特許第6608669号(P6608669)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6608669燃料電池モジュールおよび燃料電池システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6608669
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】燃料電池モジュールおよび燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/2465 20160101AFI20191111BHJP
   H01M 8/04014 20160101ALI20191111BHJP
   H01M 8/2484 20160101ALI20191111BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20191111BHJP
【FI】
   H01M8/2465
   H01M8/04014
   H01M8/2484
   !H01M8/12 101
   !H01M8/12 102A
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-213113(P2015-213113)
(22)【出願日】2015年10月29日
(65)【公開番号】特開2017-84661(P2017-84661A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2018年3月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(74)【代理人】
【識別番号】100120385
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 健之
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(74)【代理人】
【識別番号】100120385
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 健之
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(72)【発明者】
【氏名】松野 雄史
【審査官】 前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−059377(JP,A)
【文献】 特開2008−034205(JP,A)
【文献】 特開2014−191896(JP,A)
【文献】 特開2014−191895(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/2465
H01M 8/04014
H01M 8/2484
H01M 8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数の燃料電池セルを有し、前記燃料電池セルの積層方向に直交する方向に第1反応ガスと第2反応ガスとを通流させるセルスタックと、
前記セルスタックに対して前記第1および第2反応ガスの通流方向の下流側に配置され、前記セルスタックから排出された前記第1および第2反応ガスを燃焼させる燃焼室と、 前記積層方向と前記通流方向とに直交する方向において前記燃焼室および前記セルスタックに面するガス導入部材であって、順に前記燃焼室および前記セルスタックに沿って前記第1反応ガスを導入することで前記第1反応ガスを予熱し、予熱された前記第1反応ガスを下流端において前記セルスタックに供給する流路と、前記流路と前記燃焼室および前記セルスタックとを仕切る隔壁とを有するガス導入部材と、を備え、
前記燃焼室に面する前記ガス導入部材の上流部は、前記積層方向の外形幅が前記セルスタックよりも小さ
前記ガス導入部材は、
前記上流部の下流に配置され、前記第1反応ガスの流れを前記積層方向の中央に集中させる複数の邪魔板と、
前記複数の邪魔板の下流に配置され、前記中央に集中した前記第1反応ガスの流れを分散させる複数の整流板と、を備え、
前記複数の邪魔板は、前記中央に集中した第1反応ガスの流れに接する前記積層方向の内端部において下流側に屈曲し、
前記複数の整流板は、前記中央に集中した第1反応ガスの流れを受けるように前記内端部に面する位置において下流側に凹入し、前記第1反応ガスの流れを前記積層方向の外方および下流に向かわせる第1の整流板を含む、燃料電池モジュール。
【請求項2】
前記複数の整流板は、前記第1の整流板に対する前記積層方向の外方に配置され、前記積層方向の内方および下流側に延びる第2の整流板を含む請求項に記載の燃料電池モジュール。
【請求項3】
前記複数の整流板は、下流側において前記第1の整流板と前記第2の整流板との間隙部に面する第3の整流板を含む請求項に記載の燃料電池モジュール。
【請求項4】
前記複数の邪魔板および前記複数の整流板の少なくとも1つは、角部に傾斜面または曲面を有する請求項のいずれか1項に記載の燃料電池モジュール。
【請求項5】
前記ガス導入部材は、前記積層方向に間隔を空けて前記隔壁に設けられ、前記整流板の下流において前記セルスタックに前記第1の反応ガスを供給する複数の供給孔を備える請求項のいずれか1項に記載の燃料電池モジュール。
