特許第6608532号(P6608532)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6608532
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】超音波プローブ、及び超音波内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20191111BHJP
   A61B 8/12 20060101ALI20191111BHJP
   H04R 17/00 20060101ALI20191111BHJP
【FI】
   A61B8/14
   A61B8/12
   H04R17/00 330J
   H04R17/00 332A
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-528400(P2018-528400)
(86)(22)【出願日】2017年3月23日
(86)【国際出願番号】JP2017011836
(87)【国際公開番号】WO2018016128
(87)【国際公開日】20180125
【審査請求日】2019年1月7日
(31)【優先権主張番号】特願2016-141615(P2016-141615)
(32)【優先日】2016年7月19日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 直
【審査官】 井上 香緒梨
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0145611(US,A1)
【文献】 特開2001−327494(JP,A)
【文献】 特開2008−79700(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00−8/15
H04R 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、
前記ケーシングの内側に配置されている複数の圧電素子と、
前記複数の圧電素子の超音波放射面に接合されている音響整合層と、
前記音響整合層の前記圧電素子と接する側の面において、少なくとも一部が前記圧電素子と接触して配置されている共通グランドと、
前記音響整合層の前記圧電素子と接する側の前記面と接触して配置されており、前記圧電素子の外周を囲むように前記圧電素子と離間して配置されている変形防止部材と、
複数の前記圧電素子の各々に信号を伝達する同軸線と、
前記圧電素子の前記超音波放射面と反対側に配置されており、前記圧電素子と前記同軸線とを電気的に接続する基板と、
を備えることを特徴とする超音波プローブ。
【請求項2】
前記変形防止部材は、導電性を有する材料からなり、前記共通グランドと接触して配置されており、
前記同軸線は、前記圧電素子の各々に前記信号を伝達する信号線と、前記信号線の外周に配置されている外部導体と、を有し、
前記変形防止部材と前記外部導体とを接続することにより、前記変形防止部材の熱を前記外部導体に伝達する熱伝導路を備えることを特徴とする請求項1に記載の超音波プローブ。
【請求項3】
前記変形防止部材は、形状記憶合金からなることを特徴とする請求項2に記載の超音波プローブ。
【請求項4】
前記音響整合層と前記変形防止部材とは、同一の曲率で湾曲していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の超音波プローブ。
【請求項5】
被検体の撮像を行う撮像光学系と、
ケーシングと、
前記ケーシングの内側に配置されている複数の圧電素子と、
前記複数の圧電素子の超音波放射面に接合されている音響整合層と、
前記音響整合層の前記圧電素子と接する側の面において、少なくとも一部が前記圧電素子と接触して配置されている共通グランドと、
前記音響整合層の前記圧電素子と接する側の前記面と接触して配置されており、前記圧電素子の外周を囲むように前記圧電素子と離間して配置されている変形防止部材と、
複数の前記圧電素子の各々に信号を伝達する同軸線と、
前記圧電素子の前記超音波放射面と反対側に配置されており、前記圧電素子と前記同軸線とを電気的に接続する基板と、
を備えることを特徴とする超音波内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波を観測対象へ送信するとともに、観測対象で反射された超音波エコーを受信して電気信号に変換し、所定の信号処理を施すことにより、観測対象の特性に関する情報を取得する超音波プローブが知られている。
【0003】
