(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
2種以上の品種の異なる前記青果物における各品種について、発芽から、苗のサイズが予め定められた所定のサイズに到達するまでの期間と、青果物のサイズが予め定められた所定のサイズに到達するまでの期間とに応じて、品種毎に、前記播種を行う時期を調整する、請求項1に記載の青果物混合品の製造方法。
前記工程(i)の開始から前記工程(ii)の終了までの期間において、前記栽培支持体を湿潤させる水耕液の組成を変化させる、請求項1又は2に記載の青果物混合品の製造方法。
2種以上の品種の異なる前記青果物が、明環境下でより発芽・生育の優れた種子を用いて栽培される青果物と、暗環境下でより発芽・生育の優れた種子を用いて栽培される青果物とを含み、
後者の種子を暗環境下で発芽させた後に、前者の種子を明環境下で発芽させる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の青果物混合品の製造方法。
前記青果物混合品において、各品種毎に予め定められた、1つの前記栽培支持体に固定される株数と、前記青果物混合品における各品種の発芽率とに応じて、前記工程(i)において前記栽培支持体に播種される種子の数が各品種毎に調整される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の青果物混合品の製造方法。
前記青果物混合品における前記品種の組み合わせに基づいて、前記栽培支持体について、形状、サイズ、平均細孔径、空隙率、及び材質からなる群より選択される少なくとも1つが調整される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の青果物混合品の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
≪青果物混合品≫
青果物混合品は、2株以上の青果物と、多孔質材料とを含む。ここで、青果物は、葉菜又は根菜である。
また、2株以上の青果物は、2種以上の品種の異なる青果物を含み、且つそれぞれ根を備える。
さらに、青果物混合品において、2株以上の青果物の根が1つの多孔質材料に内包されることで、2株以上の青果物が一体に固定されている。
【0016】
ここで、「品種」とは、植物分類学上の亜種(subspecies)、及び変種(variety)の下位の分類である品種(forma)であって、遺伝的構成が異なることに起因して、特定の形質において他品種から明確に識別し得る植物群を意味する。
【0017】
また、1つの多孔質材料により青果物の根が内包されているとは、2株以上の青果物の根の周囲に、1つの多孔質材料が配置されていることを意味する。
なお、後述する製造方法では、1つの多孔質材料からなる同一の栽培支持体において、2株以上の青果物の栽培することにより青果物混合品が製造される。このため、青果物混合品においては、多孔質材料である栽培支持体の内部で、根が多孔質材料と緻密に絡み合った状態で、複数の青果物が一体化されている。
【0018】
なお、1つの多孔質材料上で2種以上の異なる青果物を同一に栽培することにより青果物混合品を製造する場合、栽培条件や、青果物のサイズによっては、多孔質材料の外部に根が過度に伸長する場合がある。この場合、青果物混合品の外観を良好にする点から、多孔質材料の外部に伸長した根を切り落とすのが好ましい。
根を切り落とす場合切断面が生じるが、基部が残り、且つ当該切断面は青果物の食用に供される部分と離れた位置に生じるので、根を切り落とすことによる青果物の鮮度保持への悪影響は少ない。
また、根を切り落とすことで、青果物混合品の重量及び体積が減るため、青果物混合品を流通させる際に、トラック等へ積載される青果物混合品の数を増やせる点等で有利である。
さらに、後述するように、青果物混合品を包装容器内に包装する場合があるが、根を切り落とし青果物混合品の体積を減少させることで、1つの包装容器に包装できる青果物混合品の数を増やせる場合がある。
【0019】
また、青果物混合品が根菜を含む場合、通常、根菜の可食部の先端が多孔質材料に包まれることで、根菜と、他の青果物とが一体化される。この場合、青果物の組み合わせは、根菜同士の組み合わせであってもよく、根菜と葉菜との組み合わせであってもよい。
例えば、ラディッシュと、カブとからなる青果物と、ブロック状の多孔質材料とから青果物混合品を構成する場合、ラディッシュ、及びカブがそれぞれの可食部の先端において多孔質材料によって固定されつつ、多孔質材料の面上からラディッシュ、及びカブの可食部が突出した状態に、青果物混合品が構成される。
ここで、ラディッシュ、カブ等について、主に食用に供される肥大した直根を便宜的に「可食部」と称する。また、ラディッシュ、カブ等について、可食部における、葉側とは反対側の端部を「可食部の先端」と称する。
【0020】
上記の通り、青果物混合品は、2種以上の品種の異なる青果物を含む。このため、上記の青果物混合品は、例えば、特許文献1に記載されるような従来の青果物混合品と同様に、調理の容易さ、栄養価の調整が可能であること、視覚的な付加価値の高さ等の利点を有する。
【0021】
また、上記の通り、青果物混合品は、根を備える2株以上の青果物を一体化して構成されている。このため、かかる青果物混合品では、従来のカットされた青果物を混合した青果物混合品における、切断面から進行する劣化の課題が解決され、青果物混合品の長期の鮮度保持が可能である。また、複数種の野菜を個別に栽培した場合でも、製品化する際にその重量合わせや梱包に手間がかからない。
【0022】
上記の青果物混合品を用いて調理を行う場合、青果物混合品から多孔質材料を分離した後に、青果物が調理に用いられる。
この際、複数種の青果物を、一括して多孔質材料と分離させることができるため、調理が容易である。青果物と多孔質材料とを分離させる方法は特に限定されない。典型的には、包丁や料理用鋏等を用いて多孔質材料を切断除去したり、手によって多孔質材料をむしり取ったりする方法により、青果物と多孔質材料とを分離する。
なお、青果物混合品が根菜を含む場合、根菜は、多孔質材料から分離された後、葉を除去してから調理に使用されてもよい。
【0023】
青果物混合品において、多孔質材料と分離された青果物の用途は特に限定されない。多孔質材料と分離された青果物は、そのままの大きさで料理に用いられてもよく、所望するサイズに刻んで料理に用いられてもよい。多孔質材料と分離された青果物は、典型的には、サラダ、炒め物、生春巻き、スープ、煮物、鍋料理や、食肉や魚等の焼成調理品におけるトッピング等に好適に用いられる。
また、青果物は、必要に応じて果物とともに、ジューサー又はミキサーにより摩砕され、野菜ジュースとされるのも好ましい。
【0024】
以下、青果物と、多孔質材料とについてそれぞれ説明する。
【0025】
<青果物>
前述の通り、青果物としては、葉菜又は根菜が用いられる。青果物の種類としては、葉菜、又は根菜であって、多孔質材料を用いて一体化できる限りにおいて特に限定されないが、葉菜を用いることがより好ましい。「葉菜類」とは、葉や茎の部分を主に食用とする野菜をいい、例えば、レタス、水菜、ホウレンソウ、春菊、小松菜、チンゲンサイ、キャベツ、白菜、しそ、からし菜、ケール、スイスチャード、大麦若葉、セルリー、ルッコラ、バジル、クレソン等が挙げられるが、これらに限定されない。
