(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記口金が前記揺動部材に当接する位置から当該揺動部材の揺動軸線までの距離と、前記筆記芯ユニットが前記揺動部材に当接する位置から当該揺動部材の揺動軸線までの距離と、が異なっている
ことを特徴とする請求項2に記載の筆記具。
前記運動方向変換手段は、前記筆記芯ユニットの前記軸筒に対する軸方向後方への相対移動量とは異なる量にわたって前記口金を前記軸筒に対して軸方向前方に相対移動させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の筆記具。
【背景技術】
【0002】
従来、シャープペンシルを用いて筆記を行う際に、筆記芯(鉛芯)に高い筆圧が加えられると、口金の先端から露出された筆記芯が容易に折損してしまう、という問題があった。筆記芯の折損は、筆圧が一定であれば、シャープペンシルの軸筒の軸方向と紙面とのなす角度が小さくなるほど(軸筒を寝かせるほど)、あるいは、口金の先端から露出される筆記芯の長さが長くなるほど、顕著である。
【0003】
このような問題に対し、特許文献1(特開2015−123689)には、筆記芯に高い筆圧が加えられた際に、筆圧の軸方向の成分と筆圧の当該軸方向に垂直な成分とをそれぞれ異なる機構により吸収して筆記芯の折損を低減させる、というシャープペンシルが記載されている。
【0004】
具体的には、特許文献1のシャープペンシルは、口金(ホルダー)が弾性体(コイルバネ)を介して軸筒に支持されており、当該口金は、軸方向後方に向かって次第に小径となるカム斜面を有している。また、軸筒には、カム斜面を軸方向前方に押圧する押圧部が形成されている。このような構成により、筆圧の軸方向に垂直な成分(軸筒径外方向の力)に起因して、口金のカム斜面が軸筒の押圧部によって軸方向前方に押圧されて、軸筒の先端から口金が前方にスライドする(飛び出す)。これにより、口金の先端から露出される筆記芯の長さが減少されるようになっている。
【0005】
更に、特許文献1のシャープペンシルは、筆記芯を繰り出す芯繰出ユニットが、弾性体(コイルバネ)によって軸方向前方(軸方向における口金の先端方向)に付勢された状態で、軸方向に相対移動可能に軸筒に支持されている。そして、筆記芯を含む芯繰出ユニットが軸筒に対して軸方向後方に相対移動することによって、筆圧の軸方向の成分が吸収される。この結果、口金の先端から露出される筆記芯の長さが一層減少されて、筆記芯の折損が低減されるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載されているシャープペンシルにおいては、筆圧の軸方向に垂直な成分(軸筒径外方向の力)に起因して口金がスライドする(飛び出す)際に、筆記芯の軸線が軸筒の軸線から偏心する。
【0008】
これに対して、本件発明者は、以上のような偏心が生じない方が筆記感が滑らかであると感じる使用者が多いことを確認した。
【0009】
本発明は、以上のような知見に基づいており、その目的は、筆記芯ユニットに高い筆圧が加えられた際に当該筆記芯ユニットの損傷(例えば筆記芯の折損)を回避することができると共に、筆記感が滑らかな筆記具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、軸筒と、前記軸筒の前端の開口部に挿通された口金と、前記口金の内周面に接するように当該口金に挿通された筆記芯ユニットと、を備え、前記口金は、前記軸筒に対して当該軸筒の軸方向へ相対移動可能であり、前記筆記芯ユニットは、前記軸筒及び前記口金に対して前記軸筒の軸方向へ相対移動可能であり、前記口金は、前記筆記芯ユニットの前記軸筒に対する軸方向後方への相対移動に応じて、当該軸筒に対して軸方向前方に相対移動することを特徴とする筆記具である。
【0011】
本発明によれば、筆記芯ユニットに高い筆圧が加えられた際に、当該筆記芯ユニットが軸筒に対して軸方向後方に相対移動すると共に口金が軸筒及び筆記芯ユニットに対して軸方向前方に相対移動することにより、口金から露出する筆記芯ユニットの長さが減少されて当該筆記芯ユニットの損傷(例えばシャープペンシルにおける筆記芯の折損)を回避することができる。更に、口金が軸筒及び筆記芯ユニットに対して軸方向前方に相対移動した際に、筆記芯ユニットの軸線と軸筒の軸線とが一致したままである(筆記芯ユニットの軸線が偏心しない)ため、筆記感が滑らかな筆記具を提供することができる。
