特許第6608060号(P6608060)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6608060
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】プラスチック部品の含浸方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 7/02 20060101AFI20191111BHJP
【FI】
   C08J7/02 Z
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-529255(P2018-529255)
(86)(22)【出願日】2016年6月29日
(65)【公表番号】特表2018-538401(P2018-538401A)
(43)【公表日】2018年12月27日
(86)【国際出願番号】EP2016065211
(87)【国際公開番号】WO2017097440
(87)【国際公開日】20170615
【審査請求日】2018年6月27日
(31)【優先権主張番号】15198531.4
(32)【優先日】2015年12月8日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ,ニコラ
【審査官】 石塚 寛和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−014734(JP,A)
【文献】 特開2005−314466(JP,A)
【文献】 特開2006−002009(JP,A)
【文献】 特開2008−128403(JP,A)
【文献】 特開2010−180385(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 7/00−7/02、7/12−7/18
B29C 71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック材料製の完成部品に少なくとも1種の添加剤をコア含浸する方法であって、
−前記少なくとも1種の添加剤を液体媒体に溶解して溶液を生成する工程;
−前記プラスチック材料製の完成部品を、周囲圧力にて圧力エンクロージャ内に置く工程;
−チャンバをハーメチックシールする工程;
−前記エンクロージャ内で、圧力3MPa〜6MPa、温度40℃〜65℃の近超臨界条件の流体によって、1分〜10分の持続時間にわたって、前記プラスチック材料製の完成部品に前記溶液を含浸する工程;
−前記液体媒体が前記プラスチック材料製の完成部品の外部に拡散するように、及び前記少なくとも1種の添加剤を前記プラスチック材料製の完成部品の内部に捕捉するために、前記エンクロージャ内の圧力を開放する工程、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記超臨界条件の流体は、二酸化炭素である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プラスチック材料は、熱可塑性ポリウレタン、ポリアミド、メチルアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン又はポリ(メチルメタクリレート)から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記液体媒体は、ヘキサン、イソプロパノール、又はd−リモネンから選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記添加剤は、染料、防臭剤、芳香剤、化粧品有効成分から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記プラスチック材料に、少なくとも2種の添加剤の組み合わせを含浸する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記含浸は、一定流量下で実施される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
プラスチック材料製の部品を洗浄して残留物を除去する工程を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記洗浄して残留物を除去する工程は、清浄水で、ブラシを使用して実施される、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超臨界流体を用いて、プラスチック材料製の部品に添加剤を含浸する方法に関する。より具体的には、本発明は時計の含浸方法、及び得られた時計に関する。
【背景技術】
【0002】
超臨界CO2は、工業部品の徹底洗浄又はコーヒーからのカフェイン抽出等の既知の商業的用途を有する。
【0003】
超臨界流体を使用する多数の含浸方法が特許化されており、その迅速性と低コストが知られている。二酸化炭素は、低コストであることと、取扱い中のリスクが非常に低いことから、使用されることが多い。
【0004】
