(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6609077
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】包丁用アタッチメント及び包丁
(51)【国際特許分類】
A47J 43/28 20060101AFI20191111BHJP
B26B 3/00 20060101ALI20191111BHJP
【FI】
A47J43/28
B26B3/00 C
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-61800(P2019-61800)
(22)【出願日】2019年3月8日
【審査請求日】2019年3月8日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519109416
【氏名又は名称】篠崎 翼
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 翼
【審査官】
稲葉 大紀
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭61−002868(JP,U)
【文献】
実公昭52−005720(JP,Y2)
【文献】
登録実用新案第3024670(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 43/28
B26B 1/00−11/00,23/00−29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包丁による被切断物の切片の散らばりを防止するための透明な板状部と、前記包丁のみねを挟み込むことで、前記板状部のなす面が前記包丁の刃先のなす線に対して垂直となるよう固定し得る固定部とを有する2つのアタッチメント本体と、
前記2つのアタッチメント本体が前記包丁に装着された状態において、該包丁のみねを覆う庇をなす透明な天面板と、
備え、
前記2つのアタッチメント本体は、前記包丁の切っ先を前、柄元を後とした前後方向に、相互に離間した状態で移動可能に装着され得るよう構成されており、
前記天面板は、該天面板及びアタッチメント本体のいずれか一方に溝、他方に突条が設けられ、前記天面板と各前記アタッチメント本体とが当該溝及び突条によって摺動可能に嵌合されていることにより、前記2つのアタッチメント本体を介して、前後方向に移動可能に設けられていることを特徴とする包丁用アタッチメント。
【請求項2】
包丁本体と、該包丁本体に取り付けられた包丁用アタッチメントとからなる包丁であって、
前記包丁用アタッチメントは、
前記包丁による被切断物の切片の散らばりを防止するための透明な板状部と、前記包丁のみねを挟み込むことで、前記板状部のなす面が前記包丁の刃先のなす線に対して垂直となるよう固定し得る固定部とを有する2つのアタッチメント本体と、
前記2つのアタッチメント本体が前記包丁に装着された状態において、該包丁のみねを覆う庇をなす透明な天面板と、
備え、
前記2つのアタッチメント本体は、前記包丁の切っ先を前、柄元を後とした前後方向に、相互に離間した状態で移動可能に装着され得るよう構成されており、
前記天面板は、該天面板及びアタッチメント本体のいずれか一方に溝、他方に突条が設けられ、前記天面板と各前記アタッチメント本体とが当該溝及び突条によって摺動可能に嵌合されていることにより、前記2つのアタッチメント本体を介して、前後方向に移動可能に設けられていることを特徴とする包丁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
野菜などを切断した時の切片が散らばるのを防止するための包丁用アタッチメント及び包丁に関する。
【背景技術】
【0002】
野菜などを切断した時の切片が散らばるのを防止するための従来技術には、例えば、特許文献1に開示された包丁用備品器具がある。これは、切断済みの切片をまな板から容器等に移す際にこぼれたりしないように包丁に対し垂直にスクィージ面を設けている。
【0003】
しかしながら、この包丁用備品器具は、切断作業の終了後に切片をまとめるには有用であるが、切断作業中に切片が散らばるのを防止することはできないという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−130278号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、野菜などの切断作業中に切片が散らばらないようにできる包丁用アタッチメント及び包丁を提供することにある。
【0006】
