(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
開口部、及び前記開口部の周縁に形成されたフランジ部を有する容器本体と、前記容器本体の前記開口部を塞ぐ蓋材とを備え、前記フランジ部に凹部が設けられた包装体の製造方法であって、
基材の一方の面上に粘着剤層を有するタックシートを、前記粘着剤層を介して前記フランジ部の前記凹部が設けられた部分に、前記タックシートの全体が前記凹部に嵌るように剥離可能に貼付した後、
前記フランジ部、及び前記フランジ部に貼付された前記タックシートの前記基材の他方の面を前記蓋材に溶着する、包装体の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された技術によれば、容器本体に熱接着された蓋材を一部剥離して容器を開封した後、再び蓋材を容器本体に圧着して開口部を塞ぐことができる。しかし、特許文献1の蓋材では、特殊な感熱粘着剤の使用を余儀なくされるので、材料コストの増加や、接着力の調整が難しいといった課題が想定される。また、蓋材の内面に予め感熱粘着剤層が形成されているため、蓋材の搬送途中でのブロッキングの問題も想定される。さらに、蓋材は比較的薄い合成樹脂層等の積層体から作製されるので、一旦、蓋材を容器本体から剥離した後に、蓋材を容器本体側に再封し難いという問題もある。
【0006】
一方、当該蓋材に常温で粘着性を有する一般的な粘着剤を適用した場合は、粘着面を保護するセパレータが必要となり、例えば蓋材をロール形態とした場合に嵩高くなるといった問題が発生する。また、シーラント層上に粘着剤層を形成した場合、両層の接着強度の調整が難しいため、粘着剤層が蓋材から剥離することが考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る包装体は、互いに対向する対向面をそれぞれ有する第1部材及び第2部材を備え、前記対向面同士が剥離可能に貼付されることで開口部が閉じられる包装体において、基材の一方の面上に粘着剤層を有し、前記第1部材と第2部材との間に設けられたタックシートを備え、前記タックシートは、前記第1部材の前記対向面に対して前記粘着剤層により剥離可能に貼付され、前記第2部材の前記対向面に対して前記基材の他方の面が溶着されていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る包装体の一例において、前記第1部材は、前記開口部、及び前記開口部の周縁に形成されたフランジ部を有する容器本体であり、前記第2部材は、前記容器本体の前記開口部を塞ぐ蓋材であって、前記タックシートは、前記容器本体の前記フランジ部に対して前記粘着剤層により剥離可能に貼付され、前記蓋材の前記対向面に対して前記基材の他方の面が溶着されている。
【0009】
本発明に係る包装体の一例において、前記タックシートは、前記蓋材の開封部、又は前記開封部に隣接する部分のみに設けられている。
【0010】
本発明に係る包装体の一例において、前記蓋材の前記対向面は、前記フランジ部の全周に亘って溶着されており、前記タックシートは、当該溶着部に囲まれた領域の外側又は内側に設けられている。
【0011】
本発明に係る包装体の一例において、前記タックシートには、印刷層が形成されており、前記蓋材は、少なくとも当該印刷層に対応する部分が透明である。
【0012】
本発明に係る包装体の一例において、前記タックシートは、前記容器本体と前記蓋材との間に位置する本体部と、前記容器本体と前記蓋材との間から延出して前記容器本体のみに接着される延出部とを有する。
【0013】
本発明に係る包装体の一例において、前記タックシートは、少なくとも前記延出部において、前記本体部側から前記延出部側に凸となるように形成された切断補助線を有する。
【0014】