例えば、特許文献1から、流体を、臨界条件又は近超臨界条件の温度及び圧力で使用して、熱可塑性ポリマー材料製の部品に芳香剤を含浸することが知られている。上記文献では、含浸は、17MPaの圧力及び25℃〜60℃の温度で、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル(EVA)のコポリマー、及びエチレン−アクリル酸エチルコポリマー等のポリマーで実施されている。
【0005】
特許文献2から、超臨界流体を用いて、ポリマー基材に添加剤を含浸する方法が知られている。上記文献では、含浸は、好ましくは7MPa〜30MPaの圧力及び30℃〜60℃の温度で、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、シリコーン、アルブミン、乳酸ポリマー及びグリコール酸ポリマー、並びに両ポリマーの組み合わせ等のポリマーで実施されている。
【0006】
このように、超臨界CO2を用いた含浸法は、既に先行技術に開示されている。しかし、先行技術には、含浸しようとするポリマー材料の種類に関係なく使用できる、高速で容易な含浸法を開示しているものはない。実際には、記載された方法は、比較的長く、2時間又はそれ以上であり、使用される圧力は非常に高く、7MPa〜30MPaである。
【0007】
発明者の知見によると、これらの方法は特に、ポリマー材料から製造された時計への含浸を、時計産業にとってこのような時計に満足できる品質(厳しい寸法公差、表面品質及び色品質)を維持しながら行うことができず、より具体的には、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(M−ABS)及び熱可塑性ポリウレタン(TPU)等のコポリマー材料の場合にそれが言える。
【0008】
実際には、試験の後で、本発明者は、先行技術で特定の材料を含浸するために使用された圧力及び温度パラメータは、材料の多数の不具合、又は部品の重大な変形若しくは気泡をもたらし、これは例えば、プラスチック材料製の時計の製造にとって特に不都合であることを見出した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許第0200197号明細書
【特許文献2】欧州特許第0683804号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の具体的な目的は、時計又は宝飾品産業での利用に関するこれらの既知技術のさまざまな欠点を克服することである。
【0011】
より具体的には、本発明の目的は、従来のブレンド又は型成形プロセス中に加えられる温度又は剪断に耐えられないと思われる添加剤を、プラスチック材料製の完成品にコア含浸する方法を提供することである。かかる方法は、製造の柔軟性も増大する。かかる方法を用いると、添加剤を用いることなく、単一の白色又は透明な基準品の成形品を作ることができる。この基準品を、その後、市場のニーズに応じた方法によって、着色又は機能化(すなわち、新たな特性を付与)する。
【0012】
本発明の別の目的は、プラスチック材料製の腕時計の製造時間及びコストを削減する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
これらの目的、及び本明細書で後に明らかになる他の目的は、本発明に従って、プラスチック材料製の完成部品に少なくとも1種の添加剤をコア含浸する方法によって達成される。本発明によると、方法は、次の工程を含む:
−少なくとも1種の添加剤を液体媒体に溶解して溶液を生成する工程;
−プラスチック部品を、周囲圧力にて圧力エンクロージャ内に置く工程;
−エンクロージャをハーメチックシールする工程;
−エンクロージャ内で、圧力3MPa〜6MPa、温度25℃〜65℃の超臨界条件又は近超臨界条件の流体により、好ましくは1分〜15分、より好ましくは1分〜10分の持続時間にわたってプラスチック部品に溶液を含浸する工程;
−液体媒体がプラスチック部品の外部に拡散するように、及び添加剤の少なくとも一部をプラスチック部品の内部に捕捉するために、エンクロージャ内部の圧力を開放する工程。
【0014】
本発明の方法のその他の有利な変形によると:
−超臨界流体は、二酸化炭素すなわちCO2であり;
−材料は、熱可塑性ポリウレタン、ポリアミド、メチルアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン又はポリ(メチルメタクリレート)から選択され;
−液体媒体は、ヘキサン、イソプロパノール、d−リモネンから選択され;
−添加剤は、染料、防臭剤、芳香剤、化粧品有効成分から選択され;
−プラスチック材料は、少なくとも2種の添加剤の組み合わせが含浸され;
−含浸は、一定流量下で実施され;
−方法は、エンクロージャ内部の圧力を開放した後、プラスチック部品を洗浄して残留物を除去する工程を含み;
−洗浄工程は、清浄水で、ブラシ等を使用して実施される。
【0015】
本発明は、本発明の方法によって得られるコーポリマー材料の時計及び宝飾品にも関する。
【0016】
本発明のその他の特徴及び利点は、単に例示的かつ非限定的な例として与えられた以下の本発明の具体的な実施形態の説明、及び添付の図を読むことで、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1の試験の結果を例証するプラスチック材料製の時計の写真である。
図2】第2の試験の結果を例証するプラスチック材料製の時計の写真である。
