(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記酸は、3-メチル-2-オキソ吉草酸、ピルビン酸、2-オキソ吉草酸、4-メチル-2-オキソ吉草酸、3-メチル-2-オキソブタン酸、2-オキソオクタン酸およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか1に記載のエアロゾル発生システム。
前記シーラントは、蜜ろう、カルナウバろう、キャンデリラろう、石油ろう、ポリオレフィンろうおよびそれらの誘導体からなる前記群より選択される1つまたは複数のろうを含む、請求項7に記載のエアロゾル発生システム。
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生システムにおける使用のためのカプセル化された揮発性液体供与源に関する。特に、本発明は、ニコチン塩粒子を含むエアロゾルを発生するためのエアロゾル発生システムにおける使用のためのカプセル化された揮発性液体供与源に関する。
【0002】
WO 2008/121610 A1号、WO 2010/107613 A1号およびWO 2011/034723 A1号は、使用者にニコチンまたはもう一つの医薬を送達するための装置および方法を開示する。装置は、揮発性酸性供与源またはもう一つの揮発性送達増強化合物供与源およびニコチン供与源またはもう一つの医薬供与源を含む。好ましい実施形態において、ピルビン酸を気相においてニコチンと反応させ、使用者によって吸入されるニコチンピルビン酸塩粒子のエアロゾルを形成する。
【0003】
その上に揮発性液体が収着された収着エレメントは、任意の長さの時間貯蔵されたときに、揮発性液体を失う傾向を有するだろう。WO 2008/121610 A1号、WO 2010/107613 A1号およびWO 2011/034723 A1号において開示されたタイプの装置において、使用において所望のエアロゾルを発生するように貯蔵の間に十分な揮発性送達増強化合物および十分なニコチンまたはもう一つの医薬を保持することが望ましい。また、反応物の特性を変化させるかもしれない酸化、加水分解またはその他の望まれない反応による分解を伴わずに貯蔵の間に揮発性送達増強化合物およびニコチンまたはもう一つの医薬を保持することが望ましい。
【0004】
貯蔵の間、揮発性送達増強化合物およびニコチンまたはもう一つの医薬の一方または両方の保持が改善される、WO 2008/121610 A1、WO 2010/107613 A1およびWO 2011/034723 A1において開示されたタイプの使用者にニコチンまたはもう一つの医薬を送達するためのエアロゾル発生システムを提供することは、望ましいだろう。また、貯蔵の間、揮発性送達増強化合物およびニコチンまたはもう一つの医薬の一方または両方の安定性が維持される、WO 2008/121610 A1、WO 2010/107613 A1およびWO 2011/034723 A1において開示されたタイプの使用者にニコチンまたはもう一つの医薬を送達するためのエアロゾル発生システムを提供することは、望ましいだろう。また、揮発性送達増強化合物およびニコチンまたはもう一つの医薬の一方または両方がエアロゾル発生システムの使用に応じてのみ放出される、WO 2008/121610 A1、WO 2010/107613 A1およびWO 2011/034723 A1において開示されたタイプの使用者にニコチンまたはもう一つの医薬を送達するためのエアロゾル発生システムを提供することは、望ましいだろう。
【0005】
本発明によれば、カプセル化された揮発性液体供与源であって:収着エレメント;25℃にて収着エレメント上に収着された少なくとも約20Paの蒸気圧を有する揮発性液体を含み、揮発性液体は、2-オキソ酸;および収着エレメントをカプセル化する約40℃〜約120℃の間の融点を有するシーラントを含む供与源が提供される。
【0006】
本明細書に使用される、「収着された」は、揮発性液体が収着エレメントの表面上に吸着された、または収着エレメント中に吸収された、または収着エレメント上に吸着された、および中に吸収されたことの両方を意味する。好ましくは、揮発性液体は、収着エレメント上に吸着される。
【0007】
本明細書に使用される、「カプセル化する」は、シーラントが収着エレメント周囲にバリアまたはシェルを形成することを意味する。
【0008】
シーラントは、収着エレメント上に収着された揮発性液体を保持し、およびそうして揮発性液体の蒸発および損失を実質的に減少させる、または防ぐ。これは、本発明に従ったカプセル化された揮発性液体供与源の貯蔵の間の揮発性液体の保持を都合よく改善する。
