特許第6608191号(P6608191)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日鉄住金テックスエンジ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6608191-コークス炉の炉蓋脱着機の制御方法 図000002
  • 特許6608191-コークス炉の炉蓋脱着機の制御方法 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6608191
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】コークス炉の炉蓋脱着機の制御方法
(51)【国際特許分類】
   C10B 25/14 20060101AFI20191111BHJP
【FI】
   C10B25/14
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-127528(P2015-127528)
(22)【出願日】2015年6月25日
(65)【公開番号】特開2017-8257(P2017-8257A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2018年5月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000203977
【氏名又は名称】日鉄テックスエンジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100127155
【弁理士】
【氏名又は名称】来田 義弘
(72)【発明者】
【氏名】内村 康行
(72)【発明者】
【氏名】片峯 周次
(72)【発明者】
【氏名】山田 祐司
(72)【発明者】
【氏名】上田 三千洋
【審査官】 上坊寺 宏枝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−184537(JP,A)
【文献】 特開昭52−025803(JP,A)
【文献】 特開昭56−038382(JP,A)
【文献】 特開平07−126632(JP,A)
【文献】 特開2008−153458(JP,A)
【文献】 特開平06−155220(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10B 1/00−57/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出機又はコークスガイド車からなるコークス移動機械に設けられ、炉蓋を該炉蓋に設けられているラグピースを介して吊上げ及び吊下げ動作させる吊フックを昇降する油圧シリンダ、及び該油圧シリンダのストロークを検知するストロークセンサを有するコークス炉の炉蓋脱着機の制御方法であって、
吊上げ過程では、前記ラグピースに前記吊フックを引っかけるフック掛け工程Aと、前記炉蓋を吊上げて閂受けから炉蓋閂を外す吊上げ工程Bと、前記炉蓋をドアクリーナに対する上下の位置合わせをするために再び吊上げる再吊上げ工程Cとを有し、吊下げ過程では、前記工程A〜Cを逆行する再吊下げ工程Dと、吊下げ工程Eと、フック外し工程Fとを有し、更に、前記ストロークセンサで、前記フック掛け工程Aが終了する基準位置(0)と、前記吊上げ工程Bが終了する位置(p1)と、前記再吊上げ工程Cが終了する位置(q1)を検知し、
前記吊下げ工程Eにおいて、前記位置(p1)を起点とし途中位置(s1)まで、前記吊フックを高速降下させ、前記位置(s1)から前記基準位置(0)までの区間を低速降下して前記基準位置(0)で停止させ、しかも前記低速降下の区間の距離(s1)は、前記再吊下げ工程Dの高速降下速度(v1)及び前記吊下げ工程Eの高速降下速度(v2)の一方又は双方の速度(v)に応じて増加することを特徴とするコークス炉の炉蓋脱着機の制御方法。
【請求項2】
請求項1記載のコークス炉の炉蓋脱着機の制御方法において、前記低速降下の区間の距離(s1)は、α×v+yによって決定されることを特徴とするコークス炉の炉蓋脱着機の制御方法。
ここで、vはv1又はv2であり、α、yは定数である。
【請求項3】
請求項記載のコークス炉の炉蓋脱着機の制御方法において、前記αは、(m・T℃+k)で表されることを特徴とするコークス炉の炉蓋脱着機の制御方法。
