特許第6609042号(P6609042)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6609042螺旋巻きモジュール、塩水シール、及び端キャップを含むフィルタアセンブリ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6609042
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】螺旋巻きモジュール、塩水シール、及び端キャップを含むフィルタアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B01D 63/10 20060101AFI20191111BHJP
   B01D 63/00 20060101ALI20191111BHJP
【FI】
   B01D63/10
   B01D63/00 500
   B01D63/00 510
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-514793(P2018-514793)
(86)(22)【出願日】2016年9月12日
(65)【公表番号】特表2018-527180(P2018-527180A)
(43)【公表日】2018年9月20日
(86)【国際出願番号】US2016051210
(87)【国際公開番号】WO2017058496
(87)【国際公開日】20170406
【審査請求日】2018年3月19日
(31)【優先権主張番号】62/234,835
(32)【優先日】2015年9月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ディー・ジョンズ
【審査官】 関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−111473(JP,A)
【文献】 特開昭62−247804(JP,A)
【文献】 特表2018−520869(JP,A)
【文献】 特開平04−330921(JP,A)
【文献】 実開昭55−130701(JP,U)
【文献】 特開2007−289830(JP,A)
【文献】 特開平06−154520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
B01D 61/00−71/82
C02F 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力容器の内部チャンバへの挿入のために適合されたフィルタアセンブリであって、入口渦巻き面(30)及び出口渦巻き面(32)を形成する、軸(X)に沿って延びる中央透過液管(8)の周囲に同心円状に巻き付けられた、少なくとも1つの膜エンベロープ(4)及び供給液スペーサーシート(6)、ならびに円筒形の外周表面(38)を備える螺旋巻き膜モジュール(2)と、
前記入口渦巻き面(30)にシールされた第1の端キャップ表面(72)を有する第1の端キャップ(33)であって供給液の流れが前記入口渦巻き面(30)を通って前記モジュール(2)の前記供給液スペーサーシート(6)へと流れることを可能にするための、前記中央透過液管付近の前記第1の端キャップ表面(72)内少なくとも1つの開口部(76)を有する第1の端キャップ(33)と、
前記出口渦巻き面(32)にシールされ第2の端キャップ表面(72’)を有する第2の端キャップ(35)であって、前記第2の端キャップ表面(72’)は前記出口渦巻き面(32)の大部分を通る流れを制限しおよび軸方向の供給液の流れが前記モジュール(2)から出る短経路を防止する第2の端キャップ(35)と、
放射状に延びる柔軟なリップ(70)を有し、前記外周表面(38)の一部分の周囲に同心円状に位置し、前記圧力容器の前記内部チャンバに係合するように適合された、最大外径を画定する塩水シール(65)と、を備え、
前記アセンブリが、前記第1の端キャップ(33)が、前記外周表面(38)の一部分の周囲に同心円状に位置し、前記第1の端キャップ表面(72)から軸方向に延びるスリーブ(74)を更に備え
前記第1の端キャップ表面(72)が前記入口渦巻き面(30)の少なくとも75%を覆いおよび前記外周表面(38)から離れており前記中央透過液管に近い位置の区域に供給液の流れを制限し、
前記供給液の流れの大部分が、前記中央透過液管(8)の近くの開口部(76)を通ってモジュール(2)に入り、前記中央透過液管(8)に対して放射状方向に流れ、およびi)前記外周表面(38)またはii)前記モジュール(2)の前記外周表面近傍の前記出口渦巻き面(32)から前記モジュール(2)を出ること、および、
前記塩水シール(65)が、前記スリーブ(74)にシールされていることを特徴とする、フィルタアセンブリ。
【請求項2】
前記塩水シール(65)が、前記スリーブ(74)の周囲を同心円状に包み、前記スリーブ(74)が、放射状に延びる隆起部(91)を備える、請求項1に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項3】
前記スリーブ(74)が、前記第1の端キャップ表面(72)から少なくとも1cm軸方向に延びる、請求項1に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項4】
前記モジュール(2)の前記外周表面(38)が、多孔性表面(80)を備え、前記スリーブ(74)が、前記多孔性表面(80)上で軸方向に延びる、請求項1に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項5】
前記リップ(70)が、前記出口渦巻き面(32)よりも前記入口渦巻き面(30)で大きい流体圧力に供されるとき、外向きに放射状に曲がる、請求項1に記載のフィルタアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、螺旋巻き膜モジュール、端キャップ、及び塩水シールを含むフィルタアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
