(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記排熱回収装置では、第1流路内を流通する排気ガスによって第1流路が熱せられるため、第1流路の熱が第2流路に伝達されて、熱回収器内の冷却水の温度が上昇する。特に、例えばエンジンが停止したときなどでは、熱回収器内における冷却水の循環が停止されるため、熱回収器内に冷却水が滞留して、熱回収器内の冷却水が沸騰する可能性がある。この場合には、冷却水が沸騰することによる異音が熱回収器において発生するおそれがある。このため、排熱回収装置では、熱回収器内における冷却水の沸騰を抑制できる構造にすることが望ましい。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、熱回収器内における冷却水の沸騰を抑制できる排熱回収装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載された排熱回収装置は、エンジンからの排気ガスが流通される第1配管と、前記第1配管と連通され、前記第1配管を迂回する第2配管と、前記第2配管の内部に配置され、内部を循環する冷却水と前記排気ガスとの間で熱交換して前記排気ガスの熱を回収する熱回収器と、前記第1配管と前記第2配管との接続部に設けられ、前記第1配管から前記第2配管への熱の伝達を抑制する伝熱抑制機構と、を備え
、前記第1配管における前記第2配管との接続部には、前記第1配管の内部と前記第2配管の内部とを連通させる連通孔が形成されており、前記伝熱抑制機構は、前記第1配管の前記連通孔の周縁部に形成された第1フランジと、前記第2配管における前記第1配管との接続部に形成され、前記第1フランジとレーザ溶接によって接続された第2フランジと、を含んで構成されている。
【0007】
上記構成の排熱回収装置では、エンジンからの排気ガスが流通される第1配管に、第2配管が連通されて、第2配管が第1配管を迂回している。この第2配管の内部には、熱回収器が配置されている
。
【0008】
これにより、熱回収器内を循環する冷却水と排気ガスとの間で熱交換して、排気ガスの熱を熱回収器によって回収することができる。
【0009】
ところで、第1配管には、エンジンの排気ガスが流通しているため、第1配管が排気ガスによって熱せられる。
【0010】
このため、第1配管の熱が、第1配管に接続された第2配管へそのまま伝達されると、第2配管へ伝達された熱によって熱回収器内の冷却水の温度が上昇する。
【0011】
ここで、第1配管と第2配管との接続部には、伝熱抑制機構が設けられているため、第1配管から第2配管への熱の伝達が伝熱抑制機構によって抑制される。
【0012】
具体的には、第1配管の内部と第2配管の内部とを連通させる連通孔が第1配管の接続部に形成されている。この連通孔の周縁部には、伝熱抑制機構を構成する第1フランジが形成されており、第2配管の接続部には、伝熱抑制機構を構成する第2フランジが形成されている。
【0013】
そして、第1フランジに第2フランジがレーザ溶接によって接続されている。
【0014】
したがって、アーク溶接によって接合する場合よりも溶接幅を細くすることができ、第1配管と第2配管との接続部における伝熱抵抗を高くすることができる(伝熱性を低くすることができる)。
【0015】
これにより、第1配管の熱が第2配管へ伝達され難くなり、第1配管の熱による第2配管の過度な温度上昇が抑制されるため、熱回収器内における冷却水の沸騰を抑制することができる。
【0016】
また、請求項
2に記載された排熱回収装置は、請求項
1に記載の排熱回収装置であって、前記第2配管の上流側端部及び下流側端部が前記第1配管に接続されている。
【0017】
上記構成の排熱回収装置では、第2配管の上流側端部及び下流側端部が第1配管に接続されているため、第2配管を第1配管に対して並列に接続するように構成することができる。これにより、第2配管及び熱回収器が第1配管の外側に環状に配置された構造と比べて、熱回収器に対して第1配管の輻射熱による影響を受け難くすることができる。したがって、熱回収器内における冷却水の沸騰を抑制することに対して、有効な配置構造にすることができる。
【0018】
また、請求項
3に記載された排熱回収装置は、請求項
2に記載の排熱回収装置であって、前記伝熱抑制機構が、前記上流側端部と前記第1配管との接続部及び前記下流側端部と前記第1配管との接続部にそれぞれ設けられている。
【0019】
上記構成の排熱回収装置では、第1配管の熱が第2配管の上流側及び下流側から熱回収器へ伝達されることが抑制される。これにより、熱回収器内における冷却水の沸騰をより一層抑制することができる。
【0020】
