特許第6608535号(P6608535)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6608535入力装置、荷重算出方法、及び荷重算出プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6608535
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】入力装置、荷重算出方法、及び荷重算出プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20191111BHJP
【FI】
   G06F3/041 522
   G06F3/041 590
   G06F3/041 600
【請求項の数】10
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2018-531736(P2018-531736)
(86)(22)【出願日】2017年3月9日
(86)【国際出願番号】JP2017009551
(87)【国際公開番号】WO2018025438
(87)【国際公開日】20180208
【審査請求日】2018年12月11日
(31)【優先権主張番号】特願2016-154840(P2016-154840)
(32)【優先日】2016年8月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(74)【代理人】
【識別番号】100135183
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 克之
(72)【発明者】
【氏名】波多野 直行
(72)【発明者】
【氏名】泉 博志
(72)【発明者】
【氏名】高木 政史
【審査官】 征矢 崇
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/153555(WO,A1)
【文献】 特開2010−244252(JP,A)
【文献】 国際公開第02/035461(WO,A1)
【文献】 特開2014−229029(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/058005(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/081882(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の操作体に押圧される操作面と、
前記操作面を押圧する前記複数の操作体の各押圧位置を検出する位置センサと、
前記複数の操作体から前記操作面に加わる荷重を異なる位置で検出値として各々検出する複数の荷重センサと、
複数の前記押圧位置の各々に加わる荷重を表す押圧点荷重を、前記複数の押圧位置と複数の前記検出値とに基づいて算出する荷重算出部と、
を備え、
前記荷重算出部が、1回以上の算出ループを実行することにより複数の前記押圧点荷重を算出し、
前記荷重算出部が、1回目の前記算出ループにおいて、前記複数の押圧位置の各々に対応した初期押圧点荷重として所定の値を使用し、
前記算出ループが、
複数の前記初期押圧点荷重と前記複数の押圧位置との対応に従って前記複数の初期押圧点荷重を前記複数の押圧位置に加えたと仮定した場合に前記複数の荷重センサで検出される荷重を表す複数の算出値を算出することと、
前記複数の荷重センサの各々について、前記算出値と前記検出値との比較に基づいた比較値を算出することと、
前記複数の押圧位置の各々について、前記初期押圧点荷重を補正する補正値を前記比較値と前記押圧位置とに基づいて算出することと、
前記複数の押圧位置の各々について、前記補正値に基づいて前記初期押圧点荷重を補正することにより前記押圧点荷重を算出することと、
を含み、
前記荷重算出部が、前記複数の押圧位置の各々について、前記算出ループにおいて算出された前記押圧点荷重を、次回の前記算出ループにおける前記初期押圧点荷重として使用する、
入力装置。
【請求項2】
前記複数の算出値を算出することが、複数の荷重分散係数に基づいて前記複数の算出値を算出することを含み、
前記複数の荷重分散係数の各々が、前記複数の押圧位置のうちの1つと前記複数の荷重センサのうちの1つとの異なる組み合わせに対応し、
前記複数の荷重分散係数の各々が、1つの前記組み合わせを構成する前記押圧位置に加わる前記押圧点荷重のうち前記1つの前記組み合わせを構成する前記荷重センサで検出される荷重の割合を表し、
前記複数の荷重センサの各々について、前記比較値を算出することが、前記複数の荷重センサの各々について、前記検出値を前記算出値で除算することを含み、
1つの前記押圧位置に対応するすべての前記荷重分散係数を、1群の荷重分散係数と呼ぶとき、前記1つの前記押圧位置に対応する前記補正値を算出することが、前記複数の荷重センサの各々について、前記1つの前記押圧位置に対応する前記1群の荷重分散係数に含まれる前記荷重分散係数と前記比較値とを乗算した値の和を前記補正値として算出することを含み、
前記複数の押圧位置の各々について、前記押圧点荷重を算出することが、前記複数の押圧位置の各々について、前記補正値と前記初期押圧点荷重とを乗算することにより前記押圧点荷重を算出することを含む、
請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
4つの前記荷重センサを備え、
前記操作面が、平面であり、
前記操作面上の位置が、第1方向の第1座標と前記第1方向に直交する第2方向の第2座標とにより表され、
前記4つの荷重センサの各々が、前記操作面上の一点に対応付けられ、
前記4つの荷重センサに対応する前記操作面上の4つの前記一点が、前記第1方向に沿った2辺と前記第2方向に沿った2辺とを持つ長方形の頂点に配置されており、
前記4つの荷重センサの各々が、前記一点付近で前記操作面に直交する方向に沿って前記操作面に加わる前記検出値を検出し、
前記1つの前記組み合わせに対応した前記荷重分散係数が、第1値と第2値との乗算により算出される値であり、
前記第1値が、前記第1方向における前記長方形の第1幅から、前記1つの前記組み合わせを構成する前記荷重センサの第1座標と、前記1つの前記組み合わせを構成する押圧位置の第1座標との差の大きさを引いた値を、前記第1幅で除算した値であり、
前記第2値が、前記第2方向における前記長方形の第2幅から、前記1つの前記組み合わせを構成する前記荷重センサの第2座標と、前記1つの前記組み合わせを構成する押圧位置の第2座標との差の大きさを引いた値を、前記第2幅で除算した値である、
請求項2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記押圧位置の数が、nと表され、
n個の前記押圧点荷重を要素とするn行1列の行列が、行列Zと表され、
n個の前記初期押圧点荷重を要素とするn行1列の行列が、行列Zと表され、
n個の前記補正値を要素とするn行1列の行列が、行列Zと表され、
前記行列Zと前記行列Zと前記行列Zとにおいて、同じ行の要素が、同じ前記押圧位置に対応し、
前記荷重センサの数が、mと表され、
m個の前記検出値を要素とするm行1列の行列が、行列Sと表され、
m個の前記算出値を要素とするm行1列の行列が、行列Sと表され、
m個の前記比較値を要素とするm行1列の行列が、行列Sと表され、
前記行列Sと前記行列Sと前記行列Sとにおいて、同じ行の要素が、同じ前記荷重センサに対応し、
