【実施例1】
【0018】
図1乃至
図5は、本発明にかかる歯ブラシ10の第一の実施形態を示す説明図であり、
図1は短辺方向トゥ側から見た図、
図2は短辺方向ヒール側から見た図、
図3は長辺方向から見た図、
図4は平面図、
図5は使用状態説明図である。
【0019】
本実施形態にかかる歯ブラシ10は、植毛台11のヒールに把持部12を備え且つ該植毛台11に複数のブラシ体が植毛されてブラシ部20を構成して成る歯ブラシ10であって、ブラシ部20のトゥ部t先端に、少なくとも一以上の山形状の突片(トゥ突片)22が成形されて成り、該突片(トゥ突片)22の形状に特徴を有する。
【0020】
すなわち、本実施形態における突片(トゥ突片)22の形状的第一の特徴は、
図1及び
図2に示すように、短辺方向Mから見て頂点角θ1が鋭角を為し、且つ、両側端方向へ夫々直線的若しくは曲線的な下り傾斜の稜線21を為して形成されて成る点である。
【0021】
該突片(トゥ突片)22は、ブラシ部20のトゥ部tの先端に少なくとも一以上成形されている。尚、トゥ部tとは、
図3で示す通り、植毛台11並びにブラシ部20の先端部領域を指し、それ以外の基端部領域はヒール部hを為す。このとき、トゥ部tとヒール部hとの長手方向Lにおける割合については、特に限定するものではなく、図面では概ね1対1とした場合について示しているが、好みの使い勝手や歯と歯周の状態などの違いに応じて、最適な割合とすることが可能である。
【0022】
該突片(トゥ突片)22の成形数に限定はなく、短辺Mの寸法によっても成形可能な数は変わるため、本発明の突片(トゥ突片)22が発揮する作用効果に変わりの無い範囲内で適時決定すれば足りるが、好ましくは一から十の突片(トゥ突片)22が成形される。少なくとも一の突片(トゥ突片)22が存在しないと本発明の機能を果たさず、また、十一以上の突片(トゥ突片)22を成形するとトゥ部t先端の範囲内にあまりに多くの突片(トゥ突片)22が存在することとなって、通常の歯ブラシ形状とさほど変化ないこととなるためである。このとき、複数の突片(トゥ突片)22が成形される場合に、夫々の突片(トゥ突片)22は短辺方向に一列に連続して成形される。
なお、
図1(a)及び
図2(a)は一の突片(トゥ突片)22を成形した場合、
図1(b),(c)及び
図2(b),(c)は二の突片(トゥ突片)22を成形した場合について示している。
【0023】
該突片(トゥ突片)22は山形状であって、頂点から両側端方向へ夫々直線的若しくは曲線的な下り傾斜の稜線21を為して形成される。なお、
図1(a)及び
図2(a)は曲線的な稜線21の場合、
図1(b)及び
図2(b)は直線的な稜線21の場合について示している。このとき、傾斜の一方を直線的とし他方を曲線的とする態様も可能である。また、
図1(c)及び
図2(c)に示すように、下り傾斜の一方を略鉛直状とする態様も可能である。
【0024】
頂点角θ1の角度については,90度以下の鋭角であれば特に限定はないが、山形状の突片(トゥ突片)22が歯周ポケット33に効果的に入り込む形状とすべく、好ましくは10〜60度の許容角度内で成形される。なお、突片(トゥ突片)22を複数成形した場合に、各突片(トゥ突片)22の頂点角θ1について、全てを同角度とするか夫々異なる角度とするかは任意に決定可能である。
【0025】
このように、ブラシ部20のトゥ部t先端に成形された山形状の突片(トゥ突片)22が、短辺方向Mから見て頂点角θ1が鋭角を為し且つ両側端方向へ夫々直線的若しくは曲線的な下り傾斜の稜線21を為して形成されることによって、
図5(a)に示すように、ブラシ体の先端が必要以上に歯茎31に当接することなく歯周ポケット33に効果的に入り込み、当該歯周ポケット33に付着した歯垢を確実且つ効率良く除去することができるため、歯茎31を傷めることなく歯30を磨くことが可能であると共に、稜線21によって成形される傾斜面によって歯30の表面を効果的に磨くことが可能となる。
