特許第6608522号(P6608522)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6608522改善された空間的な正確さを有するイメージング検出器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6608522
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】改善された空間的な正確さを有するイメージング検出器
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/17 20060101AFI20191111BHJP
   G01T 7/00 20060101ALI20191111BHJP
   H04N 5/335 20110101ALI20191111BHJP
   H04N 5/3745 20110101ALI20191111BHJP
   H03M 1/60 20060101ALI20191111BHJP
【FI】
   G01T1/17 G
   G01T7/00 A
   H04N5/335 500
   H04N5/3745 500
   H03M1/60
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-505000(P2018-505000)
(86)(22)【出願日】2016年7月28日
(65)【公表番号】特表2018-530741(P2018-530741A)
(43)【公表日】2018年10月18日
(86)【国際出願番号】IB2016054495
(87)【国際公開番号】WO2017025844
(87)【国際公開日】20170216
【審査請求日】2019年7月11日
(31)【優先権主張番号】62/202,429
(32)【優先日】2015年8月7日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】チャッポ マーク アンソニー
【審査官】 鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−182738(JP,A)
【文献】 特開平01−220918(JP,A)
【文献】 特開2002−033664(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0046913(US,A1)
【文献】 特開昭60−206324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/17
G01T 7/00
H03M 1/60
H04N 5/335
H04N 5/3745
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージングシステムの検出器アレイであって、
放射線を検出し、検出された放射線を表す信号を生成する放射線感受性検出器と、
前記放射線感受性検出器と電気的に通信する電子装置と、
を有し、前記電子装置は、
積分期間中に収集された電荷を表す周波数をもつパルストレインに、前記信号を変換する電流周波数コンバータであって、前記電流周波数コンバータは、増幅器と積分キャパシタとを有する積分器であって、前記積分期間中に前記放射線感受性検出器の或るピクセルからの入力電荷を積分する積分器と、前記増幅器の出力を予め決められた閾値と比較し、前記予め決められた閾値を満たす出力に応じてパルスを生成する比較器であって、前記比較器の出力が前記パルストレインを生成する、比較器と、を有する電流周波数コンバータと
前記電流周波数コンバータに電気的に結合された残存電荷収集回路であって、前記残存電荷収集回路は、前記積分期間の終了部分の間に積分器によって収集される電荷を記憶し、前記電荷は前記パルストレインのパルスを生じさせない、残存電荷収集回路と、
前記比較器による前記パルストレインのパルスの生成に応じて、各積分期間中、前記積分器をリセットするリセット回路であって、リセットキャパシタと、少なくとも2つのスイッチと、を有し、前記リセットキャパシタは、リセット中、第1のスイッチを通じて前記積分キャパシタに電気接続し、第2のスイッチを通じて電気的グラウンドに電気接続する、リセット回路と、
複数キャパシタの単一のバンクであって、前記複数キャパシタの第1のサブセットは、前記積分キャパシタを有し、前記複数キャパシタの別の第2のサブセットは、前記リセットキャパシタを有し、前記複数キャパシタの別の第3のサブセットは、残存電荷キャパシタを有する、単一のバンクと、
を有し、
前記残存電荷収集回路は前記残存電荷キャパシタを有し、前記残存電荷キャパシタは、スイッチを通じて前記積分キャパシタに並列に電気接続され、
前記電流周波数コンバータは、前記積分キャパシタを有する、
検出器アレイ。
【請求項2】
前記積分期間中の全体の電荷を生成し、前記全体の電荷を表す出力信号を生成するために、前記パルストレインによって表される電荷及び前記残存電荷収集回路によって記憶される残存電荷を統合する論理を更に有する、請求項1に記載の検出器アレイ。
【請求項3】
前記積分キャパシタによって収集される残存電荷を記憶するために、積分信号パルスの終了に応じて少なくとも2つのスイッチを閉じるように構成される論理を更に有する、請求項1又は2に記載の検出器アレイ。