本発明の第1の側面に係る包丁用アタッチメントは、包丁による被切断物の切片の散らばりを防止するための板状部と、前記包丁のみねを挟み込むことで、前記板状部のなす面が前記包丁の刃先のなす線に対して垂直となるよう固定し得る固定部とを有するアタッチメント本体を2つ備え、前記2つのアタッチメント本体は、前記包丁の切っ先を前、柄元を後とした前後方向に、相互に離間した状態で装着され得ることを特徴としている。前記構成を備えたアタッチメントを装着した包丁で野菜などの切断作業を行うと、切断作業中における切片の散らばりや転がりを防止できる。
【0007】
また、本発明の第2の側面に係る包丁用アタッチメントは、該包丁用アタッチメントが前記包丁に装着された状態において、該包丁のみねを覆う庇をなす天面板を備えたことを特徴としている。前記構成により、天面板があることにより包丁に張り付いた切片が包丁の反対側にいくことを防ぐことができる。
【0008】
さらにまた、本発明の第3の側面に係る包丁用アタッチメントは、前記天面板及び前記アタッチメント本体のいずれか一方に溝、他方に突条が設けられ、前記天面板と各前記アタッチメント本体とが当該溝及び突条によって摺動可能に嵌合されていることを特徴としている。前記構成により、切る材料によって必要となるアタッチメント幅が異なるため調節を行えるので、より切片の散らばりを防ぐことができる。また使う包丁の長さの変化にも対応可能になる。
【0009】
さらにまた、本発明の第4の側面に係る包丁用アタッチメントは、材質をシリコンとしたことを特徴としている。前記構成のように、シリコン製にすることにより耐熱性や耐腐食性が保証されるため、食洗機等で洗うことも可能になり、手入れがしやすく清潔に使うことができる。
【0010】
さらにまた、本発明の第5の側面に係る包丁用アタッチメントは、前記アタッチメント本体の板状部が透明であることを特徴としている。前記構成により、板状部が不透明である場合には、切断作業の状況を目視する際に、板状部に遮られて見えない部分が生じるのに対し、板状部が透明であるので板状部による死角が生じないため、より的確に切断作業を行うことができる。
【0011】
さらにまた、本発明の第6の側面に係る包丁用アタッチメントは、前記天面板が透明であることを特徴としている。前記構成により、天面板が不透明である場合には、切断作業の状況を目視する際に、天面板に遮られて見えない部分が生じるのに対し、天面板が透明であるので天面板による死角が生じないため、より的確に切断作業を行うことができる。
【0012】
さらにまた、本発明の第7の側面に係る包丁は、刃の側面に、被切断物の切片の散らばりを防止するための板状部材が、該板状部材のなす面が刃先のなす線に対して垂直となるように、切っ先を前、柄元を後とした前後方向に2枚、相互に離間した状態で固定されていることを特徴としている。前記構成を備えた包丁で野菜などの切断作業を行うと、野菜などの切断作業中における切片の散らばりや転がりを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明を適用した包丁用アタッチメントを包丁に装着した状態を示す図である。
【
図2】本発明を適用した包丁用アタッチメントのアタッチメント本体の斜視図である。
【
図3】本発明を適用した包丁用アタッチメントの天面板の斜視図である。
【
図4】本発明を適用した包丁用アタッチメントを使用して野菜の切断作業を行っている様子を撮影した写真である。
【
図5】本発明を適用した包丁用アタッチメントを使用して野菜の切断作業を行っている様子を撮影した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(第一実施例)
(包丁用アタッチメント1)
【0015】
包丁用アタッチメント1は、包丁KNによる野菜などの切断作業中に切片が散らばらないようにするために包丁KNに装着されるアタッチメントであり、
図1に示すように、2つのアタッチメント本体2と、天面板3とからなる。天面板3と各アタッチメント本体2とは、溝23及び突条31によって摺動可能に嵌合されている。包丁用アタッチメント1の材質は、例えば、シリコンなどのゴムや、アクリル樹脂などのプラスチック、ステンレスなどの金属とすることができる。なお、シリコン製とすれば、耐熱性や耐腐食性に優れており、食洗機等で洗うことも可能となる。
(アタッチメント本体2)
【0016】
アタッチメント本体2は、
図2に示すように、包丁KNによる被切断物の切片の散らばりを防止するための板状部21と、包丁KNのみねを挟み込むことで、板状部21のなす面が包丁KNの刃先のなす線に対して垂直となるよう固定し得る固定部22とを有している。
【0017】
板状部21は、例えば、縦30mm、横45mm、厚さ8mmの透明な板とすることができる。なお、板状部21をシリコンなどの弾性体とする場合には、板状部21の形状の安定性を高めるため、シリコンの内部に芯材としてプラスチック製の板などを内在させてもよい。