本発明に係る包装体の製造方法は、開口部、及び前記開口部の周縁に形成されたフランジ部を有する容器本体と、前記容器本体の前記開口部を塞ぐ蓋材と、を備えた包装体の製造方法であって、基材の一方の面上に粘着剤層を有するタックシートを、前記粘着剤層を介して前記フランジ部に剥離可能に貼付し、前記フランジ部、及び前記フランジ部に貼付された前記タックシートの前記基板の他方の面を前記蓋材に溶着することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、常温で粘着性を有する一般的な粘着剤を用いて、上述のような問題がなく、良好な再封機能を有する包装体を提供することができる。本発明に係る包装体によれば、一般的な粘着剤が適用可能であるため、例えば材料コストを抑えることができ、特殊な粘着剤を使用する場合と比べて接着力の調整幅が広い。
【0016】
また、本発明によれば、蓋材にセパレータを設ける必要がなく、既存のプロセスを用いて、良好な再封機能を有する包装体を簡便に製造することができる。さらに、タックシートを設けたことにより、タックシートが蓋材の補強基材となり、比較的薄い蓋材であっても容器本体に再封し易くなる。さらに、シーラント層上に粘着剤層を形成した場合と比べて、蓋材に対する粘着剤層の接着強度の調整が容易となる。ゆえに、例えば再封操作を繰り返した場合においても、粘着剤層が蓋材から剥離し難い。
【0017】
また、本発明に係る包装体において、タックシートが上記本体部及び上記延出部を有する構成とすれば、再封機能を有するにも関わらず、開封の有無を容易に識別することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態の一例について詳細に説明する。
実施形態において参照する図面は、模式的に記載されたものであり、図面に描画された構成要素の寸法比率などは、現物と異なる場合がある。具体的な寸法比率等は、以下の説明を参酌して判断されるべきである。
【0020】
本明細書において、「略**」の用語は、「略同一」を例に挙げて説明すると、完全に同一はもとより実質的に同一と認められるものを含む意図である。以下では、説明の便宜上、方向を示す用語を使用する。第1部材である容器本体に対して第2部材である蓋材が「上」に位置するものとし、フランジ部の蓋材側に向いた面(蓋材に対向する対向面)を「上面」、上面の反対側の面を「下面」とする。
【0021】
以下、
図1〜
図7を参照しながら、本発明の実施形態の一例である容器10(包装体)について詳細に説明する。
図1は、容器10を示す斜視図である。
図2は、容器10の平面図であって、蓋材30を省略した図である。
図2では、容器本体20及びタックシート40において、溶着部11a,11b,11cが形成される部分をドット表示している。
【0022】
図1及び
図2に示すように、容器10は、図示しない物品を収容する容器本体20(第1部材)と、蓋材30(第2部材)とを備える。容器本体20は、開口部21、及び開口部21の周縁に形成されたフランジ部22を有する。開口部21によって、容器本体20の内部空間に収容された物品の出し入れが可能になる。開口部21は、フランジ部22に溶着された蓋材30により塞がれている。具体的には、蓋材30の容器本体20側に向いた対向面である内面32が、フランジ部22の上面(第1部材の対向面)に溶着(具体的には、熱溶着)されることで開口部21が塞がれている。
【0023】
容器10は、容器本体20と蓋材30との間に設けられたタックシート40を備える。タックシート40は、容器本体20及び蓋材30に接着されている。具体的には、容器本体20のフランジ部22の上面に対しては粘着剤層42(
図3参照)により剥離可能に貼付され、蓋材30の内面32に対しては溶着されている。タックシート40を設けたことにより、蓋材30を容器本体20から剥離して容器10を開封した後、再び蓋材30を容器本体20に接着して開口部21を塞ぐことが可能な再封機能が得られる。
【0024】
以下では、互いに溶着された容器本体20から蓋材30を剥離して、容器本体20と蓋材30との溶着部11a,11bを破断する開封を「1次開封」という場合がある。
【0025】