pが、1以上n以下の整数である、かつ、
kが、1以上m以下の整数である、としたとき、
前記荷重算出部が、前記荷重分散係数を要素とするm行n列の係数行列Aと前記係数行列Aの転置行列Aとを算出し、
前記係数行列Aと前記行列Sとにおいて、同じ行の要素が、同じ前記荷重センサに対応し、
前記転置行列Aと前記行列Zとにおいて、同じ行の要素が、同じ前記押圧位置に対応し、
すべてのkとすべてのpとについて、前記係数行列Aのk行p列の要素が、p列に対応する前記押圧位置に加わる前記押圧点荷重のうち、k行に対応する前記荷重センサで検出される荷重の割合を表し、
前記複数の算出値を算出することが、S=A・Zを算出することを含み、
前記複数の荷重センサの各々について、前記比較値を算出することが、1以上m以下のすべての整数kについて、前記行列Sのk行目の要素を前記行列Sのk行目の要素で割った値を前記行列Sのk行目の要素とすることを含み、
前記複数の押圧位置の各々について、前記補正値を算出することが、Z=A・Sを算出することを含み、
前記複数の押圧位置の各々について、前記初期押圧点荷重を補正することにより前記押圧点荷重を算出することが、1以上n以下のすべての整数pについて、前記行列Zのp行目の要素に前記行列Zのp行目の要素を乗じた値を前記行列Zのp行目の要素とすることを含む、
請求項2または請求項3に記載の入力装置。
【請求項5】
前記荷重算出部が、前記1回目の前記算出ループにおいて、前記複数の押圧位置の各々に対応した前記初期押圧点荷重として所定の正値を使用する、
請求項4に記載の入力装置。
【請求項6】
前記荷重算出部が、前記算出ループを複数回繰り返す、
請求項2乃至請求項5のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項7】
前記荷重算出部は、前記算出ループを実行する前の前記初期押圧点荷重と、前記算出ループにより算出された前記押圧点荷重との差の絶対値が、所定値より小さいことに応答して、前記算出ループの繰り返しを終了する、
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項8】
前記複数の押圧位置の各々について、前記押圧点荷重を算出することは、前記複数の押圧位置の各々について、
前記補正値と1との差の絶対値が、所定値を越えている場合、前記補正値を前記所定値未満の補正係数分1に近づけた値と前記初期押圧点荷重とを乗算することにより前記押圧点荷重を算出することと、
前記補正値と1との差の絶対値が、所定値以下である場合、前記補正値と前記初期押圧点荷重とを乗算することにより前記押圧点荷重を算出することと、
を含む、
請求項2乃至請求項6のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項9】
複数の操作体に押圧される操作面と、前記操作面を押圧する前記複数の操作体の各押圧位置を検出する位置センサと、前記複数の操作体から前記操作面に加わる荷重を異なる位置で検出値として各々検出する複数の荷重センサと、複数の前記押圧位置の各々に加わる荷重を表す押圧点荷重を、前記複数の押圧位置と複数の前記検出値とに基づいて算出する荷重算出部とを備える入力装置により実行される荷重算出方法であって、
前記荷重算出部により、1回以上の算出ループを実行することにより複数の前記押圧点荷重を算出することと、
前記荷重算出部により、1回目の前記算出ループにおいて、前記複数の押圧位置の各々に対応した初期押圧点荷重として所定の値を使用することと、
前記荷重算出部により、前記複数の押圧位置の各々について、前記算出ループにおいて算出された前記押圧点荷重を、次回の前記算出ループにおける前記初期押圧点荷重として使用することと、
を含み、
前記算出ループが、
複数の前記初期押圧点荷重と前記複数の押圧位置との対応に従って前記複数の初期押圧点荷重を前記複数の押圧位置に加えたと仮定した場合に前記複数の荷重センサで検出される荷重を表す複数の算出値を算出することと、
前記複数の荷重センサの各々について、前記算出値と前記検出値との比較に基づいた比較値を算出することと、
前記複数の押圧位置の各々について、前記初期押圧点荷重を補正する補正値を前記比較値と前記押圧位置とに基づいて算出することと、
前記複数の押圧位置の各々について、前記補正値に基づいて前記初期押圧点荷重を補正することにより前記押圧点荷重を算出することと、
を有する、
荷重算出方法。
【請求項10】
コンピュータに請求項9に記載の荷重算出方法を実行させる荷重算出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置、荷重算出方法及び荷重算出プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載のように、操作面上で指が触れた押圧点の座標を検出するタッチパネルセンサと、タッチパネルセンサの裏側に設けられてタッチパネルに加わる荷重を検出する複数の荷重検出センサと、各押圧点における荷重を検出する制御部とを備える入力装置がある。
【0003】
特許文献1の制御部は、タッチパネルセンサの出力から各押圧点の位置座標を求め、荷重検出センサの出力から各押圧点の重心座標と重心荷重とを求め、位置座標と重心座標と重心荷重に基づいて、各押圧点の荷重を算出する。具体的な計算では、押圧点の荷重を要素とする行列Pに、位置座標と重心荷重とから求められる行列Aを掛けると、重心座標のx座標と重心座標のy座標と重心荷重とを要素とする行列Mが求められることを利用する。すなわち、行列Mに逆行列Aを掛けて、求めたい行列Pを取得する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2012/153555
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の入力装置では、原則として行列Aの逆行列を算出して厳密に計算を行うので、ノイズ等の外乱を受けた場合に、本来はプラスの値のみを取る荷重がマイナスになるなどの誤った解が算出され、指の位置や動きを誤検出するという不利益がある。また、3つの押圧点が直線状に並んだときのように逆行列が存在しない場合には、計算上の押圧点を意図的にずらして逆行列を作成するので、荷重を正確に算出できないという不利益がある。また、押圧点が4つ以上になると、逆行列を算出する時間が著しく長くなるという不利益がある。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、少ない計算量で押圧位置の荷重を正確に算出できる入力装置、荷重算出方法及び荷重算出プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数の操作体に押圧される操作面と、操作面を押圧する複数の操作体の各押圧位置を検出する位置センサと、複数の操作体から操作面に加わる荷重を異なる位置で検出値として各々検出する複数の荷重センサと、複数の押圧位置の各々に加わる荷重を表す押圧点荷重を、複数の押圧位置と複数の検出値とに基づいて算出する荷重算出部と、を備え、荷重算出部が、1回以上の算出ループを実行することにより複数の押圧点荷重を算出し、荷重算出部が、1回目の算出ループにおいて、複数の押圧位置の各々に対応した初期押圧点荷重として所定の値を使用し、算出ループが、複数の初期押圧点荷重と複数の押圧位置との対応に従って複数の初期押圧点荷重を複数の押圧位置に加えたと仮定した場合に複数の荷重センサで検出される荷重を表す複数の算出値を算出することと、複数の荷重センサの各々について、算出値と検出値との比較に基づいた比較値を算出することと、複数の押圧位置の各々について、初期押圧点荷重を補正する補正値を比較値と押圧位置とに基づいて算出することと、複数の押圧位置の各々について、補正値に基づいて初期押圧点荷重を補正することにより押圧点荷重を算出することと、を含み、荷重算出部が、複数の押圧位置の各々について、算出ループにおいて算出された押圧点荷重を、次回の算出ループにおける初期押圧点荷重として使用する、入力装置である。