超音波プローブは、電気的なパルス信号を超音波パルス(音響パルス)に変換して観測対象へ照射するとともに、観測対象で反射された超音波エコーを電気的なエコー信号に変換して出力する複数の圧電素子を備える。例えば、複数の圧電素子を所定の方向に沿って並べて、送受信にかかわる素子を電子的に切り替えることで、観測対象から超音波エコーを取得する。
【0004】
また、超音波プローブは、圧電素子の超音波放射面に接合されている音響整合層、超音波プローブの外表面をなす音響レンズ、圧電素子の音響整合層と反対側の面に配置されているバッキング材等を備える。
【0005】
ここで、超音波プローブの駆動時に、圧電素子が発熱する場合がある。また、圧電素子から送信された超音波の一部が、音響整合層、バッキング材、音響レンズ等で熱に変わり、超音波プローブの内部が発熱する場合がある。
【0006】
特許文献1には、超音波プローブの生体接触部分の温度が規制値以下となるように、超音波プローブの内部の熱を放熱する放熱部材を備える超音波プローブが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−229976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、超音波プローブの内部の熱を放熱したとしても、超音波プローブの内部で発生した全ての熱を放熱することはできないため、残留した熱によって音響整合層が徐々に変形する場合があった。音響整合層が変形すると、音響整合層に接合されている圧電素子の位置ずれが起こり、超音波プローブの性能(例えば、超音波画像の表示精度や分解能)が低下するという課題があった。特に、近年の超音波プローブでは、解像度を高くするために圧電素子の位置にも高い精度が求められ、熱による性能の低下が顕著に表れる。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、熱による超音波プローブの性能の低下を防止した超音波プローブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る超音波プローブは、複数の圧電素子と、前記複数の圧電素子の超音波放射面に接合されている音響整合層と、前記音響整合層の前記圧電素子と接する側の面において、少なくとも一部が前記圧電素子と接触して配置されている共通グランドと、前記音響整合層の前記圧電素子と接する側の前記面と接触して配置されている変形防止部材と、複数の前記圧電素子の各々に信号を伝達する同軸線と、前記圧電素子の前記超音波放射面と反対側に配置されており、前記圧電素子と前記同軸線とを電気的に接続する基板と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様に係る超音波プローブは、前記変形防止部材は、導電性を有する材料からなり、前記共通グランドと接触して配置されており、前記同軸線は、前記圧電素子の各々に前記信号を伝達する信号線と、前記信号線の外周に配置されている外部導体と、を有し、前記変形防止部材の熱を前記外部導体に伝達する熱伝導路を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一態様に係る超音波プローブは、前記変形防止部材は、形状記憶合金からなることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の一態様に係る超音波プローブは、前記音響整合層と前記変形防止部材とは、同一の曲率で湾曲していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、熱による超音波プローブの性能の低下を防止した超音波プローブを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係る超音波プローブの断面図である。
図2図2は、図1に示す超音波プローブの一部を表す斜視図である。
図3図3は、実施の形態1の変形例1に係る超音波プローブの一部を表す斜視図である。
図4図4は、実施の形態1の変形例2に係る超音波プローブの一部を表す斜視図である。
図5図5は、実施の形態1の変形例3に係る超音波プローブの一部を表す斜視図である。
図6図6は、実施の形態1の変形例4に係る超音波プローブの一部を表す斜視図である。
図7図7は、実施の形態2に係る超音波プローブの一部を表す斜視図である。