容器本体20は、物品を収容する内部空間を有する。当該内部空間は、容器10が1次開封されるまでの間、フランジ部22に溶着された蓋材30によって密閉されている。容器本体20は、例えば開口部21に向かって直径がやや大きくなった有底円筒形状を有する。なお、容器本体20の形状やサイズは、特に限定されず、収容する物品の種類や量、容器10のデザイン等に応じて適宜変更可能である。
【0026】
容器本体20は、例えば樹脂を用いて射出成形、ブロー成形、シート成形等により作製される。容器本体20を構成する樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の合成樹脂、それらの発泡体、複数の合成樹脂が積層された積層体、その他の機能層(例えば、ガスバリア性を有する層)が積層された積層体等が挙げられる。また、容器本体20の構成材料は、例えばポリエチレン等の樹脂がラミネートされた紙基材であってもよい。なお、容器本体20は、非透明な材料から構成されていてもよいし、内部空間に収容された物品が見えるように、透明又は半透明の樹脂から構成されていてもよい。
【0027】
容器本体20は、フランジ部22の一部が外側に突出して形成された凸状部23を有することが好適である。フランジ部22は、開口部21を囲むように環状に形成されており、フランジ部22の幅は、例えば凸状部23を除き略一定である。フランジ部22は、例えば凸状部23を含む全域が略同一平面上に形成されている。なお、フランジ部22には、溶着部11a,11bの形成面積を調整する等の目的で、凹凸が形成されていてもよい。凸状部23は、詳しくは後述するように、タックシート40が貼付される部分である。容器本体20から蓋材30を剥離して容器10を開封した後、剥離された蓋材30の内側に溶着されたタックシート40を凸状部23の上面に貼付することで、1次開封後における開口部21の再封が可能となる。
【0028】
蓋材30は、上記のように、容器本体20のフランジ部22に溶着されて開口部21を塞ぐ部材である。蓋材30は、例えば厚みが50〜150μm、好ましくは50〜100μm程度の柔軟性を有するシートであって、少なくとも容器本体20の開口部21及びフランジ部22を覆う寸法に形成されることが好適である。本実施形態では、蓋材30がフランジ部22から略食み出さず、ちょうど開口部21及びフランジ部22を覆う寸法を有する。
【0029】
蓋材30は、フランジ部22に対して熱接着可能なものであれば特に限定されず、単層構造であってもよいが、好ましくは基材層、及び基材層の内面に形成されるシーラント層(熱接着性樹脂層)を含む積層構造である。シーラント層は、熱接着による溶着部11a等の形成を可能にし、また1次開封時に破断するイージーピール層である。基材層には、熱接着性樹脂層の他に、商品名や商品説明、デザイン等を表示するための印刷層、ガスバリア性や遮光性、保温性を向上させるためのアルミニウム等の金属層、シリカ等の無機化合物層を設けることができる。また、蓋材30は、容器本体20の内部空間に収容した物品を意図的に見せるため、少なくとも一部に不透明な印刷層や金属層を形成せず、透明にしてもよい。
【0030】
基材層の構成材料としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリカーボネート等の樹脂フィルムや、紙基材が挙げられる。特に、樹脂フィルムは、比較的薄くても剛性が高く、伸張率が低いので、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルムが好ましい。シーラント層の構成材料には、従来公知のイージーピール材(ポリマーブレンド品やポリマーアロイ品)を用いることができる。例えば、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン‐αオレフィン共重合体、エチレン‐酢酸ビニル共重合体等の樹脂が挙げられる。
【0031】
蓋材30は、端縁部の一部が外側に張り出して形成された摘み部31を有することが好適である。摘み部31は、容器10を開封する際に用いられる開封部であって、平面視略三角形状を有し、凸状部23に対応して形成されている。摘み部31には、例えばタックシート40の後述する印刷層43が見えるように、印刷層等を形成しない透明な部分を設けることができる。
