(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6608359
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】基板キャリアを有さず光学素子を有するPCLED
(51)【国際特許分類】
H01L 33/54 20100101AFI20191111BHJP
H01L 23/28 20060101ALI20191111BHJP
【FI】
H01L33/54
H01L23/28 D
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-526744(P2016-526744)
(86)(22)【出願日】2014年7月17日
(65)【公表番号】特表2016-525799(P2016-525799A)
(43)【公表日】2016年8月25日
(86)【国際出願番号】IB2014063169
(87)【国際公開番号】WO2015008243
(87)【国際公開日】20150122
【審査請求日】2017年7月14日
(31)【優先権主張番号】61/856,103
(32)【優先日】2013年7月19日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517152128
【氏名又は名称】ルミレッズ ホールディング ベーフェー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ベイズン,グリゴリー
(72)【発明者】
【氏名】ハーク,アシム シャティル
(72)【発明者】
【氏名】カゲヤマ,ヒデオ
(72)【発明者】
【氏名】モラン,ブレンダン ジュード
(72)【発明者】
【氏名】バルドワジ,ジョーティ キロン
【審査官】
吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−123904(JP,A)
【文献】
特開2013−098202(JP,A)
【文献】
特開2005−129896(JP,A)
【文献】
特開2012−164902(JP,A)
【文献】
特開2003−007929(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/099384(WO,A1)
【文献】
特開2012−039013(JP,A)
【文献】
特開2004−327587(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0193648(US,A1)
【文献】
特開2007−123362(JP,A)
【文献】
特開2001−035866(JP,A)
【文献】
特開2007−273941(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光デバイスを製造する方法であって、
キャリア基板を用意し、
前記キャリア基板上に、複数の自己支持型の発光構造を位置付け、該複数の発光構造の各発光構造が発光素子を有し、該発光素子は、該発光素子の第1の表面上に導電パッドを有し、
前記複数の発光構造の間に平滑な反射層を形成し、該反射層は、前記複数の発光構造の第1の表面と実質的に平坦であり、
前記キャリア基板の上に光学材料を塗布し、
前記光学材料に金型を適用して、前記複数の発光構造の上の光学素子と、前記複数の発光構造の間の介在層とを形成し、該介在層は、前記反射層の真上に配置され、
前記複数の発光構造の間で前記介在層及び前記反射層をスライスすることによって、前記複数の発光構造を個片化し、
前記複数の発光構造の各発光構造から前記キャリア基板を取り外す、
ことを有し、
前記複数の発光構造の各発光構造の大きさ及び形状が、前記光学素子、前記介在層、及び前記反射層によって画成される、
方法。
【請求項2】
前記キャリア基板上に前記自己支持型の発光構造を位置付けることは、両面テープを貼り付けて前記自己支持型の発光構造を前記キャリア基板上に取り付けることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記両面テープは熱剥離コーティングを含んでおり、前記発光構造を前記キャリア基板から取り外すことは、前記キャリア基板から前記両面テープを熱剥離することを有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
発光素子と前記光学素子との間に波長変換層が置かれる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記波長変換層は、プリフォームされたシート状の波長変換材料として設けられる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記波長変換層は、前記発光素子を覆う液体又はペースト形態で設けられる、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