【請求項6】
前記複数の供給孔のうち、前記積層方向の中央側の供給孔は、それ以外の供給孔よりも内径が大きい請求項に記載の燃料電池モジュール。
【請求項7】
燃料電池モジュールと、前記燃料電池モジュールを作動させるための補機とを備え、
前記燃料電池モジュールは、
積層された複数の燃料電池セルを有し、前記燃料電池セルの積層方向に直交する方向に第1反応ガスと第2反応ガスとを通流させるセルスタックと、
前記セルスタックに対して前記第1および第2反応ガスの通流方向の下流側に配置され、前記セルスタックから排出された前記第1および第2反応ガスを燃焼させる燃焼室と、
前記積層方向と前記通流方向とに直交する方向において前記燃焼室および前記セルスタックに面するガス導入部材であって、順に前記燃焼室および前記セルスタックに沿って前記第1反応ガスを導入することで前記第1反応ガスを予熱し、予熱された前記第1反応ガスを下流端において前記セルスタックに供給する流路と、前記流路と前記燃焼室および前記セルスタックとを仕切る隔壁とを有するガス導入部材と、を備え、
前記燃焼室に面する前記ガス導入部材の上流部は、前記積層方向の外形幅が前記セルスタックよりも小さ
前記ガス導入部材は、
前記上流部の下流に配置され、前記第1反応ガスの流れを前記積層方向の中央に集中させる複数の邪魔板と、
前記複数の邪魔板の下流に配置され、前記中央に集中した前記第1反応ガスの流れを分散させる複数の整流板と、を備え、
前記複数の邪魔板は、前記中央に集中した第1反応ガスの流れに接する前記積層方向の内端部において下流側に屈曲し、
前記複数の整流板は、前記中央に集中した第1反応ガスの流れを受けるように前記内端部に面する位置において下流側に凹入し、前記第1反応ガスの流れを前記積層方向の外方および下流に向かわせる第1の整流板を含む、燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明による実施形態は、燃料電池モジュールおよび燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
次世代発電システムとして、燃料電池システムが種々提案されている。燃料電池システムは、燃料電池モジュールと、燃料電池モジュールに天然ガス、水または空気を供給する補機とを備える。燃料電池モジュールは、複数の燃料電池セルを積層したセルスタックを備える。
【0003】
セルスタックを構成する燃料電池セルの1つとして、燃料極と、酸化剤極と、固体の電解質とを備えた固体酸化物燃料電池セルが知られている。固体酸化物燃料電池セルにおいて、燃料極には、セル入口から反応ガスとして水素含有ガスが供給される。なお、水素含有ガスは、固体酸化物燃料電池セルの上流の改質器において、補機から供給された天然ガス中の炭化水素と水蒸気とを反応させること(すなわち、水蒸気改質法)で生成されたものであり、水素と一酸化炭素とを含有する。燃料極では、水素含有ガス中の水素と一酸化炭素とが、電解質を通して燃料極に移動した酸化物イオンと反応することで、電子が放出される。この電子によって、燃料電池モジュールが発電する。一方、酸化剤極には、セル入口から反応ガスとして酸素含有ガスすなわち空気が供給される。酸化剤極では、酸素が燃料極から放出された電子を受け取ることで酸化物イオンが発生する。発生した酸化物イオンは、電解質を通って燃料極に移動する。
【0004】
このような構成を有する固体酸化物燃料電池セルは、温度が高いほど、電流密度に対するセル電圧が高く性能が良い。固体酸化物燃料電池セルの性能を上げるため、燃料電池モジュールは、セル出口の下流に燃焼室を備える。燃焼室は、固体酸化物燃料電池セルから排出された余剰な反応ガスを燃焼させることでセルを加熱する。既述した改質器は燃焼室内に設けられており、燃焼室の熱を利用して天然ガスと水蒸気とを反応させる。
【0005】
また、固体酸化物燃料電池セルは、発電にともなって発熱する。この発熱を利用して酸素含有ガスを予熱するため、燃料電池モジュールは、ガス導入部材を備える。ガス導入部材は、燃焼室およびセルスタックに面する酸素含有ガスの流路を有する。流路内において、酸素含有ガスは、順に、燃焼室およびセルスタックの脇を通ってセル入口に向かって流動する。流動の過程で、酸素含有ガスは、燃焼室およびセルスタックとの熱交換等によって予熱される。逆に、燃焼室およびセルスタックは冷却される。
【0006】
セルスタックの複数の固体酸化物燃料電池セルのうち、積層方向の中央に配置されたセルは、周囲のセルからの発電にともなう発熱によって入熱がある。一方、積層方向の端部に配置されたセルは、周囲のセルが少なく発電にともなう発熱による入熱は少なく、断熱材を介して室温雰囲気に近いので、放熱され易い。このため、セルスタックには、積層方向の中央部の温度が高く、積層方向の端部の温度が低いといった温度分布が生じる。この温度分布により、中央の固体酸化物燃料電池セルの耐久性が低下するといった問題がある。
【0007】
このような問題を解決するため、ガス導入部材の積層方向の内寸をセルスタックの積層方向の寸法より小さくすることが提案されている。ガス導入部材の内寸を小さくすることで、酸素含有ガスは、積層方向の中央に集中的に流れる。これにより、中央の固体酸化物燃料電池セルは、酸素含有ガスで集中的に冷却されて温度上昇が抑制される。
