(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記外層加熱ステップは、特性温度を超える温度まで前記外層を加熱するステップを含み、前記特性温度を超えた温度の前記外層は変形可能である、請求項1に記載の履物の物品のアッパーを製造する方法。
前記第1領域形成ステップは、前記熱変形可能な材料を前記靴型部材上に付加製造工程を用いて印刷するステップを含む、請求項7に記載の履物の物品のアッパーを製造する方法。
前記第2領域形成ステップは、前記熱変形可能な材料を前記靴型部材上に付加製造工程を用いて印刷するステップを含む、請求項11に記載の履物の物品のアッパーを製造する方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
添付図面および詳細な説明を検討すれば、当業者には実施形態の他のシステム、方法、構成および利点が明白であろう。そのような付加的なシステム、方法、特徴および利点は全て、本明細書および要約書に含まれ、また実施形態の範囲内であり、かつ、添付の特許請求の範囲によって保護されるものとする。
【0009】
本実施形態は、添付図面および以下の説明を参照することにより、更によく理解され得る。添付図面における構成要素は、必ずしも等縮尺ではなく、本実施形態の原理を例示するために誇張されている。更に、添付図面では、各図にわたって、対応する部品には同様の参照番号が付されている。
【0010】
図1は、靴型システム100の実施形態の等角図を示す。靴型システム100は、足に近似した形状を有することができ、一般に履物の物品のアッパーを形成するために材料を受け止めるように構成され得る。例示的実施形態では一般的な足形を有する靴型システム100を示すが、他の実施形態では任意の所望の足の形状を有する靴型システム100を構成することができる。
【0011】
靴型システム100を使用して、様々な種類の履物の構成要素(例えばアッパー)を製造することができる。履物の種類には、登山靴、サッカーシューズ、フットボールシューズ、スニーカー、ランニングシューズ、クロストレーニングシューズ、ラグビーシューズ、バスケットシューズ、野球靴及び他の種類のシューズを含むことができるが、これらに限定されるものではない。さらに、いくつかの実施形態では、靴型システム100を使用して、他の様々な種類のスポーツに関連しない履物を製造することができる。スポーツに関連しない履物は、スリッパ、サンダル、ハイヒールの履物及びローファーを含むが、これらに限定されるものではない。
【0012】
本実施形態は履物の物品を製造するために構成される靴型システムを表すが、他の実施形態では他の種類の物品を製造するために履物システムを使用することができる。かかる物品は、衣類、帽子、手袋、靴下、バッグ、パッド、スポーツ用品の物品並びにある種類の靴型を使用して製造することができる他の任意の種類の物品を含むことができるが、これらに限定されるものではない。他の実施形態では、靴型システムの形状を変えて、他の任意の種類の物品に適用させることができる。
【0013】
靴型システム100は、靴型部材102及び外層104を更に含むことができる。特に、
図1に表すように、外層104を靴型部材102の外表面106上に配置することができる。
図1の拡大断面図に表すように、靴型部材102は、靴型システム100のコア部又は内部を含むことができる。具体的に、少なくともいくつかの実施形態では、靴型部材102は外層104によって完全に覆われる。あるいはいくつかの実施形態では、靴型部材102のある部分のみが外層104で覆われ得る一方、靴型部材102の他の部分を靴型システム100の最外面で露出させ得る。
【0014】
図示を目的として、例示的実施形態では、外層104を通して靴型部材102の少なくとも一部が見えるように、外層104を実質的に透明に表す。いくつかの実施形態では、外層104を、少なくとも部分的に透明な材料で製造することができる。しかしながら、他の実施形態では(図示せず)、外層104を実質的に不透明とすることができ、靴型部材102が外層104を通して部分的にすら見えない。
【0015】
参考のために
図1を参照して、靴型システム100を、前足部10と中足部12とヒール部14とに分割することができる。靴型システム100は足とほぼ類似する形状を共にするため、これらの部分を一般に足の対応する部分と関連付けることができる。前足部10は一般に、つま先と中足及び趾骨を接続する関節とに関連付けられ得る。中足部12は一般に、足の土踏まずに関連付けられ得る。同様に、ヒール部14は一般に、足の踵骨を含むヒールに関連付けられ得る。また、靴型システム100は、外側16と内側18とを含むことができる。特に、外側16と内側18とを靴型システム100において対向する側とすることができる。さらに、外側16及び内側18の両方は、前足部10、中足部12及びヒール部14を通って延在することができる。
【0016】
前足部10、中足部12及びヒール部14は単に説明目的のものであり、靴型システム100の正確な領域を区別することを意図するものでないことが理解されるであろう。同様に、外側16及び内側18は一般に、靴型システム100を2つの半部に正確に区別するものではなく、靴型システム100の2つの側を表すことを意図する。さらに、複数の実施形態の全体にわたって、用語前足部10、中足部12、ヒール部14、外側16及び内側18を使用して、靴型部材102及び/又は外層104を含む靴型システム100の個々の構成要素の部分/側を指すことができる。