【0008】
この構成によれば、荷重算出部が算出ループにおいて、複数の荷重センサの各々について、初期押圧点荷重から算出した算出値と検出値との比較に基づいた比較値を算出し、比較値と押圧位置とに基づいて補正値を算出し、補正値に基づいて初期押圧点荷重を補正することにより押圧点荷重を算出するので、やみくもに初期押圧点荷重を選択する場合に比べると、少ない計算量で押圧点荷重を実際の値に近づけやすい。すなわち、仮に設定した初期押圧点荷重を出発点として近似計算を行うことで、厳密な計算を行う場合より少ない計算量としながら、算出値と検出値とのずれを考慮することで押圧位置の荷重を正確に算出できる。
【0009】
好適には本発明の入力装置において、複数の算出値を算出することが、荷重分散係数に基づいて複数の算出値を算出することを含み、荷重分散係数の各々が、複数の押圧位置のうちの1つと複数の荷重センサのうちの1つとの異なる組み合わせに対応し、荷重分散係数の各々が、1つの組み合わせを構成する押圧位置に加わる押圧点荷重のうち1つの組み合わせを構成する荷重センサで検出される荷重の割合を表し、複数の荷重センサの各々について、比較値を算出することが、複数の荷重センサの各々について、検出値を算出値で除算することを含み、1つの押圧位置に対応するすべての荷重分散係数を、1群の荷重分散係数と呼ぶとき、1つの押圧位置に対応する補正値を算出することが、複数の荷重センサの各々について、1つの押圧位置に対応する1群の荷重分散係数に含まれる荷重分散係数と比較値とを乗算した値の和を補正値として算出することを含み、複数の押圧位置の各々について、押圧点荷重を算出することが、複数の押圧位置の各々について、補正値と初期押圧点荷重とを乗算することにより押圧点荷重を算出することを含む。
【0010】
この構成によれば、各押圧位置に加わる押圧点荷重のうち各荷重センサで検出される荷重の割合を表す荷重分散係数に基づいて、算出値と補正値とを算出するので、操作面の実際の物理的な動作を反映して正確に押圧点荷重を算出することができる。
【0011】
好適には本発明の入力装置において、4つの荷重センサを備え、操作面が、平面であり、操作面上の位置が、第1方向の第1座標と第1方向に直交する第2方向の第2座標とにより表され、4つの荷重センサの各々が、操作面上の一点に対応付けられ、4つの荷重センサに対応する操作面上の4つの一点が、第1方向に沿った2辺と第2方向に沿った2辺とを持つ長方形の頂点に配置されており、4つの荷重センサの各々が、一点付近で操作面に直交する方向に沿って操作面に加わる検出値を検出し、1つの組み合わせに対応した荷重分散係数が、第1値と第2値との乗算により算出される値であり、第1値が、第1方向における長方形の第1幅から、1つの組み合わせを構成する荷重センサの第1座標と、1つの組み合わせを構成する押圧位置の第1座標との差の大きさを引いた値を、第1幅で除算した値であり、第2値が、第2方向における長方形の第2幅から、1つの組み合わせを構成する荷重センサの第2座標と、1つの組み合わせを構成する押圧位置の第2座標との差の大きさを引いた値を、第2幅で除算した値である。
【0012】
この構成によれば、荷重センサの位置と押圧位置とに基づいて荷重分散係数が算出されるので、実際の物理的な位置関係を反映して正確に押圧点荷重を算出することができる。
【0013】
好適には本発明の入力装置において、押圧位置の数が、nと表され、n個の押圧点荷重を要素とするn行1列の行列が、行列Zと表され、n個の初期押圧点荷重を要素とするn行1列の行列が、行列Zと表され、n個の補正値を要素とするn行1列の行列が、行列Zと表され、行列Zと行列Zと行列Zとにおいて、同じ行の要素が、同じ押圧位置に対応し、荷重センサの数が、mと表され、m個の検出値を要素とするm行1列の行列が、行列Sと表され、m個の算出値を要素とするm行1列の行列が、行列Sと表され、m個の比較値を要素とするm行1列の行列が、行列Sと表され、行列Sと行列Sと行列Sとにおいて、同じ行の要素が、同じ荷重センサに対応し、pが、1以上n以下の整数である、かつ、kが、1以上m以下の整数である、としたとき、荷重算出部が、荷重分散係数を要素とするm行n列の係数行列Aと係数行列Aの転置行列Aとを算出し、係数行列Aと行列Sとにおいて、同じ行の要素が、同じ荷重センサに対応し、転置行列Aと行列Zとにおいて、同じ行の要素が、同じ押圧位置に対応し、すべてのkとすべてのpとについて、係数行列Aのk行p列の要素が、p列に対応する押圧位置に加わる押圧点荷重のうち、k行に対応する荷重センサで検出される荷重の割合を表し、複数の算出値を算出することが、S=A・Zを算出することを含み、複数の荷重センサの各々について、比較値を算出することが、1以上m以下のすべての整数kについて、行列Sのk行目の要素を行列Sのk行目の要素で割った値を行列Sのk行目の要素とすることを含み、複数の押圧位置の各々について、補正値を算出することが、Z=A・Sを算出することを含み、複数の押圧位置の各々について、初期押圧点荷重を補正することにより押圧点荷重を算出することが、1以上n以下のすべての整数pについて、行列Zのp行目の要素に行列Zのp行目の要素を乗じた値を行列Zのp行目の要素とすることを含む。
【0014】
この構成によれば、逆行列を使用しない近似計算が可能であるため、従来のように逆行列を厳密に計算する方法に比べて少ない計算量で押圧点荷重を正確に算出できる。また、押圧位置が1直線に並んだ場合のように、従来なら逆行列が算出できない場合でも、本構成では逆行列を使用しないので押圧点荷重を正確に算出できる。
【0015】
好適には本発明の入力装置において、荷重算出部が、1回目の算出ループにおいて、複数の押圧位置の各々に対応した初期押圧点荷重として所定の正値を使用する。
【0016】
この構成によれば、1回目の算出ループにおいて、複数の押圧位置の各々に対応した初期押圧点荷重として所定の正値を使用するので、検出値が正であれば解が必ず正となり、押圧面に負の圧力が加わる場合に得られる解のような明らかに間違った解を排除できる。
【0017】
好適には本発明の入力装置において、荷重算出部が、算出ループを複数回繰り返す。
【0018】
この構成によれば、算出ループを複数回繰り返すので、初期押圧点荷重を徐々に実際の押圧点荷重に近づけることができるので、より正確に押圧点荷重を算出することができる。
【0019】
好適には本発明の入力装置において、荷重算出部は、算出ループを実行する前の初期押圧点荷重と、算出ループにより算出された押圧点荷重との差の絶対値が、所定値より小さいことに応答して、算出ループの繰り返しを終了する。
【0020】
この構成によれば、算出ループを実行する前の初期押圧点荷重と算出ループにより算出された押圧点荷重との差の絶対値が所定値より小さいことに応答して、前記算出ループの繰り返しを終了するので、算出ループの繰返し回数で終了を判定する場合に比べて、最終的な計算結果の精度を均一にすることができる。また、算出ループの繰返し回数で終了を判定する場合には、途中で目標とする精度に達していても、不要な算出ループが繰り返されるが、本実施形態によれば、目標とする精度に達すれば、迅速に処理を終了することができる。