【0008】
しかるに、従来の燃料電池モジュールは、燃焼室の大きさがガス導入部材によって制約されていたため、燃焼室において燃料電池セルから排出された反応ガスを十分に混合することが困難であった。これにより、反応ガスの燃焼性が悪いといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−146783号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】燃料電池 vol.12 No.1 2012(燃料電池開発情報センター)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、反応ガスの燃焼性を向上できる燃料電池モジュールおよび燃料電池システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本実施形態による燃料電池モジュールは、積層された複数の燃料電池セルを有し、前記燃料電池セルの積層方向に直交する方向に第1反応ガスと第2反応ガスとを通流させるセルスタックと、前記セルスタックに対して前記第1および第2反応ガスの通流方向の下流側に配置され、前記セルスタックから排出された前記第1および第2反応ガスを燃焼させる燃焼室と、前記積層方向と前記通流方向とに直交する方向において前記燃焼室および前記セルスタックに面するガス導入部材であって、順に前記燃焼室および前記セルスタックに沿って前記第1反応ガスを導入することで前記第1反応ガスを予熱し、予熱された前記第1反応ガスを下流端において前記セルスタックに供給する流路と、前記流路と前記燃焼室および前記セルスタックとを仕切る隔壁とを有するガス導入部材と、を備え、前記燃焼室に面する前記ガス導入部材の上流部は、前記積層方向の外形幅が前記セルスタックよりも小さい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施形態を示す燃料電池システムの模式図である。
図2】第2の実施形態を示す燃料電池モジュールの模式図である。
図3】第3の実施形態を示す燃料電池モジュールの模式図である。
図4】第4の実施形態を示す燃料電池モジュールの模式図である。
図5】第5の実施形態を示す燃料電池モジュールの模式図である。
図6】第6の実施形態を示す燃料電池モジュールの模式図である。
図7】第7の実施形態を示す燃料電池モジュールの模式図である。
図8】第8の実施形態を示す燃料電池モジュールの模式図である。
図9】第9の実施形態を示す燃料電池モジュールの模式図である。
図10】第10の実施形態を示す燃料電池モジュールの模式図である。
図11】第11の実施形態を示す燃料電池モジュールの模式図である。
図12】燃料電池モジュールの実験例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0015】
(第1の実施形態)
先ず、第1の実施形態として、ガス導入部材の上流部の外形幅をセルスタックの外形幅よりも小さくした燃料電池モジュールおよび燃料電池システムについて説明する。図1は、第1の実施形態を示す燃料電池システム1の模式図である。
【0016】
図1に示すように、燃料電池システム1は、燃料電池モジュール2と、補機の一例である燃料供給装置31およびブロワ32とを備える。燃料電池モジュール2は、セルスタック21と、燃焼室22と、ガス導入部材23とを備える。燃料電池モジュール2は、例えば、ホットモジュールである。
【0017】
(セルスタック21)
セルスタック21は、燃料電池セルの一例である複数の固体酸化物燃料電池セル211と、各固体酸化物燃料電池セル211を収納する不図示の収納容器とを有する。各固体酸化物燃料電池セル211は、積層方向D1に積層されている。セルスタック21は、積層方向D1に直交する通流方向D2に、第1反応ガスの一例である酸素含有ガス4と、第2反応ガスの一例である水素含有ガス5とを通流させる。
【0018】
各固体酸化物燃料電池セル211は、収納容器内において不図示のマニホールド上に立設されている。積層方向D1において隣り合う固体酸化物燃料電池セル211同士は、不図示の集電部材を介して電気的に接続されている。収納容器は、内壁と外壁とによる中空構造(二重壁構造)を有しており、内壁と外壁との間には、酸素含有ガス4を通流させるためのガス流路が設けられている。図示はしないが、各固体酸化物燃料電池セル211は、燃料極と、酸化剤極と、電解質とを備える。酸化剤極は、固体酸化物燃料電池セル211の外周に設けられていてよい。セルスタック21の積層方向D1の両端部には、発電によって生じた電流を収集して外部に引き出すためのブスバー(図示せず)が設けられている。固体酸化物燃料電池セル211は、例えば、500〜1000℃の高温で機能する。
【0019】
セルスタック21は、酸素含有ガス4の上流側に向かって順に、ガス導入部材23、収納容器内のガス流路およびブロワ32と流体連通されている。また、セルスタック21は、水素含有ガス5の上流側に向かって順に、マニホールド、不図示のガス通流管、改質器および燃料供給装置31と流体連通されている。なお、改質器は、例えば、400〜700℃の高温で機能し、燃料供給装置31から供給された燃料50(天然ガスや水)に基づいて水素含有ガス5を生成する。