ここで、m、kは設定可能な定数、T℃は前記油圧シリンダの動作油を貯留する油圧タンク内の油温である。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のコークス炉の炉蓋脱着機の制御方法において、前記フック掛け工程Aの後かつ前記吊上げ工程Bの前に、前記炉蓋閂を閂押し油圧シリンダで水平押しして、炉枠の両側にある前記閂受けの係合部と前記炉蓋閂の間に隙間を形成し、前記吊下げ工程Eの後かつ前記フック外し工程Fの前に前記閂押し油圧シリンダを解放し、前記炉蓋閂を前記閂受けの係合部に係合させることを特徴とするコークス炉の炉蓋脱着機の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コークス移動機械に搭載される炉蓋脱着機によるコークス炉の炉蓋脱着機の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図2(A)に示すように、コークス炉31の炉枠32に対して炉蓋33を脱着する炉蓋脱着機34がコークス移動機械(押出機又はコークスガイド車をいう)に設けられ、この炉蓋脱着機34では、昇降する炉蓋33の高低位置の変化に柔軟に対処できるように炉蓋33の脱着制御が行われていた(特許文献1参照)。
この炉蓋脱着機34においては、以下のように炉蓋33の制御を行っている。
【0003】
炉蓋脱着機34に備えられた油圧シリンダ35による炉蓋33の吊上げ吊下げ動作に連動して、その移動量を計測するためのストロークセンサ36を搭載し、炉蓋脱着機34による炉蓋33(詳細には上下の吊フック37)の吊上げ及び吊下げ時のストローク位置を検知している。
そして、炉蓋33を吊上げる場合は、油圧シリンダ35によって吊フック37がコークス炉31の炉蓋33のラグピース38を引っ掛けた位置を、図示しないリミットスイッチ等で検出し、その時のストロークセンサ36の値を保存する(フック掛け工程A)。この位置を起点(0)として、炉蓋33を吊上げて、炉蓋閂42を閂受け40から吊上げ(吊上げ工程B)、炉蓋33を更に上昇して、ドアクリーナに対して上下の位置合わせを行う(再吊上げ工程C)。
【0004】
そして、炉蓋33を吊下げる場合は、前記工程A〜Cを逆行する再吊下げ工程D、吊下げ工程E、及びフック外し工程Fを有する。そして、吊下げ工程Eにおいては、炉蓋閂42が閂受け40に嵌入する場合の干渉や衝撃を緩めるため、吊下げ停止位置となる基準位置の手前で、ストロークセンサ36の測定値を利用して、以下に示す油圧シリンダ35の停止制御を行っている。
【0005】
即ち、炉蓋33(吊フック37に同じ)の吊下げ動作の許容値として適切な許容値T1(例えば、5〜10mm)を選択し、油圧シリンダ35の停止位置を、[保存データ−許容値T1≦吊下げ停止位置≦保存データ(フック掛かり位置)]の範囲とする。そして、炉蓋33位置の吊下げ限からの行き過ぎ停止を防ぐため、許容値T1の範囲における中間位置データにβmmプラスしたデータにて停止許容値手前で吊下げ指令をOFFする制御を行う。実際には指令OFF後に信号遅れ等により移動するため、この移動量(流れ量)までを加味し、前窯の停止結果からβ値を決定する。
【0006】
βの決め方として、吊下げ指令をOFFにして一定時間後にストロークセンサデータを読み取り、そのデータが吊下げ限許容値の中間位置から±1mm以内であればβはそのままとし、範囲外であればβを補正し、次窯以降から補正されたβ、即ち、停止開始位置が大幅に変化しないように偏差の60%の値にて、[β(mm)−(吊下げ停止後のデータ−吊下げ限の中間位置)×0.6]で算出したβを使用する。
なお、図2(A)において、43はリフター架、44は炉蓋脱着機34の本体フレーム、45は上下にあって本体フレーム44を90度回動するための油圧シリンダである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−184537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1における制御は、前窯からの結果(停止位置データ)を反映した制御となり、当該窯で発生した油圧ホース破損等の移動機械の設備故障には対応できない。炉蓋脱着機は油温状態及び炉蓋とコークス炉体接触面における吊下げ負荷の状態等により、吊下げ速度の変動がある。当該窯の移動機械の設備故障及びコークス炉体に起因する異常要因を掴み切れていないため、吊下げ手前停止(設備重故障)や油圧シリンダ速度の変動による吊下げサイクルのばらつきが発生するという問題がある。
また、前窯吊下げ停止位置結果からの流れ量を用いた補正を行っているため、吊下げ手前停止となった場合は、コークス炉体側要因により前窯結果を反映したβ値の不適合又は移動機械の設備故障の見極めが難しく、前窯又は当該窯要因の切り分けを行うことが困難である。
【0009】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、炉蓋の吊下げサイクルタイムの安定化を図り、吊下げ手前停止を防止可能なコークス炉の炉蓋脱着機の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的に沿うコークス炉の炉蓋脱着機の制御方法は、押出機又はコークスガイド車からなるコークス移動機械に設けられ、炉蓋を該炉蓋に設けられているラグピースを介して吊上げ及び吊下げ動作させる吊フック(を備えたリフタ)を昇降する油圧シリンダ、及び該油圧シリンダのストロークを検知するストロークセンサを有するコークス炉の炉蓋脱着機の制御方法であって、