【0021】
好適には本発明の入力装置において、複数の押圧位置の各々について、押圧点荷重を算出することは、複数の押圧位置の各々について、補正値と1との差の絶対値が、所定値を越えている場合、補正値を所定値未満の補正係数分1に近づけた値と初期押圧点荷重とを乗算することにより押圧点荷重を算出することと、補正値と1との差の絶対値が、所定値以下である場合、補正値と初期押圧点荷重とを乗算することにより押圧点荷重を算出することと、を含む。
【0022】
この構成によれば、補正値が1から所定範囲内にない場合に補正係数分1に近づけるので、補正係数を使用しない場合に比べて収束を速めることができる。
【0023】
本発明は、複数の操作体に押圧される操作面と、操作面を押圧する複数の操作体の各押圧位置を検出する位置センサと、複数の操作体から操作面に加わる荷重を異なる位置で検出値として各々検出する複数の荷重センサと、複数の押圧位置の各々に加わる荷重を表す押圧点荷重を、複数の押圧位置と複数の検出値とに基づいて算出する荷重算出部とを備える入力装置により実行される荷重算出方法であって、荷重算出部により、1回以上の算出ループを実行することにより複数の押圧点荷重を算出することと、荷重算出部により、1回目の算出ループにおいて、複数の押圧位置の各々に対応した初期押圧点荷重として所定の値を使用することと、荷重算出部により、複数の押圧位置の各々について、算出ループにおいて算出された押圧点荷重を、次回の算出ループにおける初期押圧点荷重として使用することと、を含み、算出ループが、複数の初期押圧点荷重と複数の押圧位置との対応に従って複数の初期押圧点荷重を複数の押圧位置に加えたと仮定した場合に複数の荷重センサで検出される荷重を表す複数の算出値を算出することと、複数の荷重センサの各々について、算出値と検出値との比較に基づいた比較値を算出することと、複数の押圧位置の各々について、初期押圧点荷重を補正する補正値を比較値と押圧位置とに基づいて算出することと、複数の押圧位置の各々について、補正値に基づいて初期押圧点荷重を補正することにより押圧点荷重を算出することと、を有する、荷重算出方法である。
【0024】
本発明は、コンピュータに上記の荷重算出方法を実行させる荷重算出プログラムである。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、少ない計算量で正確な荷重を出力できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1実施形態の入力装置の概略構成図である。
図2】荷重算出方法を説明するためのフローチャートである。
図3】第1実施形態の第1実施例における、算出ループの繰返し回数と押圧点荷重との関係を示すグラフである。
図4】第1実施形態の第2実施例において、ノイズの影響がない場合の押圧位置の変化と押圧点荷重との関係を示すグラフである。
図5】第1実施形態の第2実施例において、ノイズの影響がある場合の押圧位置の変化と押圧点荷重との関係を示すグラフである。
図6】比較例において、ノイズの影響がない場合の押圧位置の変化と押圧点荷重との関係を示すグラフである。
図7】比較例において、ノイズの影響がある場合の押圧位置の変化と押圧点荷重との関係を示すグラフである。
図8】第1実施形態の第3実施例と第4実施例とにおける押圧位置を示す図である。
図9】第1実施形態の第5実施例における押圧位置を示す図である。
図10】第2実施形態の荷重算出方法を説明するためのフローチャートである。
図11】第3実施形態の荷重算出方法を説明するためのフローチャートである。
図12】第3実施形態と第1実施形態とにおける、算出ループの繰返し回数と押圧点荷重との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第1実施形態の入力装置の全体構成)
以下、本発明の第1実施形態に係る入力装置について説明する。図1は、本実施形態に係る入力装置100の概略構成図である。入力装置100は、パソコンなどの外部機器に搭載されて、複数の操作体(例えば、人間の指、操作用のペンなど)が触れた位置と荷重とを検出する。
【0028】
本明細書において、互いに直交するx方向とy方向とを規定する。これらの方向は、相対的な位置関係を説明するために便宜上規定するのであって、実際の使用時の方向を限定するわけではない。構成要素の形状は、「略」という記載があるかないかにかかわらず、本明細書で開示された実施形態の技術思想が実現される限り、記載された表現に基づく厳密な幾何学的な形状に限定されない。
【0029】
図1に示すように、入力装置100は、xy平面に平行に広がる平板状の操作板110と、操作板110に触れた操作体の位置を検出する位置センサ120と、操作板110に加わる荷重を検出する第1荷重センサ130−1〜第4荷重センサ130−4(以下、区別せずに荷重センサ130と呼ぶ場合がある。)と、記憶装置140と、演算処理装置150とを含む。
【0030】
(操作板)
操作板110は、xy平面に平行な操作面111を有し、xy平面に直交する方向にわずかな厚みをもつ平板状の直方体である。操作面111は、xy平面に直交する方向に見たとき、x方向とy方向とに沿う4つの辺をもつ長方形である。操作面111は、複数の操作体に押圧される部分であり、ほぼ撓まずにxy平面に直交する方向に、移動する。操作面111のx方向の幅をW(本実施形態では、2432)と表し、操作面111のy方向の幅をH(本実施形態では、1280)と表す。
【0031】
(位置センサ)
位置センサ120は、操作面111の反対側で操作板110に近接している。位置センサ120は、操作面111を押圧する複数の操作体の各押圧位置160を検出する。位置センサ120は、x方向に延びた電極とy方向に延びた電極との交差部分の静電容量の変化に基づいて押圧位置160を検出する。位置センサ120は、他の原理で押圧位置160を検出するものであってもよい。
【0032】
例えば、位置センサ120は、3つの操作体に押圧された第1押圧位置160−1、第2押圧位置160−2、及び第3押圧位置160−3(区別せずに押圧位置160と呼ぶ場合がある。)を検出する。押圧位置160は、3つより多くても少なくてもよい。押圧位置160はx座標とy座標により表される。
【0033】
(荷重センサ)
荷重センサ130は、操作面111上の一点に対応付けられており、複数の操作体から操作面111に加わる荷重を異なる位置で検出値として各々検出する。4つの荷重センサ130に対応する操作面111上の4つの一点が、x方向に沿った2辺とy方向に沿った2辺とを持つ長方形の頂点、すなわち操作面111の四隅に配置されている。荷重センサ130は、操作面111の反対側に位置し、xy平面に直交する方向の荷重を検出する。荷重センサ130は、図示しない弾性部材を有する。操作面111が操作体に押圧されてxy平面に直交する方向に移動すると弾性部材が弾性変形し、操作体が操作面111から離れると、弾性部材の弾性力により操作板110が元の位置に戻る。
【0034】
荷重センサ130は、荷重により変形する導電ゴムと電極との接触面積の変化に基づいて荷重を検出する。荷重センサ130は、他の原理で荷重を検出するものであってもよい。荷重センサ130は、押圧位置160の荷重を直接検出するわけではない。操作板110がxy平面に垂直な方向に押圧されたときに、4つの荷重センサ130が、分担して操作板110からの荷重を検出する。本実施形態では、荷重センサ130は、定常位置にある操作板110が一方向に押圧されたときの荷重を正の値で検出する。正常に動作しているとき、検出値は、負にならない。