【0012】
好ましくは、前記軸筒内に設けられ、前記筆記芯ユニットの前記軸筒に対する軸方向後方への相対移動に応じて前記口金を前記軸筒に対して軸方向前方に相対移動させる、運動方向変換手段を更に備え、前記運動方向変換手段は、前記口金の後方領域に当接し、前記軸筒内に揺動可能に支持された揺動部材を有している。
【0013】
この場合、筆記芯ユニットが軸筒に対して軸方向後方に相対移動することによって筆記芯ユニットが揺動部材を揺動させ、これによって当該揺動部材が口金を軸筒に対して軸方向前方に相対移動させるため、筆記芯ユニットの軸筒に対する軸方向後方への相対移動を、口部材の前記軸筒に対する軸方向前方への相対移動に変換することが容易である。
【0014】
好ましくは、前記口部材が前記揺動部材に当接する位置から当該揺動部材の揺動軸線までの距離と、前記筆記芯ユニットが前記揺動部材に当接する位置から当該揺動部材の揺動軸線までの距離と、が異なっている。
【0015】
あるいは、好ましくは、前記運動方向変換手段は、前記筆記芯ユニットの前記軸筒に対する軸方向後方への相対移動量とは異なる量にわたって前記口部材を前記軸筒に対して軸方向前方に相対移動させるようになっている。
【0016】
これらの場合、例えば、口部材が揺動部材に当接する位置から当該揺動部材の揺動軸線までの距離の方が、筆記芯ユニットが揺動部材に当接する位置から当該揺動部材の揺動軸線までの距離よりも大きいならば、筆記芯ユニットの軸筒に対する軸方向後方への相対移動量よりも大きな量にわたって、口部材を前記軸筒に対して軸方向前方へ相対移動させることができ、筆記芯ユニットの軸筒に対する軸方向後方への相対移動による筆記感の低下を抑制することができる。あるいは、口部材が揺動部材に当接する位置から当該揺動部材の揺動軸線までの距離の方が、筆記芯ユニットが揺動部材に当接する位置から当該揺動部材の揺動軸線までの距離よりも小さいならば、より小さい筆圧で口部材を前記軸筒に対して軸方向前方へ相対移動させ得るため、筆記芯ユニットが脆弱な場合においても当該筆記芯ユニットの損傷を回避させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、筆記芯ユニットに高い筆圧が加えられた際に、当該筆記芯ユニットが軸筒に対して軸方向後方に相対移動すると共に口金が軸筒及び筆記芯ユニットに対して軸方向前方に相対移動することにより、口金から露出する筆記芯ユニットの長さが減少されて当該筆記芯ユニットの損傷(例えばシャープペンシルにおける筆記芯の折損)を回避することができる。更に、口金が軸筒及び筆記芯ユニットに対して軸方向前方に相対移動した際に、筆記芯ユニットの軸線と軸筒の軸線とが一致したままである(筆記芯ユニットの軸線が偏心しない)ため、筆記感が滑らかな筆記具を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、添付の図面を参照して本発明の一実施の形態を詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施の形態の筆記具の概略縦断面図である。また、
図2は、
図1の筆記具の筆記芯ユニットに筆圧が加えられていない状態における、当該筆記具の前方領域の部分的な概略縦断面図であり、
図3は、
図1の筆記具の筆記芯ユニットに筆圧が加えられている状態における、当該筆記具の前方領域の部分的な概略縦断面図である。
【0021】
図1乃至
図3に示すように、本実施の形態における筆記具は、シャープペンシル100である。このシャープペンシル100は、軸筒10と、軸筒10の前端の開口部31に挿通され、軸筒10の前端から前方へ突出した口金50と、口金50の内周面に接するように当該口金50に挿通され、口金50の前端から前方へ突出するように軸筒10に支持された筆記芯ユニットと、を備えている。本実施の形態の筆記芯ユニットは、後に詳述されるが、筆記芯70を含む芯繰出ユニット40として具現化されている。また、本実施の形態の軸筒10は、ポリカーボネート製であり、後軸20と、後方領域が後軸20の前方領域に固定(螺着)された前軸30と、により構成されている。
【0022】
図2及び
