(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6608483
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】スライドレール機構
(51)【国際特許分類】
H05K 7/02 20060101AFI20191111BHJP
H05K 7/00 20060101ALI20191111BHJP
H05K 7/18 20060101ALI20191111BHJP
A47B 97/00 20060101ALI20191111BHJP
A47B 88/423 20170101ALI20191111BHJP
A47B 88/40 20170101ALI20191111BHJP
H05K 7/12 20060101ALI20191111BHJP
【FI】
H05K7/02 R
H05K7/00 B
H05K7/18 E
H05K7/18 F
A47B97/00 M
A47B88/04 A
A47B88/04 Z
H05K7/12 S
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-108188(P2018-108188)
(22)【出願日】2018年6月6日
(65)【公開番号】特開2019-83305(P2019-83305A)
(43)【公開日】2019年5月30日
【審査請求日】2018年6月6日
(31)【優先権主張番号】106137836
(32)【優先日】2017年10月31日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】504297766
【氏名又は名称】川湖科技股▲分▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】513240939
【氏名又は名称】川益科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】陳 庚金
(72)【発明者】
【氏名】楊 順和
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼ 建立
(72)【発明者】
【氏名】王 俊強
【審査官】
五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭64−50478(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/02
A47B 88/40
A47B 88/423
A47B 97/00
H05K 7/00
H05K 7/12
H05K 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器をラックに取り付けるように適合されたスライドレール機構であって、当該スライドレール機構は、
第1のレールと、
前記第1のレールに配置されるブラケット装置であって、該ブラケット装置は前記ラックに取り付けられる、ブラケット装置と、
強化部と、
を含み、
前記電子機器は当該スライドレール機構の第1の側に配置され、前記第1のレール及び前記ブラケット装置のうちの一方は構造機能部を含み、該構造機能部は当該スライドレール機構の第1の側と、前記第1の側の反対側の第2の側とを連通し、
前記構造機能部は前記電子機器のケーブルが貫通できるように構成され、
前記第1のレール及び前記ブラケット装置のうちの一方は第1の壁と、第2の壁と、該第1の壁及び該第2の壁の間に接続される側壁とを含み、該第1の壁、該第2の壁及び該側壁は共同で空間を定義し、前記構造機能部は前記側壁に配置され、前記強化部は前記空間に収容される、スライドレール機構。
【請求項2】
前記強化部は第1の支持壁、第2の支持壁、中間壁及び第1の係合部を含み、
前記中間壁は前記第1の支持壁と前記第2の支持壁との間に接続され、前記第1の支持壁、前記第2の支持壁及び前記中間壁は前記第1の壁、前記第2の壁及び前記側壁にそれぞれ対応して位置し、前記中間壁は前記構造機能部に隣接する対応機能部を含み、前記第1の係合部は前記側壁の第2の係合部と係合するように構成されている、請求項1に記載のスライドレール機構。
【請求項3】
前記構造機能部はケーブル貫通孔であり、前記スライドレール機構は前記第1のレールに対して可動な第2のレールをさらに含む、請求項1に記載のスライドレール機構。
【請求項4】
前記ブラケット装置は取り付け部材を含み、該取り付け部材は前記ラックのポストに取り付けられるように構成され、前記ブラケット装置は補強部材を通じて前記第1のレールに取り付けられる、請求項1に記載のスライドレール機構。
【請求項5】
第1の端部及び第2の端部を有する第1のレールと、
前記第1のレールの第2の端部に隣接して接続されるブラケットと、
前記第1のレールの第1の端部に隣接して接続されるブラケット装置であって、該ブラケット装置にはケーブル貫通孔が配置される、ブラケット装置と、
を含むスライドレール機構。
【請求項6】
補強部材及び第2のレールをさらに含み、