また、本発明に係る請求項
4に記載された排熱回収装置は、エンジンからの排気ガスが流通される第1配管と、前記第1配管から分岐されて開口された第2配管と、ヘッダプレートを有するとともに該ヘッダプレート側から前記第2配管の開口に装着されて該開口を閉塞し、内部を循環する冷却水と前記排気ガスとの間で熱交換して前記排気ガスの熱を回収する熱回収器と、前記第2配管と前記熱回収器との接続部に設けられ、前記第2配管から前記熱回収器への熱の伝達を抑制する伝熱抑制機構と、を備え、前記熱回収器は、外周部に冷却水が通る流路を有し、前記伝熱抑制機構は、前記流路を構成
し、かつ前記冷却水が接触する内壁面と表裏反対側の外壁面に前記第2配管の開口端部と共に溶接された前記ヘッダプレートの外周部を含んで構成されている。
【0021】
上記構成の排熱回収装置では、エンジンからの排気ガスが流通される第1配管から分岐されて開口された第2配管に、その開口を閉塞するように熱回収器が装着されている。これにより、熱回収器内を循環する冷却水と排気ガスとの間で熱交換して、排気ガスの熱を熱回収器によって回収することができる。
【0022】
ところで、第1配管及び第2配管には、エンジンの排気ガスが流通しているため、第1配管及び第2配管が排気ガスによって熱せられる。このため、第1配管及び第2配管の熱が、第2配管に接続された熱回収器へそのまま伝達されると、その熱によって熱回収器内の冷却水の温度が上昇する。
【0023】
ここで、第2配管と熱回収器との接続部には、第2配管から熱回収器への熱の伝達を抑制する伝熱抑制機構が設けられている。すなわち、熱回収器の外周部には、冷却水が通る流路が設けられており、その流路を構成
し、かつ冷却水が接触する内壁面と表裏反対側の外壁面に、第2配管の開口端部と共にヘッダプレートの外周部が溶接されている。
【0024】
したがって、その溶接部分から熱回収器内における冷却水までの伝熱経路を長く設定することができ、第2配管の熱による冷却水の過度な温度上昇を抑制することができるため、その冷却水の沸騰を抑制することができる。また、その溶接部分の溶接直後の温度を冷却水によって低減させることができるため、その溶接部分における接合強度の低下を抑制することができる。
【0025】
また、請求項
5に記載された排熱回収装置は、請求項
4に記載の排熱回収装置であって、前記ヘッダプレートの外周部は、前記熱回収器の前記第2配管の開口への装着方向上流側へ向かって延在している。
【0026】
上記構成の排熱回収装置では、ヘッダプレートの外周部が、熱回収器の第2配管の開口への装着方向上流側へ向かって延在している。このため、ヘッダプレートの外周部が、熱回収器の第2配管の開口への装着方向上流側へ向かって延在していない構成に比べて、上記溶接部分から冷却水までの伝熱経路を長く設定することが効率よくできるとともに、熱回収器内における冷却水の沸騰を効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0027】
以上、説明したように、本発明の排熱回収装置によれば、熱回収器内における冷却水の沸騰を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(第1の実施の形態)
以下、
図1及び
図2を用いて、第1の実施の形態に係る排熱回収装置10について説明し、次いで、排熱回収装置10に適用された伝熱抑制機構50について説明する。なお、以下において、排気ガスの流通方向上流側及び下流側を、それぞれ単に「上流側」及び「下流側」という場合がある。
【0030】
(排熱回収装置10について)
図2に示されるように、排熱回収装置10は、自動車のエンジン12の排気ガスの熱を、後述する熱回収器40内の冷却水との熱交換によって回収して、エンジン12の暖気促進等に利用する装置である。
【0031】
図1に示されるように、排熱回収装置10は、パイプ状の第1配管20を有している。この第1配管20は、本実施の形態では、第1配管20の周方向において分割(例えば2分割)された部材を、溶接等によって接合することで、パイプ状に形成されている。なお、第1配管20の外形形状は、円形状であってもよいし、矩形状であってもよく、本実施の形態では、第1配管20が矩形パイプ状に形成されている。このため、第1配管20は、4箇所の側壁20Sを含んで構成されている。
【0032】
また、
図2に示されるように、第1配管20は、エンジン12に接続されて、エンジン12から流出された排気ガスの排気経路を構成している。なお、
図2では、第1配管20内の排気ガスの流れを矢印Aで示している。この第1配管20の上流側には、触媒コンバータ14が設けられており、触媒コンバータ14は、内蔵した触媒によって通過する排気ガスを浄化するように構成されている。
