特許第6608943号(P6608943)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6608943
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/02 20060101AFI20191111BHJP
   F25D 25/00 20060101ALI20191111BHJP
【FI】
   F25D23/02 B
   F25D25/00 E
   F25D25/00 G
   F25D25/00 H
   F25D23/02 306D
【請求項の数】9
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-542429(P2017-542429)
(86)(22)【出願日】2016年2月12日
(65)【公表番号】特表2018-505379(P2018-505379A)
(43)【公表日】2018年2月22日
(86)【国際出願番号】KR2016001454
(87)【国際公開番号】WO2016129960
(87)【国際公開日】20160818
【審査請求日】2017年8月24日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0022197
(32)【優先日】2015年2月13日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2016-0001267
(32)【優先日】2016年1月5日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2016-0001269
(32)【優先日】2016年1月5日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502032105
【氏名又は名称】エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100109841
【弁理士】
【氏名又は名称】堅田 健史
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【弁護士】
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,チャンウォン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,サンジン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ハンヒョ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ヨミン
【審査官】 五十嵐 康弘
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0307186(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0095670(US,A1)
【文献】 登録実用新案第3112237(JP,U)
【文献】 特開2004−000403(JP,A)
【文献】 実開昭59−060955(JP,U)
【文献】 実開平6−36432(JP,U)
【文献】 独国特許出願公開第10105847(DE,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第2218992(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/00−25/04
A47B 96/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵庫であって、
前面に開口部が形成された貯蔵室を備えたキャビネット、
前記キャビネットに回転可能に連結され、前記開口部の少なくとも一部を開閉するドア、
前記貯蔵室内に配置され、貯蔵品を収容するドローア、
前記ドローアを支持するように前記貯蔵室の一側面に固定され、前記ドローアが前後方向に移動できるように案内するドローアガイド、
前記ドローアの下側に配置されるベース部と、前記ベース部から前記ドローアの後方に伸び、前記ベース部が前方に移動するとき、前記ドローアを前方に押す後方フレームとを含む引出機構、
前記後方フレームは前記ドローアと前記貯蔵室の後面との間のスペースに、前記ドローアと分離されるように配置されてなり、
前端部が前記キャビネットに対する前記ドアの回転軸から所定距離だけ隔たった位置で前記ドアと連結されて第1回転関節を構成し、後端部は前記ベース部と連結されて第2回転関節を構成するリンク、及び
前記貯蔵室の幅方向に隔たって配置され、前記ベース部が前後方向に移動するように案内する一対の引出機構ガイドを備えてなり、
前記第1回転関節と前記第2回転関節は、前記一対の引出機構ガイドから等距離に位置する基準線に対して互いに反対側に位置してなり、
前記リンクは、前記前端部から伸び、前記キャビネットに対する前記ドアの回転軸から遠くなる方向に膨らむように折り曲げられた第1折曲区間と、
前記第1折曲区間と前記後端部の間で前記第1折曲反対方向に膨らむように折り曲げられたた第2折曲区間とを備えてなり、
前記第1折曲区間と前記第2折曲区間は、前記前端部と前記後端部を連結する直線に対して互いに反対方向に膨らむものである、冷蔵庫。
【請求項2】
前記第2回転関節は、前記基準線と前記引出機構ガイドの中で前記引出機構ガイドにもっと近く配置されてなる、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記第2回転関節は、前記ベース部に対して前後方向への移動が許されるように構成されてなる、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記ベース部は、前記基準線と前記引出機構ガイドの間で、前後方向に長く伸びたスリットを備えてなり、
前記リンクの後端部は、前記スリットに沿って移動可能に備えられてなる、請求項3に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記リンクの後端部は、前記ドアが閉まった状態で、前記スリットの前端から離隔し、前記ドアが閉まった状態から所定の引出開始角度で回転すれば、前記スリットの前端に至る、請求項4に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記引出開始角度は70〜80度である、請求項5に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記キャビネットに対する前記ドアの回転軸と前記第1回転関節の間の距離より、前記第1回転関節と前記第2回転関節の間の距離が長いものである、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記引出機構ガイドは、前記ベース部と前記貯蔵室の側面の間に配置されてなる、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記リンクの後端部は、前記ベース部の底面と連結されてなる、請求項1に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷蔵庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫は飲食物を冷蔵状態又は冷凍状態で保管するために使われる家電器機である。
【0003】
近年には、冷蔵庫の容量が大型化しており、冷蔵庫ドアの背面にもホームバー、アイスメーカー、棚又はドアボックスなどが装着される趨勢にある。このような形態の冷蔵庫の場合、冷蔵庫ドアを閉めたとき、冷蔵庫本体の貯蔵室に装着される棚や引き出しと前記冷蔵庫ドアの背面に装着された構成部品が互いに干渉する可能性を持っている。
【0004】
このような干渉問題を解消するために、冷蔵庫本体の貯蔵室(例えば、冷蔵室又は冷凍室)の内部に装着される引き出しドローア(例えば、棚又は引き出し)の前端部が前記冷蔵庫本体の前面から所定距離だけ後退した地点に配置される。
【0005】
したがって、前記ドローアに貯蔵された飲食物を引き出すためにユーザーは貯蔵室の奥に手を深く入れなければならない不便さがあり、貯蔵室の内側後方に貯蔵された飲食物はユーザーが確認し難い。このような問題は、冷蔵庫の大型化の趨勢に従い、貯蔵室が深くなるほど大きく現れる。