【請求項4】
前記論理は更に、前記積分期間中に前記比較器によって生成されるパルスを受け取ることに応じて、前記積分器をリセットするように前記リセット回路を活性化するよう構成される、請求項に記載の検出器アレイ。
【請求項5】
前記論理は更に、前記積分期間中、前記放射線感受性検出器及び前記電子装置を電気接続するためにデータ収集スイッチを閉じ、前記積分期間の終了時に、前記放射線感受性検出器及び前記電子装置を電気的に切断するために前記データ収集スイッチを開く、請求項又はに記載の検出器アレイ。
【請求項6】
前記積分キャパシタ、前記リセットキャパシタ及び前記残存電荷キャパシタが、前記単一のバンクのキャパシタの全てを含む、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の検出器アレイ。
【請求項7】
前記積分キャパシタ、前記リセットキャパシタ及び前記残存電荷キャパシタが、前記単一のバンクのキャパシタのサブセットのみを含む、請求項に記載の検出器アレイ。
【請求項8】
前記単一のバンクは、各キャパシタごとに少なくとも1つのスイッチを有し、前記キャパシタの第1のサブセットは、スイッチの対応する第1の組を通じて、並列に電気接続され、前記キャパシタの第2のサブセットは、スイッチの対応する第2の組を通じて、並列に電気接続され、前記キャパシタの第3のサブセットは、スイッチの対応する第3の組を通じて、並列に電気的に接続される、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の検出器アレイ。
【請求項9】
前記キャパシタの単一のバンクは、前記電子装置の第1の領域に配置され、前記残存電荷キャパシタを伴って又は前記残存電荷キャパシタを伴わずに前記第1の領域を占有する、請求項乃至のいずれか1項に記載の検出器アレイ。
【請求項10】
放射線を放出する放射線源と、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の検出器アレイであって、放出された放射線を検出し、検出された放射線を表す信号を生成する検出器アレイと
有するイメージングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、改善された空間的な正確さを有するコンピュータトモグラフィ(CT)イメージングシステムの放射線感受性検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
CTスキャナは、縦軸又はz軸を中心に検査領域のまわりを回転する回転可能なガントリに搭載されるX線管を含む。検出器アレイは、検査領域の、X線管とは反対側において円弧をなす。検出器アレイは、検査領域及び検査領域内の被検体又は対象を横切り、それを示す信号を生成する放射線を検出する。検出器アレイは、概して、フォトセンサアレイに光学的に結合されるシンチレータアレイを有し、処理電子装置に電気的に結合される。シンチレータアレイはその上に当たる放射線を表す光を生成し、フォトセンサアレイは、生成された光を表す電気信号を生成し、処理電子装置は、電気信号に基づいて、検出された放射線を表すデジタルデータを生成するアナログデジタル(A/D)コンバータを有する。デジタルデータは、信号からボリュメトリック画像データ及び1又は複数の画像を生成するように再構成される該信号を生成するように処理される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
CTスキャナは、A/D変換器としての電流周波数(I/F)コンバータを利用する。しかしながら、この変換器は、低信号低線量イメージングプロシージャにおける空間的な正確さにおいて制限される。例えば、図8は、積分期間(「IP」)の関数としてI/Fコンバータの出力パルス(「OP」)を示すダイアグラムを示す。このダイアグラムにおいて、Tは、積分期間の開始を表す。第1、第2、....第Lのパルスは、T、T、....Tに生成される。Tは、積分期間の終了及び次の積分期間の開始を表す。この例において、次のパルスはTに生成され、これは次の積分期間に現れる。領域802は、次の積分期間に重なる第1の積分期間の電荷を表現する。データはこれを補償するようにアラインし直され(re-aligned)、これは信号対ノイズを改善するが、データの時間的な歪みをも生じさせ、それにより空間的な正確さを低減する。残念なことに、空間的な歪みを克服するアプローチは、回路領域、コスト及び電力要求の増加を必要としする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本出願の見地は、上述した問題及びその他に対処する。
【0005】
1つの見地によれば、イメージングシステムの検出器アレイは、放射線を検出し、検出された放射線を表す信号を生成するように構成される放射線感受性検出器と、放射線感受性検出器と電気的に通信する電子装置と、を有する。電子装置は、前記信号を、積分期間中に収集される電荷を表す周波数を有するパルストレインに変換するように構成される電流周波数(current-to-frequency)コンバータを有する。電子装置は更に、電流周波数コンバータに電気的に結合される残存電荷収集回路を有する。残存電荷収集回路は、積分期間の終了部分の最中に積分器によって収集される電荷を記憶するように構成され、かかる電荷は、パルストレインのパルスを生じさせない。