【0032】
蓋材30は、フランジ部22の全周に亘って溶着されることが好適である。即ち、開口部21を囲むように、フランジ部22の上面と蓋材30の内面32との溶着部11a,11bが環状に形成されることが好適である。これにより、1次開封前において高い密閉性が得られる。本実施形態では、開口部21を囲むフランジ部22のうち、凸状部23側に位置する略半分に平面視略半円形状の溶着部11bが形成され、残りの略半分に平面視略半円形状の溶着部11aが形成されている。溶着部11aは、溶着部11bよりも幅広に形成されている。これにより、蓋材30を容器本体20から剥離する際に、溶着部11aと溶着部11bの境界で剥離力が変化するため、蓋材30の全体が剥離されることを防止できる。
【0033】
タックシート40は、上記のように、容器本体20と蓋材30との間に介在しており、容器10に再封機能を付与する。タックシート40の容器本体20及び蓋材30に対する接着力は、容器本体20に対する接着力よりも蓋材30に対する接着力の方が強い。即ち、粘着剤層42を介した接着よりも、溶着部11cを介した接着の方が剥離し難い。ゆえに、容器本体20から蓋材30を剥離すると、タックシート40(後述の本体部44)は蓋材30と共に容器本体20から剥離される。
【0034】
ここで、
図3をさらに参照する。
図3は、
図2のAA線断面図である。
図3では、説明の便宜上、溶着部11b,11cを薄い層として図示している。
【0035】
図3に示すように、タックシート40は、基材41、及び基材41の一方の面に設けられた粘着剤層42を有する。換言すると、粘着剤層42は、基材41を介して蓋材30の内面32に設けられている。なお、基材41と粘着剤層42との接着強度は、イージーピール層であるシーラント層と粘着剤層42との接着強度よりも強い。つまり、蓋材30と粘着剤層42との間に基材41が介在することにより、例えば再封操作を繰り返したときであっても粘着剤層42が蓋材30から剥離することを防止できる。また、基材41の表面には、例えば容易にアンカー処理を施すことができ、この場合、基材41と粘着剤層42との接着強度は大幅に向上する。
【0036】
基材41の他方の面は、蓋材30の内面32に溶着されている。基材41には、粘着剤層42の他に、例えば印刷層43(
図3では図示せず)、後述の隠蔽層48等を形成することができる。印刷層43を設けることにより、例えば容器10の生産工程においてタックシート40が所望の位置に貼付されているかどうかを容易に確認できる。また、印刷層43を用いて、例えば開封部の位置を示すことができる。
【0037】
基材41は、蓋材30に対して熱接着可能なものであれば特に限定されず、例えば、少なくともその他方の面(基材41の表面層)が蓋材30と同種の樹脂フィルムから構成される。基材41の好適な構成材料としては、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリカーボネート等の樹脂フィルム、複数の合成樹脂が積層された積層体等が挙げられる。基材41の厚みは、開封操作により加わる剥離力に対する耐久性、蓋材30の補強機能としての剛性、開口部21の密閉性等を考慮して、0.01〜1.0mm程度が好ましく、0.05〜0.5mm程度がより好ましい。
【0038】
粘着剤層42は、常温で粘着性を有する粘着剤(感圧粘着剤)から構成される。粘着剤層42は、例えば基材41の一方の面の略全域に形成される。粘着剤層42の厚みは、1〜50μm程度であり、好ましくは15〜30μm程度である。粘着剤層42を構成する粘着剤は、容器本体20に対して剥離可能且つ再貼付可能なものであれば特に限定されず、溶剤系、水系、ホットメルト系、UV系など、従来公知の粘着剤を用いることができる。
【0039】
粘着剤層42の粘着面(表面)の剥離強度は、3〜20N/25mmであることが好ましく、5〜15N/25mmがより好ましい。ここで、粘着面の剥離強度とは、JIS Z 0237の180度剥離に準じた方法で測定された値である。具体的には、粘着剤層42を形成した100mm×25mmの樹脂フィルム(試験片)をポリエチレンテレフタレート製の被着体に貼り付け、300mm/分の速度で180度に試験片を引っ張り、試験片が剥離したときの最大応力値が粘着面の剥離強度となる。