【0035】
(記憶装置)
記憶装置140は、荷重算出プログラム141を記憶する。荷重算出プログラム141は、演算処理装置150によって読み出されて、演算処理装置150に荷重算出方法の一部を行うための機能、及び他の機能を実装させる。演算処理装置150が種々の機能を実行するとき、記憶装置140は、演算処理装置150に制御されて、適宜必要な情報を記憶する。記憶装置140は、非一時的な有形の記憶媒体である。記憶装置140は、ROM(read only memory)及びRAM(random access memory)を含む。記憶装置140は、揮発性または不揮発性の記憶媒体である。記憶装置140は、取り外し可能であってもよく、取り外し不能であってもよい。
【0036】
(演算処理装置)
演算処理装置150は、記憶装置140に記憶された荷重算出プログラム141を読み出して実行することにより、荷重算出部151として機能する。本実施形態の演算処理装置150は、汎用コンピュータであるが、特定用途向け集積回路(ASIC;application specific integrated circuits)であってもよく、本実施形態で説明される各機能を実装可能な他の回路であってもよい。
【0037】
(荷重算出部)
荷重算出部151は、荷重算出方法を実行することにより、複数の押圧位置160の各々に加わる荷重を表す押圧点荷重を、複数の押圧位置160と複数の検出値とに基づいて算出する。
【0038】
(荷重算出方法)
図2は、荷重算出方法を説明するためのフローチャートである。以下、図1の構成と図2のフローチャートを参照しながら、荷重算出部151が実行する荷重算出方法について説明する。一般的な説明と併せて、第1実施例として相互に関連する具体的な数値を例示するが、本実施形態は、例示した数値に限られるわけではない。
【0039】
操作面111内の位置は、(x座標、y座標)と表す。第1荷重センサ130−1の座標は、(0、0)である。第2荷重センサ130−2の座標は、(0、H)である。第3荷重センサ130−3の座標は、(W、0)である。第3荷重センサ130−3の座標は、(W、H)である。荷重センサ130の数は、予め決まっており、mと表される。第1実施例では、m=4とする。
【0040】
ステップ210において、荷重算出部151は、位置センサ120から複数の押圧位置160を取得し、複数の押圧位置160の数を操作体の数として取得する。押圧位置160は、操作面111内の座標として取得される。図1の例では、第1押圧位置160−1の座標を(x、y)とする。第2押圧位置160−2の座標を(x、y)とする。第3押圧位置160−3の座標を(x、y)とする。押圧位置160の数、すなわち操作体の数は、nと表される。
【0041】
第1実施例において、押圧位置160の数は3である。第1押圧位置160−1の座標は(1184、353)である。第2押圧位置160−2の座標は(2033、586)である。第3押圧位置160−3の座標は(409、1148)である。
【0042】
ステップ210の次にステップ212が実行される。ステップ212において、荷重算出部151は、m個の検出値を要素とするm行1列の検出値行列Sを生成する。検出値行列Sは、式1のように構成される。検出値行列Sの行は、上から順に第1荷重センサ130−1〜第4荷重センサ130−4に対応する。式1の数値は、第1実施例の値である。
【数1】
【0043】
ステップ212の次にステップ214が実行される。ステップ214において、荷重算出部151は、後述の荷重分散係数を要素とするm行n列の係数行列Aと、係数行列Aの転置行列Aとを算出する。係数行列Aは、例えば、式2のように構成される。
【数2】
【0044】
係数行列Aの行は、上から順に第1荷重センサ130−1〜第4荷重センサ130−4に対応する。係数行列Aの列は、左から順に第1押圧位置160−1〜第3押圧位置160−3に対応する。すなわち、m×n個の荷重分散係数の各々は、複数の押圧位置160のうちの1つと複数の荷重センサ130のうちの1つとの異なる組み合わせに対応する。
【0045】
1以上m以下のすべての整数kと、1以上n以下のすべての整数pとについて、係数行列Aのk行p列の要素(すなわち、荷重分散係数)は、p列に対応する押圧位置160に加わる押圧点荷重のうち、k行に対応する荷重センサ130で検出される荷重の割合を表す。すなわち、荷重分散係数の各々は、1つの組み合わせを構成する押圧位置160に加わる押圧点荷重のうち、同じ1つの組み合わせを構成する荷重センサ130で検出される荷重の割合を表す。
【0046】
荷重分散係数は、x方向の全幅Wから、荷重センサ130のx座標と押圧位置160のx座標との差の大きさを引いた値を、x方向の全幅Wで除算した第1値と、y方向の全幅Hから、荷重センサ130のy座標と押圧位置160のy座標との差の大きさを引いた値を、y方向の全幅Hで除算した第2値との乗算により算出される。
【0047】
式3は、第1実施例の数値を使用した係数行列Aである。
【数3】
【0048】
ステップ214の次にステップ216が実行される。ステップ216において、荷重算出部151は、後述するn個の初期押圧点荷重を要素とするn行1列の初期押圧点荷重行列Zを作成する。初期押圧点荷重行列Zは、式4のように構成される。初期押圧点荷重行列Zの行は、上から順に第1押圧位置160−1〜第3押圧位置160−3に対応する。式4の数値は、第1実施例の値である。
【数4】
【0049】
初期押圧点荷重は、算出ループを実行する前の押圧点荷重として、押圧位置160の各々に対して仮に設定される荷重を表す。荷重算出部151は、後述の1回目の算出ループにおいて、複数の押圧位置160の各々に対応した初期押圧点荷重として所定の値を使用する。所定の値は、正値である。第1実施例において、所定の値はすべて1である。
【0050】
ステップ216の次にステップ218が実行される。以下に説明するステップ218〜ステップ224を算出ループと呼ぶ。荷重算出部151は、1回以上の算出ループを実行することにより複数の押圧点荷重を算出する。荷重算出部151は、算出ループを複数回繰り返してよい。
【0051】
ステップ218において、荷重算出部151は、複数の初期押圧点荷重と複数の押圧位置160との対応に従って複数の初期押圧点荷重を複数の押圧位置160に加えたと仮定した場合に複数の荷重センサ130で検出される荷重を表す複数の算出値を算出する。複数の算出値を算出することは、荷重分散係数に基づいて複数の算出値を算出することを含む。
【0052】
具体的には、複数の算出値を算出することは、m個の算出値を要素とするm行1列の算出値行列S=A・Zを算出することを含む。算出値行列Sは、式5のように構成される。算出値行列Sの行は、上から順に第1荷重センサ130−1〜第4荷重センサ130−4に対応する。式5の値は、式3と式4とを使用した場合の値である。
【数5】
【0053】
ステップ218の次にステップ220が実行される。ステップ220において、荷重算出部151は、複数の荷重センサ130の各々について、算出値と検出値との比較に基づいた比較値を算出する。複数の荷重センサ130の各々について、比較値を算出することが、複数の荷重センサ130の各々について、検出値を算出値で除算することを含む。