【0006】
別の見地において、方法は、積分期間が始まったことを示す第1の信号を受け取り、電流周波数コンバータにより、積分期間中に入力される電荷を表すパルス周波数を有するパルストレインを生成することを含む。方法は更に、積分期間が終了したことを示す第2の信号を受け取ることを含む。方法は更に、積分期間中、パルストレインの最後のパルスから積分期間の終了までの残存電荷を記憶することを含む。
【0007】
別の見地において、イメージングシステムは、放射線を放出するように構成される放射線源と、放出された放射線を検出し、検出された放射線を表す信号を生成するように構成される検出器アレイと、を有する。検出器アレイは、積分期間中に収集される電荷を示す周波数を有するパルストレインに、前記信号を変換するように構成される電流周波数コンバータを有する。検出器アレイは更に、電流周波数コンバータに電気的に結合される残存電荷収集回路を有する。残存電荷収集回路は、電流周波数コンバータによって生成される最後のパルスから積分期間の終了までの積分期間に電流周波数コンバータによって収集される電荷を記憶するように構成される。
【0008】
本発明の他の見地は、以下の詳細な説明を読み理解することにより当業者に理解されるであろう。
【0009】
本発明は、さまざまなコンポーネント及びコンポーネントの取り合わせ並びにさまざまなステップ及びステップの取り合わせの形を取りうる。図面は、好適な実施形態を例示するためだけあり、本発明を制限するものとして解釈されるべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】各々の検出器モジュールが複数の検出器タイルを有する複数の検出器モジュールを有する検出器アレイを具備する例示のイメージングシステムを概略的に示す図。
図2】X線光子検出部分及び処理電子装置を有する検出器タイルの例を概略的に示す図。
図3】I/Fコンバータ及び残存電荷収集回路を有する電子装置の例を概略的に示す図。
図4】積分キャパシタ、リセットキャパシタ及び残存電荷キャパシタを提供するように構成される例示のキャパシタバンクを概略的に示す図。
図5】積分キャパシタ、リセットキャパシタ及び残存電荷キャパシタを提供するように構成されるキャパシタバンクの別の例を概略的に示す図。
図6】積分キャパシタ、リセットキャパシタ及び残存電荷キャパシタを提供するために図4及び図5のバンクのキャパシタを接続する例示のアプローチを概略的に示す図。
図7】ここに記述される一実施形態による例示の方法を示す図。
図8】積分期間の関数として電流周波数コンバータのパルス出力を示す例示のダイアグラム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、例えばコンピュータトモグラフィ(CT)スキャナのようなイメージングシステム100を示す。イメージングシステム100は、概して静止したガントリ102及び回転ガントリ104を有する。回転ガントリ104は、静止ガントリ102によって回転可能に支持されており、縦軸又はz軸を中心に検査領域106のまわりを回転する。X線管のような放射線源108が、回転ガントリ104によって支持され、検査領域106を横切る放射線を放出する。
【0012】
放射線感受性検出器アレイ112は、検査領域106をはさんで放射線源108と反対側に円弧なして延在し、検査領域106を横切る放射線を検出する。図示される実施形態において、放射線感受性検出器アレイ112は、複数の検出器モジュール114を有し、各検出器モジュールは、z軸方向に沿って延びる。一例において、検出器アレイ112は、"Solid State X-Radiation Detector Modules and Mosaics thereof, and an Imaging Method and Apparatus Employing the Same"というタイトルの2001年7月18日出願の米国特許第6,510,195B1号公報に記述される検出器アレイと実質的に同様であり、及び/又は、その検出器アレイに基づくものであり、この文献の内容は、参照によってここに盛り込まれるものとする。他の構成もまたここに企図される。
【0013】
検出器モジュール114は、z軸方向に沿って延びる複数の検出器タイル116を有する。図2に移って、図1のラインA−Aに沿った検出器タイル116の断面図が示されている。タイル116は、ピクセル206のアレイ204に光学的に結合されるシンチレータアレイ202を有し、シンチレータアレイ202は、基板210を通じて電子装置208に電気的に結合される。電気導体212(例えば、ピン、その他)は、電力用、I/O用、その他でありうる。変形例において、基板210は省かれる。幾つかの例が、"A New 2D-Tiled Detector for Multislice CT,"Luhta et al., Medical Imaging 2006: Physics of Medical Imaging, Vol. 6142, pp. 275-286 (2006)及び"Radiation Detector Array"というタイトルの2007年3月8日出願の米国特許第8,710,448B2号公報に記述されており、それらの内容は全体が参照によってここに盛り込まれるものとする。