発光デバイスであって、
発光構造であり、
発光素子と、
前記発光素子の第1の表面上のコンタクトパッドと、
を有する発光構造と、
光学素子と、
前記光学素子の周囲の、側壁を持つ介在材料と、
前記発光素子を取り囲む平滑な反射層であり、前記光学素子及び前記介在材料の下に置かれ且つ側壁を持つ反射層と、
を有し、
前記反射層の前記側壁は、前記介在材料の前記側壁と実質的に平坦であり、当該発光デバイスの外表面が、前記光学素子、前記介在材料、前記反射層、及び前記発光素子の前記第1の表面によって画成されている、
発光デバイス。
【請求項8】
前記光学素子は前記反射層と接触している、請求項7に記載の発光デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光デバイスの分野に関し、特に、印刷回路(PC)又はその他の固定具への取付けに適した、光学素子を含むが基板キャリアを含まない発光デバイス(LED)に関する。
【背景技術】
【0002】
ますます拡大する半導体発光デバイスの使用が、これらのデバイスの高度に競争的な市場を作り出している。このような市場においては、数ある供給元の中での製品の差異化をもたらすのに性能と価格が重要であることが多い。
【0003】
デバイスのコストを低減するための1つの技術は、デバイスを形成する部品の数を削減すること及び/又はあまりコストのかからない部品を使用することによって、材料費を低減することである。加えて、あるいは代えて、デバイスのコストは、製造プロセスの数を削減すること及び/又はあまりコストのかからない製造プロセスを使用することにより、製造コストを低減することによって低減され得る。
【0004】
製造コストを低減するために使用される1つの技術は、各製造工程において複数のデバイスを処理することである。しかしながら、複数のデバイスの処理はしばしば、もとよりその製造プロセスを受け入れるために供される部品の使用を必要とする。
【0005】
発光デバイスの製造においては、何百という発光素子が、成長基板上に、発光素子間に最小限の‘廃棄’スペースをもって作製/成長される。これらの発光素子は一般に、最終的な発光デバイスのサイズよりも実質的に小さい。何故なら、発光デバイスは一般に、所望の光出力パターンを提供するように作用するとともに発光素子を保護するようにも作用する光学素子を必要とし、発光デバイスはまた、例えば白色光などの複合的な多波長光出力を作り出すために波長変換素子を含むからである。従って、これらの追加部品を受け入れるために発光素子間にスペースが設けられなければならない。
【0006】
単一のプロセス中に多数の発光素子に光学素子及びその他の素子を付加することを可能にするよう、発光素子群を適切な間隔で位置付けるために、成長基板がスライス/ダイシングされて個々の(‘個片化された’)発光素子が供され、そして、これらの発光素子が、適切に間隔を空けられた発光素子のアレイを作り出すように形成された基板キャリアに取り付けられる。基板キャリアはまた一般に、発光素子に外部電気コンタクトを設けることを含むその後のマウント及びパッケージングの要件を容易にするように構成される。
【0007】
典型的には基板キャリア上の外部電気コンタクトを提供する導電体に発光素子のコンタクトパッドをはんだ付けすることによって、発光素子群が基板キャリア上にマウントされた後、基板キャリア上の多数の発光素子に、光学素子及びオプションの波長変換素子が適用される。その後、基板キャリアがスライス/ダイシングされて、個々の(‘個片化された’)発光デバイスが提供される。
【0008】
図3A−3Bは、一従来技術例の個片化された発光デバイス300の断面図及び上面図を示している。発光デバイス300は、従来から‘サブマウント’310と呼ばれる基板キャリア310の個片化部分上に‘フリップチップ’実装された発光素子320すなわちチップを含んでいる。発光素子320が成長基板(図示せず)上に形成されるとき、先ず。発光素子320を形成する半導体層が成長され、そして、半導体層へのコンタクトを形成する導電層が、コンタクトパッド330を最上層にして、半導体層の上に成長される。フリップチップ実装は、コンタクトパッド330を発光素子320の下面にし、光の大部分が発光素子320の上面から放射される。この例においては、光出力効率を高めるために、発光素子320が上に成長された成長基板は除去されている。
【0009】