図8図8は、実施の形態3に係る超音波プローブの一部を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照して本発明に係る超音波プローブの実施の形態を説明する。なお、これらの実施の形態により本発明が限定されるものではない。以下の実施の形態においては、コンベックス型の超音波プローブを例示して説明するが、本発明は、リニア型、ラジアル型等の超音波プローブを含む超音波プローブ一般に適用することができる。
【0017】
また、図面の記載において、同一又は対応する要素には適宜同一の符号を付している。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る超音波プローブの断面図である。図1に示すように、本実施の形態1に係る超音波プローブ1は、複数の圧電素子2と、複数の圧電素子2の超音波放射面(圧電素子2の図1の紙面に沿って下方の面)に接合されている音響整合層3と、音響整合層3の圧電素子2と接する側の面(音響整合層3の図1の紙面に沿って上方の面)において、圧電素子2と接触して配置されている共通グランド4と、音響整合層3の圧電素子2と接する側の面と接触して配置されている変形防止部材としての放熱板5と、複数の圧電素子2の各々に信号を伝達する複数の同軸線6と、圧電素子2の超音波放射面と反対側に配置されており、圧電素子2と同軸線6とを電気的に接続する基板7と、圧電素子2と基板7とを電気的に接続するワイヤ8と、放熱板5の熱を同軸線6に伝達する熱伝導路9と、音響整合層3の圧電素子2と接する側の面と反対側に設けられる音響レンズ10と、音響整合層3の圧電素子2と接する側の面に立設されているケーシング11と、圧電素子2の超音波放射面と反対側に設けられるバッキング材12と、を備える。
【0019】
図2は、図1に示す超音波プローブの一部を表す斜視図である。図2のA−A線に対応する断面図が図1である。図2に示すように、複数の圧電素子2が互いに離間するように並設されている。各圧電素子2には、それぞれ図1に示すワイヤ8(図2では不図示)が接続されている。各圧電素子2は、電気的なパルス信号を音響パルスに変換して被検体へ照射するとともに、被検体で反射された超音波エコーを電圧変化で表現する電気的なエコー信号に変換して出力する。
【0020】
音響整合層3は、それぞれが圧電素子2と接して並設されている第1音響整合層31と、各第1音響整合層31と接する板状の第2音響整合層32と、を有する。第1音響整合層31及び第2音響整合層32は、圧電素子2と観測対象との間で音(超音波)を効率よく透過させるために、圧電素子2の音響インピーダンスと観測対象の音響インピーダンスとをマッチングさせる。第1音響整合層31及び第2音響整合層32は、エポキシ樹脂等の各種合成樹脂等からなり、互いに異なる材料からなる。なお、本実施の形態1では、2つの音響整合層(第1音響整合層31及び第2音響整合層32)を有するものとして説明するが、圧電素子2と観測対象との特性により一層としてもよいし、三層以上としてもよい。
【0021】
共通グランド4は、導電性の樹脂からなり、圧電素子2の配列方向に沿って一連の形状をなし、圧電素子2、第1音響整合層31、及び放熱板5と接している。なお、一連の形状をなす共通グランド4は、積層された第2音響整合層32、第1音響整合層31、共通グランド4、及び圧電素子2のうち、第1音響整合層31、共通グランド4及び圧電素子2の層を切断して、圧電素子2の配列方向において離間させ、所定の形状に湾曲させた後、共通グランド4のみを一連の形状となるように樹脂で埋め戻すことにより実現することができる。ただし、積層された第2音響整合層32、第1音響整合層31、及び圧電素子2のうち、第1音響整合層31及び圧電素子2の層を切断後に、共通グランド4を樹脂で埋め、その後、所定の形状に湾曲させてもよい。また、共通グランド4は、放熱板5、熱伝導路9、及び同軸線6を介して外部に接地されている。
【0022】
放熱板5は、圧電素子2の外周を囲むように、圧電素子2と離間して配置されている。また、放熱板5は、導電性を有する材料からなる。具体的には、放熱板5は、導電性、熱伝導性及び剛性に優れた金属からなり、共通グランド4及び第1音響整合層31と接触して配置されている。さらに、音響整合層3と放熱板5とは、同一の曲率で湾曲している。また、放熱板5には、図1に示すように、熱伝導路9が接続されている。
【0023】
同軸線6は、圧電素子2の各々に信号を伝達する信号線61と、信号線61の外周に配置されている外部導体62と、を有する。換言すると、圧電素子2と同数の同軸線6が、それぞれ圧電素子2に接続されている。なお、信号線61と外部導体62とは、電気的に絶縁されている。
【0024】
基板7は、図1の紙面に沿って左右方向の両面に電気配線を有するプリント基板であり、一方の端部(図1の上端)に各信号線61が半田付けされるとともに、他方の端部(図1の下端)にワイヤ8が半田付けされる。その結果、各圧電素子2と、各信号線61とを電気的に接続する。