【0014】
以下に詳しく記述されるように、電子装置208の既存のコンポーネントは、残存電荷802(図8)の正確な測定を提供する自己内蔵型の残存電荷スイッチキャパシタベースのコンバータを実現するように、付加のスイッチを通じて再構築される。
【0015】
残存電荷は、積分期間中の全体の電荷を決定するために、I/Fコンバータの出力によって示される電荷に加えられることができる。このアプローチは、電子装置208の領域、コスト及び電力の要求の増加を緩和するとともに、各積分期間の終了に一致する終了時点までのデータ収集を可能にし、それにより、次の積分期間に重なるパルスをアラインし直すことに関連付けられる空間的な間歪みを除去する。このアプローチは、高速KV(グリッドスイッチング)及び/又はこのような空間的な歪みを強める他の属性を有するX線管に良好に適応される。
【0016】
図1に戻って、再構成器118は、検出器アレイ112からの信号を再構成し、該信号を表現するボリュメトリック画像データを生成する。ボリュメトリック画像データは更に、被検体又は対象のスキャン部分の1又は複数の画像を生成するように処理されることができる。コンピューティングシステムは、オペレータコンソール120として働く。コンソール120に常駐するソフトウェアは、オペレータが、システム100の動作を制御することを可能にする。例えば寝台のような患者支持体122は、検査領域106におけるヒト患者のような被検体又は対象を支持する。
【0017】
図3は、ピクセル206のために電子装置208の少なくともサブ部分の例を概略的に示す。アナログデジタル(A/D)コンバータ300は、積分器302(増幅器304及び積分キャパシタ(Cint)306)及び比較器310を有する。積分器302は、各積分期間中、ピクセル206(及び用いられる場合はバイアス電流)からの電荷(IDiode_In)を積分するように構成される。比較器310は、増幅器304の出力を予め決められた閾値(Vth)と比較し、例えば出力がVthより大きい場合に、それを表す信号、例えばパルスを生成する。
【0018】
データ収集スイッチ312は、積分キャパシタ(Cint)306のリセットの間、ピクセル206へ/からA/D変換器300を切断する。リセット回路314(リセットキャパシタ(Crst)316及びリセットスイッチ318及び320)は、比較器310によるパルスの生成に応じて、各積分期間中に積分器302をリセットするように構成される。残存電荷収集回路322(残存電荷キャパシタ(Cres)324及び残存電荷スイッチ334)は、積分期間中に生成される最後のパルスから積分期間の終了まで、積分キャパシタ306によって収集される電荷を記憶するように構成される。スイッチ334が、しばらく閉じて、残存電荷の或る割合が残存電荷キャパシタ(Cres)324へ移されると、スイッチ334が開かれ、そして、積分器キャパシタ(Cint)306は、リセットスイッチ318及び320及び入力切断スイッチ312の動作を通じてそれをリセットキャパシタ(Crst)316に接続することにより、リセットされ、こうして、次の積分期間を開始する。
【0019】
図示される例において、A/D変換器300は、それが入力電荷(IDiode_In)を示すパルス周波数を有するパルストレインを生成するという点で、電流周波数(I/F)コンバータとして実現される。I/Fコンバータの例は、"Data Acquisition for Computed Tomography"というタイトルの2001年11月7日出願の米国特許第6,671,345B2号に記述されており、その内容は全体が参照によってここ盛り込まれるものとする。他の適切な電子装置は、"Data Acquisition for Computed Tomography"というタイトルの1975年11月28日出願の米国特許第4,052,620号公報に記述されており、その内容は全体が参照によってここに盛り込まれるものとする。
【0020】
論理330は、比較器310の出力、クロック(「CLK」)及びタイミング回路332の出力に基づいて、データ収集スイッチ312及びリセットスイッチ318及び320を制御し、タイミング回路332は、積分期間の終了/開始を示すエンコーダパルスに基づいてタイミングを決定する。概して、チャネルサンプルより高いレートでのスイッチトキャパシタコンバータ338のクロッキングは、残存電荷変換が空間サンプリング期間内に終わるように、積分期間の終了時に即座に残存電荷バランスを変換することを可能にする。
【0021】
残存キャパシタ(Cres)324へ移される電荷値は、スイッチ336を通じてスイッチトキャパシタコンバータ338に接続され、非常に高い変換クロックレートで変換される。スイッチトキャパシタコンバータ338は、それ自身の比較器及びキャパシタバンク(図示される)によって実現されることができ、又はその機能のために比較器310のようなチャネル内の既存の回路を利用するに十分高速(例えば10−30倍より高い)にクロックされることができるそのように使用される場合、付加のスイッチは、論理330の制御下で変換を実施するように比較器310を構成し、変換は、通常動作においてリセットパルスの同じ時間に完了される。更に、残存キャパシタ(Cres)324は、除去されることができ、入力が切断されることから失われる電荷の量が、比較器310を非常に速くクロックすることに起因して小さい場合、積分キャパシタ(Cint)306上の残存電荷は、既存の比較器310を使用して直接測定されることができることが理解されることができる。