【0054】
具体的には、複数の荷重センサ130の各々について、比較値を算出することは、m個の比較値を要素とするm行1列の比較値行列Sを算出することを含む。比較値行列Sは、式6のように構成される。比較値行列Sの行は、上から順に第1荷重センサ130−1〜第4荷重センサ130−4に対応する。1以上m以下のすべての整数kについて、検出値行列Sのk行目の要素を算出値行列Sのk行目の要素で割った値を、比較値行列Sのk行目の要素とする。式6の値は、式1と式5とを使用した場合の値である。
【数6】
【0055】
ステップ220の次にステップ222が実行される。ステップ222において、荷重算出部151は、複数の押圧位置160の各々について、初期押圧点荷重を補正する補正値を比較値と押圧位置160とに基づいて算出する。1つの押圧位置160に対応するすべての荷重分散係数を、1群の荷重分散係数と呼ぶとき、1つの押圧位置160に対応する補正値を算出することが、複数の荷重センサ130の各々について、1つの押圧位置160に対応する1群の荷重分散係数に含まれる荷重分散係数と比較値とを乗算した値の和を補正値として算出することを含む。
【0056】
具体的には、複数の押圧位置160の各々について、補正値を算出することが、n個の補正値を要素とするn行1列の補正値行列Z=A・Sを算出することを含む。補正値行列Zは、式7のように構成される。補正値行列Zの行は、上から順に第1押圧位置160−1〜第3押圧位置160−3に対応する。式7の値は、式3と式6とを使用した場合の値である。
【数7】
【0057】
ステップ222の次にステップ224が実行される。ステップ224において、荷重算出部151は、複数の押圧位置160の各々について、補正値に基づいて初期押圧点荷重を補正することにより押圧点荷重を算出する。複数の押圧位置160の各々について、押圧点荷重を算出することが、複数の押圧位置160の各々について、補正値と初期押圧点荷重とを乗算することにより押圧点荷重を算出することを含む。
【0058】
具体的には、複数の押圧位置160の各々について、初期押圧点荷重を補正することにより押圧点荷重を算出することは、n個の押圧点荷重を要素とするn行1列の押圧点荷重行列Zを算出することを含む。押圧点荷重行列Zは、式8のように構成される。押圧点荷重行列Zの行は、上から順に第1押圧位置160−1〜第3押圧位置160−3に対応する。1以上n以下のすべての整数pについて、初期押圧点荷重行列Zのp行目の要素に補正値行列Zのp行目の要素を乗じた値を押圧点荷重行列Zのp行目の要素とすることとを含む。式8の値は、式4と式7とを使用した場合の値である。
【数8】
【0059】
ステップ224の次にステップ226が実行される。ステップ226において、荷重算出部151は、算出ループを所定回数実行したか判定する。所定回数は、例えば、10回である。荷重算出部151は、算出ループを所定回数実行したと判定した場合、荷重算出方法を終了する。荷重算出部151は、算出ループを所定回数実行していないと判定した場合、ステップ228に進む。
【0060】
ステップ228において、荷重算出部151は、複数の押圧位置160の各々について、算出ループにおいて算出された押圧点荷重を、次回の算出ループにおける初期押圧点荷重として使用する。具体的には、式4の値の代わりに式8の値を使用する。ステップ228の次に再びステップ218が実行される。算出ループが複数回実施されると、比較値が徐々に1に近づくので、押圧点荷重が徐々に実際の値に近づいていることがわかる。
【0061】
荷重算出部151は、他の例において、実行回数を制限するのではなく、算出ループを、所定の時間繰り返してもよい。荷重算出部151は、他の例において、実行回数を制限するのではなく、押圧点荷重の変化量が閾値より小さくなるまで、算出ループを繰り返してもよい。
【0062】
なお、押圧点荷重行列Z(式8)と初期押圧点荷重行列Z(式4)と補正値行列Z(式7)とにおいて、同じ行の要素が、同じ押圧位置160に対応する。検出値行列S(式1)と算出値行列S(式5)と比較値行列S(式6)とにおいて、同じ行の要素が、同じ荷重センサ130に対応する。転置行列A(式7)と押圧点荷重行列Z(式8)とにおいて、同じ行の要素が、同じ押圧位置160に対応する。係数行列A(式3)と検出値行列S(式1)とにおいて、同じ行の要素が、同じ荷重センサ130に対応する。
【0063】
(第1実施形態の第1実施例の結果)
図3は、算出ループの繰返し回数と押圧点荷重との関係を示すグラフである。数値は、上述の荷重算出方法で説明した第1実施例の数値を使用した。グラフ301は、第1押圧位置160−1の押圧点荷重を示す。グラフ302は、第2押圧位置160−2の押圧点荷重を示す。グラフ303は、第3押圧位置160−3の押圧点荷重を示す。グラフ301、グラフ302、及びグラフ303に示すように、1回目で収束値に近い押圧点荷重が得られ、その後、大きく変動せずに押圧点荷重が収束する。
【0064】
(第1実施形態の第2実施例)
【0065】
図4図7は、3つの操作体の押圧位置の変化と押圧点荷重との関係を示す。横軸は押圧位置160の違いを示す。縦軸は押圧点荷重を示す。3つの操作体が加える荷重は、互いに異なるが、位置にかかわらず一定である。図4及び図5は、本実施形態の第2実施例である。図6及び図7は、比較例である。比較例では、係数行列Aから導出した従来の疑似逆行列(すなわち、逆行列そのもの、または係数行列Aから逆行列を計算できるように逆行列に似せて作成された行列)を使用して押圧点荷重を厳密に求めた。以下、ノイズとは、位置センサ120及び荷重センサ130の検出値及び押圧位置に加わる変動量である。例えば、ノイズは、強い電磁界ノイズ、静電気、操作に無関係な応力などである。また、例えば、ノイズは、温度、湿度、または電圧の変化により発生する。
【0066】
図4は、本実施形態の第2実施例において、ノイズの影響がない場合に対応する。グラフ311、グラフ312、及びグラフ313は、異なる操作体に対応する。図5は、本実施形態の第2実施例において、20dBのノイズの影響がある場合に対応する。グラフ321、グラフ322、及びグラフ323は、異なる操作体に対応する。図4及び図5からわかるように、本実施形態の場合、ノイズの有無にかかわらず、押圧点荷重に対するノイズの影響がほとんどなかった。
【0067】
図6は、比較例において、ノイズの影響がない場合に対応する。グラフ331、グラフ332、及びグラフ333は、異なる操作体に対応する。比較例の場合、ノイズの影響がなければ、押圧点荷重に対するノイズが極めて小さかった。図7は、比較例において、20dBのノイズの影響がある場合に対応する。グラフ341、グラフ342、及びグラフ343は、異なる操作体に対応する。比較例の場合、ノイズの影響があると、押圧点荷重に対するノイズが極めて大きかった。
【0068】
(第1実施形態の第3実施例)
次に、第1実施形態の第3実施例について説明する。図8は、第3実施例における押圧位置を示す。押圧位置の数は3であった。第1押圧位置360−1の座標は(1200、300)であった。第2押圧位置360−2の座標は(700、700)であった。第3押圧位置360−3の座標は(1600、700)であった。
【0069】
検出値行列Sは、式9のようになった。検出値行列Sの行は、上から順に図1に示す第1荷重センサ130−1〜第4荷重センサ130−4に対応する。係数行列Aは、前述と同様の計算で求めた。
【数9】
【0070】