【0040】
タックシート40は、容器本体20のフランジ部22と蓋材30の内面32との間に設けられる。タックシート40は、開封時に摘まれる蓋材30の開封部である摘み部31、又は摘み部31に隣接する部分に溶着されることが好適である。本実施形態では、凸状部23と摘み部31との間のみに、タックシート40が設けられている。摘み部31に対応してスポット的にタックシート40を配置することで、材料コストを抑えながら、効率良く開口部21を再封することができる。また、摘み部31にタックシート40を溶着することで、摘み部31の剛性を高めることができ、蓋材30の再封性がより向上する。また、粘着剤層42が凝集破壊することなくフランジ部22と粘着剤層42との間でスムーズに剥離するので、粘着剤の糸引き等の問題もなく良好な再封緘性が得られる。
【0041】
タックシート40は、フランジ部22と蓋材30との溶着部11a,11bから離れた位置に設けられることが好適である。タックシート40は、凸状部23と摘み部31との間に設けられているので、溶着部11a,11bで囲まれた領域の外側に位置する。つまり、タックシート40は、溶着部11a,11bを分断しないように配置される。これにより、1次開封前における開口部21の密閉性が向上する。さらに、外圧がかかった場合であっても、容器本体20から蓋材30が剥離し難い。
【0042】
ここで、
図4及び
図5をさらに参照する。
図4は、タックシート40を抜き出して示す図である。
図5は、容器本体20に対するタックシート40の貼付形態を示す図であって、(a)凸状部23を上から見た図、(b)凸状部23を下から見た図である。
【0043】
図4及び
図5に示すように、タックシート40は、容器本体20と蓋材30との間に位置する本体部44に加えて、容器本体20と蓋材30との間から延出して容器本体20のみに接着される延出部45を有することが好適である。タックシート40は、例えば平面視略三角形状を呈する部分と、当該三角形の一辺の略半分程度から延びた平面視略矩形形状を呈する部分とを有するようにカットされたシートである。当該三角形状の部分の全体及び当該矩形形状の部分の一部が本体部44となり、残りの部分が延出部45となる。
【0044】
本体部44は、三角形の1つの頂点が凸状部23の頂点側を向くように、凸状部23の上面に貼付されている。本体部44は、粘着剤層42を介して凸状部23の上面に剥離可能に貼付され、溶着部11cを介して蓋材30の内面32に接着されている。一方、延出部45は、凸状部23の下面側に回り込んで下面に貼付されている。即ち、タックシート40は、凸状部23を厚み方向の両側から挟むように上下面に貼付されている。凸状部23のみに貼付される延出部45を設けたことにより、例えば1次開封時に本体部44と延出部45との境界付近でタックシート40が切断される。これにより、容器10の開封の有無を容易に識別することができる。延出部45は、開封の有無が一目で分かる改ざん防止機能を容器10に付与する。
【0045】
延出部45には、1次開封時におけるタックシート40の切断を補助する切断補助線46を形成することが好適である。切断補助線46は、例えば本体部44及び延出部45に跨り、切断補助線46の中間部が本体部44側から延出部45側に凸となるように形成されている。これにより、延出部45に突起形成予定部47zが設けられる。突起形成予定部47zは、タックシート40が切断補助線46に沿って切断されたときに、本体部44から突出した突起47となる部分である。
【0046】
切断補助線46としては、ハーフカット線、ミシン目線、又はこれらの組み合わせが挙げられる。ミシン目線は、タックシート40の厚み方向に貫通する貫通孔(カット部)と非貫通部が交互に配列されてなる線である。貫通孔の形状は、特に限定されず、真円形状、楕円形状、三角形状等の多角形状、直線状、V字状、Y字状などが例示できる。また、貫通孔のピッチ(間隔)も特に限定されず適宜設定できる。1次開封により突起47を形成するためには、ミシン目線におけるカット部の比率が高いことが好ましい。