【0006】
このような欠点を改善するために多様な方法が提案されて来た。例えば、大韓民国公開特許第2010−0130357号(以下、‘357特許という)は冷蔵室又は冷凍室の内部に取り付けられる棚や引き出しが収納フレームに置かれ、多関節リンクの前端部が冷蔵庫ドアの底面に連結され、後端部が前記収納フレームに連結される構造を開示している。よって、冷蔵庫ドアを回転させて開放すれば、前記収納フレームが前方に移動しながら棚及び引き出しが冷蔵庫の前方に移動することになる。
【0007】
このような従来の冷蔵庫はドアの回転運動がリンクによって収納フレームの直線運動に変換される構造であると言える。このような構造は、リンクが収納フレームに作用する力のうち前方に向かう成分のみが収納フレームの移動に寄与する。‘357特許の場合、収納フレームと連結されるリンクの後端とドアと連結されるリンクの前端が、冷蔵庫を前面で見るとき、とても近接している。このような構成において、収納フレームに及ぶ力の前方向成分を強化するとともにドアの回転角度に対する収納フレームの変位を増加させるためには、リンクが多関節で構成されなければならないから、構造が複雑になり、製造コストが増加する問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、剛体リンク(すなわち、単一リンク)を介してドアと連結された引出機構がドアの回転に連動してドローアを引き出すように構成し、前記ドアを回転させる力が前記リンクを介して効果的に伝達されることにより、前記ドローアを易しく引き出すことができる冷蔵庫を提供することである。
【0009】
また、前記リンクが前記引出機構に作用する力の前方向(Y軸方向、図12参照)成分を増やして前記引出機構が易しく移動することができるようにするとともに、前記引出機構の移動に寄与しない横方向(X軸方向)成分は減らした冷蔵庫を提供することである。
【0010】
また、ドアが閉まった状態から所定の引出開始角度に至るまで引出機構は移動しなく、前記引出開始角度を超えてから前記引出機構が移動するように構成し、前記引出開始角度を超えて完全に開放するまで前記ドアが回転する区間で前記引出機構が十分な距離だけ前方に移動することができる冷蔵庫を提供することである。特に、前記引出開始角度が70度〜80度に至ることによって十分な引出遅延区間が確保され、相対的に前記引出開始角度を超えてドアが完全に開放するまでの区間が短くなった場合にも、前記引出機構が十分な距離だけ前方に移動することができる冷蔵庫を提供することである。
【0011】
また、前記ドアが開放する過程で、前記ドアと干渉しないように前記リンクの形状を改善した冷蔵庫を提供することである。
【0012】
また、使用者が前記ドアを開放させるとき、前記ドアの開放初期(すなわち、前記ドアが前記引出開始角度まで回転するまで)は使用者が前記ドアを引っ張る力が前記ドアを開放させることにのみ使われる冷蔵庫を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施例による冷蔵庫は、前面に開口部が形成された貯蔵室を備えたキャビネットと、前記キャビネットに回転可能に連結され、前記開口部の少なくとも一部を開閉するドアと、前記貯蔵室内に配置され、貯蔵品を収容するドローアと、前記ドローアを支持し、前記ドローアが前後方向に移動できるように案内するドローアガイドと、前記ドローアの下側に配置されるベース部、及び前記ベース部から前記ドローアの後方に伸び、前記ベース部が前方に移動するとき、前記ドローアを前方に押す後方フレームを含む引出機構と、前端部が前記キャビネットに対する前記ドアの回転軸から所定距離だけ隔たった位置で前記ドアと連結されて第1回転関節を構成し、後端部は前記ベース部と連結されて第2回転関節を構成するリンクと、前記貯蔵室の幅方向に隔たって配置され、前記ベース部が前後方向に移動するように案内する一対の引出機構ガイドとを含み、前記第1回転関節と前記第2回転関節は、前記一対の引出機構ガイドから等距離に位置する基準線に対して互いに反対側に位置することができる。
【0014】
前記第2回転関節は、前記基準線と前記引出機構ガイドの中で前記引出機構ガイドにもっと近く配置されることができる。
【0015】
前記第2回転関節は、前記ベース部に対して前後方向への移動が許されるように構成されることができる。前記ベース部は、前記基準線と前記引出機構ガイドの間で、前後方向に長く伸びたスリットを含むことができ、前記リンクの後端部は、前記スリットに沿って移動可能に備えられることができる。前記リンクの後端部は、前記ドアが閉まった状態で、前記スリットの前端から離隔し、前記ドアが閉まった状態から所定の引出開始角度で回転すれば、前記スリットの前端に至ることができる。前記引出開始角度は70〜80度であってもよい。
【0016】
前記リンクは、前記前端部から伸び、前記キャビネットに対する前記ドアの回転軸から遠くなる方向に膨らむように折り曲げられた第1折曲区間と、前記第1折曲区間と前記後端部の間で前記第1折曲反対方向に膨らむように折り曲げられたた第2折曲区間とを含むことができる。前記第1折曲区間と前記第2折曲区間は、前記前端部と前記後端部を連結する直線に対して互いに反対方向に膨らむことができる。
【0017】
前記キャビネットに対する前記ドアの回転軸の間の距離より、前記第1回転関節と前記第2回転関節の間の距離が長くても良い。
【0018】
前記引出機構ガイドは、前記ベース部と前記貯蔵室の側面の間に配置されることができる。
【0019】
前記リンクの後端部は、前記ベース部の底面と連結されることができる。
【発明の効果】
【0020】
前記のような構成を成す本発明の実施例による冷蔵庫によると、次のような効果がある。
【0021】
第一、リンクが引出機構に作用する力の前方向(Y軸方向)成分を充分に確保することで、引出機構は易しく移動するようにするとともに前記引出機構の移動に寄与しない横方向(X軸方向)成分は減らすことができる効果がある。
【0022】
第二、ドローアの遅延引出機能を具現し、前記ドローアの引出が遅延される区間に対応するドアの回転範囲を充分に確保し、前記引出機構による前記ドローアの引出過程で、前記ドローアと前記ドアの間の衝突可能性を確かに除去するとともに、前記ドアの回転に比べて前記引出機構の移動距離を増大させることができる効果がある。
【0023】
第三、前記ドアが開放する過程で、前記ドアと前記リンクの間の干渉を防止することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施例による冷蔵庫の斜視図である。
図2図1の冷蔵庫のドアが開放した状態を示した図である。
図3】本発明の一実施例による冷蔵庫の貯蔵室内部を側面で示した図である。
図4図3の冷蔵庫を構成する主要構成の分解斜視図である。
図5図4のA部を拡大して示した図である。
図6】ドローア及びドローアガイドの組立体を前方から見た図である。
図7図6のB部を拡大して示した図である。
図8】引出機構とリンクの組立体を下方から見たものを示した図である。
図9a】引出機構を後方の下側から見た図である。
図9b】引出機構の前面図である。
図9c】引出機構の右側面図である。
図10a】ドアが閉まった状態で、ベース部の底面部が見えるように示した図である。
図10b図10aのドアが引出開始角度まで開放した状態を示した図である。
図10c図10bのドアが完全に開放した状態を示した図である。
図11】比較例の場合において、ドアが開放する過程で第1回転関節と第2回転関節の位置を示した図である。
図12】本発明の一実施例による冷蔵庫において、ドアが開放する過程で第1回転関節と第2回転関節の位置を示した図である。
図13図11及び図12に表示した力を座標系に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の利点及び特徴と、それらを達成する方法は添付図面に基づいて詳細に後述する実施例を参照すると明確になるであろう。しかし、本発明は以下で開示する実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態に具現でき、ただ本実施例は本発明の開示が完全になるようにし、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供するものであり、本発明は請求範囲の範疇によって定義されるだけである。明細書全般にわたって同一の参照符号は同一の構成要素を示す。
【0026】