図3に示すように、本実施の形態の芯繰出ユニット40は、軸筒10の内部で当該軸筒10の軸方向に延在するポリプロピレン製の芯パイプ41と、芯パイプ41の前端部にコネクタ49を介して固定された黄銅製のチャック43と、チャック43の前方領域に外嵌された黄銅製の締めリング42と、チャック43を取り囲む外筒45と、外筒45に対して芯パイプ41を軸方向後方に付勢するリターンスプリング44と、外筒45の前端領域を取り囲み、筆記芯70を案内するための貫通孔が設けられた先端部材46と、を有している。
【0023】
また、芯繰出ユニット40の先端領域には、黄銅製の口金50が取り付けられている。
図4は、本実施の形態の口金50の概略縦断面図である。本実施の形態の口金50は、
図4に示すように、円筒状の前方領域51と、外径が当該前方領域51の外径よりも大きいスリーブ状の後方領域52と、によって構成されている。
図4に示すように、前方領域51は、前方(
図4における左方)に向かって先細となるテーパ状の前端部51aを有しており、口金50が軸筒10内に取り付けられた状態において、この前端部51aが軸筒10(前軸30)の前端から前方へ突出するようになっている。前方領域51と後方領域52との接続部分の外面は、前方に向かって先細りとなるテーパ状の段部53となっている。
図4に示すように、後方領域52の後端縁には、周方向の一部において軸方向後方(
図4における右方)に突出する突出部54が設けられている。なお、口金50の材質は黄銅には限定されず、所定の強度を有していれば、樹脂などの他の材質から構成されることも可能である。
【0024】
次に、
図5は、
図1のシャープペンシル100における芯繰出ユニット40の前方領域の概略縦断面図である。
図5に示すように、前述の先端部材46は、後端縁の周方向の一部に、軸方向後方(
図5における右方)に突出した押圧部47を有している。先端部材46の外面は、
図5に示すように、軸方向前方に向かって先細りとなる段部を複数有しており、全体として、口金50の内面(
図4参照)にフィットする形状を有している。このことにより、先端部材46が口金50内に位置している状態において、口金50に対する軸筒10の軸方向後方への相対移動が許容されると共に、口金50内における先端部材46のガタツキが防止されるようになっている。また、先端部材46の前方領域の内周面には、平坦な面が軸方向後方に向けられた段部46aが設けられており、後述されるように、芯繰出ユニット40から筆記芯70が繰り出される際に、先端部材46に対する締めリング42の軸方向前方への相対移動が規制されるようになっている。
【0025】
図1乃至
図3に戻って、本実施の形態の軸筒10内には、芯繰出ユニット40に加えられる軸筒10の軸方向後方に向かう力により口金50を軸筒10及び芯繰出ユニット40に対して軸方向前方に相対移動させる運動方向変換手段が設けられている。具体的には、本実施の形態の運動方向変換手段は、口金50及び芯繰出繰出ユニット40に当接し、軸筒10内に揺動可能に支持された揺動部材60として具現化されている。
【0026】
図6は、
図1のシャープペンシル100における揺動部材60の概略側面図であり、
図7は、
図1のシャープペンシル100における揺動部材60の概略平面図である。
図6及び
図7に示すように、本実施の形態の揺動部材60は、全体として円環状の揺動体61と、当該揺動部材60を軸筒10内に揺動可能に固定するための円柱状の固定凸部62と、を有している。具体的には、本実施の形態の2つの固定部材62は、当該2つの固定部材62を結ぶ直線が前記円環の中心を通らないような位置関係で揺動体61の外周面上に設けられている。
【0027】
図1乃至
図3に戻って、本実施の形態の口金50は、前述の通り、前端部51aが軸筒10の前端から前方へ突出した状態で、当該軸筒10内に配置されている。また、先端部材46は、芯繰出ユニット40の外筒45に外嵌固定された状態で、口金50の内部に軸方向に相対移動可能に内嵌されている。更に、本実施の形態の軸筒10(前軸30)の前端には内鍔32が設けられていて、この内鍔32と口金50の段部53との間に、伸縮可能なコイルバネ33が圧縮状態で配置されている。すなわち、口金50は、コイルバネ33の付勢力によって、軸筒10に対して軸方向後方に付勢されている。
【0028】
また、
図1に示すように、口金50及び先端部材46の軸方向後方において、揺動部材60が揺動可能に支持されている。具体的には、軸筒10の軸方向の同じ位置において、当該軸筒10の内周面上の周方向に2つの凹部(不図示)が設けられており、これらの凹部に揺動部材60の2つの固定凸部62がそれぞれ係合されている。揺動部材60は、当該係合によって、軸筒10に対する軸方向の相対移動が規制されていると共に当該2つの固定凸部62を結ぶ揺動軸線周りに旋回可能となっている。