【0009】
また、シーラントは、外部大気の影響への曝露から、その上に収着された揮発性液体を伴う収着エレメントを隔離し、およびそうして大気の酸素および水と揮発性液体の反応を実質的に減少させる、または防ぐ。これは、本発明に従ったカプセル化された揮発性液体供与源の貯蔵の間、揮発性液体の安定性を都合よく改善する。
【0010】
好ましくは、シーラントは、収着エレメントの周囲にバリアまたはシェルを形成し、これが大気と揮発性液体の接触を防ぐ。より好ましくは、シーラントは、収着エレメントの周囲にバリアまたはシェルを形成し、これが大気と揮発性液体の接触を防ぎ、および光への揮発性液体の曝露を減少させ、または防ぐ。
【0011】
好ましくは、シーラントは、揮収着エレメントの周囲にバリアまたはシェルを形成し、これが発性液体が少なくとも2か月の期間、より好ましくは少なくとも4か月の期間、外界温度での貯蔵時に安定なままであるように揮発性液体のための環境を提供する。
【0012】
揮発性液体は、シーラントの融点より上の温度にカプセル化された揮発性液体供与源を加熱することによって、望まれるときにカプセル化された揮発性液体供与源から放出させることができる。シーラントの融点より上にカプセル化された揮発性液体供与源を加熱することにより、シーラントを融解させ、こうして収着エレメント上に収着された揮発性液体を放出する。従って、本発明に従ったカプセル化された揮発性液体供与源は、化合物、例えばピルビン酸およびニコチンなどを含む揮発性液体の温度制御された放出のための手段を提供する。
【0013】
好ましくは、揮発性液体は、25℃にて少なくとも約50Pa、より好ましくは少なくとも約75Pa、最も好ましくは100Paの蒸気圧を有する。特に明記しない限り、本明細書において言及したすべての蒸気圧は、ASTM E1194−07に従って測定された25℃にての蒸気圧である。
【0014】
好ましくは、揮発性液体は、25℃にて約400Pa以下、より好ましくは約300Pa以下、さらにより好ましくは約275Pa以下、最も好ましくは約250Pa以下の蒸気圧を有する。
【0015】
一定の実施形態において、揮発性液体は、25℃にて約20Pa〜約400Paの間、より好ましくは約20Pa〜約300Paの間、さらにより好ましくは約20Pa〜約275 Paの間、最も好ましくは約20Pa〜約250 Paの間の蒸気圧を有してもよい。
【0016】
その他の実施形態において、揮発性液体は、25℃にて約50Pa〜約400Paの間、より好ましくは約50Pa〜約300Paの間、さらにより好ましくは約50Pa〜約275Paの間、最も好ましくは約50Pa〜約250 Paの間の蒸気圧を有してもよい。
【0017】
さらなる実施形態において、揮発性液体は、25℃にて約75Pa〜約400Paの間、より好ましくは約75Pa〜約300Paの間、さらにより好ましくは約75Pa〜約275Paの間、最も好ましくは約75Pa〜約250Paの間の蒸気圧を有してもよい。
【0018】
さらにさらなる実施形態において、揮発性液体は、25℃にて約100Pa〜約400Paの間、より好ましくは約100Pa〜約300Paの間、さらにより好ましくは約100Pa〜約275Paの間、最も好ましくは約100 Pa〜約250Paの間の蒸気圧を有してもよい。
【0019】
揮発性液体は、単一の化合物を含んでもよい。あるいは、揮発性化合物は、2つ以上の異なる化合物を含んでもよい。
【0020】
揮発性液体が2つ以上の異なる化合物を含む場合、2つ以上の異なる化合物の組み合わせは、25℃にて少なくとも約20Paの蒸気圧を有する。
【0021】
揮発性液体は、2つ以上の異なる液体化合物の混合物を含んでもよい。
【0022】
揮発性液体は、1つまたは複数の化合物の水溶液を含んでもよい。あるいは、揮発性液体は、1つまたは複数の化合物の非水溶溶液を含んでもよい。
【0023】
揮発性液体は、2つ以上の異なる揮発性化合物を含んでもよい。例えば、揮発性液体は、2つ以上の異なる揮発性液体化合物の混合物を含んでもよい。
【0024】
あるいは、揮発性液体は、1つまたは複数の不揮発性化合物および1つまたは複数の揮発性化合物であってもよい。例えば、揮発性液体は、揮発性溶媒中の1つまたは複数の不揮発性化合物の溶液または1つまたは複数の不揮発性液体化合物および1つまたは複数の揮発性液体化合物の混合物を含んでもよい。
【0025】
揮発性液体は、アルファケトまたは2-オキソ酸を含む。
【0026】
好ましい実施形態において、揮発性液体は、3-メチル-2-オキソペンタン酸、ピルビン酸、2-オキソペンタン酸、4-メチル-2-オキソペンタン酸、3-メチル-2-オキソブタン酸、2-オキソオクタン酸およびこれらの組み合わせからなる群より選択された酸を含む。特に好ましい実施形態において、揮発性液体は、ピルビン酸を含む。