【0017】
整合をとるためそして便宜上、図示した実施形態に対応する本詳細な説明の全体にわたって、方向の形容詞を使用する。用語「長手方向」は、本詳細な説明及び特許請求の範囲の全体にわたって使用され、ある要素(例えば靴型システム)の丈に沿って延びる方向を指す。ある場合には、長手方向を、要素の前足部からヒール部まで延びる方向とすることができる。また、本詳細な説明及び特許請求の範囲の全体にわたって使用される用語「横方向」は、要素の幅に沿って延びる方向を指す。言い換えれば、横方向を、要素の外側と内側との間に延びる方向とすることができる。さらに、本詳細な説明及び特許請求の範囲の全体にわたって使用される用語「垂直方向」は一般に、横方向及び長手方向に直交する方向を指す。例えば、靴型システム100の垂直方向を一般に、靴型システム100の底面110から靴型システム100の上面112まで延びる方向とすることができる。また、本明細書で使用される用語「外側」及び「内側」(例えば外面及び内面又は外部及び内部)は、関連する部分及び/又は面を指す。要素の外部又は外面を、要素の内部又は内面とは別に、基準内部位置(例えば中心軸線、内部空間等)から配置することができる。
【0018】
様々な実施形態において、靴型部材102の形状を変えることができる。いくつかの実施形態において、靴型部材102は、足に近似した形状を有することができる。当業者が既知の任意の形状を履物の靴型に対して使用することができる。当然ながらいくつかの実施形態では、靴型部材102は、足に対応しない他の形状の構成を含むことができる。かかる構成には、フランジ、ハンドル、開口部又は他の構成を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態は、製造工程の間、靴型を機械、スタンド又は取付具に装着又は取り付けることができる、形状の構成を含むことができる。
【0019】
様々な実施形態において、靴型部材102の寸法を変えることができる。例示的な寸法は、多くの様々な靴のサイズに対する寸法の範囲を含む、履物の靴型と一般に関連付けられる寸法を含むことができる。例えばいくつかの実施形態では、靴型部材102を、所与の高さ、長さ及び幅の範囲に対応することができる、特定の足のサイズと関連付けることができる。
【0020】
様々な実施形態において、靴型部材102を構成する材料を変えることができる。靴型部材102に使用することができる例示的な材料は、木材、金属、プラスチック、ゴム、複合材料及びあるいは他の材料を含むことができるが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、靴型部材102を、熱硬化性重合体で製造することができる。他の実施形態では、靴型部材102を、熱可塑性重合体で製造することができる。少なくともいくつかの実施形態では、以下更に詳細に説明するような三次元物体の印刷に使用される既知の材料から、靴型部材102を製造できることが考えられる。
【0021】
様々な実施形態において、外層104の形状を変えることができる。いくつかの実施形態では、外層104は、靴型部材102の外面106上に形成される比較的薄い材料層を含むことができる。例えば、例示的実施形態では、靴型部材102の前足部10は、靴型部材102の中心軸線132から外面106まで測定した寸法である、径方向厚さ130を有することができる。これに対して、外層104は、外層104の内面107と外層104の外面108との間で測定した寸法である、厚さ140を有することができる。いくつかの実施形態では、厚さ130を厚さ140よりも実質的に厚くすることができる。言い換えれば、靴型部材102の少なくともある部分(例えば前足部分)を外層104よりも実質的に厚くすることができる。ある場合には、厚さ130を厚さ140の5倍から10倍とすることができる。他の場合には、厚さ140を厚さ140の10倍から20倍とすることができる。一例を挙げると、厚さ130の値を3センチメートルから10センチメートルとすることができる一方、厚さ140の値を10ミリメートルから20ミリメートルのオーダーとすることができる。
【0022】
図1−17に表す実施形態では、外層104は実質的に一定の厚さを持つことができる。しかしながら、他の実施形態では、靴型システム100の外層104の厚さを様々な領域にわたって変化させることができる。外層の厚さが変化した実施形態を以下で説明し
図18−23に表す。
【0023】
靴型部材102及び外層104の材料特性を変えることができる。例えば、様々な実施形態において、靴型部材102及び外層104の相対剛性及び/又は硬度を変えることができる。比較のために、靴型部材102の剛性が第1剛性であることを特徴とすることができ、外層104の剛性が第2剛性であることを特徴とすることができる。いくつかの実施形態では、第1剛性を第2剛性よりも大きくすることができ、例えば靴型部材102を外層104よりも硬くすることができる。他の実施形態では、第2剛性を第1剛性よりも大きくすることができ、例えば外層104を靴型部材102よりも硬くすることができる。更に他の実施形態では、第1剛性を第2剛性と実質的に等しくすることができ、例えば靴型部材102を外層104と同様の硬さとすることができる。例示的実施形態では、外層104を靴型部材102よりも柔らかくすることができる。
【0024】
