−2、β−アクチンなどの炎症マーカーを測定した。具体的には、ミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase、MPO)活性の測定実験と同様の方法で上澄み液を得た。上澄み液50μgを取ってSDS10%(w/v)ポリアクリルアミドゲル(polyacrylamide gel)で1時間30分電気泳動を行った。電気泳動したサンプルをニトロセルロース膜に100V、400mAの条件下で1時間10分転写(transfer)させた。サンプルが転写されたニトロセルロース膜を5%スキムミルク(skim milk)で30分間ブロッキング(blocking)した後、PBS−Tweenで5分間ずつ3回にわたって洗浄し、1:100希釈の1次抗体(サンタ・クルーズ バイオテクノロジ社、米国)と共に一晩インキュベートした。次に、膜を10分ずつ3回にわたって洗浄し、1:1000希釈の2次抗体(サンタ・クルーズ バイオテクノロジ社、米国)と共に1時間20分インキュベートした。次に、膜を15分間ずつ3回にわたって洗浄し、蛍光によって現像し、可視化した。
【0090】
また、ELISAキットを用いてTNF−α、IL−1βなどの炎症関連サイトカインを測定した。
【0091】
(6)実験結果
図8は、TNBSにより急性大腸炎が誘導されたモデル動物に対してビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57が及ぼす影響を、大腸の外観、ミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase、MPO)活性などで示すものであり、
図9は、TNBSにより急性大腸炎が誘導されたモデル動物に対してビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57が及ぼす影響を、大腸の組織学的写真で示すものであり、
図10は、TNBSにより急性大腸炎が誘導されたモデル動物に対してビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57が及ぼす影響を、炎症関連サイトカイン量などで示すものである。
図8乃至
図10において、「NOR」は、正常群を示し、「TNBS」は陰性対照群を示し、「CH57」はビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57投与群を示し、「SS50」はスルファサラジン(sulfasalazine)投与群を示す。
図8乃至
図10に示すように、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57は、TNBSにより急性大腸炎が誘導されたモデル動物の体重、大腸炎マーカー、大腸の長さ、ミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase、MPO)活性などの観点から、大腸炎を効果的に改善することが確認され、スルファサラジンよりも改善効果がより優れていることが確認された。また、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57は、TNBSにより急性大腸炎が誘導されたモデル動物に対して、炎症性サイトカインの産生を抑制し、抗炎症性サイトカインであるIL−10の産生を増加させた。
【0092】
図11は、TNBSにより急性大腸炎が誘導されたモデル動物に対してラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23が及ぼす影響を、大腸の外観、ミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase、MPO)活性などで示すものであり、
図12は、TNBSによって急性大腸炎が誘導されたモデル動物に対してラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23が及ぼす影響を、大腸の組織学的写真で示すものであり、
図13は、TNBSにより急性大腸炎が誘導されたモデル動物に対してラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23が及ぼす影響を、T細胞の分化パターンで示すものであり、
図14は、TNBSにより急性大腸炎が誘導されたモデル動物に対してラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23が及ぼす影響を、炎症関連サイトカイン量などで示すものである。
図11乃至
図14において、「N」は、正常群を示し、「TNBS」は陰性対照群を示し、「CH23」はラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23投与群を示し、「SS」はスルファサラジン(sulfasalazine)投与群を示す。
図11乃至
図14に示すように、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23は、TNBSにより急性大腸炎が誘導されたモデル動物の体重、大腸炎マーカー、大腸の長さ、ミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase、MPO)活性などの観点から、大腸炎を効果的に改善することが確認され、スルファサラジンよりも改善効果がより優れていることが確認された。また、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23は、TNBSにより急性大腸炎が誘導されたモデル動物に対してT細胞のTh17細胞への分化を抑制し、Treg細胞への分化を誘導した。また、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23は、TNBSにより急性大腸炎が誘導されたモデル動物に対して炎症性サイトカインの産生を抑制し、抗炎症性サイトカインであるIL−10の産生を増加させた。
【0093】
図15は、TNBSにより急性大腸炎が誘導されたモデル動物に対してビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23の混合乳酸菌が及ぼす影響を、大腸の外観、ミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase 、MPO)活性などで示すものであり、
図16は、TNBSにより急性大腸炎が誘導されたモデル動物に対してビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23の混合乳酸菌が及ぼす影響を、組織学的写真で示すものであり、
図17は、TNBSにより急性大腸炎が誘導されたモデル動物に対してビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23の混合乳酸菌が及ぼす影響を、炎症関連サイトカイン量などで示すものである。
図15乃至
図17において、「NOR」は正常群を示し、「TNBS」は陰性対照群を示し、「BL」は、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23を同量混合して製造した混合乳酸菌の投与群を示し、「SS50」はスルファサラジン(sulfasalazine)投与群を示す。
図15乃至
図17に示すように、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23の混合乳酸菌は、TNBSにより急性大腸炎が誘導されたモデル動物の減少した体重、増加した大腸炎マーカー、短くなった大腸の長さ、増加したミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase、MPO)活性を大幅に改善し、スルファサラジンよりも大腸炎の改善効果がはるかに優れていることが確認された。また、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23の混合乳酸菌は、TNBSにより急性大腸炎が誘導されたモデル動物に対して炎症性サイトカインの産生を大幅に抑制し、抗炎症性サイトカインであるIL−10の産生を劇的に増加させた。
【0094】
7.乳酸菌の肥満改善および抗炎症効果の評価(in vivo)
(1)実験方法
合計24匹のC57BL6/Jマウスをラオンバイオ(株)から購入し、温度20±2℃、湿度50±10%、照明を12時間付けた後12時間消すことを繰り返すサイクルの条件下でチャウダイエット(chow diet)(Purina)で1週間順応させた。次に、実験動物を8匹ずつ3つの群(LFD、HFD、HFD+BL)に分けて、LFD群には4週間正常食餌(LFD、脂肪由来のカロリー10%;Research、NJ、米国)を与え、HFD群およびHFD+BL群には4週間高脂肪食餌(HFD、脂肪由来のカロリー60%;Research、NJ、米国)を与えた。次に、LFD群には、4週間、正常食餌を与えると共にPBSを経口投与した。また、HFD群には、4週間高脂肪食餌を与えると共にPBSを経口投与した。また、HFD+BL群には、4週間高脂肪食餌を与えると共に2×10