【0033】
また、第1配管20には、触媒コンバータ14に対して下流側の分岐部20Aにおいて、パイプ状の第2配管30が接続されている。すなわち、第2配管30は、分岐部20Aにおいて第1配管20から分岐されており、第2配管30は、第1配管20における分岐部20Aの下流側の合流部20Bにおいて、第1配管20に接続されている。そして、第2配管30が、第1配管20に並列に接続されて、第1配管20を迂回する排気経路を構成している。
【0034】
なお、
図1に示されるように、第1配管20の分岐部20Aには、4箇所の側壁20Sのうちの1箇所の側壁20Sにおいて、第1配管20の内部と第2配管30の内部と連通させる「連通孔」としての分岐孔22が形成されている。また、第1配管20の合流部20Bには、第1配管20の内部と第2配管30の内部と連通させる「連通孔」としての合流孔24が形成されている。
【0035】
図2に示されるように、第2配管30の内部には、第2配管30の中間位置において、熱回収器40が設けられている。この熱回収器40には、熱回収器40とエンジン12との間で冷却水を循環させる冷却水循環路16が接続されている。そして、エンジン12の動力によって駆動される図示しないウォータポンプの作動によって、冷却水循環路16内を冷却水が循環されるようになっている(
図2では、冷却水の流れを矢印Bで示している)。これにより、熱回収器40が、排気ガスと冷却水との熱交換によって排気ガスの熱を冷却水に回収させて、その熱をエンジン12の暖気促進等に利用する構成になっている。
【0036】
なお、例えば、エンジン12の始動直後や、自動車のイグニッションスイッチがオフにされてエンジン12が停止したときには、冷却水循環路16において冷却水が循環しない構成になっている。また、例えば、排熱回収装置10がハイブリット車の自動車に適用された場合では、エンジン12の間欠運転によってエンジン12が停止しているときには、冷却水循環路16において冷却水が循環しない構成になっている。
【0037】
また、第1配管20内には、分岐部20Aと合流部20Bとの間において、第1配管20内の流路を開閉するための流路切替バルブ18(広義には、「流路切替弁」として把握される要素である)が設けられている。流路切替バルブ18は、図示しないECU(制御装置)によって制御される構成になっている。
【0038】
そして、ECUの制御によって流路切替バルブ18が作動することで、分岐部20Aと合流部20Bとの間の流路を流路切替バルブ18によって開閉するようになっている。例えば、エンジン12の暖気を促進させる場合などでは、分岐部20Aと合流部20Bとの間の流路を流路切替バルブ18によって閉じて、熱回収器40において排気ガスと冷却水との熱交換を行う排気熱回収モードになる構成とされている(
図1及び
図2において2点鎖線にて示される流路切替バルブ18の位置を参照)。
【0039】
一方、排気熱回収モード以外のときには、分岐部20Aと合流部20Bとの間の流路を流路切替バルブ18によって開けて、排気ガスが、その流路を通過するノーマルモードになる構成とされている(
図1及び
図2において実線にて示される流路切替バルブ18の位置を参照)。
【0040】
(伝熱抑制機構50について)
次に、本発明の要部である伝熱抑制機構50について説明する。
【0041】
図1に示されるように、伝熱抑制機構50は、第1配管20と第2配管30との接続部に適用されており、第1配管20と第2配管30との接続部において、第1配管20の熱が第2配管30へ伝達されることを抑制するようになっている。この伝熱抑制機構50は、第2配管30に形成された「第2フランジ」としての第2配管フランジ32と、第2配管30を第1配管20に締結固定させるための複数のボルト52及び「ナット」としてのウェルドナット54と、断熱材56と、を含んで構成されている。
【0042】
第2配管フランジ32は、第2配管30の上流側端部30A及び下流側端部30Bにそれぞれ形成されている。具体的には、第2配管フランジ32は、第2配管30の外側へ略直角に屈曲されるとともに、第2配管30の周方向全周に亘って形成されている。そして、第2配管30の上流側端部30Aに形成された第2配管フランジ32が、第1配管20の外側において、第1配管20における分岐孔22の周縁部に対向して配置され、第2配管30の下流側端部30Bに形成された第2配管フランジ32が、第1配管20の外側において、第1配管20における合流孔24の周縁部に対向して配置されている。
【0043】