前記補強部材は前記第1のレールの後ろ側に接続され、前記補強部材は空間を定義し、前記ブラケット装置は前記補強部材の前記空間を通じて前記第1のレールに対して可動な側壁を含み、
前記側壁は前記ケーブル貫通孔を含み、前記第2のレールは前記第1のレールに対して可動である、請求項5に記載のスライドレール機構。
【請求項7】
前記ブラケット装置は第1の壁及び第2の壁をさらに含み、
前記側壁は前記第1の壁と前記第2の壁との間に接続され、前記第1の壁、前記第2の壁及び前記側壁は空間を共同で定義し、前記スライドレール機構は前記ブラケット装置の前記空間内で収容される強化部をさらに含む、請求項6に記載のスライドレール機構。
【請求項8】
前記強化部は第1の支持壁、第2の支持壁、中間壁及び第1の係合部を含み、
前記中間壁は前記第1の支持壁及び前記第2の支持壁の間に接続され、前記第1の支持壁、前記第2の支持壁及び前記中間壁は前記第1の壁、前記第2の壁及び前記側壁にそれぞれ対応して位置し、前記中間壁は前記ケーブル貫通孔に隣接する対応機能部を含み、前記第1の係合部は前記側壁の第2の係合部と係合する、請求項7に記載のスライドレール機構。
【請求項9】
前記強化部は第1の当接部をさらに含み、該第1の当接部は前記側壁の第2の当接部と協働するように構成されている、請求項8に記載のスライドレール機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスライドレール機構に関し、より具体的には電子機器をラックに取り付けることが可能なスライドレール機構に関する。
【背景技術】
【0002】
図1及び
図2に示すように、ラックシステムにおいては、(
図1に示す)第1の長さを有する第1の電子機器100又は(
図2に示す)第2の長さを有する第2の電子機器102)等の電子機器の2つ側は、一対のスライドレール機構104a、104bを通じてラック106の2対のポスト106a、106bに取り付けることができる。
【0003】
関連する先行技術において、メンテナンス作業者は、これらの電子機器100、102のケーブル107を得るためにスライドレール機構104a、106b又はラック106の側面に沿って後ろ側Rに歩いて行く必要がある場合が多い。ケーブル107は電力線又は伝送線であり、物体108に電気的に接続されるように構成されている。物体108は、例えば電源又は電子機器である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第9913397号明細書
【特許文献2】米国特許第6646893号明細書
【特許文献3】米国特許第6600665号明細書
【特許文献4】米国特許第6305556号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、メンテナンス作業者は、スライドレール機構104a、104bの後ろ側Rを通じてしかこれらの電子機器100、102のケーブル107を得ることができないため、メンテナンス作業者にとって機器をメンテナンスするのが不便となる。
【0006】
本発明は電子機器に適合されたスライドレール機構に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、電子機器をラックに取り付けるように適合されたスライドレール機構が提供される。スライドレール機構は第1のレール及びブラケット装置を含む。ブラケット装置は第1のレールに配置されるとともにラックに取り付けられる。電子機器は当該スライドレール機構の第1の側に配置され、第1のレール及びブラケット装置のうちの一方は構造機能部(structure feature)を含む。構造機能部はスライドレール機構の第1の側と、第1の側の反対側の第2の側とを連通する。構造機能部は電子機器のケーブルが貫通できるように構成されている。
【0008】
本発明の別の態様によれば、スライドレール機構であって、スライドレール機構はスライドレール機構の両側を連通するケーブル貫通孔又は構造機能部を有する。
【0009】
第1のレール、ブラケット及びブラケット装置を含むスライドレール機構が提供される。第1のレールは第1の端部及び第2の端部を有する。ブラケットは第1のレールの第2の端部に隣接して接続される。ブラケット装置は第1のレールの第1の端部に隣接して接続され、ブラケット装置にはケーブル貫通孔が配置される。
【0010】
第1のレール及びブラケット装置を含むスライドレール機構が提供される。ブラケット装置は第1のレールに配置される。第1のレール及びブラケット装置のうちの一方はスライドレール機構の両側を連通するように構成された構造機能部を含む。
【0011】
様々な図面に図示する下記の好ましい実施形態の詳細な説明を読み終えた後、本発明の上記の目的及び他の目的が当業者に間違いなく明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、先行技術のスライドレール機構を通じてラックに取り付けられた第1の電子機器を示す図である。
【
図2】