青果物混合品が、2種以上の品種の異なる青果物を含むことと、これによる利点とについては前述の通りである。
【0026】
青果物混合品に含まれる青果物の品種数は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。青果物混合品に含まれる青果物の品種数は、例えば、2品種以上10品種以下が好ましく、2品種以上5品種以下がより好ましく、2品種又は3品種が特に好ましい。
青果物混合品に含まれる青果物の品種数が上記の範囲内であると、青果物混合品の製造が容易である一方で、2種以上の品種の異なる青果物を用いることによる利点を生かしやすい。
【0027】
1つの青果物混合品に含まれる青果物の株数は、多孔質材料からなる栽培支持体において複数の青果物の株を同時に栽培する場合に、それぞれの青果物を所望するサイズまで生育させることができ、且つ複数の青果物の株を1つの栽培支持体によって一体に固定可能であれば特に限定されない。1つの青果物混合品に含まれる青果物の株数は、青果物混合品の製品における各青果物のサイズ、多孔質材料の形状やサイズ等に応じて適宜選択される。
典型的には、1つの青果物混合品に含まれる、1つの栽培支持体により固定される青果物の株数は、2以上50以下が好ましく、2以上30以下がより好ましく、3以上15以下が特に好ましい。
【0028】
青果物混合品における2株以上の青果物は、2種以上の品目の異なる青果物を含むのが好ましい。
また、青果物混合品における2株以上の青果物は、2種以上の科の異なる青果物を含むのがより好ましい。
なお、青果物についての品種の異同は、同一の品目内、又は同一の科内の範囲内において判定されるわけではない。青果物の品目や科が相違する場合には、青果物の品種も必ず相違する。
【0029】
品目や科が異なる青果物は、通常、葉、茎、根等の形状や色相が異なる。このため、品目や科が異なる複数の青果物を用いて青果物混合品を製造すると、生け花やガーデニングにおける寄せ植えと同様の観点から、見栄えが良く商品価値の高い青果物混合品を製造することが出来る。
【0030】
また、品目や科が異なる青果物は、品目や科が相違することによって、含まれる栄養素の組成が異なる場合が多い。このため、品目や科が異なる複数の青果物を含む青果物混合品では、青果物の種類を適宜選択することによって、栄養素のバランスを整えることが容易である。
【0031】
さらに、品目や科が異なる青果物は、歯応えや舌触り等の食感、食味、香り等が相違する。このため、品目や科が異なる複数の青果物を含む青果物混合品を料理用の食材として用いると、複雑な(単調でない)食感、食味、香り等を呈する、より多くの人に好まれやすい料理を提供することができる。
【0032】
ここで、青果物について「品目」とは、市場で認知されている野菜の種類の名前である。代表的な品目としては、例えば農林水産省の農林水産統計に記載の品目である、カブ、ゴボウ、ダイコン、ニンジン、小松菜、チンゲンサイ、フキ、ミツバ、春菊、水菜、セルリー、カリフラワー、ブロッコリー、ニラ、白菜、キャベツ、ホウレンソウ、ネギ、及びレタス(サラダ菜)等が挙げられる。
なお、品目は、前述の「品種」と、後述の「科」との中位概念であって、市場で認知されている野菜の種類の名前であれば、農林水産統計に記載の品目には限定されない。
農林水産統計に記載されていないが、市場で認知されている品目名としては、例えば、スイスチャード、クレソン、ケール、ルッコラ、大麦若葉等が挙げられる。
【0033】
また、青果物について「科」とは、植物分類学上の科である。典型的には、青果物混合品において用いられる葉菜又は根菜である青果物は、アブラナ科、セリ科、ヒユ科、キク科、マメ科、シソ科、ネギ科、イネ科、及びシナノキ科から選択される。
【0034】
アブラナ科の青果物の品目の具体例としては、キャベツ、白菜、小松菜、水菜、からし菜、ケール、クレソン、チンゲンサイ、ブロッコリー、カリフラワー、カイワレダイコン、ルッコラ、ダイコン、カブ、及びホースラディッシュ等が挙げられる。
セリ科の青果物の品目の具体例としては、セルリー(ホワイトセルリー)、ミツバ、コリアンダー(パクチー)、パセリ、イタリアンパセリ、セリ、チャービル、フェンネル、ディル及びニンジン等が挙げられる。
ヒユ科の青果物の品目の具体例としては、ホウレンソウ、スイスチャード、オカヒジキ、アマランサス及びテーブルビート等が挙げられる。
キク科の青果物の品目の具体例としては、レタス、春菊、エンダイブ、チコリー、ヨモギ、フキ、ツワブキ、エストラゴン、ゴボウ、キクイモ等が挙げられる。
マメ科の青果物の品目の具体例としては、ケツルアズキ(モヤシ)、大豆、緑豆、レンズマメ、ヒヨコマメ等が挙げられる。ただし、青果物混合品において、マメ科の青果物に関しては、種子ではなく、新芽であるスプラウトを青果物として用いる。
シソ科の青果物の品目の具体例としては、しそ、エゴマ、バジル、ミント、オレガノ、ラベンダー、ローズマリー、レモンバーム、セージ、マジョラム、及びタイム等が挙げられる。
ネギ科の青果物の品目の具体例としては、ネギ、アサツキ、ニラ、及びノビル等が挙げられる。
イネ科の青果物の品目の具体例としては、大麦(大麦若葉)、小麦(小麦若葉)、トウモロコシ等が挙げられる。
シナノキ科の青果物の品目の具体例としては、モロヘイヤ等が挙げられる。
【0035】
青果物混合品が、2種以上の品種の異なる青果物を含む場合、品目の好ましい組み合わせの具体例としては、ホワイトセルリー、クレソン、ルッコラ、ケール、バジル、スイスチャード、小松菜、ホウレンソウ、及び大麦からなる群より選択される2種、又は3種の組み合わせが挙げられる。
好ましい組み合わせの具体例としては、以下1)〜14)の組み合わせが挙げられる。
1)ホワイトセルリー/クレソン
2)ホワイトセルリー/ルッコラ
3)ホワイトセルリー/ケール
4)ホワイトセルリー/バジル
5)ホワイトセルリー/クレソン/ルッコラ
6)ホワイトセルリー/クレソン/ケール
7)ホワイトセルリー/クレソン/バジル
8)ホワイトセルリー/ルッコラ/ケール
9)ホワイトセルリー/ルッコラ/バジル
10)ホワイトセルリー/ケール/バジル
11)スイスチャード/小松菜
12)スイスチャード/ホウレンソウ
13)スイスチャード/小松菜/ホウレンソウ
14)ケール/大麦
【0036】
青果物混合品が、2種以上の科の異なる青果物を含む場合、青果物が、アブラナ科と、アブラナ科以外の他の科の青果物の組み合わせや、セリ科の青果物と、セリ科以外の他の科の青果物との組み合わせが好ましい。
好ましい組み合わせの具体例としては、以下a)〜k)の組み合わせが挙げられる。
a)アブラナ科/セリ科
b)アブラナ科/ヒユ科
c)アブラナ科/シソ科
d)アブラナ科/セリ科
e)セリ科/ヒユ科
f)セリ科/シソ科
g)アブラナ科/セリ科/ヒユ科
h)アブラナ科/セリ科/シソ科
i)アブラナ科/ヒユ科/シソ科
j)セリ科/ヒユ科/シソ科
k)アブラナ科/イネ科
【0037】
また、見栄えの良い青果物混合品を提供できることから、2種以上の異なる青果物が、その少なくとも一部分において互いに異なる色相を示す、少なくとも2種の品種の青果物を含むのが好ましい。
【0038】
ここで、上記の色相は、赤、青、黄、紫、緑、橙色、茶、黒、白、及び灰色から選択される色相である。