9CFUの混合乳酸菌PBS懸濁液を経口投与した。混合乳酸菌は、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23を同量混合して製造したものである。
【0095】
(2)混合乳酸菌の抗肥満効果および抗炎症効果の分析
混合乳酸菌の抗肥満効果は、体重の変化を通じて分析した。また、混合乳酸菌の抗炎症効果は、TNBSにより急性大腸炎が誘導されたモデル動物実験で測定した方法と同じ方法を用いて分析した。
【0096】
(3)実験結果
図18は、肥満誘導モデル動物に対してビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23の混合乳酸菌が及ぼす影響を、体重変化量などで示すものであり、
図19は、肥満誘導モデル動物に対してビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23の混合乳酸菌が及ぼす影響を、大腸の外観、ミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase、MPO)活性、大腸の組織学的写真などで示すものであり、
図20は、肥満誘導モデル動物に対してビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23の混合乳酸菌が及ぼす影響を、炎症関連サイトカイン量などで示すものであり、
図21は、肥満誘導モデル動物に対してビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23の混合乳酸菌が及ぼす影響を、炎症反応マーカーなどで示すものである。
図18乃至
図21に示すように、高脂肪食餌による肥満が誘導されたモデル動物の増加した体重、増加した大腸炎マーカー量、増加したミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase、MPO)活性を大幅に減少させ、大腸炎の発生を抑制した。また、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23の混合乳酸菌は、高脂肪食餌によって肥満が誘導されたモデル動物に対して炎症性サイトカインの産生を大幅に抑制し、抗炎症性サイトカインであるIL−10の産生を増加させた。
【0097】
II.乳酸菌選別および効能確認のための第2次実験
1.乳酸菌の単離および同定
(1)キムチからの乳酸菌の単離
白菜キムチ、大根キムチおよびネギキムチをそれぞれ破砕し、破砕液をMRS液体培地(MRS Broth;Difco、米国)に懸濁した。次に、上澄み液を取ってMRS寒天培地(MRS agar medium;Difco、米国)に移植し、37℃で約48時間嫌気的に培養した後、コロニー(colony)を形成したビフィドバクテリウム・ロンガム菌株を形状に従って単離した。
【0098】
(2)ヒト糞便からの乳酸菌の単離
ヒトの糞便をGAM液体培地(GAM broth;日水製薬株式会社、日本)に懸濁した。次に、上澄み液を取ってBL寒天培地(BL agar medium;日水製薬株式会社、日本)に移植し、37℃で約48時間嫌気的に培養した後、コロニー(colony)を形成したビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium sp.)菌株を単離した。
【0099】
(3)選別した乳酸菌の同定
キムチまたはヒトの糞便から単離した菌株のグラム染色特性、生理学的特性および16S rDNA配列を分析して菌株の種を確定し、菌株名を付与した。下記表10は、白菜キムチ、大根キムチおよびネギキムチから単離された乳酸菌の管理番号および菌株名を示し、下記表11は、糞便から単離された乳酸菌の管理番号および菌株名を示す。
【0100】
【表10】
【0101】
【表11】
【0102】
表10に示すラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC5は、グラム染色に陽性を示す嫌気性桿菌であり、その16S rDNAは配列番号4の塩基配列を有することが確認された。ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC5の16S rDNA塩基配列をGenebank(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)のBLAST検索で同定した結果、同一の16S rDNA塩基配列を有するラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)菌株は検出されず、ラクトバチルス・プランタルム菌株(Lactobacillus plantarum strain)KF9の16S rDNA配列と99%の相同性を示した。また、表10に示すラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC27は、グラム染色に陽性を示す嫌気性桿菌であり、その16S rDNAは配列番号5の塩基配列を有することが確認された。ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC27の16S rDNA塩基配列をGenebank(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)のBLAST検索で同定した結果、同一の16S rDNA塩基配列を有するラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)菌株は検出されず、ラクトバチルス・プランタルム菌株(Lactobacillus plantarum)JL18の16S rDNA配列と99%の相同性を示した。また、表10に示すラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC28は、グラム染色に陽性を示す嫌気性桿菌であり、その16S rDNAは配列番号6の塩基配列を有することが確認された。ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC28の16S rDNA塩基配列をGenebank(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)のBLAST検索で同定した結果、同一の16S rDNA塩基配列を有するラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)菌株は検出されず、ラクトバチルス・プランタルム菌株(Lactobacillus plantarum)USIM01の16S rDNA配列と99%の相同性を示した。
【0103】
表11に示すビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67は、グラム染色に陽性を示す嫌気性桿菌であり、その16S rDNAは配列番号7の塩基配列を有することが確認された。ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67の16S rDNA塩基配列をGenebank(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)のBLAST検索で同定した結果、同一の16S rDNA塩基配列を有するビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)菌株は検出されず、ビフィドバクテリウム・ロンガム菌株(Bifidobacterium longum)CBT−6の16S rDNA配列と99%の相同性を示した。また、表11に示すビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC68はグラム染色に陽性を示す嫌気性桿菌であり、その16S rDNAは、配列番号8の塩基配列を有することが確認された。ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC68の16S rDNA塩基配列をGenebank(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)のBLAST検索で同定した結果、同一の16S rDNA塩基配列を有するビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)菌株は検出されず、ビフィドバクテリウム・ロンガム菌株(Bifidobacterium longum)IMAUFB067の16S rDNA配列と99%の相同性を示した。