【0027】
揮発性液体は、その他の成分をさらに含んでもよく、天然フレーバー、人工フレーバーおよび抗酸化剤を含むが、限定されない。
【0028】
好ましくは、シーラントは、約40℃〜約100℃の間、より好ましくは約40℃〜約70℃の間、最も好ましくは約40℃〜約60℃の間の融点を有する。
【0029】
好ましくは、シーラントは、狭い融点範囲を有する。本明細書に使用されたように、用語「融点範囲」は、シーラントが融解し始める温度とシーラントが完全に融解した温度との間の範囲を記述するために使用する。
【0030】
好ましくは、シーラントの融点範囲は、約10℃より低く、より好ましくは約5℃より低い。狭い融点範囲を有するシーラントの使用は、収着エレメント上に収着された揮発性液体がカプセル化された揮発性液体供与源の加熱の際に「オンデマンドで」放出させることを都合よく可能にする。
【0031】
揮発性液体は、シーラントの融解温度の上の温度にてカプセル化された揮発性液体供与源から放出されてもよい。例えば、シーラントは、融解してもよいが、シーラントの融解温度の上の温度に到達されるまで、揮発性液体の周囲にバリアまたはシェルをなおも維持する。
【0032】
シーラントは、凝固し、および冷却して収着エレメント上に収着された揮発性液体を再カプセル化することができてもよい。これは、収着エレメント上に収着された揮発性液体の一部のみを放出し、および後の使用のために収着エレメント上に収着された揮発性液体の残りを保持することが所望される場合、有益である。
【0033】
好ましくは、シーラントは、ろうを含む。
【0034】
ろうは、典型的には親油性(liphophilic)、非多孔性および実質的に不透明である。従って、ろうを含むシーラントは、収着エレメントの周囲にバリアまたはシェルを都合よく形成し得るし、これが大気と揮発性液体の接触を防ぎ、および光への揮発性液体の曝露を減少させる、または防ぐ。
【0035】
シーラントは、1つまたは複数の天然ろうまたは1つまたは複数の合成ろうまたは1つまたは複数の天然ろうおよび1つまたは複数の合成ろうの組み合わせを含んでもよい。
【0036】
シーラントは、1つまたは複数の動物ろう、1つまたは複数の鉱ろう、1つまたは複数の石油ろう、1つまたは複数のポリオレフィンろう、1つまたは複数の植物ろうまたはそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0037】
適切な動物ろうは、蜜ろうを含むが、限定されない。
【0038】
適切な石油ろうは、パラフィンろうを含むが、限定されない。
【0039】
適切なポリオレフィンろうは、ポリエチレンろうおよびポリプロピレンろうを含むが、限定されない。
【0040】
適切な鉱ろうは、モンタンろうを含むが、限定されない。
【0041】
適切な植物ろうは、キャンデリラろう、カルナウバろう、カスターろうおよび大豆ろうを含むが、限定されない。
【0042】
好ましくは、シーラントは、蜜ろう、カルナウバろう、キャンデリラろう、石油ろう、ポリオレフィンろうおよびそれらの誘導体からなる群より選択される1つまたは複数のろうを含む。
【0043】
特に好ましい実施形態において、シーラントは、パラフィンろうを含む。
【0044】
収着エレメントを、任意の適切な材料または材料の組み合わせから形成してもよい。例えば、収着エレメントは、ガラス、ステンレス鋼、アルミニウム、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)およびBAREX(登録商標)の1つまたは複数を含んでもよい。
【0045】
好ましい実施形態において、収着エレメントは、多孔性収着エレメントである。
【0046】
例えば、収着エレメントは、多孔性プラスチック材料、多孔性重合体繊維および多孔性ガラス繊維からなる群より選択された1つまたは複数の材料を含む多孔性収着エレメントであってもよい。
【0047】
収着エレメントは、揮発性液体に対して好ましくは化学的に不活性である。
【0048】
収着エレメントは、シーラントの融解温度にて好ましくは物理的に安定である。
【0049】
収着エレメントは、揮発性液体がカプセル化された揮発性液体供与源から放出される温度にて物理的に好ましくは安定である。
【0050】
収着エレメントは、任意の適切なサイズおよび形状を有してもよい。好ましい実施形態において、収着エレメントは、実質的に円柱状プラグである。特に好ましい実施形態において、収着エレメントは、多孔性の実質的に円柱状プラグである。
【0051】