サブマウント310は、発光素子320の下面上のコンタクトパッド330への外部コンタクトを提供する導電体340を含んでおり、これらの導電層340に、典型的にはんだ層335を用いて、コンタクトパッド330が取り付けられる。サブマウント310はまた、サブマウント310から離れる方向に光を向け直す反射材料(図示せず)を含み得る。
【0010】
個片化されていない基板キャリアの処理中に、発光素子320の各々に波長変換素子350が取り付けられ、そして、波長変換材料350の上に光学素子360が設けられている。場合により、これらの素子350、360の別々に適用する必要を排除するよう、光学素子360を形成するのに使用される材料内に、例えば蛍光体粒子などの波長変換材料が含められてもよい。
【0011】
個片化を受け、完成した発光デバイス300は、サブマウント310と、発光素子320と、光学及び波長変換素子350、360と、発光素子への外部接続340とを含む。特に言及しておくに、サブマウント310が、完成した発光デバイス300の全体寸法を定めている。より大きい光学素子が特定の用途で望まれる場合には、異なるサブマウントを設計しなければならず、より小さい光学素子で特定の用途に十分である場合には、異なるサブマウントを設計しなければならないか、有効面積の損失を招き得るかの何れかとなる。また、一部の用途は複数の発光デバイスを特定の配置で必要とすることがあり、サブマウント310の寸法がその所望配置を不可能にして、これまた異なるサブマウントの設計を要することになり得る。
【0012】
サブマウントそれ自体を使用しないその他の技術も、パッケージングされた発光デバイスを作製するために一般に使用されている。各プロセスにおいて多数の発光デバイスの製造を容易にするために、リードフレーム及びリードフレームキャリアが一般に使用される。
【0013】
リードフレームは一般に、発光素子への外部接続をとるためのコンタクト(リード)を提供する導電構造である。発光素子上の2つのコンタクトパッドが、発光素子から離れるように延在する2つのリードの端部にはんだ付けされる。リードは、反対側の端部を、後の印刷回路基板又はその他の固定具への実装に適した位置及び向きに置くように、整形及び屈曲され得る。
【0014】
リードフレームキャリアは、多数のリードフレームを有し、リードフレームキャリア上での多数の発光素子の後続処理を可能にする。例えば、リードフレーム上の個々の発光素子が個片化される前に、リードフレームキャリアを覆って光学素子が成形され得る。典型的に、成形された素子は、発光素子が上にはんだ付けされたリード表面の下まで延在し、実効的に、発光素子の下の導電体(リード)と成形材料とを有する基板キャリアを形成する。
【0015】
上記サブマウント例においてのように、発光素子を備えた各リードフレームの周囲に形成された基板キャリアが、完成した製品の寸法を実効的に定める。より大きい又は小さい光学素子を受け入れるためにリードフレームキャリア上のリードフレーム間に、より多い又は少ないスペースが必要とされる場合、新たなリードフレームキャリアが必要とされる可能性がある。
【0016】
これらの例の各々において、基板キャリアの主たる機能の1つは、複数の個片化された発光素子の配置及び処理を可能にする構造を提供すること、そして特に、各々の個片化された発光素子の上の光学素子の形成を容易にすることである。基板キャリアのその他の主たる機能の1つは、発光デバイスからの放射のために光を光学素子内に向け直す反射表面を提供することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
発光素子及び光学素子を含むが基板キャリアを含まない複数の発光デバイスを製造する方法を提供することが有利である。また、異なる寸法の発光デバイスを、異なる寸法に適応するために異なる部品を必要とすることなく製造する方法を提供することも有利である。
【課題を解決するための手段】
【0018】
これらの関心事のうちの1つ以上を、より良く解決するため、本発明の一実施形態において、光学素子の下の反射層の形成を含め、発光素子上の光学素子の形成を可能にするため、中間的な除去可能な配置・処理構造が提供される。これら除去可能な配置・処理構造は、製造される発光デバイスの具体的な寸法とは実質的に無関係であり、多様な用途での自身の再使用を可能にする。得られる発光デバイスは、発光素子と、反射器を備える光学素子と、オプションの波長変換材料を含むが、例えばキャリア基板などの、残された上記配置・処理構造を含まない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
以下の図を含む添付図面を参照して、例として、本発明を更に詳細に説明する。
【
図1A】波長変換素子を備えた発光素子を形成するプロセスの一例を示す図である。
【
図1B】波長変換素子を備えた発光素子を形成するプロセスの一例を示す図である。