螺旋巻き膜モジュールは、様々な逆浸透(RO)及びナノ濾過(NF)用途において使用される。典型的な一実施形態において、円筒形の螺旋巻き膜モジュールは、1つ以上の膜エンベロープ及び供給液スペーサーを透過液回収管の周囲に同心円状に巻き付けて、2つの対向する渦巻き面及び外周表面を形成することによって構築される。結果として得られる螺旋状の束は、テープまたは他の手段によって適所に保持される。モジュールを圧力容器の内部チャンバ内に設置する前に、モジュールの外周表面の周囲に様々な種類のシールが適用されてもよい。代表的な例は、US4,016,083、US4,299,702、US4,600,512、US5,128,037、US5,389,260、US5,851,267、US6,299,772、US7,208,088、US8,110,016、US8,377,300、US8,388,842、US8,425,773、US8,728,213、及びUS8,778,182に記載されている。そのようなモジュールとともに使用するための多様な供給液スペーサー及び流れ構成が記載されている。例えば、US5,458,774、US6,881,336、US8,337,698、US2003/205520、US2004/0182774、US2013/146532、US2014/042080、US2014/183134、JP2013/071098、及びCN201799220を参照されたい。
【0003】
動作中、加圧された供給流体は膜エンベロープの表面を通過し、適用された圧力によって「溶媒」(例えば、水)の一部分が膜を通過する(すなわち、「透過液」を形成する)一方で、「溶質」(例えば、塩)は膜を通過することができず、残りの供給液中で濃縮される(すなわち、「濃縮液」溶液を形成する)。モジュールの「回収」または「回収率」は、透過液として膜を通過する供給溶液のパーセンテージとして定義される。
【0004】
スケール形成は、高回収率で動作するときの主要な問題である。それらの溶解度限度を超えて濃縮されると、保持される塩(例えば、CaCO、CaSO)は膜の上にスケールを形成し始める。これは、住居用ROシステムの長期的な動作にとって特に問題となる。pH調節、スケール阻害剤、または頻繁な清掃を使用することによって高回収率で動作する、より大きな工業用システムとは対照的に、ほとんどの住居用システムは、これらの選択肢のいずれも有しない。住居用ROシステムにおいて使用される螺旋巻きモジュールは、典型的に、20〜35%の回収率で動作するように設計されている。軟水化されていない住居用水源は、しばしば有意な量のカルシウムイオン及び重炭酸塩イオンを含有しているため、より高い回収率(例えば、35%超)での動作は、スケール形成をもたらす。
【0005】
スケール形成のし易さの減少とともに、より高い回収率の動作を可能にする、新たなフィルタアセンブリ設計が求められている。
【発明の概要】
【0006】
圧力容器の内部チャンバへの挿入のために適合されたフィルタアセンブリであって、このアセンブリは、
入口渦巻き面(30)及び出口渦巻き面(32)を形成する軸(X)に沿って延びる中央透過液管(8)の周囲に同心円状に巻き付けられた、少なくとも1つの膜エンベロープ(4)及び供給液スペーサーシート(6)、ならびに円筒形の外周表面(38)を備える、螺旋巻き膜モジュール(2)と、
入口渦巻き面(30)の一部分を被覆する表面(72)、及び、流体が入口渦巻き面(30)を通ってモジュール(2)の供給液スペーサーシート(6)へと流れることを可能にするための、透過液管付近の端キャップ表面(72)内の少なくとも1つの開口部(76)を有する端キャップ(33)と、
圧力容器の内部チャンバに係合するように適合された、最大外径を画定する、放射状に延びる柔軟なリップ(70)を有する塩水シール(65)と、を含み、塩水シールは、端キャップ(33)にシールされている。一実施形態において、塩水シールは、外周表面の一部分の周囲に同心円状に配設されている。
【0007】
別の実施形態において、本フィルタアセンブリは、特にアセンブリが35%超の回収率で動作するとき、膜の上のスケールの形成を軽減するように適合される。更に別の実施形態において、本アセンブリは、高濃度のスケール形成イオンの領域内での流動を減少させる、モジュールを通した放射状の供給液流れ経路を促進する。依然更に別の実施形態において、本アセンブリは、同一の動作回収率にとって典型的であるよりも高い供給液流速を提供する。別の実施形態において、本アセンブリは、結果として得られるより高い供給液側の圧力低下にとって特に重要である、供給液の流れの迂回を防止するための改善された方法を提供する。多くの追加の実施形態が記載される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明及び様々な実施形態は、「発明を実施するための形態」及び付属の図面を参照することで、より良く理解され得る。図は、説明を容易にするため提供され、必ずしも正確な縮尺率ではない。これらの節では、同様の参照番号は、同様の構成部分を指す。
【0009】
図1】螺旋巻き膜モジュールの透視、部分切断図である。
図2a】流体の流れるパターンを示す、部分的に組み立てた螺旋巻き膜モジュールの透視図である。
図2b】流体の流れるパターンを示す、部分的に組み立てた螺旋巻き膜モジュールの透視図である。
図3】分離された端キャップ及び塩水シールを有する螺旋巻き膜モジュールを含むフィルタアセンブリの一実施形態の透視図、ならびに圧力容器に装填されたアセンブリの透視図である。
図4a】3つの異なる実施形態の透視図であり、螺旋巻きモジュールの出口渦巻き面に取り付けられた端キャップをそれぞれ説明する(部分切断)。
図4b】3つの異なる実施形態の透視図であり、螺旋巻きモジュールの出口渦巻き面に取り付けられた端キャップをそれぞれ説明する(部分切断)。
図4c】3つの異なる実施形態の透視図であり、螺旋巻きモジュールの出口渦巻き面に取り付けられた端キャップをそれぞれ説明する(部分切断)。
図5a】塩水シール、端キャップ入口、及び端キャップ出口を説明する。
図5b】これらの構成要素を含む、部分的に組み立てたモジュールを示す。
図6a】端キャップ入口(塩水シールを含む)、端キャップ出口、及び螺旋巻きモジュールの3つの部品の実施形態の透視図である。
図6b図6aの部品を組み立てた透視図である。
