特許第6608266号(P6608266)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6608266白金族金属コロイド粒子回収材、該回収材を含むフィルター及び該回収材を用いる白金族金属コロイド粒子の回収方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6608266
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】白金族金属コロイド粒子回収材、該回収材を含むフィルター及び該回収材を用いる白金族金属コロイド粒子の回収方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 20/20 20060101AFI20191111BHJP
   C22B 11/00 20060101ALI20191111BHJP
   C23C 18/16 20060101ALI20191111BHJP
   B01J 20/28 20060101ALI20191111BHJP
   B01D 15/00 20060101ALI20191111BHJP
   C02F 1/28 20060101ALI20191111BHJP
   C22B 3/24 20060101ALI20191111BHJP
   C22B 7/00 20060101ALI20191111BHJP
【FI】
   B01J20/20 B
   C22B11/00 101
   C23C18/16 Z
   B01J20/28 Z
   B01D15/00 N
   C02F1/28 D
   C02F1/28 B
   C22B3/24
   C22B7/00 G
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-245217(P2015-245217)
(22)【出願日】2015年12月16日
(65)【公開番号】特開2017-109166(P2017-109166A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2018年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004503
【氏名又は名称】ユニチカ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】内田 充洋
(72)【発明者】
【氏名】河内 昭典
(72)【発明者】
【氏名】工藤 良子
【審査官】 松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−120942(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/191269(WO,A1)
【文献】 特開2001−059195(JP,A)
【文献】 特開昭63−197543(JP,A)
【文献】 特開昭63−197505(JP,A)
【文献】 特開2000−313927(JP,A)
【文献】 特開2004−182511(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 20/00− 20/28
B01J 20/30− 20/34
B01D 15/00− 15/42
C02F 1/28
C22B 1/00− 61/00
C23C 18/00− 20/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
白金族金属コロイド粒子を含有する溶液の前記白金族金属コロイド粒子の回収材であって、
前記回収材が、温度77.4Kにおける窒素脱着等温線よりBJH法で求めた細孔分布において、細孔直径35〜110Åの範囲の細孔容積が、0.07ml/g以上である活性炭である、白金族金属コロイド粒子回収材。
【請求項2】
前記回収材が、温度77.4Kにおける窒素脱着等温線よりBJH法で求めた細孔分布において、細孔直径35〜110Åの範囲の細孔容積が、0.09ml/g以上である活性炭である、請求項1に記載の白金族金属コロイド粒子回収材。
【請求項3】
前記溶液のpHが9以上である、請求項1又は2に記載の白金族金属コロイド粒子回収材。
【請求項4】