様々な実施形態において、外層104を様々な材料から製造することができる。いくつかの実施形態では、外層104を、熱変形可能な材料で製造することができる。本詳細な説明及び特許請求の範囲の全体にわたって使用される用語「熱変形可能」は、加熱されたときに柔軟になり、成形可能になり、融解でき及び/又は流動できる、任意の材料を指す。熱変形可能な材料は、熱硬化性重合体及び熱可塑性重合体を含むことができる。また、熱変形可能な材料は、熱硬化性材料及び熱可塑性材料(例えば熱可塑性エラストマー(TPE))の組み合わせで構成される材料を含むこともできる。
【0025】
熱変形可能な材料(例えば熱硬化性重合体及び熱可塑性重合体)を、特性温度と関連付けることができる。また、本詳細な説明及び特許請求の範囲の全体にわたって使用される用語「特性温度」は、材料の1つ以上の性質が変化する温度を指す。かかる変化は、相変化を含むことができ、また相変化を含まないこともできる。例えば、材料の相変化は発生しないが材料がより柔軟になり及び/又は成形可能になる場合に、特性温度を材料のガラス転移と関連付けることができる。かかる場合には、特性温度を材料のガラス転移温度と関連付けることができる。他の場合において、特性温度を相変化(例えば、固体状から液状への変化すなわち融解)と関連付けることができる。かかる場合には、特性温度を材料の融解温度と関連付けることができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、外層104を1つ以上の熱可塑性材料で製造することができる。熱可塑性材料の温度が特性温度を超えると、熱可塑性材料は柔軟又は成形可能になり得、その後熱可塑性材料が冷却されて熱可塑性材料の温度が特性温度を下回ると固体状に戻る。特性温度の値を、使用される特定の材料によって決定することができる。外層に対して使用することができる例示的な熱可塑性材料は、アクリル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、プリスチレン、プリ塩化ビニル(PVC)及び熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含むがこれらに限定されるものではない。
【0027】
靴型部材102及び外層104は、様々な材料で製造された場合に、様々な融解温度及び/又はガラス転移温度を持つことがある。例えばいくつかの実施形態では、靴型部材102を比較的高いガラス転移温度及び/又は融解温度を持つ材料で製造することができる。あるいは、靴型部材102はガラス転移温度及び/又は融解温度を持たなくてもよく、その代わりに靴型部材102の温度が特性温度を超えると靴型部材102が分解する(例えば燃焼する)こともできる。これに対し、外層104は比較的低いガラス転移温度及び/又は融解温度を有することができる。したがって、例えば外層104が、ガラス転移温度又は融解温度のいずれかとすることができる特定温度に関連付けられる場合に、靴型部材102が当該特性温度を超える温度で固体状態を維持するように構成され得る。かかる対策によって、靴型システム100が加熱されて特性温度を超える場合に、靴型部材102を固体状態に保ち所望の足型を維持しながら、外層104を柔軟にし及び/又は融解させることができる。
【0028】
図2は、熱源180によって加熱されている靴型システム100の模式図である。熱源180を任意の種類の熱源とすることができ、熱源は加熱灯、電熱器、炎及び当業者が既知の他の任意の種類の熱源を含むがこれらに限定されるものではない。明瞭化のため、熱源180を単一の熱源として示すが、他の実施形態では、靴型システムの周りに任意の構成で配置された他の任意の数の熱源を備えることができる。
【0029】
図2に表すように、熱源180は靴型システム100の部分190の温度を特定温度(例えば外層104に関連付けられるガラス転移温度及び/又融解温度)を超えて上昇させる。この特性温度を超えると、外層104は柔軟になり及び/又は融解することができる。したがって、拡大断面図に表すように、靴型部材102の外面106の上の部分190が融解し始める。さらに、靴型部材102の温度が特性温度を超えた場合でさえも、靴型部材102がその形状を維持し、靴型部材102が変形しないことが明らかである。
【0030】
様々な実施形態において、熱源180がある温度範囲で動作するように構成され得る。いくつかの実施形態では、熱源180は、靴型システム100の一部(又は全部)をおおよそ100℃から200℃の範囲の温度まで加熱することができる。他の実施形態では、熱源180は、靴型システム100の一部(又は全部)をおおよそ150℃から300℃の範囲の温度まで加熱することができる。更に他の実施形態では、熱源180は、靴型システム100の一部(又は全部)を実質的に300℃超まで加熱することができる。さらに、いくつかの実施形態では、熱源180は、靴型システム100の一部(又は全部)を100℃未満まで加熱することができる。熱源180の動作範囲を靴型システム100を製造するために使用される材料(例えば靴型部材102及び外層104を構成する材料)の種類によって、あるいは他の製造時の考慮事項によって選択できることが理解されるであろう。具体的に、ある場合には、靴型部材が柔軟になり、融解し及び/又は分解する温度を下回るように靴型部材の温度を保ちながら、靴型システムの外層の温度がガラス転移温度及び/又は融点を超えるまで加熱されるように、熱源180の動作範囲を選択することができる。
【0031】
ある実施形態は、付加製造工程を用いて靴型システムを形成するための対策を含むことができる。いくつかの実施形態では、靴型部材及び/又は外層を付加製造工程を用いて形成することができる。一実施形態では、靴型部材102及び/又は外層104の両方を付加製造工程を用いて形成することができる。