【0104】
また、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC5、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC27、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67およびビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC68の生理学的特性のうち、炭素源利用性をAPI Kit(モデル名:API50CHL;製造社:BioMerieux’s、米国)による糖発酵試験で分析した。下記表12は、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC5およびラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC27の炭素源利用性の結果を示すものであり、下記表13は、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67およびビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC68の炭素源利用性の結果を示すものである。下記の表12および表13において、「+」は炭素源利用性が陽性である場合を示し、「−」は炭素源利用性が陰性である場合を示し、「±」は炭素源利用性の可否が曖昧な場合を示す。下記の表12および表13に示すように、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC5、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC27、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67およびビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC68は、一部炭素源に対して同種の公知菌株と異なる炭素源利用性を示した。
【0105】
【表12】
【0106】
【表13】
【0107】
(4)乳酸菌の寄託情報
本発明の発明者らは、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC5を2016年1月11日に国際寄託機関である韓国微生物保存センター(住所:大韓民国、ソウル西大門区 弘済内2街ギル45ユリムビル)に寄託してKCCM11800Pの受託番号を与えられた。また、本発明の発明者らは、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC27を2016年1月11日に国際寄託機関である韓国微生物保存センター(住所:大韓民国、ソウル西大門区 弘済内2街ギル45ユリムビル)に寄託してKCCM11801Pの受託番号を与えられた。また、本発明の発明者らは、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67を2016年1月11日に国際寄託機関である韓国微生物保存センター(住所:大韓民国、ソウル西大門区 弘済内2街ギル45ユリムビル)に寄託してKCCM11802Pの受託番号を与えられた。
【0108】
2.乳酸菌の腸損傷または腸漏れ改善効果の評価
キムチまたはヒトの糞便から単離した乳酸菌の腸損傷または腸漏れ改善効果を評価するために、乳酸菌の抗酸化活性、リポ多糖類(lipopolysaccharide、LPS)生成抑制活性、腸内有害酵素であるβ−グルクロニダーゼ(β−glucuronidase)阻害活性および密着結合タンパク質(tight junction protein)発現誘導活性を測定した。
【0109】
(1)実験方法
*抗酸化活性
DPPH(2,2−Diphenyl−1−picrylhydrazyl)をエタノールに0.2mMの濃度となるように溶解させてDPPH溶液を製造した。前記DPPH溶液0.1mlに乳酸菌懸濁液(1×10
8CFU/ml)またはビタミンC溶液(1g/ml)を加え、20分間37℃で培養した。培養液を3000rpmで5分間遠心分離して上澄み液を得た。その後、517nmで上澄み液の吸光度を測定し、乳酸菌の抗酸化活性を計算した。
【0110】
*リポ多糖類(lipopolysaccharide、LPS)生成抑制活性
ヒトの新鮮な糞便0.1gを0.9mlの滅菌生理食塩水に懸濁し、一般嫌気性培地で100倍に希釈して糞便懸濁液を製造した。滅菌一般嫌気性培地(日水製薬株式会社、日本)9.8mlに前記糞便懸濁液0.1mlおよび乳酸菌(1×10
4または1×10
5CFU)0.1mlを加え、24時間嫌気的に培養した。その後、培養液を約1時間超音波で処理して菌の細胞外膜を破壊し、5000×gの条件で遠心分離して上澄み液を得た。その後、上澄み液に存在する代表的な内毒素であるLPS(lipopolysaccharide)の含有量をLAL(Limulus Amoebocyte Lysate)assay kit(製造社:Cape Cod Inc.、米国)で測定した。また、乳酸菌の大腸菌増殖抑制活性を評価するために、上記と同じ実験により得られた培養液を1000倍および100000倍に希釈し、DHL培地で培養した後、大腸菌数を測定した。
【0111】
*β−グルクロニダーゼ(β−glucuronidase)阻害活性
0.1mMの濃度のp−ニトロフェニル−β−D−グルクロニド(p−nitrophenyl−β−D−glucuronide)溶液0.1ml、50mMの濃度のリン酸緩衝生理食塩水0.2mlおよび乳酸菌懸濁液(乳酸菌培養液5mlを集菌した後、生理食塩水5mlに懸濁して製造した)0.1mlを反応器に入れ、15分間β−グルクロニダーゼ(β−glucuronidase)酵素反応を行い、0.1mMの濃度のNaOH溶液0.5mlを加えて反応を停止させた。その後、反応液を3000rpmで5分間遠心分離して、上澄み液を得た。その後、405nmで上澄み液の吸光度を測定した。
【0112】
*密着結合タンパク質(tight junction protein)発現誘導活性
韓国細胞株銀行から分譲されたCaco2細胞をRPMI 1640培地で48時間培養した後、Caco2細胞培養液を12−ウェルプレートの各ウェルに2×10
6cells/wellの量となるように分注した。その後、各ウェルを1μgのLPS(lipopolysaccharide)または1μgのLPS(lipopolysaccharide)と1×10
3CFUの乳酸菌との組合せで処理した後、24時間培養した。その後、各ウェルから培養された細胞を掻き集め、免疫ブロット(immunoblotting)法で密着結合タンパク質(tight junction protein)ZO−1の発現量を測定した。
【0113】
(2)実験結果
キムチまたはヒトの糞便から単離した乳酸菌の抗酸化活性、リポ多糖類(lipopolysaccharide、LPS)生成抑制活性、β−グルクロニダーゼ(β−glucuronidase)阻害活性および密着結合タンパク質(tight junction protein)発現誘導活性を測定し、その結果を下記の表14乃至表16に示した。下記の表14乃至表16に示すように、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC5、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC15、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC17、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC25、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC27、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC28、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC55、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC65、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67およびビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC68乳酸菌は、抗酸化活性に優れており、リポ多糖類(lipopolysaccharide、LPS)の生成およびβ−グルクロニダーゼ(β−glucuronidase)活性を強く阻害し、密着結合タンパク質(tight junction protein)の発現を強く誘導した。特に、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67は、密着結合タンパク質(tight junction protein)発現誘導活性が最も優れていた。これらの乳酸菌は、優れた抗酸化効果を有し、炎症および発がんと関連している腸内細菌叢の有害菌の酵素活性抑制効果に優れており、腸内細菌叢の有害菌が産生する内毒素であるLPS(lipopolysaccharide)の生成を抑制するだけでなく、密着結合タンパク質(tight junction protein)の発現を誘導する。従って、これらの乳酸菌は、腸漏れ症候群(Intestinal permeability syndrome)を改善させることができる。