前記溶液が、無電解めっきにおける触媒液である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の白金族金属コロイド粒子回収材。
【請求項5】
前記溶液が、無電解パラジウムめっき液である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の白金族金属コロイド粒子回収材。
【請求項6】
前記溶液の前記白金族金属コロイド粒子の回収前の含有量が1〜1000mg/Lである、請求項1〜のいずれか1項に記載の白金族金属コロイド粒子回収材。
【請求項7】
前記白金族金属コロイド粒子がパラジウムコロイド粒子である、請求項1〜のいずれか1項に記載の白金族金属コロイド粒子回収材。
【請求項8】
請求項1〜のいずれか1項に記載の白金族金属コロイド粒子回収材を含む、フィルター。
【請求項9】
請求項1〜のいずれか1項に記載の白金族金属コロイド粒子回収材を用いて、白金族金属コロイド粒子を含有する溶液から前記白金族金属コロイド粒子を回収する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白金族金属コロイド粒子回収材、該回収材を含むフィルター及び該回収材を用いる白金族金属コロイド粒子の回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばプリント配線板を製造する際、無電解めっきが広くおこなわれている。その中で、配線接合部分、電気接点部品等においては、貴金属を用いた無電解めっきが行われている。従来、このような表面処理では、金めっきを施すことが主流であった。しかしながら、金は、導電性、ボンディング性に優れているものの、非常に高価である。従って、近年、より安価な白金族金属を用いる無電解めっきも開発され、採用されている。
【0003】
無電解白金族金属めっきを施す工程は、一般に、電子部品の製造ラインにおいて後段に位置し、その前段には、配線を形成する銅めっきや下地をつくるためのニッケルめっき等を施す工程が存在する。種々のめっき工程の間には、水洗工程が設けられており、連続的に生産される電子部品は、各めっき工程完了後に洗浄される。しかしながら、洗浄によっても、前のめっき工程の成分が次のめっき工程に持ち込まれることがある。白金族金属の無電解めっきの工程では、前のめっき工程から銅等が持ち込まれることがある。白金族金属の無電解めっき工程においては、銅等が極微量でも混入していると、白金族金属めっきの付き回りに大きく影響し、製品不良が発生する。このため、無電解めっき液中に銅が混入して白金族金属の析出性が低下した場合には、めっき液の一部または全液を更新することが必要となり、使用した白金族金属を含むめっき液の廃液が発生する。そして、近年、無電解白金族金属めっきを施す際のめっき液として、白金族金属コロイド粒子を含むめっき液を用いることが知られており、該めっき液の廃液が同様に発生する。
【0004】
また、貴金属以外の金属、例えば銅やニッケルを用いた無電解めっきを施す場合、該金属めっきと被めっき材との結合を強固にする観点から、無電解めっきの核となる触媒金属を付与することが広く行われている。該触媒金属として白金族金属コロイド粒子を用いることが知られている。そして、白金族金属コロイド粒子を含む触媒液も、上述した無電解白金族金属めっき液と同様、使用した白金族金属コロイド粒子を含む触媒液の廃液が発生する。
【0005】
一方、上記したような白金族金属コロイド粒子を含む廃液から、白金族金属を回収する試みがなされている。
【0006】
例えば、白金族金属をコロイド状態で含有する液から電解還元によって白金族金属を回収する方法であって、該液に電解前処理剤を添加して、そのコロイド粒子を溶解させ白金族金属をイオン化した状態にしたものについて、電解還元を実施して、白金族金属を析出させて回収する白金族金属の回収方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−59195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1で開示された白金族金属の回収方法は、電解還元をおこなう必要があることから、工程が複雑化し、電解還元をおこなう装置が必要となり、実用的ではないという問題があった。
【0009】