【0032】
図3−5は、付加製造装置200を用いて靴型システム100を製造する工程のステップの模式図を示す。また用語「付加製造」は、「3次元印刷」を指し、コンピュータの制御下で材料の層を連続的に据える付加的な工程によって3次元物体を製造する任意の技術を指す。例示的な付加製造技術には、熱溶融積層法(FDM)、電子ビーム自由形状製作(EBF)、直接金属レーザー焼結法(DMLS)、電子ビーム溶解(EBM)、選択的レーザー溶解(SLM)、選択的加熱焼結(SHS)、選択的レーザー焼結(SLS)、石膏3Dプリント法、薄膜積層法(LOM)、ステレオリソグラフィ(SLA)及びデジタルライトプロセッシング(DLP)等の押出成形法を含むことができるがこれらに限定されるものではない。一実施形態では、付加製造装置200を、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)又はプリ乳酸(PLA)等の熱可塑性材料を印刷するように構成される、熱溶融積層法型のプリンタとすることができる。
【0033】
フィラメント溶解製法(FFF)を用いた印刷装置の例が、Crumpによる米国特許第5,121,329号明細書(1989年10月30日出願、発明の名称「Apparatus and Method for Creating Three-Dimensional Objects」)に開示されており、当該出願の明細書を本明細書に参照として援用し、以下「3D物体」出願と呼ぶ。本開示の実施形態は、3D物体出願で開示されたシステム、要素、装置及び方法のいずれかを利用することができる。
【0034】
付加製造装置200を使用して、履物の物品の形成に使用される1つ以上の要素を製造することができる。例えば、付加製造装置200を使用して、履物の物品のアッパーを形成する際に使用することができる、履物の靴型(又は単純に「靴型」)を形成することができる。さらに、少なくともいくつかの実施形態では、付加製造装置200を使用して、履物の物品用の他の要素を形成することができ、当該要素は、ソール要素(例えばインソール要素、ミッドソール要素及び/又はアウトソール要素)、トリム要素、オーバーレイ要素、アイステイ、パネル又はアッパー用の他の部分、あるいは他の要素を含むが、これらに限定されるものではない。かかる対策では、Stermanによる米国特許明細書(目下米国特許出願番号第14/273,726号、2014年5月9日出願、発明の名称「System and Method for Forming Three-Dimensional Structures」)に開示されたシステム及び/又は要素のいずれかを使用することができ、当該出願の明細書の全内容を本明細書に参照により援用する。
【0035】
図3−4に表すように、付加製造装置200は、装置ハウジング201と、作動組立体202と、押出ヘッド205とを含むことができる。付加製造装置200は、プラットフォーム206も含むことができる。ある場合には、付加製造装置200のプラットフォーム206をx軸線及びy軸線(すなわち水平軸線)方向で移動させながら、押出ヘッド205を作動組立体202によってz軸線(すなわち垂直軸線)上で移動させることができる。他の場合には、押出ヘッド205は、固定されたプラットフォームの上で完全な3次元移動(例えばx−y−z運動)ができる。
【0036】
図3−4は、付加製造装置200を用いてカスタマイズされた靴型部材102を形成する方法を示す。具体的には、押出ヘッド205が材料層を連続的に据えながら、靴型部材102が形成される。例えば、
図3は、靴型部材102の最初の層210の形成を示す。
図4は、靴型部材102の最後の層212が形成された状態を示す。
【0037】
いくつかの実施形態では、外層104も付加製造工程によって形成することができる。
図5に表すように、靴型部材102が形成された後に、付加製造装置200を使用して、靴型部材102上に外層104を形成することができる。
図5に表す実施形態では、靴型部材102の外面106上に、外層104の最上部220が形成され(例えば印刷され)ている。
【0038】
例示的実施形態では、外層104が付加される前に靴型部材102を完全に形成しているが、他の実施形態では、靴型部材102が完全に形成される前に、外層104のある部分が押出されるように、靴型部材102及び外層104を製造することができる。例えば、別の実施形態では、靴型部材102(及び外層104)の中足部分及び/又はヒール部分を形成する前に、靴型部材102の前足部分と外層104の関連前足部分とを形成することができる。
【0039】
他の実施形態では、靴型システム100を他の任意の手法で形成できることも理解されるであろう。例えば、
図6に表す代替的実施形態では、靴型部材300を、容器310の中の成型可能な材料(例えば溶解された熱可塑性材料)302と関連付けることができる。靴型部材300のある部分304を成型可能な材料302に浸す際に、部分304を成型可能な材料302の層320で覆うことができる。層320を固体化させて、靴型部材300上に外層の一部を形成することができる。本例では靴型部材300の一部のみを被覆しているが、このような方法を使用して靴型部材300の全外面を覆う外層を形成できることが理解され得る。更に他の実施形態では、靴型部材300上に外層を形成する材料を散布することができ、又は熱及び/若しくは圧力を加えることができる。