ウェルドナット54は、第1配管20の内部において、側壁20Sの板厚方向を軸方向として第1配管20における分岐孔22の周縁部に設けられるとともに、分岐孔22の周方向に所定の間隔を空けて配置されている。また、ウェルドナット54は、第1配管20の内部において、側壁20Sの板厚方向を軸方向として第1配管20における合流孔24の周縁部に設けられるとともに、合流孔24の周方向に所定の間隔を空けて配置されている。そして、第1配管20には、ウェルドナット54と対応する位置において、挿通孔26が貫通形成されている。さらに、前述した第2配管フランジ32にも、ウェルドナット54と対応する位置において、挿通孔32Aが貫通形成されている。
【0044】
断熱材56は、セラミックファイバーやグラスウールなどで構成されるとともに、第2配管30の第2配管フランジ32の形状に対応して、枠状に形成されている。また、断熱材56は、第1配管20における分岐孔22の周縁部と第2配管フランジ32との間、及び第1配管20における合流孔24の周縁部と第2配管フランジ32との間にそれぞれ配置されている。すなわち、第2配管フランジ32が断熱材56を介して第1配管20に接続される構成になっている。
【0045】
また、断熱材56には、ウェルドナット54と対応する位置において、挿通孔56Aが貫通形成されている。そして、ボルト52が、第1配管20の外側から、第2配管フランジ32の挿通孔32A内、断熱材56の挿通孔56A内、及び第1配管20の挿通孔26内に挿通されて、ウェルドナット54に螺合されている。これにより、第2配管フランジ32が断熱材56を介して第1配管20に締結され、第2配管30の上流側端部30A及び下流側端部30Bがそれぞれ第1配管20に接続されている。
【0046】
次に、本実施の形態の作用及び効果について説明する。
【0047】
上記のように構成された排熱回収装置10では、ECUの制御によって流路切替バルブ18が分岐部20Aと合流部20Bとの間の流路を閉じると、排気ガスが第1配管20の分岐孔22から第2配管30内に流入される。そして、第2配管30内に流入された排気ガスの熱が、熱回収器40内の冷却水と熱交換される。これにより、排気ガスの熱が熱回収器40によって回収される。
【0048】
ところで、第1配管20には、エンジン12の排気ガスが流通しているため、第1配管20が排気ガスによって熱せられる。そして、第1配管20の熱が、第1配管20に接続された第2配管30にそのまま伝達されると、第2配管30内に設けられた熱回収器40内の冷却水が、その熱によって暖められて、熱回収器40内における冷却水の温度が上昇する。このとき、仮に熱回収器40内の冷却水が沸騰すると、冷却水が沸騰することによる異音が熱回収器40において発生するおそれがある。
【0049】
ここで、排熱回収装置10では、第1配管20と第2配管30との接続部に伝熱抑制機構50が設けられている。この伝熱抑制機構50は断熱材56を有しており、断熱材56が、第2配管30の上流側端部30A及び下流側端部30Bに形成された第2配管フランジ32と第1配管20との間に介在されている。
【0050】
このため、第1配管20と第2配管30との接続部において、第1配管20の熱が第2配管30へ伝達されることを断熱材56によって抑制することができる。これにより、第1配管20の熱による第2配管30の過度な温度上昇を抑制することができるとともに、熱回収器40内における冷却水の沸騰を抑制することができる。その結果、冷却水が沸騰することによる熱回収器40の異音の発生を抑制することができる。
【0051】
特に、冷却水循環路16における冷却水の循環が停止される場合(エンジン12の停止後やハイブリット車におけるエンジン12の間欠運転時等)では、冷却水が熱回収器40内に滞留する。このため、この場合には、第1配管20から第2配管30へ伝達された熱によって、熱回収器40内の冷却水の温度が上昇し易くなる傾向にある。
【0052】
これに対して、本実施の形態の排熱回収装置10では、上述のように、第1配管20と第2配管30との接続部に、伝熱抑制機構50の断熱材56が設けられているため、第1配管20の熱が第2配管30へ伝達されることを抑制することができるとともに、熱回収器40内に滞留された冷却水の過度の温度上昇を抑制することができる。したがって、冷却水の循環が停止された場合に対して、熱回収器40内における冷却水の沸騰を効果的に抑制することができる。
【0053】
また、上述のように、伝熱抑制機構50では、第2配管30の第2配管フランジ32と第1配管20との間に、断熱材56を介在させることで、第1配管20と第2配管30との接続部における熱の伝達を抑制している。このため、熱回収器40内における冷却水の沸騰を簡易な構成で抑制することができる。
【0054】