【0026】
本実施形態における突片(トゥ突片)22の形状的第二の特徴は、
図3に示すように、長辺方向Lから見て頂点角θ2が鋭角を為し、且つ、トゥ側辺が略鉛直状の稜線23を為すと共にヒール側辺がヒール方向へ直線的若しくは曲線的な下り傾斜の稜線23を為して形成されて成る点である。
【0027】
該突片(トゥ突片)22の成形位置は植毛台11のトゥ部tの先端であって、それ以外のヒール部h側は、長辺方向Lから見て略水平状となっている。
【0028】
該突片(トゥ突片)22は山形状であって、頂点からトゥ側辺は略鉛直状の稜線23を為し、ヒール側辺はヒール方向へ直線的若しくは曲線的な下り傾斜の稜線23を為して傾斜して成る。なお、図面では、ヒール側辺の稜線23を曲線的とした場合について示している。
【0029】
頂点角θ2の角度については,90度以下の鋭角であれば特に限定はないが、山形状の突片(トゥ突片)22が歯間32や歯周ポケット33に効果的に入り込むと共に奥歯34の最奥にまで確実に届く形状とすべく、好ましくは10〜60度の許容角度内で成形される。
【0030】
ところで、ブラシ部20におけるヒール部h側の形状については、短辺方向Mから見て緩やかな山形状を為す態様や、全体が均一な平面状を為す態様が考え得る。また、短辺方向Mから見たブラシ部20の幅について、トゥ部tとヒール部hとを異なる幅とする態様が考えられ、例えば、トゥ部tよりもヒール部hを幅狭とする態様が可能である。さらには、ブラシ部20のトゥ部tとヒール部hとを分割した状態で植毛台11に配置する態様、即ちトゥ部tとヒール部hとの境界に所定幅の隙間を設ける態様も可能である。
【0031】
このように、ブラシ部20のトゥ部t先端に成形された山形状の突片(トゥ突片)22が、長辺方向Lから見て頂点角θ2が鋭角を為し且つトゥ側辺が略鉛直状の稜線23を為すと共にヒール側辺がヒール方向へ直線的若しくは曲線的な下り傾斜の稜線23を為して形成されることによって、長手方向Lへ往復スライドするように歯30の表面を磨く際に、ブラシ体のトゥ側辺とヒール側辺との異なる傾斜角によって夫々最適な抵抗力による歯垢除去が可能になると共に、
図5(a),(b)に示すように、山形状の突片(トゥ突片)22が並列する歯30の歯間32や歯周ポケット33に効果的に入り込み、当該歯間32や歯周ポケット33に付着した歯垢を確実且つ効率良く除去することができ、さらには、
図5(c)に示すように、突片(トゥ突片)22が奥歯34の最奥にまで届いて磨き残し無く歯磨きすることが可能になる。また、二以上の突片(トゥ突片)22が成形されている場合には、
図5(d)に示すように、歯30に対して歯ブラシ10を縦に当てがって磨くことで、突片(トゥ突片)22が歯周ポケット33に効果的に入り込んで、確実且つ効率良く磨くことも可能となる。
【0032】
以上のように、本実施例にかかる歯ブラシ10によれば、ブラシ部20のトゥ部t先端に成形された突片(トゥ突片)22が、短辺方向M及び長辺方向Lの何れから見ても鋭角な頂点角θ1,θ2を有する山形状に形成されていることで、該突片(トゥ突片)22における最上端箇所26が点状を為して存在することとなり、該最上端箇所26が歯間32や歯周ポケット33など狭い隙間に効果的に入り込んで、歯垢を確実且つ効率良く除去することが可能となる。
【0033】
なお、突片(トゥ突片)22における最上端と最下端との寸法差Tについては、特に限定するものではなく、上記頂点角θ1,θ2の角度及びブラシ部20全体の幅,長さ,高さ等によって適宜決定されることとなるが、歯周ポケット33や歯間32に効果的に入り込む形状を考慮し、好ましくは2〜5mmの許容寸法内で成形され、例えばブラシ部20の高さの下方約1/3から略中央位置位より上方部分が突片(トゥ突片)22となるように成形される。
【0034】