【0040】
図7−8は、靴型システム100上に、編組装置400を使用して編組された履物要素を形成する方法の模式図を示す。例示的な編組装置は、任意のオーバー編組装置、ラジアル編組装置又は3次元編組装置を含むことができる。編組装置400は、靴型の上に編組された糸を形成するために、張力要素(例えば縫い糸)を靴型に当てるように構成され得る。このことを達成するために、編組装置400を、編組装置400の周辺部404に配置された複数のスプール402とともに構成することができる。縫い糸406をスプール402から中央編組領域410に向けて径方向内側に供給することができる。
【0041】
本例示的方法は、靴型システム上に編組された履物要素を設ける。本詳細な説明及び特許請求の範囲の全体にわたって使用される用語「編組された履物要素」(又は単純に「編組された要素」)は、張力糸の一部が他の張力糸と編組される、任意の張力糸(例えば縫い糸、織り糸等)の構造を指す。さらに、本明細書で使用される「編組」は、材料の3本以上の糸を編み合わせた任意の構造を指す。
【0042】
アッパーを構成するために編組装置を利用する実施形態において、アッパーを製造するために使用される材料は主に、様々な種類の張力要素(又は張力糸)から構成され得、編組装置を使用して当該張力要素からアッパーを形成することができる。かかる張力要素は、縫い糸、織り糸、ひも、ワイヤ、ケーブル及び他の種類の張力要素を含むことができるが、これらに限定されるものではない。本明細書で使用される張力要素は一般に、対応する直径よりも大きな長さを有する細長い材料を表すことができる。言い換えれば、張力要素をほぼ一次元的な要素とすることができ、これに対して織物材料のシート又は層を一般にほぼ二次元的な(例えば厚さが長さ及び幅よりも小さい)要素とすることができる。本例示的実施形態では、様々な種類の糸が使用されるが、他の実施形態では、編組装置に対応する他の任意の種類の張力要素を使用できることが理解され得る。
【0043】
編組装置とともに使用できる例示的な糸又は織り糸は、ウール、亜麻及び綿並びに他の一次元的な材料を含む材料から製造される繊維を含むが、これらに限定されるものではない。繊維を動物、植物、鉱物及び合成物質から得ることができる。動物性材料は例えば、髪、動物性毛皮、動物の皮、絹等を含むことができる。植物性材料は例えば、草、イグサ、麻、サイザル等を含むことができる。鉱物性材料は例えば、玄武岩繊維、ガラス繊維、金属繊維等を含むことができる。合成繊維は例えば、ポリエステル、アラミド、アクリル、炭素繊維及び他の合成材料を含むことができる。
【0044】
図7において、靴型システム100上に編組された履物要素を形成する工程は、靴型システム100を編組装置400と関連付けることによって始めることができる。ある場合には、靴型システム100の所望の部分が靴型システム100の中央編組領域410と位置合わせされるように、靴型システム100を特定の方向を向いて編組装置400と位置合わせすることができる。
【0045】
図8では、編組装置400の中央編組領域410は靴型システム100に供給して、編組されたアッパーの形で、編組された履物要素を形成することができる。いくつかの実施形態では、オペレータが手動で編組装置400によって靴型システム100に供給する事ができる。他の実施形態では、編組装置400は、連続靴型供給システムを使用して靴型システム100に供給することができる。本実施形態は、Bruceによる米国特許出願公開第2015/0007451号明細書(目下米国特許出願番号第14/495,252号、2014年9月24日出願、発明の名称「Article of Footwear with Braided Upper」)で開示された編組されたアッパーを形成する方法及びシステムのいずれかを使用することができ、当該出願の明細書の全内容を本明細書に参照により援用する。さらに、いくつかの実施形態は、編組装置によって物品を保持及び/又は供給する付加的な対策を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態は、支持プラットフォーム、レール、コンベア、又は編組装置による物品の供給を促進できる他の構造を含むことができる。
【0046】
図8に表すように、編組装置400が靴型システム100に供給するときに、編組された履物要素500を靴型部材102の周りに形成する。具体的には、編組された履物要素500を靴型システム100の外層104の外面上に形成する。この場合には、編組された履物要素500は、靴型システム100に従う連続的に編組されたアッパーの要素を含み、したがって靴型システム100とほぼ同じ形状を有する。
【0047】
図9−11は、編組された履物要素の糸を外層と結合する工程のステップを示す。本明細書で使用される用語「結合する」は、編組された履物要素の糸を靴型システムの外層を含む材料と接着し、融合し、固定し又は取付けることを指すことができる。
図9を参照して、編組された履物要素500と一緒の靴型システム100を編組装置400から外した後に、編組された履物要素500の一部510を取り去ることができる。具体的には、ある場合には、編組された履物要素500の部分510を、編組された履物要素500のカフ部512に隣接させることができる。カフ部512は開口部514を生み出すことができ、開口部514を通じて靴型部材102を最終的に取り去ることができる。
【0048】
図9で表される構成において、最初に、編組された履物要素500の糸550を、外層104の外面108上に配置する。糸550と外層104との結合を始めるために、