図7】入口渦巻き面上の端キャップ、出口渦巻き面上の端キャップ、モジュールの外表面を囲む塩水スペーサー、及び塩水スペーサーの下流に孔を有する外表面を有するモジュールの透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、螺旋巻き膜モジュールを含むフィルタアセンブリを含む。代表的な螺旋巻き膜モジュールを、図1の2に概して示す。モジュール(2)は、軸(X)に沿って延びる透過液回収管(8)の周囲に1つ以上の膜エンベロープ(4)及び供給液スペーサーシート(複数可)(「供給液スペーサー」)(6)を同心円状に巻き付けることによって形成される。各膜エンベロープ(4)は、好ましくは、膜シート(10、10’)の2つの実質的に長方形の区分を備える。膜シート(10、10’)の各区分は、膜または前側(34)及び支持体または裏側(36)を有する。膜エンベロープ(4)は、膜シート(10、10’)を重ね、それらの端を整列させることによって形成される。好ましい一実施形態において、膜シートの区分(10、10’)は、透過液スペーサーシート(12)を囲む。このサンドイッチ型構造は、3つの端(16、18、20)に沿って、例えば、シーラント(14)によって互いに固定されて、エンベロープ(4)を形成する一方で、エンベロープ(4)(及び任意の透過液スペーサー(12))の内側部分が、透過液回収管(8)の長さに沿って延びる複数の開口部(24)と流体連通するように、第4の端、すなわち、「近位端」(22)は、透過液回収管(8)に当接する。膜シート(10、10’)の各区分の活性膜領域(25)は、動作中に液体がエンベロープ(4)へと通過し得る膜の区域に対応する(これは、膜を通って透過液エンベロープの内側に入る液体の流れが防止されるように、接着剤、テープなどによって分離される、不活性膜領域(25’)とは対照的である)。モジュール(2)は、それぞれが供給液スペーサーシート(6)によって分離された、単一のエンベロープまたは複数の膜エンベロープ(4)を含み得る。説明される実施形態において、膜エンベロープ(4)は、隣接配置された膜リーフパケットの裏側(36)表面を接合することによって形成される。膜リーフパケットは、それ自体の上に折り畳まれて、2つの膜「リーフ」を画定する、実質的に長方形の膜シート(10)を備え、各リーフの前側(34)は、互いに直面し、折り畳みは、膜エンベロープ(4)の近位端(22)と軸方向に整列され、すなわち、透過液回収管(8)と平行である。供給液スペーサーシート(6)は、折り畳まれた膜シート(10)の直面する前側(34)の間に位置するように示される。供給液スペーサーシート(6)は、モジュール(2)を通る供給流体の流れを促進する。示されていないものの、追加の中間層もまた、アセンブリ内に含まれてもよい。膜リーフパケット及びそれらの製作の代表的な例は、HaynesらのUS7,875,177に更に記載される。
【0011】
モジュール製作中、透過液スペーサーシート(12)は、膜リーフパケットがその間に交互に挟まった状態で、透過液回収管(8)の円周の周囲に取り付けられてもよい。隣接配置された膜リーフ(10、10’)の裏側(36)は、透過液スペーサーシート(12)を囲んで、膜エンベロープ(4)を形成するように、それらの外周(16、18、20)の部分の周囲でシールされている。透過液スペーサーシートを透過液回収管に取り付けるための好適な技術は、SolieらのUS5,538,642に記載される。膜エンベロープ(複数可)(4)及び供給液スペーサー(複数可)(6)は、透過液回収管(8)の周囲に同心円状に巻き付けられるか、または「巻かれ」て、2つの対向する渦巻き面(入口渦巻き面(30)及び出口渦巻き面(32))を形成し、膜リーフの遠位端は、円筒形の外周(39)を形成する。結果として得られる螺旋状の束は、テープまたは他の手段によって適所に保持される。その後、モジュールの渦巻き面(30、32)は整形されてもよく、LarsonらのUS7,951,295に記載されるように、渦巻き面(30、32)と透過液回収管(8)との間の接合部に任意でシーラントが適用されてもよい。外周表面(38)は、円筒形の外周(39)の周囲に形成されてもよい。外周表面(38)は、モジュールの円筒形の外周(39)に適用される繊維ガラスコーティングなどの不透過層(78)を含んでもよい。あるいは、McCollamらのUS8,142,588に記載されるように、テープ層が使用されてもよい。JP2005/279556及びJP1037560もまた参照されたい。更に別の実施形態において、多孔性材料(例えば、ネット、メッシュ、有孔フィルム)は、液体がそれを通って流れ得る多孔性外表面(80)を形成するように選択され得る。
【0012】
図7で説明される好ましい実施形態において、外周表面(38)は、孔(93)を有するポリマー膜層(例えば、テープまたは熱収縮)を備える。孔(93)は、供給液スペーサーシート(6)と流体連通する。孔(93)は、任意の形状(例えば、丸、四角、裂け目)であり得る。しかし、スケール堆積を避けるため、それらは好ましくは少なくとも1mmの最小幅寸法を有する。孔(93)は、外周表面(38)の全てにわたって、または一部だけに分布されてもよい。孔は、膜エンベロープ(4)及び供給液スペーサーを同心円状に巻き付ける前または後に、ポリマー膜層に適用され得る。孔を適用する手段は、膜を貫通する切断、穿孔、または溶融を含む。一実施形態において、孔は、1つ以上の螺旋巻き構成要素(供給液スペーサー、透過液スペーサー、または膜シート)の融解点よりも低い温度で膜を溶融することで、螺旋巻きモジュールに適用される。
【0013】
同様に、他の外表面またはコーティング材料を使用し、モジュールの円筒形の外周(39)への適用の前または後に多孔性としてもよい。好ましい一実施形態において、塩水シール(65)は、モジュール(2)の外周表面(38)の一部分の周囲に配設され、外周表面(38)は、塩水シール(65)の下流の位置においてのみ多孔性である。
【0014】
この用途に使用される膜は、逆浸透またはナノ濾過として分類され得る。エンベロープを形成するために使用されるRO膜は、実質的に全ての溶解した塩に対して比較的不透過性であり、典型的に、塩化ナトリウムなどの一価イオンを有する塩の約95%超を拒否する。RO膜はまた、典型的に、約100ダルトン超の分子量を有する無機分子及び有機分子の約95%超を拒否する。NF膜は、RO膜よりも透過性であり、典型的に、一価イオンを有する塩の約95%未満を拒否する一方で、二価イオンの種によって、二価イオンを有する塩の約50%超(及びしばしば90%超)を拒否する。NF膜はまた、典型的に、ナノメートル領域内の粒子及び約200〜500ダルトン超の分子量を有する有機分子を拒否する。この説明の目的で、「超濾過」という用語は、RO及びNFの両方を網羅する。
【0015】