本発明は、上記問題を解決し、上記特許文献1で開示されたような複雑な装置や工程を要せずとも、白金族金属コロイド粒子を含有する溶液中の白金族金属コロイド粒子の回収効果に優れた、白金族金属コロイド粒子回収材の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、回収材として、本来溶液中に分散するコロイドの吸着を苦手とする活性炭に着目した。そして、本発明者等が鋭意検討したところ、意外にも、白金族金属コロイド粒子回収材として、温度77.4Kにおける窒素脱着等温線よりBJH法で求めた細孔分布において細孔直径35〜110Åの範囲の細孔容積が0.07ml/g以上である活性炭を用いた場合に、上記特許文献1で開示されたような複雑な装置や工程を要せずとも、白金族金属を含有する溶液中の白金族金属の回収効果が優れることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、さらに検討を重ねることにより完成された発明である。
【0011】
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1.白金族金属コロイド粒子を含有する溶液の前記白金族金属コロイド粒子の回収材であって、前記回収材が、温度77.4Kにおける窒素脱着等温線よりBJH法で求めた細孔分布において、細孔直径35〜110Åの範囲の細孔容積が、0.07ml/g以上である活性炭である、白金族金属コロイド粒子回収材。
項2.前記溶液のpHが9以上である、項1に記載の白金族金属コロイド粒子回収材。
項3.前記溶液が、無電解めっきにおける触媒液である、項1又は2に記載の白金族金属コロイド粒子回収材。
項4.前記溶液が、無電解パラジウムめっき液である、項1又は2に記載の白金族金属コロイド粒子回収材。
項5.前記溶液の前記白金族金属コロイド粒子の回収前の含有量が1〜1000mg/Lである、項1〜4のいずれか1項に記載の白金族金属コロイド粒子回収材。
項6.前記白金族金属コロイド粒子がパラジウムコロイド粒子である、項1〜5のいずれか1項に記載の白金族金属コロイド粒子回収材。
項7.項1〜6のいずれか1項に記載の白金族金属コロイド粒子回収材を含む、フィルター。
項8.項1〜6のいずれか1項に記載の白金族金属コロイド粒子回収材を用いて、白金族金属コロイド粒子を含有する溶液から前記白金族金属コロイド粒子を回収する方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明の白金族金属コロイド粒子回収材によれば、温度77.4Kにおける窒素脱着等温線よりBJH法で求めた細孔分布において細孔直径35〜110Åの範囲の細孔容積が0.07ml/g以上である活性炭とすることから、例えば上記特許文献1で開示されたような複雑な工程や装置を要せずとも、白金族金属コロイド粒子を含有する溶液中の白金族金属コロイド粒子の回収効果が優れる。従って、例えば、白金族金属コロイド粒子を含む無電解めっき液の廃液や白金族金属コロイド粒子を含む触媒液の廃液等から、白金族金属コロイド粒子を効率的に回収でき、資源リサイクルへの貢献やコスト削減等に寄与することも一層可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】分光光度計の波長340nmにおける吸光度とパラジウムコロイド粒子の濃度との相関関係を示す図である。
図2】実施例における、白金族金属コロイド粒子回収材の、細孔直径35〜110Åの範囲の細孔容積と、回収性能との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.白金族金属コロイド粒子回収材
本発明の白金族金属コロイド粒子回収材は、温度77.4Kにおける窒素脱着等温線よりBJH法で求めた細孔分布において、細孔直径35〜110Åの範囲の細孔容積が、0.07ml/g以上である活性炭である。特定範囲の細孔直径の細孔の容積を0.07ml/g以上とすることにより、白金族金属コロイド粒子を含有する溶液中の白金族金属コロイド粒子の回収効果が優れる。当該効果をより一層優れたものとする観点から、本発明の白金族金属コロイド粒子回収材は、温度77.4Kにおける窒素脱着等温線よりBJH法で求めた細孔分布において、細孔直径35〜110Åの範囲の細孔容積が、0.09ml/g以上であることが好ましく、0.095以上がより好ましく、0.100以上が一層好ましい。また、上記効果をより一層優れたものとしつつ、回収材の取扱い性をより向上させるという観点から、温度77.4Kにおける窒素脱着等温線よりBJH法で求めた細孔分布において、細孔直径35〜110Åの範囲の細孔容積が、0.100〜0.600ml/gであることが好ましい。