図1は本発明の一実施例による冷蔵庫1aの斜視図である。図2図1の冷蔵庫1aのドア3a、3b、3c、3dが開放した状態を示した図である。図3は本発明の一実施例による冷蔵庫1aの貯蔵室S3の内部を側面で示した図である。以下で言及する “前/後/左/右/上/下”などの方向を示す表現は図1に表示したものによって定義するが、これはただ本発明が明確に理解できるように説明するためのものであり、基準をどこに置くかによって各方向を異に定義することもできるのは言うまでもない。
【0027】
図1及び図2を参照すると、冷蔵庫1aは、内側に隔室RC、FC(又は貯蔵室S1、S2、S3、S4)が形成されたキャビネット10と、隔室RC、FCを開閉するドア3a、3b、3c、3dとを含むことができる。ドア3a、3b、3c、3dはキャビネット10と回転可能に連結されることができる。
【0028】
隔室RC、FCは、食品が出入することができるように前面が開口し、隔室RC、FCの開口した前面がドア3a、3b、3c、3dによって開閉することができる。隔室RC、FC内に冷気が供給され、冷気が隔室RC、FCから漏洩しないように隔室RC、FCはドア3a、3b、3c、3dによって密閉されることができる。
【0029】
隔室RC、FCは二つ以上が備えられることができる。実施例のように、ボトムフリーザータイプ(bottom freezer type)の冷蔵庫の場合、キャビネット10の上部と下部にそれぞれ隔室RC、FCが備えられる。この場合、下側に位置する隔室FCは内側の温度が0℃以下に維持される冷凍室であり、上側に位置する隔室RCは内側の温度が0℃以上に維持される冷蔵室である。以下で言及する“隔室”は、必要によって冷蔵室又は冷凍室に区分しない限り、冷蔵室又は冷凍室のいずれにもなることができる。
【0030】
それぞれの隔室RC、FCは一対のドアによって開閉されることができる。例えば、実施例のように、冷蔵室RCを開閉する一対の冷蔵室ドア3a、3bが備えられ、冷凍室FCを開閉する一対の冷凍室ドア3c、3dが備えられることができる。
【0031】
貯蔵室S1、S2、S3、S4は隔室RC、FCの一部又は全部を構成するもので、それぞれのドア3a、3b、3c、3dによって開閉される領域に定義することができる。冷蔵室RCは、開口した前面が左側冷蔵室ドア3aによって開閉される貯蔵室S1と、開口した前面が右側冷蔵室ドア3bによって開閉される貯蔵室S2とを含むことができる。以下、必要によって前者の場合を左側冷蔵貯蔵室S1、後者の場合を右側冷蔵貯蔵室S2に区分する。
【0032】
同様に、冷凍室FCは、開口した前面が左側冷凍室ドア3cによって開閉される貯蔵室S3と、開口した前面が右側冷凍室ドア3dによって開閉される貯蔵室S4とを含むことができる。以下、必要によって前者の場合を左側冷凍貯蔵室S3、後者の場合を右側冷凍貯蔵室S4に区分する。
【0033】
このように、一つの隔室内に横方向に二つの貯蔵室が備えられた場合、前記二つの貯蔵室は互いに連通することができる。例えば、冷蔵室RCは前方から見たとき、左側冷蔵貯蔵室S1と右側冷蔵貯蔵室S2を区分する部材が存在しなく、よって左側冷蔵貯蔵室S1と右側冷蔵貯蔵室S2の間には自由に冷気が循環することができる。
【0034】
実施例において、冷凍室FCは、冷蔵室RCとは違い、左側冷凍貯蔵室S3と右側冷凍貯蔵室S4の間に垂直パーティション20が提供されることによって両側の貯蔵室S3、S4が区分されている。ところが、この場合にも垂直パーティション20によって両側の方貯蔵室S3、S4の間の冷気循環が完全に遮断されなければならないものではない。例えば、垂直パーティション20には両側の貯蔵室S3、S4を互いに連通させる通気口(図示せず)が形成されることができる。
【0035】
図3を参照すると、貯蔵室S1、S2、S3、S4は、開口部が形成された前面S(f)と、前面S(f)からそれぞれ後方に伸び、互いに対向する一対の側面S(s)と、一対の側面S(s)の各上端部を互いに連結する上面S(u)と、上面S(u)と対向し、一対の側面S(s)の各下端部を互いに連結する下面S(b)又は底と、前記開口部と対向し、一対の側面S(s)と上面S(u)の下面S(b)を互いに連結する後面S(r)とによって規定されることができる。
【0036】
このような定義によると、冷凍室FCのように、一つの空間が垂直パーティション20によって両側に分割されて横に配置された二つの貯蔵室S3、S4を形成する場合、各貯蔵室S3、S4の下面S(b)及び後面S(r)はキャビネット10の内面によって形成されることができ、上面S(u)は冷蔵室RCと冷凍室FCを区画する水平パーティション7の底面によって形成されることができる。そして、前記貯蔵室S3、S4の両側面のいずれか一方はキャビネット10の内側面11によって形成され、他方はキャビネット10の内側面11と対向する垂直パーティション20の一面によって形成されることができる。
【0037】
もちろん、実施例によって、冷蔵室RCが垂直パーティションによって両側に分割されて一対の貯蔵室が構成される場合、冷蔵室RCを構成する貯蔵室S1、S2の両側面のいずれか一つと上面及び後面はキャビネット10の内面によって形成され、下面は水平パーティション7の上面によって形成され、両側面の他の一つは前記いずれか一つと対向する前記垂直パーティションの一面によって形成されることができる。
【0038】
それぞれの貯蔵室S1、S2、S3、S4に対応してドア3a、3b、3c、3dが備えられることができる。ドア3a、3b、3c、3dの背面部、つまり貯蔵室S1、S2、S3、S4の開口した前面と対向する部分には食品を収納するドア収納部が形成されることができる。前記ドア収納部は乳製品、飲み物、野菜などの取出頻度の高い食品を収容する保管室8a、氷を保管するトレー8b、小さく包装された冷凍食品などを保管するバスケット8cなどを含むことができる。ドア3a、3b、3c、3dが閉まった状態で、ドア収納部8a、8b、8cは少なくとも一部が貯蔵室S1、S2、S3、S4内に位置することができる。
【0039】
隔室RC、FC又は貯蔵室S1、S2、S3、S4内にはドローアDが配置されることができる。ドローアDは食品を収納又は載置するためのもので、上下方向に多数が配置されることができる。ドローアDは食品が入れられる一定の大きさの空間が形成されたコンテナー320(引き出し又はビン(bin)とも言う)で構成されることができる。これとは違い、ドローアDは水平な板体状の棚310で構成されることもできる。
【0040】
図3は本発明の一実施例による冷蔵庫1aの貯蔵室S3の内部を側面で示した図である。図4は3の冷蔵庫1aを構成する主要構成の分解斜視図である。図5図4のA部を拡大して示した図である。図6はドローアD1、D2、D3及びドローアガイド40aの組立体を前方から見た図である。図7図6のB部を拡大して示した図である。図8は引出機構50aとリンク70の組立体を下方から見たものを示した図である。図9aは引出機構50aを後方の下側から見た図である。図9bは引出機構50aの前面図である。図9cは引出機構50aの右側面図である。図10aはドア3cが閉まった状態で、ベース部51の底面部が見えるように示した図である。図10bは図10aのドア3cが引出開始角度まで開放した状態を示した図である。図10cは図10bのドア3cが完全に開放した状態を示した図である。
【0041】
以下、図面を参照して左側冷凍貯蔵室S3を例として説明するが、ここで説明する内容は他の貯蔵室S1、S2、S4にも適用可能であり、これは後述する他の実施例の場合にも同様である。
【0042】
本発明の一実施例による冷蔵庫1aは、キャビネット10、ドア3c、ドローアD1、D2、D3、ドローアガイド40a、引出機構50a、引出機構ガイド60a及びリンク70を含むことができる。
【0043】
図4を参照すると、貯蔵室S3内にはドローアDを支持するドローアガイド40aが配置されることができる。ドローアガイド40aはドローアDが前後方向に移動できるように案内するもので、一つのドローア(例えば、D1))の両側にそれぞれ備えられ、各ドローアD1の荷重が一対のドローアガイド40aによって支持されることができる。実施例では、三つのドローアD1、D2、D3に対応して貯蔵室S3の一側面S(s)に三つのドローアガイド40aが配置されており、図4には示されていないが、貯蔵室S3の他側面S(s)にも同じ方式で三つのドローアガイド40aが備えられることができる。
【0044】
各ドローアDに対して提供される一対のドローアガイド40aは、貯蔵室S3の一側面S(s)を構成するキャビネット10の内側面11に配置される第1ドローアガイド40aLと、貯蔵室S3の他側面(例えば、垂直パーティション20の一面)に配置される第2ドローアガイド40a(R)とを含むことができる(図6参照)。