図3】第3の試験の結果を例証するプラスチック材料製の時計の断面の写真である。
図4】第4の試験の結果を例証するプラスチック材料製の時計の写真である。
図5】第5の試験の結果を例証するプラスチック材料製の時計の写真である。
図6】第6の試験の結果を例証するプラスチック材料製の時計の写真である。
図7】第7の試験の結果を例証するプラスチック材料製の時計の写真である。
図8】第8の試験の結果を例証するプラスチック材料製の時計の写真である。
図9】第9の試験の結果を例証するプラスチック材料製の時計の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、プラスチック材料製の完成部品に少なくとも1種の添加剤をコア含浸する方法に関する。本発明によると、方法は、次の工程を含む:
−少なくとも1種の添加剤を液体媒体に溶解して溶液を生成する工程;
−プラスチック部品を、周囲圧力にて圧力エンクロージャ内に置く工程;
−チャンバをハーメチックシールする工程;
−エンクロージャ内で、圧力3MPa〜6MPa、温度25℃〜65の超臨界条件又は近超臨界条件の流体により、好ましくは1分〜15分、より一層好ましくは1分〜10分の持続時間にわたってプラスチック部品に溶液を含浸する工程;
−液体媒体がプラスチック部品の外部に拡散するように、及び少なくとも1種の添加剤をプラスチック部品の内部に捕捉するために、エンクロージャ内の圧力を開放する工程。
【0019】
本発明の目的で、「超臨界条件における流体」、又は「超臨界流体」は、その臨界点よりも高い温度及び圧力で使用される流体を意味し、その結果、当該流体は超臨界状態に置かれ、故に、ポリマー、コポリマー又はエラストマー等の材料中に、より容易に分散される。
【0020】
本発明の目的で、「近超臨界条件流体」は、液体−蒸気混合物を得るためにその臨界点よりもわずかに低い圧力で使用される流体を意味する。
【0021】
「コア含浸」は、部品の耐水性着色を得るために、材料の厚み内に添加剤を浸透させることを意味する。
【0022】
「完成部品」は、任意の使用できる状態の機械加工された部品、例えば、射出、押出し、熱成形又は型成形操作後の部品を意味する。
【0023】
材料含浸用の超臨界流体は多数存在し、一方では特定の添加剤の劣化を避けるため、他方では皮膚との接触が意図される材料に皮膚反応を防ぐ処理を行うために、CO2のような非反応性かつ非毒性の超臨界流体の使用が好ましい。
【0024】
CO2は、その超臨界状態に達するために必要な温度及び圧力を考慮すると、含浸操作のコストも制限する。
【0025】
本発明によると、圧力は3MPa〜6MPaであり、温度は25℃〜65℃である。
【0026】
本発明者らは、上記のパラメータ以外では、使用するポリマーに応じて、特にプラスチック製腕時計の製造に一般的に使用される以下の熱可塑性材料に関して、プラスチック部品の材料中に多数の不具合が存在することを見出した:熱可塑性ポリウレタン、ポリアミド、メチルアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリ(メチルメタクリレート)。
【0027】
「添加剤」は、本発明の意味において、密度が3未満、粒径が50μm未満の任意の有機又は無機添加剤を意味し、液体媒体に可溶であるか難溶であるかにはかかわらない。この方法は、したがって、液体媒体に可溶な添加剤に限定されない。
【0028】
本発明の一実施形態によると、添加剤は、染料又は顔料(有機又は無機)であってもよい。例として、アゾ染料を挙げることができる。
【0029】
添加剤は、化粧品有効成分であってもよく、例として、ヒアルロン酸又はセラミドが挙げられる。
【0030】
添加剤はまた、例えば、ジンクピリチオン等の防臭剤であってもよく、精油等の芳香剤であってもよい。
【0031】
本発明によると、プラスチック材料に、添加剤の組み合わせを含浸することができる。例えば、プラスチック材料に染料及び防臭剤を含浸することができる。
【0032】
本発明の目的で、「液体媒体」は、ヘキサン、イソプロパノール又はd−リモネン等の共溶媒を意味する。
【0033】
本発明の好ましい実施形態によると、本方法は、一定流量の超臨界CO2下で実施される。すなわち、全ての反応物質が同時に存在し、超臨界CO2が、定められた持続時間にわたって注入される。例えば、本発明の第4工程では、第1工程で得られた混合物及び含浸されるプラスチック材料製部品を入れたエンクロージャ内に、超臨界CO2を所定の持続時間にわたって注入する。
【0034】
本発明の一実施形態によると、含浸される材料は、アクリレート又はポリウレタン系から選択される。
【0035】
本発明による方法の第1工程は、添加剤と共溶媒との密接混合を拡散工程の前に実施可能とする。「密接混合」は、得られる混合物内に添加剤と共溶媒とが均一に分布(分散によって又は溶解によってのいずれかで)する混合を意味する。したがって、第1工程は、含浸を最適化し、より良い結果が得られるようにする。第1工程の際後に得られる混合物は、第4工程における含浸時間を削減するためには、好ましくは液体混合物である。本方法の最初の3つの工程は、周囲温度及び圧力で実施される。
【0036】