【0015】
本発明の白金族金属コロイド粒子回収材の比表面積(窒素を被吸着物質として用いたBET法(1点法)により測定される値)としては、特に制限されないが、白金族金属コロイド粒子を含有する溶液中の白金族金属コロイド粒子の回収効果に優れつつ、回収材の取扱い性をより向上させるという観点から、好ましくは1000〜3500m/g程度、より好ましくは1200〜3000m/g程度が挙げられる。
【0016】
本発明において、活性炭の細孔分布は、温度77.4Kにおいて窒素脱着等温線に基づいて算出されるものであり、具体的には次のようにして窒素脱着等温線が作成される。活性炭を温度77.4K(窒素の沸点)に冷却し、窒素ガスを導入して容量法により窒素ガスの脱着量V[ml/g]を測定する。このとき、導入する窒素ガスの圧力P[mmHg]を徐々に上げ、窒素ガスの飽和蒸気圧P[mmHg]で除した値を相対圧力P/Pとして、各相対圧力に対する脱着量をプロットすることにより窒素脱着等温線が作成される。窒素ガスの脱着量は、市販の自動ガス脱着量測定装置(商品名「AUTOSORB−6」(QUANTACHROME製)を用いて実施できる。本発明では、窒素脱着等温線に基づき、BJH法に従って求めた細孔分布から細孔直径30Å以上50Å以下の範囲の細孔容積(ml/g)を算出することができる。この解析は、上記装置に付属する解析プログラム等のような公知の手段を用いることができる。そして、活性炭の全細孔容積は、上記の窒素ガスの脱着量の測定結果における窒素の最大脱着量から計算することができる。
【0017】
本発明の白金族金属コロイド粒子回収材の全細孔容積としては、特に制限されないが、白金族金属コロイド粒子を含有する溶液中の白金族金属コロイド粒子の回収効果に優れつつ、回収材の取扱い性をより向上させるという観点から、好ましくは0.4〜1.5ml/g程度が挙げられる。繊維状活性炭の全細孔容積は、前述の方法により測定した値である。
【0018】
また、本発明の白金族金属コロイド粒子回収材において、全細孔容積(ml/g)に対する細孔直径35〜110Åの範囲の細孔容積(ml/g)の割合(細孔直径35〜110Åの範囲の細孔容積/全細孔容積)としては、好ましくは0.05以上が挙げられる。
【0019】
温度77.4Kにおける窒素脱着等温線よりBJH法で求めた細孔分布において、細孔直径35〜110Åの範囲の細孔容積が、0.07ml/g以上である活性炭を製造する方法としては、特に限定されないが、例えば、次のような方法が挙げられる。すなわち、Mg、Mn、Fe、Y、Pt、Gdの少なくとも1種の金属成分を0.01〜5重量%含有するピッチからなる活性炭前駆体を、不融化処理、炭化処理を行い、雰囲気温度800〜1000℃でおこなう賦活処理工程と、該賦活処理工程より後に空気存在下室温まで冷却する冷却工程とを含む製造方法により得る方法等が挙げられる。本発明の白金族金属コロイド粒子回収材の原料としては特に限定されず、木材、おがくず、ヤシガラ、ポリアクリロニトリル系、セルロース系、フェノール樹脂系、石油系ピッチ、石炭系ピッチ等を用いることができる。また、本発明の活性炭の形状は特に限定されず、例えば、粉末状、粒状、繊維状などが挙げられる。
【0020】
本発明の白金族金属コロイド粒子回収材は、白金族金属コロイド粒子を、回収前の白金族金属コロイド粒子を含有する溶液から特定の活性炭によって吸着するものである。従って、例えば、上記溶液から白金族金属コロイド粒子を除去する目的で使用することもできる。
【0021】
白金族金属コロイド粒子回収材を含むフィルター
本発明のフィルターは、本発明の白金族金属コロイド粒子回収材を含む。本発明の白金族金属コロイド粒子回収材の含有形態は、特に制限されない。例えば、本発明の白金族金属コロイド粒子回収材をそのまま容器に充填したり、本発明の白金族金属コロイド粒子回収材を成型したりすることが挙げられる。成型体としては、公知のものが挙げられ、例えば、湿式抄紙法、乾式法等により得られる不織布、該不織布からなるシート、該不織布を捲回して得られる円筒状、円柱状等のフィルター、繊維状活性炭を含む水性スラリー中に吸引口を有する成形型を入れ、吸引口から吸引し成型される所謂湿式成型法により得られる円筒状、円柱状等のフィルター等が挙げられる。