収着エレメントのサイズ、形状および組成物は、揮発性液体の所望量が収着エレメント上に収着されるのを可能にするように選んでもよい。
【0052】
好ましい実施形態において、約20 μl〜約200μlの間、より好ましくは約40μl〜約150μlの間、最も好ましくは約50μl〜約100μlの間の揮発性液体は、収着エレメント上に収着される。
【0053】
収着エレメントは、揮発性液体のための貯蔵所としの役割を都合よく果たす。
【0054】
収着エレメントは、任意の適切な方法によってシーラントでカプセル化されてもよい。
【0055】
例えば、シーラントを融解し、融解したシーラントで収着エレメントを被覆し、および次いでシーラントで収着エレメントをカプセル化するために融解したシーラントを凝固してもよい。収着エレメントは、吹付け、塗装または流動浸漬塗装などの任意の適切な方法によって融解したシーラントで被覆されていてもよい。
【0056】
あるいは、シーラントを融解して、収着エレメントが融解したシーラントに浸漬させ、および次いでシーラントで収着エレメントをカプセル化するために融解したシーラントを凝固してもよい。
【0057】
シーラントの特性に応じて、有効な冷却工程を、より速い速度にてシーラントを凝固させるために実行してもよい。有効な冷却工程を含めることにより、重力下で半固体シーラントのクリープを減少させることよって、および収着エレメント中へのシーラントの浸透を減少させることによって、より均等な、および均一なコーティングを都合よく生じ得る。有効な冷却工程は、ガス状冷却剤または液体冷却剤とシーラントを接触することを含んでもよい。例えば、融解したシーラントは、液体窒素または冷却したイソプロピルアルコールなどの液体冷却剤浴に浸漬してもよく、または融解したシーラントは、冷たい空気などのガス状冷却剤流において冷却してもよい。
【0058】
揮発性液体は、収着エレメントがシーラントによってカプセル化される前に、収着エレメント上に収着されてもよい。
【0059】
あるいは、収着エレメントをシーラントによってカプセル化して、揮発性液体を収着エレメント上へ、または中へシーラントを介して注射して、および次いで注射部位をシールしてもよい。
【0060】
本発明によれば、また、本発明に従ったカプセル化された揮発性液体供与源を含むエアロゾル発生システムが提供される。
【0061】
好ましい実施形態において、エアロゾル発生システムであって:酸性供与源;およびニコチン供与源を含み、酸性供与源は、本発明に従ったカプセル化された揮発性液体供与源であるシステムが提供される。
【0062】
特に好ましい実施形態において、筐体を含むエアロゾル発生システムであって、筐体は:a)入口および出口であって、互いに連通し、およびガス状担体が入口を介して筐体中に、筐体を介して、および出口を介して筐体から外へ通過し得るように適応され、エアロゾル発生システムは、入口から出口へ連続して含む入口および出口:b)入口と連通する第1の内部領域であって、第1の内部領域は、酸性供与源およびニコチン供与源の最初の1つを含む第1の内部領域、並びにc)第1の内部領域と連通する第2の内部領域であって、第2の内部領域は、酸性供与源およびニコチン供与源の2番目の1つを含む第2の内部領域を含み、酸性供与源は:収着エレメント;25℃にて収着エレメント上に収着された少なくとも約20 Paの蒸気圧を有する揮発性液体を含むカプセル化された揮発性液体供与源であり、揮発性液体は、2-オキソ酸;および収着エレメントをカプセル化する約40℃〜約120℃の間の融点を有するシーラントを含む、システムが提供される。
【0063】
エアロゾル発生システムは:第2の内部領域;および出口と連通する第3の内部領域をさらに含んでもよい。
【0064】
エアロゾル発生システムは:第2の内部領域または存在する場合、第3の内部領域;および出口と連通するマウスピースをさらに含んでもよい。
【0065】
もう一つの好ましい実施形態において、筐体を含むエアロゾル発生システムであって、筐体は:a)入口および出口であって、互いに連通し、およびガス状担体が入口を介して筐体中に、筐体を介して、および出口を介して筐体から外へ通過し得るように適応され、エアロゾル発生システムは、平行して含む入口および出口:b)入口と連通する第1の内部領域であって、第1の内部領域は、酸性供与源を含む第1の内部領域、並びにc)入口と連通する第2の内部領域であって、第2の内部領域はニコチン供与源を含み、酸性供与源は:収着エレメント;25℃にて収着エレメント上に収着された少なくとも約20 Paの蒸気圧を有する揮発性液体を含むカプセル化された揮発性液体供与源であり、揮発性液体は、2-オキソ酸;および収着エレメントをカプセル化する約40℃〜約120℃の間の融点を有するシーラントを含む、システムが提供される。使用において、ガス状担体の第1の流れは、第1の内部領域を介して通過し、およびガス状担体の第2の流れは、第2の内部領域を介して通過する。