上記の通り成形された本実施形態にかかる歯ブラシ10において、
図3に示すように、植毛台11の所定中間位置よりトゥ側(トゥ部t)を下方へ屈曲させる態様
を採用する。かかる態様を採用しない場合には、突片(トゥ突片)22がヒール部hよりも高く成形されているため、特に突片(トゥ突片)22における最上端と最下端との寸法差Tが大きい場合などでは、歯磨きの際にヒール部hが上手く歯に当接しない場合も想定できるが、トゥ側(トゥ部t)を下方へ屈曲させる態様を採ることで、突片(トゥ突片)22の最上端箇所26とヒール部hとの高さ位置に差がなくなり、ヒール部hが効果的に作用すると共に、屈曲した植毛台11のトゥ部t先端に配された突片(トゥ突片)22が奥歯34の最奥部を磨く際に有効に機能する。
【実施例2】
【0035】
図6乃至
図8は、本発明にかかる歯ブラシ10の第二の実施形態を示す説明図であり、
図6は長辺方向から見た要部拡大図、
図7は平面拡大図、
図8は使用状態説明図である。
【0036】
本実施形態にかかる歯ブラシ10は、植毛台11のヒールに把持部12を備え且つ該植毛台11に複数のブラシ体が植毛されてブラシ部20を構成して成る歯ブラシ10であって、上記第一の実施形態と相違する点は、ブラシ部20のヒール部hに、複数の山形状の突片(ヒール突片)24が成形されている点であって、該突片(ヒール突片)24の形状に特徴を有する。
【0037】
該突片(ヒール突片)24は、ブラシ部20のヒール部hにおいて、長辺方向Lに一列に連続して成形される。なお、該突片(ヒール突片)24の成形位置については、長辺方向Lに一列であれば特に限定するものではなく、例えば
図7に示すように、短辺視略中央箇所を頂点として成形される。
【0038】
該突片(ヒール突片)24の成形数に限定はなく、長辺Lの寸法によっても成形可能な数は変わるため、本発明の突片(ヒール突片)24が発揮する作用効果に変わりの無い範囲内で適時決定すれば足りるが、好ましくはヒール部hに二から二十の突片(ヒール突片)24が成形される。少なくとも二の突片(ヒール突片)24が存在しないと本発明の機能を果たさず、また、二十一以上の突片(ヒール突片)24を成形するとヒール部hの長辺範囲内にあまりに多くの突片(ヒール突片)24が存在することとなって、通常の歯ブラシ形状とさほど変化ないこととなるためである。なお、図面では五の突片(ヒール突片)24を成形した場合について示している。
【0039】
本実施形態における突片(ヒール突片)24の個々の形状的特徴については、上記第一の実施形態で説明した突片(トゥ突片)22における形状的特徴と同様であるため、説明は省略する。
また、本実施形態において、短辺方向Mから見たブラシ部20の幅をトゥ部tとヒール部h夫々異なる幅とする態様や、ブラシ部20のトゥ部tとヒール部hとを分割した状態で植毛台11に配置する態様についても、上記第一の実施形態と同様であるため、説明は省略する。
【0040】
なお、該突片(ヒール突片)24の全体的な形状的特徴については、短辺方向Mから見た両側端方向への傾斜や、長辺方向Lから見たヒール側辺の傾斜について、全ての突片(ヒール突片)24につき直線的若しくは曲線的に統一する態様のほか、各突片(ヒール突片)24ごと直線的と曲線的とを交互に配するなど混合する態様も可能であり、さらには、各突片(ヒール突片)24の頂点角θ1,θ2について、全てを同角度とするか夫々異なる角度とするかは任意に決定可能である。
【0041】
ところで、各突片(ヒール突片)24の最上端位置については、全て同じに成形する態様のほか、各突片(ヒール突片)24ごとに異なった最上端位置となるよう成形する態様が考え得る。
但し、図6に示すように、突片(トゥ突片)22の最上端位置
は、突片(ヒール突片)24より高く成形