【0022】
白金族金属コロイド粒子を含有する溶液
本発明において、白金族金属コロイド粒子を構成する白金族金属としては、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金が挙げられる。中でも、特に白金族金属コロイド粒子の回収効果に優れるという観点から、パラジウムが好ましい。
【0023】
パラジウムコロイドとしては、特に制限されないが、パラジウムコロイド粒子を含有する溶液中のパラジウムコロイド粒子の回収効果を一層発揮するという観点から、スズを実質的に含有しないものが好ましい。本発明において、「実質的に含有しない」とは、溶液中の対象物質の含有量が10ppm以下であることが好ましく挙げられる。
【0024】
本発明において、白金族金属コロイド粒子を含有する溶液における白金族金属コロイド粒子の回収前の含有量としては、特に制限されないが、例えば、1〜1000mg/Lが挙げられ、50〜500mg/Lがより好ましく挙げられる。
【0025】
本発明において、白金族金属コロイド粒子を含有する溶液には、白金族金属コロイド粒子を分散させる分散剤や、還元剤を含んでもよい。分散剤は、公知のものでよく、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸などの高分子界面活性剤、ドデシル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。また、還元剤も、公知のものでよく、例えば、次亜リン酸及びその塩、水素化ホウ素及びその塩(例えば、塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩など)、ジメチルアミンボラン、トリメチルアミンボランなどが挙げられる。
【0026】
なお、本発明において、白金族金属コロイド粒子の含有量の測定は、JIS K 0102 2013 5.5に準じ、試料10mlに硝酸5%を2.5ml加え、100℃×1時間の条件で加熱し、常温まで冷却後、超純水を加えて50mlとして前処理をおこない、JIS K 0102 2013 52.4に規定されるICP発光分光分析法に準じ、内標準液としてイットリウム溶液を用いて測定をおこなう。白金族金属コロイド粒子の濃度が0.05ppm以下の場合であって、上記ICP発光分光分析法により測定不可の場合は、JIS K 0102 2013 52.5ICP質量分析法に準じ、内標準液としてイットリウム溶液を用いて測定をおこなう。また、後述する金属担体及び/又は金属化合物の含有量の測定も、同様におこなう。
【0027】
また、本発明において、白金族金属コロイド粒子を含有する溶液には、金属担体及び/又は金属化合物が含まれていても良い。金属担体及び/又は金属化合物を構成する金属元素としては、例えば、白金族金属の他、銅、ニッケル、銀、金等が含まれていてもよい。白金族金属コロイド粒子を含有する溶液における、上記金属担体及び/又は金属化合物の含有量としては、例えば、30ppm以下が挙げられ、10ppm以下が好ましく挙げられる。
【0028】
本発明において、白金族金属コロイド粒子を含有する溶液のpHは、回収する白金族金属コロイドが安定に存在し得るpHであれば特に制限されないが、白金族金属コロイド粒子を含有する溶液中の白金族金属コロイド粒子の回収効果を一層発揮するという観点から、pHが8以上が好ましく、9以上がより好ましく、9〜13が特に好ましい。
【0029】
本発明の白金族金属コロイド粒子回収材は、温度77.4Kにおける窒素脱着等温線よりBJH法で求めた細孔分布において細孔直径35〜110Åの範囲の細孔容積が0.07ml/g以上である活性炭とすることから、例えば上記特許文献1で開示されたような複雑な工程や装置を要せずとも、白金族金属コロイド粒子を含有する溶液中の白金族金属コロイド粒子の回収効果が優れる。従って、白金族金属コロイド粒子を含有する溶液として、例えば、無電解めっきにおける触媒液、または無電解パラジウムめっき液とした場合にも、白金族金属コロイド粒子を効率よく回収することが可能となる。特に、無電解めっきにおける触媒液又は無電解パラジウムめっき液が、使用済みのものであり、廃液とされるものである場合には、上記効果の意義が一層高まり、資源リサイクルへの貢献やコスト削減等に寄与することが一層可能となる。