図2は、先行技術のスライドレール機構を通じてラックに取り付けられた第2の電子機器を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係るスライドレール機構の分解図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態に係るスライドレール機構の組み立て図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態に係る、スライドレール機構が電子機器をラックに取り付け、ケーブルがスライドレール機構の一方側から該一方側の反対の他方側に配置されているのを示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態に係る、スライドレール機構が電子機器をラックに取り付けるのを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図3及び
図4に示すように、本発明の一実施形態に係るスライドレール機構は第1の側S1及び第2の側S2を有する。第1の側S1及び第2の側S2は互いに反対側であることが好ましい。
【0014】
スライドレール機構は第1のレール22及びブラケット装置24を含む。以下では、ブラケット26及び第2のレール27をさらに含むスライドレール機構を一例として説明する。
【0015】
第1のレール22は第1の端部28a及び第2の端部28bを有する。第1の端部28a及び第2の端部28bは例えばそれぞれ前端部及び後端部であるが、本発明はそのような構成に限定されない。他方、第2のレール27は引っ込められた状態又は伸長された状態になるように第1のレール22に対して変位可能である。以下では、第1のレール22の前側に配置された第2のレール27を一例として説明する。
【0016】
ブラケット26は第1のレール22の第2の端部28bに隣接して接続されている。他方、ブラケット装置24は第1のレール22に配置されている。ブラケット装置24は、第1のレール22の後ろ側に配置された補強部材30を通じて第1のレール22の第1の端部28aに隣接して接続されることが好ましい。補強部材30及び第1のレール22は一体の部品として一体化することができる。例えば、補強部材30は第1のレール22の後ろ側に固定接続され、第1のレール22の一部としてみなすことができる。補強部材30は第1の壁33aと、第2の壁33bと、第1の壁33a及び第2の壁33bの間に接続される側壁34とを含むことが好ましい。第1の壁33a、第2の壁33b及び側壁34は共同で空間36を定義する。
【0017】
ブラケット装置24及び第1のレール22のうちの一方は構造機能部38を含む。構造機能部38はスライドレール機構の第1の側S1と第2の側S2とを連通するように構成されている。以下では、ブラケット装置24が構造機能部38を含む場合を一例として説明する。構造機能部38はケーブル貫通孔であることが好ましいが、本発明はそのような構成に限定されない。さらに、ブラケット装置24は第1の壁40aと、第2の壁40bと、第1の壁40a及び第2の壁40bの間に接続される側壁42とを含む。第1の壁40a、第2の壁40b及び側壁42は空間44を定義する。ブラケット装置24の側壁42は補強部材30を通じて第1のレール22に取り付けられている。以下では、ブラケット装置24の側壁42が補強部材30の空間36を通じて第1のレール22に対して動かすことができ、ケーブル貫通孔が側壁42に形成される例を説明する。ブラケット装置24は取り付け部材46をさらに含み、取り付け部材46はブラケット装置24の側壁42の端部位置に配置されることが好ましい。
【0018】
スライドレール機構は、ブラケット装置24の空間44内に収容される強化部48をさらに含むことが好ましい。強化部48は第1の支持壁50aと、第2の支持壁50bと、第1の支持壁50a及び第2の支持壁50bの間に接続される中間壁52とを含む。第1の支持壁50a、第2の支持壁50b及び中間壁52は、ブラケット装置24の第1の壁40a、第2の壁40b及び側壁42にそれぞれ対応して位置するとともに互いに支え合うことができる。中間壁52は構造機能部38に隣接する対応機能部(corresponding feature)54を含む。本実施形態では、対応機能部54は支持孔であり、支持孔の位置は構造機能部38の位置に対応する。
【0019】
第1の支持壁50a及び第1の壁40aは屈曲部であり、互いに支え合うことができることが好ましい。第2の支持壁50b及び第2の壁40bは屈曲部であり、互いに支え合うことができることが好ましい。それにより、スライドレール機構の支持強度を高めることができる。
【0020】
強化部48は第1の係合部56をさらに含み、第1の係合部56はブラケット装置24の側壁42の第2の係合部58と係合するように構成されている。例えば、第1の係合部56及び第2の係合部58は凸構造及び凹(又は孔)構造の組み合わせである。そのような組み合わせは強化部48をブラケット装置24に取り外し可能に接続できるようにする。
【0021】