なお、赤、青、黄、紫、緑、橙色、茶、黒、白、及び灰色とは、色彩の分類上の定義には限定されない。例えば、青みがかった赤色は赤色とし、黄味がかった白色は白色とする。
【0039】
また、青果物について、一部において特定の色相を示す青果物とは、全体として緑色であるが茎が白い青果物(例えばホワイトセルリー)や茎が紫色の青果物(例えば紫ミズナ)、全体として緑色であるが茎が赤色、黄色、又は白色である青果物(例えばスイスチャード)や、全体として緑色であるが葉脈が赤い青果物(例えばケール)や、全体として緑であるが、根が橙色である青果物(例えばニンジン)や黒色である青果物(黒ダイコン)等が該当する。
【0040】
例えば、青果物が、茎が白く葉が緑色である葉菜と、茎が赤く葉が緑色である葉菜とを含む場合等が、2種以上の品種の異なる青果物が、その少なくとも一部分において互いに異なる色相を示す、少なくとも2種の品種の青果物を含む場合に該当する。
品目名を挙げて具体的に例示すると、青果物が、スイスチャード(赤色)と、ホワイトセルリー(白色)とを含む場合等が上記の場合に該当する。
【0041】
2種以上の品種の異なる青果物が、ハーブを含むのも好ましい。青果物混合品において、青果物がハーブを含む場合、香りや食味の点でアクセントとなり、青果物混合品の食材としての商品価値を高めることができる。
例えば、ローズマリー、ミント、セージ、マジョラム等のハーブを含む青果物混合品は、スープ、煮物、鍋料理や、食肉や魚等の焼成調理品における、肉や魚の臭みの低減に有効である。
【0042】
ハーブとは、農業分野の当業者に一般的にハーブとして認識されている青果物であれば特に限定されない。
ハーブの具体例としては、クレソン、ルッコラ、チコリー、エストラゴン、しそ、エゴマ、バジル、ミント、オレガノ、ラベンダー、ローズマリー、レモンバーム、マジョラム、タイム、コリアンダー(パクチー)、パセリ、ディル及びイタリアンパセリ等が挙げられる。
【0043】
青果物混合品において、青果物が1品種以上の葉菜を含む場合、1以上の葉菜の株のうち、もっとも草丈が長い株の草丈は、5cm以上が好ましく、10cm以上がより好ましく、15cmを超えるのが特に好ましい。
この場合、葉菜について、ある程度成長しているため葉菜の品種に応じた特有の香りや味を呈する青果物混合品を提供でき、また、十分に食べ応えがある青果物混合品を提供することができる。
【0044】
青果物混合品において、青果物が1品種以上の葉菜を含む場合、1以上の葉菜の株のうち、もっとも草丈の長い株の草丈は、35cm以下が好ましく、30cm以下がより好ましい。
この場合、青果物混合品における青果物の可食部の量が過度に多くなく適切な量であるため、青果物混合品を用いて調理を行う場合に、調理をしやすい。
また、青果物混合品のサイズが大きすぎないことから、青果物混合品の流通時等の箱等への梱包、小売店での青果物混合品の陳列、飲食店又は家庭での青果物混合品の冷蔵庫への収納等が容易である。また、青果部物混合品の傷つき等も抑制できる。
【0045】
青果物混合品が青果物として葉菜を含む場合、葉菜の全ての株の草丈が、葉菜の全ての株の草丈の平均値に対して±50%以内の範囲内であるのが好ましく、±30%以内の範囲内であるのがより好ましく、±20%以内の範囲内であるのが特に好ましい。
葉菜の草丈が揃っていることにより、見栄えの良い青果物混合品を提供できるためである。
【0046】
複数種の青果物それぞれについて、サイズを揃えたうえで多孔質材料によって根をまとめて青果物混合品を製造する場合、青果物をサイズ毎に選別するのに手間がかかる場合がある。他方、1つの多孔質材料上で、2種以上の異なる青果物を同一に栽培することにより青果物混合品を製造する場合、このような、青果物のサイズ毎の選別のような手間をかけることなく、栽培条件の調整により、葉菜の複数の全ての株の草丈のバラツキを小さくしやすい利点がある。
【0047】
他方、敢えて、青果物のサイズにバラツキを生じさせるのが好ましい場合がある。通常、青果物について、品目や品種毎に美味しさ・見た目・使い勝手の点で最も好ましいとされるサイズが異なる。この点を考慮し、青果物混合品において、青果物を構成する各品種のサイズを個別に異なるサイズに設定するのも好ましい。
【0048】
また、青果物混合品が青果物として2種以上の葉菜を含み、且つ当該葉菜がハーブを含む場合、ハーブの草丈のうち最も草丈が長い株の草丈が、ハーブ以外の葉菜の株のうち最も草丈が長い株の草丈よりも短いのが好ましい。
より具体的には、ハーブ以外の葉菜の株のうち最も草丈が長い株の草丈が25cm以上35cm以下であって、ハーブの草丈のうち最も草丈が長い株の草丈が5cm以上20cm以下であるのがより好ましい。
一般にハーブは、強い香りや、苦み、渋み、辛み等を有することが多い。この点、ハーブの草丈を、ハーブ以外の葉菜の草丈よりも短めに設定することにより、青果物混合品を用いた料理において、ハーブに由来する香りや、苦み、渋み、辛み等を適度な範囲に抑えることができる。
【0049】
なお、ハーブの中では比較的香りが弱く、苦み、渋み、辛み等もさほど強くないことから、ハーブとしてクレソンやルッコラ等を用いる場合には、ハーブの草丈を、ハーブ以外の葉菜と同等に設定することが許容される。
【0050】
また、青果物混合品が青果物としてハーブを含む場合、多孔質材料から分離された状態の青果物の重量における、ハーブの重量の割合は、ハーブの種類によっても異なるが、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が特に好ましい。
【0051】
<多孔質材料>
栽培支持体として使用される多孔質材料の材質は、樹脂等の有機材料でもよく、ガラス、陶器(セラミック)、鉱物(例えばロックウール)等の無機材料でもよい。青果物混合品の流通時に、青果物を傷つけたりしにくい点から、外力により弾性変形可能な軟質の材料が好ましい。このような軟質の多孔質材料は、典型的には樹脂発泡体である。
【0052】
多孔質材料としては、スポンジ状の多孔質材料、繊維材料からなるフェルト状の多孔質材料、織布、織布の積層体、不織布、不織布の積層体等を特に制限なく用いることができる。これらの多孔質材料の中では、空隙率や、細孔径の調整が容易であることや、繊維の抜け落ちによる発塵等が生じにくいこと等から、スポンジ状の多孔質材料が好ましい。
【0053】
スポンジ状の多孔質材料を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。弾力性に富むことから樹脂からなる多孔質材料としては、ウレタンフォームが好ましい。
【0054】
多孔質材料の形状は特に限定されず、立方体、直方体、円柱、三角柱、五角中、正四面体、球、楕円球、半球等の種々の形状を採用しうる。多孔質材料の入手や製造が容易であることや、作業台等に置いた場合に安定であること等から、多孔質材料の形状としては立方体、又は直方体が好ましい。
また、前述のように、複数の青果物の株の根をまとめたうえで、根の外周を多孔質材料により包む場合、筒状、又はシート状の多孔質材料が好ましい。
【0055】
多孔質材料が立方体、又は直方体である場合、多孔質材料の一辺の長さは、それぞれ0.5cm以上10cm以下が好ましく、1cm以上5cm以下がより好ましく、2cm以上5cm以下が特に好ましい。
多孔質材料からなる栽培支持体からの種子の脱落を防ぐために、多孔質材料からなる栽培支持体の青果物の種子を播く面に1つ以上の凹部を設けるのも好ましい。
