【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の態様において、本発明は、磁束を発生させるまたは受け取る磁束パッドであって、
透磁性コアと、
コアに磁気的に関連付けられ、コイルの巻線が実質的に同一平面にあるように全てが配置されている少なくとも3つの重なり合うコイルと、
を備え、それによって、使用されているコイルの間に相互結合が実質的に存在しない、磁束パッドを広い意味で提供する。
【0013】
コイルは、好ましくは、コアに近接して、または、コアに当接するコイルの表面が実質的に平坦であるようにコアに当接するために位置付けられている。誤解を避けるために記すと、コイルは、コイルが1つの平面の範囲内に完全に位置しない程度の厚さを有することがある。さらに、当然のことながら、少なくともコイルが重なり合う領域において、平面から外れるある程度の偏りが存在するであろう。「実質的に同一平面にある」という言及は、明細書全体を通じてこれらの限定を前提として解釈されるべきである。
【0014】
好ましくは、使用されている各コイルは、少なくとも3つのコイルの中の他のコイル全てから実質的に減結合されている。
【0015】
好ましくは、コイルは、使用中に実質的に完全に磁気的に減結合されている。
【0016】
好ましくは、コイルは、部分的に重なり合う。
【0017】
好ましくは、コイルは、実質的に同一平面にある。
【0018】
好ましくは、コイルは、上記透磁性コアの一方側に設けられ、遮蔽手段がコアのもう一方側に設けられている。
【0019】
好ましくは、遮蔽手段は、アルミニウムのような適当な材料で作られた遮蔽板を備える。
【0020】
好ましくは、誘電体カバーがコイルに対して磁気コアの反対のコイル側に設けられている。
【0021】
好ましくは、磁束パッドは、空間的にも変動する時間変動磁場を生成するために互いに位相が外れている電源からの電流を受け取るために適合している。
【0022】
好ましくは、コイル内の位相がずれた電流によって生成された磁場は、空間的に、かつ、最終的に磁場の極の間で移動する時間変動磁場を生成する。
【0023】
第2の態様において、発生された磁束を制御するために複数のモードで動作できるように構成されている磁束を発生させる磁束パッドが提供される。
【0024】
好ましくは、磁束パッドは、3つ以上のコイルを含み、コイルの中のいずれか1つ以上は、選択的にエネルギーを印加される能力があり、その結果、上記制御が実施されることを可能にする。
【0025】
好ましくは、コイルは、互いから実質的に磁気的に減結合されている。
【0026】
コイルのうちのいずれか1つまたは(全部を含む)組み合わせは、要望どおりに、かつ、特有の実施に依存して選択的にエネルギーを印加されることがある。
【0027】
本出願で使用されるとき、「モード」などは、たとえば、パッドがエネルギーを印加されている2つのコイルとエネルギーを印加されている3つのコイルとの間で切り替わる能力があることを単に意味するものとしてだけではなく、付加的もしくは代替的に、コイルのうちの異なったコイル(但し、同数)がエネルギーを印加されることをも意味するものとして、広義に解釈されるべきであることに注意すべきである。たとえば、3つのコイルパッドのうちの異なったコイルパッドまたは異なったペアが選択的にエネルギーを印加されることがある。
【0028】
現時点で好ましい実施形態によれば、磁束パッドは、3つの上記コイルを含む。3つのコイルの配備は、付加性能と(磁束の適応性によってもたらされた)柔軟性との間、および、(特に複数コイルの位置付けにおいて)付加構成要素とこれの複雑性との間のバランスを取る。
【0029】
第2の態様のさらなる特徴は、第1の態様に関連して明確に示された特徴から選ばれることがある。
【0030】
第3の態様によれば、少なくとも3つのコイルを有している磁束パッドのためのフェライト配置であって、素子が上記コイルのうちの少なくとも2つのコイルの中心間に延在する想像線と相互に位置合わせされ、および/または、平行であるように構成されている複数の細長いフェライト素子を備えるフェライト配置が提供される。
【0031】
好ましくは、各アレイがコイルの異なったペア間の想像線と位置合わせされている素子の複数のアレイが設けられている。当然のことながら、異なったコイル中心間の想像線は、いくつかの配置において平行であることがある(たとえば、