【0045】
好ましくは、ドローアDはドローアガイド40aによって静力学的に平衡状態(state of static mechanical equilibrium)で支持される。すなわち、ドローアDの総荷重がドローアガイド40aによって支持され、ドローアDは、別の外力が作用しない限り、ドローアガイド40a上に静止したままで維持される。実質的にドローアDの総荷重がドローアガイド40aによって支持され、後述する後方フレーム52はドローアDの荷重を支えない無荷重部材(non−load bearing element)である。
【0046】
ドローアガイド40aはレールやローラーなどを含んで多様な形態に構成されることができる。一例として、図6及び図7を参照すると、ドローアガイド40aは、貯蔵室S3の内側面S(s)に対して固定され、前後方向に長い固定レール41と、固定レール41に沿って移動しながら案内されるように構成され、ドローアDと一緒に移動する移動レール42、43とを含むことができる。移動レール42、43は必ずしも一つでなければならない必要はなく、実施例のように、二つの移動レール42、43が提供されることもできる。この際、第1移動レール42はドローアDと結合された状態で第2移動レール43と噛み合っており、第2移動レール43は固定レール41と噛み合っている。
【0047】
ドローアDが原位置(ドア3cが閉まった状態の位置)から一定距離だけ前方に移動する過程では第1移動レール42が第2移動レール43に沿って移動し、第1移動レール42が前記一定距離を超えて前方にさらに移動すれば、第2移動レール43が固定レール41に沿って移動することができる。しかし、ドローアガイドの構成が必ずしもこれに限定されなければならないものではない。例えば、ドローアガイドは、貯蔵室S3の内側面S(s)に対して固定された固定レールと、ドローアDに回転可能に備えられ、ドローアDの移動中に前記固定レールに沿って転がって移動するローラーとを含むことができる。
【0048】
図7を参照すると、固定レール41は金属板体が数回折り曲げられたた形状のもので、貯蔵室S3の側面S(s)に平行に前後方向に長く伸びる第1ストリップ部411と、第1ストリップ部411の下端からドローアD1に向かって水平に伸びる第2ストリップ部412と、第2ストリップ部412の一端に形成され、第2移動レール43の下端部431が挿入されるポケット部413とを含むことができる。
【0049】
ポケット部413は上側に入口が形成された“U”字形のポケットを形成し、前記ポケットの入口を通じて第2移動レール43の下端部431が挿入されることができる。第1移動レール42はその断面がポケット部413と対応する形態に形成され、ポケットの入口が下側に位置する逆“U”字形を成し、第2移動レール43の上端部432が前記入口を通じてポケット内に挿入されることができる。
【0050】
第1移動レール42には上側に突出したフック422が形成されることができる。ドローアD1がドローアガイド40aによって支持されるように、ドローアD1と第1移動レール42を連結するドローア連結部材321が備えられることができる。実施例において、ドローア連結部材321はドローアD1と一体に形成されているが、これに限定されなければならないものではなく、ドローアD1とは別個の部品で構成されてドローアD1と結合することもできる。
【0051】
ドローア連結部材321は、第1移動レール42のフック422と結合する水平リブ321aを含むことができる。水平リブ321aはドローアD1の外側面から側方向に水平に突出し、前後方向に長く伸びることができる。
【0052】
フック422は、第1移動レール42の上面421から上側に突出した第1部分422aと、第1部分422aの上端から前方向に伸びる第2部分422bとを含むことができる。水平リブ321aには適切な形態の結合孔(図示せず)が形成されることができ、フック422が前記結合孔を下から上方に通過することができる。実施例では、水平リブ321aとフック422の間のこのような結合によってドローアD1と第1移動レール42が一緒に移動することができるが、これに限らなく、ドローアD1と第1移動レール42は両者が一体に移動することができる範囲内で他の色々の方式で結合することもできる。
【0053】
ただ、ドローアD1と第1移動レール42の間の結合は別個の工具なしにも使用者が易しく分離することができる方式であることが好ましい。すなわち、ネジやボルトによる結合のように、工具を用いて分離しない限り結合状態が維持される構造ではなく、使用者の手操作のみでも結合状態が解除可能な構造であることが好ましい。実施例において、使用者はドローアD1を適切に動かすことで、任意に水平リブ321aに形成された結合孔に第1移動レール42のフック422を挿入するかあるいは前記結合孔からフック422を分離することができる。このように第1移動レール42から分離されたドローアD1は貯蔵室S3の外部にも取り出されることができる。
【0054】
一方、ドローア連結部材321は、水平リブ321aの一端から下方に伸びた垂直リブ321bをさらに含むことができる。垂直リブ321bは第1移動レール42の第1側面部423と接することができ、実施例によっては、垂直リブ321bを第1側面部423と結合させるネジやボルトなど(以下、“締結部材”という)がさらに備えられることができる。ここで、第1移動レール42の第1側面部423は、第1移動レール42の水平な上面部421の両側からそれぞれ下方に伸びた二つの側面部423、424の中で第1ストリップ部411にもっと近いもの側に位置するものである。
【0055】
第2ストリップ部412には逆 “V”字形(すなわち、上方に凹んでいる形態)のノッチ(notch)412aが形成されることができ、ノッチ412a内には後述するブラケット14の下部維持突起143aが挿入されることができる。ノッチ412aは第2ストリップ部412がポケット部413と会う部分に形成されることができる。
【0056】
貯蔵室S3の側面S(s)には、ドローアガイド40aを設置するためのブラケット14が配置されることができる。ブラケット14は貯蔵室S3の側面S(s)からドローアD1に向かって突出した形態に構成され、前後方向に沿って長く伸びることができる。
【0057】
ブラケット14には前後方向に長く形成されたレール取付溝14aが形成され、レール取付溝14a内に固定レール41が取り付けられる。レール取付溝14aは貯蔵室S3の側面S(s)にほぼ平行に前後方向に長く伸びた垂直面141と、垂直面141の上端と下端からそれぞれ水平に突出して前後方向に長く伸びた上部水平面142及び下部水平面143とによって規定されることができる。
【0058】
レール取付溝14a内には垂直面141を切開して形成した弾性支持タブ144が備えられることができる。弾性支持タブ144は垂直面141に対して弾性的に回動することができ、固定レール41の第1ストリップ部411によって側方向に加圧される。
【0059】
固定レール41がレール取付溝14a内に取り付けられた状態で、弾性支持タブ144は固定レール41によって加圧された状態、つまり変形された状態を維持し、このような変形は弾性によるものであるので、外力が除去されるとき(すなわち、固定レール41が分離するとき)、弾性支持タブ144は原形に復元することができる。
【0060】
ブラケット14は、レール取付溝14aの上部水平面142から下側に突出した上部維持突起142a及び/又は下部水平面143から上側に突出した下部維持突起143aをさらに含むことができる。
【0061】
固定レール41の第1ストリップ部411がレール取付溝14a内に挿入された状態で、第1ストリップ部411の上端部は垂直面141と上部維持突起142aの間に位置し、特に垂直面141と上部維持突起142aの間の間隔は第1ストリップ部411の厚さと対応するように形成されることにより、上部維持突起142aによって第1ストリップ部411の上端部の側方向への動きが阻止され、第1ストリップ部411の上端部が前記間隔から離脱されずに維持される。
【0062】
下部水平面143上には第2ストリップ部412が定着されることができる。下部水平面143は上部水平面142より大きな幅に形成されることができ、下部水平面143と上部水平面142の間の幅差(g)に相当する距離の分だけ、下部維持突起143aが上部維持突起142aよりドローアD1側に近接した位置に形成されることができる。
【0063】