また、排熱回収装置10では、第2配管30が第1配管20に対して並列に配置されており、第2配管30の内部に熱回収器40が設けられている。すなわち、排熱回収装置10は、熱回収器40が第1配管20に対してパラレルに配置された所謂パラレル構造を成している。
【0055】
このため、仮に、第2配管及び熱回収器を、第1配管20の外側において、環状に配置する同軸構造を成す排熱回収装置と比べて、熱回収器40に対する第1配管20の輻射熱による影響を低くすることができる。これにより、熱回収器40内における冷却水の沸騰を抑制することに対して、排熱回収装置10を有効な配置構造にすることができる。
【0056】
さらに、排熱回収装置10では、伝熱抑制機構50が、第2配管30の上流側端部30Aと第1配管20との接続部、及び第2配管30の下流側端部30Bと第1配管20との接続部に、それぞれ適用されている。このため、伝熱抑制機構50を、第2配管30の上流側端部30Aと第1配管20との接続部及び第2配管30の下流側端部30Bと第1配管20との接続部の何れか一方に適用した場合と比べて、第1配管20の熱が第2配管30の上流側及び下流側から熱回収器40へ伝達されることを抑制することができる。これにより、熱回収器40内における冷却水の沸騰をより一層抑制することができる。
【0057】
(第1の実施の形態における伝熱抑制機構50の変形例)
前述した第1の実施の形態では、伝熱抑制機構50が断熱材56を含んで構成されているが、本変形例では、
図3に示されるように、伝熱抑制機構50において断熱材56が省略されている。すなわち、本変形例では、ボルト52及びウェルドナット54によって、第2配管30の第2配管フランジ32を第1配管20に直接締結固定させて、第2配管30を第1配管20に接続させている。
【0058】
ここで、熱回収器40内における冷却水の沸騰を抑制するという観点からすると、第1の実施の形態のように、断熱材56を介して第2配管30の第2配管フランジ32を第1配管20に接続することが好ましい。しかしながら、伝熱抑制機構50において断熱材56が省略した場合でも、熱回収器40内における冷却水の沸騰を抑制することに対して寄与できることが確認された。以下、この点について説明する。
【0059】
本変形例のように、第2配管30の第2配管フランジ32を、ボルト52及びウェルドナット54によって、第1配管20に直接締結固定した場合には、第2配管フランジ32における第1配管20との締結部位が、第1配管20に局所的に略密着される。すなわち、第2配管フランジ32と第1配管20との締結部位の密着性は高くなるものの、第2配管フランジ32と第1配管20との締結されていない部位の密着性は比較的低くなる。
【0060】
これは、例えば部品の寸法精度などに起因して、第2配管フランジ32における第1配管20との対向面の全体を、第1配管20の外周面に当接させることは事実上困難であり、第2配管フランジ32と第1配管20の外周面との間には、微小な隙間が形成されることによるものと考えられる。
【0061】
このため、本変形例では、第2配管フランジ32と第1配管20との締結されていない部位の伝熱性が比較的低くなり、第1配管20の熱が、主として、ボルト52及びウェルドナット54によって締結された締結部位を介して第2配管30へ伝達されるように作用する。逆に言えば、第2配管フランジ32と第1配管20との締結されていない部位において、第1配管20の熱が第2配管30へ伝達されることを抑制することができる。
【0062】
これにより、第1配管20と第2配管30との接続部における伝熱抵抗を比較的高く構成することができる。その結果、ボルト52及びウェルドナット54によって第2配管30の第2配管フランジ32を第1配管20に直接締結固定した場合でも、熱回収器40内における冷却水の沸騰を抑制することができる。したがって、熱回収器40内における冷却水の沸騰を、一層簡易な構成で抑制することができる。
【0063】
(第2の実施の形態)
以下、
図4を用いて、第2の実施の形態の排熱回収装置60について説明する。第2の実施の形態の排熱回収装置60は、伝熱抑制機構50を除いて、第1の実施の形態の排熱回収装置10と同様に構成されている。以下、排熱回収装置60の伝熱抑制機構50について説明する。なお、
図4では、第1の実施の排熱回収装置10と同様に構成された部品には、同一の符号を付している。
【0064】
排熱回収装置60の伝熱抑制機構50では、断熱材56、ボルト52、及びウェルドナット54が省略されており、第2配管30の第2配管フランジ32が、レーザ溶接によって第1配管20に直接接合されている。なお、