【0047】
突起形成予定部47zには、粘着剤層42の粘着性を隠蔽する隠蔽層48を設けることが好適である。これにより、突起形成予定部47zの表面が凸状部23に接着しない非粘着面となり、突起47が形成され易くなる。隠蔽層48は、マスキング剤(例えば、紫外線硬化型樹脂を含む紫外線硬化型インキ等)を5〜30μm程度の厚みで粘着剤層42上に塗布する、或いは樹脂フィルムを積層することにより形成できる。また、突起形成予定部47zを避けるように粘着剤層42を選択的に形成して、突起形成予定部47zに非粘着面を形成してもよい。
【0048】
タックシート40は、流通過程等で剥がされないように、延出部45の端部に切り込み49を有することが好適である。切り込み49は、例えば延出部45の先端部に複数形成される。これにより、例えば延出部45を剥がそうとすると、切り込み49に沿って延出部45が切断されるため、タックシート40を剥がすことが困難になる。なお、切り込み49の代わりに、ミシン目線等の切断補助線を形成してもよい。
【0049】
以下、
図6を参照しながら、上記構成を備えた容器10の製造方法の一例について詳説する。
図6は、容器本体20にタックシート40を貼付してから容器10が完成するまでの工程S1〜S3を示す。
【0050】
図6に示すように、容器10の製造工程には、例えば下記工程S1〜S3が含まれる。
工程S1:基材41の一方の面上に粘着剤層42を有するタックシート40を、粘着剤層42を介して容器本体20のフランジ部22(凸状部23)に剥離可能に貼付する。
工程S2:フランジ部22、及びフランジ部22に貼付されたタックシート40の基材41の他方の面を蓋材30(長尺体30z)に溶着する。工程S2では、工程S3でカットされて蓋材30に加工される長尺体30zを用いることが好適である。長尺体30zの容器本体20と対向する内面には、上記シーラント層が形成されている。
工程S3:容器本体20に溶着された長尺体30zをカットして蓋材30を形成し、不要な部分を切断カス17として除去する。
【0051】
工程S1では、容器本体20の凸状部23の上面にタックシート40を剥離可能に貼付する。タックシート40の凸状部23に対する接着には、基材41の一方の面に設けられた粘着剤層42が用いられる。具体的には、タックシート40の本体部44となる部分を凸状部23の上面に貼付し、延出部45となる部分を凸状部23の下面に貼付する。
【0052】
工程S2では、開口部21を覆うように長尺体30zを容器本体20上に供給し、フランジ部22及びタックシート40の基材41の他方の面を長尺体30zの内面に溶着する。当該溶着には、熱板15を用いた熱接着(ヒートシール)を適用することが好適である。具体的には、加熱した熱板15を用いて長尺体30zをフランジ部22に押し付けることで、長尺体30zの内面とフランジ部22及びタックシート40との間に、溶着部11a,11b,11cを形成する。例えば、溶着部11bに対応する部分の幅よりも、溶着部11aに対応する部分の幅が広い熱板15を用いることで、溶着部11aの幅>溶着部11bの幅とすることができる。
【0053】
工程S3では、例えばカッター16の刃を容器本体20に溶着された長尺体30zに押し付けて、長尺体30zを個々の蓋材30の形状に打ち抜く。これにより、長尺体30zが蓋材30に加工され、容器10が得られる。長尺体30zの蓋材30以外の部分は、切断カス17として除去される。
【0054】
上記工程によれば、例えば長尺体30zの内面に粘着剤層を形成した場合に用いられるセパレータが不要であるから、セパレータに起因して長尺体30zのロール形態が嵩張ることがない。上記工程によれば、特殊な設備や材料を必要とせず、既存のプロセスを用いて簡便に、容器10を製造することができる。なお、上記工程S2において、長尺体30zの代わりに予めカットされた蓋材30を供給することも可能である。
【0055】
以下、