下部維持突起143aは固定レール41のノッチ412a内に挿入されることができる。ノッチ412aによって下部維持突起143aの側方向への動きが阻止される。下部維持突起143aとノッチ412aの間の結束力によって、固定レール41の下端部がブラケット14と堅く結合することができる。
【0064】
固定レール41がブラケット14に取り付けられた状態で、第1ストリップ部411は弾性支持タブ144によって側方向(すなわち、ドローアD1に向かう方向)に加圧されるため、第1ストリップ部411の上端部が上部維持突起142aと密着し、この状態でノッチ412a内に下部維持突起143aが挿入されるので、固定レール41が搖れなしに堅く支持されることができる。
【0065】
一方、以上の説明で、レール取付溝14aはブラケット14に形成され、ブラケット14が貯蔵室S3の側面S(s)と結合するものを例として説明したが、必ずしもこれに限定されなければならないものではなく、ブラケット14は貯蔵室S3の側面S(s)を形成するキャビネット10の内側面11又は垂直パーティション20と一体に形成されることもできる。
【0066】
図3を参照すると、引出機構50aはドア3cの開閉動作に連動して移動することができる。引出機構50aはドア3cが開かれる過程では前方に移動し、ドア3cが閉まる過程では後方に移動することができる。引出機構50aの動作によってドローアD1、D2、D3が移動し、特に引出機構50aはドア3cが開かれる過程でドローアD1、D2、D3を前方に移動させることができる。図3には、ドア3cが閉まった状態で、引出機構50aとドローアドルD1、D2、D3の位置が点線で表示されている。この状態で、ドア3cが開放すれば、引出機構50aが前方に移動しながらドローアD1、D2、D3を前方に押すことになる。この時の引出機構50aとドローアD1、D2、D3の位置は実線で示されている。
【0067】
ドア3cが開かれて貯蔵室S3の前面S(f)の開口部が開放した状態で、ドローアD1、D2、D3は最初に収納された位置(ドア3cが閉まった状態でのドローアD1、D2、D3の位置、以下、“原位置”という)から一定の距離だけ前方に位置するため、その分だけ使用者の手がドローアD1、D2、D3まで易しく至ることができ、ドローアD1、D2、D3から食品を取り出すかあるいはドローアDに食品を入れる過程が容易になる。このような便利性は、貯蔵室S3が深い大容量冷蔵庫の場合に特に緊要である。
【0068】
図4図8、及び図9a〜図9cを参照すると、引出機構50aは、ドローアD3の下側に配置されるベース部51と、ベース部51から上側に伸びる後方フレーム52とを含むことができる。後方フレーム52は少なくとも一部がドローアD1、D2、D3の後方に配置される。後方フレーム52はドローアD1、D2、D3と貯蔵室Sの後面S(r)の間を通過して貯蔵室S3の上面S(u)に向かって伸びることができ、少なくともいずれか一つのドローアD1と対応する高さに至ることができる。
【0069】
冷蔵庫1aは、引出機構50aが前後方向に移動できるように案内する引出機構ガイド60aを含むことができる。引出機構ガイド60aは貯蔵室S3の側面S3とベース部51の間に配置されることができ、ベース部51の両側にそれぞれ配置されることができる。引出機構ガイド60aは、貯蔵室S3の側面S(s)及びベース部51のいずれか一方に配置されるレール61と、他方に配置され、ベース部51が移動する過程でレール61との接触によって回転するローラー62とを含むことができる。実施例において、引出機構50aは、貯蔵室S3の側面S(s)に固定され、前後方向に長く伸びるレール61と、ベース部51の側面部512、513に回転可能に取り付けられ、引出機構50aの移動中にレール61に沿って転がって移動するローラー62とを含んでなったが、これに限られず、ローラー62の代わりに、レール61と噛み合った移動レール(図示せず)がベース部51に備えられることも可能である。
【0070】
これだけではなく、貯蔵室S3の側面S(s)にローラー62が固定され、ベース部51の側面部512、513にレール61が配置されることで、レール61がローラー62によって支持されて移動することも可能である。
【0071】
さらに、引出機構ガイド60aは貯蔵室S3の下面S(b)とベース部51の底部511の間に配置されることも可能である。例えば、貯蔵室S3の下面S(b)に固定レールが配置され、ベース部51の底部511には、前記固定レールと噛み合うように構成され、ベース部51と一緒に前記固定レールに沿って移動する移動レールが配置されることができる。
【0072】
ベース部51は水平な底部511を含んでなり、底部511の上面は上側に向かい、前記上面の反対側に相当する底面は貯蔵室Sの下面S(b)と対向する。実施例のように上下方向に多数のドローアD1、D2、D3が配置された場合、好ましくはベース部51は最下側に位置するドローアD3よりも下側に配置されることができる。
【0073】
リンク70はドア3cとベース部51を連結するもので、一端はドア3cと回転可能に連結され、他端はベース部51と回転可能に連結されることができる。
【0074】
図9a〜図9cを参照すると、ベース部51は前面と上面が開放した構造になることができ、具体的に、水平な底部511と、底部511の両側端からそれぞれ上側に伸びた一対の側面部512、513と、底部511の後端から上方に伸び、一対の側面部512、513を互いに連結する後面部514とを含むことができる。
【0075】
後方フレーム52は、ベース部51から上側に伸び、貯蔵室S3の幅方向に互いに離隔する一対の縦バー520a、520bを含むことができる。それぞれの縦バー520a、520bは後面部514から上方に伸びることができる。以下、一対の縦バー520a、520bを互いに区分する必要があるときには、それぞれを第1縦バー520aと第2縦バー520bで表現する。
【0076】
第1縦バー520aと第2縦バー520bは必ずしも別個の部材でなる必要はなく、幅(w)(図9a参照)より長さが長い帯(bend)又はビームの形態になった単一フレーム部材520によって一体に形成されることもできる。すなわち、フレーム部材520は、第1縦バー520aをなす区間521〜524と第2縦バー520bをなす区間が互いに平行に形成され、両区間は実質的に同じ形態のもので、連結区間520cを介して互いに連結されている。
【0077】
第1縦バー520aと第2縦バー520bが互いに離隔するため、両者の間に冷気が通過することができ、よって、貯蔵室S3の内側の奥にも冷気が円滑に循環することができる。特に、貯蔵室S3の後面S(r)に冷気が吐き出される吐出口が形成された場合、前記吐出口から吐き出された冷気が貯蔵室S3内に均等に拡散することができる。
【0078】
連結区間520cはベース部51の下側に配置されて底部511を支持することができ、締結部材によって底部511と結合することができる。連結区間520cは、第1縦バー520aの下端から前方に伸びる区間545aと、第2縦バー520bの下端から前方に伸びる区間545bと、両区間545a、545bの間で貯蔵室S3の幅方向に伸びる区間546とを含むことができる。区間546は、好ましくは区間545a及び区間545bに対して垂直である。
【0079】
フレーム部材520は合成樹脂材の射出物でなることができ、これとは違い、金属材を塑性加工することでなることもできる。バー520の幅(w)を規定する面とベース部51の外側面が締結部材によって互いに結合することができる。
【0080】
縦バー520a、520bの下端部はベース部51の後面部514の背面上に位置することができる。前記下端部と後面部514を結合する締結部材56がさらに備えられることができる。このような締結部材56は、縦バー520a、520bの長手方向に隔たった2以上の地点に締結されることができる。
【0081】
一対の縦バー520a、520bは後面部514を幅方向に均分する中心線(M)(図9b参照)−すなわち、ベース部51の両側面部512、513から等距離上に位置する地点を連結した線−に対して互いに対称に配置されることができる。
【0082】
図9cを参照すると、ベース部51の後面部514はベース部51の底部511から上側に行くほど後方に伸びる傾斜を成すことができる。縦バー520a、520bは、下端部がベース部51の後面部514の背面上に位置し、前記下端部から上側に、後面部514の傾斜と対応する傾斜を成しながら伸びる第1傾斜区間521と、第1傾斜区間521から多数のドローアD1、D2、D3の中で少なくとも最下側に位置するドローアD3と対応する高さ(すなわち、少なくともドローアD3と接触可能な高さ)まで垂直に伸びる第1垂直区間522とを含むことができる。特に、第1垂直区間522は引出機構50aの移動中にドローアD3の背面と接触することができる。