【0066】
エアロゾル発生システムは:第1の内部領域および第2の内部領域の一方または両方;および出口と連通する第3の内部領域をさらに含んでもよい。
【0067】
エアロゾル発生システムは:第1の内部領域および第2の内部領域、または存在する場合、第3の内部領域;および出口と連通するマウスピースをさらに含んでもよい。
【0068】
さらなる好ましい実施形態において、筐体を含むエアロゾル発生システムであって、筐体は:a)第1の吸気口、第2の吸気口および出口であって、第1の吸気口および第2の吸気口は、出口と連通し、およびガス状担体が第1の吸気口を介して筐体中に、筐体を介して、および出口を介して筐体から外へ通過し得るし、およびガス状担体が第2の吸気口を介して筐体中に、筐体を介して、および出口を介して筐体から外へ通過し得るように適応され、エアロゾル発生システムは、平行して含む、第1の吸気口、第2の吸気口および出口:b)第1の入口と連通する第1の内部領域であって、第1の内部領域は、酸性供与源を含む第1の内部領域、並びにc)第2の吸気口と連通する第2の内部領域であって、第2の内部領域はニコチン供与源を含み、酸性供与源は:収着エレメント;25℃にて収着エレメント上に収着された少なくとも約20 Paの蒸気圧を有する揮発性液体を含むカプセル化された揮発性液体供与源であり、揮発性液体は、2-オキソ酸;および収着エレメントをカプセル化する約40℃〜約120℃の間の融点を有するシーラントを含む、エアロゾル発生システムが提供される。
【0069】
エアロゾル発生システムは:第1の内部領域および第2の内部領域の一方または両方;および出口と連通する第3の内部領域をさらに含んでもよい。
【0070】
エアロゾル発生システムは:第1の内部領域および第2の内部領域、または存在する場合、第3の内部領域;および出口と連通するマウスピースをさらに含んでもよい。
【0071】
本発明に従ったエアロゾル発生システムのニコチン供与源は、カプセル化されたニコチン供与源でもよい。カプセル化されたニコチン供与源は:収着エレメント;25℃にて収着エレメント上に収着された少なくとも約20Paの蒸気圧を有する揮発性液体および収着エレメントをカプセル化する約40℃〜約120℃の間の融点を有するシーラントを好ましくは含む。このようなカプセル化されたニコチン供与源における使用のための適切な収着エレメントおよびシーラントは、上に記述してある。
【0072】
ニコチン供与源は、1つまたは複数のニコチン、ニコチン塩基、ニコチン-HCl、ニコチン酒石酸塩またはニコチン二酒石酸塩などのニコチン塩またはニコチン誘導体を含んでもよい。
【0073】
ニコチン供与源は、天然ニコチンまたは合成ニコチンを含んでもよい。
【0074】
ニコチン供与源は、純粋なニコチン、水溶性または非水溶媒あるいは液体タバコ抽出物におけるニコチンの溶液を含んでもよい。
【0075】
ニコチン供与源は、電解質形成化合物をさらに含んでもよい。電解質形成化合物は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属水酸化物およびこれらの組み合わせからなる群より選択してもよい。
【0076】
例えば、ニコチン供与源は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、酸化リチウム、酸化バリウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、硫酸アンモニウムおよびこれらの組み合わせからなる群より選択された電解質形成化合物を含んでもよい。
【0077】
一定の実施形態において、ニコチン供与源は、ニコチン、ニコチン塩基、ニコチン塩またはニコチン誘導体および電解質形成化合物の水溶液を含んでもよい。
【0078】
本発明に従ったエアロゾル発生システムが第3の内部領域を含む場合、第3の内部領域は、1つまたは複数のエアロゾル修飾剤を含んでもよい。例えば、第3の内部領域は、活性炭などの吸着剤、メントールなどのフレーバー剤またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0079】
本発明に従ったエアロゾル発生システムがマウスピースを含む場合、マウスピースは、フィルターを含んでもよい。フィルターは、低い粒子濾過効率または非常に低い粒子濾過効率を有してもよい。
【0080】
本発明によれば、本発明に従ったカプセル化された揮発性液体供与源;およびカプセル化された揮発性液体供与源をシーラントの融点より上の温度に加熱するための加熱手段を含むエアロゾル発生システムが提供される。