【0114】
【表14】
【0115】
【表15】
【0116】
【表16】
【0117】
*抗酸化活性測定時の乳酸菌の最終濃度:1×10
4CFU/ml;β−グルクロニダーゼ阻害活性およびリポ多糖類(lipopolysaccharide、LPS)生成抑制活性測定時の乳酸菌の添加濃度:1×10
4CFU/ml;密着結合タンパク質(tight junction protein)発現誘導活性測定時の乳酸菌濃度:1×10
4CFU/ml
【0118】
*乳酸菌の様々な活性測定時の基準:very strongly(+++;>90%);strongly(++;>60〜90%);weakly(+;>20〜60%);not or less than 20%(−;<20%)
【0119】
3.乳酸菌の肝損傷の改善効果の評価
乳酸菌の腸損傷または腸漏れ改善効果の評価に基づき、以下の10個の菌株:ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC5、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC15、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC17、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC25、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC27、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC28、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC55、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC65、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67およびビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC68を選別した。肝損傷の改善に対するこれらの選別された乳酸菌の菌株またはこれらの菌株の混合乳酸菌のそれぞれの効果を、Tert−ブチルペルオキシド(Tert−butylperoxide)により肝損傷が誘発されたモデル動物を用いて評価した。
【0120】
(1)実験方法
マウス(C57BL/6、雄性)を各々6匹とする幾つかの群に分けた。正常群以外の群の実験動物にTert−ブチルペルオキシド(Tert−butylperoxide)を2.5mmol/kgの用量で腹腔内投与して肝損傷を誘発した。Tert−ブチルペルオキシド(Tert−butylperoxide)を腹腔内投与した後2時間後から、正常群および陰性対照群以外の群の実験動物に、乳酸菌を2×10
9CFUの量で1日に1回ずつ3日間経口投与した。また、陽性対照群の実験動物には、乳酸菌の代わりにシリマリン(silymarin)を100mg/kgの量で1日に1回ずつ3日間経口投与した。薬物の最後の投与から6時間後に心臓採血を行った。採取した血液を室温で60分間放置し、3000rpmで15分間遠心分離して血清を分離した。分離した血清のGPT(glutamic pyruvate transaminase)とGOT(glutamic oxalacetic transaminase)を血液分析キット(ALT&AST測定キット;アサンファーム社製、韓国)を用いて測定した。また、各実験動物から摘出した肝臓組織1gを生理食塩水に入れてホモジナイザーを用いてホモジナイズした後、上澄み液をELISAキットで分析してTNF−αの量を測定した。
【0121】
(2)実験結果
下記表17は、Tert−ブチルペルオキシド(Tert−butylperoxide)によって肝損傷が誘発されたモデル動物に乳酸菌を投与したときのGOT値、GPT値、TNF−α値の変化を示している。下記表17に示すように、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC5、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC27、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC28、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67およびビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC68は、シリマリン(silymarin)よりも優れた肝損傷の改善効果を示し、これらの混合乳酸菌は、肝損傷の改善効果にさらに優れていた。
【0122】
【表17】
【0123】
前記表17において、「LC5」はラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC5を示し、「LC15」はラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC15を示し、「LC17」はラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC17を示し、「LC25」はラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC25を示し、「LC27」はラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC27を示し、「LC28」はラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC28を示し、「LC55」はビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC55を示し、「LC65」はビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC65を示し、「LC67」はビフィドバクテリウム・ロンガム( Bifidobacterium longum)LC67を示し、「LC68」はビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC68を示し、「LC5+LC67」はラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC5とビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67を同量混合して製造した混合乳酸菌を示し、「LC5+LC68」はラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC5とビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC68を同量混合して製造した混合乳酸菌を示し、「LC27+LC67」はラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC27とビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67を同量混合して製造した混合乳酸菌を示し、「LC27+LC68」はラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC27とビフィドバクテリウム・ロンガム( Bifidobacterium longum)LC68を同量混合して製造した混合乳酸菌を示し、「LC28+LC67」はラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC28とビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67を同量混合して製造した混合乳酸菌を示す。以下の実験結果を示した表では、単独乳酸菌または混合乳酸菌については同じ記号を使用した。