図4では、レーザ溶接によって接合された第2配管フランジ32と第1配管20との溶接部58の溶接幅W1を理解し易くするために、便宜上、溶接部58を第1配管20及び第2配管フランジ32の板厚方向に連続的に記載したドットにて模式的に図示している。そして、溶接部58は、第2配管フランジ32の周方向全周に亘って形成されている。
【0065】
ところで、一般に、排熱回収装置では、第2配管を第1配管にアーク溶接によって接合して、両者を接続する構造を成している(以下、この装置を比較例の排熱回収装置とする)。例えば、
図4の拡大図において2点鎖線にて示される溶接部62のように、比較例では、第2配管30の第2配管フランジ32が、第2配管フランジ32の全周において、アーク溶接によって形成された溶接部62によって第1配管20に接合される。
【0066】
そして、アーク溶接による溶接では、一般に溶接部62の溶接幅W2が比較的広くなる傾向にある(例えば、溶接部62の溶接幅W2が略5mm以上になる)。このため、比較例では、第1配管20の熱が、溶接幅の比較的広い溶接部62を介して、第2配管30の第2配管フランジ32の全周から第2配管30に伝達されるように作用する。
【0067】
これに対して、第2の実施の形態では、第2配管フランジ32が、第2配管フランジ32の周方向全周において、溶接部58によって第1配管20に接合されるものの、前述した比較例と比べて、第1配管20の熱が第2配管30へ伝達されることを抑制することができる。すなわち、溶接部58は、レーザ溶接によって形成されているため、前述した比較例の溶接部62における溶接幅W2よりも、溶接部58の溶接幅W1を細くすることができる(例えば、溶接部58の溶接幅W1を1mm程度にすることができる)。
【0068】
このため、上記比較例と比べて、第1配管20と第2配管30との接続部における伝熱抵抗を高くすることができる(伝熱性を低くすることができる)。つまり、第2の実施の形態では、上記比較例と比べて、第1配管20の熱が第2配管30へ伝達され難くなる。したがって、第2の実施の形態においても、熱回収器40内における冷却水の沸騰を抑制することができる。
【0069】
(第3の実施の形態)
以下、
図5を用いて、第3の実施の形態の排熱回収装置70について説明する。第3の実施の形態の排熱回収装置70は、伝熱抑制機構50を除いて、第1の実施の形態の排熱回収装置10と同様に構成されている。以下、排熱回収装置70の伝熱抑制機構50について説明する。なお、
図5では、第1の実施の排熱回収装置10と同様に構成された部品には、同一の符号を付している。
【0070】
排熱回収装置70の伝熱抑制機構50では、断熱材56が省略されている。また、排熱回収装置70の伝熱抑制機構50は、第1配管20に形成された「第1フランジ」としての第1配管フランジ28を有しており、第1配管フランジ28は、第1配管20の分岐孔22及び合流孔24の周縁部にそれぞれ形成されている。
【0071】
そして、分岐孔22の周縁部に形成された第1配管フランジ28と合流孔24の周縁部に形成された第1配管フランジ28とは、同様に構成されている。このため、以下の説明では、分岐孔22の周縁部に形成された第1配管フランジ28について説明し、合流孔24の周縁部に形成された第1配管フランジ28についての説明は省略する。
【0072】
第1配管フランジ28は、第1配管20の外側において、分岐孔22の周縁部から分岐孔22の外側へ折り返されるように屈曲されている。具体的には、第1配管フランジ28は、分岐孔22の周縁部から第1配管20の外側へ略直角に屈曲されたベース部28Aと、ベース部28Aの先端部から分岐孔22の外側へ延出された接続フランジ部28Bと、を含んで構成されている。また、第1配管フランジ28は、分岐孔22の周方向全周に亘って形成されている。
【0073】
さらに、接続フランジ部28Bは、分岐孔22が形成された側壁20Sと略平行に配置されており、第2配管30の第2配管フランジ32と対向して配置されている。そして、ウェルドナット54は、接続フランジ部28Bにおける第1配管20の外周面と対向する対向面に設けられるとともに、接続フランジ部28Bの周方向に所定の間隔を空けて配置されている。
【0074】
また、第1配管20の挿通孔26が、接続フランジ部28Bにおけるウェルドナット54に対応する部位に形成されている。そして、ボルト52が、第2配管フランジ32の挿通孔32A内及び接続フランジ部28Bの挿通孔26内に挿通されて、ウェルドナット54に螺合されている。これにより、第2配管フランジ32が接続フランジ部28Bに締結されて、第1配管20が第2配管30に接続されている。
【0075】