【0081】
好ましい実施形態において、酸性供与源;およびニコチン供与源であって、酸性供与源は、本発明に従ったカプセル化された揮発性液体供与源であるニコチン供与源;およびカプセル化された揮発性液体供与源をシーラントの融点より上の温度に加熱するための加熱手段を含むエアロゾル発生システムが提供される。
【0082】
一定の実施形態において、エアロゾル発生システムは:本発明に従ったカプセル化された揮発性液体供与源を含むエアロゾル発生物品;およびエアロゾル発生物品と連携するエアロゾル発生装置、カプセル化された揮発性液体供与源をシーラントの融点より上の温度に加熱するための加熱手段を含むエアロゾル発生装置を含んでもよい。
【0083】
一定の好ましい実施形態において、エアロゾル発生システムは:酸性供与源を含むエアロゾル発生物品;およびニコチン供与源であって、酸性供与源は、本発明に従ったカプセル化された揮発性液体供与源であるニコチン供与源;およびエアロゾル発生物品と連携するエアロゾル発生装置、カプセル化された揮発性液体供与源をシーラントの融点より上の温度に加熱するめの加熱手段を含むエアロゾル発生装置を含んでもよい。
【0084】
加熱手段は、電力供給で動く電熱器を含む電気加熱手段でもよい。加熱手段が電気加熱手段である場合、エアロゾル発生システムは、電池などの電力供給および電力供給から電気加熱手段への電力の供給を制御するよう設定された電子回路をさらに含んでもよい。
【0085】
あるいは、加熱手段は、化学的加熱手段などの非電気加熱手段であってもよい。
【0086】
本発明に従ったエアロゾル発生システムは、紙巻きタバコ、葉巻、細い葉巻またはパイプなどの喫煙物品または紙巻きタバコパックをまねてもよい。好ましい実施形態において、本発明に従ったエアロゾル発生システムは、紙巻きタバコをまねる。
【0087】
一定の実施形態において、本発明に従ったエアロゾル発生システムの筐体は、紙巻きタバコ、葉巻、細い葉巻またはパイプなどの喫煙物品または紙巻きタバコパックをまねてもよい。一定の好ましい実施形態において、筐体は、紙巻きタバコをまねる。
【0088】
誤解を避けるために、また、本発明の1つの態様に対する上に記述された特徴は、本発明のその他の態様に適用でき得る。特に、また、本発明に従ったカプセル化された揮発性液体供与源に対する上に記述された特徴は、エアロゾル発生システムおよび本発明に従ったエアロゾル発生物品に適切な場合、関連し得る、および逆もまた同じである。
【0089】
酸性供与源およびニコチン供与源を含むエアロゾル発生システムにおける本発明に従ったカプセル化された揮発性液体供与源の使用は、使用者へのニコチンピルビン酸粒子などのエアロゾル化されたニコチン塩粒子の送達を制御する手段を提供する。
【0090】
本発明は、現在添付の図面に関してさらに記述される:
【図面の簡単な説明】
【0091】
【
図1】温度の関数として、加熱に応じた本発明に従ったピルビン酸供与源のための1810 cm
-1の波長でのフーリエ変換赤外スペクトルを示す。
【
図2】本発明に従ったピルビン酸供与源におけるピルビン酸の残りの割合対30日の期間にわたる時間を示す。
【
図3】ピルビン酸産生およびカナダ保健省喫煙制度下で測定された加熱に応じた本発明に従ったピルビン酸供与源についての平均の一服温度を示す。
【0092】
実施例1
50μlのピルビン酸を、ポリエチレンテレフタラート(PET)コア、ポリエチレン(PE)外筒およびビスコースB繊維充填物を有する0.3g/ccの密度を持つ焼結多孔性プラスチックプラグ上に吸着した。適切な多孔性プラスチックプラグは、Porex(登録商標)XMF-0130+B(ドイツのPorex GmbHから入手できる)である。その上に吸着された50μlのピルビン酸を伴う多孔性プラスチックプラグを、パラフィンろうを融解させ、融解したパラフィンろう中に多孔性プラスチックプラグを浸漬し、および次いで融解したパラフィンろうを凝固させることによって54〜56℃の融点を持つパラフィンろうにカプセル化する。3℃/分の加熱勾配を、パラフィンろうにカプセル化された50μlのピルビン酸がその上に吸着された多孔性プラスチックプラグに適用し、および放出された蒸気を、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)によって解析する。
【0093】
比較のために、また、3℃/分の加熱勾配を、パラフィンろうにカプセル化されない50μlのピルビン酸がその上に吸着された同一の多孔性プラスチックプラグに適用し、および放出された蒸気を、FTIR分光法によって解析する。
【0094】