【0083】
また、縦バー520a、520bは、第1垂直区間522から上側に行くほど後方に伸びる傾斜を成す第2傾斜区間523と、第2傾斜区間523から少なくともドローアD3の上側に配置されたドローアD2と対応する高さ(すなわち、少なくともドローアD2と接触可能な高さ)まで伸びる第2垂直区間524とをさらに含むことができる。実施例では、三つのドローアD1、D2、D3が配置されるため、第2垂直区間524がドローアD1とも接触可能な高さまで伸びている。
【0084】
ドローアD3は、縦バー520a、520bと対向する背面が第1傾斜区間521と対応する形態を成すことができ、引出機構50aの移動中に、ドローアD3の背面が第1垂直区間521と接触することができる。
【0085】
ベース部51の後面部514は側面部512、513より高い高さまで伸びることができ、側面部512、513より高い上側領域でも縦バー520a、520bと接触することができる。すなわち、後面部514を側面部512、513より高い高さまで形成することにより、縦バー520a、520bと接触する面積が一層広くなることができ、その分だけ支持する面積も広くなり、縦バー520a、520bがより安定的に支持されることができる。
【0086】
特に、縦バー520a、520bはベース部51の後面部514と結合することができ、好ましくは縦バー520a、520bの第1傾斜区間521が締結部材56によって後面部514と結合する。このように縦バー520a、520bが後面部514と結合する構造は、後面部514が縦バー520a、520bの下端部を堅く保持するので、引出機構50aがドローアD1、D2、D3を前方に押す過程でドローアD1、D2、D3から作用する反力(例えば、ドローアDの静止慣性による反発力)が縦バー520a、520bに作用しても縦バー520a、520bが後方に易しく押されるか撓むことがないようにする効果がある。
【0087】
また、両縦バー520a、520bが連結区間520cを介して互いに連結され、連結区間520cは545a、545b及び546の区間からなる “コ”字形のフレーム構造になってベース部51の底部511の底面と密着又は結合しているため、ドローアD1、D2、D3から加わった反力によって縦バー520a、520bが後方に押されることを沮止する機能をする。
【0088】
また、第1縦バー520aと第2縦バー520bが互いに分離されず、連結区間520cによって連結されるように一体に構成されるため、両縦バー520a、520bに互いに異なる大きさの力が加わっても、このような力が連結区間520cを介して分散されることにより、実質的に両縦バー520a、520bにはある程度均等な力が作用し、よって後方フレーム52が歪むことが防止される。
【0089】
一方、後方フレーム52は、ベース部51の上側で第1縦バー520aと第2縦バー520bを互いに連結する連結バー530をさらに含むことができる。連結バー530は第1縦バー520aと第2縦バー520bを構造的に安定化させ、特に両縦バー520a、520bが互いに対して広がることを防止することができる。また、このような構造は、引出機構50aがドローアD1、D2、D3を押す過程でドローアD1、D2、D3から両縦バー520a、520bに作用する力に差が発生する場合にも、いずれか一縦バー(例えば、520a)が他の縦バー(例えば、520b)より後方に押されることを防止する効果がある。
【0090】
連結バー530は第1縦バー520aと第2縦バー520bの上側部分を互いに連結することができる。連結バー530は各縦バー520a、520bの第2垂直区間524と結合することができ、好ましくは第2垂直区間524の下端(すなわち、第2傾斜区間523との連結部)よりは上端部に近い位置に結合する。
【0091】
図9a〜図9cを参照すると、後方フレーム52は、縦バー520a、520bから前方に伸び、アームガイド91に沿って案内されるアーム532、533を含むことができる。アーム532、533は縦バー520a、520bから伸びることもできるが、好ましくは連結バー530と一体に形成される。
【0092】
連結バー530は、貯蔵室S3の幅方向に長く伸びて一対の縦バー520a、520bを互いに連結する連結部531を含むことができる。連結部531は一対の縦バー520a、520bと結合し、連結部531の両端はそれぞれ縦バー520a、520bから貯蔵室S3の側面S(s)に向かって突出することができる。アーム532、533は連結部531の両端からそれぞれ前方に伸びることができ、ドローアD1と貯蔵室S3の側面S(s)の間に配置されることができる。両アーム532、533にはそれぞれローラー92が備えられることができ、ローラー92は引出機構50aの移動中にアームガイド91に沿って転がることができる。
【0093】
図4及び図5を参照すると、アームガイド91は貯蔵室S3の側面S(s)に配置されることができる。好ましくは、アームガイド91は最上側に位置するドローアD1を支持するドローアガイド40aより上側に位置することができる。
【0094】
アームガイド91はローラー91の下側でローラー91と接触し、ローラー91の移動経路、つまり貯蔵室S3の前後方向に沿って長く伸びるローラー安内面91bを含むことができる。ローラー安内面91bは水平面でなることができる。
【0095】
図5に示したように、アームガイド91の横断面は、ドローアDに向かう面が開口した“コ”字形案内溝91aを形成することができ、ローラー92が案内溝91a内でローラー安内面91bによって支持されることができる。案内溝91aは、ローラー安内面91bの上側にローラー安内面91bと平行な上側面91cをさらに含むことができ、ローラー安内面91bと上側面91cの間は、ローラー92がローラー安内面91bに沿って転がる過程で上側面91cとは接触しないように、好ましくはローラー92の直径よりはもう少し大きく離隔している。
【0096】
引出機構50aの移動中にドローアD1、D2、D3から後方フレーム52に作用する反力は、縦バー520a、520bをベース部51との連結部を中心に後方にピボット動作させる(すなわち、縦バー520a、520bを後方に押す)要因として作用するが、縦バー520a、520aが押されようとする性向によってローラー92が下側に変位しようとしても、ローラー安内面91bがこれを制限するため、結果的に縦バー520a、520bが後方に押されることも防止される。
【0097】
一方、ドア3cの開閉動作に連動して引出機構50aを移動させるための手段として、本実施例による冷蔵庫1aは、ドア3cとベース部51がリンク70を介して連結されている。しかし、これに限られず、実施例によって、ベース部51は電気的に駆動されるモーター(motor)又はアクチュエータ(actuator)などの駆動手段が提供する動力によって移動することも可能であろう。例えば、前記駆動手段としてモーターが提供される場合、前記モーターの回転力を直線運動に変換させる動力変換手段によってベース部51が移動することもでき、前記動力変換手段としてはラックとピニオン(rack and pinion)、クランク(crank)などを例として挙げることができる。この際、前記駆動手段はドア3cの開閉動作によって動作することができる。すなわち、ドア3cが開放するときには前記動力変換手段が引出機構50aを前方に移動させるように前記駆動手段が作動することができる。一方、ドア3cが閉まるときには前記動力変換手段が引出機構50aを後方に移動させるように前記駆動手段が作動することができる。
【0098】
一方、実施例において、引出機構50aはドローアD1、D2、D3から分離された部材である。すなわち、ドローアDは後方フレーム52と結合又は結束されていない。したがって、ドア3cが開放するとき、ドローアD1、D2、D3は後方フレーム52との接触によって前方に移動するが、後方フレーム52とドローアD1、D2、D3の間のこのような接触はドローアD1、D2、D3の移動のための一時的なものである。特に、ドローアD1、D2、D3がドローアガイド40aによって平衡状態で支持される場合、後方フレーム52とドローアD1、D2、D3の間に一時的な接触によっても、後方フレーム52はドローアD1、D2、D3を押して移動させる役目のみをするだけ、ドローアD1、D2、D3の荷重の支持は担わない。このような点は、実施例によって、たとえ後方フレーム52がドローアD1、D2、D3と常時結合していると言っても同様である。