【0056】
青果物混合品において、多孔質材料は、乾燥した状態であってもよく、湿潤した状態であってもよく、湿潤した状態であるのが好ましい。多孔質材料が湿潤している場合、多孔質材料が含む液体は、水であってもよいが、植物にとっての栄養分を含む水溶液であるのが好ましい。植物にとっての栄養部を含む水溶液としては、多孔質体により固定される青果物の栽培に使用し得る養液であるのが好ましい。
多孔質材料が、水、好ましくは養液で湿潤している場合、青果物が根から水や栄養分を吸収できるため、青果物混合品の鮮度を長期間保持しやすい。
【0057】
≪青果物混合品の製造方法≫
青果物混合品の製造方法は、下記の工程(i)〜工程(iii);
(i)多孔質材料からなる同一の栽培支持体への、2種以上の青果物の種子の播種を行うこと、
(ii)2種以上の青果物の種子を発芽させた後、育苗を行うこと、及び、
(iii)2種以上の青果物の苗を、各青果物毎に予め定められた所定のサイズに達するまで生育させることと、を備える。
以下、2種以上の青果物の種子の播種について、工程(i)とも記す。発芽、及び育苗について工程(ii)とも記す。2種以上の青果物の苗の、所定のサイズに達するまでの生育を工程(iii)とも記す。
【0058】
上記の青果物混合品の製造方法では、工程(ii)において育苗を行った後、2種以上の青果物の苗を備える栽培支持体を栽培本圃に定植したうえで、工程(iii)での青果物の生育を行うのが好ましい。
青果物の苗を備える栽培支持体の栽培本圃への定植を行うことなく、工程(iii)での青果物の生育を行うことも可能である。
【0059】
青果物の栽培方法としては、土を使用せずに、ミネラルやその他のイオンを含有した養液を用いて植物を栽培する水耕栽培を用いることが好ましい。水耕栽培とは、農地を必要とせず、設備さえあれば立地や自然環境を問わず、適切な条件下に栄養、光、水、温度、二酸化炭素等の生育条件を完全に管理した状態で植物を栽培することであり、それにより植物の生育を早め、収穫効率を高めることができ、収穫の時期調整も容易に行えるとともに、植物に付着する菌数を抑制することができるため、土耕栽培に比べ野菜等を新鮮な状態で長く保持することができるという利点がある。
【0060】
多孔質材料からなる1つの栽培支持体において、2種以上の異なる青果物を含む、2株以上の青果物を同一に栽培することにより青果物混合品を製造する場合、2品種以上の青果物それぞれについて、品種毎に、所望する株数に応じた1つ以上の種子を多孔質材料上に播く。各品種についての1つの多孔質材料に播かれる種子の数は、青果物混合品における各品種の所望する株数と、各品種の種子の発芽率等を勘案したうえで、少なくとも1つの種子が発芽するように適宜決定される。また、種子の数と同じく、発芽時の条件、苗の育成の条件、苗を青果物混合品の製品へと育成する条件等も、青果物の品種によって異なる場合が多い。このため、上記の青果物混合品の製造方法では、青果物の品種に応じた種々の条件調整が行われるのが好ましい。
【0061】
以下、同一支持体における複数種の青果物の栽培により青果物混合品を製造する方法における、好ましい条件調整について説明する。
【0062】
<播種時期の調整>
複数の品種の青果物を同一の栽培支持体において栽培する場合、一般的には、発芽から、苗のサイズが予め定められた所定のサイズに到達するまでの期間(日数)と、青果物のサイズが予め定められた所定のサイズに到達するまでの期間(日数)が、品種毎に異なることが多い。
このため、工程(i)における青果物の種子の播種から、工程(ii)において、2種以上の青果物の苗のサイズが、各青果物毎に予め定められた所定のサイズに達するまでの期間は、各品種毎に、発芽から、苗のサイズが予め定められた所定のサイズに到達するまでの期間(日数)と、青果物のサイズが予め定められた所定のサイズに到達するまでの期間(日数)とに応じて、調整されるのが好ましい。
この点、複数の所定の品種の種子が全て発芽した後には、芽、苗、又は青果物は、栽培支持体により一体化されて取り扱われる。
このため、複数の所定の品種の種子が全て発芽した後には、発芽から、苗のサイズが予め定められた所定のサイズに到達するまでの期間(日数)と、青果物のサイズが予め定められた所定のサイズに到達するまでの期間(日数)とについての何らかの調整を、各品種について異なる日に行うことはできない。以上の事情から、上記の調整は、品種毎に播種の時期(日にち)を設定することにより行われる。
発芽から、苗のサイズが予め定められた所定のサイズに到達するまでの期間(日数)と、青果物のサイズが予め定められた所定のサイズに到達するまでの期間(日数)とが長いほど、早い時期に播種が行われる。
【0063】
各品種について、特に、発芽から、苗のサイズが予め定められた所定のサイズに到達するまでの期間(日数)が最適化されることにより、発芽及び苗の生育が良好に進行し、発芽率が高められる。
【0064】
なお、青果物混合品における異なる品種において、発芽から、苗のサイズが予め定められた所定のサイズに到達するまでの期間(日数)と、青果物のサイズが予め定められた所定のサイズに到達するまでの期間(日数)とが、同じか、ほぼ同じである場合がある。
この場合、上記の播種を行う時期の調整を行った結果、少なくとも2種の異なる品種の種子が同日に播種されてもよい。
【0065】
青果物混合品の生産性の観点から、種子が播かれる時期について、最も早い時点と最も遅い時点との差は、14日以内であるのが好ましく、10日以内であるのがより好ましく、8日以内であるのが特に好ましい。
また、播種から青果物混合品の収穫までの期間は特に限定されないが、典型的には5日以上50日以下であるのが好ましく、15日以上45日以下がより好ましい。
【0066】
<水耕液の組成の調整>
工程(i)の開始から工程(ii)の終了までの期間において、栽培支持体を湿潤させる水耕液の組成を変化させるのも好ましい。品種によって、発芽時、又は苗の育成時における最適な水耕液の組成が相違する場合があるためである。
このため、水耕液の組成の変化は、2回目(2品種目)以降の各播種の時期において行われるのが好ましい。
【0067】
水耕液の組成を変化させる方法は特に限定されない。水耕液の組成の変化は、連続的であっても、不連続であってもよい。
例えば、水耕液に含まれる栄養成分の濃度を増加させる場合には、水耕液に対して栄養成分を添加して組成を変化させてもよく、水耕液を徐々に又は一度に所定の組成の水耕液に置換して組成を変化させてもよい。
また、水耕液に含まれる栄養成分の濃度を低下させる場合には、水耕液を水により希釈して組成を変化させてもよく、水耕液を徐々に又は一度に所定の組成の水耕液に置換して組成を変化させてもよい。水耕液を水により希釈する場合、特定の栄養成分の濃度のみを下げるために、水による希釈を行いつつ、特定の栄養成分以外の栄養成分を水耕液に添加してもよい。
水耕液に含まれる栄養成分の濃度を増減させる方法としては、栄養成分の添加や、水耕液の希釈についての精密な制御が不要である点等から、水耕液を、一度に所定の組成の水耕液に置換する方法が好ましい。
なお、水耕液を置換する方法は特に限定されない。水耕液を置換する方法は、例えば、同一の容器において水耕液を入れ替える方法であってもよく、組成の異なる水耕液に満たされた他の容器を準備しておいたうえで、栽培支持体を当該他の容器に移動させる方法であってもよい。