図1は、(a)パラフィンろうにカプセル化された50μlのピルビン酸がその上に吸着された多孔性プラスチックプラグ、および(b)パラフィンろうにカプセル化されない50μlのピルビン酸がその上に吸着された多孔性プラスチックプラグについて、ピルビン酸と関連する特徴的スペクトルに対応する1810 cm
-1の波長でのFTIRスペクトルを示す。
【0095】
図1に示したように、パラフィンろうにカプセル化された50μlのピルビン酸がその上に吸着された多孔性プラスチックプラグは、およそ70℃までピルビン酸の放出を示さない。対照的に、パラフィンろうにカプセル化されない50μlのピルビン酸がその上に吸着された多孔性プラスチックプラグは、加熱すると即時にピルビン酸を放出する。
【0096】
実施例2
実施例1を、パラフィンろうではなく蜜ろうを使用して繰り返す。
【0097】
3℃/分の加熱勾配を、蜜ろうにカプセル化された50μlのピルビン酸がその上に吸着された多孔性プラスチックプラグに適用し、および放出された蒸気をフーリエ変換赤外分光法(FTIR)によって解析する。
【0098】
比較のために、また、3℃/分の加熱勾配を、蜜ろうにカプセル化されない50μlのピルビン酸がその上に吸着された同一の多孔性プラスチックプラグに適用し、および放出された蒸気を、FTIR分光法によって解析する。
【0099】
蜜ろうにカプセル化された50μlのピルビン酸がその上に吸着された多孔性プラスチックプラグは、およそ80℃までピルビン酸の放出を示さない。対照的に、蜜ろうにカプセル化されない50μlのピルビン酸がその上に吸着された多孔性プラスチックプラグは、加熱すると即時にピルビン酸を放出する。
【0100】
実施例3
実施例1を、パラフィンろうよりもむしろカルナウバろうを使用して繰り返す。
【0101】
3℃/分の加熱勾配を、カルナウバろうにカプセル化された50μlのピルビン酸がその上に吸着された多孔性プラスチックプラグに適用し、および放出された蒸気を、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)によって解析する。
【0102】
比較のために、また、3℃/分の加熱勾配を、カルナウバろうにカプセル化されない50μlのピルビン酸がその上に吸着された同一の多孔性プラスチックプラグに適用し、および放出された蒸気を、FTIR分光法によって解析する。
【0103】
カルナウバろうにカプセル化された50μlのピルビン酸がその上に吸着された多孔性プラスチックプラグは、およそ100℃までピルビン酸の放出を示さない。対照的に、カルナウバろうにカプセル化されない50μlのピルビン酸がその上に吸着された多孔性プラスチックプラグは、加熱すると即時にピルビン酸を放出する。
【0104】
実施例4
50μlのピルビン酸を、ポリエチレンテレフタラート(PET)コアおよびポリエチレン(PE)外筒を有する0.17g/ccの密度を持つ焼結多孔性プラスチックプラグ上に吸着した。適切な多孔性プラスチックプラグは、Porex(登録商標)XMF-0507(ドイツのPorex GmbHから入手できる)である。50μlのピルビン酸がその上に吸着された多孔性プラスチックプラグを、パラフィンろうを融解させ、融解したパラフィンろう中に多孔性プラスチックプラグを浸漬し、および次いで、融解したパラフィンろうを凝固させることによって54〜56℃の融点を持つパラフィンろうにカプセル化する。パラフィンろうにカプセル化された50μlのピルビン酸がその上に吸着された多孔性プラスチックプラグを22℃および相対湿度50%にて貯蔵し、およびその質量を、30日の期間にわたって測定する。
【0105】
比較のために、また、パラフィンろうにカプセル化されない50μlのピルビン酸がその上に吸着された同一の多孔性プラスチックプラグを22℃および相対湿度50%にて貯蔵し、およびその質量を30日の期間にわたって測定する。
【0106】
図2は、総質量損失によって見積もられる(a)パラフィンろうにカプセル化された50μlのピルビン酸がその上に吸着された多孔性プラスチックプラグ、および(b)パラフィンろうにカプセル化されない50μlのピルビン酸がその上に吸着された多孔性プラスチックプラグに残っているピルビン酸の割合を示す。
【0107】
図2に示したように、パラフィンろうにカプセル化された50μlのピルビン酸がその上に吸着された多孔性プラスチックプラグは、30日間にわたってその上に吸着されたピルビン酸のいずれも失わない。対照的に、パラフィンろうにカプセル化されない50μlのピルビン酸がその上に吸着された多孔性プラスチックプラグは、10日間でその上に吸着されたピルビン酸の80%を超えて失う。
【0108】
実施例5