【0099】
ドローアD1、D2、D3と引出機構50aが互いに分離された構造又は結束されていない構造においては、ドローアD1、D2、D3の移動は引出機構50aとドローアD1、D2、D3の間の分離可能な接触によってなされるものであると言える。すなわち、ドア3cに連動して引出機構50aが前方に移動する過程で引出機構50aの後方フレーム52がドローアD1、D2、D3と接触することにより、ドローアD1、D2、D3が後方フレーム52によって押されて移動するが、このようなドローアD1、D2、D3と後方フレーム52の間の接触は必要によっては分離可能なものである。例えば、後方フレーム52によってドローアD1、D2、D3が前方に押されて移動しているうち、しばらくドア3cの回転を止めてから再びドア3cを閉めるとすると、この過程で少なくとも一時的にはドローアD1、D2、D3と後方フレーム52の接触が解除可能であろう。
【0100】
しかし、これに限られず、引出機構(特に、後方フレーム52)はドローアD1、D2、D3との常時結合を維持することもできる。この場合にも、ドローアD1、D2、D3がドローアガイド40aによって平衡状態で支持される限り、引出機構50aにはドローアD1、D2、D3の荷重が加わらないことは同様であるが、ドア3cが閉まる過程で引出機構50aがドローアD1、D2、D3を後方に移動させることができる利点がある。
【0101】
図10aは、ドア3cが閉まった状態で、ベース部51の底面部が見えるように示した図である。図10bは図10aのドア3cが引出開始角度まで開放した状態を示した図である。図10cは図10bのドア3cが完全に開放した状態を示した図である。図10a〜図10cを参照すると、リンク70は、前端部71がドア3cと回転可能に連結され、後端部72がベース部51と回転可能に連結されることができる。すなわち、前端部71はドア3と回転可能に結合することによって第1回転関節J1を構成し、後端部72はベース部51と回転可能に結合することによって第2回転関節J2を構成することができる。
【0102】
第1回転関節J1はキャビネット10に対するドア3cの回転中心、つまりドア3cの回転軸Cから所定距離(r)だけ離隔している。よって、ドア3cが回転するとき、第1回転関節J1はドア3cの回転軸Cを中心に半径rを有する円周上に沿って移動し、前記円周上での位置が可変することによって第2回転関節J2が変位し、それによってベース部51が移動する。第1回転関節J1と第2回転関節J2は、ベース部51の両側に配置された引出機構ガイド60から等距離に位置する基準線Lに対して互いに反対側に位置することができる。実施例において、両引出機構ガイド60はベース部51に対して対称に配置されるため、基準線Lは実質的にベース部51の中心線、つまりベース部51の両側面部512、513から等距離に位置する線と同一である。
【0103】
第2回転関節J2はベース部51に対する位置が固定されたものであってもよいが、好ましくは、実施例のようにドア3cが回転する全区間のうち一定区間に対応してベース部51に対する位置が可変することができるように構成される。例えば、ベース部51には前後方向に長く伸びるスリット517が形成されることができ、第2回転関節J2はスリット517に沿って移動が許されるように構成されることができる。このために、リンク70の後端部72には締結部材が締結される締結口が形成されることができ、前記締結部材がスリット517を通過して前記締結口に締結されることができる。すなわち、第2回転関節J2はスリット517に沿って移動することができるとともに、ドア3cの回転動作に対応してベース部51に対して回転する移動回転関節である。スリット517は、第2回転関節J2がベース部51に対して移動することができるように、所定の長さを有し、前記締結部材がスリット517に沿って移動することができる。
【0104】
リンク70の後端部72はベース部51の底面上に位置することができ、ベース部51の上面上にはワッシャ78(図4参照)が配置されることができ、前記締結部材はワッシャ78、スリット517及び前記締結口を通過して締結されることができる。
【0105】
リンク70の後端部72は、ドア3cが閉まっている状態で、初期位置(図10a参照)に位置する。初期位置でリンク70の後端部72はスリット517の前端から所定距離だけ隔たった位置にあり得るが、好ましくはスリット517の後端と接している。
【0106】
閉まっているドア3cが開放し始めれば、ドア3cの開放角度が既設定の引出開始角度(θ)(図10b参照)に至るまでは、リンク70の後端部72がスリット517に沿って移動し、ベース部51は静止状態を維持することができる。すなわち、ドア3cが前記引出開始角度(θ)に至るまではドローアD1、D2、D3は移動しない。
【0107】
引出開始角度(θ)はリンク70の後端部72又は第2回転関節J2が初期位置(ドア3cが閉まった状態の位置)からスリット517の前端まで移動するまでに対応するドア3cの開放角度である。ドア3cの開放角度が前記引出開始角度(θ)を超えて次第に増加するにつれて、第2回転関節J2がベース部51と一緒に移動し、ドローアD1、D2、D3が前方に移動(すなわち、引出)する。第2回転関節J2が前記初期位置からスリット517の前端に移動する過程では、ドア3cは回転するがドローアD1、D2、D3又はベース部51は移動しないため、ドア3cが閉まった状態から引出開始角度(θ)に至るまでドア3cが開放しながら回転する区間を引出遅延区間に定義する。
【0108】
前記引出遅延区間はドローアD1、D2、D3がドア3cの背面部又はドア3cの背面部に取り付けられた構成(例えば、ドア収納部8a、8b、8c)と衝突することを防止するために必要である。すなわち、前記引出遅延区間がなければ、閉まっているドア3cが開放し始めるときからドローアD1、D2、D3が直ちに移動することになり、ドア3cの背面部又は背面部に取り付けられたドア収納部8a、8b、8cのような突出物がドローアD1、D2、D3の移動経路上から外れる前にドローアD1、D2、D3が前方に移動し、それによってドローアDがドア3の背面部(又は、前記突出物)と衝突する問題が発生することができる。
【0109】
また、ドア3cの背面部には貯蔵室S3の気密を維持するためのガスケット(図示せず)が備えられ、ドア3cが閉まった状態で前記ガスケットはキャビネット10の前面S(f)と密着している。ドア3cの開放初期、すなわち前記ガスケットがキャビネット10の前面S(f)から分離される時点までは、前記ガスケットの内部に装着された磁石とキャビネット10の間の磁力を克服するための力が必要であるから、相対的に大きな力がドア3cに作用しなければならない。よって、前記ガスケットがキャビネット10の前面S(f)から分離されるまでは、使用者が加えた力がひたすらドア3cを開放させることにのみ使われるように(すなわち、前記ガスケットをキャビネット10の前面S(f)から分離させることにのみ使われるように)、前記ガスケットがキャビネット10の前面S(f)から分離されるまでは引出機構50aは移動しなく、前記ガスケットがキャビネット10の前面S(f)から分離された後、ドア3cが引出開始角度(θ)まで開放してから引出機構50aが移動し始める。
【0110】
引出開始角度(θ)は90度以下の角度であってもよいが、好ましくは70度〜80度の間で決定されることができる。この際、ドア3cが前記引出開始角度に至った後から完全に開放するまでベース部51が移動する距離を引出距離に定義すれば、引出距離はおよそ10cmに設定することができる。
【0111】
ドア3cが引出開始角度(θ)まで回転した後には、リンク70の後端部72がスリット517の前端に位置する状態になってベース部51が移動し、それによってドローアD1、D2、D3も移動する。
【0112】
好ましくは、ドローアD1、D2、D3は前記引出距離だけ移動した状態でも貯蔵室S3の前面S(f)を越えない。そうだとしても、ドローアガイド40aによって許されるドローアD1、D2、D3の移動可能範囲が貯蔵室S3の前面S(f)を越えないように制限されなければならないものではない。すなわち、ドア3cが完全に開放した状態でドローアD1、D2、D3は貯蔵室S3の前面S(f)を越えない位置にあることになるが、これは引出機構50aによってドローアD1、D2、D3が自動に引き出される最終位置がそうだというもので、使用者の自力によって、すなわち手動でドローアD1、D2、D3がさらに引き出されることができる。このために、ドローアガイド40aは引出機構50aによる自動引出距離を超えてまでドローアD1、D2、D3の移動を案内するように構成されることができる。