膜シートは特に限定されず、幅広い材料(例えば、酢酸セルロース材料、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリスルホンアミド、ポリフッ化ビニリデンなど)を使用することができる。好ましい膜は、1)不織裏打ちウェブの裏打ち層(裏側)(例えば、Awa Paper Companyから入手可能なポリエステル繊維織物などの不織布)と、2)約25〜125μmの典型的厚さを有する多孔性支持体を備える中間層と、3)典型的に、約1ミクロン未満、例えば、0.01ミクロン〜1ミクロンであるが、より一般的には約0.01〜0.1μmの厚さを有する薄膜ポリアミド層を備える上部切り替え層(前側)とを備える、3層の複合層である。裏打ち層は特に限定されないが、好ましくは、配向され得る繊維を含む不織布または繊維ウェブマットを備える。あるいは、帆布などの織布が使用されてもよい。代表的な例は、US4,214,994、US4,795,559、US5,435,957、US5,919,026、US6,156,680、US2008/0295951、及びUS7,048,855に記載される。多孔性支持体は、典型的に、透過液の本質的に非制限的な通過を可能にするのに十分な大きさであるが、その上に形成される薄膜ポリアミド層の架橋に干渉するほどには大きくない細孔径を有するポリマー材料である。例えば、支持体の細孔径は、好ましくは、約0.001〜0.5μmの範囲である。多孔性支持体の非限定的な例としては、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリアクリロニトリル、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリフッ化ビニリデンなどの様々なハロゲン化ポリマーから作製されたものが挙げられる。切り替え層は、好ましくは、微多孔性ポリマー層の表面上の界面重縮合反応によって形成される。その比較的な薄さのため、結果として得られるポリアミド層は、しばしばそのコーティング被覆範囲または多孔性支持体上への装填(例えば、1平方メートルの多孔性支持体の表面区域当たり約2〜5000mg、及びより好ましくは約50〜500mg/mのポリアミド)に関して記載される。
【0016】
逆浸透の原型的な膜は、m−フェニレンジアミンとトリメソイルクロリドとの反応によって作製されるFilmTec CorporationのFT−30(商標)型膜である。この及び他の界面重縮合反応は、いくつかの情報源(例えば、US4,277,344及びUS6,878,278)に記載される。ポリアミド膜層は、多孔性支持体の少なくとも1つの表面上で、多官能性アミンモノマーを多官能性ハロゲン化アシルモノマー(各用語は単一種または複数種の使用の両方を指すことが意図される)と界面重縮合することによって調製することができる。本明細書で使用される場合、「ポリアミド」という用語は、アミド結合(−C(O)NH−)が分子鎖に沿って生じるポリマーを指す。多官能性アミン及び多官能性ハロゲン化アシルモノマーは、最も一般的には溶液からのコーティングステップ(典型的に、多官能性アミンモノマーが水性系または極性溶液からコーティングされ、多官能性ハロゲン化アシルが有機系または非極性溶液からコーティングされる)によって多孔性支持体に適用される。
【0017】
螺旋巻きモジュールの様々な構成要素を構築するための他の材料が、当該技術分野において周知である。膜エンベロープをシールするための好適なシーラントとしては、ウレタン、エポキシ、シリコーン、アクリレート、熱溶融性接着剤、及び紫外線硬化接着剤が挙げられる。あまり一般的ではないものの、熱、圧力、超音波溶接、及びテープの適用などの他のシール手段も使用されてもよい。透過液回収管は、典型的に、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスルホン、ポリ(フェニレンオキシド)、ポリスチレン、ポリプロピレン、またはポリエチレンなどのプラスチック材料から作製される。トリコットポリエステル材料は、透過液スペーサーとして一般的に使用される。追加の透過液スペーサーが、US8,388,848に記載される。
【0018】
動作中、加圧された供給溶液は膜リーフ(10、34’)の前側(10)を通過し、それは濃縮液流及び透過液流へと分離される。図1中の矢印は、従来のモジュール(2)を通る供給液及び透過液の一般的な流れ方向(26、28)を説明する。供給流体は、入口渦巻き面(30)からモジュール(2)に入り、対向する出口渦巻き面(32)から(濃縮液として)モジュール(2)を出る。膜を通過した透過流体は、矢印(28)によって示されるように、透過液回収管(8)(すなわち、軸X)に一般的に垂直な方向で透過液スペーサーシート(12)に沿って流れる。
【0019】
図2a及びbは、支配的な供給液の流れの方向が透過液回収管(8)に対して放射状方向である、モジュール(2)の代替的な実施形態を説明する。これらの図において、供給液の流れの方向をより良好に説明するために、モジュール(2)は巻かれていない状態で示される。点線の矢印(48)は、主に透過液管から膜シートの遠位端(20)へと向かうものである、供給液スペーサーシート(6)内の供給液の流れ経路を説明する。本発明の目的で、供給液の大部分が透過液管(8)付近で入る場合、モジュールは、外向きの放射状流れ経路を有し、外周表面(38)付近を出、かつ透過液管(8)の中央軸(X)に垂直な供給液速度の構成要素の大きさは、活性膜領域(25)の大部分の供給液速度の50%を超える。図2a中の流れ経路は、モジュールをその外周表面(38)から出る供給液と一貫する。図2b中、流れ経路は、モジュールをモジュールの外周表面(38)付近の出口渦巻き面(32)から出る供給液と一貫する。好ましい配置としては、これらの流れ経路、ならびに供給液が外周表面(38)及び出口渦巻き面(32)の両方から出る配置が挙げられる。
【0020】
供給液スペーサーシート(6)は、好ましくは、VEXAR(商標)の商品名でConwed Plasticsから入手可能なもの、またはJohnsonらのUS6,881,336に記載されるものに類似した、複数の交差するフィラメントを含む、ポリマーウェブまたはネットの材料のシートを備える。好ましい一実施形態において、供給液スペーサーは、0.5mm未満の厚さである。好ましくは、供給液スペーサーは、15cm/秒の平均流速で25℃で測定されるとき、0.5psi/フィート超、より好ましくは1psi/フィート超、または更には2psi/フィート超の、透過液回収管(8)に垂直な流れに対する抵抗中央値を有する。一実施形態において、供給液スペーサーは、モジュールを通して流れに対する均一な抵抗を有する。
【0021】