【0020】
(燃焼室22)
燃焼室22は、セルスタック21に対して通流方向D2の下流側に配置されている。より具体的には、燃焼室22は、収納容器内においてセルスタック21の上部に配置されている。燃焼室22は、セルスタック21から排出された余剰の酸素含有ガス4と水素含有ガス5とを燃焼させる。燃焼によって生じた燃焼ガスは、収納容器内に設けられた不図示の排気流路を通じて収納容器の外部に排出される。
【0021】
燃焼室22内には、既述した改質器が配置されている。改質器は、燃焼室22の熱を利用して水素含有ガス5を生成する。
【0022】
(ガス導入部材23)
ガス導入部材23は、積層方向D1と通流方向D2とに直交する方向D3において燃焼室22およびセルスタック21に面している。ガス導入部材23は、酸素含有ガス4を通流できるように中空に形成されている。具体的には、ガス導入部材23は、酸素含有ガス4の流路231と、流路231を囲む隔壁232および側壁233と、流路231内に配置された邪魔板234、中央側整流板235および端部整流板236とを備える。邪魔板234、中央側整流板235および端部整流板236は、2つずつ備えられている。
【0023】
流路231は、順に燃焼室22およびセルスタック21に沿って酸素含有ガス4を導入することで酸素含有ガス4を予熱する。予熱された酸素含有ガス4は、流路231の下流端においてセルスタック21に供給される。
【0024】
隔壁232は、流路231と燃焼室22およびセルスタック21とを仕切る。なお、燃焼室22およびセルスタック21は、ガス導入部材23を挟んで2つずつ存在する。これにともなって、隔壁232は、流路231を挟んで2つ存在する。
【0025】
側壁233は、2つの隔壁232の積層方向D1の端部において、2つの隔壁232を繋いでいる。
【0026】
ガス導入部材23は、酸素含有ガス4の下流に向かって順に、上流部23aと、中流部23bと、下流部23cとを有する。上流部23aは、燃焼室22に面している。中流部23bは、上流部23aの下流端に接続され、セルスタック21の下流部に面している。下流部23cは、中流部23bの下流端に接続され、セルスタック21の上流部に面している。
【0027】
上流部23aの積層方向D1の外形幅X1は、セルスタック21の積層方向D1の外形幅X2よりも小さい。もし、上流部23aの外形幅X1がセルスタック21の外形幅X2以上の場合、ガス導入部材23を挟む2つの燃焼室22は、ガス導入部材23によって互いに隔絶される。これに対して、第1の実施形態では、上流部23aの外形幅X1がセルスタック21の外形幅X2より小さいので、ガス導入部材23を挟む2つの燃焼室22が互いに連通されている。2つの燃焼室22が連通されていることで、後述するように、燃焼室22での反応ガス4、5の燃焼効率を向上させることができる。
【0028】
中流部23bおよび下流部23cの積層方向D1の外形幅は、セルスタック21の積層方向D1の外形幅と略同一である。
【0029】
2つの邪魔板234は、中流部23bすなわち上流部23aの下流に配置されている。各邪魔板234は、積層方向D1の中央の流路231aを挟むように積層方向D1に間隔を空けて配置されている。各邪魔板234は、積層方向D1に延びており、各邪魔板234の積層方向D1の外端は側壁233に至っている。各邪魔板234は、2つの隔壁232の間に溶接で固定されている。邪魔板234は、そのD3方向の一端が一方の隔壁232にスポット溶接され、そのD3方向の他端が他方の隔壁232にプラグ溶接すなわち栓溶接されていてもよい。プラグ溶接では、他方の隔壁232に開けた孔を通して、他方の隔壁232の外側から邪魔板234を溶接できる。各邪魔板234は、酸素含有ガス4の流れをガス導入部材23の積層方向D1の中央に集中させる。
【0030】
2つの中央側整流板235は、下流部23cすなわち邪魔板234の下流に配置されている。各中央側整流板235は、中央の流路231aを挟むように積層方向D1に間隔を空けて配置されている。各中央側整流板235は、積層方向D1に延びている。各中央側整流板235の積層方向D1の内端は、邪魔板234の内端より内方に位置し、各中央側整流板235の積層方向D1の外端は、邪魔板234の内端より外方に位置している。各中央側整流板235は、邪魔板234と同様の溶接法で2つの隔壁232の間に固定されている。図1に示すように、各中央側整流板235は、各邪魔板234との間に、中央の流路231aから積層方向D1の外方(すなわち、左右)に分岐した分岐流路231bを形成している。各中央側整流板235は、分岐流路231bを通じて、中央に集中した酸素含有ガス4の流れを分散させる。
【0031】
2つの端部整流板236は、下流部23cにおける中央側整流板235の下流に配置されている。各端部整流板236は、中央の流路231aおよび分岐流路231bを挟むように積層方向D1に間隔を空けて配置されている。各端部整流板236は、積層方向D1に延びており、各端部整流板236の積層方向D1の外端は側壁233に至っている。各端部整流板236は、邪魔板234と同様の溶接法で2つの隔壁232の間に固定されている。各端部整流板236は、中央側整流板235によって分散した酸素含有ガス4の流れが積層方向D1の端部に集中することを防止する。
【0032】
次に、第1の実施形態の作用について説明する。