【0025】
熱伝導路9は、放熱板5及び外部導体62に接続され、放熱板5の熱を外部導体62に伝達する。熱伝導路9の本数は特に限定されないが、例えば、各外部導体62に対して、2本ずつの熱伝導路9が接続されている。
【0026】
音響レンズ10は、第1音響整合層31、第2音響整合層32、及びケーシング11を被覆する。音響レンズ10は、超音波プローブ1の外表面をなしている。音響レンズ10は、シリコーン、ポリメチルペンテン、エポキシ樹脂、ポリエーテルイミドなどを用いて形成され、一方の面が凸状又は凹状をなして超音波を絞る機能を有し、第2音響整合層32を通過した超音波を外部に出射する、又は外部からの超音波エコーを取り込む。音響レンズ10については、任意に設けることができ、当該音響レンズ10を有しない構成であってもよい。
【0027】
バッキング材12は、硬質性の樹脂を用いて形成され、ケーシング11に囲われた空間に充填される。
【0028】
以上の構成を有する超音波プローブ1は、パルス信号の入力によって圧電素子2が振動することで、第1音響整合層31、第2音響整合層32、及び音響レンズ10を介して観測対象に超音波を照射する。この際、圧電素子2において、第1音響整合層31、第2音響整合層32、及び音響レンズ10の配設側と反対側は、バッキング材12により、圧電素子2からの不要な超音波振動を減衰させている。また、観測対象から反射された超音波エコーは、音響レンズ10、第2音響整合層32、及び第1音響整合層31を介して圧電素子2に伝えられる。伝達された超音波エコーにより圧電素子2が振動し、圧電素子2が該振動を電気的なエコー信号に変換して、エコー信号として信号線61を介して不図示の超音波観測装置に出力する。
【0029】
ここで、超音波プローブ1においては、金属からなる放熱板5により、超音波プローブ1の内部の熱が、圧電素子2、共通グランド4、放熱板5、熱伝導路9、外部導体62の順に伝わり外部に放熱される。さらに、超音波プローブ1においては、放熱板5を第1音響整合層31と接して配置したことにより、第1音響整合層31の変形を防止している。さらに、放熱板5は、第1音響整合層31を介して第2音響整合層32の変形も防止している。従って、実施の形態1に係る超音波プローブ1は、熱による超音波プローブの性能の低下を防止した超音波プローブである。
【0030】
(変形例1)
図3は、実施の形態1の変形例1に係る超音波プローブの一部を表す斜視図である。図3に示すように、実施の形態1の変形例1に係る超音波プローブ1は、圧電素子2の配列方向に沿って延伸する2本の放熱板5Aを備える。放熱板5Aには、それぞれ不図示の熱伝導路9が接続されている。このように、放熱板の形状は特に限定されない。
【0031】
(変形例2)
図4は、実施の形態1の変形例2に係る超音波プローブの一部を表す斜視図である。図4に示すように、実施の形態1の変形例2に係る超音波プローブ1は、各第1音響整合層31に1つずつ接するように配置されており、互いに離間している複数の放熱板5Bを備える。各放熱板5Bには、不図示の熱伝導路9が接続されている。変形例2においては、放熱板5Bにより、超音波プローブ1の内部の熱が十分に放熱される。その結果、変形例2においては、放熱板5Bにより超音波プローブ1の内部の温度の上昇を抑制することによって第1音響整合層31の変形を防止している。
【0032】
(変形例3)
図5は、実施の形態1の変形例3に係る超音波プローブの一部を表す斜視図である。図5に示すように、実施の形態1の変形例3に係る超音波プローブ1は、各第1音響整合層31に1つずつ接するように配置されており、互いに離間している複数の放熱板5Caと、圧電素子2の配列方向に沿って一連の形状をなす剛性部材5Cbと、を備える。なお、図5において、剛性部材5Cbは、放熱板5Caを見やすくするために破線で図示した。各放熱板5Caには、不図示の熱伝導路9が接続されている。変形例3においては、放熱板5Caにより、超音波プローブ1の内部の熱が放熱される。さらに、変形例3においては、剛性部材5Cbが放熱板5Caを介して、第1音響整合層31及び第2音響整合層32の変形を防止している。
【0033】
(変形例4)