好ましい一実施形態において、供給液スペーサーシート(6)は、i)入口渦巻き面(30)から出口渦巻き面(32)へと向かって透過液回収管(8)に沿って延びる供給液入口区分(50)と、ii)出口渦巻き面(32)から入口渦巻き面(30)へと向かって外周表面(38)付近(すなわち、膜エンベロープ(20)の遠位端に隣接)に沿って延びる供給液出口区分(52)と、iii)供給液入口区分(50)と供給液出口区分(52)との間に位置する中央供給液区分(54)とを含む。供給液スペーサーシート(54)の供給液入口区分(6)及び中央供給液区分(50)はそれぞれ、流れに対する異なる抵抗中央値を有してもよく、「流れに対する抵抗」という用語は、25℃で、15cm/秒の水速度での、距離単位当たりの圧力低下を指す。より具体的には、供給液入口区分(50)は、透過液回収管(8)に垂直な方向の中央供給液区分(54)の流れに対する抵抗中央値の25%未満の、透過液回収管(8)に平行な方向の流体に対する抵抗中央値を有する。別の好ましい実施形態において、供給液スペーサーシート(6)の供給液出口区分(52)はまた、透過液回収管(8)に垂直な方向の中央供給液区分(54)の流れに対する抵抗中央値の25%未満の、流れに対する抵抗中央値も有する。このように、供給液入口(50)及び出口(52)区分は、供給流体が中央供給液区分(54)から、及びそこへと流れるために、抵抗の低い流れを分配する役割を効果的に果たす。好ましくは、中央供給液区分(54)内の透過液回収管(8)に垂直な流れに対する抵抗中央値は、15cm/秒の平均流速で25℃で測定されるとき、0.5psi/フィート(11.2kPa/m)超、より好ましくは1psi/フィート(22.6kPa/m)超、または更には2psi/フィート(45.2kPa/m)超ですらある。供給液入口区分(50)及び/または供給液出口区分(52)内の透過液回収管(8)に平行な流れに対する抵抗中央値は、好ましくは、15cm/秒の流速で25℃で測定されるとき、1.0psi/フィート(22.6kPa/m)未満、より好ましくは0.5psi/フィート(11.2kPa/m)未満、または更には0.25psi/フィート(5.7kPa/m)未満である。
【0022】
供給液スペーサーシート(6)は、流れに対する異なる抵抗を有する異なる区分(供給液入口(50)、供給液出口(52)、及び中央供給液(54))を有する単一のシートの形態であっても、任意で互いに固定されて、モジュールの組み立てを促進し得る別個の区分を含んでもよい。例えば、供給液スペーサーシート(6)は、異なる厚さ、自由体積、フィラメント数、フィラメント間の角度、及びストランド薄化を有する区分を有して作製されてもよい。流れの方向(48)に対する供給液スペーサーの配向を使用して、流れ抵抗を特定の方向に変化させることもできる。例えば、供給液入口区分(50)及び供給液出口区分(52)と同一のスペーサー材料を、中央供給液区分(54)内で使用してもよいが、(例えば、90°の)個々のフィラメントを、透過液回収管(8)(すなわち、軸X)に平行な方向の流れに対するその抵抗を変更する様式で配向することによって、「異なる」ようにしてもよい。好ましくは、中央供給液区分(54)は、透過液管(8)に垂直な方向により低い流れ抵抗を提供するように配向されたネットを含有する。好ましくは、供給液入口区分(50)及び/または供給液出口区分(52)は、透過液回収管(8)に平行な方向により低い流れ抵抗を提供するように配向されたネットを含有する。
【0023】
別の実施形態において、透過液回収管(8)に平行な供給液の流れに対する抵抗は、供給液スペーサーシート(6)全体の1つ以上の区分内の供給液スペーサーシート(6)の構成要素を変更することによって減少させることができる。例えば、供給液入口区分(50)及び/または供給液出口区分(52)内のネットの領域は、省略されてもよい。好ましくは、除去される区分は、透過液回収管(8)の方向に伸長され、配向される。あるいは、透過液管(8)の方向の流れをより容易にするために、ネットに流れチャネルがエンボス加工されてもよい。更に別の代替的な実施形態において、スペーサーシート(6)の全体が、第1のスペーサーシート型を含んでもよく、供給液スペーサーシート(6)の供給液入口区分及び供給液出口区分(50、52)の一方または両方の第1のスペーサーシート型に重なる、より抵抗の低い層を追加して、所与の区分内の流れに対する抵抗を低下させてもよい。より一般的には、モジュール(2)は、中央供給液区分(52)内に位置する第1のスペーサーシート型を含んでもよく、供給液スペーサーシート(6)の供給液入口区分(50)または供給液出口区分(52)のいずれかが、第1のスペーサーシート型及び重なる第2のスペーサー型の両方を含んでもよく、第2のスペーサーシート型は、好ましくは、第1のスペーサーシート型よりも、透過液回収管(8)に平行な方向の流れに対する低い抵抗中央値を有する。より好ましくは、第2のスペーサーシート型は、透過液回収管(8)に垂直な方向よりも、透過液回収管(8)に平行な方向の流体に対してより低い抵抗を有するように配向されたネットである。第2のスペーサー型は、第1のスペーサーシート型に付着されて、モジュールの巻きを助けてもよい。図2中、供給液スペーサーシート(6)の供給液入口区分(50)及び供給液出口区分(52)は、破線(56、58)によって、中央供給液区分(54)から分離されるものとして示される。図2では正確な縮尺では示されていないものの、供給液入口区分(50)及び供給液出口区分(52)はそれぞれ、好ましくは、供給液スペーサーシート(6)の全区域の20%未満(及びより好ましくは15%未満、または更には10%)を構成し、中央供給液区分(54)が、全区域の大部分(例えば、60%、75%、90%など)を構成する。示される好ましい実施形態において、供給液入口及び出口区分(50、52)は一般に長方形の形状であり、それぞれ、透過液回収管(8)に沿って及び外周表面(38)付近に位置する。更に別の好ましい一実施形態において、供給液スペーサーシート(6)の供給液出口区分(52)の大部分(50%超の区域)は、好ましくは、活性膜領域(25)とモジュールの外周表面(38)との間の位置で、膜シート(10)の不活性膜領域(25’)と平面内接触している。依然更なる好ましい一実施形態において、供給液出口区分(52)は、その活性膜領域(25)に対して遠位の点で、膜シート(10)の不活性膜領域(25’)のみに接触する。
【0024】