本発明による方法の第4工程は、材料に添加剤を含浸させる。特定の実施形態において、第4工程は、ハーメチックシールされたエンクロージャ内で実施される。第1工程で得られた混合物を、含浸しようとするプラスチック部品を有するエンクロージャに導入し、その後エンクロージャをハーメチックシールする。方法の第3及び第4の工程では、エンクロージャをシールし、圧力下に置いて、CO2に必要な時間にわたって所望の温度にすると、近超臨界になり、プラスチック部品に添加剤を所望の度合で含浸することができる。処理が長くなるほど、プラスチック部品への含浸は多くなるが、プラスチック部品の細孔が充満されると飽和が起こる。
【0037】
第4工程の間、含浸されるプラスチック部品は固体形態を維持する。本発明の特定の実施形態において、第4工程の温度は25〜65℃である。かかる温度は、含浸中のプラスチック材料の劣化を防ぐ。
【0038】
別の特定の実施形態では、第4工程中の圧力は3MPa〜6MPaであり、例えば4MPaである。かかる圧力の利点は、先行技術と比べて廉価なインフラストラクチャを使用できることである。
【0039】
特定の実施形態では、第4工程における接触時間は、好ましくは1分〜15分であり、より好ましくは1分〜10分であり、例えば5分である。かかる処理時間により、プラスチック部品への含浸が素早く実施でき、その結果、より大量のプラスチック部品を処理できる。
【0040】
所望の色に応じて、含浸時間又は圧力を調節して、より明るい色又は暗い色を得ることができる。
【0041】
第5工程は、第4工程後に得られた含浸済みプラスチック部品を回収及び単離し、場合によってはプラスチック部品に含浸されなかった添加剤を分離する。この目的のため、使用するエンクロージャを徐々に減圧及び冷却する。その後、周囲圧力で2分間維持する。
【0042】
本発明によると、方法は、エンクロージャ内部の圧力を開放した後、プラスチック部品を洗浄して、表面残留物(例えば、余分な染料)を除去する工程を含んでもよい。
【0043】
本発明の好ましい実施形態によると、洗浄工程は、好ましくは清浄水で、ブラシ等を使用して実施される。低圧水噴射も使用でき、又は含浸済みの部品を浴に入れることもできる。浴は、撹拌すること及び必要な清浄に適応させることもできる。
【0044】
添加剤が含浸されたプラスチック部品を時計又は宝飾品、より具体的には、プラスチック製の時計又は宝飾品の製造に使用できる。特に、本方法を、腕時計のケース、リストバンド、ベゼル、クラウン、文字盤、押しボタン、クリスタル(水晶発振子)、ループ(遊環)、又は腕時計又は宝飾品の部品を形成する任意のプラスチック部品の製造に使用できる。本発明は、プラスチック材料製で、固体形態であり、かつ上記のように本発明の方法によって添加剤が含浸された、時計又は宝飾品にも関する。
【0045】
このように、予め成形された、又は予め機械加工された、プラスチック製の腕時計又は宝飾品構成要素は、この方法によって、構成要素の初期特性、特にその寸法及び機械特性を維持しながら含浸することができる。
【0046】
以下の実施例は、非限定的な例証として示すものである。着色及び含浸処理を、記載の材料を使用して射出、成形した腕時計ケースに実施した。
【0047】
【表1】
【0048】
上記表のいずれでも、同じ添加剤、すなわち、アゾ染料のクロモフタール(chromophtal)(登録商標)、及び芳香族炭化水素のアントラキノン(オラセット(oracet)(登録商標))を使用した。ヘキサンの1種のみの共溶媒を使用し、次の3種のプラスチック材料を試験した:アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、熱可塑性ポリウレタン(ポリエーテル系)及びメチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン。
【0049】
図1は、試験1及び2に対応し、気泡による部品の完全な変形及び不均一な着色が見られる。同じ結果は、試験3及び4に関する図2でも見られ、部品の変形が明白である。
【0050】
図3は、試験5に対応し、部品が表面上及びごく浅くのみ着色されており、染料が、摩耗されても満足で長時間持続する着色をもたらすほど十分に深く浸透していないことが見られる。
【0051】
図4は、試験7に対応し、含浸後に部品の白化が見られ、そのため許容できない。
【0052】
図5は、試験8に対応し、含浸後に部品にかなりの気泡が見られ、そのため使用できない。
【0053】
図6は、試験9の結果を例示し、含浸後の部品の表面に、MABSプラスチックに導入剤として使用されたワックスの移行によるわずかな白化が見られるが、着色は満足のいくものである。
【0054】
図7は、試験10の条件に従って着色した部品を例示する。均質で高品質な着色が見られ、プラスチック部品の変形はない。ただし、ごくわずかな白色の曇りが表面に見られ、いくらかのプラスチック添加剤の移行が開始していることを示す。
【0055】
図8は、試験11に対応する2つのメタクリレート−ブタジエン−スチレン製部品を例示する。変形がなく、白化がない、均質な着色が見られる。
【0056】
図9は、試験12に対応する2つの熱可塑性ポリウレタン製部品を例示する。変形がなく、白化がない、均質な着色が見られる。
【0057】
当然、本発明は例示した実施例に限定されず、当業者に明らかな様々な変形及び修正が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9