50μlのピルビン酸を、ポリエチレンテレフタラート(PET)コアおよびポリエチレン(PE)外筒を有する0.17g/ccの密度を持つ焼結多孔性プラスチックプラグ上に吸着した。適切な多孔性プラスチックプラグは、Porex(登録商標)XMF-0507(ドイツのPorex GmbHから入手できる)である。50μlのピルビン酸がその上に吸着された多孔性プラスチックプラグを、パラフィンろうを融解させ、融解したパラフィンろう中に多孔性プラスチックプラグを浸漬し、および次いで融解したパラフィンろうを凝固させることによって54〜56℃の融点を持つパラフィンろうにカプセル化する。
【0109】
パラフィンろうにカプセル化された50μlのピルビン酸がその上に吸着された多孔性プラスチックプラグを75℃に加熱し、および5回の一服の群あたりのピルビン酸生成量を2秒の一服期間および30秒の一服の合間で、55mlの一服容積で20回の一服にわたってカナダ保健省喫煙制度下で測定する。
【0110】
パラフィンろうにカプセル化された50μlのピルビン酸がその上に吸着された同一の多孔性プラスチックプラグを22℃および相対湿度50%にて30日間貯蔵し、および次いで75℃に加熱し、および5回の一服の群あたりのピルビン酸生成量を2秒の一服期間および30秒の一服の合間で、55mlの一服容積で20回の一服にわたってカナダ保健省喫煙制度下で測定する。
【0111】
比較のために、また、パラフィンろうにカプセル化されない50μlのピルビン酸がその上に吸着された同一の多孔性プラスチックプラグを75℃に加熱し、および5回の一服の群あたりのピルビン酸生成量を2秒の一服期間および30秒の一服の合間で、55mlの一服容積で20回の一服にわたってカナダ保健省喫煙制度下で測定する。
【0112】
図3は、(a)パラフィンろうにカプセル化されない50μlのピルビン酸がその上に吸着された多孔性プラスチックプラグ、(b)パラフィンろうにカプセル化された50μlのピルビン酸がその上に吸着された多孔性プラスチックプラグ、および(c)パラフィンろうにカプセル化されたおよび30日間貯蔵された50μlのピルビン酸がその上に吸着された多孔性プラスチックプラグについて、5回の一服の群あたりのピルビン酸生成量および平均の一服温度を示す。
【0113】
図3に示したように、(b)パラフィンろうにカプセル化された50μlのピルビン酸がその上に吸着された多孔性プラスチックプラグ、および(c)パラフィンろうにカプセル化されたおよび30日間貯蔵された50μlのピルビン酸がその上に吸着された多孔性プラスチックプラグについて、5回の一服の群あたりのピルビン酸の生成量は、(a)パラフィンろうにカプセル化されない50μlのピルビン酸がその上に吸着された多孔性プラスチックプラグについてのそれより低い。これは、一旦、約4回の一服まで生じないパラフィンろうの融点(
図3に破線によって示した)に到達すると、ピルビン酸が(b)パラフィンろうにカプセル化された50μlのピルビン酸がその上に吸着された多孔性プラスチックプラグ、および(c)パラフィンろうにカプセル化されたおよび30日間貯蔵された50μlのピルビン酸がその上に吸着された多孔性プラスチックプラグからのみ放出されるからである。また、
図3に示したように、(c)パラフィンろうにカプセル化されたおよび30日間貯蔵された50μlのピルビン酸がその上に吸着された多孔性プラスチックプラグについてのピルビン酸の生成量は、(b)パラフィンろうにカプセル化された50μlのピルビン酸がその上に吸着された多孔性プラスチックプラグのものと同様である。これは、ピルビン酸を30日間にわたってパラフィンろうにカプセル化された多孔性プラスチックプラグ上に永続的に貯蔵することを示す。
【0114】
上の実施例で示したように、本発明によれば、揮発性液体が収着した収着エレメントのカプセル化を制御することによってピルビン酸などの2-オキソ酸を含む揮発性液体の送達を制御することが可能である。限定されないが、多孔性プラスチックプラグなどの収着エレメントをカプセル化するための一定の融点の、限定されないが、例えばパラフィンろうなどのろうなどのシーラントを使用して、その上に収着された揮発性液体を有することにより、揮発性液体の温度調節された送達の手段を提供する。
【0115】
本発明は、パラフィンろう、蜜ろうまたはカルナウバろうにカプセル化されたその上に吸着したピルビン酸を有するPorex(登録商標)プラグなどの多孔性プラスチックプラグに言及することによって上で例証してきた。しかし、本発明に従ったカプセル化された揮発性液体供与源がその他の吸着エレメント、2-オキソ酸を含むその他の揮発性液体およびその他のシーラントを含んでもよいことが認識されるであろう。