【0124】
4.乳酸菌のアレルギー改善効果の評価
(1)乳酸菌による脱顆粒抑制作用の測定
RBL−2H3細胞株(rat mast cell line、韓国細胞株銀行、Cat.No.22256)を、10%FBS(fetal bovine serum)とL−グルタミンを含むDMEM(Dulbecco’s modified Eagle’s medium、シグマ社、22256)を用いて37℃、加湿化された(humidified)5%CO
2培養器で培養した。培養液に含まれている細胞をトリプシン−EDTA溶液を使用して浮遊させ、浮遊させた細胞を単離し、採取して実験に使用した。採取したRBL−2H3細胞を24−ウェルプレートに5×10
5Cells/wellの密度で分注した後、マウスモノクローナルIgE0.5μg/mlと12時間インキュベートし、感作(sensitization)を行った。感作させた細胞を0.5mlのシラガニアン緩衝液(siraganian buffer;119mM NaCl、5mM KCl、0.4mM MgCl
2、25mM PIPES、40mM NaOH、pH7.2)で洗浄した後、再び0.16mlのシラガニアン緩衝液(5.6mM ブドウ糖、1mM CaCl
2、0.1% BSAを添加)で37℃、10分間インキュベートした。次に、細胞培養液に試験薬物である乳酸菌を1×10
4CFU/mlの濃度で添加するか、対照薬物であるDSCG(クロモグリク酸ナトリウム、disodium cromoglycate)0.04mlを添加し、20分経過時に0.02mlの抗原(DNP−BSA1μg/ml)を用いて37℃で10分間細胞を活性化させた。その後、細胞培養液を2000rpmで10分間遠心分離して上澄み液を得た。得られた上澄み液0.025mlを96ウェルプレートに移し、1mM p−NAG(0.1Mクエン酸緩衝液中にp−ニトロフェニル−N−アセチル−β−D−グルコサミニドを含む溶液、pH4.5)0.025mlをそこに加えた後、その混合物を37℃で60分間反応させた。次に、0.1M Na
2CO
3/NaHCO
30.2mlをその反応液に添加して反応を停止させ、405nmの吸光度をELISA分析で測定した。
【0125】
(2)実験結果
下記表18は、乳酸菌による脱顆粒抑制率を測定した結果を示している。表18に示すように、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC5、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC27、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC28、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC68およびこれらの混合乳酸菌は、好塩基球の脱顆粒を効果的に抑制した。したがって、これらの乳酸菌または混合乳酸菌は、アレルギー性のアトピー、喘息、咽喉炎、慢性皮膚炎などを非常に効果的に改善することができる。
【0126】
【表18】
【0127】
5.乳酸菌の抗炎症および免疫調節効果の評価(in vitro)
(1)マクロファージの単離および炎症マーカーの測定
6週齢C57BL/6J雄マウス(20〜23g)をラオンバイオ(株)から購入した。各マウスの腹腔内に滅菌された4%チオグリコレート(thioglycolate)2mlを投与し、96時間経過後にマウスを麻酔し、各マウスの腹腔内にRPMI 1640培地8mlを投与した。5〜10分後、マウス腹腔内のRPMI培地(マクロファージを含む)を取り出し、1000rpmで10分間遠心分離し、RPMI 1640培地で2回洗浄した。24−ウェルプレートにマクロファージを0.5×10
6cells/wellの密度で播種し、試験物質である乳酸菌と炎症反応誘導物質であるLPS(lipopolysaccharide)で2時間または24時間処理した後、上澄み液と細胞を得た。この場合、細胞の処理のために乳酸菌を1×10
4CFU/mlの濃度で使用した。得られた細胞をバッファー(ギブコ社製)中でホモジナイズした。得られた上澄み液を用いて、TNF−αなどのサイトカインの発現量をELISAキットで測定した。また、得られた細胞を用いて、p65(NF−カッパB)、p−p65(phosphor−NF−カッパB)とβ−アクチンの発現量を免疫ブロット(immunoblotting)法で測定した。具体的には、上澄み液50μgを取ってSDS10%(w/v)ポリアクリルアミドゲル(polyacrylamide gel)で1時間30分電気泳動を行った。電気泳動したサンプルをニトロセルロース膜に100V、400mAの条件下で1時間10分転写(transfer)させた。サンプルが転写されたニトロセルロース膜を5%スキムミルク(skim milk)で30分間ブロッキング(blocking)した後、PBS−Tweenで5分間ずつ3回にわたって洗浄し、1:100希釈の1次抗体(サンタ・クルーズ バイオテクノロジ社、米国)と共に一晩インキュベートした。その後、膜を10分ずつ3回にわたって洗浄し、1:1000希釈の2次抗体(サンタ・クルーズ バイオテクノロジ社、米国)と共に1時間20分インキュベートした。その後、膜を15分間ずつ3回にわたって洗浄し、蛍光によって現像し、可視化した。現像したバンドの強度(Intensity)を測定し、抑制率を下記の式で計算した。下記式において、正常群はマクロファージが生理食塩水のみで処理された群を示し、LPS処理群はマクロファージがLPSのみで処理された群を示し、乳酸菌処理群はマクロファージが乳酸菌とLPSの両方で処理された群を示す。
【0128】
抑制率(%)={(LPS処理群の発現量−乳酸菌処理群の発現量)/(LPS処理群の発現量−正常群の発現量)}×100
【0129】
下記表19は、LPS(lipopolysaccharide)により炎症反応が誘導されたマクロファージを乳酸菌で処理したときのNF−カッパB活性化抑制率とTNF−α発現抑制率を示している。下記の表19に示すように、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC5、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC27、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC28、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC68およびこれらの混合乳酸菌は、LPS(lipopolysaccharide)により誘導された炎症反応を効果的に抑制した。
【0130】
【表19】
【0131】
(2)脾臓からのT細胞の単離とTh17細胞またはTreg細胞への分化の測定
C56BL/6Jマウスから脾臓を切り離し、適当に粉砕し、10%FCS含有RPMI 1640培地に懸濁し、CD4T細胞単離キット(CD4T cell isolation kit;ミルテニーバイオテク社、ベルギッシュ・グラートバッハ、ドイツ)を用いてそこからCD4T細胞を単離した。単離したCD4T細胞を12−ウェルプレートに5×10
5cells/wellの密度で播種し、ここに抗CD3(1μg/ml、ミルテニーバイオテク社、ベルギッシュ・グラートバッハ、ドイツ)および抗CD28(1μg/ml、ミルテニーバイオテク社、ベルギッシュ・グラートバッハ、ドイツ)を添加するか、抗CD3(1μg/ml、ミルテニーバイオテク社、ベルギッシュ・グラートバッハ、ドイツ)、抗CD28(1μg/ml、ミルテニーバイオテク社、ベルギッシュ・グラートバッハ、ドイツ)、組換え(recombinant)IL−6(20ng/ml、ミルテニーバイオテク社、ベルギッシュ・グラートバッハ、ドイツ)および組換えトランスフォーミング増殖因子β(recombinant transforming growth factor beta)(1ng/ml、ミルテニーバイオテク社、ベルギッシュ・グラートバッハ、ドイツ)を添加した。細胞を培養しながら乳酸菌を1×10
3CFUまたは1×10
5CFU添加し、4日間培養した。その後、培養液の細胞を抗FoxP3抗体または抗IL−17A抗体で染色し、FACS(Fluorescence−activated cell sorting)装置(C6 Flow Cytometer(登録商標) System、サンノゼ、カリフォルニア州、米国)を用いてTh17細胞およびTreg細胞の分布を分析した。
【0132】