図10及び11に表すように、熱源600を使用して靴型システム100を加熱することができる。明瞭化のために、
図10及び11では2つの熱源を示しているが、他の実施形態では、任意の数の熱源を使用することができる。さらに、靴型システム100に対して任意の位置及び/又は姿勢に熱源600を配置することができる。ある場合には、編組された履物要素500と一緒の靴型システム100が編組装置400から出たあとに自動的に熱源600付近に移動するように、熱源600をコンベアシステム上のステーションの部品として構成することができる。
【0049】
図10に表すように、外層104の温度が所定の温度(例えばガラス転移温度又は融解温度等の特性温度)を超えて上昇したときに、外層104が柔軟になり得る。編組された履物要素500における張力は、糸550を、目下柔軟になり糸550を受入れることができる外層104へ(すなわち径方向内側へ)引っ張るのに役立つことができる。次に
図11を参照して、外層104を含む材料が、連続的に加熱されることで、糸550の周りで成型されるのに十分な軟性となる。このことで、外層104の材料を複数の糸550の間の空間に充填させることができ、その結果、糸550を部分的に(又は完全に)包むことができる。
【0050】
編組された履物要素500及び外層104が結合され又は一体化した後に、熱源600を取り去ることができる。ある場合には、外層104を含む材料が実質的に固体の材料に戻るように、編組された履物要素500と外層104を含む材料とを所定の温度未満まで冷却させることができる。ある場合には、ファン及び/又は他の冷却機構を使用して、冷却を促進することができる。
【0051】
図12に表されるように、冷却後、靴型部材102を編組された履物要素500及び外層104から取り去ることができる。いくつかの実施形態では、編組された履物要素500及び外層104を結合して複合構造650を形成する。さらに、複合構造650は履物のアッパーの形をとることができる。
【0052】
また、本詳細な説明及び特許請求の範囲の全体にわたって使用される用語「複合構造」は、2つ以上の材料で構成される構造を指す。例示的実施形態において、複合構造は、編組された構成(すなわち編組された履物要素)に配置された複数の張力糸として構成される。編組された構成では、糸が少なくとも部分的に熱変形可能な材料(例えば熱可塑性材料)に固定される。複合構造は、熱変形可能な材料及び埋込まれた張力糸の両方に対応する材料特性を持つことができる。したがって、熱変形可能な材料は、ガラス転移温度(又は融解温度)を下回るまで冷却されたときに、少なくとも部分的に張力糸を覆い、張力糸の相対運動を制限する接着剤(例えば樹脂、マトリックス及び/又は粘着剤)としてふるまうことができる。特に、複合構造は、編組された履物要素のみよりもより剛性の構造をもたらすことができる。
【0053】
明瞭化のために、外層104を備える材料を、編組された履物要素500と結合して固体になるまで冷却された後に、複合構造のマトリックス部と呼ぶことができる。さらに、マトリックス部を含む材料を、マトリックス材料と呼ぶことができる。編組された履物要素の糸をマトリックス部と結合することで、糸を部分的に定位置に固定することができ、それによって、糸が破壊される傾向を減少させ、及び/又は元の編組パターンが経時的に劣化する傾向を減少させることができる。マトリックス部は、(選択されたマトリックス材料によって、)向上した耐摩耗性、強度、支持及び緩衝作用さえも与え得る。ある場合には、編組された履物要素をマトリックス部と結合することは、編組された履物要素の不必要な伸長を減少させるのにも役立ち得る。さらに、(例えば熱可塑性の)マトリックス部を、複数の糸の間のスペースに充填して、汚れる傾向及び/又はデブリがアッパーを通じて物品に入る傾向を減少することができる。言い換えれば、ある場合には、マトリックス部は、編組された履物要素の目の粗いメッシュ構造に対するシーラントとしてふるまうことができる。
【0054】
いくつかの実施形態は、ソール要素を複合構造650に接着するステップを更に含むことができる。
図13において、例示的実施形態は、第1ソール要素700及び第2ソール要素702を含む。履物670の完成物品を形成するために、第1ソール要素700及び第2ソール要素702は複合構造650に接着される。ソール要素は、インソール要素、ミッドソール要素及び/又はアウトソール要素を含む1つ以上のソール要素を組込むことができる。さらに、接着、縫合、溶接、又は当業者が既知のアッパー及びソールを結合する他の任意の方法を使用して、ソール要素を複合構造(例えばアッパー)と結合することができる。
【0055】
図13では、マトリックス部652と結合した、(編組された履物要素の)糸550を含む複合要素650を表す。すでに説明したように、マトリックス部652は、靴型システム100の前もって形成された外層104(
図1参照)の材料(例えば熱可塑性材料)を含む。この場合に、マトリックス部652は、糸550をその中に部分的に(又は完全に)埋込むことができる、マトリックスを形成する。
【0056】
図14は、ユーザが足799に履いた履物670の物品の等角模式図を示す。
図15−17は、
図14に示した切断面に沿って切断した、複合構造の様々な可能である構成を示す。