このように、第3の実施の形態では、第1配管20の分岐孔22及び合流孔24の周縁部に、第1配管フランジ28が形成されており、第1配管フランジ28が、第1配管20の外側において、分岐孔22の周縁部から分岐孔22の外側へ折り返されるように屈曲されている。そして、第1配管フランジ28の接続フランジ部28Bに第2配管30の第2配管フランジ32がボルト52及びウェルドナット54によって締結固定されている。
【0076】
このため、
図3に示される第1の実施の形態の変形例のような、第1配管20の分岐孔22及び合流孔24の周縁部に第2配管フランジ32を直接締結固定する場合と比べて、第1配管20から第2配管30への熱の伝達経路を、第1配管フランジ28分だけ長くすることができる。これにより、第1配管20及び第2配管30の接続部において、第1配管20の熱が第2配管30へ伝達されることを抑制することができるとともに、熱回収器40内における冷却水の沸騰を効果的に抑制することができる。
【0077】
なお、第3の実施の形態では、第2配管フランジ32が第1配管フランジ28の接続フランジ部28Bに直接接続される構成になっている。これに代えて、第1の実施の形態と同様に、第2配管フランジ32と接続フランジ部28Bとの間に、断熱材56を介在させてもよい。これにより、第1配管20及び第2配管30の接続部において、第1配管20の熱が第2配管30へ伝達されることを一層効果的に抑制することができるとともに、熱回収器40内の冷却水の沸騰を一層効果的に抑制することができる。
【0078】
また、第1の実施の形態〜第3の実施の形態では、パラレル構造を成す排熱回収装置10、60、70に伝熱抑制機構50を適用したが、
図6に示されるように、第1配管20の外側において、環状を成す第2配管30及び熱回収器40が配置された排熱回収装置80に、伝熱抑制機構50を適用してもよい。
【0079】
この排熱回収装置80について簡単に説明すると、排熱回収装置80では、第1配管20に分岐孔22のみが形成されている。また、第2配管30は、環状を成すとともに、第1配管20の外側に配置されている。さらに、第2配管30は、その周方向から見た断面視で、第1配管20側へ開口された略「U」字形に形成されている。そして、第2配管30の開口端部に、第2配管フランジ32が形成されている。また、第2配管30の内部には、パイプ状のインナ配管82が配置されており、インナ配管82が図示しない位置で第1配管20に連結されている。
【0080】
さらに、熱回収器40が、環状に形成されて、インナ配管82の径方向外側に配置されている。そして、この排熱回収装置80では、第2配管フランジ32と第1配管20との接続部に、第1の実施の形態の伝熱抑制機構50が適用される。すなわち、第2配管フランジ32と第1配管20の間に断熱材56が介在されて、第2配管30がボルト52及びウェルドナット54によって第1配管20に締結されている。
【0081】
したがって、排熱回収装置80においても、第2配管30の過度な温度上昇を抑制することができるとともに、熱回収器40内における冷却水の沸騰を抑制することができる。なお、
図6では、図示は省略しているが、排熱回収装置10等と同様に、流路切替バルブ18が第1配管20内に設けられている。
【0082】
また、第1の実施の形態及び第3の実施の形態では、ウェルドナット54が第1配管20に設けられており、ウェルドナット54にボルト52を螺合させることで、第2配管30を第1配管20に締結固定している。これに代えて、図示は省略するが、第1配管20の外側へ突出されるスタッドボルトとしてのボルトを第1配管20に設けて、そのボルトにナットを螺合させることで、第2配管30を第1配管20に締結固定させてもよい。
【0083】
また、第1の実施の形態〜第3の実施の形態では、伝熱抑制機構50が、第2配管30の上流側端部30Aと第1配管20との接続部、及び第2配管30の下流側端部30Bと第1配管20との接続部に、それぞれ適用されている。これに代えて、伝熱抑制機構50を、第2配管30の上流側端部30Aと第1配管20との接続部及び第2配管30の下流側端部30Bと第1配管20との接続部の何れか一方に適用させてもよい。
【0084】
(第4の実施の形態)
以下、
図7を用いて、第4の実施の形態の排熱回収装置90について説明する。第4の実施の形態の排熱回収装置90は、第2配管30及び伝熱抑制機構50を除いて、第1の実施の形態の排熱回収装置10と同様に構成されている。以下、排熱回収装置90の第2配管としての分岐配管34及び伝熱抑制機構50について説明する。なお、
図7では、第1の実施の排熱回収装置10と同様に構成された部品には、同一の符号を付している。
【0085】
図7に示されるように、排熱回収装置90は、第1配管20と、第1配管20から一体的に分岐されて開口された分岐配管34と、その分岐配管34の開口を閉塞するように、その開口に装着された熱回収器42と、を備えている。熱回収器42は、その熱回収器本体43の外周部に、冷却水が通る流路44を有しており、この流路44には、冷却水循環路16が連通接続されている。