吊上げ過程では、前記ラグピースに前記吊フックを引っかけるフック掛け工程Aと、前記炉蓋を吊上げて閂受けから炉蓋閂を外す吊上げ工程Bと、前記炉蓋をドアクリーナに対する上下の位置合わせをするために再び吊上げる再吊上げ工程Cとを有し、吊下げ過程では、前記工程A〜Cを逆行する再吊下げ工程Dと、吊下げ工程Eと、フック外し工程Fとを有し、更に、前記ストロークセンサで、前記フック掛け工程Aが終了する基準位置(0)と、前記吊上げ工程Bが終了する位置(p1)と、前記再吊上げ工程Cが終了する位置(q1)を検知し、
前記吊下げ工程Eにおいて、前記位置(p1)を起点とし途中位置(s1)まで、前記吊フックを高速降下させ、前記位置(s1)から前記基準位置(0)までの区間を低速降下して前記基準位置(0)で停止させ、しかも前記低速降下の区間の距離(s1)は、前記再吊下げ工程Dの高速降下速度(v1)及び前記吊下げ工程Eの高速降下速度(v2)の一方又は双方の速度(v)に応じて増加する。
【0011】
本発明に係るコークス炉の炉蓋脱着機の制御方法において、前記低速降下の区間の距離(s1)は、α×v+yによって決定されるのが好ましい。
ここで、vはv1又はv2であり、α、yは定数である。
【0012】
また、本発明に係るコークス炉の炉蓋脱着機の制御方法において、前記αは、(m・T℃+k)で表されるのが好ましい。
ここで、m、kは設定可能な定数、T℃は前記油圧シリンダの動作油を貯留する油圧タンク内の油温である。
【0013】
そして、本発明に係るコークス炉の炉蓋脱着機の制御方法において、前記フック掛け工程Aの後かつ前記吊上げ工程Bの前に、前記炉蓋閂を閂押し油圧シリンダで水平押しして、炉枠の両側にある前記閂受けの係合部と前記炉蓋閂の間に隙間を形成し、前記吊下げ工程Eの後かつ前記フック外し工程Fの前に前記閂押し油圧シリンダを解放し、前記炉蓋閂を前記閂受けの係合部に係合させるのが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るコークス炉の炉蓋脱着機の制御方法により、吊下げ工程におけるリフタの高速降下の速度が、例えば、油圧回路の油温変動や、コークス炉体側との接触面による吊下げ負荷変動等に対してばらつくのを、ストロークセンサで検知し、高速降下から低速降下への切り換え位置(s1)を決定するので、窯ごとに、より正確にかつ短時間で、リフタ(即ち、吊フック、炉蓋)を基準位置に降下させることができる。
特に、リフタを低速降下させると、停止位置を正確に制御できるが、全体の処理時間が長くなるので、本発明では低速降下の距離を適正値に決めて処理時間の短縮、炉蓋閂の位置制御を行っている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施の形態に係るコークス炉の炉蓋脱着機の制御方法における炉蓋(リフタ)の吊上げ及び吊下げ制御の説明図である。
図2】(A)は従来例に係る炉蓋脱着機の説明図、(B)は炉蓋閂周りの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
続いて、添付した図面を参照しながら、本発明の一実施の形態に係るコークス炉の炉蓋脱着機の制御方法について説明する。なお、本実施の形態に係るコークス炉の炉蓋脱着機の制御方法を適用した炉蓋脱着機は、従来例に係る炉蓋脱着機と略同一であるので、図2(A)、(B)に示す炉蓋脱着機34を参照にしながら同一の符号を用いて説明する。
【0017】
本実施の形態に係るコークス炉の炉蓋脱着機の制御方法を適用する炉蓋脱着機34は、押出機又はコークスガイド車からなるコークス移動機械に設けられ、炉蓋33を炉蓋33に設けられているラグピース38を介して吊上げ及び吊下げ動作させる吊フック37を有するリフタ37aと、リフタ37aを昇降する油圧シリンダ35と、油圧シリンダ35のストロークを検知するストロークセンサ36を有する。
【0018】
図1に示すように、炉蓋33の吊上げ過程では、炉蓋33の上下にあるラグピース38に吊フック37を引っかけるフック掛け工程Aと、炉蓋33をリフタ37aで吊上げて閂受け40から炉蓋閂42を外す吊上げ工程Bと、炉蓋33をドアクリーナに対する上下の位置合わせをするために再び吊上げる再吊上げ工程Cとを有する。
フック掛け工程Aでは、ラグピース38に吊フック37が当接したことをリミットスイッチ(LS1)で検知して、ストロークセンサ36の設定値をリセット(例えば、0)する。この後、図2(B)に示すように、閂受け40に掛止している炉蓋閂42を窯内方向に所定位置まで押圧して、炉蓋閂42が自由に上昇できるようにする。即ち、フック掛け工程Aの後かつ吊上げ工程Bの前に、炉蓋閂42を閂押し油圧シリンダで水平押しして、炉枠32の両側にある閂受け40の係合部41と炉蓋閂42の間に隙間を形成する。