図15に表すように、いくつかの実施形態では、糸550を履物670の物品の外面672に露出させることができる。この場合には、糸550を完全にではなく部分的にマトリックス部652に埋込むことができる。さらに、糸550を足799からマトリックス部652の内面653によって隔てることができる。かかる構成を、糸550が外層104を完全に貫通する時間がたつ前に外層104を冷却することによって、達成することができる。この構成は、糸550と足799との間の接触を制限することによって、足799の感触を向上させるのに役立ち得る。
【0057】
あるいは、
図16に表すように、糸550の全部分がマトリックス部652の内面653又は外面655のいずれにも露出しないよう、糸550を完全にマトリックス部652内に包むことができる。かかる構造を、糸550の直径740よりも実質的に厚い厚さ730のマトリックス部652を形成することによって、達成することができる。この構成によって、糸550が足との接触及び履物670の物品の外部の物体との接触から保護されるため、感触を向上させることができ、糸550の摩耗を軽減することができる。
【0058】
図17に表す更に他の構造では、糸550を完全にではなく部分的にマトリックス部652に埋込むことができる。この場合には、糸550をマトリックス部652の内面653上で露出させ得、糸550をマトリックス部652の外面655には露出させないようにし得る。かかる構造を、外層104を冷却するまでに、糸550が外層104の全厚みを通り抜ける時間を経過させることによって、達成することができる。この構成によって、マトリックス部652の外面655上の物体との接触に対する糸550の耐摩耗性を向上させることができる。当然ながら、更に別の実施形態では、マトリックス部652の薄さを、糸550がマトリックス部652の外面及び内面の両方で露出するのに十分なものとすることができる。
【0059】
実施形態は、履物の物品に対する複合構造の材料の特徴を変える対策を含むことができる。いくつかの実施形態では、様々な厚さの領域又は区域を有する外層を備えた、履物システムを構成することができる。当該様々な厚さの領域又は区域は、編組された履物要素の糸と接着していることによって、物品の様々な領域にわたって様々な材料の特徴をもたらすことができる。これらの材料の特徴は、剛性、硬度、伸長、柔軟性及び他の材料の特徴を含むことができるが、これらに限定されるものではない。例えば、第1領域の第1厚さを第2領域の第2厚さよりも厚くすることで、第1領域の剛性を第2領域よりも大きくすることができる。
【0060】
図18は、靴型システム800を形成する工程のあるステップを示す図である。
図18を参照すると、付加製造装置900を使用して靴型部材802が形成される。この時点では、付加製造装置900の押出ヘッド905は、靴型システム800の外層804を形成している。より具体的には、つま先領域810及び隣接するつま革領域812で外層804が形成されている。
図18に表すように、外層が、つま先領域810において、つま革領域812よりも厚く形成されている。言い換えれば、靴型システム802のつま先領域810では、つま革領域812よりも多くの材料が据えられている。
【0061】
図19は、
図18に表す付加製造工程によって製造された靴型システム800の実施形態の模式図を示す。
図19を参照して、靴型システム800は、つま先領域810及び足首領域816を含む。この実施形態では、つま先領域810及び足首領域816の両方は、外層804の残りの領域よりも実質的に厚い厚さを有する。具体的には、つま先領域810は第1厚さ830を有し、足首領域816は第2厚さ832を有し、外層804の残りの部分(例えばつま革領域812)は第3厚さ834を有する。例示的構成では、第1厚さ830は第3厚さ834よりも厚い。また、第2厚さ832は第3厚さ834よりも厚い。
【0062】
図20は、靴型システム800(
図19参照)の上に編組された履物要素1002を形成し、熱を加えて外層804を編組された履物要素1002と接着することによって生成することができる、複合構造1000の例示的構成を示す。また、ソール要素1001に複合構造1000を取り付けて、履物1003の物品を形成することができる。
図19及び20を参照して、外層804のつま先領域810を編組された履物要素1002の糸1004と結合して、複合構造1000の厚くしたつま先領域1010を形成する。同様に、外層804の足首領域816を編組された履物要素1002の糸1004と結合して、複合構造1000の厚くした足首領域1012を形成する。
【0063】
図20に表すように、つま先領域1010は第1厚さ1020を有し、足首領域1012は第2厚さ1022を有し、複合構造1000の残りの領域(例えばつま革領域1014)は第3厚さ1024を有する。さらに、第1厚さ1020は第3厚さ1024よりも厚く、第2厚さ1022は第3厚さ1024よりも厚い。この構成によって、例えば複合構造1000のつま革領域1014及び他の領域と比較して、つま先領域1010及び足首領域1012に対してより硬い構造を与えることができる。
【0064】
図21及び22は、足1100が複合構造1000を含む履物の物品内に挿入された、複合構造1000のつま先領域1010とつま革領域1014の一部とのクローズアップされた模式図を示す。
図21は複合構造1000に力が加わっていない状態を表す一方、
図22は複合構造1000に力が加わっている状態を表す。
【0065】