【0022】
この例において、論理330は更に、積分期間中、比較器310からのパルスの数を計数するように構成され、積分期間の第1のパルスから積分期間の最後のパルスまでの時間を決定する。このデータから、論理330は、パルスとパルスの間の時間でパルスの数を除算することによって、周波数信号を生成し、かかる周波数信号は、収集された電荷を表す。この周波数データは、残存電荷収集回路322によって記憶された残存電荷値と統合される。論理330は更に、完全なパルスが測定されたかのように、積分キャパシタCint306上の電荷が同じ値にリセットされることを確実にするために、積分期間の終了と同時にリセット信号を発行する。リセットキャパシタCrst316上の電圧は、既存の設定可能な基準電圧から選択可能であるので、スイッチトキャパシタコンバータ338の閾値電圧も同様に、付加の回路なしで設定可能である。論理330は、減衰値を決定するために結果を処理し、その結果は、信号において、例えば16ビットワードに出力される。
【0023】
図4及び図5は、Cint306及びCrst316及びCres324を提供するように構成されるキャパシタ404のバンク402を概略的に示す。図4において、個々の異なるキャパシタ404の個々の異なるサブセットが、Cint306、Crst316及びCres324をそれぞれ提供するように並列に電気接続される。図4において、バンク402のキャパシタ404の全てが使用される。図5は、バンク402のキャパシタ404の全てがCint306及びCrst316及びCres324を提供するために必要であるわけではない変形例を示す。Cint306及びCrst316及びCres324を提供するためのキャパシタ404の他の組み合わせもまた、ここに企図される。
【0024】
図6は、複数のキャパシタ404がどのように互いに接続されることができるかを概略的に示す。図6において、バンクのキャパシタ404の各々が、少なくとも1つのスイッチ602に関連付けられる。図示される例において、複数のスイッチ602が、Cint306及びCrst316及びCres324の特定のキャパシタンス値を有するCint306及びCrst316及びCres324を生成するように、バンク402の複数のキャパシタ404を並列に電気接続するために使用される。複数のスイッチ602は、キャパシタンスCint306、Crst316及びCres324の任意のバンクに対する任意の接続を選択するように構成されることができる。
【0025】
int306及びCrst316のためのバンク402が、Cres324をも実現するために、すでに十分な未使用のキャパシタ404を含む場合、スイッチ334、タイミング回路332、論理330による制御及び論理330による残存電荷の処理のみが、Cres324を実現するために加えられる。別の例において、バンク402が、Cres324のためではなくCint306及びCrst316のために十分なキャパシタ404を有する場合、1又は複数のキャパシタが、Cres324を更に実現するためにバンク402に加えられる。
【0026】
ここに記述される電子装置208は、スイッチ334を付加し、キャパシタバンク402を再構築し、タイミング回路332を付加することによって、CMOS及び/又は他の製作プロセスを通じて実現されることができる。
【0027】
図7は、ここに記述される一実施形態による例示の方法を示す。
【0028】
ステップ702において、第1の積分期間の開始を表す第1の信号が受け取られる。
【0029】
ステップ704において、入力電荷を表すパルス周波数を有するパルストレインが、積分期間中、電流周波数コンバータ300によって生成される。
【0030】
ステップ706において、積分期間の終了を表す第2の信号が受け取られる。
【0031】
ステップ708において、積分期間の終了の間に電流周波数コンバータ300によって収集される残存電荷が記憶される。
【0032】
ステップ710において、パルストレイン及び残存電荷が、積分期間中の全体の電荷を決定するために使用される。
【0033】
ステップ712において、全体の電荷が、減衰値を決定するために処理される。
【0034】
ステップ714において、減衰値が、再構成器118に伝送される。
【0035】
ステップ716において、複数の積分期間中の減衰値が、ボリュメトリック画像データを生成するために再構成される。
【0036】
本発明は、さまざまな実施形態に関してここに記述されている。変更及び変形は、本願明細書の記述を読むことにより当業者に思いつくであろう。このような変更及び変形が、添付の請求項又はそれらと等価なものの範囲内にある限り、本発明は、すべてのこのような変更及び変形を含むものとして解釈されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8