動作中、透過液回収管(8)に隣接する入口渦巻き面(30)上に位置する供給液入口領域(60)への供給液の流れは、供給液入口区分(50)内の透過液回収管(8)に沿って軸方向に流れ、その後、中央供給液区分(54)を通って外周表面(38)へと向かって放射状に流れる。図2aは、多孔性外周表面(38)を通って拒否物として出る供給液と一貫する流れ経路を示す。図2bは、供給液が後続して軸方向に流れて、円筒形の外周(39)に隣接する出口渦巻き面(32)上に位置する供給液出口領域(64)でモジュール(2)を出る、供給液出口区分(52)内の供給液の流れ方向の変化を示す。したがって、本発明の好ましい一実施形態に従うと、供給液の流れは、モジュールに入り、供給液入口区分(50)を通過するとき、流れに対する比較的低い抵抗に出会うことになる。この抵抗の低い区域は、透過液回収管(8)の最近接の中央供給液区分の拒否端上で、さもなければ供給液の流れが停滞してしまい得る「死」領域を防止しながら、供給液が放射状方向に再配向されることを可能にする。更に、供給液出口区分(52)は、供給液の流れが、スケール物濃度が最高であるモジュールの外周(39)付近の活性膜(25)にわたって、速く均一な速度を維持することを可能にする。モジュールの外周(39)(膜エンベロープ(4)の遠位端付近)は、透過液の背圧が最高となる場所であるため、この位置では流動が減少される。結果として、スケール形成が生じる可能性ははるかに低くなり、螺旋巻き膜モジュールは従来の設計よりもより高い回収率で動作することができるようになる。
【0025】
放射状の流れを用いてスケールを更に減少することのできる好ましい一実施形態において、膜シート(10、10’)の各区分の活性膜領域(25)は、(渦巻き面の入り口(30)と出口(32)との間の方向における)幅よりも(透過液管(8)と外周表面(38)との間の方向において)長い。好ましくは、膜シート(10、10’)の各区分の活性膜領域(25)は、少なくとも2、より好ましくは少なくとも4、または更には少なくとも8である、幅対長さの比率を有する。このように、より高い供給液濃度を有する区分(52、54)を通って放射状に流れる際に、高い混合率が供給液スペーサーシート(6)内で維持される。供給液が、出口区分(52)を通って放射状に流れ、多孔性外表面を通って出るとき、好ましい幾何設計は、中央区分(54)及び出口区分(52)の両方で、同じ供給液スペーサーを使用する。この構成で、入口領域(50)は、供給液が透過液回収管(8)と平行に流れるために、任意で更に減少された抵抗を有する。
【0026】
図3に示されるように、フィルタアセンブリは、透過液回収管(8)付近に位置し、モジュールの外周表面(38)から離間配置された区域供給液の流れを制限する、入口渦巻き面(30)に当接する表面(72)を有する、第1の端キャップ(33)を含み得る。流体が入口渦巻き面(30)を通ってモジュール(2)の供給液スペーサーシート(6)へと流れることを可能にするために、端キャップ(33)は、透過液管(8)付近の端キャップ表面(72)内に少なくとも1つの開口部(76)を有する。端キャップ表面(72)は、好ましくは、入口渦巻き面(30)の少なくとも75%を被覆する。この構成は、図2a及び2bを参照して既に記載したように、透過液管付近のモジュールへの供給液の流れを促進する。
【0027】
第2の端キャップ(35)は、放射状の流れを促進し、軸方向の供給液の流れがモジュールから出る短経路を防止するため、出口渦巻き面(32)上に存在し得る。図4a、4b、及び4cは、出口渦巻き面(32)の、好適な第2の端キャップ(35)を説明する。図2bの流れ経路と一貫して、図4a及び4bに示される実施形態は、渦巻き面(32)を部分的に被覆し、供給液が外周表面(38)付近のモジュールを出ることを可能にする表面(72’)を有する端キャップ(35)を示す。図2aに示される流れ経路と一貫して、図4cの実施形態は、出口渦巻き面(32)の全体を被覆し、供給液が多孔性外表面(80)を通って出ることを強いる表面(72’)を有するスリーブを含む端キャップ(35)を示す。図5a及び5bに示されるような実施形態において、多孔性表面(80)は、供給液がその外周表面(38)の圧倒的大部分からモジュール(2)を出ることを可能にし得る。
【0028】
端キャップ表面(72、72’)は、2つのモジュール渦巻き面(30、32)のうちの1つに当接する中央軸(X)に垂直に位置し、一般的に「当接された渦巻き面(31)」と呼ばれ、図5bに示される。それらの表面(72、72’)のうちの少なくとも1つが、図3〜7のそれぞれにおいて表示されている。しかし、この表示識は、当接する渦巻き面(31)と接触する表面を指し、必ずしも透視図中で可視の表面を指さないことが認識される。端キャップ表面(72)は、当接された渦巻き面(31)の大部分を通る流れを制限する。好ましくは、端キャップ表面(72、72’)は、当接された渦巻き面(31)の少なくとも75%、80%、または更には90%を被覆する。これらの目的で、渦巻き面区域は、膜、供給液スペーサー、透過液スペーサー、及び関連する接着剤からなる、透過液管(8)と外周表面(38)との間の環状領域の断面に対応する。好ましくは、端キャップ表面(72、72’)は、弾性表面または接着剤(62)(例えば、溶融されたポリマーまたは反応性接着剤)のいずれかなどによって、当接する渦巻き面(31)の一部とともにシールされる。別の好ましい実施形態において、端キャップ表面(72)は、透過液管(8)の全体または一部に対して配置されてもよい。
【0029】
図3中に更に示されるように、本フィルタアセンブリは、当該産業の標準的慣行に従って、圧力容器(90)の内部チャンバ(89)内に設置されるように設計される。圧力容器(90)の選択は特に限定されないが、好ましくは、動作中に使用される圧力に耐えることができる丈夫な構造を含む。容器構造は、好ましくは、その中に収容されるモジュール(複数可)の外周表面(38)の外径よりもわずかに大きい内径を有する円筒形の内部チャンバ(89)を含む。説明される図3の実施形態において、圧力容器(90)は、チャンバ(89)の一端に位置する供給液入口(92)と、好ましくはチャンバの反対端に位置する濃縮液出口(94)と、少なくとも1つの透過液出口(96)とを含む。圧力容器(90)はまた、1つ以上のモジュール(2)を装填すると内部チャンバ(89)をシールする1つ以上の端部(98)を含んでもよい。
【0030】