図6は、実施の形態1の変形例4に係る超音波プローブの一部を表す斜視図である。図6に示すように、実施の形態1の変形例4に係る超音波プローブ1は、中央部に配置された一連の形状をなす2つの放熱板5Dを備える。各放熱板5Dには、不図示の熱伝導路9が接続されている。変形例4においては、放熱板5Dにより、超音波プローブ1の内部の熱が放熱されるとともに、第1音響整合層31及び第2音響整合層32の変形を防止している。その結果、変形例4によれば、観察時に重要となる第1音響整合層31の中央部の変形を防止するとともに、実施の形態1より簡易な構成であることにより製造コストを削減することができる。このように、中央部に選択的に放熱板を配置する構成は、リニア型の超音波プローブにおいても適用することができる。
【0034】
(実施の形態2)
図7は、実施の形態2に係る超音波プローブの一部を表す斜視図である。図7に示すように、実施の形態2に係る超音波プローブ1は、実施の形態1と同様に、音響整合層3(第1音響整合層31)の圧電素子2と接する側の面に音響整合層3(第1音響整合層31)と接触して配置されている変形防止部材としての放熱板105を備える。それ以外の構成は実施の形態1と同様であってよいので適宜説明を省略する。
【0035】
放熱板105は、導電性を有するNi−Ti等の形状記憶合金からなる。ここで、形状記憶合金が元の形状に戻る温度(変態温度)は、Niの含有率を調整することにより所望の温度にすることができる。放熱板105は、例えば変態温度が40℃〜50℃にされており、内視鏡の使用又は熱処理、洗浄等の後処理時に想定される温度領域に変態温度が含まれる。放熱板105は、変態温度以上の温度になると、変形していない状態の音響整合層3と同一の曲率で湾曲した形状(元の形状)になる。
【0036】
実施の形態2によれば、超音波プローブ1の内部の温度が変態温度以上の高温になった場合に、第1音響整合層31と接する放熱板105が元の形状に戻るため、第1音響整合層31及び第2音響整合層32の変形を防止している。
【0037】
(実施の形態3)
図8は、実施の形態3に係る超音波プローブの一部を表す斜視図である。図8に示すように、実施の形態3に係る超音波プローブ1は、実施の形態1と同様に、音響整合層3(第1音響整合層31)の圧電素子2と接する側の面に音響整合層3(第1音響整合層31)と接触して配置されている変形防止部材としての剛性部材205を備える。それ以外の構成は実施の形態1と同様であってよいので適宜説明を省略する。
【0038】
剛性部材205は、剛性が高く、かつ40℃〜50℃程度の高温においても軟化しない軟化点の高い材料からなる。具体的には、剛性部材205は、セラミックやポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等のスーパーエンジニアリングプラスチック等からなる。
【0039】
実施の形態3によれば、第1音響整合層31と接する剛性部材205が、第1音響整合層31及び第2音響整合層32の変形を防止している。
【0040】
なお、超音波プローブとして、その先端部に超音波振動子を有する超音波内視鏡に適用してもよい。超音波振動子は、超音波観測装置から受信した電気的なパルス信号を超音波パルス(音響パルス)に変換して被検体へ照射するとともに、被検体で反射された超音波エコーを電圧変化で表現する電気的なエコー信号に変換して出力する。超音波内視鏡は、通常は撮像光学系及び撮像素子を有しており、被検体の消化管(食道、胃、十二指腸、大腸)、又は呼吸器(気管、気管支)へ挿入され、消化管や、呼吸器の撮像を行うことが可能である。
【0041】
また、超音波プローブとして、光学系のない細径の超音波ミニチュアプローブを適用してもよい。超音波ミニチュアプローブは、通常、胆道、胆管、膵管、気管、気管支、尿道、尿管へ挿入され、その周囲臓器(膵臓、肺、前立腺、膀胱、リンパ節等)を観察する際に用いられる。
【0042】
また、超音波プローブとして、被検体の体表から超音波を照射する体外式超音波プローブを適用してもよい。体外式超音波プローブは、通常、腹部臓器(肝臓、胆嚢、膀胱)、乳房(特に乳腺)、甲状腺を観察する際に用いられる。
【0043】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、以上のように表わしかつ記述した特定の詳細及び代表的な実施形態に限定されるものではない。従って、添付のクレーム及びその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 超音波プローブ
2 圧電素子
3 音響整合層
4 共通グランド
5、5A、5B、5Ca、5D、105 放熱板
5Cb、205 剛性部材
6 同軸線
7 基板
8 ワイヤ
9 熱伝導路
10 音響レンズ
11 ケーシング
12 バッキング材
31 第1音響整合層
32 第2音響整合層
61 信号線
62 外部導体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8