図5を参照のこと)。その結果、同じアレイ(但し、フェライト素子の長手方向と垂直に延在)がコイルの異なったペアのため使用されることがある。
【0032】
いくつかの実施形態によれば、配置は、コイルを受け入れるように構成されているフェライトの表面に設けられた1つ以上の隆起部および/または陥没部を備える(または組み立てられたときに形成する)。たとえば、参照を簡単にするため、コイルがフェライト配置の上面に位置付けられている配置を考えると、突起フェライト部(群)は、コイルのうちの1つ以上のコイルの外縁部に設けられることがある。付加的または代替的に、隆起部は、1つ以上のコイルの中心に設けられることがある。隆起部のその他の位置が同様に可能であり、陥没部も同様である。隆起部および/または陥没部の設置は、望ましいパターンに倣うように磁束をさらに適合させるために使用される可能性がある。
【0033】
一実施形態によれば、フェライト配置の広がりまたは組み合わされた動作エリアは、コイルのこれと釣り合っている。
【0034】
一実施形態によれば、フェライト材料は、コイルの広がりを越えて延在する。好ましくは、広がりが増大したフェライトの配備は、想像線と交差し(または想像線に近接し)、しかし、コイル/フェライト配置の外端部にあるコイルの縁部に設けられている。その他の場所で、コイルは、フェライトの広がりを越えて延在することがある。このようなフェライトおよびコイルの配置は、実質的に想像線に沿って設けられたフェライトだけが相互インダクタンスを増やし、その他の場所にあるフェライト材料は、単にインダクタンスを増やすだけであると考えられるので、効率を改善し、必要とされるフェライト材料の量を削減する可能性がある。想像線に沿ったコイルの広がりを越えてフェライト材料を拡大することは、零れ出た、または、溢れ出た磁束を捕捉するために役立つ可能性がある。発明の本態様は、2つのコイルしか備えないことがあり、3つ以上のコイルを必要とするものとして限定されるべきではない。
【0035】
好ましくは、フェライト配置は、第1および第2の態様の磁束パッドで用いるため構成されている。
【0036】
第4の態様において、発明は、誘導電力伝送システムのための電源装置であって、
透磁性コア、および、コアに関連付けられ、コイルの巻線が実質的に同一平面にあるように全部が位置付けられている少なくとも3つの重なり合うコイルを備える磁束を発生させる磁束パッドと、
1つのコイルにおいて他のコイルにおける電流と異なる位相を有している電流を供給するために適合している電源と、
を備える電源装置を提供する。
【0037】
好ましくは、電源は、使用されている全部の他のコイルの電流と異なる位相を有するようにいずれか1つのコイルに電流を供給するために適合している。
【0038】
各コイルにおいて電流に異なる位相を与え、コイル間の重なり合いを調整することは、各コイルが全部の他のコイルから実質的に減結合されることを可能にする。
【0039】
好ましくは、電源は、時間およびパッド上の空間位置に伴って変動する場を生成するために位相を調整するために適合している。
【0040】
好ましくは、装置は、パッドの近くで磁場が存在する場所または必要とされない場所を検出し、これに応答して上記コイルのうちの少なくとも1つで電流の位相および/または振幅を調整する手段を備える。
【0041】
より好ましくは、検出する手段は、上記コイルのうちの少なくとも第1のコイルと上記コイルのうちの少なくとも第2のコイルとの間で相対位相を調整するために適合している。
【0042】
好ましくは、電源は、コイル毎にインバータを備える。
【0043】
一実施形態によれば、電源は、一方の動作モードにおいて、電源が上記コイルのうちの第1のコイル(好ましくは、いずれか1つの上記コイル)において上記コイルのうちの第2のコイルにおける電流と位相が90°ずれている電流を生成するように互いに同期させられる3台のインバータのうちの2台を動作させる。
【0044】
別の実施形態によれば、電源は、上記コイルのうちの1つ、好ましくは、いずれか1つの上記コイルにおいて電流を生成するために3台のインバータのうちの1台を動作させる。上記コイルのうちの異なったコイルがその他のコイルと独立に駆動される場合、好ましくは、電流が自動車上のコイルに最も近接しているコイルにおいて生成される。
【0045】