【0030】
白金族金属コロイド粒子回収材の性能
本発明の白金族金属コロイド粒子回収材は、温度77.4Kにおける窒素脱着等温線よりBJH法で求めた細孔分布において細孔直径35〜110Åの範囲の細孔容積が0.07ml/g以上である活性炭とすることから、白金族金属コロイド粒子を含有する溶液中の白金族金属コロイド粒子の回収性能が優れる。本発明の白金族金属コロイド粒子回収材が備える上記回収性能としては、具体的には、以下に示す評価方法により測定される除去率が20%以上が好ましく、40%以上がより好ましく、60%以上がさらに好ましく、90%以上が特に好ましい。
【0031】
<回収性能の評価方法>
白金族金属コロイド粒子を含有する溶液として、パラジウムコロイド粒子の含有量が170mg/L、パラジウムコロイド粒子以外の物質の総濃度が実質的に含有しないものとし、pHが10、温度30℃のものをブランクとし、下記測定方法により該ブランクの吸光度Aを測定する。次に、ブランクの溶液100ml中に白金族金属コロイド粒子回収材を1g投入し、温度を維持したまま振とう機(タイテック株式会社製商品名Bio−Shaker BR−300L)で振とう速度140rpmの条件で2時間振とうする。そして、振とうした液をろ過して白金族金属コロイド粒子回収材を取り除き、該回収材を取り除いた液の吸光度A´を下記方法により測定し、上記吸光度AとA´を下記式(1)に代入し、得られた値P(%)を白金族金属コロイド粒子回収材の除去率とする。
P(%)={1−(A´/A)}×100 ・・・・(1)
<吸光度測定方法>
測定する液を純水で7倍希釈し、温度30℃で、分光光度計(日本分光株式会社製V−650型)を用い波長340nmにおける吸光度(abs)を測定する。
<パラジウム濃度と吸光度の相関>
上記吸光度測定によるパラジウムコロイド粒子回収性能を評価するにあたり、事前に任意の異なる濃度のパラジウムコロイド粒子を含む溶液を4点準備し、波長340nmにおけるそれぞれの吸光度を測定したところ、パラジウムコロイド粒子の濃度と上記吸光度との間に相関係数R=0.998と正の強い相関関係がみられた。該相関関係を図1に示す。
【0032】
白金族金属コロイド粒子を回収する方法
本発明の白金族金属コロイド粒子を回収する方法は、本発明の白金族金属コロイド粒子回収材を用いる。該回収材と、白金族金属コロイド粒子を含有する溶液との接触方法としては、例えば、該回収材を例えばフィルターにして白金族金属コロイド粒子を含有する溶液を連続的に通液させる通液方式や、白金族金属コロイド粒子を含有する溶液中に該回収材を投入し、一定時間振とうさせる振とう方式等が挙げられる。
【0033】
本発明の白金族金属コロイド粒子を回収する方法において、白金族金属コロイド粒子を回収すべき白金族金属コロイド粒子を含有する溶液の好ましい態様は、上記したとおりである。例えば、白金族金属コロイド粒子の回収前の含有量としては、特に制限されないが1〜1000mg/Lが挙げられ、該溶液のpHは8以上が好ましい等である。
【0034】
白金族金属コロイド粒子を回収した本発明の白金族金属コロイド粒子回収材から白金族金属を回収する方法としては、公知の方法でよく、例えば、王水等の無機強酸等で白金族金属塩として解離させ、水素還元や電気還元することにより、白金族金属として回収する方法や、白金族金属を吸着した本発明の白金族金属コロイド粒子回収材を燃焼させて灰化し、得られた灰化物から白金族金属を王水等の無機強酸等で抽出し、還元する方法等が挙げられる。
【実施例】
【0035】
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。
【0036】
1.評価方法
(1)白金族金属コロイド粒子回収材の、温度77.4Kにおける窒素脱着等温線よりBJH法で求めた細孔分布における細孔直径35〜110Åの範囲の細孔容積(ml/g)、全細孔容積(ml/g)、比表面積(m/g)
前述の方法により求めた。
(2)回収性能の評価方法
前述の方法により求めた。
【0037】
(実施例1)