【0113】
リンク70は、前端部71から伸びてドア3の回転軸Cから遠くなる方向に膨らむように折り曲げられたた第1折曲区間73と、第1折曲区間73と後端部72の間で第1折曲区間73と反対方向に膨らむように折り曲げられたた第2折曲区間74とを含むことができる。
【0114】
リンク70の前端部71はドア3cの回転軸Cから隔たっているから、ドア3cの一部、特に回転軸Cから前端部71に至る部分(例えば、ドア3cのコーナーなど)は、ドア3cが回転する過程でリンク70と干渉する可能性がある。このような問題は、リンク70の前端部71がドア3cの底面から一定距離だけ上側に隔たった部分でドア3cと連結されるか、たとえリンク70がドア3cの底面に結合されると言っても、上下方向にも屈曲を有する形態の場合、解決の必要性が高い。このような問題が発生することを防止するため、リンク70は前端部71から伸びる所定の区間に、回転軸Cから遠くなる方向に膨らむように形成された第1折曲区間73を含んでなる。
【0115】
一方、仮に第1折曲区間73がリンク70の全区間にわたって形成されれば、ドア3cとリンク70の間の干渉を避けることは容易であろうが、第1折曲区間73がふくらんでいるため、ドア3cの開閉過程で、リンク70がドア3c又はベース部51によって隠蔽されるように構成することが難しくなり、第2回転関節J2をドア3cの回転軸Cから遠く離隔させることも難しくなる。よって、第1折曲区間73とリンク70の後端部72の間に、第1折曲区間73と反対方向に膨らむ第2折曲区間74を設けることが好ましい。この際、第1折曲区間73と第2折曲区間74は、前端部71と前記後端部72を連結する直線に対して互いに反対方向に膨らむことができる。
【0116】
図11は、比較例の場合において、ドア3cが開放する過程で第1回転関節J1と第2回転関節J2の位置を示した図である。図12は本発明の一実施例による冷蔵庫1aにおいて、ドアが開放する過程で第1回転関節J1と第2回転関節J2の位置を示した図である。図13図11及び図12に表示した力を座標系に示した図である。
【0117】
本発明との比較のために仮定したものとして、図11に示したように、リンク70の前端部71と後端部72が基準線Lに対して同一側に位置する場合(すなわち、第1回転関節J1と第2回転関節J2が基準線Lに対して同一側に位置する場合)を調べる。
【0118】
図11において、r1はドア3cの回転軸Cと第1回転関節J1の間の直線距離であり、ドア3cが閉まっている状態から開放以後に引出開始角度(θ)だけ回転したときの第1回転関節J1の位置はJ1(θ)で表示されており、ここで、Δθだけさらに回転するときの第1回転関節J1の位置はJ1(θ+Δθ)で表示されている。
【0119】
第2回転関節J2はP1に位置し(図11でJ2(P1)は位置P1での第2回転関節J2を表示したものである)、P1は第1回転関節J1を中心にするとともに第1回転関節J1と第2回転関節J2の間の直線距離r2(以下、“リンク長”という)を半径にする円周T1上の一地点である。第2回転関節J2はベース部51に対する移動が許されるもので(すなわち、遅延引出が可能な構造)、第2回転関節J2が位置P1に至った後からベース部51が移動し始める。ただ、仮に第2回転関節J2がベース部51に固定配置されて遅延引出区間が設けられていない場合であれば、P1はベース部51の移動中の一時点(すなわち、ドア3cが角度θだけ回転したとき)の位置になるであろう。
【0120】
ドア3cがΔθだけさらに回転すれば(この時の第1回転関節J1の位置はJ1(θ+Δθ)で表示される)、第1回転関節J1が変位し、これと共に第2回転関節J2は位置P2に至ることになる(図面で、J2(P2)は位置P2での第2回転関節J2を表示したものである)。以下、第2回転関節J2が位置P2にあるとき、ドア3cは完全に開放したとする。
【0121】
ドア3cが開放する過程で、ベース部51は引出機構ガイド60によって前方(Y軸方向)に移動するように案内され、Qは第2回転関節J2の移動経路を表示したものである。そして、y1は第2回転関節J2が前方に移動した距離でありながらもベース部51が引き出された距離を表示したものである。
【0122】
図12を参照すると、本発明の一実施例による冷蔵庫1aの場合、ドア3aが引出開始角度(θ)から回転して完全に開放する過程で、第2回転関節J2は移動経路Q’上で位置P1’からP2’に移動し、この時の第2回転関節J2の変位はy2である。
【0123】
図12において、J2(P1’)は、ドア3cが閉まった状態から開放して引出開始角度(θ)だけ回転したとき、第2回転関節J2がP1’に位置することを表示したものである。この際、P1’はドア3cが引出開始角度(θ)だけ回転した状態で第1回転関節J1を中心にしながらリンク距離r2を半径にする円周T1’上の一地点である。また、この際、第1回転関節J1の位置はJ1(θ)で表示された。
【0124】
そして、J2(P2’)はドア3cがΔθだけさらに回転した状態でP2’に位置する第2回転関節J2を表示したものである。この際、P2’は、ドア3cが引出開始角度(θ)からΔθだけさらに回転した状態で、第1回転関節J1を中心にしながらリンク距離r2を半径にする円周T2’上の一地点である。また、この際、第1回転関節J1の位置はJ1(θ+Δθ)で表示された。
【0125】
図11図12を比較して見ると、両場合において、ドア3cの回転軸Cと第1回転関節J1の間の距離(r1)が同一であり、リンク長(r2)も同一条件であると言っても、ドア3cが同じ角度(Δθ)だけ回転するうちに、本発明の場合が比較例に比べ、第2回転関節J2がもっと多く移動したことが分かる(y2>y1)。このような差は、第2回転関節J2がベース部51と連結される位置において本発明の場合と比較例が互いに違うことに起因したものである。特に、比較例のように、ドア3cの回転軸Cと第2回転関節J2が相対的に近い場合には、ベース部51を同じ距離だけ移動させるためにもっと多くドア3cを回転させなければならないとともに遅延引出距離が短くなければならないが、遅延引出距離が短くなれば、ドア3cとドローアD1、D2、D3の間の衝突可能性が高まる問題がある。よって、このような問題が発生することを防止する側面で、第1回転関節J1と第2回転関節J2は基準線Lに対して互いに反対側に位置することが良く、その上、第2回転関節J2は基準線Lと引出機構ガイド60の中で、引出機構ガイド60にもっと近く位置することが好ましい。
【0126】
一方、比較例の位置P1で、リンク70からベース部51に作用する力(F1)と、本発明の位置P1’で、リンク70からベース部51に作用する力(F1’)が互いに同一であると仮定し、この力をXY座標系に表示すれば図13のようである。図13はドア3cが同じ引出開始角度(θ)だけ回転したと言っても、F1’がF1より大きなY軸成分値を有することを示し、これは直ちに、本発明が、比較例に比べ、同じ大きさの力でもベース部51をもっと易しく前方(Y軸方向)に移動させることができるということを意味する。本発明と比較例の間のこのような差は、ベース部51が移動する区間(すなわち、ドア3cが引出開始角度(θ)からΔθだけ回転する区間)で全般的に現れる。
【0127】
特に、比較例の場合、ベース部51に作用する力(F1、F2)のX軸方向(貯蔵室S3の幅方向)成分が大きいため、本発明に比べ、ベース部51が引出機構ガイド60によって案内移動するうちに左右方向に搖れる可能性がもっと高い問題点もある。
【0128】
本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者は本発明がその技術的思想や必須な特徴を変更しなくても他の具体的な形態に実施することができることが理解可能であろう。したがって、以上で記述した実施例はすべての面で例示的なもので、限定的ではないものに理解しなければならない。本発明の区間は前記詳細な説明よりは後述する特許請求の区間によって決められ、特許請求の区間の意味及び区間そしてその均等概念から導出されるすべての変更乃至変形の形態が本発明の区間に含まれるものに解釈されなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9a
図9b
図9c
図10a
図10b
図10c
図11
図12
図13