【0018】
固定部22は、例えば、1mm程度の幅のスリットを設けたシリコン板とすることができる。このスリット部分で包丁KNのみねを挟み込むことで、アタッチメント本体2が包丁KNに固定される。なお、固定部22は、スリットによるものに限定されず、例えば、バネ付きのクリップなどによるものとしてもよい。
【0019】
また、アタッチメント本体2には天面板3の突条31と嵌合させるための溝23が設けられている。なお、溝23は、突条31との嵌合状態が容易に解消されてしまうことのないよう、アリ溝などの表面部より深部の方が広がった形状とするのが望ましい。
(天面板3)
【0020】
天面板3は、
図3に示すように、包丁用アタッチメント1が包丁KNに装着された状態において、包丁KNのみねを覆う庇をなす部材であり、透明なシリコン板などを用いて製造することができる。天面板3の寸法は、包丁KNのみねから10mm程度張り出し、包丁KNの刃と同程度の長さがあればよい。
【0021】
また、天面板3にはアタッチメント本体2の溝23と嵌合させるための突条31が、長さ方向全域に渡って形成されている。突条31の形状は、溝23の内壁に沿うものとなっている。
【0022】
なお、天面板3及びアタッチメント本体2のいずれか一方に溝、他方に突条が設けられていればよく、溝23の代わりに突条を、突条31の代わりに溝を設けた構成とすることも可能である。
(包丁用アタッチメント1の使用方法)
【0023】
まず、2つのアタッチメント本体2を天面板3に対して摺動させることにより、アタッチメント本体2同士の間隔を、切断しようとする野菜などの寸法に適したものに調整する。このとき、板状部21同士が、少なくとも切断しようとする野菜などの幅より大きく離間するように調整する。
【0024】
次に、各アタッチメント本体2の固定部22のスリットで包丁KNのみねを挟み込み、包丁KNに対して包丁用アタッチメント1を装着する。このように装着することで、板状部21のなす面が包丁KNの刃先のなす線に対して垂直となるよう固定される。
【0025】
包丁用アタッチメント1を装着した包丁KNで野菜などを切断する際には、2枚の板状部21のなす面同士の間に切断したい野菜などを配置すること以外は、通常の包丁を用いた切断作業と同様に作業を行うことができる。
(第二実施例)
【0026】
本発明によれば、包丁に対して着脱可能なアタッチメント型だけではなく、包丁自体に包丁用アタッチメント1の板状部21と同様の構成を設けることも可能である。
【0027】
例えば、包丁の刃の切っ先寄りの位置と、柄元寄りの位置とに、刃先のなす線に対して垂直となるように板状部材を固定すれば、アタッチメントに依らずとも切片の散らばりを防止することのできる包丁が得られる。また、包丁のみね部分をT字状又はL字状にして天面板3に相当する構成を設けることも可能である。
【0028】
なお、本発明は前述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
(発明の効果)
【0029】
今回の発明を用いることにより円柱形の食材が転がることや、玉ねぎなどをみじん切りにする際に転がったりすることや散らばることを防ぐことができる。
図4を見てもらうときゅうりがアタッチメントにより転がらないことがわかる。他の円柱形食材でも同様の効果が得られる。さらに
図5を見てもらうと玉ねぎのみじん切りを行なった際に切片が散らばっていないのがわかる。また揚げ物等をたくさん切る際に押し切りを複数回行うと揚げごろもの切りくずが包丁の柄の部分または手に付着することを防ぐこともできる。さらに前後に二つついているため引切りを行なった際に切っ先方向に切り屑が付着することがなく片付け等がやりやすくなる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明に係る包丁用アタッチメント及び包丁は、家庭での調理時やレジャーの時などの十分な調理スペースが確保できない時や工場やスーパーの惣菜部門など大量に加工を行う際にも好適に使用できる。
【符号の説明】
【0031】
1…包丁用アタッチメント
2…アタッチメント本体
21…板状部
22…固定部
23…溝
3…天面板
31…突条
KN…包丁
【要約】
【課題】野菜などの切断作業中に切片が散らばらないようにできる包丁用アタッチメント及び包丁を提供する。
【解決手段】包丁用アタッチメント1を、包丁KNによる被切断物の切片の散らばりを防止するための板状部21と、包丁KNのみねを挟み込むことで、板状部21のなす面が包丁KNの刃先のなす線に対して垂直となるよう固定し得る固定部22とを有するアタッチメント本体2を2つ備え、2つのアタッチメント本体2が、包丁KNの切っ先を前、柄元を後とした前後方向に、相互に離間した状態で装着され得るようにする。
【選択図】
図1