【
図1C】波長変換素子を備えた発光素子を形成するプロセスの一例を示す図である。
【
図1D】波長変換素子を備えた発光素子を形成するプロセスの一例を示す図である。
【
図1E】波長変換素子を備えた発光素子を形成するプロセスの一例を示す図である。
【
図1F】波長変換素子を備えた発光素子を形成するプロセスの一例を示す図である。
【
図2A】キャリア基板を有さずに発光素子と光学素子とを備える発光デバイスを形成するプロセスの一例を示す図である。
【
図2B】キャリア基板を有さずに発光素子と光学素子とを備える発光デバイスを形成するプロセスの一例を示す図である。
【
図2C】キャリア基板を有さずに発光素子と光学素子とを備える発光デバイスを形成するプロセスの一例を示す図である。
【
図2D】キャリア基板を有さずに発光素子と光学素子とを備える発光デバイスを形成するプロセスの一例を示す図である。
【
図2E】キャリア基板を有さずに発光素子と光学素子とを備える発光デバイスを形成するプロセスの一例を示す図である。
【
図2F】キャリア基板を有さずに発光素子と光学素子とを備える発光デバイスを形成するプロセスの一例を示す図である。
【
図3A】発光素子、光学素子、及びキャリア基板素子を備える従来技術の発光デバイスの一例を示す図である。
【
図3B】発光素子、光学素子、及びキャリア基板素子を備える従来技術の発光デバイスの一例を示す図である。 図面全体を通して、同様あるいは対応する機構又は機能は、同じ参照符号で指し示す。図面は、例示目的で含められたものであり、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の説明においては、限定ではなく説明の目的で、本発明の概念の完全なる理解を提供するために、例えば特定のアーキテクチャ、インタフェース、技術などの具体的詳細事項を説明する。しかしながら、当業者に明らかなように、本発明は、これらの具体的詳細事項からは逸脱した他の実施形態でも実施され得るものである。同様に、本明細書の文章は、図面に示される実施形態例に向けられたものであり、請求項に係る発明に、請求項に明示的に含められた限定以外の限定を加えるものではない。単純化及び明瞭化の目的のため、不要な詳細事項で本発明の説明を不明瞭にしないよう、周知のデバイス、回路及び方法についての詳細な説明は省略することとする。
【0021】
図1A−1Fは、波長変換素子を備えた発光素子を形成するプロセスの一例を示している。
【0022】
図1Aは、成長基板110上への複数の発光素子120の形成/成長を示している。各発光素子120は典型的に、N型半導体領域とP型半導体領域との間に挟まれた活性発光領域を含み得る。発光素子120の最も上の層上にコンタクトパッド130を設けるよう、発光素子120の形成中に導電構造(図示せず)が作製される。一部の実施形態において、コンタクトパッド130は、発光素子120の反対側の表面上にあってもよい。個々の(個片化された)発光構造10を形成するように、発光素子120を備えた成長基板110をスライス/ダイシング101することによって、個々の発光構造10が形成される。
【0023】
図1Bは、例えば接着面を有する除去可能な‘ソーイングテープ(sawing tape)’などの、中間的な除去可能構造140の上に、発光構造10を置くことを示している。図示のように、コンタクトパッド130をテープ140上にし、成長基板110を発光素子120の上方にして、構造10が‘フリップチップ’の向きでテープ140上に配置される。この実施形態例において、成長基板110は、除去されずに発光素子120の構造的支持及び保護を提供し、それにより、
図3A−3Bの例においてのようにキャリア基板に取り付けることなく、構造10を後続処理することを可能にしている。
【0024】
発光素子120への構造的支持を提供するその他の手段も使用され得る。例えば、同時係属中の米国特許出願第61/656,691号(“CHIP SCALE LIGHT EMITTING DEVICE WITH METAL PILLARS IN A MOLDING COMPOUND FORMED AT WAFER LEVEL”,2012年6月7日出願,Jipu Lei,Stefano Schiaffino,Alexander Nickel,Mooi Guan Ng,Grigoriy Basin,及びSal Akram,代理人整理番号2012PF00450)は、コンタクトパッド130と発光素子120との間の接続を形成する導電体層が、ピラー間に誘電体材料を置いた厚い金属ピラーとして形成され、これら包み込まれたピラーが、構造が自己支持されることを可能にすることを開示している。
【0025】