図22では、第1の力1202がつま先領域1010に加えられている。また、第2の力1204がつま革領域に1014に加えられている。つま先領域1010及びつま革領域1014の材料特性を比較するために、第1の力1202及び第2の力1204が同等である場合を検討する。複合構造1000のつま先領域1010及びつま革領域1014に対してボールが同時に衝突した場合に、このような力のプロファイルがなされ得る。
【0066】
図21及び22を比較することでわかるように、つま先領域1010の相対剛性は、第1の力1202が加わることによるつま先領域1010の実質的な変形を妨げる。これに対して、つま革部1014は剛性が比較的低い結果、第2の力1204が加わることによってつま革部1014が変形していることが示される。したがって、この構成によってつま先に対する保護を向上させ得る。言い換えれば、ある場合には、つま先領域1010は、トゥキャップ及び/又はトゥパッドと同様につま先を保護する機能を果たすことができる。
図21及び22は、つま革領域1014に対するつま先領域1010の相対剛性を示すが、足首領域1012を、つま先領域1010と同様の方法で変形に抵抗するように同様に構成することができることが理解できる。足首領域1012の当該構成によって、足首領域1012は、つま先領域1010がつま先に対してもたらす強度及び支持と同等の強度及び支持を、足首に提供し得る。
【0067】
図23は、靴型システムの外層に関して異なる厚さを有する、いくつかの異なる区域又は領域を示す。当該異なる区域又は領域によって、外層及び編組された履物要素から形成された複合構造に対して対応する厚さの変化をもたらすことができる。
図23を参照して、靴型システム1300は、靴型部材1302と外層1304とを含む。いくつかの実施形態では、外層1304が履物の物品に組込まれているときに、外層1304は厚くした底部ソール領域1310を含むことができ、厚くした底部ソール領域1310は、付加的な強度、支持、及び足の下で(例えば足のソールまでで)緩衝をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、外層1304が履物の物品に組込まれているときに、外層1304は厚くしたヒール領域1312を含むことができ、厚くしたヒール領域1312は、付加的な強度、支持及び足のヒールに対する緩衝をもたらすことができる。
【0068】
厚さを変化させた区域は、広い領域に限定されるものではない。ある場合には、細長い形(例えばリッジ、チャンネル等)を含む様々な形状の、厚さを変化させた区域を形成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、外層1304は厚くしたアイステイ領域1314を含むことができ、厚くしたアイステイ領域1314は、外層1304を組込んだ物品のアイレットに対する強度を向上させることができる。特に、ある場合には、アイレットを外層1304のアイステイ領域1314内の穴として形成することができ、関連する編組された履物要素の糸によってアイレットを更に補強することができる。靴型システム1300の締付領域1315の周と境を接する、全体的に細長い形状を有するアイステイ領域1314を
図23に表す。いくつかの実施形態では、外層1304は、例えばつま先領域1321に、厚くしたリッジ領域1318(又はリッジ部)を組込むことができる。当該リッジ部1318は、外層1304を厚くするバンド又はラインを含むことができる。リッジが完成した履物の物品に対するボールコントロール又は他の機能性をもたらし得るように、かかるリッジは、複合構造を形成する工程の間、その形状をほぼ維持することができる。
【0069】
複合構造(外層を含む)の以下の実施形態は、いくつかの区域又は領域の厚さを残りの部分よりも厚くすることを特徴とするが、他の実施形態は、いくつかの区域を構造の残りの部分よりも実質的に薄くすることができる。例えば、他の実施形態では、複合構造の大部分が第1厚さを有することができる一方、ある領域(例えば内側領域)は第1厚さよりも実質的に薄い第2厚さを有することができる。このようなより薄い領域は、アッパーの残りの領域よりも剛性が低いため、着用者により大きな触覚をもたらすことができ、足のある範囲の感触又は固有受容を向上させることができる。
【0070】
他の実施形態では、靴型部材の外面に、ある材料の領域を選択的に適用することができることが理解できる。特に、外層を靴型部材の全面に適用する必要はなく、その代わりに、外層を選択した領域に適用することができる。一例を挙げると、ある実施形態では、つま先、つま革、ヒール及び/又は足首付近の分散した(例えば分離した)領域に存在する外層を含むことができる。かかる場合には、編組された履物要素のある部分又は領域のみが外層と結合することができ、結果として生じる構造は分散した複合領域を含むことができる。例えば、ある実施形態は、つま先領域では、マトリックス部に埋込まれた編組糸の複合領域を含むアッパーを含むことができるが、つま革領域では、編組糸のみを有する(すなわちマトリックス部を持たない)ことができる。熱変形可能な材料をこのように選択的に適用することで、結果として生じるアッパーに対する剛性を変化させた領域を提供することができる。
【0071】
いくつかの実施形態を説明したが、この説明は、限定的なものではなく例示的なものであることを意図するものである。当業者は、実施形態の範囲内で、より多数の実施形態及び実装が可能であることが明らかであろう。したがって、添付した特許請求の範囲及びその均等物を除いて、実施形態は限定されるものではない。また、添付した特許請求の範囲の範囲内で、様々な変形及び変更を行うことができる。