図7を参照しながら、上記構成を備えた容器10の作用効果について詳説する。
図7は、容器10の開封状態を示す図である。
【0056】
図7に示すように、容器10は、摘み部31を開口部21側に引っ張って蓋材30をフランジ部22から剥離することにより、溶着部11a,11bが破断して1次開封される。溶着部11a,11bは一旦剥離されると破断するため、蓋材30の内面32をフランジ部22の上面に再度圧着しても接着されない。一方、容器10では、摘み部31に溶着されたタックシート40の粘着剤層42を用いて、摘み部31を凸状部23に貼付することが可能である。これにより、1次開封された容器10を再封することができる。
【0057】
容器10では、上述のように、蓋材30の摘み部31のみにタックシート40が溶着されている。これにより、例えば1次開封前における開口部21の密閉性を損なうことなく、材料コストを抑えながら、効率良く開口部21を再封することができる。また、摘み部31にタックシート40を溶着したことにより、摘み部31の剛性が高くなり耐久性が向上する。なお、タックシート40を設けたことにより、シーラント層上に粘着剤層42を形成する場合と比べて、蓋材30に対する粘着剤層42の接着強度の調整が容易となり、例えば再封操作を繰り返した場合においても、粘着剤層42が蓋材30から剥離することを防止できる。
【0058】
容器10は、上述のように、凸状部23のみに貼付された延出部45を有する。これにより、容器10が1次開封されたときにタックシート40が切断される。さらに、延出部45側に凸となる切断補助線46を設けたことにより、1次開封されたときに本体部44から突出する突起47が形成される。即ち、突起47が存在する場合には、容器10が1次開封されたことが一目で分かる。容器10は、再封機能を有するにも関わらず、1次開封の有無を容易に識別することができる。
【0059】
以下、
図8〜
図13を参照しながら、上記実施形態の設計変更例について説明する。以下では、上記実施形態との相違点を説明するものとし、重複する説明は省略する。
【0060】
図8及び
図9に示す例は、摘み部31にタックシート40x,40yが溶着されている点で、上記実施形態と共通する。但し、
図8に示す例では、タックシート40xの粘着剤層42上に隠蔽層48x(非粘着面)が設けられている点で、上記実施形態と異なる。隠蔽層48xは、開封時に指が触れ易い摘み部31の先端に近い部分に設けられている。また、
図9に示すタックシート40yは、タックシート40に対して、摘み部31の先端に近い部分が大きくカットされた形状を有する。いずれの場合も、タックシート40を用いた場合と比べて、粘着面に指が触れることを防止し易くなる。
【0061】
図10は、容器50の斜視図であり、容器本体51と蓋材52を分離して示している。
図10に示す容器50は、略直方体状(略有底長四角箱状)の容器本体51と、平面視略矩形形状のシートである蓋材52とを備える。容器本体51は、平面視略矩形形状の開口部53、及び開口部53の周縁に形成されたフランジ部54を有する。容器50において、タックシート40は、容器本体51の角の1つに位置するフランジ部54の上面に剥離可能に貼付され、蓋材52の内面の角の1つに溶着されている。タックシート40が溶着された蓋材52の角の1つが、開封時に摘まれる開封部となる。
【0062】
容器本体51のフランジ部54は、蓋材52の内面に熱接着され、蓋材52との間に溶着部55a,55bが形成される。タックシート40も、上記のように、蓋材52の内面に熱接着され、蓋材52との間に溶着部55cが形成される。溶着部55a,55bは、溶着部11a,11bと同様に異なった幅で形成されることが好適であり、具体的には、開封部から遠い溶着部55aの幅を開封部に近い溶着部55bの幅よりも太くする。また、容器50では、蓋材52が完全に剥離されることをより確実に防止すべく、溶着部55aと溶着部55bの間に、溶着部を形成しない非溶着部56を設けている(なお、開封部の近傍にも非溶着部が設けられている)。
【0063】