下記表20は、脾臓から単離されたT細胞を抗CD3、抗CD28、IL−6およびTGF−βで処理したときの、T細胞のTh17細胞への分化レベルを示すものであり、下記表21は、脾臓から単離されたT細胞を抗CD3および抗CD28で処理したときの、T細胞のTreg細胞への分化レベルを示すものである。下記の表20および表21に示すように、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC5、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC27、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC28、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC68およびこれらの混合乳酸菌は、T細胞のTh17細胞(T helper 17 cell)への分化を抑制し、Treg細胞への分化を促進した。これらの結果は、前記乳酸菌や混合乳酸菌は、大腸炎、関節炎などの炎症性疾患を効果的に改善できることを示唆している。
【0133】
【表20】
【0134】
【表21】
【0135】
6.乳酸菌の抗炎症および大腸炎改善効果の評価(in vivo)
(1)実験動物
5週齢C57BL/6雄マウス(24〜27g)をオリエントバイオ(株)から購入し、制御された環境条件下(湿度50±10%、温度25±2℃、照明を12時間付けた後12時間消すことを繰り返す)で飼育した後に実験に使用した。飼料は、標準実験用飼料(サムヤン、韓国)を使用し、飲用水は自由に摂取させた。全ての実験で一群は、6匹とした。
【0136】
(2)TNBSによる大腸炎誘発および試料投与
実験動物のうち一群を正常群とし、残りの群の実験動物に対しては、2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸(2,4,6−trinitrobenzenesulfonic acid、TNBS)で急性大腸炎を誘発した。具体的には、実験動物をエーテルで軽く麻酔した後、TNBS(2,4,6−Trinitrobenzene sulfonic acid)2.5gと50%エタノール100mlとの混合溶液を先端の丸い1ml容量の注射器を用いて肛門を通して大腸内に0.1mlずつ投与し、垂直に持ち上げて30秒間維持し、それによって炎症を誘発した。一方、正常群には、生理食塩水0.1mlを経口投与した。その翌日から1日1回3日間試験試料である乳酸菌または混合乳酸菌を生理食塩水に懸濁して2.0×10
9CFUの量で経口投与した。試料の投与が終了した翌日に実験動物を二酸化炭素で窒息死させ、盲腸から肛門直前の大腸部分を摘出して使用した。一方、正常群の実験動物には、乳酸菌の代わりに生理食塩水のみを経口投与した。また、陰性対照群の実験動物には、TNBSによる大腸炎誘発後、乳酸菌の代わりに生理食塩水のみを経口投与した。さらに、陽性対照群の実験動物には、乳酸菌の代わりに大腸炎の治療薬であるスルファサラジン(sulfasalazine)を50mg/kgの量で経口投与した。
【0137】
(3)大腸の巨視的分析
摘出した大腸の長さと外観を観察し、外観を下記表22に示す基準(Hollenbachなど、2005、大腸炎の判定基準)に基づいて採点することによって分析した。大腸内容物を全て除去した後、大腸組織を生理食塩水で洗浄した。洗浄した大腸組織の一部を病理組織用サンプルとして使用するために4%ホルムアルデヒド固定液で固定し、残りは分子生物学的分析のために−80℃で凍結保存した。
【0138】
【表22】
【0139】
(4)ミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase、MPO)活性の測定
大腸組織100mgを、0.5%ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(hexadecyl trimethyl ammonium bromide)を含有する10mMリン酸カリウム緩衝液(potassium phosphate buffer)(pH7.0)200μl中でホモジナイズした。ホモジナイズした組織を10000×g、4℃で10分間遠心分離して上澄み液を得た。上澄み液50μlを0.95mlの反応液(1.6mM テトラメチルベンジジン(tetramethyl benzidine)と0.1mM H
2O
2を含む)に入れた後、37℃で反応させ、反応中の様々な時点で650nmの吸光度を測定した。ミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase、MPO)活性を算出するため、反応により生成されたペルオキシド(peroxide)1μmol/mlを1ユニット(unit)として使用した。
【0140】
(5)炎症マーカーの測定
ウェスタンブロッティング法を用いてp−p65、p65、iNOS、COX−2、β−アクチンなどの炎症マーカーを測定した。具体的には、ミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase、MPO)活性の測定実験と同様の方法で上澄み液を得た。上澄み液50μgを取ってSDS10%(w/v)ポリアクリルアミドゲル(polyacrylamide gel)で1時間30分電気泳動を行った。電気泳動したサンプルをニトロセルロース膜に100V、400mAの条件下で1時間10分転写(transfer)させた。サンプルが転写されたニトロセルロース膜を5%スキムミルク(skim milk)で30分間ブロッキング(blocking)した後、PBS−Tweenで5分間ずつ3回にわたって洗浄し、1:100希釈の1次抗体(サンタ・クルーズ バイオテクノロジ社、米国)と共に一晩インキュベートした。次に、膜を10分ずつ3回にわたって洗浄し、1:1000希釈の2次抗体(サンタ・クルーズ バイオテクノロジ社、米国)と共に1時間20分インキュベートした。次に、膜を15分間ずつ3回にわたって洗浄し、蛍光によって現像し、可視化した。
【0141】
また、ELISAキットを用いてTNF−α、IL−1βなどの炎症関連サイトカインを測定した。
【0142】
(6)免疫調節マーカーの分析
摘出した大腸を2.5mM EDTA溶液で2回洗浄した。洗浄した大腸を1mg/mlコラゲナーゼタイプVIII(Sigma)を含有するRPMI培地中で30℃、20分間振って処理し、濾過して粘膜固有層(Lamina propria)を分離させた。次に、粘膜固有層(Lamina propria)を30〜100%パーコール液で処理し、遠心分離してT細胞を単離した。単離したT細胞を抗FoxP3または抗IL−17A抗体で染色し、FACS(Fluorescence−activated cell sorting)装置(C6 Flow Cytometer(登録商標) System、サンノゼ、カリフォルニア州、米国)を用いてTh17およびTregの分布を分析した。
【0143】
(7)実験結果
下記表23は、TNBSにより急性大腸炎が誘発されたモデル動物に乳酸菌を投与したとき、腸の重量、大腸の外観、ミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase、MPO)活性、炎症関連サイトカインの含有量に及ぼす乳酸菌の影響を示すものである。下記表23に示すように、TNBSにより急性大腸炎が誘発されたモデル動物は、体重の減少、大腸炎の外観点数(Macroscopic score;肉眼的スコア)の減少、大腸の長さの減少およびMPO活性の増加を示した。しかし、TNBSにより急性大腸炎が誘発されたモデル動物に乳酸菌を投与したところ、これらの指標はすべて改善された。特に、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67を単独で投与するか、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67とラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC5の混合乳酸菌を投与した場合、大腸炎の改善効果が非常に優れていた。また、TNBSにより急性大腸炎が誘導されたモデル動物は、TNF−α、IL−17の発現量が増加し、IL−10の発現量が減少した。しかし、TNBSにより急性大腸炎が誘導されたモデル動物に乳酸菌を投与したとき、これらの指標はすべて改善された。特に、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67を単独で投与するか、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacteriumlongum)LC67とラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC5の混合乳酸菌を投与した場合、TNF−α、IL−17の発現量が大幅に減少し、IL−10の発現量が大幅に増加した。