【0029】
本実施の形態においては、
図1及び
図2に示すように、コイルバネ33の付勢力によって先端部材46の押圧部47の後端と口金50の突出部54の後端とが、揺動体61の一端と他端とにそれぞれ押し付けられている。すなわち、揺動部材60の揺動軸線は、口金50が揺動部体61に当接する位置と、筆記芯ユニット40の押圧部46が揺動体61に当接する位置と、の間に位置している。この状態で、揺動部材60は、軸筒10の軸線に対して垂直な平面と平行になっている。更に、本実施の形態においては、口金50の突出部54が揺動体61に当接する位置から揺動部材60の揺動軸線までの距離の方が、筆記芯ユニット40の押圧部47が揺動体61に当接する位置から揺動部材60の揺動軸線までの距離よりも大きくなっている。
【0030】
以上のような構成により、
図3に示すように、筆記芯70に加えられた筆圧によって芯繰出ユニット40及び先端部材46に軸方向後方に向かう力が加えられると、その力は、押圧部47によって揺動体61の一端に伝えられ、更に、当該揺動体61の他端を介して口金50に伝えられるようになっている。
【0031】
また、
図1に示すように、芯繰出ユニット40は、芯パイプ41の後端に取り付けられて芯パイプ41を外筒45に対して軸方向前方に押圧するためのノック部48を、更に有している。本実施の形態のノック部48は、軸方向前方に、芯パイプ41の後端領域に内嵌されるスリーブ部48aを有しており、軸方向後方に、円柱状の消しゴム80を取外可能に保持するホルダ部48bを有している。スリーブ部48aの内部空間とホルダ部48bの内部空間とは、開口によって連通されている。このことにより、消しゴム80をホルダ部48bから取り外すことによって、当該開口から筆記芯70を芯パイプ41内に投入できるようになっている。また、ホルダ部48bには、消しゴム80の後方を覆うドーム状のノブ81が取外可能に外嵌されている。
【0032】
次に、本実施の形態のシャープペンシル100の作用について説明する。
【0033】
まず、紙面に対して筆記を行うに先立ち、必要に応じて、ノブ81と消しゴム80とがホルダ部48bから取り外され、スリーブ部48aとホルダ部48bとを連通する開口を介して筆記芯70が芯パイプ41内に投入される。そして、消しゴム80とノブ81とがホルダ部48bに取り付けられ、口金52の前端が下方に向けられた状態でノック部48(ノブ81)が軸筒10に対して軸方向前方に押圧(ノック)される。これにより、芯パイプ41、コネクタ49、チャック43、締めリング42及び筆記芯70がリターンスプリング44の付勢力に対抗して、軸筒10に対して軸方向前方に相対移動させられる。この相対移動の途中で、締めリング42のみが先端部材46の内面に形成された当接段部46aに当接する。これにより、チャック43から締めリング42が後方に外されて当該チャック43が開放され、筆記芯70が繰り出される。
【0034】
そして、ノック部48(ノブ81)の押圧状態が解除されると、芯パイプ41がチャック43と共にリターンスプリング44の付勢力によって軸方向後方に相対移動させられる。これに伴って、締めリング42が再びチャック43の前方領域に外嵌され、チャック43が締められる。これにより、チャック43によって筆記芯70が軸方向後方に相対移動しないように挟持され、筆記芯70が繰り出された状態が維持される。そして、この一連の押圧操作が適宜繰り返されることにより、口金52の先端から筆記芯70が所望の長さ露出される(繰り出される)(
図2参照)。そして、使用者によって前軸30が把持され、紙面に対して筆記芯70を当接させつつ軸筒10を所望に移動させることによって、筆記が行われる。
【0035】
筆記の際、軸筒10は、その軸方向が紙面に対して鋭角をなす(
図2および
図3参照)ように把持されることが一般的であるが、通常は、紙面に対して45°を超える角度が維持される。このため、筆記芯70に加えられる筆圧は、軸筒10の軸方向の成分の方が、当該軸方向に垂直な成分よりも大きい。
【0036】
本実施の形態のシャープペンシル100は、筆記時に筆記芯70に高い筆圧が加えられると、筆圧の軸方向の成分によって口金50の先端から露出される筆記芯70の長さを減少させ、当該筆記芯70の折損を回避する。
【0037】
具体的には、