する。かかる態様を採用する際、突片(トゥ突片)22の最上端位置と突片(ヒール突片)24の最上端位置との寸法差T1については任意であり、例えば歯周ポケット33の深さに比例して当該寸法差T1を大きくした方が歯ブラシ10としての効果を発揮するが、概ね好ましくは2〜4mmの寸法差T1の範囲内で適宜決定される。
また、突片(トゥ突片)22と突片(ヒール突片)24の最下端位置について、図面では同じ位置とする態様のみ示したが、夫々異なる最下端位置とする態様も可能であり、例えば、突片(ヒール突片)24の最下端位置を突片(トゥ突片)22の最下端位置よりも低い位置とする態様が考え得る。
【0042】
このように、ブラシ部20のトゥ部t先端に成形された山形状の突片(トゥ突片)22並びにヒール部hに成形された山形状の突片(ヒール突片)24が、長辺方向Lから見て頂点角θ2が鋭角を為し且つトゥ側辺が略鉛直状の稜線23を為すと共にヒール側辺がヒール方向へ直線的若しくは曲線的な下り傾斜の稜線23を為して形成されることによって、長手方向Lへ往復スライドするように歯30の表面を磨く際に、ブラシ体のトゥ側辺とヒール側辺との異なる傾斜角によって夫々最適な抵抗力による歯垢除去が可能になると共に、
図8(a),(b)に示すように、山形状の突片(トゥ突片)22及び突片(ヒール突片)24が並列する歯30の歯間32や歯周ポケット33に効果的に入り込み、当該歯間32や歯周ポケット33に付着した歯垢を確実且つ効率良く除去することができ、さらに突片(トゥ突片)22の最上端位置を突片(ヒール突片)24より高く成形する態様を採用することで、
図8(c)に示すように、突片(トゥ突片)22が奥歯34の最奥にまで届いて磨き残し無く歯磨きすることが可能になる。また、二以上の突片(トゥ突片)22が成形されている場合には、上記第一の実施形態と同様、
図5(d)に示すように、歯30に対して歯ブラシ10を縦に当てがって磨くことで、突片(トゥ突片)22が歯周ポケット33に効果的に入り込んで、確実且つ効率良く磨くことも可能となる。
【0043】
以上のように、本実施例にかかる歯ブラシ10によれば、ブラシ部20のトゥ部t先端に成形された突片(トゥ突片)22並びにヒール部hに成形された山形状の突片(ヒール突片)24が、短辺方向M及び長辺方向Lの何れから見ても鋭角な頂点角θ1,θ2を有する山形状に形成されていることで、該突片(トゥ突片/ヒール突片)22,24における最上端箇所26が点状を為して存在することとなり、該最上端箇所26が歯間32や歯周ポケット33など狭い隙間に効果的に入り込んで、歯垢を確実且つ効率良く除去することが可能となる。
【0044】
なお、突片(トゥ突片/ヒール突片)22,24における最上端と最下端との寸法差Tについては、上記第一の実施形態と同様、特に限定するものではなく、上記頂点角θ1,θ2の角度及びブラシ部20全体の幅,長さ,高さ等によって適宜決定されることとなるが、歯周ポケット33や歯間32に効果的に入り込む形状を考慮し、好ましくは2〜5mmの許容寸法内で成形され、例えばブラシ部20の高さの下方約1/3から略中央位置位より上方部分が突片(トゥ突片/ヒール突片)22,24となるように成形される。
【0045】
上記の通り成形された本実施形態にかかる歯ブラシ10において、
図6に示すように、植毛台11の所定中間位置よりトゥ側(トゥ部t)を下方へ屈曲させる態様
を採用する。かかる態様を採用しない場合には、突片(トゥ突片)22が突片(ヒール突片)24よりも高く成形されて夫々の最上端位置の寸法差T1が大きい場合に、歯磨きに際し該突片(ヒール突片)24が上手く歯に当接しない場合も想定できるが、トゥ側(トゥ部t)を下方へ屈曲させる態様を採ることで、突片(トゥ突片)22の最上端箇所26と突片(ヒール突片)24の最上端箇所26との高さ位置に差がなくなり、該突片(ヒール突片)24が効果的に作用すると共に、屈曲した植毛台11のトゥ部t先端に配された突片(トゥ突片)22が奥歯34の最奥部を磨く際に有効に機能する。