【0033】
(酸素含有ガス4の流れ)
ブロワ32は、セルスタック21に向けて酸素含有ガス4を供給する。ブロワ32から供給された酸素含有ガス4は、収納容器内のガス流路を経由してガス導入部材23に流入する。ガス導入部材23に流入した酸素含有ガス4は、順に、上流部23aの流路231、中流部23bの流路231および下流部23cの流路231を通ってガス導入部材23の下流端から流出(すなわち、噴出)する。
【0034】
ガス導入部材23から流出した酸素含有ガス4は、セルスタック21の下端のセル入口においてセルスタック21に供給されて、各固体酸化物燃料電池セル211の酸化剤極に到達する。酸化剤極に到達した酸素含有ガス4の一部は、燃料極から放出された電子を受け取ることで酸化物イオンとなる。酸化物イオンは、電解質を通して燃料極に移動する。燃料極に移動した酸化物イオンは、水素含有ガス5中の水素および一酸化炭素と反応することで電子を発生させる。これにより、固体酸化物燃料電池セル211が発電する。
【0035】
発電に用いられなかった余剰の酸素含有ガス4は、セルスタック21のセル出口においてセルスタック21から排出されて燃焼室22に流入する。燃焼室22に流入した酸素含有ガス4は、燃焼室22に流入した余剰の水素含有ガス5と反応して燃焼する。燃焼で生じた燃焼ガスは、収納容器内の排気流路を通って収納容器の外部に排出される。
【0036】
(水素含有ガス5の流れ)
燃料供給装置31は、改質器に燃料50として天然ガスと水とを供給する。改質器は、水を気化することで水蒸気を発生させ、発生した水蒸気を触媒で天然ガスと反応させることで水素含有ガス5を生成する。生成された水素含有ガス5は、ガス通流管を経由してマニホールドに到達する。マニホールドにおいて、水素含有ガス5は、セル入口からセルスタック21に供給され、各固体酸化物燃料電池セル211の燃料極に到達する。燃料極に到達した水素含有ガス5の一部は、既述したように燃料極での反応によって電子を発生させる。発電に用いられなかった余剰の水素含有ガス5は、燃焼室22において燃焼した後に外部に排出される。
【0037】
(熱の流れ)
ガス導入部材23に流入した酸素含有ガス4は、先ず、上流部23a内において燃焼室22の脇を通ることで、輻射や熱交換によって燃焼室22内の燃焼ガスの熱を吸収する。熱を吸収することで、酸素含有ガス4は予熱される。このとき、上流部23aの外形幅X1がセルスタック21の外形幅X2より小さいことで、ガス導入部材23を挟む一対の燃焼室22が連通している。これにより、容積が大きな燃焼室22内において、セルスタック21から排出された余剰の酸素含有ガス4と水素含有ガス5とが十分に混合されて良好に燃焼する。酸素含有ガス4と水素含有ガス5とが良好に燃焼することで、固体酸化物燃料電池セル211が十分に加熱され、固体酸化物燃料電池セル211の発電効率が向上する。また、上流部23aの外形幅X1がセルスタック21の外形幅X2より小さいことで、酸素含有ガス4の流れが積層方向D1の中央に集中し、また、燃焼室22の冷却が抑制される。
【0038】
次いで、酸素含有ガス4は、中流部23b内においてセルスタック21の下流部の脇を通ることで、セルスタック21を冷却する。このとき、中流部23b内の邪魔板234は、酸素含有ガス4の流れを積層方向D1の中央に更に集中させる。これにより、セルスタック21の積層方向D1の中央部が集中的に冷却され、高温になり易いセルスタック21の積層方向D1の中央部の温度が十分に抑制される。
【0039】
次いで、酸素含有ガス4は、下流部23cにおいて、セルスタック21の上流部の脇を通ることで、セルスタック21の熱を吸収して予熱される。このとき、下流部23c内の中央側整流板235は、中央に集中した酸素含有ガス4の流れを分散させる。これにより、酸素含有ガス4の予熱が促進される。また、端部整流板236は、酸素含有ガス4の流れがガス導入部材23の端部に集中することを防止する。これにより、低温になり易いセルスタック21の積層方向D1の端部の温度低下が十分に抑制される。
【0040】
以上述べたように、第1の実施形態によれば、上流部23aの外形幅X1をセルスタック21の外形幅X2より小さくすることで、燃焼室22における反応ガス4、5の燃焼性を向上でき、また、燃焼室22の冷却を抑制できる。この結果、同じ供給燃料流量および出力電流に対するセル電圧を高めることができ、燃料電池システム1の発電効率を向上できる。
【0041】
また、第1の実施形態によれば、邪魔板234によって酸素含有ガス4の流れを積層方向D1の中央に集中させることで、セルスタック21の積層方向D1の中央部の温度を抑制できるので、ホットモジュール内でセルスタック21を高耐久化させることができる。
【0042】
また、第1の実施形態によれば、整流板235によって酸素含有ガス4の流れを分散させることで、酸素含有ガス4の予熱を促進させることができるので、発電効率を更に向上できる。
【0043】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態として、酸素含有ガスの供給孔を備えた燃料電池モジュールについて説明する。なお、第2の実施形態において、既述の実施形態に対応する構成部については同一の符号を用いて重複した説明を省略する。図2は、第2の実施形態を示す燃料電池モジュール2の模式図である。