【0086】
そして、熱回収器42の分岐配管34の開口への装着方向(矢印Cで示す)下流側には、伝熱抑制機構50を構成する略トレイ状のヘッダプレート46が取り付けられている。つまり、熱回収器42は、ヘッダプレート46側から分岐配管34の開口内に装着されて、その開口を閉塞する構成になっている。なお、分岐配管34の開口端部34A側は、熱回収器42(ヘッダプレート46)を内側に装着可能なように拡開されている(屈曲部36が形成されている)。
【0087】
ヘッダプレート46には、排気ガスが流入可能な上流側開口部(図示省略)と、排気ガスを流出可能な下流側開口部(図示省略)と、が形成されている。そして、第1配管20内に設けられた流路切替バルブ18によって、ヘッダプレート46の下流側開口部が開閉可能になっている。
【0088】
すなわち、流路切替バルブ18は、ヘッダプレート46の中央部分(分岐配管34の軸心部分)に対応する位置に配置されており、
図7における2点鎖線で示すように、ヘッダプレート46の下流側開口部を閉じたときには、ノーマルモードとなって、排気ガスが第1配管20を通過するようになっている。
【0089】
一方、流路切替バルブ18が、ヘッダプレート46の中央部分(分岐配管34の軸心部分)において、第1配管20の流路を閉じたときには、排気熱回収モードとなって、排気ガスが第1配管20から分岐配管34を通ってヘッダプレート46の上流側開口部から熱回収器本体43内へ流入するようになっている。
【0090】
そして、ヘッダプレート46の上流側開口部から熱回収器本体43内へ流入した排気ガスは、熱回収器本体43内を流れる冷却水と熱交換され、その熱交換された排気ガスが、ヘッダプレート46の下流側開口部から流出されるようになっている。なお、ヘッダプレート46の下流側開口部から流出された排気ガスは、分岐配管34を通って第1配管20へ戻されるようになっている。
【0091】
以上のような構成とされた排熱回収装置90における伝熱抑制機構50は、分岐配管34と熱回収器42との接続部に設けられており、分岐配管34から熱回収器42への熱の伝達を抑制するようになっている。詳細に説明すると、ヘッダプレート46の外周部には、熱回収器42の分岐配管34の開口への装着方向上流側へ向かって延在するフランジ部48が、全周に亘って一体に形成されている。
【0092】
このフランジ部48は、流路44を構成する熱回収器本体43における外壁面45に外側から接触して、その外壁面45の一部を被覆する構成になっている。そして、この外壁面45に、ヘッダプレート46のフランジ部48における先端部48Aと、その先端部48Aと面一に配置された分岐配管34の開口端部34Aと、が共にアーク溶接によって接合されている(以下、その溶接部分を「溶接部64」とする)。
【0093】
このため、ヘッダプレート46よりも上流側に配置されている分岐配管34の屈曲部36から溶接部64までの距離Lを長く設定することができ、溶接部64から熱回収器42の流路44内における冷却水(熱回収器本体43のヘッダプレート46側の端部43A)までの伝熱経路Rを長く設定することができる。これにより、分岐配管34の熱による熱回収器42内における冷却水の過度な温度上昇を抑制することができ、その冷却水の沸騰を抑制することができる。
【0094】
特に、ヘッダプレート46のフランジ部48は、熱回収器42の分岐配管34の開口への装着方向上流側へ向かって延在しているため、そのフランジ部48が、熱回収器42の分岐配管34の開口への装着方向上流側へ向かって延在していない構成に比べて、溶接部64から熱回収器42内における冷却水までの伝熱経路Rを長く設定することが効率よくできるとともに、熱回収器42内における冷却水の沸騰を効果的に抑制することができる。
【0095】
また、その溶接部64は、冷却水が通る流路44を構成する熱回収器本体43における外壁面45に設けられているため、その溶接部64の溶接直後の温度を冷却水によって低減させることができる。したがって、その溶接部64における接合強度の低下を抑制することができる。
【0096】
なお、第4の実施の形態における伝熱抑制機構50(ヘッダプレート46のフランジ部48)は、アーク溶接によって接合される構成に限定されるものではない。例えば、第2の実施の形態と同様に、レーザ溶接によって接合される構成になっていてもよい。また、ヘッダプレート46におけるフランジ部48の先端部48Aと、分岐配管34の開口端部34Aと、は面一に配置されていればよく、図示の位置よりも更に長く延在されていてもよい。