モジュール(2)の塩水シール(65)は、最大外径を画定する、放射状に延びる柔軟なリップ(70)を有する。(「リップ」という用語は、また、ChevronシールならびにUS4,016,083、US6,299,772、及びUS20100147761A1に記載されている他のシールを含む、様々な柔軟な隆起を含み得る。)モジュール(2)が圧力容器(90)内に装填されると、塩水シール(65)のリップ(70)が圧力容器(90)の内部チャンバ(89)に係合し、供給液の流れが入口渦巻き面(30)の周囲を迂回するのを制限する。好ましい一実施形態において、リップ(70)は、方向的な偏りを有する(例えば、シールにわたる圧力の方向差のために直径が拡大する)。具体的には、リップ(70)は、出口渦巻き面(32)よりも入口渦巻き面(30)で大きい流体圧力に供されるとき、優先して外向きに放射状に曲がる。図3の実施形態において、塩水シールは、モジュールの外周表面(38)の一部分の周囲に同心円状に伸展し、それをシールする。
【0031】
図5b及び6bに説明されるように、塩水シール(65)は、端キャップ(33)の表面(72)に接触し、シールされている。これら2つの実施形態において、キャップ(33)は、端キャップ表面(72)から軸方向に延びるスリーブ(74)を備える。延びるスリーブ(74)は、モジュールの外周表面(38)の一部分の周囲に同心円状に位置する。好ましくは、塩水シール(65)は、スリーブ(74)に接触し、それにシールされている。図5aは、塩水シール(65)及び2つの端キャップ(33、35)を別個に示す。図5bは、部分的なアセンブリを示し、塩水シール(65)が、第1の端キャップ(33)のスリーブ(74)の周囲を包んでいる。あるいは、端キャップ(33)がモジュール(2)の上に載せられた後に、塩水シール(65)が適用され得る。塩水シール(65)は、例えば、伸展による張力、接着(例えば、接着剤または適所での型の使用)、テープなどの様々な手段によって、動作中に適所に保持され得るか、スリーブ(74)は、塩水シール(65)が適用された圧力によってずり落ちることを防ぐ隆起部(91)を備え得る。
【0032】
端キャップ(33、35)は、いくつかの方法によって、モジュール(2)に接合され得る。図5aは、出口渦巻き面(32)に第2の端キャップが取り付けられる前に、第2の端キャップ(35)に適用される接着剤(62)を示し、この手法は、入口渦巻き面(30)に第1の端キャップ表面(72)をシールするのにも適切であるだろう。端キャップ(33、35)は、また、モジュール(2)の上の適所に成型され得、または3Dプリントによって適用される。端キャップは、図6a及び6bで提示されるように、スピン溶接によって取り付けられ得る。図6aは、その渦巻き面(30、32)と同じ高さに切断された透過液管(8)を有するモジュール(2)ならびに任意の透過液管の延長部を備える第1及び第2の端キャップ(33、35)を含む。(第1の端キャップ(33)には明白に示されていないが、スピン溶接用の端キャップ(33、35)は、好ましくはモジュールとの結合のための締り嵌め部品を含む。)図6aの第1の端キャップ(33)は、また、スリーブ(74)の周囲を包んでいる塩水シール(65)を示すが、塩水シール(65)は、スピン溶接の後でも適用され得る。同様に、Oリング(67)が、第2の端キャップ(35)の透過液管の延長上に示されるが、この任意のOリングは、あるいは後で適用され得る。図6bは、第1及び第2の端キャップ(33、35)が取り付けられた、この場合においては伸長された透過液管(8)を形成する、結果として得られるモジュール(2)を説明する。
【0033】
端キャップ(33、35)は、好ましくは、端キャップ表面(72、72’)と当接された渦巻き面(31)との間の流体シールが維持されるように、モジュール(2)の一部に付着される。例えば、スリーブ(74)は、モジュール(2)の外周表面(38)に付着されてもよい。端キャップ表面(72、72’)は、渦巻き面(31)に付着されてもよい。端キャップ表面(72、72’)はまた、接着剤またはスピン溶接などによって透過液管(8)に付着されてもよい。供給液の流れの流体経路は、当接された渦巻き面(31)に隣接する(モジュール内の)供給液スペーサー内に依然として存在し得ることが認識される。しかしながら、端キャップ表面(72、72’)と当接された渦巻き面(31)との間のシールの維持は、供給溶液の少なくとも95%がモジュール(2)内の供給液スペーサー(6)を通過するように、供給液の流れの迂回を防止する。
【0034】
端キャップ(33)の延びるスリーブ(74)上に塩水シール(65)を配置することは、いくつかの利点を持つ。それは、放射状に延びる柔軟なリップ(70)が、容器の幅によりよく適合するために、入口渦巻き面(30)から下流である外周表面(38)の一部分の周囲に同心円状に位置することを可能にする。好ましい実施形態において、スリーブ(74)は、塩水シール(65)が入口渦巻き面(30)からより下流に配置され得るように、端キャップ表面(72)から少なくとも1cm軸方向に延びる。これは、放射状に延びる柔軟なリップ(70)が圧力容器(90)の内部領域(89)に対して係合することが更に可能でありながら、標準的圧力容器(90)内でより長いモジュールが使用されることを可能にし得る。高抵抗の供給液スペーサーシート(6)、及び放射状の流れを促進する(端キャップを含む)幾何設計と組み合わせると、特に付着物形成またはスケール形成後、対向する渦巻き面(30、32)間の圧力低下は、従来の動作の圧力低下を大いに超え得る。この場合において、スリーブはなめらかな表面を提供し、モジュール(2)と塩水シール(65)との間の迂回を阻害することができるため、スリーブ(74)上に塩水シール(65)を配置することは、また、有利である。最後に、フィルタアセンブリの別の好ましい幾何設計(図5b参照)において、モジュール(2)の外周表面(38)は、多孔性表面(80)及び多孔性表面(80)上で軸方向に延びるスリーブ(74)を備える。この幾何設計は、濃縮された供給液が、スリーブの下を通って、塩水シール(65)下の空間からモジュールを出ることを可能にする。一実施形態(図示されず)において、モジュールの多孔性外周表面(80)とそれを囲むスリーブ(74)との間のスペーサー(例えば、リブ、隆起)は、その2つの間の供給液の流れのための経路を作る。
【0035】