従来のように、係数行列Aの逆行列を使用して、Z=A−1・Sの計算をすると、式10のように押圧点荷重行列Zが算出された。押圧点荷重行列Zの行は、上から順に第1押圧位置360−1〜第3押圧位置360−3に対応する。当然、検算のために式10を使用してS=A・Zを計算すると、式9がそのまま得られる。すなわち、結果の精度は高い。しかし、従来の方法では、逆行列を算出するので、計算量は非常に多い。
【数10】
【0071】
本実施形態の荷重算出方法により複数回の算出ループを実行すると、式11のように押圧点荷重行列Zが算出された。押圧点荷重行列Zの行は、上から順に第1押圧位置360−1〜第3押圧位置360−3に対応する。
【数11】
【0072】
検算のために式11を使用してS=A・Zを計算すると、式12が得られた。式9に対して若干の誤差が見られるものの、式9に近いことから、式11の精度が高いことがわかる。
【数12】
【0073】
(第1実施形態の第4実施例)
次に、第1実施形態の第4実施例について説明する。第4実施例における押圧位置と数は第3実施例と同じであった。本実施例は、理想的には第3実施例の検出値行列Sが得られる状況で、検出値行列Sに10%のノイズが含まれる場合に相当する。
【0074】
検出値行列Sは、式13のようになった。検出値行列Sの行は、上から順に図1に示す第1荷重センサ130−1〜第4荷重センサ130−4に対応する。式9に示す第3実施例の検出値行列Sと比べると、10%のずれが見られた。係数行列Aは、前述と同様の計算で求めた。
【数13】
【0075】
従来のように、係数行列Aの逆行列を使用して、Z=A−1・Sの計算をすると、式14のように押圧点荷重行列Zが算出された。押圧点荷重行列Zの行は、上から順に第1押圧位置360−1〜第3押圧位置360−3に対応する。当然、検算のために式14を使用してS=A・Zを計算すると、式13がそのまま得られる。すなわち、式14が解であることは間違いがない。しかし、ノイズの無い場合の押圧点荷重行列Z(すなわち、第3実施例における式10)から大きくずれている。また、要素に負値が含まれることから、算出結果が異常であることがわかる。つまり、従来の方法では、ノイズが算出結果に大きく影響していることがわかる。
【数14】
【0076】
本実施形態の荷重算出方法により複数回の算出ループを実行すると、式15のように押圧点荷重行列Zが算出された。押圧点荷重行列Zの行は、上から順に第1押圧位置360−1〜第3押圧位置360−3に対応する。従来に比べて、ノイズの無い場合の押圧点荷重行列Z(すなわち、第3実施例における式10)に近い。また、要素は全て正値であることから、算出結果が正常であることがわかる。
【数15】
【0077】
検算のために式15を使用してS=A・Zを計算すると、式16が得られた。式13に対して若干の誤差が見られるものの、式13に近いことから、式15の精度が高いことがわかる。すなわち、本実施形態の方が、従来よりもノイズの影響を受けにくい。
【数16】
【0078】
(第1実施形態の第5実施例)
次に、第1実施形態の第5実施例について説明する。図9は、第5実施例における押圧位置を示す。押圧位置の数は3であった。第1押圧位置361−1の座標は(300、300)であった。第2押圧位置361−2の座標は(800、300)であった。第3押圧位置361−3の座標は(1300、300)であった。すなわち、押圧位置が一直線に並んでいた。
【0079】
検出値行列Sは、式17のようになった。検出値行列Sの行は、上から順に図1に示す第1荷重センサ130−1〜第4荷重センサ130−4に対応する。係数行列Aは、前述と同様の計算で求めた。
【数17】
【0080】
従来のように、係数行列Aの逆行列を使用して、Z=A−1・Sの計算をすると、式18のように押圧点荷重行列Zが算出された。ただし、逆行列そのものは存在しないので、逆行列を計算できるように係数行列Aを操作した。押圧点荷重行列Zの行は、上から順に第1押圧位置361−1〜第3押圧位置361−3に対応する。要素に負値が含まれることから、算出結果が異常であることがわかる。つまり、従来の方法では、係数行列の変更が算出結果に大きく影響していることがわかる。
【数18】
【0081】
検算のために式18を使用してS=A・Zを計算すると、式19が得られた。式18を算出するため、係数行列Aを変更して逆行列を算出したので、式19は、式17から大きくずれた。すなわち、押圧位置が直線に並ぶとき、従来の方法では、係数行列の変更が算出結果に大きく影響していることがわかる。
【数19】
【0082】
本実施形態の荷重算出方法により複数回の算出ループを実行すると、式20のように押圧点荷重行列Zが算出された。押圧点荷重行列Zの行は、上から順に第1押圧位置361−1〜第3押圧位置361−3に対応する。要素が全て正値であることから、算出結果が正常であることがわかる。
【数20】
【0083】
検算のために式20を使用してS=A・Zを計算すると、式21が得られた。式17に対して若干の誤差が見られるものの、式17に近いことから、式20の精度が高いことがわかる。すなわち、本実施形態の場合、押圧位置が直線に並んでいても高精度に押圧点荷重行列Zを算出できる。また、本実施形態は、従来のように、押圧位置が直線に並んでいる場合に係数行列Aを変更するといった特異な操作を必要としないので、処理が簡単である。
【数21】
【0084】
(まとめ)
本実施形態によれば、荷重算出部151が算出ループにおいて、複数の荷重センサ130の各々について、初期押圧点荷重から算出した算出値と検出値との比較に基づいた比較値を算出し、比較値と押圧位置160とに基づいて補正値を算出し、補正値に基づいて初期押圧点荷重を補正することにより押圧点荷重を算出するので、やみくもに初期押圧点荷重を選択する場合に比べると、少ない計算量で押圧点荷重を実際の値に近づけやすい。すなわち、仮に設定した初期押圧点荷重を出発点として近似計算を行うことで、厳密な計算を行う場合より少ない計算量としながら、算出値と検出値とのずれを考慮することで押圧位置160の荷重を正確に算出できる。
【0085】
本実施形態によれば、各押圧位置160に加わる押圧点荷重のうち各荷重センサ130で検出される荷重の割合を表す荷重分散係数に基づいて、算出値と補正値とを算出するので、操作面の実際の物理的な動作を反映して正確に押圧点荷重を算出することができる。
【0086】
本実施形態によれば、荷重センサ130の位置と押圧位置160とに基づいて荷重分散係数が算出されるので、実際の物理的な位置関係を反映して正確に押圧点荷重を算出することができる。
【0087】
本実施形態によれば、逆行列を使用しない近似計算が可能であるため、従来のように逆行列を厳密に計算する方法に比べて少ない計算量で押圧点荷重を正確に算出できる。また、押圧位置160が1直線に並んだ場合のように、従来なら逆行列が算出できない場合でも、本実施形態では逆行列を使用しないので押圧点荷重を正確に算出できる。
【0088】
本実施形態によれば、1回目の算出ループにおいて、複数の押圧位置160の各々に対応した初期押圧点荷重として所定の正値を使用するので、検出値が正であれば解が必ず正となり、押圧面に負の圧力が加わる場合に得られる解のような明らかに間違った解を排除できる。
【0089】
本実施形態によれば、算出ループを複数回繰り返すので、初期押圧点荷重を徐々に実際の押圧点荷重に近づけることができるので、より正確に押圧点荷重を算出することができる。
【0090】
(第2実施形態の荷重算出方法)