【0044】
図2に示すように、第2の実施形態の燃料電池モジュール2は、第1の実施形態の構成に加えて、隔壁232を貫通する複数の供給孔24を備える。各供給孔24は、積層方向D1に間隔を空けて下流部23cの下流端の近傍に配置されている。各供給孔24は、整流板235、236の下流において、セルスタック21に酸素含有ガス4を供給する。
【0045】
第2の実施形態によれば、整流板235、236で分散された酸素含有ガス4の流れを供給孔24で更に分散させることができる。これにより、酸素含有ガス4の予熱を更に促進させることができるので、発電効率を更に向上できる。
【0046】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態として、内端部が屈曲した邪魔板と第1の整流板とを備えた燃料電池モジュールについて説明する。なお、第3の実施形態において、既述の実施形態に対応する構成部については同一の符号を用いて重複した説明を省略する。図3は、第3の実施形態を示す燃料電池モジュール2の模式図である。
【0047】
図3に示すように、第3の実施形態の邪魔板234は、中央に集中した酸素含有ガス4の流れに接する積層方向D1の内端部234aにおいて、下流側に屈曲している。より具体的には、邪魔板234の内端部234aは、邪魔板234の他の部分(積層方向D1に延伸した部分)に対して下流側に90°屈曲している。
【0048】
また、第3の実施形態の燃料電池モジュール2は、第1の実施形態で説明した中央側整流板235の代わりに第1の整流板237を備える。図3に示すように、第1の整流板237は、中央に集中した酸素含有ガス4の流れを受けるように、邪魔板234の内端部234aに面する位置において下流側に凹入している。具体的には、第1の整流板237は、積層方向D1に延伸した第1部分237aと、第1部分237aの両端において上流側に延伸した2つの第2部分237bとを有する。2つの第2部分237bは、2つの邪魔板234の内端部234aよりも積層方向D1の外方に位置している。第1の整流板237は、受け皿形状を有しているということもできる。第1の整流板237は、邪魔板234と同様の溶接法で2つの隔壁232の間に固定されている。
【0049】
図3に示すように、第1の整流板237は、邪魔板234の内端部234aとの間に、蛇行する流路231cを形成している。流路231cは、最も高温のセルスタック21の中央付近において、邪魔板234によって中央に集中した酸素含有ガス4を蛇行させる。酸素含有ガス4が蛇行することで、セルスタック21の中央部で酸素含有ガス4が予熱される時間すなわちセルスタック21の中央部が冷却される時間は長くなる。これにより、酸素含有ガス4の予熱を更に促進させることができ、また、セルスタック21の中央部の温度を更に抑制できる。したがって、第3の実施形態によれば、発電効率を更に向上できるとともに、セルスタック21を更に高耐久化できる。
【0050】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態として、第2の整流板を備えた燃料電池モジュールについて説明する。なお、第4の実施形態において、既述の実施形態に対応する構成部については同一の符号を用いて重複した説明を省略する。図4は、第4の実施形態を示す燃料電池モジュール2の模式図である。
【0051】
図4に示すように、第4の実施形態の燃料電池モジュール2は、第3の実施形態の燃料電池モジュール2に対して、端部整流板236の代わりに第2の整流板238を備える点が異なる。第2の整流板238は、第1の整流板237に対して積層方向D1の外方に配置されている。第2の整流板238は、積層方向D1の内方および下流側に階段状(ジグザグ状)に延びる。第2の整流板238は、邪魔板234と同様の溶接法で2つの隔壁232の間に固定されている。
【0052】
図4に示すように、邪魔板234と、第1の整流板237と、第2の整流板238との間には、2回蛇行する流路231dが形成されている。流路231dは、最も高温のセルスタック21の中央付近において、邪魔板234によって中央に集中した酸素含有ガス4を2回蛇行させる。酸素含有ガス4が2回蛇行することで、酸素含有ガス4がセルスタック21の中央部で予熱される時間すなわちセルスタック21の中央部が冷却される時間は更に長くなる。これにより、酸素含有ガス4の予熱を更に促進することができ、また、セルスタック21の中央部の温度を更に抑制できる。したがって、第4の実施形態によれば、第3の実施形態と比べて発電効率を更に向上できるとともに、セルスタック21を更に高耐久化できる。
【0053】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態として、第3の整流板を備えた燃料電池モジュールについて説明する。なお、第5の実施形態において、既述の実施形態に対応する構成部については同一の符号を用いて重複した説明を省略する。図5は、第5の実施形態を示す燃料電池モジュール2の模式図である。
【0054】