図11に示す例では、タックシート40が、開封部となる容器50xの角部に隣接して設けられている。即ち、開封時に摘まれる蓋材52の角から少し横にずれた部分にタックシート40が溶着されている。これにより、良好な再封性を有しながら、粘着面に指が触れることを防止し易くなる。
【0064】
図12は、容器60の平面図である。蓋材62は仮想線(二点鎖線)で示している。
図12に示す容器60は、平面視略正方形状の容器本体61と、容器本体61よりもやや大きく形成されたシートである蓋材62とを備える。蓋材62は、端縁部の一部が外側に張り出して形成された略半円形状の摘み部68を有する。容器本体61は、容器本体20と同様に、開口部64の周縁に形成されたフランジ部65を有する。一方、フランジ部65は、摘み部68に対応する部分に凸状部を有さず、開口部64側に張り出した凸状部66を有する。
【0065】
容器本体61は、例えば角の1つが内側に窪んだ形状を有し、当該窪みに対応して凸状部66が形成される。タックシート63は、粘着剤層を介して凸状部66の上面に剥離可能に貼付され、フランジ部65と共に蓋材62の内面に溶着されている。溶着部66は、フランジ部65の全周に亘って形成されており、タックシート63は、溶着部66に囲まれた領域の内側に位置している。
【0066】
上記実施形態では、蓋材が容器本体の上面に設けられた容器形態を示したが、容器はブリスターパックのような形態であってもよい。また、容器60のように、改ざん防止機能を有していなくてもよい。一方、容器60に改ざん防止機能を付与してもよい。
【0067】
図13は、軟包材容器70を示す正面図である。
図13に示す軟包材容器70は、互いに重ね合わされた表面シート71(第1部材)及び裏面シート72(第2部材)を備える。表面シート71及び裏面シート72の端縁部には、溶着部73が形成されている。これにより、1次開封前において容器内部が密閉されている。軟包材容器70は、開封手段として、溶着部73に形成されたノッチ74を有する。ノッチ74から表面シート71及び裏面シート72を切断することにより、軟包材容器70を開封して鎖線で示す開口予定部75に開口部を形成することができる。
【0068】
軟包材容器70には、開口予定部75の下にタックシート76が設けられている。タックシート76は、基材の一方の面に形成された粘着剤層77を介して表面シート71の内面に剥離可能に貼付され、基材の他方の面が裏面シート72の内面に溶着されている。タックシート76を設けたことにより、軟包材容器70の1次開封後において、表裏面シートの内面同士を接着し、1次開封により形成された開口部を閉じることが可能になる。なお、軟包材容器は、
図13に示す形態に限定されず、サイドガゼット付パウチや、底ガゼット付パウチであってもよい。
【0069】
図14に示すように、フランジ部80(凸状部)のタックシート40が貼付される部分に凹部81を設けてもよい。
図14に示す例では、フランジ部80と蓋材30との間において、タックシート40の全体が凹部81に嵌った状態で設けられている。これにより、タックシート40が設けられた部分における蓋材30の盛り上がりが抑制され、例えばより良好な容器の密閉性が得られる。
【0070】
図15に示すように、タックシート85の一部を摘み部86として利用することもできる。
図15に示す例では、タックシート85の一部をフランジ部87と蓋材88の間からから外側に突出させて摘み部86を形成している。蓋材88は、略真円形状を有し、当該円周の一部から略半円形状のタックシート85が突出するように設けられている。タックシート85の粘着剤層90は、例えば溶着部91と略同じ範囲のみに形成され、フランジ部87と蓋材88との間から基材89のみが突出している。
【0071】
また、
図16に示すように、開封時に突起47を形成させる切断補助線46に代えて、段違いの切断補助線95や、ギザギザ状の切断補助線96を延出部45、又は本体部44と本体部45との境界位置に形成してもよい。このような切断補助線95,96を形成した場合にも、1次開封時における切断補助線46と同様に、本体部44側から延出部45側に凸となる突起が形成される。