好ましくは、磁束パッドは、移動時間変動磁場を生成する。
【0046】
一実施形態によれば、電源は、少なくとも3つのコイルのうちの互いに位相が180°ずれている少なくとも1つのペアを動作させる。本実施形態において、共通のインバータ、または、各コイルに1つの駆動用の2台のインバータが使用されることがある。
【0047】
このようにして、本発明は、WO2011/16737に記載された柔軟性および機能性の全てを提供するが、エネルギーを印加されることがある付加的な単コイルまたはコイルのペアを有効にすることにより、ならびに、より多数のコイルがエネルギーを印加されることを可能にすることにより、付加的な機能性および柔軟性を提供し、それによって、磁束がより良く合わされ、電力伝送を改善することを可能にする。たとえば、エネルギーを印加されるコイルは、必要とされる電力伝送のレートまたはピックアップと充電パッドとの間の相対位置に少なくとも部分的に基づいて選択されることがある。
【0048】
第5の態様において、発明は、誘導電力伝送システムのための電源装置であって、
磁束パッドによって発生させられた磁束を制御するために複数のモードで動作可能であるように構成されている磁束を発生させる磁束パッドと、
電流を磁束パッドに供給するために適合している電源と、
を備える電源装置を提供する。
【0049】
第5の態様のその他の特徴は、本明細書の開示内容を考慮して発明なしで第1から第4の態様の特徴から容易に導き出せる。誤解を避けるために記すと、磁束パッドは、磁束パッドの少なくとも3つのコイルのうちのいずれか1つまたは組み合わせに選択的にエネルギーを印加することにより複数のモードにおいて動作可能であるように構成されることがある。さらに、エネルギーを印加される特有のコイルは、変化することがある。
【0050】
第6の態様において、発明は、コイル間に相互磁気結合が存在しない少なくとも3つのコイルを有しているIPT磁束パッドを提供する方法であって、
コイルを重ね合わせるステップと、
重なり合い位置が実現され、それによって、コイル間に実質的に相互結合が存在しないようにコイル間で重なり合いを変化させるステップと、
を備える方法を概して提供する。
【0051】
好ましくは、相互結合の不存在は、その他のコイルのうちの少なくとも1つ(但し、好ましくは、全部)のエネルギー印加によってコイルのうちの第1のコイルにおいて誘導された開回路電圧が最小化されるときを検出することにより検出される。
【0052】
その他のコイルのエネルギー印加は、順番に各コイルにエネルギーを印加すること、および/または、同時に複数のコイルにエネルギーを印加すること、および/または、コイル間で位相が変動する状態を含んで、標準的な使用でエネルギーを印加されるように各コイルに印加することを備えることがある。
【0053】
一実施形態によれば、重なり合い判定は、上記少なくとも3つのコイルの中のペアを順番に考慮する(すなわち、3つのコイルを有する配置の場合、コイル2に対してコイル1を評価し、コイル3に対してコイル2を評価し、コイル1に対してコイル3を評価する)ことにより実現される。
【0054】
一実施形態によれば、この方法は、開回路電圧が第1のコイルに対して検出されたときと同様に、実質的に同時に(または、少なくとも同じ動作条件に従う)コイルのうちの第2のコイルにおいて誘導された開回路電圧を検出することを備える。このことは上記複数のコイルのうちの第3のコイル(およびそれ以上)に対して同様に実行されることがある。
【0055】
第7の態様において、発明は、磁束を発生させる方法であって、
磁束パッドの少なくとも3つのコイルのうちの1つ以上のコイルに選択的にエネルギーを印加すること
を備える方法を提供する。
【0056】
誤解を避けるために記すと、上記選択的にエネルギーを印加することは、コイルのうちのいずれかの部分集合、または、コイルの全部にエネルギーを印加することを備えることがある。
【0057】
好ましくは、上記選択的にエネルギーを印加することは、コイル(群)のうちの第1の部分にエネルギーを印加することとコイル(群)のうちの第2の部分にエネルギーを印加することとの間で切り替わることを備える。
【0058】
第1および第2の部分は、同数または異なった数のコイルを備えることがある。さらに、1つ以上のコイルが両方の部分に共通することがある。
【0059】