図5に示すように、第5の実施形態の燃料電池モジュール2は、第4の実施形態の構成に加えて、複数の第3の整流板239を備える。第3の整流板239は、下流側において第1の整流板237と第2の整流板238との間隙部に面している。第1の整流板237と第2の整流板238との間隙部は第1の整流板237の左右に1つずつ存在するが、第3の整流板239は、各間隙部に対して2つずつ面している。各第3の整流板239は、積層方向D1に間隔を空けて配置されている。各第3の整流板239は、邪魔板234と同様の溶接法で2つの隔壁232の間に固定されている。
【0055】
第3の整流板239は、第1の整流板237と第2の整流板238との間を通過した酸素含有ガス4を更に分散させる。これにより、酸素含有ガス4の予熱を更に促進させることができる。したがって、第5の実施形態によれば、第4の実施形態に対して発電効率を更に向上できる。
【0056】
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態として、直線状の第2の整流板を備えた燃料電池モジュールについて説明する。なお、第6の実施形態において、既述の実施形態に対応する構成部については同一の符号を用いて重複した説明を省略する。図6は、第6の実施形態を示す燃料電池モジュール2の模式図である。
【0057】
図6に示すように、第6の実施形態の第2の整流板238は、第5の実施形態の第2の整流板238(図5参照)に対して、積層方向D1の内方および下流側に直線状に延びている点が異なる。
【0058】
第6の実施形態によれば、第2の整流板238の形状が屈曲していない滑らかな直線状であるため、第2の整流板238を低コストで製造できるとともに、酸素含有ガス4の圧損を抑制できる。圧損を抑制することで、酸素含有ガス4を送り込むブロワ32(図1参照)の消費電力を削減でき、燃料電池システム1全体としての発電効率を更に向上できる。
【0059】
(第7の実施形態)
次に、第7の実施形態として、邪魔板234の角部に傾斜面を有する燃料電池モジュールについて説明する。なお、第7の実施形態において、既述の実施形態に対応する構成部については同一の符号を用いて重複した説明を省略する。図7は、第7の実施形態を示す燃料電池モジュール2の模式図である。
【0060】
図7に示すように、第7の実施形態の燃料電池モジュール2は、第5の実施形態の燃料電池モジュール2に対して、中央の流路231aに接する邪魔板234の角部に傾斜面2341を有する点が異なる。邪魔板234は、角部が斜め加工(すなわち、面取り)されているということもできる。傾斜面2341は、例えば、積層方向D1に対して45°傾斜していてもよい。また、傾斜面の代わりに曲面(例えば、円弧面)を設けてもよい。
【0061】
第7の実施形態によれば、傾斜面2341によって酸素含有ガス4の流れの剥離を低減できるので、摩擦損失による圧損を低減できる。これにより、酸素含有ガス4を送り込むブロワ32の消費電力を削減でき、燃料電池システム1全体としての発電効率を更に向上できる。
【0062】
(第8の実施形態)
次に、第8の実施形態として、整流板の角部に傾斜面を有する燃料電池モジュールについて説明する。なお、第8の実施形態において、既述の実施形態に対応する構成部については同一の符号を用いて重複した説明を省略する。図8は、第8の実施形態を示す燃料電池モジュール2の模式図である。
【0063】
図8に示すように、第8の実施形態の燃料電池モジュール2は、第7の実施形態の燃料電池モジュール2に対して、2回蛇行する流路231dに接する第1の整流板237の角部および第2の整流板238の角部に傾斜面2371、2381を有する点が異なる。傾斜面2371、2381は、例えば、積層方向D1に対して45°傾斜していてもよい。
【0064】
第8の実施形態によれば、傾斜面2371、2381によって酸素含有ガス4の流れの剥離を更に低減できるので、第7の実施形態の燃料電池モジュール2と比べて、摩擦損失による圧損を更に低減できる。これにより、酸素含有ガス4を送り込むブロワ32の消費電力を更に削減でき、燃料電池システム1全体としての発電効率を更に向上できる。
【0065】
(第9の実施形態)
次に、第9の実施形態として、邪魔板および整流板をプレス加工した燃料電池モジュールについて説明する。なお、第9の実施形態において、既述の実施形態に対応する構成部については同一の符号を用いて重複した説明を省略する。図9は、第9の実施形態を示す燃料電池モジュール2の模式図である。
【0066】
図9に示すように、第9の実施形態の燃料電池モジュール2は、第5の実施形態の燃料電池モジュール2に対して、邪魔板234および第1〜第3の整流板237〜239がプレス加工によって隔壁232と一体成形されている点が異なる。なお、プレス加工は、2つの隔壁232の一方および双方のいずれに行ってもよい。
【0067】
邪魔板234および整流板237〜239をプレス成形体とすることで、邪魔板234および整流板237〜239を溶接する場合に比べて、ガス導入部材23を安価に製造できる。したがって、第9の実施形態によれば、酸素含有ガス4の予熱とセルスタック21の中央部の冷却とを低コストで実現できる。
【0068】
(第10の実施形態)
次に、第10の実施形態として、中央側の供給孔の内径を大きくした燃料電池モジュールについて説明する。なお、第10の実施形態において、既述の実施形態に対応する構成部については同一の符号を用いて重複した説明を省略する。図10は、第10の実施形態を示す燃料電池モジュール2の模式図である。
【0069】