【0068】
<発芽時の明るさの調整>
青果物の品種の組み合わせによっては、明環境下でより発芽・生育の優れた好光性の種子と、暗環境下でより発芽・生育の優れた嫌光性の種子とを組み合わせて用いる場合がある。この場合、双方の種子を良好に発芽させるために、種子を明環境下におく期間と、種子を暗環境下におく期間とを設けるのが好ましい。
具体的には、暗環境下でより発芽・生育の優れた嫌光性の種子を暗環境下で発芽させた後に、暗環境下でより発芽・生育の優れた好光性の種子を明環境下で発芽させるのが好ましい。
【0069】
明環境下で発芽しやすい好光性の種子と、暗環境下で発芽しやすい嫌光性の種子とのうち、好光性の品目としては、例えば、しそ、セルリー(ホワイトセルリー)、ニンジン、春菊、ミツバ、レタス、ケール、クレソン、ルッコラ及びゴボウ等が挙げられる。嫌光性の品目としては、例えば、ダイコン、ネギ、ニラ、スイスチャード、及びホウレンソウ等が挙げられる。
【0070】
なお、明るさ以外は同一の発芽条件下において、明環境と、暗環境とで、それぞれ50粒程度の同一品種の種子を発芽させて発芽率を確認することによって、種子が、好光性であるか、嫌光性であるかを確認することができる。
明環境としては、例えば、LED光源(光量子:20〜200μmol・m
−2・s
−1、より好ましくは、50〜180μmol・m
−2・s
−1、さらに好ましくは85〜155μmol・m
−2・s
−1)の環境が挙げられる。暗環境としては、十分に遮光されていれば特に限定されない。
明環境下での発芽率が、暗環境下での発芽率よりも高ければ好光性の種子である。暗環境下での発芽率が、明環境下での発芽率よりも高ければ嫌光性の種子である。なお、用いられる光源は、LED光源(白色、赤色、青色、その他)や蛍光灯等、特に限定されない。
【0071】
<発芽時の温度条件の調整>
2種以上の品種の異なる青果物について、種子の播種が複数の時期に分けて行われる場合、播種が行われる複数の時期のそれぞれの後の期間において、種子を発芽させるための温度条件が異なる温度条件に調整されるのが好ましい。
このような調整を行うことにより、品種の異なる青果物それぞれについての発芽率を高めることができる。典型的には、播種が行われる複数の時期のそれぞれの後の期間において、播種された種子の発芽についての至適温度に、温度条件が調整される。
なお、前述の代表的な青果物の各品目について、発芽時の至適温度条件は種々の文献により周知である。
【0072】
温度条件は、一日の間において一定に制御されてもよく、変化して制御されてもよい。一日の温度を変化して制御される場合、例えば、屋外の気温の変動と同じく、5℃12時間/10℃3時間/15℃6時間/10℃3時間のようなサイクルを繰り返すように環境温度が制御されてもよい。
温度の制御は、気温についての制御であってもよく、養液の温度の制御であってもよい。
【0073】
<播種数の調整>
青果物混合品において、各品種毎に予め定められた、1つの栽培支持体に固定される株数と、青果物混合品における各品種の発芽率とに応じて、工程(i)において栽培支持体に播種される種子の数が各品種毎に調整されるのが好ましい。
例えば、発芽率が低い品種の種子について播種数が過少である場合、各品種について所望する数の苗を備える栽培支持体を効率よく準備しにくい場合がある。この場合、発芽率が低い品種の種子について播種数を増やす調整が行われるのが好ましい。
また、栽培支持体のサイズに対して、播種数が多すぎることにより発芽率が低下する場合がある。この場合、発芽率が高まるように、播種数を減らす調整が行われるのが好ましい。
【0074】
<栽培支持体の調整>
青果物の品種によっては、栽培支持体に関する、形状、サイズ、平均細孔径、空隙率、及び材質が、その生育に影響を与える場合がある。このため、青果物混合品における品種の組み合わせに基づいて、栽培支持体について、形状、サイズ、平均細孔径、空隙率、及び材質からなる群より選択される少なくとも1つが調整されるのが好ましい。
【0075】
種子が播かれる面に凹部が形成される場合、凹部の開口径は、凹部に数個の種子を播けるように、種子の平均径よりも大きめ(例えば3倍から20倍)であってもよい。また、1つの凹部に1つの種子を播く場合、凹部の径は、種子の平均径よりやや大きめ(例えば1.5倍から2倍)であるのが好ましい。
凹部の深さ・大きさ(開口サイズ)・形状は特に限定されず、品種に応じて適宜設定される。
【0076】
青果物混合品に、太めの根を発生させる品種が含まれている場合、栽培支持体を構成する多孔質材料として、大きめの平均細孔径を有する多孔質材料が選択されるのが好ましい。この場合、多孔質材料の平均細孔径は特に限定されず、青果物混合品に含まれる品種が発生させる根の太さを勘案して適宜決定される。
【0077】
青果物混合品に、多量の根を発生させる品種が含まれている場合、栽培支持体を構成する多孔質材料として、高い空隙率を有する多孔質材料が選択されるのが好ましい。この場合、多孔質材料の空隙率は特に限定されず、青果物混合品に含まれる品種が発生させる根の量を勘案して適宜決定される。
【0078】
青果物混合品における品種の組み合わせによっては、一部の品種における根の伸長が、他の品種の根の伸長を妨げるような場合がある。また、栽培支持体への播種数が多い場合に、発芽率が低下する場合がある。
このような場合には、青果物混合品に含まれる各品種の株について、それぞれ根を十分に伸長させることができるように、大きめの栽培支持体が使用されるのが好ましい。
この場合、大きめの栽培支持体の形状としては、例えば、一片の長さが5cm以上10cm以内であるような、立方体、又は直方体が挙げられる。
【0079】
<品種の組み合わせの調整>
青果物混合品の生産性の観点からは、工程(ii)において、2種以上の青果物の苗のサイズが、各青果物毎に予め定められた所定のサイズに達した時点から、各品種毎に予め設定された収穫時のサイズまで苗が生育するまでの期間(以下、「生育期間」とも記す。)が、青果物混合品に含まれる複数の品種間で揃うように、青果物混合品に含まれる青果物の品種の組み合わせが選択(調整)されるのが好ましい。
ここで、上記の生育期間が品種間で揃うとは、生育に最も長い生育期間を要する品種と、生育に最も短い期間を要する品種とについての生育期間の差が7日以内であることを言う。前述の生育期間の差は、好ましくは4日以内であり、より好ましくは3日以内である。
【0080】
≪青果物混合品の包装製品の製造方法≫
青果物混合品を商品として流通させる場合、青果物混合品は、包装されていなくてもよく、包装されていてもよい。
青果物混合品の乾燥や、青果物混合品における傷の発生を防ぎやすい観点から、青果物混合品は包装容器内に包装されるのが好ましい。
つまり、青果物混合品は、1種類以上の青果物混合品が、包装容器内に包装された包装製品として流通するのが好ましい。
【0081】
青果物混合品の包装製品の製造方法は、通常、下記の工程(I)及び工程(II):
(I)前述の製造方法により青果物混合品を製造すること、及び、
(II)1種類以上の青果物混合品を、包装容器内に包装すること、
を含む。
【0082】
包装製品において、1つの包装容器に包装される青果物混合品の数は特に限定されない。1つの包装容器に包装される青果物混合品の数は、典型的には、1以上10以下が好ましく、1以上5以下がより好ましく、1以上3以下が特に好ましい。