コイルのうちの付加的または代替的な部分は、付加的または代替的にエネルギーを印加されることがある。さらに、上記部分のうちの1つ以上は、上記コイル全てを備えることがある。
【0060】
第7の態様の方法のさらなる特徴は、第1から第6の態様の類似している特徴から導き出されることがある。
【0061】
第8の態様において、発明は、磁束を発生させる、または、受け取る磁束パッドであって、
コイルの巻線が実質的に同一平面にあるように位置付けられている少なくとも3つのコイルと、
コイルのうちの2つ以上と選択的に導通するように動作して、少なくとも3つのコイルの中の複数のペアのうちの少なくとも1つによって磁界が生成される、または、電力が受け取られるようにすることが可能である電源またはピックアップコントローラと、
を備える磁束パッドにあると広義に考えられることがある。
【0062】
好ましくは、電源またはピックアップコントローラは、コイルと選択的に導通するように動作して、コイルのうちのいずれか1つ以上にエネルギーを印加する、または、コイルのうちのいずれか1つ以上から電力を受け取ることが可能である。
【0063】
好ましくは、電源またはピックアップコントローラは、順次に少なくとも3つのコイルにエネルギーを印加するように、または、少なくとも3つのコイルから電力を受け取るように動作可能である。
【0064】
好ましくは、電源またはピックアップコントローラは、少なくとも3つのコイルの各々において位相、振幅および/または周波数を独立に制御するように動作可能である。
【0065】
好ましくは、少なくとも3つのコイルが互いから実質的に相互に減結合されている。
【0066】
好ましくは、少なくとも3つのコイルは、部分的に重なり合う。
【0067】
好ましくは、少なくとも3つのコイルは、互いから実質的に等間隔に離されている。
【0068】
好ましくは、磁束パッドは、3つの実質的に相互に減結合されたコイルを備える。
【0069】
好ましくは、磁束パッドは、
コイルのうちの1つ以上が互いに同相でエネルギーを印加される単相モードと、
コイルのうちの1つ以上が1つ以上の他のコイルと位相を異にして同時にエネルギーを印加される2相モードと、
コイルのうちの3つ以上が互いに位相が異なる状態で同時にエネルギーを印加される多相モードと、
のうちの少なくとも2つを備える複数のモードにおいて動作可能である。
【0070】
好ましくは、磁束パッドは、透磁性コアをさらに備え、少なくとも3つのコイルがコアに磁気的に関連付けられている。
【0071】
好ましくは、磁束パッドは、実質的に中心に配置され、少なくとも3つのコイルを取り囲むまたは部分的に重ね合わせるさらなるコイルを備える。
【0072】
好ましくは、さらなるコイルは、少なくとも1つの動作モードにおいて少なくとも3つのコイルから実質的に相互に減結合されている。
【0073】
好ましくは、磁束パッドは、
3つの重なり合い、かつ、実質的に相互に減結合され、各々が互いから実質的に等間隔に離されているコイルと、
3つのコイルの極間に低リラクタンス磁気経路を提供する透磁性コアと
を備える。
【0074】
好ましくは、電源またはピックアップコントローラは、各々のコイルにおいて、振幅、位相、および/または周波数を独立に制御するように動作可能である。
【0075】
好ましくは、磁束パッドは、少なくとも3相モードにおいて動作可能である。
【0076】
第9の態様において、発明は、磁束を受け取り、電力を負荷に供給する磁束パッドであって、磁束パッドは、受け取られた磁束を制御するために複数の動作モードにおいて動作可能であるように構成され、上記制御が実施されることを可能にするために選択的に動作させられる能力がある3つ以上のコイルを備える磁束パッドにあると広義に考えられることがある。
【0077】
第9の態様において、発明は、誘導電力伝送システムのためのピックアップ装置であって、
磁束パッドの巻線が実質的に同一平面にあるように位置付けられた少なくとも3つの磁束を備える磁束を受け取る磁束パッドと、
他のコイルと異なった位相で1つのコイルを動作させるために適合しているピックアップコントローラと、
を備えるピックアップ装置にあると広義に考えられることがある。
【0078】
発明のさらなる態様は、以下の説明から明らかになるであろう。
【0079】
発明の1つ以上の実施形態は、添付図面を参照して説明されるであろう。