図3に示すように、筆圧の軸方向の成分によって、芯繰出ユニット40に軸方向後方に向かう力が加えられると、この力は、芯繰出ユニット40の押圧部47を介して、揺動体61の一端(
図3における右端)を軸筒10の軸方向後方に押圧する力として揺動部材60に伝えられる。そして、この力は、揺動部材60によって、揺動体61の他端(
図3における左端)が口金50を軸方向前方に押圧する力に変換される。この変換された力が一定以上の大きさであれば、揺動体61の他端が、コイルバネ33の付勢力に対抗して口金50を軸筒10及び筆記芯70(芯繰出ユニット40)に対して軸方向前方に相対移動させる。すなわち、口金50の先端から露出される筆記芯70の長さが減少される。本実施の形態においては、口金50の突出部54が揺動体61に当接する位置から揺動部材60の揺動軸線までの距離の方が、筆記芯ユニット40の押圧部47が揺動体61に当接する位置から揺動部材60の揺動軸線までの距離よりも大きいため、軸筒10に対して筆記芯70が軸方向後方に相対移動した際の移動量の2倍を超える移動量に相当する長さに亘って、筆記芯70が口金50内に引き込まれる。
【0038】
そして、筆記芯70に加えられている筆圧の軸方向の成分が弱められると、コイルバネ33の付勢力によって口金50が軸方向後方に相対移動し、当該口金50の突出部54が揺動体61の他端を軸方向後方に押圧する。これにより、揺動体61の一端が先端部材46の押圧部47を軸方向前方に押圧し、筆記芯70を含む芯繰出ユニット40が口金50及び軸筒10に対して軸方向前方に相対移動させられる。これらのことにより、筆記芯70が口金50内に引き込まれる前の初期状態が復元される。
【0039】
以上のような本実施の形態によれば、筆記芯70に高い筆圧が加えられた際に、当該筆記芯70を含む芯繰出ユニット40が軸筒10に対して軸方向後方に相対移動すると共に口金50が軸筒10及び筆記芯70を含む芯繰出ユニット40に対して軸方向前方に相対移動することにより、口金50から露出する筆記芯70の長さが減少され、筆記芯70の折損を回避することができる。更に、口金50が軸筒10及び筆記芯70を含む芯繰出ユニット40に対して軸方向前方に相対移動した際に、筆記芯70の軸線と軸筒10の軸線とが一致したままである(筆記芯70の軸線が偏心しない)ため、筆記感が滑らかなシャープペンシル100を提供することができる。
【0040】
また、本実施の形態のシャープペンシル100は、軸筒10内に設けられ、芯繰出ユニット40の軸筒10に対する軸方向後方への相対移動に応じて口金50を軸筒10に対して軸方向前方に相対移動させる揺動部材60を更に備えている。この揺動部材60の一端には口金50の突出部54が、他端には先端部材46の押圧部47が、それぞれ当接している。すなわち、芯繰出ユニット40が軸筒10に対して軸方向後方に相対移動して押圧部材47が揺動部材60を揺動させ、これによって当該揺動部材60が口金50を軸筒10に対して軸方向前方に相対移動させ得るため、芯繰出ユニット40の軸筒10に対する軸方向後方への相対移動を、口金50の軸筒10に対する軸方向前方への相対移動に変換することが容易である。
【0041】
また、口金50が揺動部材60の揺動体61に当接する位置から当該揺動部材60の揺動軸線までの距離の方が、芯繰出ユニット40が揺動部材60の揺動体61に当接する位置から当該揺動部材60の揺動軸線までの距離よりも大きい。このため、芯繰出ユニット40の軸筒10に対する軸方向後方への相対移動量の2倍を超える量にわたって、口金50を軸筒10に対して軸方向前方へ相対移動させることができ、筆記感の低下を抑制することができる。
【0042】
また、例えば、芯繰出ユニット40の前端領域の構造を適宜変更することにより、揺動体61の一方の端部に重りを取り付けておき、筆記時の軸筒10の水平面に対する傾きに応じて、重力の作用によって口金50を軸筒10に対して軸方向前方に移動させるように構成することも可能である。あるいは、揺動体61を中空の円環状に構成し、当該中空の領域に重量体(例えば金属製の小球)を配置させることによって、軸筒10が軸線回りに所望に回転された状態においても、重力の作用によって口金50を軸筒10に対して軸方向前方に移動させるように構成しても良い。
【0043】
なお、本実施の形態では、筆記具としてシャープペンシル100を例示したが、ボールペン、サインペン、マーカー、修正ペンなど、軸筒10の前端から筆記部を突出させた筆記具に広く採用することができる。