【0083】
青果物混合品を含む包装製品について、包装形態は特に限定されない。典型的には、1つ以上の青果物混合品を、箱又は袋等の包装容器に封入するのが好ましい。
2つ以上の青果物混合品を、1つの包装容器内に包装する場合、2つ以上の青果物混合品それぞれにおける、2株以上の青果物についての品種の組み合わせは、互いに同一であっても、異なっていてもよい。ここで、2つの青果物混合品において、2株以上の青果物についての品種の組み合わせが互いに同じである場合を、2つの青果物混合品の種類が同一であるとし、2株以上の青果物についての品種の組み合わせが互いに異なる場合を、2つの青果物混合品の種類が異なるとする。
【0084】
具体的には、ホワイトセルリー、クレソン、及びルッコラからなる2つ以上の青果物混合品を、1つの包装容器内に包装する場合は、2つ以上の青果物混合品それぞれにおける、2株以上の青果物についての品種の組み合わせが同一である場合に該当する。
他方、ホワイトセルリー、クレソン、及びルッコラからなる1つ以上の青果物混合品と、スイスチャード、及び小松菜からなる1つ以上の青果物混合品とを、1つの包装容器内に包装する場合は、2つ以上の青果物混合品それぞれにおける、2株以上の青果物についての品種の組み合わせが異なる場合に該当する。
前者については、同種の青果物混合品が、1つの包装容器に包装されることによって、多量の料理を効率よく作ることが可能である点で有用である。
他方、後者については、1つの包装容器に、形状や彩りの異なる複数種の青果物混合品が含まれることによって、さらに見栄えの良い包装製品を提供でき、複数種の野菜を個別に栽培した場合と比べ、製品化する際にその重量合わせや梱包に手間がかからない点で有用である。
【0085】
包装容器の材質は、特に限定されず、紙、樹脂シート、樹脂フィルム等を用いることができる。また、青果物の呼吸量を抑制し保存性を高める目的等で、包装容器内に二酸化炭素や窒素を封入してもよい。
【0086】
また、青果物混合品が、包装容器内に包装されている場合、青果物混合品の可食部の乾燥を抑制できる点から、多孔質材料が、水や養液等により湿潤しているのが好ましい。
【0087】
青果物混合品を、包装容器内に包装する方法としては、従来の青果物の包装容器内への包装方法を特に制限なく採用することができる。
【実施例】
【0088】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0089】
〔実施例1〕
ホワイトセルリー、ルッコラ、及びクレソンを青果物として含み、1つの栽培支持体においてこれらの青果物を同一に栽培することにより製造された青果物混合品について、以下説明する。実施例1で用いた各青果物について、品目毎の色相と区分とを以下に示す。
<品目:色相/区分>
ホワイトセルリー:白色(茎)/葉菜
ルッコラ:緑色/ハーブ
クレソン:緑色/ハーブ
【0090】
I)栽培支持体として、切れ目を有しつつ切断可能に連結された25mm角の直方体形状の軟質のポリウレタンフォームのブロックの集合体を用いた。ポリウレタンフォームのブロック1つにつき、ホワイトセルリーの種子を6つ播いた後に、水道水に潅水した。潅水後、種子を市販の透明な樹脂フィルムで覆った後、後述の発芽条件に種子をおいた。
【0091】
II)I)の6日後に、樹脂フィルムを外し、次いでクレソンの種子とルッコラの種子とを、ポリウレタンフォームのブロック1つにつき3つずつ播いた。その後、水道水を水耕液(養液)に変更し、種子を透明な樹脂フィルムで覆った後、後述の発芽条件に種子をおいた。
【0092】
III)I)の12日後に樹脂フィルムを外し、発芽試験として発芽数を確認した。この発芽試験には、30個のポリウレタンフォームブロックを用いた。発芽数と、各ポリウレタンフォームブロックに関しての、青果物混合品製造用の苗と使用可否とを、表1に記す。
ホワイトセルリーが3つ以上発芽し、ルッコラが2つ以上発芽し、クレソンが2つ以上発芽している場合を、青果物混合品製造用の苗として使用可であると判断した。これらの結果を表1に記す。
【0093】
【表1】
【0094】
IV)I)の14日後に、苗が定着したポリウレタンフォームのブロック集合体を、個別のブロックに分離した後、上記III)に記載の判断基準において、青果物混合品製造用の苗として使用可であると判断した苗を水耕栽培装置に移植した。なお、I)〜III)の操作を2回行い青果物混合品製造用の苗を取得した。取得された苗のうち計50個を、水耕栽培装置に移植した。水耕栽培装置において、穴の開いた発泡パネルの開口に苗が定着したブロックをはめ込んだ後、苗を後述の生育条件においた。
V)I)の37日後にポリウレタンフォームのブロックにより一体化されたホワイトセルリー、ルッコラ、及びクレソンからなる青果物混合品を、水耕栽培装置より収穫した。なお、収穫後、ポリウレタンフォームのブロックから外部に伸長した根を切り落とした。また、根を切断された青果物混合品を1つ、OPPの防曇フィルムの包装袋内に包装し、青果物混合品を含む包装製品を得た。
【0095】
下表2に、実施例1における播種から収穫までのタイムスケジュールを示す。なお、下表2における「除去」は、ホワイトセルリーの播種から12日後の樹脂フィルムの除去である。
また、収穫された青果物混合品のうち任意に選択した37個について、質量(ポリウレタンフォームを含む)、ホワイトセルリーの株数、ルッコラの株数、クレソンの株数、及び青果物混合品中の全株のうち最も草丈が長い株の草丈(単位cm、0.5cm単位で計測)を測定した。これらを、表3に記す。
さらに、実施例1で得られた青果物混合品の外観の写真を、
図1に示す。
【0096】
<発芽条件>
光源:LED光源(光量子:85〜155μmol・m
−2・s
−1)
潅水:養液栽培用肥料(OATアグリオ社製SA処方)の水希釈液(肥料濃度:1.8〜1.9(ms/cm)、pH:5.7〜6.3)
明期/暗期:14/10時間
空間温度:18〜25℃
<生育条件>
光源:LED光源(光量子:85〜155μmol・m
−2・s
−1)
潅水:養液栽培用肥料(OATアグリオ社製SA処方)の水希釈液(肥料濃度:1.8〜1.9(ms/cm)、pH:5.7〜6.3)
明期/暗期:14/10時間
空間温度:18〜25℃
CO
2濃度:1200〜1800ppm
【0097】
【表2】
【0098】
【表3】
【0099】
上記表2によれば、実施例1の方法に従って、草丈や重量にある程度のバラツキが認められるものの、最長草丈や質量が特定の範囲内におさまった青果物混合品を多数個同時に製造可能であることが分かる。実施例1で製造した青果物混合品では、香りの強いホワイトセルリーについて、草丈が長くなり過ぎないように設定されている。このため、実施例1で製造した青果物混合品から分離された青果物全量を用いて調理を行う場合、ホワイトセルリーの香りが強すぎない食べやすい料理を提供できる。
【0100】
〔実施例2〕
ポリウレタンフォームのブロック1つにつき、ホワイトセルリーの種子6つと、ルッコラの種子3つと、クレソンの種子3つとを同時に播いた後に、水道水に潅水した。ポリウレタンフォームとしては、実施例1で用いたポリウレタンフォーム30個が使用された。潅水後、種子を市販の透明な樹脂フィルムで覆った後、実施例1と同様の発芽条件に種子をおいた。