成長基板110を通じての光出力効率を高めるため、成長基板110と発光素子120の発光面との界面が、該界面で全反射(TIR)される光の量を低減するようにテクスチャ加工されてもよい。一実施形態例において、成長基板110は、成長基板のパターン加工/テクスチャ加工された表面上に発光素子120が成長されることを可能にする“パターンドサファイア基板”(patterned sapphire substrate;PSS)とし得る。
【0026】
この実施形態例において、発光構造10は、
図1C−1Dに示すように発光素子10の頂面及び側面に波長変換材料150が設けられることを可能にするのに十分なように離間されている。光取り出し効率を高めるため、波長変換材料150と成長基板110との間の境界面での全反射を抑制するように、成長基板110の上面115がテクスチャ加工/粗面加工されてもよい。また(図示せず)、
図2A−2Fに関して更に詳述するように、下向きに進行する光を上向きに反射するよう、発光構造10同士の間に反射材料の層が設けられてもよい。
【0027】
図1Cの例において、プリフォームされたラミネートシート状の波長変換材料150が、発光構造10の上に置かれ、次いで、
図1Dに示すようにテープ140上の離間された構造10の形状に従うように処理される。一実施形態例において、2008年3月18日にHaryanto Chandraに対して発行された米国特許第7,344,952号(ここに援用する)に開示されるように、波長変換材料150を発光構造10にラミネートするために真空と熱との組み合わせが使用される。
【0028】
発光構造10が、それらの光出力特性によって予備試験されて仕分け(“瓶分け”)されている場合、同様の特性を持つ構造10をテープ140上に置くことができ、そして、プリフォームされた波長変換シート150を、その特性が、テープ上の発光構造10の光出力特性と併さって、所望の複合光出力をもたらすように選択し得る。
【0029】
当業者が認識するように、波長変換材料150は、ラミネートシートの形態である必要はなく、液体又はペースト形態でスプレイコーティング、成形、スクリーン印刷などによって設けられてもよい。
【0030】
その後、波長変換材料150を備えた発光構造10(以降、‘構造20’と呼ぶ)が、
図1Eに示すように構造20同士間での材料150のスライス145によって個片化される。構造20の各々が、その後、
図1Fに示すようにテープ140から取り外され得る。
【0031】
図2A−2Fは、キャリア基板を有さずに発光素子と光学素子とを備える発光デバイスを形成するプロセスの一例を示している。典型的に、光学素子は、所望の光学効果を達成するのに適した形状を形成するモールドを用いて、発光デバイスの上に形成され得る。成形材料として、液体又はペースト状のシリコーン又はその他の透明材料を使用することができ、そして上述のように、この材料に波長変換材料を注入してもよい。
【0032】
成形プロセスによって課される応力に耐えるよう、発光素子120、成長基板110及びオプションの波長変換材料150を有する発光構造20は、このプロセス中に発光構造20を支持するのに十分な頑丈さのキャリア基板210の上に置かれる。これらの構造20は、各構造20を取り囲む光学素子の形成を可能にするために、これらの間に十分なスペースを持って、キャリア210上に位置付けられる。後に形成されるデバイスのキャリア210からの容易な取り外しを支援するため、
図2Aに示すように、両面接着テープ220を用いて、構造20をテープ220の上面221に取り付け、且つテープ220の下面222をキャリア210に取り付け得る。テープ220は、キャリア210に取り付けられる表面222上に熱剥離コーティングを含んでいてもよく、それにより、成形プロセスの完了後に、キャリア210からのテープ220の離脱を可能にする温度で短時間だけそれをキュアすることによって、テープ220をキャリア210から取り外すようにして、キャリア210を再使用することを可能にし得る。
【0033】
図2Bにて、ディスペンサ235が、テープ220上の構造20間のスペースに反射材料230を塗布する。この反射材料230は、後に形成される発光デバイスの底面に向けられた光を、光学素子(
図2Bには示されていない)の意図した光放出面の方に戻るように向け直すよう作用することになる。この反射材料230は、例えばTiO
2などの高度に反射性のフィラーを有するポリマーとすることができ、それが、液体又はペースト状で塗布され、その後に、
図2Cに示すように、この反射材料230の平滑な層を形成するように硬化される。
【0034】
場合により、光学素子の形状及びその他の特性に依存して、光学素子の下面での全反射(TIR)が、この面に向けられた光を光学素子の意図した光放出面の方に戻るように向け直すことを頼りにして、反射材料230を省いてもよい。一部の用途において、発光デバイスが上にマウントされる表面が反射性であってもよく、反射材料230が省かれてもよい。