【0144】
【表23】
【0145】
図22は、TNBSにより急性大腸炎が誘発されたモデル動物に対して乳酸菌が及ぼす影響を、T細胞のTh17細胞への分化パターンで示すものであり、
図23は、TNBSにより急性大腸炎が誘発されたモデル動物に対して乳酸菌が及ぼす影響を、T細胞のTreg細胞への分化パターンで示すものである。
図22および
図23において、「NOR」は正常群を示し、「TNBS」は陰性対照群を示し、「LC5」はラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC5投与群を示し、「LC27」はラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC27投与群を示し、「LC67」はビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67投与群を示し、「LC68」はビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC68投与群を示し、「LC5+LC67」はラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC5とビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67を同量混合して製造した混合乳酸菌投与群を示し、「LC27+LC68」はラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC27とビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC68を同量混合して製造した混合乳酸菌投与群を示し、「SS」はスルファサラジン(sulfasalazine)投与群を示す。
図22および
図23に示すように、TNBSにより急性大腸炎が誘発されたモデル動物は、T細胞のTh17細胞への分化が促進され、T細胞のTreg細胞への分化が抑制された。しかし、TNBSにより急性大腸炎が誘発されたモデル動物に乳酸菌を投与したところ、T細胞のTh17細胞への分化が抑制され、T細胞のTreg細胞への分化が促進された。特に、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67を単独で投与するか、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67とラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC5の混合乳酸菌を投与した場合、T細胞のTh17細胞への分化が大きく抑制され、T細胞のTreg細胞への分化が大きく促進された。
【0146】
図24は、TNBSにより急性大腸炎が誘導されたモデル動物に対して乳酸菌が及ぼす影響を、炎症反応マーカーなどで示すものである。
図24において、「Nor」は正常群を示し、「T」は陰性対照群を示し、「LC5」はラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC5投与群を示し、「LC27」はラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC27投与群を示し、「LC67」はビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67投与群を示し、「LC68」はビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC68投与群を示し、「LC5+LC67」はラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC5とビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67を同量混合して製造した混合乳酸菌群投与群を示し、「LC27+LC68」はラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC27とビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC68を同量混合して製造した混合乳酸菌群投与群を示し、「SS」は、スルファサラジン(sulfasalazine)投与群を示す。
図24に示すように、TNBSにより急性大腸炎が誘導されたモデル動物の場合、NF−κBが活性化(p−p65)され、COX−2およびiNOSの発現量が増加した。しかし、乳酸菌投与によりNF−κBの活性化(p−p65)が抑制され、COX−2およびiNOSの発現量の増加も減少した。特に、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67を単独で投与するか、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67とラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC5の混合乳酸菌を投与すると、NF−κBの活性化(p−p65)の抑制とCOX−2およびiNOSの発現の抑制に優れた効果を示した。
【0147】
7.乳酸菌のアルコール誘導性胃潰瘍の改善効果の評価(in vivo)
(1)実験動物
5週齢C57BL/6雄マウス(24〜27g)をオリエントバイオ(株)から購入し、制御された環境条件下(湿度50±10%、温度25±2℃、照明を12時間付けた後12時間消すことを繰り返す)で飼育した後に実験に使用した。飼料は、標準実験用飼料(サムヤン、韓国)を使用し、飲用水は自由に摂取させた。全ての実験で一群は6匹とした。
【0148】
(2)アルコールによる胃潰瘍誘発および試料投与
1つの実験群に、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC27を生理食塩水に懸濁して1日1回、1×10
9CFUの量で3日間経口投与した。別の実験群に、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67を生理食塩水に懸濁して1日1回、1×10
9CFUの量で3日間経口投与した。さらに別の実験群に、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC27とビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67を同量混合して製造した混合乳酸菌を生理食塩水に懸濁して1日1回、1×10
9CFUの量で3日間経口投与した。また、陽性対照群には、市販の胃潰瘍治療剤であるラニチジン(Ranitidine)を1日1回、50mg/kgの量で3日間経口投与した。また、正常群および陰性対照群には、生理食塩水を1日1回、0.2mlの量で3日間経口投与した。試料を3日間経口投与した後、18時間実験マウスを絶食および絶水させた。実験4日目に試料または生理食塩水の投与1時間後に正常群を除いた全ての実験群のマウスに99%純エタノール0.2mlを経口投与して胃潰瘍を誘発させた。また、正常群には、エタノールの代わりに生理食塩水0.2mlを経口投与した。
【0149】
(3)胃損傷に関連した巨視的マーカーの測定
エタノールの投与から3時間経過後、実験マウスを屠殺し、胃組織を縦に切開し、PBS(phosphate buffer saline)溶液で洗浄した後、胃損傷の程度を視覚的にまたは顕微鏡的に観察し、損傷の程度に応じて点数を付けた(参考文献:Park,S.W.,Oh,T.Y.,Kim,Y.S.,Sim,H.,et al.,Artemisia asiatica extracts protect against ethanol−induced injury in gastric mucosa of rats.J.Gastroenterol.Hepatol.2008,23,976−984.)。
【0150】
(4)ミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase、MPO)活性の測定
胃組織100mgを、0.5%ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(hexadecyl trimethyl ammonium bromide)を含む10mMリン酸カリウム緩衝液(potassium phosphate buffer)(pH7.0)200μl中でホモジナイズした。その後、その組織溶液を10000×g、4℃で10分間遠心分離して上澄み液を得た。上澄み液50μlを0.95mlの反応液(1.6mM テトラメチルベンジジン(tetramethyl benzidine)と0.1mM H
2O