【0019】
次の吊上げ工程Bでは、炉蓋閂42を閂受け40から外す。この場合の高さは、ストロークセンサ36で検知した位置(p1)となる。そして、炉蓋33をドアクリーナに対する上下の位置合わせをするために更に炉蓋33を上昇させる。この再吊上げ工程Cの吊上げ終了位置(q1)もストロークセンサ36で測定しながら行う。なお、別に設けたリミットスイッチ(LS2)によって終了位置を決めてもよい。
以上のように、フック掛け工程Aが終了する基準位置(0)と、吊上げ工程Bが終了する位置(p1)と、再吊上げ工程Cが終了する位置(q1)をストロークセンサ36で検知する。
フック掛け工程A、吊上げ工程B、及び再吊上げ工程Cの速度は、予め設定された一定の速度Vkで行う。なお、基準位置(0)、位置(p1)、位置(q1)で止まる直前に低速にすることもできる。この場合は、ストロークセンサ36の測定値を見ながら行う。
【0020】
図1に示すように、炉蓋33の吊下げ過程においては、フック掛け工程A、吊上げ工程B、及び再吊上げ工程Cと逆行する再吊下げ工程Dと、吊下げ工程Eと、フック外し工程Fとを有する。
そして、再吊下げ工程Dにおいては、油圧シリンダ35によって高速降下を行い、吊下げ工程Eにおいては、途中位置(s1)まで高速降下を行い、その後、低速降下に変え、基準位置(0)で止まる。
【0021】
ここで、位置(p1)を起点とし途中位置(s1)まで、吊フック37を高速降下させ、位置(s1)から基準位置(0)までの区間を低速降下して基準位置(0)で停止させ、しかも低速降下の区間の距離(s1)は、再吊下げ工程Dの高速降下速度(v1)及び吊下げ工程Eの高速降下速度(v2)の一方又は双方の高速降下速度(v)に応じて、高速降下速度(v)が大きい場合は、距離(s1)の値を大きくし、高速降下速度(v)が小さい場合は、距離(s1)の値を小さくして、低速降下時間を短くすることができる。即ち、この高速降下速度(v)に従って、距離(s1)は増加(一次関数的に増加する場合も含む)する。これによって、高速降下速度(v)が大きい場合のイナーシャを吸収でき、より正確に炉蓋33を所定位置に止めることができる。この場合の低速降下の速度(z)は、油圧シリンダ35を遮断した場合、リフタ37aがオーバーラン(許容1mm以内)することなく停止できる速度とする。更にその速度は低速降下速度(z1)から低速降下速度(z2)(z1>z2)にすることもでき、これによってより正確に停止位置に止まることができる。
【0022】
具体的に、吊下げ工程Eのどの位置(s1)で、高速降下から低速降下に切り換えるかが問題となるが、油圧シリンダ35の速度(特に、高速降下)は、油タンクの油温、機器の使用期間、その他の条件によって変わるので、この実施の形態では、実際のリフタ37aの降下速度をストロークセンサ36で測定する。この高速降下の速度は、再吊下げ工程D、吊下げ工程Eの期間で測定可能である。
高速降下スタート時の速度は遅いので、再吊下げ工程D、吊下げ工程Eの途中位置をストロークセンサ36で計測し、その地点(a〜b)、(c〜d)を通過する時間t1、t2とその距離X1、X2から高速降下の速度(v1、v2)を検知する(図1参照)。
【0023】
低速降下速度(z)は炉蓋33を搭載したリフタ37aのイナーシャを考慮して予め実験、又は操業を行って、あるいは計算によって決めるのが好ましい。
この場合の、距離(s1)=α×v+yとするのがよい。ここで、αは係数(定数)、yは定数となる。
また、油圧タンク内の油温(T℃)を考慮して、αは、(m・T℃+k)とすることもできる。ここで、m、kは実験によって定まる定数である。これによって、油温が高くなると、油の粘性が小さくなるので、油圧シリンダ35の速度は大きくなる。結果として高速降下の速度も大きくなるので、距離(s1)も大きくなる。
【0024】
吊下げ工程Eの後かつフック外し工程Fの前に閂押し油圧シリンダを解放し、炉蓋閂42を閂受け40の係合部41に係合させる。
以上の吊下げ工程Eを経て、フック外し工程Fに移行するが、炉蓋閂42が閂受け40に確実に嵌入していることを、確認装置46によって確認する。この確認装置46は周知である。
この後、炉蓋33は残して、リフタ37aがストロークセンサ36が計測する所定位置まで下降し、後退して一つの窯の作業を終了する。
【0025】
なお、操業途中で異常が生じた場合は、炉蓋33を図1中、位置(p1)まで上げて、再度吊下げ過程を繰り返すことになる。
本発明は以上の実施の形態に限定されることなく、本発明の要旨を変更しない範囲での、改良、数値変更、式変更は可能である。
【符号の説明】
【0026】
31:コークス炉、32:炉枠、33:炉蓋、34:炉蓋脱着機、35:油圧シリンダ、36:ストロークセンサ、37:吊フック、37a:リフタ、38:ラグピース、40:閂受け、41:係合部、42:炉蓋閂、43:リフター架、44:本体フレーム、45:油圧シリンダ、46:確認装置
図1
図2