【0035】
図2Dにて、各々の発光構造20を覆って、光学素子250が形成される。
図2Dの例において、光学素子250は、各々の発光構造20の上方で半球状の形態をしているが、例えばコリメートされた発光パターンなどの特定の発光パターンを達成すべく、数ある異なる形状のうちの何れが形成されてもよい。製造を単純にするため、発光構造20間の残りのスペース内の成形材料255によって共に接続された個々の光学素子250を成形プロセスが作り出すように、キャリア210の表面領域全体に成形材料が設けられ得る。特に言及しておくに、反射材料230が光学素子250及び介在材料255の下にあり、それ故に、光学素子250中を下方に向けられ得る光が上向きに反射される。
【0036】
図2Eにて、キャリア210の上方で光学素子250、反射材料230を貫いてテープ220内までスライス280することによって、発光構造20、反射材料230及び光学素子250を有する個々の発光デバイス30が個片化される。この部分的なスライスは、無傷のキャリア210が、他の発光デバイスセットを形成することに再使用されることを可能にする。
【0037】
発光デバイス30を個片化する部分的なスライスの後、テープ220がデバイス30及びキャリア基板210から取り外され、
図2Fに示すように、キャリア基板210の要素を有しない個々の発光デバイス30が形成される。
【0038】
当業者が認識するように、キャリア基板210は、後の個片化のためにデバイス30をテープ220に残して、発光デバイス30を個片化する前に取り外されてもよい。
【0039】
形成された発光デバイス30は、発光素子120と、成長基板要素110と、オプションの波長変換材料150と、光学素子250及び介在材料255の下の反射材料230とを含む。上述のように、波長変換材料150の下にも反射材料が置かれてもよい。
【0040】
特に言及しておくに、発光デバイス30の全体サイズは、光学素子250及び材料255によって占有される面積を含み、完成した発光デバイス30の所望のサイズ及び形状を提供するように材料255の量を増加あるいは減少させることができる。例えば、多様な異なる発光デバイスを使用する用途において、個々のデバイスが、ジグソーパズルのようなやり方ではまり合うようにサイズ及び形状を定められ得る。
【0041】
完成した発光デバイス30のサイズ及び形状は、キャリア210上に光学素子250を作製するのに使用される金型によって、及び/又は発光構造20間の介在材料255のスライス/トリミングによって定められ、キャリア基板210によっては全くもって定められない。換言すれば、デバイスの特定の用途の基準を満足するのに必要とされるデバイスのサイズ又は形状にかかわらず、同じキャリア基板210を使用し得る。
【0042】
さらに、キャリア基板210は、再使用可能であり、発光デバイス30を作製するプロセスで‘消費’されないので、基板210のコストは、各々の発光デバイス30の製造における直接コストではない。この基板210のコストは、この基板210を使い切ることになるデバイス群の全ての間で共有され、故に、デバイス当たりのこの基板210のコストは事実上非常に低い。
【0043】
図面及び以上の記載にて本発明を詳細に図示して説明してきたが、これらの図示及び説明は、限定的なものではなく、例示的あるいは典型的なものとみなされるべきであり、本発明は、開示した実施形態に限定されるものではない。
【0044】
例えば、各々の発光構造内に複数の発光素子が含められたり、単一の光学素子によって複数の発光構造が封入されたりする実施形態で、本発明を処理することが可能である。各光学素子内の発光素子又は発光構造の異なる組み合わせごとに異なるキャリア基板が必要とされるものではないので、本発明の技術は、様々な用途に合わせた、発光デバイスの設計及び構成におけるかなりの柔軟性を提供する。
【0045】
開示した実施形態へのその他の変形が、図面、本開示及び添付の請求項の検討から、請求項に係る発明を実施する当業者によって理解されて実現され得る。請求項において、用語“有する”はその他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞“a”又は“an”は複数であることを排除するものではない。複数の特定の手段が互いに異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、それらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないということを指し示すものではない。請求項中の如何なる参照符号も、範囲を限定するものとして解されるべきでない。