2を含む)に添加した後、37℃で反応させ、反応中の様々な時点で650nmの吸光度を測定した。ミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase、MPO)活性を算出するため、反応により生成されたペルオキシド(peroxide)1μmol/mlを1ユニット(unit)として使用した。
【0151】
(5)炎症マーカーの測定
キアゲンRNイージーミニキット(Qiagen RNeasy Mini Kit)を用いて胃組織からmRNA2μgを単離し、Takara Prime Script Rtaseを用いてcDNAを合成した。次に、定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(quantitative real time polymerase chain reaction)(Qiagn thermal cycler,Takara SYBER premix agent,サーマルサイクリング条件:DNAポリメラーゼ活性化のため95℃で5分、続いて増幅のため95℃で10秒と60℃で45秒を40サイクル)を用いてCXCL4[chemokine(CXC motif)ligand 4]とTNF−α(tumor necrosis factor−alpha)の発現量を測定した。下記表24は、定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(quantitative real time polymerase chain reaction)に用いられたプライマー(primer)配列を、分析されるサイトカイン(cytokine)別に示すものである。
【0152】
【表24】
【0153】
(6)実験結果
図25は、本発明の第2次実験において、エタノールにより胃潰瘍が誘発されたマウスの胃粘膜(stomach mucosa)に対して乳酸菌が及ぼす影響を、写真で示すものであり、
図26は、本発明の第2次実験において、エタノールにより胃潰瘍が誘発されたマウスの胃粘膜(stomach mucosa)に対して乳酸菌が及ぼす影響を、総胃病変スコア(gross gastric lesion score)で示すものであり、
図27は、本発明の第2次実験において、エタノールにより胃潰瘍が誘発されたマウスの胃粘膜(stomach mucosa)に対して乳酸菌が及ぼす影響を、潰瘍指数(ulcer index)で示すものであり、
図28は、本発明の第2次実験において、エタノールにより胃潰瘍が誘発されたマウスの胃粘膜(stomach mucosa)に対して乳酸菌が及ぼす影響を、組織学的活動指数(Histological activity index)で示すものである。また、
図29は、本発明の第2次実験において、エタノールにより胃潰瘍が誘発されたマウスの胃粘膜(stomach mucosa)に対して乳酸菌が及ぼす影響を、ミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase、MPO)活性で示すものである。また、
図30は、本発明の第2次実験において、エタノールにより胃潰瘍が誘発されたマウスの胃粘膜(stomach mucosa)に対して乳酸菌が及ぼす影響を、CXCL4の発現量で示すものであり、
図31は、本発明の第2次実験において、エタノールにより胃潰瘍が誘発されたマウスの胃粘膜(stomach mucosa)に対して乳酸菌が及ぼす影響を、TNF−αの発現量で示すものである。
図30および
図31において、正常群以外の実験群におけるCXCL4発現量とTNF−α発現量は、正常群の発現量を基準として倍数変化(fold−Change)で示した。
図25乃至
図31において、「Nor」は正常群を示し、「Ethnanol」はエタノールにより胃潰瘍が誘発され、試料として生理食塩が投与された陰性対照群を示し、「Ethnanol+Ranitidine」はエタノールにより胃潰瘍が誘発され、試料としてラニチジン(Ranitidine)が投与された実験群を示し、「Ethnanol+LC27」はエタノールにより胃潰瘍が誘発され、試料としてラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC27が投与された実験群を示し、「Ethnanol+LC67」はエタノールにより胃潰瘍が誘発され、試料としてビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67が投与された実験群を示し、「Ethnanol+LC27/LC67」はエタノールにより胃潰瘍が誘発され、試料として、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC27とビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67を同量混合して製造した混合乳酸菌が投与された実験群を示す。
図25乃至
図29に示すように、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC27またはこれらの混合乳酸菌は、エタノールにより誘発された胃損傷または胃潰瘍を効果的に改善した。また、
図30および
図31に示すように、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC27またはこれらの混合乳酸菌は、エタノールにより胃損傷または胃潰瘍が誘発されたマウスの炎症マーカー量を大幅に軽減させた。
【0154】
8.乳酸菌のアルコール誘導性肝損傷の改善効果の評価(in vivo)
(1)実験動物
5週齢C57BL/6雄マウス(24〜27g)をオリエントバイオ(株)から購入し、制御された環境条件下(湿度50±10%、温度25±2℃、照明を12時間付けた後12時間消すことを繰り返す)で飼育した後に実験に使用した。飼料は、標準実験用飼料(サムヤン、韓国)を使用し、飲用水は自由に摂取させた。全ての実験で一群は6匹とした。
【0155】
(2)アルコールによる肝損傷誘導および試料投与
1つの実験群に、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC27を生理食塩水に懸濁して1日1回、1×10
9CFUの量で3日間経口投与した。別の実験群に、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67を生理食塩水に懸濁して1日1回、1×10
9CFUの量で3日間経口投与した。さらに別の実験群に、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC27とビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67を同量混合して製造した混合乳酸菌を生理食塩水に懸濁して1日1回、1×10
9CFUの量で3日間経口投与した。また、陽性対照群には、市販の肝損傷治療剤であるシリマリン(silymarin)を1日1回、50mg/kgの量で3日間経口投与した。また、正常群および陰性対照群には、生理食塩水を1日1回、0.1mlの量で3日間経口投与した。試料または生理食塩水を3日間経口投与した3時間後に正常群以外の全ての実験群のマウスにエタノールを6ml/kgの量で腹腔内投与して肝損傷を誘発した。また、正常群には、エタノールの代わりに生理食塩水を6ml/kgの量で腹腔内投与した。次に、実験マウスを12時間絶食および絶水させた後に犠牲させて心臓採血を行った。
【0156】
(3)肝機能マーカーの測定および結果
採取した血液を室温で60分間放置し、3000rpmで15分間遠心分離して血清を分離した。分離した血清のGPT(glutamic pyruvate transaminase)とGOT(glutamic oxalacetic transaminase)を血液分析キット(ALT&AST測定キット;アサンファーム社製、韓国)を用いて測定し、その結果を下記表25に示した。下記表25に示すように、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC27またはこれらの混合乳酸菌は、エタノールにより誘発された肝損傷を効果的に改善した。特に、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67は、市販の肝損傷治療剤であるシリマリン(silymarin)よりも優れた効果を示した。
【0157】
【表25】
【0158】
以上のように、本発明を上記の実施例に基づいて説明したが、本発明が必ずしもこれに限定されるものではなく、本発明の範疇と思想を逸脱しない範囲内で多様な変形実施が可能であることは言うまでもない。従って、本発明の保護範囲は、本発明に添付された特許請求の範囲に属する全ての実施形態を含むものと解釈されるべきである。