図3において、強化部48はフランジ540をさらに含むことができる。フランジ540は強化部48の中間壁52から突出するとともに対応機能部54(即ち支持孔)の周りに位置する。フランジ540はケーブルと強化部48との間の摩耗の防止をもたらす。即ち、フランジ540は対応機能部54(即ち支持孔)の周りの端の鋭利さを低減する。これは、ケーブルが支持孔の端によって破損するのを保護する。加えて、フランジ540は強化部48の構造強度を高める。
【0022】
強化部48は第1の当接部60をさらに含み、第1の当接部60はブラケット装置24の側壁42の第2の当接部62と協働するように構成されていることが好ましい。例えば、第1の当接部60及び第2の当接部62は互いに当接して、強化部48が側壁42に取り付けられるときに構造強度及び/又は信頼性を高めることができる。
【0023】
図5に示すように、スライドレール機構は電子機器64をラック66に取り付けるように適合されている。具体的には、電子機器64は例えばサーバー、ハードディスク又は配電ユニット等であるが、本発明は係る構成に限定されない。ラック66は第1のポスト66a及び第2のポスト66bを含み、これらのポスト66a、66bの双方は複数の取り付け孔68を有する(斜視図のために第2のポスト66bの取り付け孔は図示していない)。
【0024】
さらに、スライドレール機構の第1のレール22はブラケット26を通じて第1のポスト66aに取り付けられ、第1のレール22はブラケット装置24(の取り付け部46)を通じて第2のポスト66bに取り付けられる。この部分は当業者に良く知られているため、簡潔性のために詳細な説明はここでは省略する。
【0025】
電子機器64はスライドレール機構の第1の側S1に配置されている。電子機器64が取り付けられ且つ支持されるようにするために、電子機器64は第1のレール22及び第2のレール27の一方に配置することができる。以下、第2のレール27に配置された電子機器64を一例として説明する。これにより、電子機器64は、第2のレール27を通じてラック66の内部からラック66の外に動かすことができるか又はラック66の外からラック66の内部に動かすことができる。
【0026】
構造機能部38はスライドレール機構の第1の側S1と第2の側S2とを連通する。具体的には、構造機能部38はケーブル70が貫通できるようにする。例えば、ケーブル70はスライドレール機構の第1の側S1から構造機能部38(及び強化部48の対応機能部54)を貫通することができる。その結果、ケーブル70は第2の側に露出するか又は第2の側S2に配置される。上記の構成により、作業の簡便性を高めるために、メンテナンス作業員が側面(例えば第2の側S2)のケーブル70に直接アクセスしやすくなる。
【0027】
図6に示すように、電子機器64は一対のスライドレール機構を通じて2対の第1のポスト66a及び第2のポスト66bに取り付けられる。一対のスライドレール機構の1つは構造機能部38を有し、メンテナンス作業員は構造機能部38を通じてスライドレール又はラック66の側部(例えば第2の側部S2)にあるケーブル70を直接得ることができる。即ち、この構成によれば、ケーブル70を得るためにメンテナンス作業員がスライドレール機構又はラック66の一端位置(例えば後ろ側位置B)に歩いて行く必要があるという問題を解決することができる。
【0028】
したがって、本発明の実施形態は下記の特徴を含む。
【0029】
1)スライド機構は第1の側S1及び第2の側S2を有し、ブラケット装置24及び第1のレール22のうちの一方は、スライドレール機構の第1の側S1と第2の側S2とを連通する構造機能部38を含む。電子機器64がスライドレール機構の第1の側S1に配置されている場合、メンテナンス作業員はスライドレール機構の第2の側S2で電子機器64のケーブル70を得ることができる。
【0030】
2)強化部48及びブラケット装置24は構造強度を高めるために支え合うことができる。強化部48は、ケーブル70を支持するためにスライドレール機構を支援するために構造機能部38に隣接する対応機能部54を有する。
【0031】
3)強化部48は、必要に応じて取り付けることができるようにブラケット装置24に取り外し可能に接続される。
【0032】
当業者であれば、本発明の教示を維持しながら多くの変更及び改良が装置及び方法に加えられ得ることに容易に気付く。従って、上記の開示は、添付の請求項の範囲によってのみ限定されると解釈すべきである。
【符号の説明】
【0033】
22 第1のレール
24 ブラケット装置
26 ブラケット
28a 第1の端部
28b 第2の端部
30 補強部材
34 側壁
36 空間
38 構造機能部
40a 第1の壁
40b 第2の壁
42 側壁
44 空間
46 取り付け部材
48 強化部
50a 第1の支持壁
50b 第2の支持壁
52 中間壁
54 対応機能部
56 第1の係合部
58 第2の係合部
60 第1の当接部
62 第2の当接部
64 電子機器
66 ラック
68 取り付け孔
70 ケーブル
S1 第1の側
S2 第2の側