白金族金属コロイド粒子回収材として、ユニチカ株式会社製活性炭繊維W−15W(温度77.4Kにおける窒素脱着等温線よりBJH法で求めた細孔分布において、細孔直径35〜110Åの範囲の細孔容積が0.48ml/g、全細孔容積が0.97ml/g、比表面積が1300m/g)を用いた。白金族金属コロイド粒子を含有する溶液として、パラジウムコロイド粒子の含有量が170mg/L、パラジウムコロイド粒子以外の物質の総濃度が実質的に含有しないものとし、pHが11、温度30℃のものをブランクとし、前述した測定方法により該ブランクの吸光度Aを測定した。次に、ブランクの溶液100ml中に上記白金族金属コロイド粒子回収材を1g投入し、温度を維持したまま振とう機(タイテック株式会社製商品名Bio−Shaker BR−300L)で振とう速度140rpmの条件で2時間振とうした。そして、振とうした液をろ過して白金族金属コロイド粒子回収材を取り除き、該回収材を取り除いた液の吸光度A´を前述した測定方法により測定し、上記吸光度AとA´を前述した式(1)に代入し、得られた値P(%)を白金族金属コロイド粒子回収材の除去率とした。
【0038】
(実施例2)
白金族金属コロイド回収材として、ユニチカ株式会社製活性炭繊維W−15Wに代えて、ユニチカ株式会社製活性炭繊維W−10W(温度77.4Kにおける窒素脱着等温線よりBJH法で求めた細孔分布において、細孔直径35〜110Åの範囲の細孔容積が0.092ml/g、全細孔容積が0.60ml/g、比表面積が1100m/g)を用いた以外は、実施例1と同様におこなった。
【0039】
(実施例3)
白金族金属コロイド回収材として、ユニチカ株式会社製活性炭繊維W−15Wに代えて、ユニチカ株式会社製活性炭繊維A−20(温度77.4Kにおける窒素脱着等温線よりBJH法で求めた細孔分布において、細孔直径35〜110Åの範囲の細孔容積が0.07ml/g、全細孔容積が1.15ml/g、比表面積が2000m/g)を用いた以外は、実施例1と同様におこなった。
【0040】
(実施例4)
白金族金属コロイド回収材として、ユニチカ株式会社製活性炭繊維W−15Wに代えて、関西熱化学株式会社製活性炭マックスソーブ(登録商標)MSC30(温度77.4Kにおける窒素脱着等温線よりBJH法で求めた細孔分布において、細孔直径35〜110Åの範囲の細孔容積が0.100ml/g、全細孔容積が1.70ml/g、比表面積が3000m/g)を用いた以外は、実施例1と同様におこなった。
【0041】
(実施例5)
白金族金属コロイド回収材として、ユニチカ株式会社製活性炭繊維W−15Wに代えて、大阪ガスケミカル株式会社製活性炭白鷺(登録商標)WH2c(温度77.4Kにおける窒素脱着等温線よりBJH法で求めた細孔分布において、細孔直径35〜110Åの範囲の細孔容積が0.096ml/g、全細孔容積が0.92ml/g、比表面積が1700m/g)を用いた以外は、実施例1と同様におこなった。
【0042】
(比較例1)
白金族金属コロイド回収材として、ユニチカ株式会社製活性炭繊維W−15Wに代えて、ユニチカ株式会社製活性炭繊維A−10(温度77.4Kにおける窒素脱着等温線よりBJH法で求めた細孔分布において、細孔直径35〜110Åの範囲の細孔容積が0.01ml/g、全細孔容積が0.56ml/g、比表面積が1300m/g)を用いた以外は、実施例1と同様におこなった。
【0043】
(比較例2)
白金族金属コロイド回収材として、ユニチカ株式会社製活性炭繊維W−15Wに代えて、ユニチカ株式会社製活性炭繊維A−15(温度77.4Kにおける窒素脱着等温線よりBJH法で求めた細孔分布において、細孔直径35〜110Åの範囲の細孔容積が0.03ml/g、全細孔容積が0.84ml/g、比表面積が1700m/g)を用いた以外は、実施例1と同様におこなった。
【0044】
各実施例、比較例の物性を表1に示す。また、各実施例、比較例における、温度77.4Kにおける窒素脱着等温線よりBJH法で求めた細孔分布において、細孔直径35〜110Åの範囲の細孔容積と、回収性能との関係を示すグラフを図2に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
実施例1〜5の白金族金属コロイド回収材は、温度77.4Kにおける窒素脱着等温線よりBJH法で求めた細孔分布において、細孔直径35〜110Åの範囲の細孔容積が、0.07ml/g以上である活性炭であることから、白金族金属コロイド粒子を含有する溶液中の白金族金属コロイド粒子の回収効果が優れるものであった。特に、図2に示されるように、実施例1〜5及び比較例1、2の結果から、上記細孔直径35〜110Åの範囲の細孔容積が0.07ml/g以上において、上記効果が顕著に優れることが明らかとなった。
図1
図2