図10に示すように、第10の実施形態の燃料電池モジュール2は、第5の実施形態の燃料電池モジュール2に対して、中央側の複数の供給孔24の内径がそれ以外の供給孔24の内径より大きい点が異なる。
【0070】
内径が大きい積層方向D1の中央側の供給孔24は、積層方向D1の中央の固体酸化物燃料電池セル211により多くの酸素含有ガス4を供給できる。したがって、第10の実施形態によれば、セルスタック21の積層方向D1の中央部の温度を更に抑制できるので、第5の実施形態と比べてホットモジュール内でセルスタック21を更に高耐久化できる。また、供給孔24の内径が大きいことで圧損を低減できるので、酸素含有ガス4を送り込むブロワ32の消費電力を削減でき、燃料電池システム1全体としての発電効率を更に向上できる。
【0071】
(第11の実施形態)
次に、第11の実施形態について説明する。図11は、第11の実施形態を示す燃料電池モジュール2の模式図である。
【0072】
図11に示すように、第11の実施形態の燃料電池モジュール2は、第1の実施形態の燃料電池モジュール2に対して、邪魔板234が酸素含有ガス4の通流方向に大きく形成され、また、整流板が存在しない点が異なる。
【0073】
第11の実施形態によれば、上流部23aの外形幅X1がセルスタック21の外形幅X2より小さいことで、上流部23aの外形幅X1がセルスタック21の外形幅X2以上の場合と比べて、酸素含有ガス4および水素含有ガス5の燃焼性を向上できる。
【0074】
(実験例)
次に、燃料電池モジュール2の実験例について説明する。図12は、燃料電池モジュールの実験例を示す図である。本実験例では、流体解析ソフト(STAR−CCM+)を用いて、第1〜第8、第10および第11の実施形態の燃料電池モジュール2を模擬した解析対象データ(試料1〜10)の3D流体解析を行った。試料番号と実施形態との対応関係は図12に示す通りである。本実験例では、ガス導入部材23に供給される酸素含有ガス4の温度を750Kに設定した。また、本実験例では、隔壁232の温度を1000Kに設定した。
【0075】
このような温度条件の下で、試料1〜10に対して、ガス導入部材23の下流端すなわち出口における酸素含有ガス4の平均温度[K]と、ガス導入部材23における酸素含有ガス4の圧損[Pa]とをシミュレーションした。その結果を図12に示す。
【0076】
図12に示すように、ガス導入部材23の圧損が小さい試料は、第1および第2の実施形態の燃料電池モジュール2を模擬した試料1および2であった。試料1および2においては、整流板が積層方向D1のみに延びる形状を有しているため、流路が蛇行せず、結果的に剥離現象による圧損が小さくなったと推測される。
【0077】
また、図12に示すように、ガス導入部材23の出口における酸素含有ガス4の平均温度が高い試料は、第3〜第8および第10の実施形態に対応する試料3〜9であった。試料3〜9においては、整流板で蛇行する流路で酸素含有ガス4の予熱が促進され、結果的に出口における平均温度が高くなったと推測される。
【0078】
また、酸素含有ガス4の平均温度が高い試料3〜9のうち、圧損が比較的小さい試料は試料3、6および9であった。試料3においては、第3の整流板239が存在しないことで、酸素含有ガス4が第3の整流板239で分岐せず、結果的に圧損が小さくなったと推測される。試料6においては、第2の整流板238が直線状であることで、第2の整流板238が屈曲している場合に比べて剥離現象が緩和され、結果的に圧損が小さくなったと推測される。試料9においては、中央の供給孔24の内径が大きいことで、圧損が小さくなったと推測される。
【0079】
なお、実験例では、隔壁232の温度を1000K一定にしているが、実際には、積層方向D1の中央部が高温で端部が低温であるといったセルスタック21の温度分布にともなって、セルスタック21の端部における隔壁232の温度は900K程度と推測される。すなわち、セルスタック21と同様に、隔壁232にも温度分布が存在する。ここで、第3の実施形態(図3参照)を模擬した試料3では、セルスタック21の端部近くに酸素含有ガス4が多く流れるので、隔壁232の温度分布により、ガス導入部材23の中央側を酸素含有ガス4が流れる場合よりも空気予熱効果は低いと推測される。実際には、第6の実施形態(図6参照)を模擬した試料6の方が、試料3よりも、ガス導入部材23の出口における酸素含有ガス4の平均温度が高いと推測される。
【0080】
また、第5の実施形態(図5参照)を模擬した試料5と、第10の実施形態(図10参照)を模擬した試料9との比較においても、実際は、孔24が大きくセルスタック21の中央付近に酸素含有ガス4が多く流れる試料9の方が、試料5よりもガス導入部材23の出口における酸素含有ガス4の平均温度が高いと推測される。
【0081】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、反応ガスの燃焼性を向上できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0082】
2 燃料電池モジュール、21 セルスタック、22 燃焼室、23 ガス導入部材、231 流路、232 隔壁、23a 上流部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12