播種から6日後に、水道水を水耕液(養液)に変更した。播種から12日後に樹脂フィルムを外し、発芽数を確認した。
発芽数と、各ポリウレタンフォームブロックに関しての、青果物混合品製造用の苗と使用可否とを、表4に記す。
なお、ホワイトセルリーが3つ以上発芽し、ルッコラが2つ以上発芽し、クレソンが2つ以上発芽している場合を、青果物混合品製造用の苗として使用可であると判断した。
【0101】
〔実施例3〕
ホワイトセルリーの種子6つと、ルッコラの種子6つと、クレソンの種子6つとを播種することの他は、実施例1と同様に発芽試験を行った。
発芽数と、各ポリウレタンフォームブロックに関しての、青果物混合品製造用の苗と使用可否とを、表5に記す。
なお、ホワイトセルリーが3つ以上発芽し、ルッコラが2つ以上発芽し、クレソンが2つ以上発芽している場合を、青果物混合品製造用の苗として使用可であると判断した。
【0102】
〔実施例4〕
ホワイトセルリーの種子1つと、ルッコラの種子1つと、クレソンの種子1つとを播種することの他は、実施例1と同様に発芽試験を行った。
発芽数と、各ポリウレタンフォームブロックに関しての、青果物混合品製造用の苗と使用可否とを、表6に記す。
なお、ホワイトセルリーが1つ以上発芽し、ルッコラが1つ以上発芽し、クレソンが1つ以上発芽している場合を、青果物混合品製造用の苗として使用可であると判断した。
【0103】
〔実施例5〕
水道水から水耕液(養液)の潅水の変更を行わないことの他は、実施例1と同様に発芽試験を行った。
発芽数と、各ポリウレタンフォームブロックに関しての、青果物混合品製造用の苗と使用可否とを、表7に記す。
なお、ホワイトセルリーが3つ以上発芽し、ルッコラが2つ以上発芽し、クレソンが2つ以上発芽している場合を、青果物混合品製造用の苗として使用可であると判断した。
【0104】
【表4】
【0105】
【表5】
【0106】
【表6】
【0107】
【表7】
【0108】
実施例1と、実施例2とを比較する場合、実施例1については播種時期の調整が行われていると言える。実施例1と、実施例2との比較によれば、実施例1では播種時期の調整により発芽率が高められていることが分かる。
【0109】
実施例1と、実施例3とを比較する場合、実施例1について播種数の調整が行われていると言える。実施例3では、苗として使用可能な栽培支持体の取得数こそ、実施例1と変わらないものの、各品種について発芽率が低下していることが分かる。
このことから、実施例1の方法は、少ない播種数で十分に多数の苗として使用可能な栽培支持体を取得できる、より好ましい方法であることが分かる。
【0110】
また、実施例1と、実施例4とを比較する場合も、実施例1について播種数の調整が行われていると言える。実施例4では、青果物混合品を製造するための苗として使用可能な栽培支持体を取得することができるが、播種数が少ない。
これに対して、実施例4よりも播種数が適度な範囲で多い実施例1では、栽培支持体30個当たりの数として、実施例4よりも多数の、青果物混合品を製造するための苗として使用可能な栽培支持体を取得することができる。
また、苗が水耕栽培装置に定植された後に、良好に生育しない場合があるため、実施例4よりも播種数を増やす方が好ましい。
【0111】
実施例1と、実施例5とを比較する場合、実施例1について、品種に応じて水耕液の組成が調整されていると言える。実施例5では、ルッコラ及びクレソンについて、水耕液(養液)ではなく水道水を潅水して発芽させたのに対して、実施例1では、ルッコラ及びクレソンについて水耕液(養液)を潅水して発芽させたため、実施例1でのルッコラ及びクレソンの発芽率は、実施例5での発芽率よりも良好である。
【0112】
〔実施例6〕
ホウレンソウの種子2つと、バジルの種子1つと、小松菜の種子1つとを用いて、以下の方法に従って、発芽試験を行った。
【0113】
I)栽培支持体として、切れ目を有しつつ切断可能に連結された25mm角の直方体形状の軟質のポリウレタンフォームのブロックの集合体を用いた。ポリウレタンフォームのブロックは60個使用された。ポリウレタンフォームのブロック1つにつき、ホウレンソウの種子2つを播いた後に、水道水に潅水した。潅水後、種子を市販の透明な樹脂フィルムで覆った後、光照射を行わない暗環境下で、約15℃の発芽条件に種子をおいた。
【0114】
II)I)の4日後に、樹脂フィルムを外し、バジルの種子を1つ播いた。樹脂フィルムでバジルの種子を覆った後、バジルの種子を下記の発芽条件においた。
<発芽条件>
光源:LED光源(光量子:85〜155μmol・m
−2・s
−1)
潅水:水道水
明期/暗期:14/10時間
空間温度:18〜25℃
【0115】
III)I)の7日後に、樹脂フィルムを外し、小松菜の種子を1つ播いた。樹脂フィルムで小松菜の種子を覆った後、小松菜の種子を下記の発芽条件においた。
<発芽条件>
光源:LED光源(光量子:85〜155μmol・m
−2・s
−1)
潅水:養液栽培用肥料(OATアグリオ社製SA処方)の水希釈液(肥料濃度:1.8〜1.9(ms/cm)、pH:5.7〜6.3)
明期/暗期:14/10時間
空間温度:18〜25℃
【0116】
IV)I)の9日後に、樹脂フィルムを外し、ホウレンソウ、バジル、及び小松菜のそれぞれについて発芽数を確認した。
発芽数の確認の結果、ホウレンソウについて、1つの栽培支持体において少なくとも1つ発芽している場合を合格とした。バジルについては、1つの栽培支持体において1つ発芽している場合を合格とした。小松菜については、1つの栽培支持体において1つ発芽している場合を合格とした。
また、60個の栽培支持体について、3品種の苗を備える栽培支持体の数と、2品種の苗を備える栽培支持体の数と、1品種の苗を備える栽培支持体の数と、苗を備えない栽培自体の数とを確認した。
これらの確認の結果とを表8及び表9に記す。
【0117】
なお、実施例6の発芽試験は、ホウレンソウ、バジル、及び小松菜のそれぞれについて、播種時期の調整が行われていると言える。
実施例6の発芽試験は、ホウレンソウと、バジル及び小松菜とで、発芽時の明るさと、発芽時の温度とが調整されていると言える。
また、実施例6の発芽試験では、ホウレンソウ及びバジルと、小松菜とで水耕液の組成が調整されていると言える。
【0118】
【表8】
【0119】
【表9】
【0120】
表8によれば、バジルの合格率がやや低いことが分かる。このことから、バジルの播種数を2つに増やすことにより、3品種の苗を備える合格の栽培支持体数の取得率の向上を図れることが分かる。
【0121】
〔実施例7〕
スイスチャード、及び小松菜を青果物として含み、1つの栽培支持体においてこれらの青果物を同一に栽培することにより製造された青果物混合品について、以下説明する。実施例7で用いた各青果物について、品目毎の色相と区分とを以下に示す。
<品目:色相/区分>
スイスチャード:赤色、黄色、白色(茎、葉脈)/葉菜
小松菜:緑色/葉菜
【0122】
I)栽培支持体として、切れ目を有しつつ切断可能に連結された25mm角の直方体形状の軟質のポリウレタンフォームのブロックの集合体を用いた。ポリウレタンフォームのブロック1つにつき、スイスチャードの種子を1つ播いた後に、水道水に潅水した。潅水後、種子を市販の透明な樹脂フィルムで覆った後、光照射を行わない暗環境下で、発芽条件に種子をおいた。
【0123】