入口渦巻き面(30)からモジュール(2)に入る供給液の流れは、透過液回収管(8)付近の供給液スペーサーシート(6)の領域に沿って軸方向に流れることで、モジュールにわたって均等に分布される。図2a〜bに関して既に記載したように、軸方向の流れは、供給液が透過液管と平行に流れるために減少された抵抗を有する、供給液入口区分(50)を提供することで、促進され得る。別の実施形態において、軸方向の流れは、拒否(出口)側の透過液管(8)付近の少量の迂回を提供することで、促進される。図5aは、この目的のための第2の端キャップ(35)の開口部(99)を示す。別の実施形態において、第2の端キャップ(35)は、透過液管(8)付近の少量の水漏れを提供し得る。図5aに示されるように、端キャップ(35)をモジュール(2)に接合する接着剤(62)のパターンは、管(8)の最近接の供給液スペーサー(6)内の濃縮された供給液がモジュールを出るための経路が残るように、透過液管(8)付近の接着剤無しの領域(95)を作り得る。好ましくは、供給液の10%未満、更に好ましくは供給液の5%未満は、拒否側の管(8)付近のモジュールを出る。このように、供給液の流れは、供給液スペーサーの第1の巻装にわたって(透過液管に平行な方向に)更に分布される。
【0036】
図3〜7に示されるモジュール及び塩水シールはまた、いくつかの他の任意の特徴も説明する。モジュールは渦巻き面(30、32)のいずれかまたは両方を超えて延びる透過液管(8)を有してもよく、あるいは透過液管(8)が渦巻き面と同じ高さであってもよい。容器(90)の透過液出口(96)と係合するように、透過液管(8)は、一端または両端上にOリングなどのシール部材(67)を含んでも、いずれの端にも含まなくてもよい。好ましくは、Oリングは、出口渦巻き面(32)の最近接で、かつ塩水シール(65)の最近接の渦巻き面の反対で透過液管(8)に取り付けられる。示されないものの、透過液回収管(8)は、透過液がその中を通過できないように、入口渦巻き面(30)の最近接でシールされた端を更に含んでもよい。端キャップ(33、35)上の配置部材(37)は、端キャップを、透過液管(8)またはモジュールの外周表面(38)に整列させることができる。
【0037】
図7は、本発明の別の好ましい実施形態を説明し、外周表面(38)が、塩水シール(65)の下流でのみ多孔性である。「塩水シールの下流」領域は、供給液側の圧力低下に関して画定される。塩水シール(65)の下流の外周表面(38)の領域は、塩水シールの同心円状の柔軟なリップ(70)が圧力容器の内部チャンバに係合する場所のちょうど上流の位置よりも、低い供給液側の圧力(動作中)を有する領域である。塩水シールの上流の外周表面(38)の領域は、より高い供給液側の圧力を有する。説明される実施形態において、塩水シールは、モジュールの外周表面(38)の周囲に同心円状に配設され、また、その一部分にシールされている。この実施形態において、外周表面(38)は、好ましくは塩水シール(65)の上流で非多孔性であり、塩水シールの下流で少なくとも外周表面(38)の一部分は多孔性である。このように、供給液は塩水シール(65)の下流の領域からモジュールの外周表面(38)を出ることができる。多孔性表面(80)は、既に記載したように、好ましくは1mm幅よりも大きな複数の分布された孔(93)を含む。
【0038】
本発明は、住居用用途のために設計されたシステム、例えば、2m2未満、及びより好ましくは1m2未満の膜区域を有するシステムにとって特に好適である。そのようなモジュールの軸Xの方向の、活性膜(25)の好ましい幅は、0.5m未満である。軸Xに垂直な方向の、活性膜(25)の好ましい長さは、1m超である。しかし、記載された方法は、より大きなモジュール(例えば直径8インチ)に同様に適用されてもよく、これらのモジュールは、軸方向の流れの幾何設計を有するモジュールも備える、容器内の最後のモジュールとして、システム内で特に有用であり得る。その場合において、膜シート(10、10’)の各部分の活性膜領域(25)の好ましい比率(幅対長さ)は、好ましくは少なくとも2、より好ましくは少なくとも4、または更には少なくとも8である。
(態様)
(態様1)
圧力容器の内部チャンバへの挿入のために適合されたフィルタアセンブリであって、入口渦巻き面(30)及び出口渦巻き面(32)を形成する軸(X)に沿って延びる中央透過液管(8)の周囲に同心円状に巻き付けられた、少なくとも1つの膜エンベロープ(4)及び供給液スペーサーシート(6)、ならびに円筒形の外周表面(38)を備える螺旋巻き膜モジュール(2)と、前記入口渦巻き面(30)の一部分を被覆する表面(72)、及び、流体が前記入口渦巻き面(30)を通って前記モジュール(2)の前記供給液スペーサーシート(6)へと流れることを可能にするための、前記透過液管付近の端キャップ表面(72)内の少なくとも1つの開口部(76)を有する端キャップ(33)と、前記圧力容器の前記内部チャンバに係合するように適合された、最大外径を画定する、放射状に延びる柔軟なリップ(70)を有する塩水シール(65)と、を備え、前記塩水シールが、前記端キャップ(33)にシールされている、フィルタアセンブリ。
(態様2)
前記端キャップ(33)が、前記外周表面(38)の一部分の周囲に同心円状に位置し、前記端キャップ表面(72)から軸方向に延びる、スリーブ(74)を更に備える、態様1に記載のフィルタアセンブリ。
(態様3)
前記塩水シール(65)が、前記スリーブ(74)にシールされている、態様2に記載のフィルタアセンブリ。
(態様4)
前記塩水シール(65)が、前記スリーブ(74)の周囲を同心円状に包み、前記スリーブ(74)が、放射状に延びる隆起部(91)を備える、態様3に記載のフィルタアセンブリ。
(態様5)
前記スリーブ(74)が、前記端キャップ表面(72)から少なくとも1cm軸方向に延びる、態様3に記載のフィルタアセンブリ。
(態様6)
前記放射状に延びる柔軟なリップ(70)が、前記外周表面(38)の一部分の周囲に同心円状に位置する、態様3に記載のフィルタアセンブリ。
(態様7)
前記モジュール(2)の前記外周表面(38)が、多孔性表面(80)を備え、前記スリーブ(74)が、前記多孔性表面(80)上で軸方向に延びる、態様3に記載のフィルタアセンブリ。
(態様8)
前記端キャップ表面(72)が、前記入口渦巻き面(30)の少なくとも75%を被覆する、態様1に記載のフィルタアセンブリ。
(態様9)
前記リップ(70)が、前記出口渦巻き面(32)よりも前記入口渦巻き面(30)で大きい流体圧力に供されるとき、外向きに放射状に曲がる、態様1に記載のフィルタアセンブリ。
(態様10)
端キャップ表面(72)が、前記入口渦巻き面(30)にシールされている、態様1に記載のフィルタアセンブリ。
図1
図2a
図2b
図3
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図6a
図6b
図7