図10は、第2実施形態の荷重算出方法を説明するためのフローチャートである。以下、図1の構成と図10のフローチャートを参照しながら、荷重算出部151が実行する第2実施形態の荷重算出方法について説明する。以下、第1実施形態の荷重算出方法と本実施形態の荷重算出方法との相違点を中心に説明する。
【0091】
図10に示すステップ410〜ステップ416は、それぞれ、図2に示すステップ210〜ステップ216と同じであるので、説明は省略する。
【0092】
ステップ416の次にステップ418が実行される。以下に説明するステップ418〜ステップ426を算出ループと呼ぶ。荷重算出部151は、1回以上の算出ループを実行することにより複数の押圧点荷重を算出する。荷重算出部151は、算出ループを複数回繰り返してよい。
【0093】
ステップ418において、荷重算出部151は、n個の初期押圧点荷重を要素とするn行1列の前回押圧点荷重行列Zを作成する。前回押圧点荷重行列Zは、この時点での初期押圧点荷重行列Zに等しい。前回押圧点荷重行列Zの行は、上から順に第1押圧位置160−1〜第3押圧位置160−3に対応する。
【0094】
ステップ418の次にステップ420が実行される。図10に示すステップ420〜ステップ426は、それぞれ、図2に示すステップ218〜ステップ224と同じであるので、説明は省略する。
【0095】
ステップ426の次にステップ428が実行される。ステップ428において、荷重算出部151は、1以上n以下のすべての整数pについて、前回押圧点荷重行列Zのp行目の要素と押圧点荷重行列Zのp行目の要素との差の絶対値が、いずれも既定値より小さいか判定する。荷重算出部151は、差の絶対値がいずれも既定値より小さいと判定した場合、荷重算出方法を終了する。荷重算出部151は、差の絶対値がいずれかが既定値以上であると判定した場合、ステップ430に進む。すなわち、前回押圧点荷重行列Zの要素と算出ループにより算出された押圧点荷重行列Zの要素との差の絶対値が小さければ、収束したと判定して荷重算出方法が終わる。
【0096】
図10に示すステップ430は、図2に示すステップ228と同じであるので、説明は省略する。ステップ430の次に再びステップ418が実行される。すなわち、算出ループが繰り返される。
【0097】
(まとめ)
本実施形態によれば、算出ループを実行する前の初期押圧点荷重と算出ループにより算出された押圧点荷重との差の絶対値が所定値より小さいことに応答して、前記算出ループの繰り返しを終了するので、算出ループの繰返し回数で終了を判定する場合に比べて、最終的な計算結果の精度を均一にすることができる。また、算出ループの繰返し回数で終了を判定する場合には、途中で目標とする精度に達していても、不要な算出ループが繰り返されるが、本実施形態によれば、目標とする精度に達すれば、迅速に処理を終了することができる。
【0098】
(第3実施形態の荷重算出方法)
図11は、第3実施形態の荷重算出方法を説明するためのフローチャートである。以下、図1の構成と図11のフローチャートを参照しながら、荷重算出部151が実行する第3実施形態の荷重算出方法について説明する。以下、第1実施形態の荷重算出方法と本実施形態の荷重算出方法との相違点を中心に説明する。
【0099】
以下で説明するように、複数の押圧位置の各々について、押圧点荷重を算出することは、複数の押圧位置160の各々について、補正値と1との差の絶対値が、所定値を越えている場合、補正値を所定値未満の補正係数分1に近づけた値と初期押圧点荷重とを乗算することにより押圧点荷重を算出することと、補正値と1との差の絶対値が、所定値以下である場合、補正値と初期押圧点荷重とを乗算することにより押圧点荷重を算出することとを含む。
【0100】
図11に示すステップ510〜ステップ516は、それぞれ、図2に示すステップ210〜ステップ216と同じであるので、説明は省略する。
【0101】
ステップ516の次にステップ518が実行される。以下に説明するステップ518〜ステップ528を算出ループと呼ぶ。荷重算出部151は、1回以上の算出ループを実行することにより複数の押圧点荷重を算出する。荷重算出部151は、算出ループを複数回繰り返してよい。
【0102】
ステップ516の次にステップ518が実行される。図11に示すステップ518〜ステップ522は、それぞれ、図2に示すステップ218〜ステップ222と同じであるので、説明は省略する。
【0103】
ステップ522の次にステップ524が実行される。ステップ524において、荷重算出部151は、補正値行列Zのすべての要素が、所定範囲内であるか判定する。例えば、所定範囲は、0.97以上かつ1.03以下である。荷重算出部151は、補正値行列Zのすべての要素が、所定範囲内であると判定した場合、ステップ528に進む。荷重算出部151は、補正値行列Zのいずれかの要素が、所定範囲内にないと判定した場合、ステップ526に進む。
【0104】
ステップ526において、荷重算出部151は、補正値行列Zの各要素のうち、所定範囲(ステップ524における所定範囲と同じ)内にないものに、加速係数aを加算する。例えば、要素の値が100未満の場合の加速係数aは0.025である。要素の値が100を越える場合の加速係数aは−0.025である。
【0105】
ステップ526の次にステップ528が実行される。図11に示すステップ528〜532は、図2に示すステップ224〜228と同じであるので、説明は省略する。ステップ532の次に再びステップ518が実行される。すなわち、算出ループが繰り返される。
【0106】
図12は、算出ループの繰返し回数と押圧点荷重との関係を示すグラフである。グラフ541、グラフ542、及びグラフ543は、すべて、加速係数を加算しない場合(第1実施形態の場合)のグラフである。グラフ551、グラフ552、及びグラフ553は、すべて、本実施形態の場合のグラフである。加速係数を使用すること以外の条件は、図3に示す第1実施例の場合と同様とする。グラフ541とグラフ551とは、第1押圧位置160−1の押圧点荷重を示す。グラフ542とグラフ552とは、第2押圧位置160−2の押圧点荷重を示す。グラフ543とグラフ553とは、第3押圧位置160−3の押圧点荷重を示す。グラフ541、グラフ542、及びグラフ543よりも、グラフ551、グラフ552、及びグラフ553のほうが速く収束した。すなわち、本実施形態の加速係数を使用したほうが、速く収束した。
【0107】
(まとめ)
本実施形態によれば、補正値が1から所定範囲内にない場合に補正係数分1に近づけるので、補正係数を使用しない場合に比べて収束を速めることができる。
【0108】
本発明は上述した実施形態には限定されない。すなわち、当業者は、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し、様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明は、複数の操作体による位置と荷重を検出する入力装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0110】
100…入力装置、110…操作板、111…操作面
120…位置センサ、130…荷重センサ(130−1〜4…第1〜第4荷重センサ)
140…記憶装置、141…荷重算出プログラム
150…演算処理装置、151…荷重算出部
160…押圧位置(160−1〜3…第1〜第3押圧位置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12