II)I)の7日後に、樹脂フィルムを外し、次いで小松菜の種子を、ポリウレタンフォームのブロック1つにつき1つずつ播いた。その後、水道水を水耕液(養液)に変更し、種子を透明な樹脂フィルムで覆った後、発芽条件に種子をおいた。
【0124】
III)I)の9日後に樹脂フィルムを外した。
【0125】
IV)I)の11日後に、苗が定着したポリウレタンフォームのブロック集合体を、個別のブロックに分離した後、各ブロックを水耕栽培装置に移植した。水耕栽培装置において、穴の開いた発泡パネルの開口に苗が定着したブロックをはめ込んだ後、苗を生育条件においた。
【0126】
V)I)の35日後にポリウレタンフォームのブロックにより一体化されたスイスチャード、及び小松菜からなる青果物混合品を、水耕栽培装置より収穫した。なお、収穫後、ポリウレタンフォームのブロックから外部に伸長した根を切り落とした。
【0127】
発芽条件、及び生育条件について、スイスチャードの発芽を光を照射しない暗環境下で行ったことを除き、実施例1と同様である。
【0128】
収穫された青果物混合品のうち42個について、質量(ポリウレタンフォームを含む)と、スイスチャードの草丈と、小松菜の草丈とを測定した。
その結果、42個の青果物混合品についての、質量は30gから70gの範囲内であった。また、スイスチャードの草丈と、小松菜の草丈とは、それぞれ15cmから30cmの範囲内であった。実施例7で製造した青果物混合品では、独特のえぐみのあるスイスチャードに加えて、味に癖の少ない小松菜が同程度含まれるように設定されている。このため、実施例7で製造した青果物混合品から分離された青果物全量を用いて調理を行う場合、スイスチャードの独特のえぐみが強すぎない食べやすい料理を提供できる。
【0129】
〔実施例8〕
ホワイトセルリー、ケール、及びバジルを青果物として含み、1つの栽培支持体においてこれらの青果物を同一に栽培することにより製造された青果物混合品について、以下説明する。実施例8で用いた各青果物について、品目毎の色相と区分とを以下に示す。
<品目:色相/区分>
ホワイトセルリー:白色(茎)/葉菜
ケール:赤色(葉脈)/葉菜
バジル:緑色/ハーブ
【0130】
I)栽培支持体として、切れ目を有しつつ切断可能に連結された25mm角の直方体形状の軟質のポリウレタンフォームのブロックの集合体を用いた。ポリウレタンフォームのブロック1つにつき、バジルの種子を1つ播いた後に、水道水に潅水した。潅水後、種子を市販の透明な樹脂フィルムで覆った後、発芽条件に種子をおいた。
【0131】
II)I)の2日後に、樹脂フィルムを外し、次いでホワイトセルリーの種子を、ポリウレタンフォームのブロック1つにつき6つずつ播いた。その後、樹脂フィルムで再度種子を覆い、種子を発芽条件においた。
【0132】
III)I)の7日後に、樹脂フィルムを外し、次いでケールの種子を、ポリウレタンフォームのブロック1つにつき1つずつ播いた。その後、水道水を水耕液(養液)に変更し、種子を透明な樹脂フィルムで覆った後、発芽条件に種子をおいた。
【0133】
IV)I)の12日後に樹脂フィルムを外した。
【0134】
V)I)の14日後に、苗が定着したポリウレタンフォームのブロック集合体を、個別のブロックに分離した後、各ブロックを水耕栽培装置に移植した。水耕栽培装置において、穴の開いた発泡パネルの開口に苗が定着したブロックをはめ込んだ後、苗を生育条件においた。
【0135】
VI)I)の36日後にポリウレタンフォームのブロックにより一体化されたホワイトセルリー、ケール、及びバジルからなる青果物混合品を、水耕栽培装置より収穫した。なお、収穫後、ポリウレタンフォームのブロックから外部に伸長した根を切り落とした。また、根を切断された青果物混合品を1つ、OPPの防曇フィルムの包装袋内に包装し、青果物混合品を含む包装製品を得た。
【0136】
発芽条件、及び生育条件について、実施例1と同様である。
【0137】
収穫された青果物混合品のうち14個について、質量(ポリウレタンフォームを含む)と、ホワイトセルリーの草丈と、ケールの草丈と、バジルの草丈とを測定した。ホワイトセルリーの草丈については、複数の株のなかでの最長の草丈である。
【0138】
上記測定の結果、14個の青果物混合品についての質量は25gから60gの範囲内であった。また、スイスチャードの草丈は、5cmから20cmの範囲内であった。ケールの草丈は、20cmから30cmの範囲内であった。バジルの草丈は、5cmから15cmの範囲内であった。
【0139】
実施例8で製造した青果物混合品では、香りの強いバジルについて、草丈が短めに設定されている。このため、実施例8で製造した青果物混合品から分離された青果物全量を用いて調理を行う場合、バジルの香りが強すぎない食べやすい料理を提供できる。
【0140】
〔実施例9〕
スイスチャード、及びホウレンソウを青果物として含み、1つの栽培支持体においてこれらの青果物を同一に栽培することにより製造された青果物混合品について、以下説明する。実施例9で用いた各青果物について、品目毎の色相と区分とを以下に示す。
<品目:色相/区分>
スイスチャード:赤色、黄色、白色(茎、葉脈)/葉菜
ホウレンソウ:緑色/葉菜
【0141】
I)栽培支持体として、切れ目を有しつつ切断可能に連結された25mm角の直方体形状の軟質のポリウレタンフォームのブロックの集合体を用いた。ポリウレタンフォームのブロック1つにつき、スイスチャードの種子2つと、ホウレンソウの種子1つとを播いた後に、水道水に潅水した。潅水後、種子を市販の透明な樹脂フィルムで覆った後、光照射を行わない暗環境下で、発芽条件に種子をおいた。
【0142】
II)I)の4日後に、樹脂フィルムを外し、光照射を開始した。
【0143】
III)I)の11日後に、苗が定着したポリウレタンフォームのブロック集合体を、個別のブロックに分離した後、各ブロックを水耕栽培装置に移植した。水耕栽培装置において、穴の開いた発泡パネルの開口に苗が定着したブロックをはめ込んだ後、苗を生育条件においた。
【0144】
IV)I)の35日後にポリウレタンフォームのブロックにより一体化されたスイスチャード、及びホウレンソウからなる青果物混合品を、水耕栽培装置より収穫した。なお、収穫後、ポリウレタンフォームのブロックから外部に伸長した根を切り落とした。また、根を切断された青果物混合品を2つずつ、OPPの防曇フィルムの包装袋内に包装し、青果物混合品を含む包装製品を得た。
【0145】
発芽条件、及び生育条件について、発芽を光を照射しない暗環境下で行ったことを除き、実施例1と同様である。
【0146】
収穫された青果物混合品のうち42個について、質量(ポリウレタンフォームを含む)と、スイスチャードの草丈と、ホウレンソウの草丈とを測定した。ホウレンソウの草丈については、ホウレンソウが2株生育している場合には、2株のうち長いほうの草丈である。
【0147】
上記測定の結果、42個の青果物混合品についての、質量は30gから65gの範囲内であった。また、スイスチャードの草丈と、ホウレンソウの草丈とは、それぞれ15cmから30cmの範囲内であった。実施例9で製造した青果物混合品では、独特のえぐみのあるスイスチャードに加えて、味に癖の少ないホウレンソウが同程度含まれるように設定されている。このため、実施例9で製造した青果物混合品から分離された青果物全量を用いて調理を行う場合、スイスチャードの独特のえぐみが強すぎない食べやすい料理を提供できる。